説明

表示処理装置及び信号供給装置

【課題】外部の装置の停止状態の種別に応じた表示が可能な表示処理装置等を提供する。
【解決手段】表示処理装置は、外部の装置の状態を表す信号を受信する信号受信手段と、前記信号受信手段が受信した前記信号に応じた表示態様の表示を表示部に行わせる表示処理手段と、を備え、前記信号は、正常な停止状態を表す正常停止信号、又は、異常による停止状態を表す異常停止信号であることを含み、前記表示処理手段は、前記信号が、前記正常停止信号であるか、前記異常停止信号であるかで、前記表示態様を異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示処理装置及び信号供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1には、ABS切替スイッチを押圧したオン状態のままメインスイッチがオンにされると、メータユニット内のABS警告灯を点灯し、ABS切替スイッチのオン状態が維持されたままABS警告灯の点灯が第1の所定時間(例えば、5秒)継続されるとABS警告灯を消灯し、このABS警告灯の消灯後、第2の所定時間(例えば、1秒)が経過する前にABS切替スイッチが離されてオフ状態にされると、ABSを停止モードに切り替えると共に、ABS警告灯の点滅を開始する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、アンチロックブレーキシステムの異常時に油圧アクチュエータを制御するソレノイドへの電源供給をメインリレーを用いて強制的に遮断し、通常のブレーキシステムに切り換えると共にウォーニングランプを点灯させるウォーニングランプ制御回路において、該異常時に該ウォーニングランプと該メインリレーとの間を電気的に開いて該ウォーニングランプの故障コード点滅制御手段を動作可能にする開閉手段を設けた事を特徴とするウォーニングランプ制御回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−213512号公報
【特許文献2】実開平5−62376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記技術のように、第1の装置(ランプが配置された装置等)と第2の装置(ABS等)とがある場合に、上記の技術では、第2の装置の停止状態の種別に応じた表示(ランプの点滅等)を第1の装置で出来なかった。また、第2の装置の動作状態の指定(停止等の指定)を第1の装置から行っても、第2の装置がその通りの動作状態になっていない場合に対処が出来なかった。また、第2の装置は、自身の異なる複数種の状態を第1の装置に通知できなかった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的とするところは、第2の装置である外部の装置の停止状態の種別に応じた表示が可能な表示処理装置を提供することにある。また、第2の目的とするところは、外部の装置の動作状態の指定(停止等の指定)を行ったときに、外部の装置がその通りの動作状態になっていない場合に対処ができる信号供給装置を提供することにある。また、第3の目的とするところは、自身の異なる複数種の状態を外部の装置に通知できる信号供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点にかかる表示処理装置は、
外部の装置の状態を表す信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した前記信号に応じた表示態様の表示を表示部に行わせる表示処理手段と、を備え、
前記信号は、正常な停止状態を表す正常停止信号、又は、異常による停止状態を表す異常停止信号であることを含み、
前記表示処理手段は、前記信号が、前記正常停止信号であるか、前記異常停止信号であるかで、前記表示態様を異ならせる、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点にかかる信号供給装置は、
外部の装置に前記外部の装置の状態を指定する第1の信号を供給する信号供給手段と、
前記外部の装置の状態を表す第2の信号を受信する信号受信手段と、
を備え、
前記信号供給手段は、前記信号供給手段が供給した前記第1の信号が指定する状態と前記信号受信手段が受信した前記第2の信号が表す状態とが異なる場合に、再度前記第1の信号を前記外部の装置に供給する、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の観点にかかる信号供給装置は、
自身の状態を表す信号を外部に供給する信号供給装置であって、
