説明

表示制御装置、表示制御装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体

【課題】閲覧者の興味・注目を引きながら、広告等の提示したい情報を明確に表示することが可能な表示制御装置を提供できるようにする。
【解決手段】閲覧者の関心が推定される所定の条件(滞在時間、表示面への近接、閲覧者の所定のジェスチャー、など)の充足により、素材画像(提示したい情報)を大きくして(分割係数を小さくして)表示することにより、閲覧者の目を引いた上で、提示したい内容(宣伝)を視認容易なモザイク画像に変化させることで広告効果を上げることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示制御装置、表示制御装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体に関し、特に、表示装置に閲覧者の関心を引きながら広告コンテンツ等を表示するデジタルサイネージに用いて好適な表示制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
広告、案内等を表示する方法としては、看板や大型ディスプレイがある。また、近年は、ディスプレイの閲覧者に対応してコンテンツを表示する「デジタルサイネージ」といわれる広告表示が登場している。
【0003】
特許文献1には、ディスプレイに沿って通行する人の近傍に所定のサイズのテキストおよび画像等の映像情報をその人の移動に従って表示する移動体付随情報表示装置の技術が開示されている。
また、閲覧者に対応したコンテンツ画像の生成技術として、特許文献2には、ユーザの画像データをピクト画像に変換し、予め用意されたテンプレート画像に当てはめて実画像に完成させる技術が開示されている。
また、特許文献3には、複数の画像間の比較から特定被写体を抽出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−115270号公報
【特許文献2】特開2004−30076号公報
【特許文献3】特開平9−186936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にて提案された移動体付随情報表示装置は、表示するコンテンツ自体を閲覧者に対応したものとする技術は開示されないため、閲覧者の興味や注目を引きにくいという問題がある。
また、特許文献2にて開示された画像表示方法においては、ユーザの画像データによりコンテンツ画像を構成するため、コンテンツ画像をユーザに対応したものとすることが可能である。
【0006】
しかし、多数のユーザ画像データでコンテンツ画像を生成した場合には、一つ一つのユーザ画像が相対的に小さくなり、表示される映像がユーザに対応したものと感じさせることが難しい。他方、一つ一つのユーザ画像を大きくしてコンテンツ画像を生成した場合には、コンテンツ画像が不明確となって、広告や情報伝達の効果が小さくなるという問題点があった。
本発明は前述の問題点に鑑み、閲覧者の興味・注目を引きながら、広告等の提示したい情報を明確に表示することが可能な表示制御装置を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示制御装置は、撮像手段により撮像された撮像画像を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得した前記撮像画像に基づく画像を素材画像としてモザイク画像を生成する画像処理手段と、前記画像処理手段で生成した第1のモザイク画像を表示手段に表示した後、前記撮像手段により撮像された撮像画像が特定の条件を満たすと、前記第1のモザイク画像よりも分割数を大きく、かつ前記素材画像のサイズを小さくして前記画像処理手段で生成した第2のモザイク画像を前記表示手段に表示するように制御する表示制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、まず閲覧者の画像を表示することで、閲覧者の興味・注目をひき、次に広告等の情報伝達すべき画像を、閲覧者の画像とモザイク画像の関係になっていることを分からせながら表示するようにした。これにより、閲覧者の興味及び注目を引きながら、提示したい情報をより印象的に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を示し、表示制御装置の構成例を表すブロック図である。
【図2】第1の実施形態による表示制御装置の使用状態を示す外観図である。
【図3】第1の実施形態における判断処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における判断処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態による表示制御装置の使用状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明が適用可能な実施形態による表示制御装置の構成例を、図1のブロック図を参照して説明する。
