表示体及びその真偽判定方法
【課題】複数の偽造防止機能を付与することにより、より高度な偽造防止効果を有する表示体、及びそれらの真偽判定方法を提供すること。
【解決手段】光透過部を有する基材層からなる表示体であって、
前記光透過部には、光透過性を有する接着層、層厚が10nm以上50nm以下の金属層、アスペクト比が0.1〜1.5の凹凸構造が形成された光透過性材料層及び印刷層が積層されており、
前記金属層が前記光透過性材料層の表面の一部に、パターン状に形成されている。
【解決手段】光透過部を有する基材層からなる表示体であって、
前記光透過部には、光透過性を有する接着層、層厚が10nm以上50nm以下の金属層、アスペクト比が0.1〜1.5の凹凸構造が形成された光透過性材料層及び印刷層が積層されており、
前記金属層が前記光透過性材料層の表面の一部に、パターン状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が真正品か、非真正品であるかを判別するための表示体及びその真偽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券、証明書、ブランド品、電子機器及び個人認証媒体などの物品には、偽造が困難であることが望まれる。そのため、このような物品には、偽造防止効果に優れた表示体を支持させることがある。
【0003】
従来、偽造防止技術を施した表示体として、種々の構成が知られている。例えば、蛍光発光インキを用いた蛍光画像形成物のセキュリティレベルを上げるために、それぞれの蛍光体が発光する蛍光の波長領域が異なる2種類の蛍光体を含有する蛍光画像形成物を用いている(特許文献1)。
【0004】
また、特定の角度からのみ確認できる凹版潜像が開示されている(特許文献2)。
【0005】
また、ホログラム層と光反射性層と配向膜との組合せによる真偽判定用媒体が開示されている(特許文献3)。
【0006】
また、偽造防止技術への適用は意図されていないが、近年では、構造性複屈折を利用した光学効果の研究も為されている(非特許文献1、2)。
【0007】
しかしながら、これら上記の提案はいずれも一つの偽造防止機能によるために、よりレベルの高いセキュリティを提供するには問題がある。
【0008】
また、上記の提案はいずれも表示体の反射光による反射像を目視観察しており、表示体を光に透過させた際の透過光による透過像に対して着目されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−250214号公報
【特許文献2】特開平11−291609号公報
【特許文献3】特開2005−091786号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】岡田真、光学(社団法人応用物理学会発行)、第35巻第5号、P280〜281(2006)
【非特許文献2】今榮真紀子ら、コニカミノルタテクノロジーレポート、第3号、P62〜67(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、直接の観察による確認と、媒体を介した観察による複数の偽造防止確認機能を付与することにより、より高度な偽造防止効果を有する表示体、及びそれらの真偽判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、光透過部を有する基材層からなる表示体であって、
前記光透過部には、光透過性を有する接着層、層厚が10nm以上50nm以下の金属層、アスペクト比が0.1〜1.5の凹凸構造が形成された光透過性材料層及び印刷層が積層されており、
前記金属層が前記光透過性材料層の表面の一部に、パターン状に形成されていることを特徴とする表示体である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記印刷層がパターン状に形成されており、表示体の光透過部の全面を覆わずに、表示体の一部分を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の表示体である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記印刷層が付されていない基材層のもう一方の面に、前記光透過部の一部分を覆うように印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示体である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記光透過性材料層が、平均高さ50〜500nmの複数の凸型線状構造、又は平均深さ50〜500nmの複数の凹型線状構造からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの1次元配列された第1領域と、平均高さ50〜500nmの複数の凸型形状体、平均深さ50〜500nmの複数の凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの2次元配列された第2領域とを有することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の表示体である。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の表示体を、
直線偏光子を介して目視観察し、第1領域に対応する部分にて潜像が確認できること、また直線偏光子を回転させることで潜像が明暗の変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の表示体を傾け、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域を目視観察し、潜像が確認できること、また表示体の傾き角を変えることで潜像の色変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の表示体に対して、光を透過させ、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、透過光に色が着いていること、透過像が確認できること、第1領域と第2領域の色が異なっていることを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の表示体に対して、直線偏光子を介した光を透過させ、前記第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、第1領域の透過光は直線偏光の方向により、無色から有色、有色から無色へと変化すること、第2領域の透過光は直線偏光の方向によらず、色変化を起こさないことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回折光による有彩色の確認と、上述の直線偏光子を介した観察による確認の、複数の偽造防止機能を付与することが出来、付与された防止機能が、付与された領域毎に、反射光や透過光により異なった潜像や潜像の変化が得られるため、より高度な偽造防止効果を有する表示体と、真偽判定方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一態様に係る表示体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の一態様に係る表示体の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の一態様に係る表示体の一例を示す平面図である。
【図4】本発明における複数の凸状線構造の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明における複数の凸部構造の一例を示す斜視図である。
【図6】図5に示す本発明における複数の凸部構造の、他の例を示す斜視図である。
【図7】本発明の一態様に係る表示体の他の例を示す平面図である。
【図8】本発明の一態様に係る表示体の裏面の一例を示す平面図である。
【図9】図3に示す表示体の反射光を、直線偏光子を介して観察する場合の一例を示す平面図である。
【図10】図3に示す表示体の反射光を、直線偏光子を介して観察する場合の他の例を示す平面図である。
【図11】図3に示す表示体の正面を、表示体からの反射光で観察する場合の一例を示す斜視図である。
【図12】図3に示す表示体の正面を、表示体を透過した、透過光で観察する場合の一例を示す斜視図である。
【図13】図3に示す表示体の正面を表示体からの透過光で観察する場合の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
図1は、本発明の一態様に係る表示体の一例を示す断面図である。図2は、本発明の一態様に係る表示体の他の例を示す断面図である。図1及び図2では、表示体100の主面に平行であり且つ互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、表示体100の主面に垂直な方向をZ方向としている。
【0024】
図1及び図2に示す表示体100は、基材10aと、基材10aに設けられている光透過部10bと、接着層11と、金属層12と、光透過性材料層13と、印刷層14とを含んでいる。図1及び図2には、一例として光透過性材料層13が金属層12に対して前面側に位置している場合を描いている。
【0025】
図2は、図1に示す形態において、基材10aの積層体200が付されていない面に印刷層14が設けられている場合を描いている。
【0026】
光透過性材料層13の一方の主面には、複数の凸部又は凹部が設けられている。光透過性材料層13の材料としては、例えば、可視光透過性を有する樹脂を使用することができる。特には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を使用すると、原版を用いた転写により、上記の複数の凸部又は凹部を容易に形成することができる。それゆえ、この場合、複数の凸部又は凹部を原版に高精度に形成しておけば、精密な量産複製品を比較的容易に製造することができる。
【0027】
光透過性材料層13は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。また、光透過性材料層13は、樹脂への染料の添加などにより、着色されていてもよい。
【0028】
金属層12は、光透過性材料層13の複数の凸部又は凹部が設けられた主面の少なくと
も一部を被覆している。この層を設けることにより、複数の凸部又は凹部に起因した光学効果をより顕著にすることができる。
