説明

表示体支持構造

【課題】表示体を前方に突出させて表示する突出位置から嵩張らないように変位調整することが可能な表示体支持構造を提供することを課題とする。
【解決手段】第1POP板20側より突出して表示される第2POP板30を支持するPOP板装置10であって、前記第1POP板20の前方に前記第2POP板30が突出した突出位置T1と、前記第1POP板20に前記第2POP板30の裏面側が近接された重畳位置T2との間で該第2POP板30を移動可能にシート折曲体40で接続し、前記第2POP板30を前記重畳位置T2から突出位置T1へと突出させたとき、その第2POP板30の突出姿勢を維持する折返しシート42を備えて構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の広告や案内を突出させて表示する表示体の支持構造に関し、さらに詳しくは取扱性に富む表示体支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示手段の一例として写真シール作成機のような施設では、注目度やリピータ率を上げる目的でユーザの目をひく位置に広告が記載されたデザイン性のあるPOP板が設置されている。
【0003】
この種のPOP板は、前方の空間に突出して注目度を高めるように構成されている。例えば、図9に示すように、筐体91に取り付けられた筐体設置板92と、その前方に突出して表示されるPOP板93との間を発泡スチロールのような支持体94で連結することにより、POP板93を前方に所定量突出させて支持している。
【0004】
このPOP板の利用に際しては、直ぐに設置できるように予めPOP板を組み込んで一体化した製品として用いられていた。これにより、POP板は組立て済みであるため現場等において取扱性に優れ、特に簡易構成で広告効果が大きい製品として用いられている。
【0005】
また、POP板を写真シール作成機のような施設に利用する場合、POP板を突出させて目立たせる以外にも全体的に大きく製作して、POP板自体が大きな構造物になっていた。このため、POP板の軽量化や支持構造の強化が重要になっていた(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
しかし、この種のPOP板を突出させて製品化した場合、その製品自体が突出空間を要して嵩張るため、設置利用する現場まで運搬する際に運搬コストが高く、運搬効率が低い問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−106523号
【特許文献2】特開2004−145142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこでこの発明は、上述の問題に鑑み、表示体を前方に突出させた突出位置から嵩張らない平面形状にすることが可能な表示体支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、取付面側より突出して表示される表示体を支持する表示体支持構造であって、前記取付面の前方に前記表示体が突出した突出位置と、前記取付面に前記表示体の裏面側が近接された重畳位置との間で該表示体を移動可能に接続部材で接続し、前記表示体を前記重畳位置から突出位置へと突出させたとき、その表示体の突出姿勢を維持する突出姿勢維持手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によると、表示体を突出位置と重畳位置とに移動可能な支持構造に構成しているため、運搬時には重畳位置にして平面的で嵩張らずに運搬できる。また、設置時には突出位置にして直ちに設置することが可能であり、取付性及び取扱性のよい製品として利用できる。さらに、表示体を突出させた位置では突出姿勢維持手段によって表示体を適正な突出姿勢に安定して支持することができる。
【0011】
この発明の別の態様として、前記接続部材は、上接続部材と下接続部材とを備えて構成し、前記突出姿勢維持手段は、前記上接続部材と前記表示体との連結位置と、前記下接続部材と前記取付面との連結位置とを結ぶ距離が所定距離よりも小さくならないように規制する規制手段で構成し、前記規制手段が前記突出位置にある前記表示体をその表示体の自重に抗して受け止めるように構成することができる。
【0012】
これにより、突出位置にある表示体にかかる自重を規制手段が受け止めることができる。この規制手段を備えることによって常に表示体を突出位置から下がらないように維持することができる。
【0013】