図1において、11はカメラ部、12はディスプレイ、13は外部I/F、14は記憶媒体、15はCPU、16はワークメモリである。
【0011】
第1の実施形態による表示制御装置10は、カメラ部11により閲覧者を撮像し、記憶媒体14より広告等の情報伝達すべき画像を読みだす。そして、CPU15における処理により、前記情報伝達すべき画像を目標画像として前記撮像した閲覧者の画像を素材画像とするモザイク画像を生成し、ディスプレイ12に表示する。
【0012】
ここで、多数の写真をモザイクのように組み合わせて作成した画像のことをモザイク画像、あるはフォトモザイクと称する。モザイク画像は、複数の小さな画像(以下、素材画像)を並べて1つの大きな画像(以下、目標画像)として見えるようになっている。閲覧者が全体を見ると一つの大きな画像(目標画像)として視認でき、モザイク画像に接近するなどして詳細に見ると目標画像の要素となっている一つ一つの素材画像が視認できる。
【0013】
図2は、本発明の第1の実施形態による表示制御装置10の使用状態を示す外観図である。図2におけるカメラ部21、ディスプレイ22は、それぞれ図1のカメラ部11、ディスプレイ12に相当する。また、PC23は図1の外部I/F13、記憶媒体14、CPU15、ワークメモリ16を備えたパーソナルコンピュータである。図示のように、カメラ部21は、視聴者がディスプレイ22を視認可能な範囲を撮像する。
【0014】
図2(a)において、PC23は、カメラ部21が撮像した撮像画像から抽出した閲覧者27の画像(この例の場合は、閲覧者27の顔画像)を素材画像25としている。また、情報伝達すべき画像を目標画像とするモザイク画像26a(第1のモザイク画像)を、100程度の小さな(粗い)分割数で生成し、ディスプレイ22に表示している。
【0015】
情報伝達すべき画像とは、例えば広告として閲覧者27に宣伝したい内容であり、予め記憶媒体14に記録されている画像である。例えば、カメラメーカーであればカメラの外観の画像などが閲覧者27に宣伝したい広告画像として考えられる。本実施形態では、情報伝達すべき画像として、カメラの画像を例にとって説明する。
【0016】
図2(a)のような表示を行うと、閲覧者27がディスプレイ22に自分の顔が大きく写っていることから、ディスプレイ22に対する閲覧者27の注目・関心をひきやすい。小さな分割数でのモザイク画像26aを表示してから一定の時間が経過するなどして、閲覧者27の関心をある程度ひきつけられたと推定される所定の条件を充足すると、図2(b)に遷移する。なお、分割数についての詳細は後述する。
【0017】
図2(b)は、図2(a)よりも分割数を大きく、すなわち素材画像25のそれぞれを小さくし、目標画像をより高精細に表現したモザイク画像26b(第2のモザイク画像)をディスプレイ22に表示した例である。これにより、閲覧者27は、図2(a)の状態よりは、自分の画像で一体何が表現されようとしているのかを認識しやすくなる。アニメーションをしながら分割数はだんだんと大きくなり、素材画像25はだんだんと小さく、目標画像はだんだんと高精細に視認できるようになっていき、最終的に図2(c)のようなモザイク画像が表示される。
【0018】
図2(c)は、分割数を上限値まで大きくしたことにより、素材画像が十分に小さく、目標画像が十分に高精細に視認されるモザイク画像26cを表示した例である。図2(c)は、図面の都合上、モザイク画像26cを目標画像の線図で図示している。しかし、実際には小さな素材画像25(閲覧者27の顔画像)で構成されており、十分に近寄ってみれば線図ではなく、素材画像25の集合であることが視認できるものとする。
【0019】
閲覧者27は自分の顔画像がだんだんと小さくなっていき、最終的に自分の顔画像で目標画像であるカメラの外観図が表現されていることを確実に認識することができる。これにより、閲覧者27に興味と関心をもって目標画像を視認させることができる。
【0020】
図2(a)〜(c)で説明した表示を実現する具体的な処理について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態による表示制御装置10における判断処理の流れを示すフローチャートである。図3の処理は、記憶媒体14に記録されたプログラムを、CPU15がワークメモリ16に展開して実行することで実現する。
【0021】
S301では、CPU15は、記憶媒体14より情報伝達すべき画像を読み出す。
S302では、カメラ部11を制御してカメラ部11に撮像を行わせ、カメラ部11で撮像した撮像画像を取得する。
S303では、S302で撮像した画像から人物等の特定の被写体の画像を抽出する。抽出する被写体は、前述したモザイク画像を閲覧しているであろう被写体であることが好ましい。画像抽出の技術としては、たとえば特許文献3が特定被写体と背景の画像との比較により行うものを開示するなど、種々多様な技術が実用可能に提供されており、そのいずれを用いるものであっても差支えない。なお、S303の処理を省き、S302で取得した撮像画像をそのまま後述する処理で素材画像としても良い。
【0022】