【0029】
金属層12の材料としては、例えば、アルミニウム、銀及び金などの金属材料が挙げられる。金属層12は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0030】
金属層12は、例えば、蒸着及びスパッタリングなどの薄膜形成技術により形成することができる。また、金属層12の存在する領域を空間的に分布させることにより、この金属層12の分布を用いて像を表現することもできる。
【0031】
また、金属層12の層厚は10nm乃至50nmの範囲内とすることが好ましく、10nm乃至30nmの範囲内とすることがより好ましい。こうすることで、後に説明する光学効果がより顕著に現れる。
【0032】
図3は、本発明の一態様に係る表示体の一例を示す平面図である。図3は、表示部DP1と表示部DP2を含んでおり、表示部DP1及び表示部DP2を構成している界面部IP1及び界面部IP2は、光透過性材料層13に形成されており、複数の凸部又は凹部が設けられている。これら複数の凸部又は凹部により、光学効果が得られる。
【0033】
界面部IP1及び界面部IP2は、上述した通り、複数の凸部又は凹部による構造に加え、平坦部を含んでいてもよい。以下、これらの構成及び光学効果について説明する。
【0034】
図3に示す例では、表示部DP1は、表示部DP2と離れて設けられている。
【0035】
図3に示す表示部DP1を構成している光透過部10bに形成された界面部IP1の構造は、図4に示すように複数の凸状線構造又は凹状線構造が1次元的に配列されている。界面部IP1を構成している複数の凸状線構造又は凹状線構造の格子ベクトルは、X方向と平行となるように設けられている。
【0036】
界面部IP1は、例えば、回折格子パターンを形成しているため、回折光が射出される観察角度である場合、界面部IP1は回折光に由来した有彩色を表示する。ここで「回折格子」とは、照明光を照射することにより回折波を生じる構造を意味している。「回折格子」には、以下で例示する複数の溝のみならず、ホログラムに記録された干渉縞なども含まれる。
【0037】
界面部IP1は、例えば、一次元的に配列した複数の溝を含んでいる。これら溝の各々は、直線状であってもよく、曲線状であってもよい。図3及び図4に示す例では、表示部DP1及び界面部IP1は、Y軸に沿って互いに平行に配列された複数の溝を含んでいる。
【0038】
図4は図3に示す表示部DP1を構成している界面部IP1の斜視図を示している。図4に示す例では、Y方向に1次元的に直線状に配列した平均高さH1、平均周期D1の複数の溝を含んでいる。
【0039】
界面部IP1に設けられた複数の凸状線構造又は凹状線構造は、例えば偏光分離効果に基づいて、複屈折性を示す。以下、図3及び図4に示す構造を例として、この偏光分離効果について説明する。
【0040】
図3及び図4に示す例では、界面部IP1は、互いに平行な複数の溝を含んでいる。以下、この溝に対して垂直に振動する偏光をTE偏光と呼び、この溝に対して平行に振動す
る偏光をTM偏光と呼ぶ。
【0041】
これら複数の溝の周期をdとし、入射光の波長をλとし、その入射角をθ0とする。このとき、下記式(1)の条件が満たされていれば、界面部IP1は、有効屈折率がneffである薄膜と同視できる。この有効屈折率neffは、入射光の偏光方向によって異なり、第1次近似では、それぞれ、下記式(2)及び(3)により表される。
【0042】
dcosθ 0<λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
TE偏光:nTE={(1−f)n12+f×n22}1/2・・・・・・・・(2)
TM偏光:nTM=[n12×n22/{f×n12+(1−f)n22}]1/2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)式中、
n1は、複数の溝が設けられた層と接している外界の屈折率を表す。
n2は、複数の溝が設けられた層の屈折率を表す。
fは、周期dに対する各溝の幅の比を表す。
【0043】
式(2)及び(3)から分かるように、fが0又は1でない場合には、TE偏光の有効屈折率nTEとTM偏光の有効屈折率nTMとは、互いに異なっている。これを「構造性複屈折」と呼ぶ。この構造性複屈折により、上記の複数の溝に入射した光は、下記式(4)により表される位相差δを生じる。
【0044】
δ=(nTE−nTM)h・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)式中、hは、複数の凸状線構造の高さ又は凹状線構造の深さを表す。式(4)から明らかなように、hを調整することにより、所望の位相差δを生じさせることが可能となる。
【0045】
界面部IP1が1次元的に配列した複数の凸状線構造又は凹状線構造を備えている場合、その平均周期D1は、200nm乃至500nmの範囲内とすることが好ましく、250nm乃至400nmの範囲内とすることがより好ましい。このような構成を採用すると、入射光として可視光を用いた場合にも、幅広い角度範囲で、上記式(1)の条件を満足させることができる。
【0046】
界面部IP1が1次元的に配列した複数の凸状線構造又は凹状線構造を備えている場合、その平均高さ又は深さH1は、50nm乃至500nmの範囲内とすることが好ましく、70nm乃至140nmの範囲内とすることがより好ましい。このような構成を採用すると、後述する直線偏光子を介して観察した場合において、直線偏光子の透過軸の向きに応じた明るさの変化がより大きくなる。
【0047】
界面部IP1が1次元的に配列した複数の凸状線構造又は凹状線構造を備えている場合、そのアスペクト比は0.1乃至1.5の範囲内とすることが好ましく、0.5乃至1.5の範囲内とすることがより好ましい。このような構成を採用すると、入射光として可視光を用いた場合にも、幅広い角度範囲で、上記式(1)の条件を満足させることができると共に、後述する直線偏光子を介して観察した場合において、直線偏光子の透過軸の向きに応じた明るさの変化がより大きくなる。
【0048】
図3に示す表示部DP2を構成している光透過性材料層13に形成された界面部IP2は、図5に示す複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体が2次元的に配列されている。図3及び図5に示す界面部IP2を構成している複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体は、X方向及びY方向に2次元的に配列されて、設けられている。図3及び図5に示す例では、界面部IP3は複数の凸型形状体からなるものとする。
【0049】
図5は図3に示す表示部DP2を構成している界面部IP2の斜視図を示している。また図6は界面部IP2の他の例を示す斜視図である。図5に示す例では、X方向及びY方向に対して平行に配列されている高さH2、平均周期D2の複数の凸型形状体を含んでいる。
【0050】
図6に示す例では、複数の凸型形状体がX方向及びY方向と45度の角度で交差する直線と平行に、高さH2、平均周期D2で配列されている。こうすると、後で説明するように、表示体100の真偽判定方法が異なり、偽造防止効果が高くなる。
【0051】
界面部IP2を構成する図5に示す複数の凸型形状体は、平均周期D2、平均高さH2で形成されている。複数の凸型形状体は、図5に示した方向以外の方向に伸長する複数の凸型形状体からなる構造であってもよい。
【0052】
界面部IP2における複数の凸型形状体は、典型的にはテーパ形状を有している。テーパ形状としては、例えば、半紡錘形状、円錐及び角錐などの錐体形状、切頭円錐及び切頭角錐などの切頭錐体形状などが挙げられる。複数の凸型形状体の側面は、傾斜面のみで構成されていてもよく、階段状であってもよい。複数の凸型形状体のテーパ形状は、後述するように、界面部IP2に入射する光の反射率を小さくするのに役立つ。
【0053】
上述したように、複数の凸型形状体は規則的に配列されているため、界面部IP2は回析格子として機能する。具体的には、図5及び図6に示す複数の凸型形状体は、溝を点線で示したように配置してなる回折格子とほぼ同様に機能する。
【0054】
また、上述したように、凸型形状体はテーパ形状を有している。このような構造を採用した場合、平均周期D2が十分に短ければ、界面部IP2はZ方向に連続的に変化した屈折率を有していると見なすことができる。そのため、どの角度から観察しても界面部IP2の正反射光についての反射率は小さい。そして、界面部IP2は表示体100の法線方向に回折光を実質的に射出しない。
【0055】
したがって、表示体100のうち界面部IP2に対応した部分は、その法線方向から反射観察した場合に、例えば黒色又は暗灰色を表示する。なお、ここでの「黒色」は表示体100のうち界面部IP2に対応した部分に法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm〜700nmの範囲内にある、全ての光成分について反射率が10%以下であることを意味し、「暗灰色」は表示体100のうち界面部IP2に対応した部分に法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が可視光の波長である400nm〜700nmの範囲内にある全ての光成分について反射率が約25%以下であることを意味する。
【0056】
上述のように、界面部IP2は、正面から観察した場合に、黒色又は暗灰色を表示する。したがって、表示体100のうち表示部DP2に対応した部分は、正面から観察した場合に、例えば黒色又は暗灰色印刷層の如く見える。そして、界面部IP2は、回折格子とほぼ同様に機能するため、回折光が射出される観察角度である場合、界面部IP2は回折光に由来した有彩色を表示する。
【0057】
界面部IP2における複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体の平均周期D2は500nm以下であり、可視光の最短波長以下(例えば400nm以下)であることが好ましい。また、より好ましくは、可視光の最短波長の1/2以上、すなわち200nm以上400nm以下とすることで1次回折光を射出する機能を有し、かつ黒色又は暗灰色に見える構造が得られる。平均周期D2を200nm未満に設定した場
合には、黒色又は暗灰色に見える構造が得られるが、回折光を射出する機能は得られなくなる。一般的には、複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体の平均周期D2が小さくなるに伴って明度及び彩度が低下し、より黒い表示が可能となり、平均周期D2が大きくなるに伴ってやや輝度が上昇し、暗灰色に知覚されるような構造となる。