この発明の別の態様として、前記接続部材を、1枚のシートを折り曲げて作った矩形のシート折曲体で構成し、前記規制手段は、前記シート折曲体が突出位置のとき、該シート折曲体の矩形内空間に折り返した折返しシートによって矩形内の対角線距離を規制することができる。
【0014】
これにより、1枚のシートから表示体支持構造としてのシート折曲体を構成することができる。例えば、1枚のシートから断面四角形状の筒状体を作り、端部のシート面を折返しシートとして四角形内の対角線上に延出させれば、その折返しシートの端部が対角線上の隅部に当接し、該折返しシートがシート折曲体の対角線距離を保つシートとなり、シート折曲体に表示体の重みによる下向きの力が加わっても、四角形状を保って表示体の突出姿勢を維持することができる。
【0015】
この発明の別の態様として、前記接続部材は、上接続部材と下接続部材とで構成し、前記突出姿勢維持手段は、前記上接続部材と前記取付体との連結位置と、前記下接続部材と前記表示体との連結位置とを結ぶ距離が所定距離よりも大きくならないように規制する規制手段で構成し、前記規制手段が前記突出位置にある前記表示体をその表示体の自重に抗して受け止めることができる。
【0016】
これにより、表示体にかかる自重を規制手段が引き上げるようにして規制することができる。この規制手段を備えることによって常に表示体を突出位置から下がらないように維持することができる。表示体を引き上げる部材としては、例えば紐や針金などの線状体、フィルムなどの帯状体を用いるとよい。
【0017】
この発明の別の態様として、前記表示体の突出量を可変または調整可能に構成することができる。
【0018】
例えば、長さを調整することができる折返しシートを使用して取付面側の下方から表示体の上部を支えるようにすれば、表示体の突出量を定められた突出寸法に調整できる。具体的には、シート折曲体の矩形内空間に折り返した折返しシートのシート端部が矩形内の対角線上で対向する表示体上部の折り目側で安定して受け止められる。したがって、受け止められる距離を調整することにより、表示体の突出量を調整することができる。
【0019】
また、紐を使用して表示体の下部を上方へ引き上げるようにすれば、該表示体の自重に抗して支えるだけでなく、一旦設置した後であっても、紐の長さを調整することにより、表示体の突出量を変更することが可能になる。
【0020】
さらに、表示体突出量の他の調整手段として、シート折曲体の内部空間で対角線方向の上下より対向させた対向端部を重合させ、その重合対向部位に形成されている互いの櫛歯を噛合させる。そして、噛合位置をずらせば対角線方向の連結距離が変わって表示体の突出量を調整することが可能になる。
【0021】
また、表示体突出量の他の調整手段として、折返しシートの一部を切除可能に構成して該一部を切除することにより、折返しシートの長さを調整可能に設けて表示体の突出量を調整することもできる。
【0022】
この発明の別の態様として、前記上接続部材と下接続部材とを異なる長さにして構成することができる。
【0023】
この場合は、取付面側を基準位置として表示体を支持している上下の接続部材の短い方が取付面側に引っ張られる形で傾き、この結果、表示体の角度を任意の表示角度に変えることができる。
【0024】
この発明の別の態様として、単一の取付面に複数の表示体を備えて構成することができる。
【0025】
この構成によると、各表示体を集合配置することが可能になり、複合的な組み合わせの表示ができる。
【0026】
この発明の別の態様として、前記表示体を前記取付面として、別の表示体を複数段に構成することができる。
【0027】
これにより、表示体上に別の表示体を積層することができ、取付面の前方に、より一層、立体的な表示構成物を構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、表示体を前方に突出させた突出位置から平面的に縮小した重畳位置に変位させることができる表示体支持構造を提供できる。この結果、輸送時は表示体を重畳状態にしてコンパクトに輸送することが可能になる。よって、輸送時は無駄な空間がなくなり輸送効率が確実に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】写真シール作成機を示す外観斜視図。
【図2】POP板装置の使用状態を示す斜視図。
【図3】POP板装置の突出位置と重畳位置の切り替わり状態を示す説明図。
【図4】(A)はPOP板装置の複合構成例を示す側面図、(B)は(A)の複合構成例を示した正面図。
【図5】(A)はPOP板装置の高さ調整原理を表わした説明図、(B)はPOP板装置の角度調整原理を表わした説明図。