S304では、前記情報伝達すべき画像を目標画像として、S303で抽出した特定の被写体の画像を素材画像(要素)とするモザイク画像を、分割数Dで生成する。分割数とは、目標画像を何個の素材画像で表現するかを表す変数である。S304では、初期値として予め記憶されている分割数となる。例えば、分割数が500であれば、500個の素材画像を用いてモザイク画像を生成し、分割数が2000であれば2000個の素材画像を用いてモザイク画像を生成する。
【0023】
すなわち、分割数が小さいほどモザイク画像は粗く、目標画像が視認し難い。逆に分割数が大きいほどモザイク画像は高精細であり、目標画像が視認しやすいものとなる。また、本実施形態では、目標画像の大きさは分割数に関わらず一定としている。そのため、分割数が小さければ各素材画像の大きさは大きく、分割数が大きければ各素材画像の大きさは小さくなる。従って、分割数が小さいほど素材画像自体は大きくて視認しやすく、分割数が大きいほど素材画像自体の大きさが小さくて視認しにくいものとなる。
【0024】
本実施形態での分割数Dの初期値は、素材画像が十分に視認できる大きさとなるように定められた値であり、例えば30〜100程度である。なお、素材画像が十分に視認できる大きさとなるかどうかはディスプレイ22の表示サイズ、及び閲覧者27とディスプレイ22との間の距離に応じて異なる。従って、異なる複数の初期値を記憶しておき、ディスプレイ22の表示サイズと、閲覧者27とディスプレイ22の距離の少なくとも一方に応じて使い分けるようにすればより好適である。
【0025】
S305では、S304で生成したモザイク画像をディスプレイ22に表示する。
S306では、S305でモザイク画像の表示を開始してから所定時間t0(数秒程度)が経過したか否かを判定する。モザイク画像の表示を開始してから所定時間t0が経過したと判定した場合はS307に進み、そうでない場合はt0が経過するのを待つ。
【0026】
S306の判定は、モザイク画像を表示したことにより、閲覧者27の関心をある程度引いた状態で、閲覧者27の関心を引いたままモザイク画像を更新するのに好適であると想定されるタイミングを計る目的の判定である。本実施形態では所定時間t0が経過したか否かを判定しているが、閲覧者27の関心を引いたままモザイク画像を更新するのに好適であると想定されるタイミングの判定となれば他の条件でもよい。
【0027】
例えば、カメラ部21で撮像可能な所定の撮像エリア内の閲覧者27の滞在時間が所定の時間に達した(所定の被写体が所定時間にわたり検知され続けた場合)という条件や、ディスプレイ22への近接を検知したことを条件とすることが考えられる。他にも、カメラ部21で撮像されている被写体(閲覧者と想定される被写体)の身振り・手振りなどの特定のジェスチャー、表情の変化、発声などを検知することを条件としてもよい。
【0028】
S307では、モザイク画像の分割数Dを、所定倍率n(nは1より大きい)を掛けて更新する。なお、分割数Dを増やす処理であれば、所定倍率nを掛ける以外の方法でもよい。
S308では、S307で更新した分割数Dによりモザイク画像を生成する。これにより、それまでのモザイク画像よりは高精細で、目標画像が視認しやすく、素材画像が視認し難いモザイク画像が生成される。
【0029】
S309では、S308で生成したモザイク画像をディスプレイ22に表示する。
S310では、分割数Dが、予め定められた上限値Dmax以上となったか否かを判定する。Dmax以上となっていた場合はS312に進み、Dmaxに達していない場合はS311に進む。
S311では、モザイク画像の更新期間分の時間(数十msec程度)待機し、その後S307に進み、分割数Dを更に増やして処理を繰り返す。
【0030】
このように、S307〜S311の処理を繰り返すことで、モザイク画像における素材画像(被写体の画像)がだんだんと小さくなっていき、だんだん目標画像(情報伝達すべき画像)が高精細に視認されるようなアニメーション表示となる。目標画像が十分高精細に視認できるようになったところで分割数Dが上限値Dmaxに達し、アニメーションは止まる(S310でYes)。
【0031】
S312では、分割数Dが上限値Dmax以上となった状態、すなわち高精細なモザイク画像の表示を解除すべき所定の条件(解除条件)を満たすか否かを判定する。解除条件を満たしていない場合は高精細なモザイク画像の表示を継続し、解除条件が満たされた場合は、S302に進み、分割数を初期値に戻して処理を繰り返す。
【0032】
解除条件としては、例えば、分割数Dが上限値Dmax以上となった高精細なモザイク画像を表示した後、一定の時間が経過したことを解除条件にする。また、閲覧者と想定される被写体がカメラ部31の撮像領域から外れたことや、閲覧者と想定される被写体の所定の身振り・手振りなどのジェスチャー、表情の変化、発声があったことなどを撮像画像等から検出したことを条件としてもよい。
【0033】
