説明

表示入力装置

【課題】検出対象が隣り合う選択可能領域間を移動した場合であっても触覚を呈示することができる表示入力装置を提供する。
【解決手段】表示入力装置1は、例えば、主に、選択が可能な複数の選択可能画像110を表示する表示部10と、選択可能画像110を選択するために操作されるものであり、なされた操作を検出して検出点を算出する検出部12と、選択可能画像110の選択を判定するための判定領域を、選択可能画像110との距離が一定とならないように規定する規定部28と、検出点と判定領域とを比較し、検出点が判定領域の内側にあるときは第1の処理を行い、検出点が判定領域の外側にあるときは第2の処理を行う処理部30と、第1の処理に基づいて第1の呈示を行い、第2の処理に基づいて第2の呈示を行う呈示部としての振動発生部42と、を備えて概略構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、入力領域近傍における、物体の存在を検出するステップと、存在検出に応答して、装置上の触覚的効果を生成するステップと、を備えた、触覚的効果を生成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この触覚的効果を生成する方法では、ユーザの指が入力領域上方を移動している場合、触覚的効果として、入力領域上に振動を発生させるので、入力領域の位置をユーザに提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−506302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の触覚的効果を生成する方法では、例えば、隣り合う入力領域間に、振動を発生させない領域を設ける場合、ユーザの指が、入力領域間に沿って移動すると、振動が発生しない可能性がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、検出対象が隣り合う選択可能領域間を移動した場合であっても触覚を呈示することができる表示入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、選択が可能な複数の選択可能画像を表示する表示部と、選択可能画像を選択するために操作されるものであり、なされた操作を検出して検出点を算出する検出部と、選択可能画像の選択を判定するための判定領域を、選択可能画像との距離が一定とならないように規定する規定部と、検出点と判定領域とを比較し、検出点が判定領域の内側にあるときは第1の処理を行い、検出点が判定領域の外側にあるときは第2の処理を行う処理部と、第1の処理に基づいて第1の呈示を行い、第2の処理に基づいて第2の呈示を行う呈示部と、を備えた表示入力装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出対象が隣り合う選択可能領域間を移動した場合であっても触覚を呈示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、実施の形態に係る表示入力装置の分解斜視図であり、(b)は、表示入力装置が搭載される車両内部の概略図である。
【図2】図2は、実施の形態に係る表示入力装置のブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態に係る判定領域を説明するための模式図である。
【図4】図4は、実施の形態に係る表示入力装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5(a)及び(b)は、判定領域の変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る表示入力装置は、選択が可能な複数の選択可能画像を表示する表示部と、選択可能画像を選択するために操作されるものであり、なされた操作を検出して検出点を算出する検出部と、選択可能画像の選択を判定するための判定領域を、選択可能画像との距離が一定とならないように規定する規定部と、検出点と判定領域とを比較し、検出点が判定領域の内側にあるときは第1の処理を行い、検出点が判定領域の外側にあるときは第2の処理を行う処理部と、第1の処理に基づいて第1の呈示を行い、第2の処理に基づいて第2の呈示を行う呈示部と、を備える。
【0011】
[実施の形態]
(表示入力装置1の構成)