【図6】(A)はPOP板装置の櫛歯による噛合前の対応状態を示す説明図、(B)はPOP板装置の櫛歯による噛合領域が長い状態を示す説明図、(C)はPOP板装置の櫛歯による噛合領域が短い状態を示す説明図。
【図7】(A)はPOP板装置の他の折返しシートを示す平面図、(B)は(A)の折返しシートを用いた使用状態を示す説明図。
【図8】(A)は紐でPOP板を支持するPOP板装置を示す概略側面図、(B)は紐の吊支長さを縮めてPOP板高さを調整する概略側面図。
【図9】従来のPOP板支持構造を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0031】
図1は写真シール作成機1に設置されたPOP板装置10を示す。写真シール作成機1は、撮影空間を囲った撮影筐体2と、該撮影筐体2の背面側に連設された編集筐体3とで構成されている。なお、図1では、撮影空間の周囲及び撮影空間の出入り口4を図示しないカーテンで覆っている。そして、写真シール作成機1の注目を引きやすい部分、例えば出入り口上方の撮影筐体2にPOP板装置10が設置される。
【0032】
図2はPOP板装置10の使用状態を拡大して示している。このPOP板装置10は、ベースPOP板(以下第1POP板と称す)20と、飛び出しPOP板(以下第2POP板と称す)30との間を接続するシート折曲体40とから構成される。
【0033】
前記第1POP板20は、例えば表面にベース用広告を印刷した厚紙で構成することができる。また、1枚で十分な強度を持つ厚紙、重ね折りして強度を持たせた厚紙、あるいは発泡スチロール板、樹脂シートなどを用いて構成することができる。そして、この第1POP板20が取付壁50にビス止め、あるいはテープ止め等によって平面対接させた状態で取り付けられる。
【0034】
この第1POP板20の大きさや形状は、表示用途や表示内容によって異なり、様々な形な大きさに用いられる。図2では小さく表示した例を示している。
【0035】
第2POP板30は、表面に関心を持たせる内容の広告を印刷した厚紙で構成することができる。この第2POP板30も前記した第1POP板20と同様に、1枚で十分な強度を持つ厚紙、重ね折りして強度を持たせた厚紙、あるいは発泡スチロール板、樹脂シートなどを用いて構成することができる。そして、この第2POP板30が後述するシート折曲体40により、第1POP板20の前方に突出して略垂直な姿勢で支持される。
【0036】
この第2POP板30の大きさや形状は、最も注目を浴びる広告として形作られ、該第2POP板30の表示用途や表示内容に応じた様々な形や大きさに形作られる。図2では第2POP板30を第1POP板20より大きく表示した例を示している。
【0037】
上述のシート折曲体40は1枚の厚紙を折曲げて立体的に形作った支持枠体であり、例えば断面正方形の筒状体を形作る。そのときの1枚の厚紙による筒状体の始端と終端が開かないように、始端部を一部折曲して、対向側の端部を抱え込むようにした折曲片40aを設けている。そして、この断面正方形の筒状体を形作るとき、左下隅を始点41に垂直に立ち上げた左側面、上面、右側面、下面の順に周回し、最後に始点41位置と重なる部分から対角線上に延出させた対角辺としての折返しシート42を形成している。
【0038】
この折返しシート42は、シート折曲体40の正方形内の空間に折り返した折返しシート42の先端部が終点43として、その四角形内の対角線上の隅部に当接して該対角線距離が縮まろうとするのを規制する役目を持たせている。これにより、正方形のシート折曲体40が変形せず、正方形の立体的な姿勢を維持するように構成している。
【0039】
この折返しシート42を作る際は、一側に対角線距離に相当するシート長さをとり、残りを均等長さに区分するように1枚の紙に4つの平行する折り目を入れて区切った5つのシート面を形成した後、これらの折り目を順に折ることによって断面正方形の筒状体を作り、最後のシート面を折返しシート42として正方形内の対角線上に延出させ、その対角線上で対向する隅部に当接させている。これにより、折返しシート42が第2POP板30の自重に抗して支える上下方向の支持部材となる。したがって、仮にシート折曲体40に第2POP板30の重みによる下向きの力が加わっても、正方形を保って表示体の下降を規制することができる。
【0040】
さらに、折返しシート42は上述の実施例とは逆に折返しシート42の折返し支点を第2POP板30の上部に設定してもよい。このようにしても、第2POP板30の重みを支える対角線方向が同じであるため上述の実施例と同様に安定した支持作用が得られる。