前記自身の状態が正常である場合には、所定のPWM信号を前記外部に供給し、前記自身の状態が異常である場合には、前記所定のPWM信号とは異なるパルス幅のPWM信号を前記外部に供給する制御手段を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の観点にかかる表示処理装置によれば、外部の装置の停止状態の種別に応じた表示ができる。また、本発明の第2の観点にかかる信号供給装置によれば、外部の装置の動作状態の指定を行ったときに、外部の装置がその通りの動作状態になっていない場合に対処ができる。また、本発明の第3の観点にかかる信号供給装置によれば、自身の異なる複数種の状態を外部の装置に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示処理システムの構成図である。
【図2】図1の表示処理システムのECUが行う第2の電気信号供給処理のフローチャートである。
【図3】表示処理システムにおける、外部ユニットの状態と、第2の信号と、表示処理システムの表示態様と、の関係をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の説明及び図面によって限定されるものではない。下記での説明及び図面によって示される構成等を適宜変更(構成要素の削除も含む)することができるのはもちろんである。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
【0013】
本実施形態にかかる表示処理システム1は、自動車、自動二輪車等の車両に搭載される。表示処理システム1は、表示処理装置10と外部ユニット20(通知装置の一例)とを含む。表示処理装置10は、外部ユニット20に接続される。
【0014】
表示処理装置10は、車両用計器である。表示処理装置10は、操作部11と、制御部12と、表示部13と、を備える。また、表示処理装置10は、他にも、車両用計器に使用される一般的な要素(指針等)を備える。
【0015】
操作部11は、スイッチボタン等を含む入力装置によって構成され、ユーザからの操作を受け付け、受け付けた操作内容に応じた内容の操作情報を制御部12に供給する。なお、操作部11は、表示処理装置10の外部に配置され、外部から操作情報を制御部12に供給するものであってもよい。
【0016】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、各種入出力ポート等を含むマイクロコンピュータ等のコンピュータによって構成される。制御部12は、表示処理装置10全体を制御する。本実施形態では、ROMに記録されたプログラムに従ってCPUが処理を行うことによって、制御部12が行う処理が行われることになる。なお、CPUは、処理を行うときに、ROMに記録されたデータを適宜使用する。また、制御部12は、フラッシュメモリ等の他の記憶装置をROM等の代わりに又はROM等に加えて備えても良い。プログラムは、ネットワークを介して、又は、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録されて、制御部12に供給されても良い。
【0017】
制御部12は、操作部11からの操作情報に応答して所定の処理を行うほか、外部ユニット20に第1の電気信号(第1の信号)を供給することによって、外部ユニット20の動作を制御するとともに、外部ユニット20から供給される第2の電気信号(第2の信号)を受け取って、この第2の電気信号に応じて表示部13に所定の表示を行う(詳しくは後述する。)。
【0018】
表示部13は、ワーニングインジケータ用の発光素子等によって構成され、制御部12の制御のもと所定の表示を行う。
【0019】
外部ユニット20は、ECU(Electronic Control Unit)21、各種装置22を含む。外部ユニット20は、ABS(Antilock Brake System)を構成する。
【0020】
ECU21は、例えば、プログラムによって動作するマイクロコンピュータ等のコンピュータを含み、各種装置22や、車両の他の要素(ブレーキペダル、エンジン等)を制御する。特にECU21は、各種装置22及び車両の他の要素(ブレーキペダル、エンジン等)に含まれる各装置から、各種電気信号を受信し、受信した電気信号に基づいて、各種装置22や、車両の他の要素を制御する。プログラムは、予めECU21の記憶部に記録されるか、ネットワークを介して、又は、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録されて、制御部12に供給されても良い。
【0021】
