説明

表示制御システム、表示制御装置及びプログラム

【課題】一の表示装置に表示された表示内容と関連する表示内容を表示する他の表示装置に対する意識を高めさせ該他の表示装置が表示する情報を容易に気付かせること。
【解決手段】表示制御手段1は、第1の情報を表示するメータパネル2と、前記第1の情報に関連する第2の情報を表示するセンタディスプレイ3と、メータパネル2及びセンタディスプレイ3の表示制御を行う制御ユニット7を備える。制御ユニット7を構成する表示制御部17は、メータパネル2からセンタディスプレイ3に対する所定の演出をメータパネル2及びセンタディスプレイ3の少なくとも1つに入れて運転者の意識をメータパネル2の表示画面からセンタディスプレイ3の表示画面に向けさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する情報の表示制御を行う表示制御システム、表示制御装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の正面に配置された一の表示装置に表示される情報に連動して助手席側に配置された他の表示装置に該情報に関連する情報を表示させる技術がある。
例えば、残りの燃料が少なくなってきたことを示す残燃料警告表示が一の表示装置(メータパネル)に表示されると自車位置近傍の給油所が存在するか検索し、地図表示により給油施設に関する地図情報を他の表示装置(センタディスプレイ(カーナビゲーション装置))に表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−51975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、残りの燃料が少なくなってきたことを示す残燃料警告表示がなされている場合であっても、運転者が正面を向いている場合、一の表示装置に表示される残燃料警告表示には気付くが、他の表示装置に表示された給油施設に関する地図情報までは気付きにくい。
【0005】
このため運転者は、他の表示装置に給油施設に関する地図情報が表示されているにもかかわらず、該地図情報を見過ごしてそれを利用する機会を失う場合があった。
そこで、本発明は、運転者に対して一の表示装置に表示された表示内容と関連する表示内容を表示する他の表示装置に対する意識を高めさせて該他の表示装置が表示する情報を容易に気付かせるための表示制御システム、表示制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためになされた本発明に係る表示制御システムは、第1の情報を表示する第1の表示手段と、前記第1の情報に関連する第2の情報を表示する第2の表示手段と、前記第1の表示手段から前記第2の表示手段に対する所定の演出を第1の表示手段及び第2の表示手段の少なくとも1つに入れて運転者の意識を前記第1の表示手段の表示画面から第2の表示手段の表示画面に向けさせる制御手段とを備えて構成される。
【0007】
前記第1の表示手段から前記第2の表示手段に対する所定の演出、すなわち、運転者の意識を第1の表示手段の表示画面から第2の表示手段の表示画面に向けさせるような演出を第1の表示手段及び第2の表示手段の少なくとも1つに入れたので、第2の表示装置に対する運転者の意識を高めることができる。このため、前記第2の表示手段に表示される情報を運転者に容易に気付かせることができる。
【0008】
なお、前記演出は、光の点灯、光の点滅、点灯箇所の移動のうちのいずれか一つ又は少なくとも二つ以上の組み合わせによって行われることが望ましい(請求項2)。
「光の点灯」、「光の点滅」、及び、「点灯箇所の移動」がなされれば、人の意識は自然と光の方向に向くので、第2の表示装置に対する運転者の意識をさらに高めることができる。このため、前記第2の表示手段に表示される情報を運転者にさらに容易に気付かせることができる。
【0009】
また、前記第1の表示手段が、車両に関する情報を表示する表示領域を有する車両情報表示部と、前記車両の運転者から見て前記車両情報表示部の前記表示領域の少なくとも一部と重なる位置に情報を虚像として表示する虚像表示部とで構成され、前記演出が前記虚像表示部に表示された虚像に対して行われるようにしてもよい(請求項3)。
【0010】
虚像表示部に表示された虚像は、運転者から見て車両情報表示部の表示領域の少なくとも一部と重なる位置に表示されているので運転者からは浮き上がるように見える。このため、車両情報表示部における表示に比べて視認しづらいため虚像を認識しずらい場合がある。
【0011】