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、まず素材画像である閲覧者の画像がわかるように少ない分割数によりモザイク画像を構成する。そして、所定時間の経過など閲覧者の関心が推定される所定の条件を満たしたとき、分割数を大きくして広告等の目標画像を精細に表示する。即ち、まず閲覧者の画像を表示することで、閲覧者の興味・注目をひき、次いで広告等の目標画像を精細に表示することで、目標画像の情報を明確に伝達する。このことにより、閲覧者の興味・注目を引きながら、広告等の提示したい情報を伝達する効果を奏し、たとえば広告に利用した場合に広告効果を大きくすることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の表示制御装置は、前述した第1の実施形態とは目的を同じとするが、構成を逆にした例で、素材画像が「カメラ画像」であり、目標画像が「被写体画像」である。本実施形態の画像処理装置の構成は、第1の実施形態で示した図1と同様の構成で実現可能であるため、装置構成の説明は省略する。
【0035】
図4は、本発明の第2の実施形態による表示制御装置10における判断処理の流れを示すフローチャートである。図4の処理は、記憶媒体14に記録されたプログラムをCPU15がワークメモリ16に展開して実行することで実現する。
S401では、CPU15は、記憶媒体14より情報伝達すべき画像を読み出す。
S402では、カメラ部11を制御してカメラ部11に撮像を行わせ、CPU15は撮像された撮像画像を取得する。
【0036】
S403では、前述した情報伝達すべき画像を素材画像とし、カメラ部11で撮像された画像を目標画像とするモザイク画像を分割数Dで生成する。分割数とは、目標画像を何個の素材画像で表現するかを表す変数である。S403では、初期値として予め記憶されている分割数となる。
【0037】
第2の実施形態での分割数Dの初期値は、目標画像が十分に視認できる大きさとなるように定められた値であり、例えば1,000以上である。なお、目標画像が十分に視認できる大きさとなるかどうかはディスプレイ12の表示サイズ、及び閲覧者とディスプレイ12の間の距離に応じて異なる。従って、異なる複数の初期値を記憶しておき、ディスプレイ12の表示サイズと、閲覧者とディスプレイ12の距離の少なくとも一方に応じて使い分けるようにすればより好適である。
【0038】
S404では、S403で生成したモザイク画像をディスプレイ12に表示する。
S405では、S404でモザイク画像の表示を開始してから所定時間t0(数秒程度)が経過したか否かを判定する。モザイク画像の表示を開始してから所定時間t0が経過したと判定した場合はS406に進み、そうでない場合は所定時間t0が経過するのを待機する。
【0039】
S405の判定は、モザイク画像を表示したことにより、閲覧者の関心をある程度引いた状態で、閲覧者の関心を引いたままモザイク画像を更新するのに好適であると想定されるタイミングを計る目的の判定である。本実施形態では所定時間t0が経過したか否かを判定しているが、閲覧者の関心を引いたままモザイク画像を更新するのに好適であると想定されるタイミングの判定であれば他の条件でもよい。
【0040】
例えば、カメラ部11で撮影可能な所定のエリア内の閲覧者の滞在時間が所定の時間に達したという条件や、ディスプレイ12への近接を検知したことを条件とすることが考えられる。他にも、カメラ部11で撮像されている被写体(閲覧者と想定される被写体)の身振り・手振りなどのジェスチャー、表情の変化、発声などを検知することを条件としてもよい。
【0041】
S406では、モザイク画像の分割数Dを、所定倍率(1/n)を掛けて更新する(nは1より大きい)。なお、分割数Dを減らす処理であれば、所定倍率(1/n)を掛ける以外の方法でもよい。
S407では、S406で更新した分割数Dによりモザイク画像を生成する。これにより、それまでのモザイク画像よりは粗い、素材画像が視認しやすく、目標画像が視認し難いモザイク画像が生成される。
【0042】
S408では、S407で生成したモザイク画像を表示する。
S409では、分割数Dが、予め定められた最少分割数Dmin以下となったか否かを判定する。最少分割数Dminとなっていた場合はS411に進み、最少分割数Dmin以下でない場合はS410に進む。
S410では、モザイク画像の更新期間分の時間(数十msec程度)待機し、その後S406に進み、分割数Dを更に減らして処理を繰り返す。
【0043】
このようにS406〜S410の処理を繰り返すことで、モザイク画像における素材画像(情報伝達すべき画像)がだんだんと大きくなっていき、だんだん目標画像(情報伝達すべき画像)が高精細に視認されるようなアニメーション表示となる。素材画像が十分高精細に視認できるようになったところで最少分割数Dminに達し、アニメーションは止まる(S409でYes)。
【0044】
S411では、分割数Dが最少分割数Dmin以下となった状態、すなわちモザイク画像の表示を解除すべき所定の条件(解除条件)を満たすか否かを判定する。解除条件を満たしていない場合はモザイク画像の表示を継続し、解除条件が満たされた場合は、S402に進み、分割数を初期値に戻して処理を繰り返す。
【0045】
解除条件としては、例えば、分割数Dが最少分割数Dmin以下となったモザイク画像を表示した後、一定の時間が経過したことを解除条件とすることができる。また、他にも撮像中に、閲覧者がカメラ部11の撮像領域から外れたことや、閲覧者の所定の身振り・手振りなどのジェスチャー、表情の変化、発声があったこと、などを条件とすることができる。