【0058】
また、平均高さ又は平均深さH2が大きいほうがより黒い表示が可能となり、平均高さ又は深さが小さくなるに伴って輝度が上昇し、暗灰色に知覚されるようになる。典型的には平均高さ又は深さH2を平均周期D2の1/2以上とすることが望ましい。具体的には、平均周期D2が500nmであった場合、平均高さ又は深さH2を250nm以上とすることで暗灰色の表示が可能となり、更に、平均周期D2よりも大きい500nm以上の平均高さ又は深さH2とすることでより黒い表示が可能となる。
【0059】
上述の構成とすることで、表示体100の表示部DP2に対応した部分は、正面から観察した場合に、例えば黒色又は暗灰色印刷層の如く見える。そして、界面部IP2は、回折格子とほぼ同様に機能するため、回折光が射出される観察角度である場合、界面部IP2は回折光に由来した有彩色を表示する。
【0060】
界面部IP2に対して、上述のような構成を採用し、図3に示す印刷層14の少なくとも一部分を黒色又は暗灰色印刷層とすると、界面部IP2及び印刷層14の判別が難しくなる。それゆえ、表示体100の偽造がより困難となる。
【0061】
表示体100は、上述した通り、複数の凸状線構造又は凹状線構造が1次元的に配列して設けられた界面部IP1と、複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体が2次元的に配列して設けられた界面部IP2とを備えている。
【0062】
図7は、光透過部10b上で積層体200が付されている領域に、光不透過性印刷層14aを設け、更に光透過部10b上で積層体200が付されていない領域に、光透過性印刷層14bを設けた場合の表示体100の平面図を示す。こうすることで、後述する真偽判定時の目視観察像が変化する。
【0063】
図8は、表示体100の積層体200が付されていない面を上面としている平面図を示す。積層体200が付されていない面上に、光不透過性印刷層14cを設けることで、後述する真偽判定時の表示部DP1a及び表示部DP1bの目視観察像が変化する。
【0064】
図3、図7及び図8に示す表示体100において、金属層12の層厚が10nm乃至50nmとなっているため、表示体100の裏面から光を照射すると、表示部DP1、表示部DP2及び光透過部10bにおいて透過光を観察できる。
【0065】
界面部IP1に対応した表示部DP1は、複屈折性を示す。それゆえ、この表示部DP1を、直線偏光子を介して観察すると、その直線偏光子の透過軸の向きに応じて明るさが変化する。
【0066】
他方、界面部IP2に対応した表示部DP2は、複屈折性を示さないため、直線偏光子の透過軸の向きを変えたとしても明るさは変化しない。なお、表示部DP2の反射率は10%以下を示すため、表示部100の界面部IP2に対応する表示部DP2において、法線方向観察時には、黒色又は暗灰色に見える。
したがって、表示体100では、直線偏光子を介した観察による真偽判定を行うことができる。
【0067】
加えて、界面部IP1及び界面部IP2は共に回折格子の機能を有している。それゆえ、回折光が射出される観察方向から観察することにより、界面部IP1及び界面部IP2は回折光に由来した有彩色を確認できる。
【0068】
界面部IP1及び界面部IP2が図4及び図5に示す構造となっている場合、X方向においては界面部IP1及び界面部IP2共に回折光に由来する有彩色を確認できる。一方で、界面部IP1及び界面部IP2が図4及び図6に示す構造となっている場合、X方向では界面部IP1による回折光を確認でき、X方向からY方向へ45度傾いた角度で界面部IP2による回折光を確認できる。このように、界面部IP1と界面部IP2の設置角度に伴い、回折光に由来する有彩色に変化をつけることが可能となる。
【0069】
この回折光による有彩色の確認と、上述の直線偏光子を介した観察による確認とを組み合わせて、2重の真偽判定を行うことができる。それゆえ、この表示体100は、偽造防止効果が高い。
【0070】
更に、前述したように積層体200の金属層12の層厚が10nm乃至50nmであるため、表示体100の背面から光を照射すると、表示部DP1及び表示部DP2の領域において、特定の波長に対応する透過光を確認できる。なお、表示部DP1及び表示部DP2を透過する特定の波長は、界面部IP1の複数の凸状線構造又は凹状線構造の平均周期D1及び界面部IP2の複数の凸型形状体又は凹型形状体の平均周期D2、加えて透過光の観察角度に依存する。
【0071】
この特定の波長に対応する透過光の確認と、上述の回折光による有彩色の確認、直線偏光子を介した観察による確認とを組み合わせることで、より偽造防止効果が高くなる。
【0072】
また、前述の特定の波長に対応する透過光の確認において、表示体100の背面から照射する光を、直線偏光子を介して照射させると、その直線偏光子の透過軸の向きに応じて、表示部DP1の透過光の波長が変化する。
上述より、表示体100は複数の真偽判定を行うことができるため、偽造防止効果が高い。
【0073】
表示体100の真偽判定は、上述した通り、直線偏光子を介した観察により行う。より具体的には、表示体100の真偽判定方法は、直線偏光子を介して、表示部DP1又は表示部DP2のうち少なくとも一方を観察することを含んでいる。
【0074】
図9は、図3に示す表示体100を、直線偏光子300を介して観察した場合の例を示す平面図である。図10は、図3に示す表示体を、直線偏光子を介して観察した場合の他の例を示す平面図である。
【0075】
図9に示す直線偏光子300は、X軸に平行な透過軸Tを有している。また、図10に示す直線偏光子300は、Y軸に平行な透過軸Tを有している。
【0076】
表示体100と直線偏光子300との配置を図9に示す関係とした場合、表示部DP1は、直線偏光子300を介して観察すると、表示部DP2と同等の黒色又は暗灰色に見える。表示体100と直線偏光子300との配置を図10に示す関係とした場合、表示部DP2は、直線偏光子300を介して観察すると、表示部DP2に比べ比較的明るく見える。このように、表示体100の表示部DP1は、直線偏光子300を介して観察すると、直線偏光子の透過軸の向きに応じた明るさの変化を生じる。よって、この明るさの変化の有無を調べることにより、表示体100の真偽を判定できる。
【0077】
直線偏光子300としては、例えば、直線偏光フィルムを用いる。直線偏光子200は、拡散板を更に備えていることが好ましい。この場合、拡散板は、例えば、直線偏光子200の前面、背面、又は両面に貼り合わせて用いる。拡散板を用いると、直線偏光子200を介して表示部DP1を観察した場合に、観察方向の変化に応じた明るさの変化を、より明瞭に視認することが可能となる。
【0078】
表示体100の第2の真偽判定は、上述した通り、回折光を射出する観察方向からの観察により行う。より具体的には、表示体100の第2の真偽判定方法は、回折光を介して、表示部DP1又は表示部DP2のうち少なくとも一方を観察することを含んでいる。
【0079】
図11は、図3に示す表示体100において、表示部DP2の回折光が観察できる角度で光源LSを入射させ、その回折光を観察者OBが観察した場合の例を示す平面図である。
【0080】
図11において、表示部DP1を形成している複数の凸状線構造又は凹状線構造はY方向と平行に1次元的に配列しているため、回折光が観察者OB方向へ射出できず、低明度となる。一方、表示部DP2を形成している複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体はX方向とY方向に2次元的に配列しているため、回折光を観察者OB方向へ射出でき、観察者OBは回折光による有彩色を表示部DP2に対応して確認できる。
【0081】
一方、図11に示す表示体100を90度回転させると、表示部DP1を形成している複数の凸状線構造又は凹状線構造はY方向と平行に1次元的に配列しているため、回折光が観察者OB方向へ射出され、観察者OBは回折光による有彩色を表示部DP1に対応して確認できる。また、表示部DP2においても、表示部DP2を形成している複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体はX方向とY方向に2次元的に配列しているため、回折光を観察者OB方向へ射出でき、観察者OBは回折光による有彩色を表示部DP2に対応して確認できる。つまり、観察者OBは表示部DP1及び表示部DP2それぞれに対応する回折光の有彩色を確認できる。
【0082】
このように、表示体100の表示部DP1及び表示部DP2は、表示体100の観察方向により回折光の有彩色を確認できる。より具体的には、表示体を90度回転させることにより、表示部DP1に対応する回折光の有彩色が変化するのか調べる。よって、この回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べることにより、表示体100の真偽を判定できる。
【0083】
回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べる際、図11においては、表示体100を90度回転させている。これは、表示部DP1に対応する界面部IP1の複数の凸状線構造又は凹状線構造の格子ベクトル方向と、表示部DP2に対応する界面部IP2の複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体の配列方向がほぼ平行となっているためである。
【0084】
ここで、界面部IP2の配列方向を界面部IP1の配列方向と並行ではない状態にした場合、表示体100の回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べる際の表示体100の回転角度は90度とならない。より具体的には、界面部IP1の配列方向と界面部IP2の配列方向が45度の角度をなしている時、表示体100を45度回転させることで、回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べることが可能となる。
【0085】
以上において説明した表示体100は、界面部IP1及びIP2の双方が、複数の凸部又は凹部を備えている。それゆえ、これらに対応した構造を有した原版を準備し、これを
用いて複製を行うことにより、両者の構成、位置関係及び機能を維持したまま、精密な製造を行うことができる。それゆえ、真正品である表示体100に対する信頼度が高くなり、真偽判定の確実さが増す。
【0086】