上記構成によれば、演出を虚像表示部に表示された虚像に対して行うことにより運転者は演出が行われた虚像により注視するようになり結果として第1の表示手段に表示され演出が行われた虚像を運転者に容易に気付かせることができる。また、その演出は運転者の意識を前記第1の表示手段の表示画面から第2の表示手段の表示画面に向けさせるものであるので、運転者に第2の表示手段に表示される情報を容易に気付かせることができる。
【0012】
また、前記演出が行われた虚像が前記車両情報表示部に表示された情報の表示に対して強調されるように前記車両情報表示部の表示を制御するようにしてもよい(請求項4)。
したがって、車両情報表示部に表示された情報の表示に対して虚像が強調されるため運転者はその虚像を視認し易くなるので、さらに容易に虚像に気付くことができる。その虚像に対して、運転者の意識を前記第1の表示手段の表示画面から第2の表示手段の表示画面に向けさせる演出が行われているので、第2の表示手段に表示される情報にさらに容易に気付かせることができる。
【0013】
操作が行われた結果を受けて該結果を操作信号として出力する操作部をさらに備え、前記制御手段は、第1の表示手段及び第2の表示手段の少なくとも1つに入れられた前記演出が開始されてからの時間を計測する時間計測手段を備え、前記制御手段は、前記第2の情報に対応する操作が行われた結果に基づく前記操作信号の入力が前記演出の開始後所定期間が経過するまでになかった場合に、前記演出をさらに強調して表示させるようにしてもよい(請求項5)。
【0014】
このようにすることにより、所定期間が経過するまで運転者が演出に気付かなかった場合(操作信号の入力が演出の開始後所定期間が経過するまでになかった場合)でも、演出がさらに強調されるため運転者に演出が行われた情報を気付かせる可能性を高めることが
できる。
【0015】
操作が行われた結果を受けて該結果を操作信号として出力する操作部をさらに備え、前記制御手段は、前記第2の情報に対応する操作が行われた結果に基づく前記操作信号の入力があった場合に、開始済みの前記演出を中止させるようにしてもよい(請求項6)。
【0016】
すでに運転者が、演出が行われた情報の表示に気付いた場合には、それ以上、意識を誘導させるための演出を行わせる必要性は少なく、また、演出が行われた情報の表示に気付いたにもかかわらず演出による無意味な意識の誘導が繰り返し行われると運転者が煩わしさを感じたりすることもある。
【0017】
したがって、すでに運転者が演出された情報の表示に気付いた場合(第2の情報に対応する操作が行われた結果に基づく操作信号の入力があった場合)にその開始済みの演出を中止させることによって、無意味な意識誘導の繰り返しによる上述した弊害を軽減することができる。
【0018】
また、上述した表示制御システムの制御部としての機能を表示制御装置によって実現してもよい(請求項7)。この表示制御装置を表示手段に組み合わせることによって上述した表示制御システムにおける効果と同様の効果が得られる。
【0019】
また、上述した制御手段の機能をプログラムによって実現してもよい(請求項8)。このようなプログラムを、表示制御装置が内蔵するコンピュータに実行させれば、その表示制御装置は、上述した本発明の表示制御装置と同様の作用及び効果を奏する。また、プログラムはネットワーク等を用いて流通させることも可能である上、表示制御装置におけるプログラムの入れ替えは、部品の入れ替えに比較して容易である。したがって、表示制御装置の機能向上を容易に行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る表示制御システムの構成を表す図である。
【図2】本発明に係る表示制御システムの制御ユニットによる表示制御の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る表示制御システムのメータパネル及びセンタディスプレイに表示される一例を示した図である。
【図4】本発明に係る表示制御システムのメータパネル及びセンタディスプレイに表示される他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態について図1を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る表示制御システム1の構成を表す図である。
表示制御システム1は、具体的には、図1に示すように、メータパネル2と、センタディスプレイ3と、ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」と呼ぶ。)4と、制御ユニット7と、ナビECU8と、オーディオECU9と、エアコンECU10と、ボディECU11と、遠隔操作デバイス12と、ステアリングスイッチ13とを備えて構成されている。
【0022】