図1(a)は、実施の形態に係る表示入力装置の分解斜視図であり、(b)は、表示入力装置が搭載される車両内部の概略図である。図2は、実施の形態に係る表示入力装置のブロック図である。なお、実施の形態に係る各図において、部品と部品との比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
表示入力装置1は、例えば、図1(a)、(b)及び図2に示すように、主に、選択が可能な複数の選択可能画像110を表示する表示部10と、選択可能画像110を選択するために操作されるものであり、なされた操作を検出して検出点を算出する検出部12と、選択可能画像110の選択を判定するための判定領域を、選択可能画像110との距離が一定とならないように規定する規定部28と、検出点と判定領域とを比較し、検出点が判定領域の内側にあるときは第1の処理を行い、検出点が判定領域の外側にあるときは第2の処理を行う処理部30と、第1の処理に基づいて第1の呈示を行い、第2の処理に基づいて第2の呈示を行う呈示部としての振動発生部42と、を備えて概略構成されている。
【0013】
また、表示入力装置1は、例えば、表示入力ECU(Electronic Control Unit)20と、メモリ38と、通信部40と、を備えて概略構成されている。
【0014】
この表示入力装置1は、一例として、車両6に搭載されたナビゲーション装置、空調装置、オーディオ装置、運転支援装置等の電子機器の操作、並びに文字等の入力を行うことができるものである。文字等の入力は、一例として、表示入力装置1の検出部12の操作面122を検出対象となる指先等でなぞり操作を行い、表示部10に表示された選択可能領域としての選択可能画像110上で押し込み操作(以下に、押圧操作と記載する。)を行なうことにより、その選択可能画像として表示された文字、記号等の入力操作を行なうことができるように構成されている。この入力された文字等は、例えば、後述するセンターディスプレイ62に表示される。
【0015】
表示入力装置1の表示部10は、例えば、図1(b)に示すように、運転席と助手席の間に設けられたセンターコンソール60に配置されている。また、表示部10に対応した検出部12は、表示部10に重ねて配置されている。つまり、表示入力装置1は、一例として、タッチパネルとして構成されている。なお、本実施の形態では、上記したように、表示部10と検出部12は同一面上に重ねた状態で配置されているが、表示部10と検出部12は別々に配置することもできる。例えば、表示部10の代わりにセンターディスプレイ62に検出部12に対応した画像表示をする構成としても良い。
【0016】
(表示部10の構成)
表示部10は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型等の公知の液晶ディスプレイである。この表示部10は、例えば、表示入力ECU20の後述する表示コントローラ26に接続され、表示コントローラ26から出力される表示信号に基づいて表示画面100に画像を表示させる。
【0017】
(検出部12の構成)
検出部12は、例えば、操作者の体の一部(例えば、指)で操作面122に触れた場合、触れた操作面122上の位置(検出点)を検出するタッチセンサである。操作者は、例えば、操作面122にタッチやなぞり等の操作を行うことにより文字や記号の入力操作ができる。また、この入力操作により入力内容が判定されて接続された電子機器の操作を行うことが可能となる。検出部12としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、SAW方式等の公知のタッチセンサを用いることが可能である。
【0018】
本実施の形態に係る検出部12は、例えば、操作面122へ指が近接する又はタッチ(接触)することによる、センサワイヤ123及びセンサワイヤ124と指との距離に反比例した電流の変化を検出情報として出力する静電容量方式のタッチセンサである。
【0019】
この検出部12は、例えば、図1(a)に示すように、センサ基板120にセンサワイヤ123及びセンサワイヤ124が配置されている。センサ基板120は、例えば、ガラス又はPET(Polyethylene terephthalate)等の透明度が高い(例えば光の透過率90%以上)材料を用いて、板状に形成される。また、検出部12は、例えば、図2に示すように、駆動部14と、タッチ検出部16と、を備えている。
【0020】
センサワイヤ123及びセンサワイヤ124は、例えば、透明電極ITO(スズドープ酸化インジウム:Indium Tin Oxide)を用いて形成される。