【0046】
図5は、本発明の第2の実施形態による表示制御装置10の使用状態を示す外観図である。
図5におけるカメラ部51、ディスプレイ52は、それぞれ図1のカメラ部11、ディスプレイ12に相当する。また、PC53は図1のI/F13、記憶媒体14、CPU15、ワークメモリ16を備えたパーソナルコンピュータである。図示のように、カメラ部51は、視聴者がディスプレイ52を視認可能な範囲を撮像する。
【0047】
図5(a)において、PC53は、カメラ部51が撮像した画像を目標画像とし、カメラ広告の画像を素材画像とするモザイク画像56aをディスプレイ52に表示した例である。目標画像は撮像した画像から抽出された、モザイク画像を閲覧しているであろう被写体などの特定の被写体の画像であるとなおよい。モザイク画像56aは比較的大きな(細かい)分割数で生成されている。図5(a)は図面の都合上、モザイク画像56aを目標画像の線図で図示しているが、実際には小さな素材画像55(カメラ画像)で構成されており、十分に近寄ってみれば、線図ではなく素材画像55の集合であることが視認できるものとする。
【0048】
図5(a)のような表示を行うと、閲覧者57がディスプレイ52に自分の顔が大きく写っていることから、ディスプレイ52に対する閲覧者57の注目・関心をひきやすい。モザイク画像56aを表示して一定の時間が経過するなど、閲覧者57の関心をある程度引きつけられたと推定される所定の条件を充足すると、図5(b)に推移する。
【0049】
図5(b)では、図5(a)よりも分割数を小さく、すなわち、素材画像55のそれぞれを大きくし、閲覧者57が一つ一つの素材画像を視認するのに十分な程度の小さな(粗い)分割数としたモザイク画像56b(第2のモザイク画像)が表示されている。
【0050】
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、まず目標画像である閲覧者57の画像が分かるように大きい(細かい)分割数によりモザイク画像56aを構成する。そして、所定時間の経過などして閲覧者57の関心が推定される所定の条件を満たしたとき、分割数を小さくして、広告等の素材画像が明確に視認できるように表示する。
【0051】
即ち、まず閲覧者57を表していることが識別容易なモザイク画像56aを表示することで、閲覧者57の興味・注目をひく。次いで、そのモザイク画像が広告等の素材画像の集合で出来ていることが閲覧者57に分かるようなモザイク画像56bを表示することで、素材画像の情報を伝達する。このことにより、閲覧者57の興味・注目を引きながら、広告等の提示したい情報を閲覧者57に伝達する効果を奏し、たとえば広告に利用した場合に広告効果を得ることができる。
【0052】
なお、CPU15の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、前述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0053】
前述の各実施形態では、電子看板にモザイク画像を利用して、宣伝したい画像をより効果的に注目させるための利用方法を説明したが、閲覧者に対してより確実に閲覧させるべき画像をモザイク画像を利用して表示するものであれば他の場面で適用してもよい。また、装置としても前述のようなシステム構成に限られるものではなく、撮像装置で撮像した画像をディスプレイに表示できるものであれば他の装置でも適用可能である。
【0054】
例えば、カメラ付きパーソナルコンピュータやカメラ付きPDA、カメラ付き携帯電話端末やカメラ付きデジタルフォトフレーム、カメラ付き音楽プレーヤー、カメラ付きゲーム機、カメラ付き電子ブックリーダー、カメラ付き自動販売機などに適用可能である。
【0055】
また、ユーザを撮像するカメラ付きのパーソナルコンピュータにおいて、撮像したユーザの画像を第1の実施形態における素材画像、または第2の実施形態における目標画像とし、パーソナルコンピュータのモニタ上で前述の各実施形態のような表示を行ってもよい。この時、情報伝達すべき画像としては、インターネットを介して取得された広告画像の他、ユーザが設定したお気に入りの画像、備忘録としての画像、各種警告をするための画像などが想定できる。
【0056】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0057】
10 表示制御装置、11カメラ部、12 ディスプレイ、13 外部I/F、14 記憶媒体、15 CPU、16 ワークメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段により撮像された撮像画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した前記撮像画像に基づく画像を素材画像としてモザイク画像を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段で生成した第1のモザイク画像を表示手段に表示した後、前記撮像手段により撮像された撮像画像が特定の条件を満たすと、前記第1のモザイク画像よりも分割数を大きく、かつ前記素材画像のサイズを小さくして前記画像処理手段で生成した第2のモザイク画像を前記表示手段に表示するように制御する表示制御手段とを有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