メータパネル2は、運転席の正面に配置され、運転者に対して車両に関する種々の情報を表示するものであり、例えば、実メータパネル(車両情報表示部)6と虚像用ディスプレイ(虚像表示部)5とを備えて構成されている。
【0023】
なお、実メータパネル6以外に、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイを用いて構成されたものが知られている。本実施の形態では、実メータパネル6を用いた例を適用して説明する。
【0024】
実メータパネル6の表示領域は、図3に示すように左右方向に3つの部分に分割され、例えば、車両の運転者に対して車両の走行速度を示すメータ表示領域(中央エリアに表示)と、エンジンの回転数を示す回転数表示領域(左エリアに表示)と、エンジンの冷却水温度を示す情報や燃料の残量を示す車両状態表示領域(右エリアに表示)で構成されている。
【0025】
なお、実メータパネル6には、光を実メータパネルに照明することによって実メータパネル6の視認性を向上させる機能を有するメータバックライト(図示せず)が設けられている。
【0026】
虚像用ディスプレイ5は、例えば、オーディオECU9、エアコンECU10、ナビECU8、ボディECU11等から送出される情報に係る虚像を表示するものであり、虚像が投影されるハーフミラー等の透光性を有する光学部材(図示せず)と、投影される虚像に係る画像を生成する表示器(図示せず)と、虚像の投影に用いられる光を出射する光源(図示せず)とを備えた構成が挙げられる。
【0027】
虚像用ディスプレイ5は、表示制御部17から出力される操作画面を表示させるための表示制御信号にしたがってGUI(Graphic User Interface)画像で構成された操作画面を表示する。ここで、GUI画像とは、表示制御部17内のGUI生成部(図示せず)で生成された文字図形情報であり、例えば、アイコンやスイッチ、各種シンボルマーク等からなる意匠画像が挙げられる。GUI画像は光学部材に投射され、例えば、図3のメータパネル2の左エリアの虚像用ディスプレイ5に表示される。
【0028】
虚像用ディスプレイ5に表示される操作画面上のアイコンを選択する操作は、ステアリングスイッチ13の方向キーを押下してカーソルをアイコン等に移動させて、ステアリングスイッチ13の選択決定ボタンで決定することにより行われる。
【0029】
ここで、ステアリングスイッチ13の方向キーを押下したときにはスイッチオン信号が車両情報処理部16に送出され、選択決定ボタンを押下して文字図形情報の選択が決定したときに後述する指示選択信号が車両情報処理部16に送出される。
【0030】
尚、ステアリングスイッチ13以外にも、例えば、チルトコマンドスイッチ等でもよい。
遠隔操作デバイス12としていわゆるリモートスイッチを用いており、該リモートスイッチはカーナビゲーション装置を遠隔操作するための操作スイッチであり、カーナビゲーション装置に関する設定情報(例えば、地図表示設定情報)を設定するための制御信号等をナビECU8や表示制御部17に出力するものである。
【0031】
センタディスプレイ3は、自動車の車室内において、運転者の前方にあるダッシュボード上で、運転席と助手席の中間となる位置に配置されている。尚、センタディスプレイ3については、本実施の形態では、カーナビゲーション装置を構成する表示部を用いた例を適用して説明する。
【0032】
尚、センタディスプレイ3は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置であり、ナビECUから送出される映像信号に対応した映像(例えば、地図情報)を表示する。
【0033】
ナビゲーション装置の操作デバイスとしては、後述する遠隔操作デバイス(リモートスイッチ)12を用いており、運転席のすぐ横にあるセンターコンソールの上面に配置されており、運転者が遠方へ手を伸ばしたり姿勢を変えたりすることなく容易に操作できるようになっている。
【0034】
制御ユニット7は、車両情報処理部16と表示制御部17を含んで構成され、ステアリングスイッチ13や車両情報部(図示せず)などから各種の情報を入力するとともに、実メータパネル6、センタディスプレイ3、HUD4、虚像用ディスプレイ5に表示される情報の表示状態を制御するとともに、遠隔操作デバイス12とステアリングスイッチ13のいずれを操作させるのかを上記情報の内容に応じて決定する機能も有する。
【0035】
車両情報処理部16は、ステアリングスイッチ13の方向キーを押下したときに送出されるスイッチオン信号を監視し、スイッチオン信号が入力された場合、入力されたスイッチオン信号に基づいてステアリングスイッチ13が押下されたか否かを判定する機能を有する。
【0036】