各種装置22は、例えば、油圧制御装置、ソレノイドバルブ、キャリパーブレーキ、ダンパー、スピードセンサ等の装置を含む。ECU21には、ABSモードが設定又は非設定される。ABSモードの設定時、ECU21は、ブレーキペダルがある基準よりも強く踏まれたこと(急ブレーキ)を表す電気信号をブレーキペダルから受信すると、各種装置22を制御して、各種装置22にABSの連続的なブレーキ動作を行わせる。このようにして、ECU21にABSモードが設定されている場合には、外部ユニット20はABSとして機能する。ABSモードの非設定時、ECU21は、前記の電気信号をブレーキペダルから受信しても前記ブレーキ動作を行わせない。このときは、ABSは正常であるので、外部ユニット20はABSとしての動作を正常に停止している。ECU21へのABSモードの設定・非設定は、制御部12からの第1の電気信号によって行われる。
【0022】
次に、表示処理システム1における動作について説明する。
【0023】
初期状態においては、ECU21には、ABSモードが設定されているものとする。また、車両の運転者は、操作部11を操作することによって、ABSモードを設定する又は非設定にすることが出来る。車両の運転者は、ABSを動作させないことを望む場合に、操作部11を操作して、ABSの動作の停止を指示する操作を行う。操作部11は、この操作内容に応じた内容の操作情報を制御部12に供給する。制御部12は、この操作情報を取得すると、ABSモードを非設定にすることを指定する信号(第1の電気信号)を生成して、ECU21に供給する。ECU21にこの信号が供給されると、ECU21には、ABSモードが非設定される。車両の運転者は、ABSを再度動作させることを望む場合に、操作部11を操作して、ABSの動作再開を指示する操作を行う。操作部11は、この操作内容に応じた内容の操作情報を制御部12に供給する。制御部12は、この操作情報を取得すると、ABSモードを設定にすることを指定する信号(第1の電気信号)を生成して、ECU21に供給する。ECU21にこの信号が供給されると、ECU21には、ABSモードが再度設定される。
【0024】
ここで、ECU21の行う処理について説明する。ECU21は、記憶部を含み、この記憶部は、下記の処理で使用されるデータを適宜記憶し、ECU21は、そのデータを適宜使用するものとする。
【0025】
ECU21は、車両のイグニッションスイッチがONになって、ECU21が動作を開始するとともに下記の処理を開始し、イグニッションスイッチがOFFになって、ECU21が動作を終了するとともに下記の処理を終了する。
【0026】
また、ECU21は、各種装置22が供給する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を順次解析して、所定期間毎に、各種装置22の各装置のいずれかに異常が発生しているかを判別し、異常があった場合には、異常があることと異常の種別とを示す異常情報を記憶する。
【0027】
本実施形態では、ECU21は、各電気信号を解析し、各電気信号のうちのいずれかが通常ではあり得ない信号に該当している場合、その信号を供給する装置に何らかに異常が発生していると判別し、それ以外では、各装置のいずれにも異常が発生していないと判別する。なお、ECU21は、異常が発生していると判別したときには、ABSモードの非設定時と同様に、ABSとしての動作を停止する(異常停止1又は2)。
【0028】
通常ではあり得ない信号としては、例えば、所定の閾値を超える、通常ではあり得ない電流値が第1所定期間続く異常信号A、電圧値又は電流値が第2所定期間略0(ゼロ)となっている異常信号B、電圧値又は電流値が通常ではあり得ないような変化(例えば、或る時間間隔において或る基準を超えるような変化)を示す異常信号Cがある。
【0029】
なお、電圧値又は電流値が0になっている場合には、実際には電気信号が供給されていない状態になっている場合もあるが、このような場合であっても、電圧値又は電流値が0である電気信号が供給されているものと捉えることができるので、電気信号Bが供給されているものとして扱う。
【0030】
ECU21は、各種装置22から供給される各電気信号における電流値又は電圧値を順次時系列に沿って計測する。ECU21は、計測した電流値が前記の所定の閾値を或る時間間隔において超えた場合、その電気信号が異常信号Aに該当すると判別する。ECU21は、計測した電流値又は電圧値が或る時間間隔において、略0(完全に0も含む。)になっている場合には、その電気信号は異常信号Bに該当すると判別し、ECU21は、計測した電流値又は電圧値が或る時間間隔において、或る基準を超えて変化した場合には、その電気信号は異常信号Cに該当すると判別する。ECU21は、各電気信号のいずれかが異常信号A乃至Cに該当する場合には、異常があることと、どの異常信号に該当しているか(異常の種別)とを示す異常情報を生成して記憶する。
【0031】