【0041】
また、折返しシート42の折返し支点を対角線上の角部以外の、例えば辺の途中に設定してもよい。この場合は、折返しシート42の先端を安定して受け止めれるように、また支持位置を容易に選択できるように、対向するシート面を平面ではなく鋸刃状に形成するのが適している。
【0042】
また、シート折曲体40と、第1POP板20との間、また第2POP板30との間の接続に際しては、ビス止め、テープ止め、接着剤等の接続手段で取り付けるとよい。
【0043】
さらに、このシート折曲体40は、図3(A)に示すように、正方形の枠体を構成しているときは、その一辺の長さ分だけ第2POP板30を第1POP板20より前方に一定量突出させた突出位置T1に支持している。
【0044】
このとき、シート折曲体40が自重で下降しようとする方向に掛かる力に対し、その力を対角線方向で折返しシート42が支える。さらに、この折返しシート42はシート折曲体40の対角線長さが所定長さよりも小さくならないように突っ張って傾斜姿勢で受け止めるため第2POP板30の垂直な表示姿勢を安定して維持している。
【0045】
ところで、図3(B)に示すように、第2POP板30を自重に抗して持ち上げれば、折返しシート42の終点43がそれまで当接していた対角線上の角部と離れ、第1POP板20に固定されているシート折曲体40の左側面を回動基準にして、図3(C)に示すように、第2POP板30が次第に第1POP板20側に近付くように回動して上動変位させることができる。そして、最後は図3(D)に示すように、第2POP板30が第1POP板20に平面対向した重畳位置T2に移動させることが可能な可変支持構造を有している。このため、POP板装置10の運搬時には重畳位置T2にして平面的で嵩張らない状態で運搬することが可能となる。
【0046】
さらに、第2POP板30を重畳位置T2から適宜突出位置T1に引き出して突出させることができるので、POP板装置10の設置時には、第2POP板30を突出位置T1に突出させて直ちに設置することができる。このため、POP板装置10は運搬性の向上に限らず、組立性や取扱性も向上する。
【0047】
図4はPOP板装置10の複合構成例を示している。例えば、図4(A)に示すように、共通する1枚の大きな第1POP板20に、3個の第2POP板30を上下方向に搭載して複合POP板装置100として構成することができる。
【0048】
図4(A)では複合POP板装置100の上下方向に並ぶ3個のPOP板のうち、上部と下部に、1段構成のPOP板装置を設置し、さらにその上面に一回り小さいPOP板装置10を搭載した2段階突出構成のPOP板装置10aを配置している。さらに、その中間位置には横長の第2POP板30を有する1段階構成のPOP板装置10を配設している。
【0049】
このような複合POP板装置100を用いれば、図4(B)に示すように楕円形の大きな第1POP板20上に小さな第2POP板30が積層されて取付面の前方に、より一層、立体的な複合POP板装置100を構成することができる。
【0050】
図5(A)は前方に突出した第2POP板30の高さ調整の原理を表わしている。この第2POP板30は、折返しシート42の長さを変えることによって任意の四角形を形作ることができる。
【0051】
このことは折返しシート42の長さを選択することによって第2POP板30の突出量Tと同時に、第2POP板30の高さ位置を変えることができることを表わしている。これにより、折返しシート42の長さを調整すれば、第2POP板30の高さを調整することが可能になる。このため、POP板装置10を設置する際は、高さ調整機能付きの個性的なPOP板装置10として広く有効利用できる。
【0052】
上述のように1枚ごとに長さの違うシートを用意しておいて、所望長さの折返しシート42が適宜得られるようにしてもよいし、1枚のシートに折込線を複数入れておいて、組立時に複数の折込線から所望長さの折返しシート42が得られる折込線を選択する構成としてもよい。
【0053】
図5(B)は前方に突出した第2POP板30の傾斜角度を変更可能にしながら突出位置T1と重畳位置T2とに移動可能にした構成であることの原理を表わしている。この第2POP板30の傾斜角度はシート折曲体40が四角形で構成されているとき、上辺長さと下辺長さを変えることによって第2POP板30の傾きが変わる。
【0054】
すなわち、上辺と左辺の合計長さと、下辺と右辺の合計長さとが同じであれば、第2POP板30が突出位置T1と重畳位置T2に移動可能であることを確保しながら該第2POP板30を任意の傾斜角度に設定することができる。