【0021】
センサワイヤ123及びセンサワイヤ124は、例えば、図2に示すように、紙面の縦方向及び横方向に沿って並んでいる。本実施の形態では、図2の紙面の横方向をx軸、縦方向をy軸とし、検出部12の左上を原点としている。
【0022】
x軸方向には、例えば、m個のセンサワイヤ123が、x軸に直交するように等間隔で並んでいる。このmは、例えば、正の整数である。このセンサワイヤ123は、例えば、駆動部14及びタッチ検出部16と電気的に接続される。駆動部14は、例えば、センサワイヤ123に電圧を供給する。
【0023】
y軸方向には、例えば、n個のセンサワイヤ124が、y軸に直交するように等間隔で並んでいる。このnは、例えば、正の整数である。このセンサワイヤ124は、例えば、駆動部14及びタッチ検出部16と電気的に接続される。駆動部14は、例えば、センサワイヤ124に電圧を供給する。タッチ検出部16は、クロック信号生成部36が生成したクロック信号に応じて順番にセンサワイヤ123及びセンサワイヤ124に接続して静電容量を読み出す。この電圧は、例えば、図2に示すように、車両6の電源より供給、あるいは、表示入力装置1の動作に必要な電圧に調整されて供給されたものである。
【0024】
x軸方向のセンサワイヤ123は、例えば、y軸方向のセンサワイヤ124よりも操作面122に近い層に形成されている。また、センサワイヤ123は、例えば、センサワイヤ124と電気的に絶縁されている。
【0025】
ここで、x軸の座標は、xに下付きの数字(1〜m)を付して、左から右に向かってx〜xと示すものとする。また、y軸の座標は、yに下付きの数字(1〜n)を付して、上から下に向かってy〜yと示すものとする。
【0026】
具体的には、タッチ検出部16は、例えば、x軸方向のセンサワイヤ123のx〜x、y軸方向のセンサワイヤ124のy〜yの順番に静電容量を読み出すように構成されている。
【0027】
タッチ検出部16は、例えば、読み出した各センサワイヤ123及びセンサワイヤ124の静電容量の値(静電容量値)に基づいて、座標値(xの静電容量値、yの静電容量値、t)を生成し、この座標値から検出点を算出する。タッチ検出部16は、例えば、算出した検出点の座標等を含む検出情報を表示入力ECU20に出力するように構成されている。なお、時間tは、例えば、クロック信号が出力された時刻を示している。また、座標の算出方法は、例えば、加重平均を用いた方法等の周知の方法が用いられる。
【0028】
(表示入力ECU20の構成)
表示入力ECU20は、例えば、プログラムに従って、取得したデータに演算、加工等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成される。このROMには、例えば、CPUが動作するためのプログラム等が格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果等を格納する記憶領域として用いられる。
【0029】
この表示入力ECU20は、例えば、制御部22と、表示画像生成部24と、表示コントローラ26と、規定部28と、処理部30と、機器制御部32と、センサコントローラ34と、クロック信号生成部36と、を備えて概略構成されている。
【0030】
(制御部22の構成)
制御部22は、例えば、処理部30によって判定された結果、及びスイッチ部125の状態に基づいてなされた操作を判定する。具体的には、制御部22は、例えば、処理部30によって検出点が判定領域内側にあり、かつ、スイッチ部125から取得したスイッチ信号からスイッチ部125がオン状態にある場合、当該判定領域に対応する選択可能画像が選択決定されたと判定する。制御部22は、例えば、判定結果を機器制御部32に出力するように構成されている。
【0031】
(表示画像生成部24の構成)
表示画像生成部24は、例えば、表示部10に表示させる選択可能画像110等の情報である画像情報280をメモリ38から読み出して表示信号を生成し、表示コントローラ26に出力するように構成されている。
【0032】
(表示コントローラ26の構成)
表示コントローラ26は、例えば、表示信号に基づいた画像を表示部10に表示させるため、表示部10を制御するように構成されている。
【0033】