なお、通常ではあり得ない信号が電気信号Aである場合、その信号を供給する装置の回路が一部短絡している可能性がある。通常ではあり得ない信号が電気信号Bである場合、その信号を供給する装置が全く機能していないか、ECU21と装置との接続線が断線している可能性がある。通常ではあり得ない信号が電気信号Cである場合、その信号を供給する装置の動作が異常である可能性がある。
【0032】
次に、ECU21が、上記の、異常が発生しているかの判別処理と並行して行う第2の電気信号の供給処理を、図2を参照して説明する。
【0033】
ECU21は、異常情報を記憶しているか判別し(ステップS101)、異常情報を記憶していない場合(ステップS101;NO)には、続いてABSモードが設定されているかを判別する(ステップS103)。この場合、各種装置22のいずれにも異常は発生していないことになる。
【0034】
ECU21は、自身にABSモードが設定されていると判別すると(ステップS103;YES)、パルス幅Aを有するPWM(Pulse Width Modulation)信号A(第2の電気信号)を第2の電気信号として生成して供給することを開始する(ステップS105)。これ以降、ECU21は、他のPWM信号を生成して出力する等するまで、PWM信号Aを制御部12に供給し続ける。また、ECU21は、PWM信号Aを制御部12にすでに供給しているときは、ステップS105をスキップする。
【0035】
ECU21は、自身にABSモードが設定されていないと判別すると(ステップS103;NO)、パルス幅Bを有するPWM信号B(第2の電気信号)を生成して制御部12に供給することを開始する(ステップS104)。これ以降、ECU21は、他のPWM信号を生成して出力する等するまで、PWM信号Bを制御部12に供給し続ける。また、ECU21は、PWM信号Bを制御部12にすでに供給しているときは、ステップS104をスキップする。
【0036】
ECU21は、異常情報を記憶している場合(ステップS101;YES)には、異常情報に含まれる異常の種別に応じたパルス幅のPWM信号を生成して制御部12に供給する(ステップS102)。例えば、ECU21は、異常の種別が、電気信号が異常信号Cに該当することを示す場合(つまり、異常停止1に該当する場合)に、パルス幅Cを有するPWM信号C(第2の電気信号)を制御部12に供給し、電気信号が異常信号A又はBに該当することを示す場合(つまり、異常停止2に該当する場合)には、パルス幅Dを有するPWM信号D(第2の電気信号)を制御部12に供給する。なお、各種装置22のうち、複数の装置について異常があり、異常の種別が異なる場合には、予め定められた規則に従って、一種類のPWM信号を生成し、制御部12に供給する。例えば、異常の程度が深刻な異常の種別に従ってPWM信号を生成する。本実施形態では、電気信号が異常信号Cに該当するよりも、異常信号A又はBに該当する方が、その装置の異常は深刻と考えられるため、例えば、二つの異常情報が、それぞれ、電気信号が異常信号A及びCに該当することを示す場合には、パルス幅Dを有するPWM信号Dを生成し、生成したPWM信号Dを制御部12に供給する。これ以降、ECU21は、他のPWM信号を生成して出力する等するまで、PWM信号Dを制御部12に供給し続ける。また、ECU21は、生成して制御部12に供給しようとしているPWM信号と同じ種類のPWM信号を制御部12にすでに供給しているときは、ステップS102をスキップする。例えば、異常の種別が、電気信号が異常信号A又はBに該当することを示す場合で、すでに、PWM信号Dを生成して供給している場合には、ステップS102をスキップする。
【0037】
上記のようにして、ECU21は、各種装置22のうちのいずれかに異常が発生した場合には、その異常の種別に応じたPWM信号C又はDを制御部12に供給する。また、ECU21は、ABSモードが設定され、かつ、各種装置22のいずれにも異常がない場合には、PWM信号Aを供給する。また、ECU21は、ABSモードが設定されておらず、かつ、各種装置22のいずれにも異常がない場合には、PWM信号Bを供給する。なお、PWM信号A乃至Dのパルス幅は全て互いに異なる。
【0038】
次に、制御部12が行う表示処理について説明する。
【0039】
制御部12は、ECU21から供給されるPWM信号の種類に応じて、表示部13に異なる表示を行わせる。例えば、制御部12は、ECU21からPWM信号Aが供給されている場合には、表示部13の発光素子を消灯させる。また、制御部12は、ECU21からPWM信号Bが供給されているときには、表示部13の発光素子を点灯させる。また、制御部12は、ECU21からPWM信号Cが供給されているときには、第1の点滅周期で表示部13の発光素子を点滅させる(第1の点滅)。また、制御部12は、ECU21からPWM信号Dが供給されているときには、第2の点滅周期(第1の点滅周期よりも早い周期)で表示部13の発光素子を点滅させる(第2の点滅)。