また、車両情報処理部16は、ステアリングスイッチ13の選択決定ボタンで選択決定されたときに送出される指示選択情報を監視し、入力された指示選択情報を表示制御部17に出力する。なお、指示選択信号は、例えば、オーディオ装置、エアコンに関する設定情報(音量、音質、温度、風量、画質等の設定情報)を設定する操作画面を表示させるための指示選択信号、カーナビゲーション装置における地図情報と関連する情報を表示させるための指示選択信号である。
【0037】
表示制御部17は、車室内に配線された制御バス14を介して実メータパネル6、センタディスプレイ3、HUD4、虚像用ディスプレイ5、ナビECU8、オーディオECU9、エアコンECU10、ボディECU11、遠隔操作デバイス12、及び、ステアリングスイッチ13に接続され、主に実メータパネル6、センタディスプレイ3、HUD4、及び、虚像用ディスプレイ5の表示を制御している。
【0038】
表示制御部17は、具体的には、ステアリングスイッチ13からの指示選択情報を受けて、図示しないROM及びRAMに記憶された表示制御プログラムに基づいて、メータバックライトの点消灯制御、実メータパネル6、センタディスプレイ3、HUD4、虚像用ディスプレイ5の表示制御を行うものである。
【0039】
表示制御部17は、図示しない周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0040】
ナビECU8は車両に搭載されたカーナビゲーション機器を制御するためのものである。オーディオECU9は、車両に搭載されたオーディオ機器を制御するためのものである。エアコンECU10は、車両に搭載された空調装置(エアコン)を制御するためのものである。ボディECU11は、車両における各部分(ミラーやシート等)の状態を測定するセンサ(図示せず)を備え、該センサから出力される測定結果(車両における各部分の状態を示す信号)を出力し、車両における各部分の動作を制御するものである。
【0041】
そして、これら各ECU8,9,10,11は、マイクロコンピュータを中心に構成され、制御バス14を介して他のECUとの間でデータ通信ができるようにされている。
ステアリングスイッチ13は、ステアリングホイール15の左側(運転者が左手で操作可能な領域)及び右側(運転者が右手で操作可能な領域)に配置されたメカニカルなキースイッチであり、情報を選択する上下左右の方向キーと該情報の選択を決定(確定)する選択決定ボタンで構成されている。
【0042】
本実施の形態では、表示制御部17が実メータパネル6に表示された車両に関する情報(燃料残量情報等)に基づいて、該車両に関する情報に関連した情報をGUI画像として虚像表示部に表示させるとともにセンタディスプレイ3に表示させる例を適用して説明する。なお、表示制御部17における処理の詳しい内容については後述する。
【0043】
以下に、上記した構成からなる表示制御システム1における表示制御について図2〜図4を参照しながら説明する。
ボディECU11は、燃料タンク(図示せず)に貯留されているガソリンなどの燃料の残量を燃料タンク内に設けられた燃料残量センサから出力される情報に基づいて測定し、燃料残量が所定量以下になったときに制御ユニット7の車両情報処理部16に燃料残量警告信号を出力する(S101)。車両情報処理部16は表示制御部17に前記燃料残量警告信号を送出する。表示制御部17は車両情報処理部16から燃料残量警告信号が入力されると実メータパネル6に対して燃料残量警告表示を行う(S102)。
【0044】
車両情報処理部16は燃料残量警告信号が入力されると最寄のガソリンスタンドを検索するガソリンスタンド検索要求信号をナビECU8に出力する(S103)。
ナビECU8は、ガソリンスタンド検索要求信号が入力されると図示しないメモリに格納された地図情報に基いて最寄のガソリンスタンドを検索しその検索結果を表示制御部17に出力する(S104)。
【0045】
表示制御部17はその検索結果に基いて、車両の現在位置に最も近い、例えばA社のガソリンスタンドに関する識別情報(例えば石油会社のハウスマーク等)を虚像用ディスプレイ5に表示するための虚像表示指示信号を虚像用ディスプレイ5に出力する(S105)。
【0046】
虚像用ディスプレイ5には、虚像表示指示信号にしたがって、例えばA社のガソリンスタンドに関する識別情報19が図3(1A)に示すように表示される(S106)。なお、表示する際に所定の演出が入れられる。
【0047】
ここで、所定の演出とは、虚像用ディスプレイ5において虚像表示された画像を構成する光を点灯させ、その点灯箇所を運転席側から助手席側に移動させ、センタディスプレイ3において最寄のガソリンスタンド付近の地図情報を表示させるとともに虚像用ディスプレイ5に虚像表示されたGUI画像と同様のGUI画像を表示させるという演出である(図3参照)。