表示体100の第3の真偽判定は、上述した通り、表示体100の裏面から光を照射し、その透過光の観察により行う。より具体的には、表示体100の第3の真偽判定方法は、透過光を介して、表示部DP1又は表示部DP2のうち少なくとも一方を観察することを含んでいる。
【0087】
図12は、図3に示す表示体100において、表示体100の裏面から光源LSにより光を照射し、その透過光TLを観察者OBが観察した場合の例を示す平面図である。
【0088】
図12において、表示部DP1及び表示部DP2においては、金属層12の層厚が10nm乃至50nmであるため、透過光を確認できる。なお、表示部DP1と表示部DP2共に界面部IP1及び界面部IP2において複数の凹凸構造が形成されているため、観察できる透過光は表面プラズモン共鳴により有彩色を有しており、それら凹凸構造の平均周期及び光源LSの入射角に透過光の有彩色は依存する。また、図1又は図2に示すような金属層12により覆われていない凹凸構造においては、光源LSからの入射光ILがそのまま透過し、透過光を確認できる。
【0089】
加えて、図7に示すように、光透過部10b上に光透過性印刷層14bを設けた際、図12のように表示体の裏面から光源LSを用いて光を入射させると、光透過性印刷層14b由来の透過光を確認できる。このように、表示部DP1及び表示部DP2の透過像を確認するだけではなく、光透過部10bと光透過性印刷層14bを組み合わせることによっても、透過像による真偽判定が可能となる。
【0090】
更に、図8に示すように、表示体100の積層体200が付されていない面に、光透過部10bの領域を含むように光不透過性印刷層14cを設けた際、図12のように表示体の裏面から光源LSを用いて光を入射させると、光不透過性印刷層14cによって、表示部DP1bの透過像を確認できない。このように、表示部DP1及び表示部DP2の透過像を確認するだけではなく、光透過部10bと光不透過性印刷層14cを組み合わせることによっても、透過像による真偽判定が可能となる。
【0091】
上述のように、印刷層14において、光不透過性印刷層又は光透過性印刷層を設けることにより、反射像と透過像に変化を与えるため、より偽造防止効果が上がる。
【0092】
このように、表示体100において表示部DP1及び表示部DP2と、印刷層14とを組み合わせることで、表示体100の透過光観察時の透過像を観察できる。より具体的には、表示体100の裏面から光源を入射させ、その透過光が有彩色であるかを調べる。更には、印刷層14として光透過性印刷層又は光不透過性印刷層を設けることにより、観察される透過像があるかを調べる。よって、この透過光の有彩色に対し、変化の有無を調べることにより、表示体100の真偽を判定できる。
【0093】
表示体100の第4の真偽判定は、上述した通り、表示体100の裏面から直線偏光子を介した光を照射し、その透過光の観察により行う。より具体的には、表示体100の第4の真偽判定方法は、透過光を介して、少なくとも表示部DP1又は表示部DP2を観察することを含んでいる。
【0094】
図13は、図3に示す表示体100において、表示体100の裏面から光源LSによる光を、直線偏光子300を介して照射し、その透過光TLを観察者OBが観察した場合の
例を示す平面図である。図13において、直線偏光子300の透過軸TはY軸と平行としている。
【0095】
図13において、表示部DP1及び表示部DP2においては、金属層12の層厚が10nm乃至50nmであるため、透過光を確認できる。なお、表示部DP1においては界面部IP1の凸状線構造又は凹状線構造の格子ベクトルはX方向と平行である。そのため、Y方向の直線偏光性を有する入射光ILを入射した場合、表面プラズモンを励起できなくなり、表示部DP1の透過光は無彩色となる。
【0096】
一方、表示部DP2においては、界面部IP2の凸部又は凹部がX方向及びY方向に対して2次元的に配列されているため、Y方向の直線偏光性を有する入射光ILが入射されたときでも表面プラズモンが励起され、表示部DP2の透過光は有彩色となる。このように、入射光ILに直線偏光性を持たせることで、表示部DP1及び表示部DP2の透過像の色変化が確認できる。
【0097】
また図13において、X方向の直線偏光性を有する入射光ILを入射した場合、表示部DP1及び表示部DP2のどちらにおいても、透過光が有彩色となる。このように、入射光ILの偏光特性により、表示部DP1及び表示部DP2における、透過像の有彩色の変化を確認することが確認でき、透過像による真偽判定が可能となる。
【0098】
表示体100は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、表示体100は、玩具、学習教材又は装飾品等としても利用することができる。
【0099】
以下に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこの形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0100】
PETフィルムに、紫外線硬化性樹脂をグラビアロールコーターで塗工し、凹凸構造形成用フィルムとした。
【0101】
次に、複製に用いる母型として、平均周期400nm、平均高さ200nmの複数の凸状線構造が1次元的に配列している第1領域と、平均周期400nm、平均高さ150nmの複数の凸型形状体が2次元的に配列している第2領域を複数形成して絵柄を表現した金属版を作製した。
【0102】
次に、紫外線硬化性樹脂を金属版に押し当て、メタルハライドランプによる紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂硬化後、金属版を剥離することにより凹凸構造を形成した。その後、凹凸構造上に真空蒸着法によってアルミニウムを蒸着させ光反射性材料層を設けた。
【0103】
前記光反射性材料層に接着剤をグラビアロールコーターで塗工し、その後、膜厚の厚いPET基材に転写し、PETフィルムを剥離することで、表示体を得た。
【0104】
上記のようにして得られた表示体は、直線偏光フィルムを表示体の直近に配し、かつ前記直線偏光フィルムを回転させることにより、前記第1領域からなる潜像の出現と消失を目視確認できた。
【0105】
また、得られた表示体を回折光が目視観察できる角度まで傾け、前記第2領域より回折光を目視確認できた。加えて、その傾き角度を固定したまま表示体を回転させることにより、前記第1領域の回折光からなる有彩色の出現と消失を目視で確認できた。
【0106】
加えて、得られた表示体の裏面に光源を設置し、光を入射させその透過光を目視観察したところ、前記第1領域及び前記第2領域による透過光が有彩色を呈していることを目視確認できた。更に、直線偏光子を介した光を入射させ、その直線偏光子を回転させながら表示体の透過像を目視観察したところ、前期第2領域における透過光の色変化を目視で確認できた。
【符号の説明】
【0107】
10a・・・基材層
10b・・・光透過部
11・・・・接着層
12・・・・金属層
13・・・・光透過性材料層
14・・・・印刷層
14a・・・光不透過性印刷層
14b・・・光透過性印刷層
14c・・・光不透過性印刷層
100・・・表示体
200・・・積層体
300・・・直線偏光子
T・・・・・透過軸
DP1・・・表示部
DP2・・・表示部
IP1・・・界面部
IP2・・・界面部
LS・・・・光源
IL・・・・入射光
RL・・・・反射光
TL・・・・透過光
OB・・・・観察者
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が真正品か、非真正品であるかを判別するための表示体及びその真偽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券、証明書、ブランド品、電子機器及び個人認証媒体などの物品には、偽造が困難であることが望まれる。そのため、このような物品には、偽造防止効果に優れた表示体を支持させることがある。
【0003】
従来、偽造防止技術を施した表示体として、種々の構成が知られている。例えば、蛍光発光インキを用いた蛍光画像形成物のセキュリティレベルを上げるために、それぞれの蛍光体が発光する蛍光の波長領域が異なる2種類の蛍光体を含有する蛍光画像形成物を用いている(特許文献1)。
【0004】
また、特定の角度からのみ確認できる凹版潜像が開示されている(特許文献2)。
【0005】
また、ホログラム層と光反射性層と配向膜との組合せによる真偽判定用媒体が開示されている(特許文献3)。
【0006】
また、偽造防止技術への適用は意図されていないが、近年では、構造性複屈折を利用した光学効果の研究も為されている(非特許文献1、2)。
【0007】
しかしながら、これら上記の提案はいずれも一つの偽造防止機能によるために、よりレベルの高いセキュリティを提供するには問題がある。
【0008】
また、上記の提案はいずれも表示体の反射光による反射像を目視観察しており、表示体を光に透過させた際の透過光による透過像に対して着目されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−250214号公報
【特許文献2】特開平11−291609号公報
【特許文献3】特開2005−091786号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】岡田真、光学(社団法人応用物理学会発行)、第35巻第5号、P280〜281(2006)
【非特許文献2】今榮真紀子ら、コニカミノルタテクノロジーレポート、第3号、P62〜67(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、直接の観察による確認と、媒体を介した観察による複数の偽造防止確認機能を付与することにより、より高度な偽造防止効果を有する表示体、及びそれらの真偽判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、光透過部を有する基材層からなる表示体であって、
前記光透過部には、光透過性を有する接着層、層厚が10nm以上50nm以下の金属層、アスペクト比が0.1〜1.5の凹凸構造が形成された光透過性材料層及び印刷層が積層されており、