【0040】
また、制御部12は、ABSモードを設定又は非設定にすることを指定する第1の電気信号に対応した第2の電気信号がECU21から供給されているかを判別し、対応していなければ、第1の電気信号を再送する。例えば、制御部12は、ABSモードを設定することを指定する第1の電気信号を供給したのにPWM信号Aが供給されていなければ、再度この第1の電気信号を供給する。また、例えば、制御部12は、ABSモードを非設定にすることを指定する第1の電気信号を供給したのにPWM信号Bが供給されていなければ、再度この第1の電気信号を供給する。
【0041】
また、制御部12は、電圧値又は電流値が所定期間略0(ゼロ)となっている第2の電気信号が供給されている場合(この場合、ECU21と制御部12との接続線が断線している可能性がある。)には、第3の点滅周期(第1及び第2の点滅周期とは異なる周期)で表示部13の発光素子を点滅させる(第3の点滅)。なお、電圧値又は電流値が0になっている場合には、実際には電気信号が供給されていない状態になっている場合もあるが、このような場合であっても、電圧値又は電流値が0である電気信号が供給されているものと捉えることができるので、第2の電気信号がECU21から供給されているものとして扱う。この場合の第2の電気信号は、Duty比が0%(つまり、パルス幅が0であるパルス幅E)のPWM信号(Low信号)Eであるものとして捉えることができる。
【0042】
以上、説明したように、外部ユニット20は、自身の状態(制御部12との断線も含む)に応じたPWM信号を表示処理装置10に供給し、供給された表示処理装置10は、PWM信号に応じた表示を行うので(図3参照)、表示処理装置10は、外部ユニット20の状態(制御部12との断線も含む)を運転者に報知できる。
【0043】
本実施形態では、上記の構成によって表示処理装置10は、外部ユニット20(外部の装置)の状態を表す信号を受信する信号受信手段(ここでは、制御部12)と、信号受信手段が受信した前記信号に応じた表示態様の表示を表示部13に行わせる表示処理手段(ここでは、制御部12)と、を備える。そして、表示処理手段は、第2の信号が、外部ユニット20(ABS)の正常な停止状態(つまり、ABSは正常であるが、運転者等のユーザの指定によって停止している状態)を表す正常停止信号(ここでは、PWM信号B)であるか、外部ユニット20(ABS)の異常による停止状態(つまり、ABSを構成する装置が異常であることによって停止している状態)を表す異常停止信号(ここでは、PWM信号C又はD)であるかで、表示態様(ここでは、点灯又は点滅状態)を異ならせる。これによって、外部ユニット20(ABS)の停止状態の種別(異常停止であるか正常停止であるか)に応じた表示ができる。これによって、運転者等のユーザは、外部ユニット20が異常停止であるか正常停止であるかを確認できることができる。
【0044】
また、正常停止信号は、第1のパルス幅の第1のPWM信号(ここでは、PWM信号B)であり、異常停止信号は、前記第1のパルス幅とは異なるパルス幅の第2のPWM信号(ここでは、PWM信号C又はD)であるため、PWM信号のパルス幅の解析によって、停止状態の種別が容易に分かる。
【0045】
前記の信号(第2の電気信号)は、外部ユニット20との断線を表す断線信号(ここでは、PWM信号E)であることを含み、表示処理手段は、前記の信号が、前記正常停止信号であるか、前記異常停止信号であるか、前記断線信号であるかで、前記表示態様(点灯、点滅等)を異ならせるので、ユーザは、異常停止状態、正常停止状態、断線状態断線状態のいずれの状態であるかを見分けることができる。
【0046】
前記異常停止信号は、異常の種別(異常停止1又は異常停止2)に応じて複数種(ここでは、PWM信号C又はD)あり、複数種の異常停止信号は、互いにパルス幅の異なるPWM信号であり、表示処理手段は、前記PWM信号のパルス幅に応じて表示態様(点滅周期)を異ならせるので、ユーザは、異常停止状態についてさらに細かく見分けることが出来る。
【0047】