【0055】
また、上辺と左辺の合計長さと、下辺と右辺の合計長さとが同じであれば、上辺・左辺・下辺・右辺の長さがそれぞれ異なる長さであっても、同様に第2POP板30が突出位置T1と重畳位置T2に移動可能であることを確保しながら該第2POP板30を任意の傾斜角度に設定することができる。
【0056】
図5(B)では第2POP板30が下向きに傾斜しているため、この第2POP板30を筐体の上部に設置してユーザが下方から見やすいように角度調整した例を表わしている。
【0057】
図6はシート折曲体の対角線上で作用する折返しシート42の長さを調整可能にした一例を表わしている。
【0058】
シート折曲体の内部空間において、前記折返しシート42が配設される方向と同方向の対角線上の角度からそれぞれ内部空間に向けて対角方向連結片44を突出させている。
【0059】
そして、シート折曲体の内部空間で対角線上の上下より、図6(A)に示すように下向きと上向きとの別々に対向させた対角方向連結片44の対向端部が、シート折曲体の突出位置と重畳位置との位置変化に伴い形状が変わる該シート折曲体の形状変化に応じて遠近対応する位置関係にある。そして、その重合対向部位の互いに対向する部分に形成された櫛歯45を噛合させて連結可能に構成するものである。
【0060】
そして、図6(B)に示すように、噛合位置をずらして噛合領域を増やせば対角線方向の重なり度合いが増して折返しシート42の全長を短くできる。逆に、図6(C)に示すように、噛合領域を少なくすれば対角線方向の重なり度合いが少なくなり、折返しシート42の全長を長くとれる。これにより、折返しシート42の全体の距離が変わって第2POP板30の突出量を調整することが可能になる。
【0061】
なお、図6(B)及び図6(C)は対角方向連結片44同士が対向した際に、櫛歯45部分が水平に噛合するに留まらず、櫛歯45がシート面上に乗り上げて交差対向し、互いの櫛歯45が重なった噛合状態になるまで深く噛合した状態を示している。これにより、十分な連結強度が得られるようにしている。
【0062】
図7は折返しシート42の他の長さ調整例を示している。この折返しシート42は該折返しシート42の支え方向の長さを、図7(A)に示すように段差形成して設けるものである。
【0063】
この折返しシート42は、横長の長方形シートの上辺中央部を凹状に切り欠いて、その上辺両側が高部位となるように段差形成している。これにより、折返しシート42は両側に長尺の折返しシート部L1が得られ、中央部に短尺の折返しシート部L2が得られる。さらに、この長尺の折返しシート部L1と短尺の折返しシート部L2との境界となる仕切り位置にミシン目46を入れて切り離し自在に作成している。
【0064】
したがって、POP板装置10を設置する場合、図7(B)に想像線で示すように、第2POP板30を高い位置で表示するように選択する場合は、凹形状の折返しシート42をそのまま使用するとよい。これにより、第2POP板30を高い位置で、かつ突出量の少ない位置で維持させることができる対角線距離をとることができる。
【0065】
一方、図7(B)に実線で示すように、第2POP板30を高くしない場合は、両側の長尺の折返しシート部L1をミシン目46より切り離して切除して使用するとよい。これにより、シート折曲体40を短尺の折返しシート部L2のみで作成されて第2POP板30を所望の高さに設定できる。このように、折返しシート42の長さを変更して長さ調整できるように構成することもできる。なお、折返しシート42の切り離し可能な形状は安定した支持ができるようにシート折曲体40内で左右対称の均等な形状となるように形成するのが好ましい。
【0066】
図8は紐を用いたPOP板装置10を示す。ここでは、上述した折返しシート42が、第2POP板30を下方から支えることによって該第2POP板30が下がらないようにするのではなく、上方から紐47で第2POP板30を吊支して第2POP板30を支持するという支持構造である。
【0067】
紐47の取付位置は、シート折曲体40の下辺と第2POP板30の下部とが対向するシート折曲体40の右下隅部40aに紐47の下端を連結する。さらに、シート折曲体40の上辺と第1POP板20とが対向するシート折曲体40の左上隅部40bに紐47の上端を通して止め具48により所定長さの位置に調整して止めている。この場合は、止め具48を緩めて紐47を引っ張り上げるだけで第2POP板30が上動するため容易に第2POP板30の突出量を調整することができる。その結果、第2POP板30の高さ調整もできる。