前記金属層が前記光透過性材料層の表面の一部に、パターン状に形成されていることを特徴とする表示体である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記印刷層がパターン状に形成されており、表示体の光透過部の全面を覆わずに、表示体の一部分を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の表示体である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記印刷層が付されていない基材層のもう一方の面に、前記光透過部の一部分を覆うように印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示体である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記光透過性材料層が、平均高さ50〜500nmの複数の凸型線状構造、又は平均深さ50〜500nmの複数の凹型線状構造からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの1次元配列された第1領域と、平均高さ50〜500nmの複数の凸型形状体、平均深さ50〜500nmの複数の凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの2次元配列された第2領域とを有することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の表示体である。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の表示体を、
直線偏光子を介して目視観察し、第1領域に対応する部分にて潜像が確認できること、また直線偏光子を回転させることで潜像が明暗の変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の表示体を傾け、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域を目視観察し、潜像が確認できること、また表示体の傾き角を変えることで潜像の色変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の表示体に対して、光を透過させ、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、透過光に色が着いていること、透過像が確認できること、第1領域と第2領域の色が異なっていることを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の表示体に対して、直線偏光子を介した光を透過させ、前記第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、第1領域の透過光は直線偏光の方向により、無色から有色、有色から無色へと変化すること、第2領域の透過光は直線偏光の方向によらず、色変化を起こさないことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回折光による有彩色の確認と、上述の直線偏光子を介した観察による確認の、複数の偽造防止機能を付与することが出来、付与された防止機能が、付与された領域毎に、反射光や透過光により異なった潜像や潜像の変化が得られるため、より高度な偽造防止効果を有する表示体と、真偽判定方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一態様に係る表示体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の一態様に係る表示体の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の一態様に係る表示体の一例を示す平面図である。
【図4】本発明における複数の凸状線構造の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明における複数の凸部構造の一例を示す斜視図である。
【図6】図5に示す本発明における複数の凸部構造の、他の例を示す斜視図である。
【図7】本発明の一態様に係る表示体の他の例を示す平面図である。
【図8】本発明の一態様に係る表示体の裏面の一例を示す平面図である。
【図9】図3に示す表示体の反射光を、直線偏光子を介して観察する場合の一例を示す平面図である。
【図10】図3に示す表示体の反射光を、直線偏光子を介して観察する場合の他の例を示す平面図である。
【図11】図3に示す表示体の正面を、表示体からの反射光で観察する場合の一例を示す斜視図である。
【図12】図3に示す表示体の正面を、表示体を透過した、透過光で観察する場合の一例を示す斜視図である。
【図13】図3に示す表示体の正面を表示体からの透過光で観察する場合の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
図1は、本発明の一態様に係る表示体の一例を示す断面図である。図2は、本発明の一態様に係る表示体の他の例を示す断面図である。図1及び図2では、表示体100の主面に平行であり且つ互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、表示体100の主面に垂直な方向をZ方向としている。
【0024】
図1及び図2に示す表示体100は、基材10aと、基材10aに設けられている光透過部10bと、接着層11と、金属層12と、光透過性材料層13と、印刷層14とを含んでいる。図1及び図2には、一例として光透過性材料層13が金属層12に対して前面側に位置している場合を描いている。
【0025】
図2は、図1に示す形態において、基材10aの積層体200が付されていない面に印刷層14が設けられている場合を描いている。
【0026】
光透過性材料層13の一方の主面には、複数の凸部又は凹部が設けられている。光透過性材料層13の材料としては、例えば、可視光透過性を有する樹脂を使用することができる。特には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を使用すると、原版を用いた転写により、上記の複数の凸部又は凹部を容易に形成することができる。それゆえ、この場合、複数の凸部又は凹部を原版に高精度に形成しておけば、精密な量産複製品を比較的容易に製造することができる。
【0027】
光透過性材料層13は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。また、光透過性材料層13は、樹脂への染料の添加などにより、着色されていてもよい。
【0028】
金属層12は、光透過性材料層13の複数の凸部又は凹部が設けられた主面の少なくと
も一部を被覆している。この層を設けることにより、複数の凸部又は凹部に起因した光学効果をより顕著にすることができる。
【0029】
金属層12の材料としては、例えば、アルミニウム、銀及び金などの金属材料が挙げられる。金属層12は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0030】
金属層12は、例えば、蒸着及びスパッタリングなどの薄膜形成技術により形成することができる。また、金属層12の存在する領域を空間的に分布させることにより、この金属層12の分布を用いて像を表現することもできる。
【0031】
また、金属層12の層厚は10nm乃至50nmの範囲内とすることが好ましく、10nm乃至30nmの範囲内とすることがより好ましい。こうすることで、後に説明する光学効果がより顕著に現れる。
【0032】
図3は、本発明の一態様に係る表示体の一例を示す平面図である。図3は、表示部DP1と表示部DP2を含んでおり、表示部DP1及び表示部DP2を構成している界面部IP1及び界面部IP2は、光透過性材料層13に形成されており、複数の凸部又は凹部が設けられている。これら複数の凸部又は凹部により、光学効果が得られる。
【0033】
界面部IP1及び界面部IP2は、上述した通り、複数の凸部又は凹部による構造に加え、平坦部を含んでいてもよい。以下、これらの構成及び光学効果について説明する。
【0034】
図3に示す例では、表示部DP1は、表示部DP2と離れて設けられている。
【0035】
図3に示す表示部DP1を構成している光透過部10bに形成された界面部IP1の構造は、図4に示すように複数の凸状線構造又は凹状線構造が1次元的に配列されている。界面部IP1を構成している複数の凸状線構造又は凹状線構造の格子ベクトルは、X方向と平行となるように設けられている。
【0036】
界面部IP1は、例えば、回折格子パターンを形成しているため、回折光が射出される観察角度である場合、界面部IP1は回折光に由来した有彩色を表示する。ここで「回折格子」とは、照明光を照射することにより回折波を生じる構造を意味している。「回折格子」には、以下で例示する複数の溝のみならず、ホログラムに記録された干渉縞なども含まれる。
【0037】
界面部IP1は、例えば、一次元的に配列した複数の溝を含んでいる。これら溝の各々は、直線状であってもよく、曲線状であってもよい。図3及び図4に示す例では、表示部DP1及び界面部IP1は、Y軸に沿って互いに平行に配列された複数の溝を含んでいる。
【0038】
図4は図3に示す表示部DP1を構成している界面部IP1の斜視図を示している。図4に示す例では、Y方向に1次元的に直線状に配列した平均高さH1、平均周期D1の複数の溝を含んでいる。
【0039】
界面部IP1に設けられた複数の凸状線構造又は凹状線構造は、例えば偏光分離効果に基づいて、複屈折性を示す。以下、図3及び図4に示す構造を例として、この偏光分離効果について説明する。
【0040】
図3及び図4に示す例では、界面部IP1は、互いに平行な複数の溝を含んでいる。以下、この溝に対して垂直に振動する偏光をTE偏光と呼び、この溝に対して平行に振動す
る偏光をTM偏光と呼ぶ。
【0041】
これら複数の溝の周期をdとし、入射光の波長をλとし、その入射角をθ0とする。このとき、下記式(1)の条件が満たされていれば、界面部IP1は、有効屈折率がneffである薄膜と同視できる。この有効屈折率neffは、入射光の偏光方向によって異なり、第1次近似では、それぞれ、下記式(2)及び(3)により表される。
【0042】
dcosθ 0<λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
TE偏光:nTE={(1−f)n12+f×n22}1/2・・・・・・・・(2)
TM偏光:nTM=[n12×n22/{f×n12+(1−f)n22}]1/2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)式中、
n1は、複数の溝が設けられた層と接している外界の屈折率を表す。
n2は、複数の溝が設けられた層の屈折率を表す。