(演出の変形例1)
上記した演出以外にも、例えば、虚像用ディスプレイ5に虚像表示された画像を構成する光を点滅させると同時に、センタディスプレイ3に表示され前記虚像表示された画像と同様の画像を点滅表示させることによる演出でもよい。
【0048】
この場合、センタディスプレイ3に表示された画像の点滅の開始のタイミングは虚像表示された画像の点滅のタイミングと同じであってもよいし、所定時間経過後に点滅を開始してもよいし、虚像表示された画像を構成する光を点滅させる前でもよい。
【0049】
虚像表示された画像を構成する光の点滅表示については、例えば、虚像用ディスプレイ5を構成する表示器(図示せず)の出力のオンオフを繰り返すことにより虚像用ディスプレイ5の表示領域内で点滅表示させる。
【0050】
このようにすることにより、運転者に対してセンタディスプレイ3の方向に意識を向けさせることができる。
(演出の変形例2)
虚像用ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3に同じ画像を点灯表示するだけの演出でもよい。この場合、例えば、虚像用ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3に点灯表示する画像の色彩や大きさを同じにすることにより、運転者はセンタディスプレイ3の方向に自然と意識が向き、視線をその方向へ向けさせることができる。
(演出の変形例3)
車両に左右のフロントスピーカ(図示せず)が設けられている場合に、虚像用ディスプレイ5に画像が表示されたときに運転者から見て左のフロントスピーカから警告音を発生させてもよい。
【0051】
また、右のフロントスピーカから左のフロントスピーカへ警告音を移動させるように音場制御を行ってもよい。
このようにすることにより、運転者は警告音の発生方向に意識が向くので、運転者の意識を助手席側に誘導させることができる。
(演出の変形例4)
実メータパネル6の上部からセンタディスプレイ3の上部にまで続く位置に配置されたLED列を使って意識誘導を行ってもよい。このLED列は、これを構成する複数のLEDを独立して点灯・消灯させることができるようになっており、表示制御部17に接続されて制御されるようになっている。
【0052】
具体的には、実メータパネル6側のLEDからセンタディスプレイ3側のLEDまで順に所定時間の間隔で点灯させ、所定時間経過後に全てのLEDを消灯させた状態に保ち、その後再び実メータパネル6側のLEDからセンタディスプレイ3側のLEDまで順に所定時間の間隔で点灯させ、この動作を繰り返す。
【0053】
このようにすることにより、運転者はLEDの存在方向に意識が向くので、運転者の意識を助手席側に誘導させることができる。
以下、図2のフローチャートに戻って表示制御システム1における表示制御の処理の説明をする。
【0054】
車両情報処理部16ではステアリングスイッチ13が押下されたか否かの判定を行う(S107)。ステアリングスイッチ13が押下されたか否かの判定は、具体的には、ステアリングスイッチ13からのスイッチオン信号を検出して行う。スイッチオン信号が検出された場合にはステアリングスイッチ13が押下されたと判定され、スイッチオン信号が検出されない場合にはステアリングスイッチ13が押下されていないと判定される。
【0055】
ステアリングスイッチ13が押下されていると判定された場合(S107でYES)には、車両情報処理部16は、ステアリングスイッチ13からの指示選択情報を取得し、該指示選択情報を表示制御部17に出力する。
【0056】
S107においてステアリングスイッチ13が押下されていないと判定された場合(S107でNO)には、後述する車両停止か否かの判定処理(S108)に移行する。
表示制御部17は、指示選択情報が入力されると、該指示選択情報に基づいて後述する所定の演出を入れたGUI画像を虚像用ディスプレイ5に表示させるための第1の設定モーション表示制御信号を虚像用ディスプレイ5に出力する(S108)。なお、所定の演出を入れたGUI画像は、虚像用ディスプレイ5の代わりにHUD4に表示するようにしてもよい。
【0057】
虚像用ディスプレイ5は、所定の演出を入れたGUI画像を表示させるための第1の設定モーション表示制御信号が入力され、所定の演出を入れたGUI画像(例えば、A社のガソリンスタンドに関する情報)を生成して表示する。
【0058】
この所定の演出は、例えば、生成されたGUI画像(本実施の形態ではガソリンスタンドAの表示)を構成する光の点灯箇所を虚像表示領域内において運転席側から助手席側の方へ移動させるという演出(図3参照)であるがこれに限定するものではない。
【0059】