ここで、画像情報280は、一例として、通信部40を介して電子機器から取得され、表示部10に表示させる表示画像情報に基づいて規定部28により生成される。この画像情報280は、例えば、図1(a)に示すような50音表示、及び各文字を囲む枠等の画像データを含んで構成されている。また、画像情報280は、例えば、制御対象である電子機器のメニュー画面や地図画面等、種々の表示データを含んで構成されている。さらに、画像情報280は、例えば、後述する表示領域、及び判定領域に関する情報を含んで構成されている。
【0034】
(規定部28の構成)
図3は、実施の形態に係る判定領域を説明するための模式図である。なお、この図3に示す境界線5、判定領域114a及び判定領域114bは、実際に表示部10に表示されるものではない。
【0035】
規定部28は、例えば、取得した表示画像情報に基づいて画像情報280を生成する。つまり、規定部28は、一例として、図3に示すように、表示部10に表示させる選択可能画像110の情報として、枠画像、文字画像、判定領域、及び非判定領域の情報を含む画像情報280を生成する。以下では、選択可能画像110の例として、隣り合う選択可能画像111a及び選択可能画像111bを用いて説明する。
【0036】
画像情報280に含まれる選択可能画像111aの情報は、一例として、枠画像112a、文字画像113a、判定領域114a、及び非判定領域115の情報を含んで構成されている。この選択可能画像111aは、検出部12に対する操作により選択され、検出部12を押し込むことにより選択が決定される。選択が決定されることで、表示入力装置1は、例えば、表示部10又はセンターディスプレイ62の入力枠に、50音の「あ」を表示させる。
【0037】
また、画像情報280に含まれる選択可能画像111bの情報は、例えば、枠画像112b、文字画像113b、判定領域114b、及び非判定領域115の情報を含んで構成されている。この選択可能画像111bは、検出部12に対する操作により選択され、検出部12を押し込むことにより選択が決定される。選択が決定されること(以下に選択決定と記載する。)で、表示入力装置1は、例えば、表示部10又はセンターディスプレイ62の入力枠に、50音の「か」を表示させる。以下では、主に、選択可能画像111aについて説明するが、選択可能画像111b及びその他の選択可能画像についても同様の機能及び構成を有するものとする。
【0038】
枠画像112a及び文字画像113aは、表示部10に表示される画像である。この枠画像112aは、例えば、枠内に表示される文字画像113aを選択決定するための目安として設けられた画像である。本実施の形態においては、例えば、図3に示すように、選択可能画像111aの枠画像112aと、選択可能画像111bの枠画像112bと、は重なっているものとする。文字画像113aは、例えば、枠画像112a内に表示されるように表示部10に表示されるものである。
【0039】
判定領域114aは、規定部28により規定される領域であり、検出された検出点が、この判定領域114a内側にあるとき、選択可能画像111aは選択されたと判定される。そして、表示入力装置1は、一例として、判定領域114a内側に検出点があるとき、振動発生部42を制御して振動を発生させ、操作者に触覚を呈示する。この判定領域114aは、例えば、隣り合う選択可能画像の境界を越えて規定される。
【0040】
ここで、判定領域が、選択可能画像との距離が一定となるように規定され、かつ、隣り合う選択可能画像と判定領域とが重なるのを防止するため、選択可能画像よりも小さい面積を持つ判定領域となるように規定された場合、図3に示す境界線5に沿って、操作者の指が操作されると、検出点が判定領域内側に属さないので、振動による触覚が呈示されない問題がある。この問題は、上記では図3の縦方向の操作であるが、図3の横方向でも同じ現象が発生する可能性がある。
【0041】
そこで本実施の形態の規定部28は、一例として、図3に示すように、選択可能画像111aとの距離が一定とならない判定領域114aを規定する。言い換えるなら、判定領域114aは、例えば、境界線5に向かって凸となる部分が、判定領域114bでは、凹となり、境界線5を介して対向する判定領域114aと判定領域114bとの間は、幅dとなるジグザグの領域が形成されたようになっている。ただし、判定領域114aの隅と、判定領域114bの隅と、で形成される領域は、この限りではない。
【0042】
選択可能画像111aとの距離が一定とならない判定領域114aを規定するため、この境界線5に向かう判定領域114aの凸の部分は、例えば、境界線5と接するように規定されることが可能となる。このように規定されることにより、境界線5をなぞるように操作された場合でも、検出点が、隣り合う判定領域のどちらかの領域内に存在するので、検出点が選択可能画像上にあることを示す振動を発生させることが可能となる。