fは、周期dに対する各溝の幅の比を表す。
【0043】
式(2)及び(3)から分かるように、fが0又は1でない場合には、TE偏光の有効屈折率nTEとTM偏光の有効屈折率nTMとは、互いに異なっている。これを「構造性複屈折」と呼ぶ。この構造性複屈折により、上記の複数の溝に入射した光は、下記式(4)により表される位相差δを生じる。
【0044】
δ=(nTE−nTM)h・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)式中、hは、複数の凸状線構造の高さ又は凹状線構造の深さを表す。式(4)から明らかなように、hを調整することにより、所望の位相差δを生じさせることが可能となる。
【0045】
界面部IP1が1次元的に配列した複数の凸状線構造又は凹状線構造を備えている場合、その平均周期D1は、200nm乃至500nmの範囲内とすることが好ましく、250nm乃至400nmの範囲内とすることがより好ましい。このような構成を採用すると、入射光として可視光を用いた場合にも、幅広い角度範囲で、上記式(1)の条件を満足させることができる。
【0046】
界面部IP1が1次元的に配列した複数の凸状線構造又は凹状線構造を備えている場合、その平均高さ又は深さH1は、50nm乃至500nmの範囲内とすることが好ましく、70nm乃至140nmの範囲内とすることがより好ましい。このような構成を採用すると、後述する直線偏光子を介して観察した場合において、直線偏光子の透過軸の向きに応じた明るさの変化がより大きくなる。
【0047】
界面部IP1が1次元的に配列した複数の凸状線構造又は凹状線構造を備えている場合、そのアスペクト比は0.1乃至1.5の範囲内とすることが好ましく、0.5乃至1.5の範囲内とすることがより好ましい。このような構成を採用すると、入射光として可視光を用いた場合にも、幅広い角度範囲で、上記式(1)の条件を満足させることができると共に、後述する直線偏光子を介して観察した場合において、直線偏光子の透過軸の向きに応じた明るさの変化がより大きくなる。
【0048】
図3に示す表示部DP2を構成している光透過性材料層13に形成された界面部IP2は、図5に示す複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体が2次元的に配列されている。図3及び図5に示す界面部IP2を構成している複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体は、X方向及びY方向に2次元的に配列されて、設けられている。図3及び図5に示す例では、界面部IP3は複数の凸型形状体からなるものとする。
【0049】
図5は図3に示す表示部DP2を構成している界面部IP2の斜視図を示している。また図6は界面部IP2の他の例を示す斜視図である。図5に示す例では、X方向及びY方向に対して平行に配列されている高さH2、平均周期D2の複数の凸型形状体を含んでいる。
【0050】
図6に示す例では、複数の凸型形状体がX方向及びY方向と45度の角度で交差する直線と平行に、高さH2、平均周期D2で配列されている。こうすると、後で説明するように、表示体100の真偽判定方法が異なり、偽造防止効果が高くなる。
【0051】
界面部IP2を構成する図5に示す複数の凸型形状体は、平均周期D2、平均高さH2で形成されている。複数の凸型形状体は、図5に示した方向以外の方向に伸長する複数の凸型形状体からなる構造であってもよい。
【0052】
界面部IP2における複数の凸型形状体は、典型的にはテーパ形状を有している。テーパ形状としては、例えば、半紡錘形状、円錐及び角錐などの錐体形状、切頭円錐及び切頭角錐などの切頭錐体形状などが挙げられる。複数の凸型形状体の側面は、傾斜面のみで構成されていてもよく、階段状であってもよい。複数の凸型形状体のテーパ形状は、後述するように、界面部IP2に入射する光の反射率を小さくするのに役立つ。
【0053】
上述したように、複数の凸型形状体は規則的に配列されているため、界面部IP2は回析格子として機能する。具体的には、図5及び図6に示す複数の凸型形状体は、溝を点線で示したように配置してなる回折格子とほぼ同様に機能する。
【0054】
また、上述したように、凸型形状体はテーパ形状を有している。このような構造を採用した場合、平均周期D2が十分に短ければ、界面部IP2はZ方向に連続的に変化した屈折率を有していると見なすことができる。そのため、どの角度から観察しても界面部IP2の正反射光についての反射率は小さい。そして、界面部IP2は表示体100の法線方向に回折光を実質的に射出しない。
【0055】
したがって、表示体100のうち界面部IP2に対応した部分は、その法線方向から反射観察した場合に、例えば黒色又は暗灰色を表示する。なお、ここでの「黒色」は表示体100のうち界面部IP2に対応した部分に法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm〜700nmの範囲内にある、全ての光成分について反射率が10%以下であることを意味し、「暗灰色」は表示体100のうち界面部IP2に対応した部分に法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が可視光の波長である400nm〜700nmの範囲内にある全ての光成分について反射率が約25%以下であることを意味する。
【0056】
上述のように、界面部IP2は、正面から観察した場合に、黒色又は暗灰色を表示する。したがって、表示体100のうち表示部DP2に対応した部分は、正面から観察した場合に、例えば黒色又は暗灰色印刷層の如く見える。そして、界面部IP2は、回折格子とほぼ同様に機能するため、回折光が射出される観察角度である場合、界面部IP2は回折光に由来した有彩色を表示する。
【0057】
界面部IP2における複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体の平均周期D2は500nm以下であり、可視光の最短波長以下(例えば400nm以下)であることが好ましい。また、より好ましくは、可視光の最短波長の1/2以上、すなわち200nm以上400nm以下とすることで1次回折光を射出する機能を有し、かつ黒色又は暗灰色に見える構造が得られる。平均周期D2を200nm未満に設定した場
合には、黒色又は暗灰色に見える構造が得られるが、回折光を射出する機能は得られなくなる。一般的には、複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体の平均周期D2が小さくなるに伴って明度及び彩度が低下し、より黒い表示が可能となり、平均周期D2が大きくなるに伴ってやや輝度が上昇し、暗灰色に知覚されるような構造となる。
【0058】
また、平均高さ又は平均深さH2が大きいほうがより黒い表示が可能となり、平均高さ又は深さが小さくなるに伴って輝度が上昇し、暗灰色に知覚されるようになる。典型的には平均高さ又は深さH2を平均周期D2の1/2以上とすることが望ましい。具体的には、平均周期D2が500nmであった場合、平均高さ又は深さH2を250nm以上とすることで暗灰色の表示が可能となり、更に、平均周期D2よりも大きい500nm以上の平均高さ又は深さH2とすることでより黒い表示が可能となる。
【0059】
上述の構成とすることで、表示体100の表示部DP2に対応した部分は、正面から観察した場合に、例えば黒色又は暗灰色印刷層の如く見える。そして、界面部IP2は、回折格子とほぼ同様に機能するため、回折光が射出される観察角度である場合、界面部IP2は回折光に由来した有彩色を表示する。
【0060】
界面部IP2に対して、上述のような構成を採用し、図3に示す印刷層14の少なくとも一部分を黒色又は暗灰色印刷層とすると、界面部IP2及び印刷層14の判別が難しくなる。それゆえ、表示体100の偽造がより困難となる。
【0061】
表示体100は、上述した通り、複数の凸状線構造又は凹状線構造が1次元的に配列して設けられた界面部IP1と、複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体が2次元的に配列して設けられた界面部IP2とを備えている。
【0062】
図7は、光透過部10b上で積層体200が付されている領域に、光不透過性印刷層14aを設け、更に光透過部10b上で積層体200が付されていない領域に、光透過性印刷層14bを設けた場合の表示体100の平面図を示す。こうすることで、後述する真偽判定時の目視観察像が変化する。
【0063】
図8は、表示体100の積層体200が付されていない面を上面としている平面図を示す。積層体200が付されていない面上に、光不透過性印刷層14cを設けることで、後述する真偽判定時の表示部DP1a及び表示部DP1bの目視観察像が変化する。
【0064】
図3、図7及び図8に示す表示体100において、金属層12の層厚が10nm乃至50nmとなっているため、表示体100の裏面から光を照射すると、表示部DP1、表示部DP2及び光透過部10bにおいて透過光を観察できる。
【0065】
界面部IP1に対応した表示部DP1は、複屈折性を示す。それゆえ、この表示部DP1を、直線偏光子を介して観察すると、その直線偏光子の透過軸の向きに応じて明るさが変化する。
【0066】
他方、界面部IP2に対応した表示部DP2は、複屈折性を示さないため、直線偏光子の透過軸の向きを変えたとしても明るさは変化しない。なお、表示部DP2の反射率は10%以下を示すため、表示部100の界面部IP2に対応する表示部DP2において、法線方向観察時には、黒色又は暗灰色に見える。
したがって、表示体100では、直線偏光子を介した観察による真偽判定を行うことができる。
【0067】
加えて、界面部IP1及び界面部IP2は共に回折格子の機能を有している。それゆえ、回折光が射出される観察方向から観察することにより、界面部IP1及び界面部IP2は回折光に由来した有彩色を確認できる。
【0068】
界面部IP1及び界面部IP2が図4及び図5に示す構造となっている場合、X方向においては界面部IP1及び界面部IP2共に回折光に由来する有彩色を確認できる。一方で、界面部IP1及び界面部IP2が図4及び図6に示す構造となっている場合、X方向では界面部IP1による回折光を確認でき、X方向からY方向へ45度傾いた角度で界面部IP2による回折光を確認できる。このように、界面部IP1と界面部IP2の設置角度に伴い、回折光に由来する有彩色に変化をつけることが可能となる。
【0069】
この回折光による有彩色の確認と、上述の直線偏光子を介した観察による確認とを組み合わせて、2重の真偽判定を行うことができる。それゆえ、この表示体100は、偽造防止効果が高い。