運転席側から助手席側の方へ移動させるという演出をGUI画像に入れることにより、運転者は助手席側にあるセンタディスプレイ3の方向に意識が向き、自然と視線をその方向へ向けさせることができる。
【0060】
演出を入れたGUI画像が虚像用ディスプレイ5に表示されると車両情報処理部16から設定モーション表示完了信号が表示制御部17に出力される(S109)。表示制御部17は、設定モーション表示完了信号が入力されると、後述する所定の演出を入れたGUI画像を虚像用ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3に表示させるための第2の設定モーション表示制御信号をセンタディスプレイ3に出力する(S110)。
【0061】
センタディスプレイ3は、S103のガソリンスタンド検索要求信号にしたがって最寄のガソリンスタンド付近の地図情報を表示するとともに、第2の設定モーション表示制御信号にしたがって虚像用ディスプレイ5に虚像表示されたGUI画像と同様のGUI画像を表示する。
【0062】
このGUI画像は地図情報に重ねて表示される(S111、図3参照)。GUI画像は最寄のガソリンスタンド付近の地図情報に重ねて表示してもよいし、地図情報が表示された表示範囲内であればどこに表示してもよい。
【0063】
なお、上記した演出が行われたGUI画像はセンタディスプレイ3の表示領域の内の運転席側の領域に表示されるのが好ましい。このようにすれば、虚像用ディスプレイ5に表示されたGUI画像とセンタディスプレイ3に表示されたGUI画像との間隔は短かくなり、虚像用ディスプレイ5に表示されたGUI画像とセンタディスプレイ3に表示されたGUI画像の一体感が高まるので、虚像用ディスプレイ5に表示されたGUI画像を視認した運転者はセンタディスプレイ3に表示されたGUI画像にも容易に気付き易くなり、その結果、運転者の意識をセンタディスプレイ3の方向に向け易くすることができるからである。
【0064】
センタディスプレイ3に表示されたGUI画像は、センタディスプレイ3が液晶ディスプレイで構成されている場合には表示領域内の所定位置(座標)に当該GUI画像が表示されるように表示制御される。センタディスプレイ3が液晶ディスプレイ及び虚像ディスプレイ(図示せず)で構成されている場合には虚像ディスプレイに演出が行われたGUI画像が虚像表示される。
【0065】
また、上記画像をセンタディスプレイ3と虚像用ディスプレイ5とHUD4に同時に表示するようにしてもよい。
次に、S107でステアリングスイッチ13が押下されていないと判定された場合(S107でNO)には、制御ユニット7の車両情報処理部16は、ボディECU11からの所定の情報に基づいて車両が停止したか否か、より具体的には、車両のエンジンが停止したか否かの判定を行う(S112)。
【0066】
エンジンが停止したか否かの判定は、エンジンを制御するエンジンECU(図示せず)などの制御部の動作状況や、エンジンの振動や温度などを測定するセンサの出力等に基づいて判別するが、特にこれに限定するものではない。
【0067】
S112において車両のエンジンが停止していないと判別された場合(NOの場合)には、S107の処理に戻る。S112においてエンジンが停止したと判別された場合(YESの場合)には、エンジンECUは車両停止信号を車両情報処理部16に出力する。
【0068】
車両情報処理部16は、車両停止信号が入力されるとステアリングスイッチ13からの指示選択情報を取得する。
指示選択情報が取得された場合には、表示制御部17は、この指示選択情報に基づいて後述する所定の演出を入れたGUI画像を虚像用ディスプレイ5に表示させるための第3の設定モーション表示制御信号を虚像用ディスプレイ5及び車両情報処理部16に出力する(S113)。なお、所定の演出を入れたGUI画像は、虚像ディスプレイ5の代わりにHUD4に表示するようにしてもよい。
【0069】
虚像用ディスプレイ5は、後述する所定の演出(第1の演出)を入れたGUI画像を表示させるための第3の設定モーション表示制御信号にしたがってGUI画像(例えば、A社のガソリンスタンドに関する識別情報)19及び帯状の画像20を表示する。
【0070】
ここで、第1の演出とは、第1の色調を有するGUI画像19を該第1の色調とは異なる第2の色調を有する帯状の画像20に重ねて表示させるという演出である。
GUI画像19及び帯状の画像20が虚像用ディスプレイ5に表示された後、第3の設定モーション表示制御信号が入力された車両情報処理部16は設定モーション表示完了信号を表示制御部17に出力する(S114)。
【0071】
表示制御部17は、設定モーション表示完了信号が入力されると、後述する所定の演出(第2の演出)が行われた画像をセンタディスプレイ3に表示させるための第4の設定モーション表示制御信号をセンタディスプレイ3に出力する(S115)。