【0043】
(処理部30の構成)
処理部30は、例えば、検出点と判定領域とを比較し、検出点が判定領域の内側にあるときは第1の処理を行い、検出点が判定領域の外側の非判定領域にあるときは第2の処理を行うように構成されている。なお、判定領域の内側とは、判定領域と非判定領域との境界を含むものとする。
【0044】
本実施の形態に係る第1の呈示とは、例えば、振動発生部42による振動を付加することであり、第2の呈示とは、振動発生部42による振動を停止することである。つまり、操作者が、検出部12の操作面122に対してなぞり操作を行っているとき、表示入力装置1は、検出点が判定領域に入ると、振動発生部42を介して検出部12に振動を付加し、操作者に触覚を呈示する。
【0045】
ここで、変形例として、表示入力装置1は、第1の呈示として、振動発生部42による振動を停止し、第2の呈示として、振動発生部42による振動を付加する構成であっても良い。つまり、この場合、操作者が、検出部12の操作面122に対してなぞり操作を行っているとき、表示入力装置1は、検出点が判定領域の外側にある場合は、振動発生部42を介して検出部12に振動を付加して触覚を呈示し、検出点が判定領域にはいると、振動を停止する。
【0046】
(機器制御部32の構成)
機器制御部32は、制御部22が判定した操作と、その操作に割り付けられた機能を定義する機器情報320とに基づいて、車両6に搭載されたナビゲーション装置、空調装置、オーディオ装置、及び運転支援装置等の電子機器を制御するための機器制御信号を生成し、通信部40を介して対応する電子機器に出力する。
【0047】
(センサコントローラ34の構成)
センサコントローラ34は、例えば、検出部12を制御する。具体的には、供給する電圧の制御、供給時間の制御、静電容量の読み出しのタイミングの制御等を行うように構成されている。
【0048】
(クロック信号生成部36の構成)
クロック信号生成部36は、例えば、表示入力装置1の動作に必要なクロック信号を生成し、各部に供給している。
【0049】
(メモリ38の構成)
メモリ38は、例えば、半導体メモリである。このメモリ38には、画像情報280、機器情報320が格納されている。機器情報320は、表示入力装置1が接続される電子機器の情報である。なお、メモリ38は、例えば、表示入力ECU20のROM等のメモリを用いて構成されても良い。
【0050】
(通信部40の構成)
通信部40は、例えば、接続された電子機器と通信可能となるように構成されている。機器情報320は、例えば、この通信部40を介してメモリ38に格納される。この通信部40は、例えば、有線又は無線により、電子機器と接続されている。
【0051】
(振動発生部42の構成)
振動発生部42は、図1(a)に示すように、一例として、検出部12と接触するように配置され、指が近接する又はタッチ(接触)する操作面122を振動させて、振動による触覚呈示を行なう。この振動発生部42は、例えば、ピエゾ(電歪素子)、ソレノイド、モータ、電磁コイル等の種々のアクチュエータを使用することができる。なお、振動発生部42は、複数設けられても良い。
【0052】
(スイッチ部125の構成)
スイッチ部125は、例えば、図2に示すように、表示部10の裏面121、又は検出部12の裏面101、に取り付けられている。また、スイッチ部125は、例えば、それぞれが表示入力ECU20に電気的に接続されている。操作者が表示部10に表示された所望の選択可能画像110を選択(選択操作)して、検出部12を押し込む操作(押圧操作)を行うと、スイッチ部125はオン状態となる。これにより、選択操作に続く押圧操作が可能となる。
【0053】
スイッチ部125は、例えば、タクトスイッチ等の押圧操作によりオン状態又はオフ状態となるスイッチであれば種々のスイッチが使用可能である。本実施の形態では、例えば、図2に示すように、表示部10の裏面101、又は検出部12の裏面121の四隅にスイッチ部125を装着し、検出部12に対して押圧操作がなされて少なくとも1つのスイッチがオン状態を示すスイッチ信号を出力した場合に、制御部22が、押圧操作がなされたと判定する。
【0054】
以下に、本実施の形態に係る表示入力装置1の動作について、図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0055】