撮像手段により撮像された撮像画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した前記撮像画像に基づく画像を目標画像として、複数の素材画像よりなるモザイク画像を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段で生成した第1のモザイク画像を表示手段に表示した後、前記撮像手段により撮像された撮像画像が特定の条件を満たすと、前記第1のモザイク画像よりも分割数を小さく、かつ前記素材画像のサイズを大きくして前記画像処理手段で生成された第2のモザイク画像を前記表示手段に表示するように制御する表示制御手段とを有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
前記撮像手段により撮像された撮像画像から特定の被写体の画像を抽出する画像抽出手段を更に有し、前記取得手段によって取得した前記撮像画像に基づく画像は前記画像抽出手段により抽出された前記特定の被写体の画像であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記撮像画像は、前記撮像手段によって前記表示手段を視聴者が視認可能な範囲を撮像した画像であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記特定の条件は、前記表示制御手段が前記第1のモザイク画像を表示してからの所定時間の経過であることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記特定の条件は、前記表示制御手段が前記第1のモザイク画像を表示してからの所定時間の経過であることを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記特定の条件は、前記撮像画像において特定の被写体が所定時間にわたり検知され続けることであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記特定の条件は、特定の被写体が所定の撮像エリア内に検知されることであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記特定の条件は、前記撮像手段によって撮像された被写体の特定のジェスチャーを認識することであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項10】
撮像手段により撮像された撮像画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得した前記撮像画像に基づく画像を素材画像としてモザイク画像を生成する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップで生成した第1のモザイク画像を表示手段に表示した後、前記撮像手段により撮像された撮像画像が特定の条件を満たすと、前記第1のモザイク画像よりも分割数を大きく、かつ前記素材画像のサイズを小さくして前記画像処理ステップで生成した第2のモザイク画像を前記表示手段に表示するように制御する表示制御ステップとを有することを特徴とする表示制御装置の制御方法。
【請求項11】
撮像手段により撮像された撮像画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得した前記撮像画像に基づく画像を目標画像として、複数の素材画像よりなるモザイク画像を生成する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップで生成した第1のモザイク画像を表示手段に表示した後、前記撮像手段により撮像された撮像画像が特定の条件を満たすと、前記第1のモザイク画像よりも分割数を小さく、かつ前記素材画像のサイズを大きくして前記画像処理ステップで生成された第2のモザイク画像を前記表示手段に表示するように制御する表示制御ステップとを有することを特徴とする表示制御装置の制御方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至9のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至9のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−20136(P2013−20136A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154033(P2011−154033)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)