【0072】
ここで、第2の演出とは、センタディスプレイ3において最寄のガソリンスタンド付近の地図情報を表示させるとともに虚像用ディスプレイ5に虚像表示された帯状の画像20と帯幅及び色調が同じである帯状の画像21を点灯表示させ、この点灯表示された帯状の画像21を運転席側から助手席側に移動させる(図4(2A)→(3A))演出である。なお、本例では帯状の画像20と帯状の画像21とは帯幅及び色調を同じにしているが、帯の形状又は帯の長さを同一にしてもよく、帯の形状、帯の長さ、帯幅、色調の全てを同じにしてもよく、これらの内の少なくとも1つを同じにしてもよい。
【0073】
この点灯画像を移動させながら表示する態様以外にも、虚像表示された画像(帯状の図形)を構成する光を点滅させると同時に、センタディスプレイ3に表示された帯状の画像を点滅表示させることによって演出を行ってもよい。この点滅表示についての詳細はすでに上記しているのでここではその説明を省略する。
【0074】
また、点滅表示以外にも、上記変形例1〜4に記載された演出と同様の演出を行ってもよく、この場合にも上記同様の効果が得られる。上記変形例1〜4に記載された演出についての詳細な説明はすでに上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。
【0075】
その後、センタディスプレイ3の方向に意識を向けた運転者が遠隔操作デバイス12によってセンタディスプレイ3内の設定画面25(図4(4A)参照)の操作を行い、詳細な情報が反映された地図情報がセンタディスプレイ3に表示される(S117)。
【0076】
上記した演出が行われることにより、運転者はセンタディスプレイ3の方向に自然と意識が向き、視線をその方向へ向けるという意識を高めることができる。
また、S109とS111の処理によって虚像用ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3に表示され演出が行われた画像を、虚像用ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3いずれか一方のみに表示させてもよく、この場合にも上記同様の効果が得られる。
【0077】
また、S114とS116の処理によって虚像用ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3に表示され演出が行われた画像も、虚像用ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3いずれか一方のみに表示させてもよく、この場合にも上記同様の効果が得られる。
【0078】
上述したように表示制御システムの表示制御を行うことにより、運転者はセンタディスプレイ3の方向に自然と意識が向き、視線をその方向へ向けるという意識を高めることができる。
【0079】
また、虚像用ディスプレイ5に情報を虚像表示する際、該情報と重畳する実メータパネル6におけるエリアを照明するためのメータバックライトを消灯することが望ましい。
このようにすることにより、虚像の背景を暗くさせ虚像の表示が強調されるため、運転者は虚像表示された情報が視認し易くなる。
[他の実施の形態1]
本実施の形態に係る表示制御システムの制御ユニット7には、演出が開始されてからの時間を計測する時間計測手段(図示せず)が設けられている。
【0080】
本実施の形態は、運転者等の操作が行われた結果を受けて該結果を操作信号として出力する操作部(例えば、遠隔操作デバイス(リモートスイッチ)12、ハードスイッチ(図示せず)等)から表示制御部17に何ら操作信号が出力されなかった場合に、メータパネル2及びセンタディスプレイ3に表示される情報に対する演出をさらに強調させるという実施形態である。以下、具体的に説明する。
【0081】
演出が開始された後所定期間が経過するまでに、センタディスプレイ3に表示された情報に対応する操作(例えば、地図情報の表示に対してさらに詳細に表示設定する操作)が行われた結果に基づく操作信号の入力が表示制御部17に対してされなかった場合に、表示制御部17は演出をさらに強調するように虚像ディスプレイ5又はセンタディスプレイ3、若しくは、虚像ディスプレイ5及びセンタディスプレイ3を表示制御する。
【0082】
演出をさらに強調する態様としては、例えば、明度、輝度、色度等を強調させる態様がある。
このようにすることにより、演出が開始された後所定期間が経過するまで運転者が演出された情報に気付かなかった場合でも、演出がさらに強調されるため運転者に演出が行われた情報を気付かせる可能性を高めることができる。
【0083】
[他の実施の形態2]