【0070】
更に、前述したように積層体200の金属層12の層厚が10nm乃至50nmであるため、表示体100の背面から光を照射すると、表示部DP1及び表示部DP2の領域において、特定の波長に対応する透過光を確認できる。なお、表示部DP1及び表示部DP2を透過する特定の波長は、界面部IP1の複数の凸状線構造又は凹状線構造の平均周期D1及び界面部IP2の複数の凸型形状体又は凹型形状体の平均周期D2、加えて透過光の観察角度に依存する。
【0071】
この特定の波長に対応する透過光の確認と、上述の回折光による有彩色の確認、直線偏光子を介した観察による確認とを組み合わせることで、より偽造防止効果が高くなる。
【0072】
また、前述の特定の波長に対応する透過光の確認において、表示体100の背面から照射する光を、直線偏光子を介して照射させると、その直線偏光子の透過軸の向きに応じて、表示部DP1の透過光の波長が変化する。
上述より、表示体100は複数の真偽判定を行うことができるため、偽造防止効果が高い。
【0073】
表示体100の真偽判定は、上述した通り、直線偏光子を介した観察により行う。より具体的には、表示体100の真偽判定方法は、直線偏光子を介して、表示部DP1又は表示部DP2のうち少なくとも一方を観察することを含んでいる。
【0074】
図9は、図3に示す表示体100を、直線偏光子300を介して観察した場合の例を示す平面図である。図10は、図3に示す表示体を、直線偏光子を介して観察した場合の他の例を示す平面図である。
【0075】
図9に示す直線偏光子300は、X軸に平行な透過軸Tを有している。また、図10に示す直線偏光子300は、Y軸に平行な透過軸Tを有している。
【0076】
表示体100と直線偏光子300との配置を図9に示す関係とした場合、表示部DP1は、直線偏光子300を介して観察すると、表示部DP2と同等の黒色又は暗灰色に見える。表示体100と直線偏光子300との配置を図10に示す関係とした場合、表示部DP2は、直線偏光子300を介して観察すると、表示部DP2に比べ比較的明るく見える。このように、表示体100の表示部DP1は、直線偏光子300を介して観察すると、直線偏光子の透過軸の向きに応じた明るさの変化を生じる。よって、この明るさの変化の有無を調べることにより、表示体100の真偽を判定できる。
【0077】
直線偏光子300としては、例えば、直線偏光フィルムを用いる。直線偏光子200は、拡散板を更に備えていることが好ましい。この場合、拡散板は、例えば、直線偏光子200の前面、背面、又は両面に貼り合わせて用いる。拡散板を用いると、直線偏光子200を介して表示部DP1を観察した場合に、観察方向の変化に応じた明るさの変化を、より明瞭に視認することが可能となる。
【0078】
表示体100の第2の真偽判定は、上述した通り、回折光を射出する観察方向からの観察により行う。より具体的には、表示体100の第2の真偽判定方法は、回折光を介して、表示部DP1又は表示部DP2のうち少なくとも一方を観察することを含んでいる。
【0079】
図11は、図3に示す表示体100において、表示部DP2の回折光が観察できる角度で光源LSを入射させ、その回折光を観察者OBが観察した場合の例を示す平面図である。
【0080】
図11において、表示部DP1を形成している複数の凸状線構造又は凹状線構造はY方向と平行に1次元的に配列しているため、回折光が観察者OB方向へ射出できず、低明度となる。一方、表示部DP2を形成している複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体はX方向とY方向に2次元的に配列しているため、回折光を観察者OB方向へ射出でき、観察者OBは回折光による有彩色を表示部DP2に対応して確認できる。
【0081】
一方、図11に示す表示体100を90度回転させると、表示部DP1を形成している複数の凸状線構造又は凹状線構造はY方向と平行に1次元的に配列しているため、回折光が観察者OB方向へ射出され、観察者OBは回折光による有彩色を表示部DP1に対応して確認できる。また、表示部DP2においても、表示部DP2を形成している複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体はX方向とY方向に2次元的に配列しているため、回折光を観察者OB方向へ射出でき、観察者OBは回折光による有彩色を表示部DP2に対応して確認できる。つまり、観察者OBは表示部DP1及び表示部DP2それぞれに対応する回折光の有彩色を確認できる。
【0082】
このように、表示体100の表示部DP1及び表示部DP2は、表示体100の観察方向により回折光の有彩色を確認できる。より具体的には、表示体を90度回転させることにより、表示部DP1に対応する回折光の有彩色が変化するのか調べる。よって、この回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べることにより、表示体100の真偽を判定できる。
【0083】
回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べる際、図11においては、表示体100を90度回転させている。これは、表示部DP1に対応する界面部IP1の複数の凸状線構造又は凹状線構造の格子ベクトル方向と、表示部DP2に対応する界面部IP2の複数の凸型形状体、凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体の配列方向がほぼ平行となっているためである。
【0084】
ここで、界面部IP2の配列方向を界面部IP1の配列方向と並行ではない状態にした場合、表示体100の回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べる際の表示体100の回転角度は90度とならない。より具体的には、界面部IP1の配列方向と界面部IP2の配列方向が45度の角度をなしている時、表示体100を45度回転させることで、回折光の有彩色に対し、変化の有無を調べることが可能となる。
【0085】
以上において説明した表示体100は、界面部IP1及びIP2の双方が、複数の凸部又は凹部を備えている。それゆえ、これらに対応した構造を有した原版を準備し、これを
用いて複製を行うことにより、両者の構成、位置関係及び機能を維持したまま、精密な製造を行うことができる。それゆえ、真正品である表示体100に対する信頼度が高くなり、真偽判定の確実さが増す。
【0086】
表示体100の第3の真偽判定は、上述した通り、表示体100の裏面から光を照射し、その透過光の観察により行う。より具体的には、表示体100の第3の真偽判定方法は、透過光を介して、表示部DP1又は表示部DP2のうち少なくとも一方を観察することを含んでいる。
【0087】
図12は、図3に示す表示体100において、表示体100の裏面から光源LSにより光を照射し、その透過光TLを観察者OBが観察した場合の例を示す平面図である。
【0088】
図12において、表示部DP1及び表示部DP2においては、金属層12の層厚が10nm乃至50nmであるため、透過光を確認できる。なお、表示部DP1と表示部DP2共に界面部IP1及び界面部IP2において複数の凹凸構造が形成されているため、観察できる透過光は表面プラズモン共鳴により有彩色を有しており、それら凹凸構造の平均周期及び光源LSの入射角に透過光の有彩色は依存する。また、図1又は図2に示すような金属層12により覆われていない凹凸構造においては、光源LSからの入射光ILがそのまま透過し、透過光を確認できる。
【0089】
加えて、図7に示すように、光透過部10b上に光透過性印刷層14bを設けた際、図12のように表示体の裏面から光源LSを用いて光を入射させると、光透過性印刷層14b由来の透過光を確認できる。このように、表示部DP1及び表示部DP2の透過像を確認するだけではなく、光透過部10bと光透過性印刷層14bを組み合わせることによっても、透過像による真偽判定が可能となる。
【0090】
更に、図8に示すように、表示体100の積層体200が付されていない面に、光透過部10bの領域を含むように光不透過性印刷層14cを設けた際、図12のように表示体の裏面から光源LSを用いて光を入射させると、光不透過性印刷層14cによって、表示部DP1bの透過像を確認できない。このように、表示部DP1及び表示部DP2の透過像を確認するだけではなく、光透過部10bと光不透過性印刷層14cを組み合わせることによっても、透過像による真偽判定が可能となる。
【0091】
上述のように、印刷層14において、光不透過性印刷層又は光透過性印刷層を設けることにより、反射像と透過像に変化を与えるため、より偽造防止効果が上がる。
【0092】
このように、表示体100において表示部DP1及び表示部DP2と、印刷層14とを組み合わせることで、表示体100の透過光観察時の透過像を観察できる。より具体的には、表示体100の裏面から光源を入射させ、その透過光が有彩色であるかを調べる。更には、印刷層14として光透過性印刷層又は光不透過性印刷層を設けることにより、観察される透過像があるかを調べる。よって、この透過光の有彩色に対し、変化の有無を調べることにより、表示体100の真偽を判定できる。
【0093】
表示体100の第4の真偽判定は、上述した通り、表示体100の裏面から直線偏光子を介した光を照射し、その透過光の観察により行う。より具体的には、表示体100の第4の真偽判定方法は、透過光を介して、少なくとも表示部DP1又は表示部DP2を観察することを含んでいる。
【0094】
図13は、図3に示す表示体100において、表示体100の裏面から光源LSによる光を、直線偏光子300を介して照射し、その透過光TLを観察者OBが観察した場合の
例を示す平面図である。図13において、直線偏光子300の透過軸TはY軸と平行としている。
【0095】
図13において、表示部DP1及び表示部DP2においては、金属層12の層厚が10nm乃至50nmであるため、透過光を確認できる。なお、表示部DP1においては界面部IP1の凸状線構造又は凹状線構造の格子ベクトルはX方向と平行である。そのため、Y方向の直線偏光性を有する入射光ILを入射した場合、表面プラズモンを励起できなくなり、表示部DP1の透過光は無彩色となる。
【0096】
一方、表示部DP2においては、界面部IP2の凸部又は凹部がX方向及びY方向に対して2次元的に配列されているため、Y方向の直線偏光性を有する入射光ILが入射されたときでも表面プラズモンが励起され、表示部DP2の透過光は有彩色となる。このように、入射光ILに直線偏光性を持たせることで、表示部DP1及び表示部DP2の透過像の色変化が確認できる。