(表示入力装置1の動作)
まず、規定部28は、通信部40を介して表示画像情報を取得する(S1)。
【0056】
次に、規定部28は、取得した表示画像情報に基づいて判定領域を設定して画像情報280を生成する(S2)。生成した画像情報280は、メモリ38に格納される。
【0057】
次に、表示画像生成部24は、メモリ38から取得した画像情報280に基づいて表示信号を生成し、表示コントローラ26に出力する。表示コントローラ26は、取得した表示信号を表示部10に出力し、表示部10に画像を表示させる(S3)。
【0058】
次に、検出部12は、クロック信号に基づいてセンサワイヤごとの静電容量を読み出し、検出点を算出する(S4)。
【0059】
次に、処理部30は、算出された検出点と、判定領域と、を比較し、検出点が判定領域の内側にあるとき(S5:Yes)、第1の処理を振動発生部42に行う。
【0060】
次に、振動発生部42は、第1の処理に基づく第1の呈示、すなわち、検出部12に振動を付加する(S6)。なお、振動発生部42が第1の呈示を行っている間、表示入力装置1は、当該選択可能画像が選択された状態を示す表示を行うように構成されても良い。この表示は、一例として、反転表示である。
【0061】
ここで、ステップ5において、処理部30は、検出点が判定領域内側ではないと判定したとき(S5:No)、第2の処理を振動発生部42に行う。振動発生部42は、第1の処理に基づく第2の呈示(S7)、すなわち、振動を停止し、ステップ4に処理を進める。従って、検出点が、判定領域の外側に位置する間は、検出部12に振動が付加されない。
【0062】
このステップ4からステップ7までの動作は、例えば、クロック信号の周期に従って行われ、操作が終了するまで、又は、電源の供給が停止されるまで行われる。また、新しい画面を表示する際は、いずれのステップを実行していてもステップ1に戻って処理が行われる。
【0063】
次に、制御部22は、スイッチ信号に基づいて押圧操作がなされたか否かを判定する。制御部22は、押圧操作がなされたと判定すると、機器情報320と、選択決定された選択可能画像と、に基づいて機器制御信号を生成し、通信部40を介して表示入力装置1が接続されている電子機器に出力する。
【0064】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る表示入力装置1は、検出対象が隣り合う選択可能領域(選択可能画像)間を移動した場合であっても触覚を呈示することができる。例えば、判定領域が、選択可能画像と一致する場合、隣り合う選択可能画像との境界が重なり合う。この重なりを回避するためには、判定領域を選択可能画像よりも小さくする必要があるが、その分、判定領域間を指が通過することで触覚が呈示されない問題が発生する。しかし、本実施の形態に係る表示入力装置1は、選択可能画像との距離が一定とならない判定領域を規定するため、選択可能画像と選択可能画像との境界近傍まで判定領域が重なることなく設定することが可能となり、判定領域間を指が通過する問題を回避することでき、確実に触覚を呈示することができる。
【0065】
表示入力装置1は、第1の呈示として振動を付加することができるので、光の点滅や画像の変化により呈示する場合と比べて、所望の操作を実行するための表示部10及び検出部12への視線移動を抑制することができる。
【0066】
(変形例)
図5(a)及び(b)は、判定領域の変形例を説明するための模式図である。
【0067】
図5(a)に示す変形例は、判定領域と、選択可能画像の選択を検出するための検出領域と、が別々に規定されている点で上記の実施の形態と異なっている。また、この変形例では、一例として、選択可能画像111aの枠画像112aの一辺と選択可能画像111bの枠画像112bの一辺とが重なっている。
【0068】
選択可能画像111aは、例えば、図5(a)に示すように、枠画像112aと、文字画像113aと、判定領域114aと、検出領域116aと、を備えて概略構成されている。また、選択可能画像111bは、例えば、図5(a)に示すように、枠画像112bと、文字画像113bと、判定領域114bと、検出領域116bと、を備えて概略構成されている。
【0069】
それぞれの検出領域は、判定領域を含むように、言い換えるなら、対応する判定領域よりも広い面積を有する。
【0070】