本実施の形態は、演出された情報がメータパネル2及びセンタディスプレイ3に表示され、この演出された情報に対応する操作を運転者等が操作部に対して行った場合に、すでに開始済みの演出を中止させるという実施形態である。
【0084】
具体的には、センタディスプレイ3に演出された情報が表示されている場合であって、その演出された情報に対応する操作(例えば、地図情報の表示に対してさらに詳細に表示設定する操作)が行われた結果に基づく操作信号の入力が表示制御部17にあった場合に、表示制御部17は開始済みの演出を中止させる。例えば、演出が光の点滅であった場合にはその点滅を中止する。
【0085】
したがって、すでに運転者が演出が行われた情報の表示に気付いた場合に、現在開始している演出そのものを中止させることによって、無意味な意識の誘導が繰り返し行われることによる煩わしさ等の弊害を軽減することができる。
【0086】
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
【符号の説明】
【0087】
1…表示制御システム、2…メータパネル(第1の表示手段)、3…センタディスプレイ(第2の表示手段)、4…ヘッドアップディスプレイ(HUD)、5…虚像用ディスプレイ(虚像表示部)、6…実メータパネル、7…制御ユニット(制御手段)、13…ステアリングスイッチ、16…車両情報処理部、17…表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報を表示する第1の表示手段と、
前記第1の情報に関連する第2の情報を表示する第2の表示手段と、
前記第1の表示手段から前記第2の表示手段に対する所定の演出を第1の表示手段及び第2の表示手段の少なくとも1つに入れて運転者の意識を前記第1の表示手段の表示画面から第2の表示手段の表示画面に向けさせる制御手段とを備えた
ことを特徴とする表示制御システム。
【請求項2】
前記演出は、光の点灯、光の点滅、点灯箇所の移動のうちのいずれか一つ又は少なくとも二つ以上の組み合わせによって行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御システム。
【請求項3】
前記第1の表示手段が、車両に関する情報を表示する表示領域を有する車両情報表示部と、前記車両の運転者から見て前記車両情報表示部の前記表示領域の少なくとも一部と重なる位置に情報を虚像として表示する虚像表示部とで構成され、
前記演出が前記虚像表示部に表示された虚像に対して行われる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御システム。
【請求項4】
前記演出が行われた虚像が前記車両情報表示部に表示された情報の表示に対して強調されるように前記車両情報表示部の表示を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示制御システム。
【請求項5】
操作が行われた結果を受けて該結果を操作信号として出力する操作部をさらに備え、
前記制御手段は、第1の表示手段及び第2の表示手段の少なくとも1つに入れられた前記演出が開始されてからの時間を計測する時間計測手段を備え、
前記制御手段は、前記第2の情報に対応する操作が行われた結果に基づく前記操作信号の入力が前記演出の開始後所定期間が経過するまでになかった場合に、前記演出をさらに強調して表示させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示制御システム。
【請求項6】
操作が行われた結果を受けて該結果を操作信号として出力する操作部をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2の情報に対応する操作が行われた結果に基づく前記操作信号の入力があった場合に開始済みの前記演出を中止させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示制御システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の表示制御システムにおける前記制御手段を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の表示制御システムにおける前記制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−179959(P2012−179959A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42803(P2011−42803)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】