【0097】
また図13において、X方向の直線偏光性を有する入射光ILを入射した場合、表示部DP1及び表示部DP2のどちらにおいても、透過光が有彩色となる。このように、入射光ILの偏光特性により、表示部DP1及び表示部DP2における、透過像の有彩色の変化を確認することが確認でき、透過像による真偽判定が可能となる。
【0098】
表示体100は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、表示体100は、玩具、学習教材又は装飾品等としても利用することができる。
【0099】
以下に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこの形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0100】
PETフィルムに、紫外線硬化性樹脂をグラビアロールコーターで塗工し、凹凸構造形成用フィルムとした。
【0101】
次に、複製に用いる母型として、平均周期400nm、平均高さ200nmの複数の凸状線構造が1次元的に配列している第1領域と、平均周期400nm、平均高さ150nmの複数の凸型形状体が2次元的に配列している第2領域を複数形成して絵柄を表現した金属版を作製した。
【0102】
次に、紫外線硬化性樹脂を金属版に押し当て、メタルハライドランプによる紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂硬化後、金属版を剥離することにより凹凸構造を形成した。その後、凹凸構造上に真空蒸着法によってアルミニウムを蒸着させ光反射性材料層を設けた。
【0103】
前記光反射性材料層に接着剤をグラビアロールコーターで塗工し、その後、膜厚の厚いPET基材に転写し、PETフィルムを剥離することで、表示体を得た。
【0104】
上記のようにして得られた表示体は、直線偏光フィルムを表示体の直近に配し、かつ前記直線偏光フィルムを回転させることにより、前記第1領域からなる潜像の出現と消失を目視確認できた。
【0105】
また、得られた表示体を回折光が目視観察できる角度まで傾け、前記第2領域より回折光を目視確認できた。加えて、その傾き角度を固定したまま表示体を回転させることにより、前記第1領域の回折光からなる有彩色の出現と消失を目視で確認できた。
【0106】
加えて、得られた表示体の裏面に光源を設置し、光を入射させその透過光を目視観察したところ、前記第1領域及び前記第2領域による透過光が有彩色を呈していることを目視確認できた。更に、直線偏光子を介した光を入射させ、その直線偏光子を回転させながら表示体の透過像を目視観察したところ、前期第2領域における透過光の色変化を目視で確認できた。
【符号の説明】
【0107】
10a・・・基材層
10b・・・光透過部
11・・・・接着層
12・・・・金属層
13・・・・光透過性材料層
14・・・・印刷層
14a・・・光不透過性印刷層
14b・・・光透過性印刷層
14c・・・光不透過性印刷層
100・・・表示体
200・・・積層体
300・・・直線偏光子
T・・・・・透過軸
DP1・・・表示部
DP2・・・表示部
IP1・・・界面部
IP2・・・界面部
LS・・・・光源
IL・・・・入射光
RL・・・・反射光
TL・・・・透過光
OB・・・・観察者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過部を有する基材層からなる表示体であって、
前記光透過部には、光透過性を有する接着層、層厚が10nm以上50nm以下の金属層、アスペクト比が0.1〜1.5の凹凸構造が形成された光透過性材料層及び印刷層が積層されており、
前記金属層が前記光透過性材料層の表面の一部に、パターン状に形成されていることを特徴とする表示体。
【請求項2】
前記印刷層がパターン状に形成されており、表示体の光透過部の全面を覆わずに、表示体の一部分を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記印刷層が付されていない基材層のもう一方の面に、前記光透過部の一部分を覆うように印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示体。
【請求項4】
前記光透過性材料層が、平均高さ50〜500nmの複数の凸型線状構造、又は平均深さ50〜500nmの複数の凹型線状構造からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの1次元配列された第1領域と、平均高さ50〜500nmの複数の凸型形状体、平均深さ50〜500nmの複数の凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの2次元配列された第2領域とを有することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の表示体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の表示体を、
直線偏光子を介して目視観察し、第1領域に対応する部分にて潜像が確認できること、また直線偏光子を回転させることで潜像が明暗の変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【請求項6】
請求項4に記載の表示体を傾け、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域を目視観察し、潜像が確認できること、また表示体の傾き角を変えることで潜像の色変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【請求項7】
請求項4に記載の表示体に対して、光を透過させ、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、透過光に色が着いていること、透過像が確認できること、第1領域と第2領域の色が異なっていることを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【請求項8】
請求項4に記載の表示体に対して、直線偏光子を介した光を透過させ、前記第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、第1領域の透過光は直線偏光の方向により、無色から有色、有色から無色へと変化すること、第2領域の透過光は直線偏光の方向によらず、色変化を起こさないことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【請求項1】
光透過部を有する基材層からなる表示体であって、
前記光透過部には、光透過性を有する接着層、層厚が10nm以上50nm以下の金属層、アスペクト比が0.1〜1.5の凹凸構造が形成された光透過性材料層及び印刷層が積層されており、
前記金属層が前記光透過性材料層の表面の一部に、パターン状に形成されていることを特徴とする表示体。
【請求項2】
前記印刷層がパターン状に形成されており、表示体の光透過部の全面を覆わずに、表示体の一部分を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記印刷層が付されていない基材層のもう一方の面に、前記光透過部の一部分を覆うように印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示体。
【請求項4】
前記光透過性材料層が、平均高さ50〜500nmの複数の凸型線状構造、又は平均深さ50〜500nmの複数の凹型線状構造からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの1次元配列された第1領域と、平均高さ50〜500nmの複数の凸型形状体、平均深さ50〜500nmの複数の凹型形状体のうち一つ以上から選ばれる形状体からなり、且つ、その平均周期が200〜500nmの2次元配列された第2領域とを有することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の表示体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の表示体を、
直線偏光子を介して目視観察し、第1領域に対応する部分にて潜像が確認できること、また直線偏光子を回転させることで潜像が明暗の変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【請求項6】
請求項4に記載の表示体を傾け、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域を目視観察し、潜像が確認できること、また表示体の傾き角を変えることで潜像の色変化を起こすことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【請求項7】
請求項4に記載の表示体に対して、光を透過させ、第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、透過光に色が着いていること、透過像が確認できること、第1領域と第2領域の色が異なっていることを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【請求項8】
請求項4に記載の表示体に対して、直線偏光子を介した光を透過させ、前記第1領域又は前記第2領域のうち少なくとも一領域の透過光を目視観察し、第1領域の透過光は直線偏光の方向により、無色から有色、有色から無色へと変化すること、第2領域の透過光は直線偏光の方向によらず、色変化を起こさないことを持って真贋判定することを特徴とする表示体の真偽判定方法。
【図4】
【図5】
【図6】
【図1】
【図2】
【図3】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【図1】
【図2】
【図3】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−95055(P2013−95055A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240085(P2011−240085)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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