この検出領域116a及び検出領域116bは、例えば、検出点がこの領域内側に存在し、かつ、検出部12に押圧操作がなされた場合、表示されている文字を、所定の入力枠に入力することができる領域である。規定部28は、例えば、表示画像情報に基づいて検出領域116a及び検出領域116bを含む画像情報280を生成する。
【0071】
この変形例に係る表示入力装置1は、判定領域と検出領域とが別々に設定されるので、判定領域の凸の頂点付近で押圧操作されたことで、指がずれて判定領域から外れ、入力がなされない問題を回避することができる。
【0072】
また、図5(b)に示す変形例は、枠画像の外側に判定領域を設定している点で、上記の実施の形態及び変形例と異なっている。
【0073】
この変形例では、選択可能画像111aの枠画像112aと選択可能画像111bの枠画像112bは、重ならないように配置されている。
【0074】
図5(b)に示すように、選択可能画像111aの判定領域114aは、例えば、規定部28により、枠画像112aの外側で、かつ、境界線5を越えて設定されている。また、選択可能画像111bの判定領域114bは、例えば、規定部28により、枠画像112bの外側で、かつ、境界線5を越えて設定されている。ただし、判定領域114a及び判定領域114bは、重なり合わないように設定される。
【0075】
この変形例に係る表示入力装置1は、選択可能画像111a及び選択可能画像111bが離れて配置され、さらに、境界線5に沿ったなぞり操作が行われた場合、境界線5を越えて判定領域114a及び判定領域114bが設定されているので、確実に触覚を呈示することができる。
【0076】
なお、上記の実施の形態及び各変形例に係る選択可能画像や判定領域等は、一例であって、その形状は限定されるものではなく、変更可能である。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…表示入力装置
5…境界線
6…車両
10…表示部
12…検出部
14…駆動部
16…タッチ検出部
20…表示入力ECU
22…制御部
24…表示画像生成部
26…表示コントローラ
28…規定部
30…処理部
32…機器制御部
34…センサコントローラ
36…クロック信号生成部
38…メモリ
40…通信部
42…振動発生部
60…センターコンソール
62…センターディスプレイ
100…表示画面
101…裏面
110…選択可能画像
111a、111b…選択可能画像
112a、112b…枠画像
113a、113b…文字画像
114a、114b…判定領域
115…非判定領域
116a、116b…検出領域
120…センサ基板
121…裏面
122…操作面
123、124…センサワイヤ
125…スイッチ部
280…画像情報
320…機器情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択が可能な複数の選択可能画像を表示する表示部と、
前記選択可能画像を選択するためになされた操作を検出して検出点を算出する検出部と、
前記選択可能画像の選択を判定するための判定領域を、前記選択可能画像との距離が一定とならないように規定する規定部と、
前記検出点と前記判定領域とを比較し、前記検出点が前記判定領域の内側にあるときは第1の処理を行い、前記検出点が前記判定領域の外側にあるときは第2の処理を行う処理部と、
前記第1の処理に基づいて第1の呈示を行い、前記第2の処理に基づいて第2の呈示を行う呈示部と、
を備えた表示入力装置。
【請求項2】
前記呈示部は、前記第1の呈示として前記検出部に振動を付加し、前記第2の呈示として前記検出部の振動を停止させる、又は、前記第1の呈示として前記検出部の振動を停止し、前記第2の呈示として前記検出部に振動を付加する請求項1に記載の表示入力装置。
【請求項3】
前記判定領域は、隣り合う選択可能画像の境界を越えて規定される請求項1又は2に記載の表示入力装置。
【請求項4】
前記規定部は、前記判定領域と、前記選択可能画像の選択を検出するための検出領域と、を別々に規定する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示入力装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109607(P2013−109607A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254622(P2011−254622)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】