また、本実施形態では、上記の構成によって表示処理装置10は、外部ユニット20に外部ユニット20の状態を指定する第1の信号を供給する信号供給手段(ここでは、制御部12)と、外部ユニット20の状態を表す第2の信号を受信する信号受信手段(ここでは、制御部12)と、を備える信号供給装置になっている。そして、信号供給手段は、前記信号供給手段が供給した前記第1の信号が指定する状態と前記信号受信手段が受信した前記第2の信号が表す状態とが異なる場合に、再度前記第1の信号を外部ユニット20に供給するので、外部の装置の動作状態の指定を行ったときに、外部の装置がその通りの動作状態になっていない場合に対処ができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記構成によって外部ユニット20は、外部ユニット20自身の状態を表す信号を外部に供給する信号供給装置となっており、自身の状態が正常である場合には、所定のPWM信号(ここでは、PWM信号A又はB)を表示処理装置10に供給し、前記自身の状態が異常である場合には、前記所定のPWM信号とは異なるパルス幅のPWM信号(ここでは、PWM信号C又はD)を表示処理装置10に供給する制御手段(ここでは、ECU21)を備える。これによって、自身の異なる複数種の状態(異常又は正常の状態)を外部の装置に通知できる。
【0049】
本発明は、ABSだけでなく、外部ユニットに対して制御内容を送信し、それの状態を受信、表示するシステム等に適用することが可能である。また、制御部12の分解能、又は識別能力に従って、異常の種別を細かく分類して、PWM信号の種類を多くすることによりインジケータ点滅動作の種類を多くし、異常の種別等を細かくユーザへ報知してもよい。複数の情報をコード化して伝える、フェイルセーフ処理を持つ等、専用のハードウェアを実装することなく多重通信同等の機能を実現することが可能であり、廉価版の車両用表示装置への応用が可能である。また、表示部13は、LCD等で構成されてもよく、この場合には、外部ユニット20の状態を文字での表示等の表示態様で表示してもよい。この場合、文字、アイコン等によって状態を表示することによって、表示態様を変化させる。
【符号の説明】
【0050】
1 表示処理システム
10 表示処理装置
11 操作部
12 制御部
13 表示部
20 外部ユニット
21 ECU
22 各種装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の装置の状態を表す信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した前記信号に応じた表示態様の表示を表示部に行わせる表示処理手段と、を備え、
前記信号は、正常な停止状態を表す正常停止信号、又は、異常による停止状態を表す異常停止信号であることを含み、
前記表示処理手段は、前記信号が、前記正常停止信号であるか、前記異常停止信号であるかで、前記表示態様を異ならせる、
ことを特徴とする表示処理装置。
【請求項2】
前記正常停止信号は、第1のパルス幅の第1のPWM信号であり、
前記異常停止信号は、前記第1のパルス幅とは異なるパルス幅の第2のPWM信号である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示処理装置。
【請求項3】
前記信号は、前記外部の装置との断線を表す断線信号であることを含み、
前記表示処理手段は、前記信号が、前記正常停止信号であるか、前記異常停止信号であるか、前記断線信号であるかで、前記表示態様を異ならせる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示処理装置。
【請求項4】
前記異常停止信号は、異常の種別に応じて複数種あり、
複数種の前記異常停止信号は、互いにパルス幅の異なるPWM信号であり、
前記表示処理手段は、前記PWM信号のパルス幅に応じて前記表示態様を異ならせる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示処理装置。
【請求項5】
外部の装置に前記外部の装置の状態を指定する第1の信号を供給する信号供給手段と、
前記外部の装置の状態を表す第2の信号を受信する信号受信手段と、
を備え、
前記信号供給手段は、前記信号供給手段が供給した前記第1の信号が指定する状態と前記信号受信手段が受信した前記第2の信号が表す状態とが異なる場合に、再度前記第1の信号を前記外部の装置に供給する、
ことを特徴とする信号供給装置。
【請求項6】
自身の状態を表す信号を外部に供給する信号供給装置であって、
前記自身の状態が正常である場合には、所定のPWM信号を前記外部に供給し、前記自身の状態が異常である場合には、前記所定のPWM信号とは異なるパルス幅のPWM信号を前記外部に供給する制御手段を備える、
ことを特徴とする信号供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−53208(P2012−53208A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194775(P2010−194775)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】