【0068】
上述の実施例においては、POP板装置10の取り付けに際して、シート折曲体40を一旦、第1POP板20に取り付け、この第1POP板20を取付壁50に取り付けて設置する例を示したが、シート折曲体40を取付壁50に直付けして設置するようにしてもよい。
【0069】
さらに、第1POP板20や第2POP板30の表面にLEDや装飾部品等を付設して、より一層、注目度を高めるようにしてもよい。
【0070】
この発明の構成と、上述の実施例の構成との対応において、
この発明の表示体は、実施例の第2POP板30に対応し、
以下同様に、
接続部材は、シート折曲体40に対応し、
突出姿勢維持手段は、折返しシート42と紐47に対応し、
表示体支持構造は、POP板装置10と複合POP板装置100に対応するも、この発明は上述の実施例の構成に限定されるものではなく、請求項に記載される技術思想に基づいて応用することができる。
【0071】
例えば、上述の実施例ではシート折曲体40を正方形で構成した例を示したが、これに限らず、その他の矩形であっても適用することができる。また、1枚の厚紙で効率よくシート折曲体40を構成した例を示したが、上辺と下辺の2つの接続部材があれば、上述のシート折曲体40と同様な接続機能を果たすことができ、左辺と右辺のシート部分を省略することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
写真シール作成機等の注目を集めることが要求される施設や店舗などに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
10…POP板装置
20…第1POP板
30…第2POP板
40…シート折曲体
42…折返しシート
44…対角方向連結片
47…紐
50…取付壁
100…複合POP板装置
T1…突出位置
T2…重畳位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面側より突出して表示される表示体を支持する表示体支持構造であって、
前記取付面の前方に前記表示体が突出した突出位置と、前記取付面に前記表示体の裏面側が近接された重畳位置との間で該表示体を移動可能に接続部材で接続し、
前記表示体を前記重畳位置から突出位置へと突出させたとき、その表示体の突出姿勢を維持する突出姿勢維持手段を備えた
表示体支持構造。
【請求項2】
前記接続部材は、上接続部材と下接続部材とを備えて構成し、
前記突出姿勢維持手段は、前記上接続部材と前記表示体との連結位置と、前記下接続部材と前記取付面との連結位置とを結ぶ距離が所定距離よりも小さくならないように規制する規制手段で構成し、
前記規制手段が前記突出位置にある前記表示体をその表示体の自重に抗して受け止める
請求項1に記載の表示体支持構造。
【請求項3】
前記接続部材を、1枚のシートを折り曲げて作った矩形のシート折曲体で構成し、
前記規制手段は、前記シート折曲体が突出位置のとき、該シート折曲体の矩形内空間に折り返した折返しシートによって矩形内の対角線距離を規制する
請求項2に記載の表示体支持構造。
【請求項4】
前記接続部材は、上接続部材と下接続部材とで構成し、
前記突出姿勢維持手段は、前記上接続部材と前記取付体との連結位置と、前記下接続部材と前記表示体との連結位置とを結ぶ距離が所定距離よりも大きくならないように規制する規制手段で構成し、
前記規制手段が前記突出位置にある前記表示体をその表示体の自重に抗して受け止める
請求項1に記載の表示体支持構造。
【請求項5】
前記表示体の突出量を可変または調整可能に構成した
請求項1〜4の何れか1項に記載の表示体支持構造。
【請求項6】
前記上接続部材と下接続部材とを異なる長さに構成した
請求項2〜5の何れか1項に記載の表示体支持構造。
【請求項7】
単一の取付面に複数の表示体を備えた
請求項1〜6の何れか1項に記載の表示体支持構造。
【請求項8】
前記表示体を前記取付面として別の表示体を複数段に構成した
請求項1〜7の何れか1項に記載の表示体支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−180320(P2011−180320A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43786(P2010−43786)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(307010096)フリュー株式会社 (210)
【出願人】(506319949)株式会社テルモ (2)