説明

表示制御装置及び表示制御方法、プログラム、並びに記憶媒体

【課題】タッチ操作以外の動作を誤認してタッチパネルを消灯してしまうことを防ぎ、操作性を低下させることがない表示制御技術の実現。
【解決手段】表示制御装置は、タッチパネル式の表示手段と、表示制御装置に物体が接近したことを検知する接近検知手段と、前記表示手段に物体が接近したことを検知可能なタッチ検知手段と、前記接近検知手段によって物体の接近を検知し、かつ、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち所定範囲以上の領域で物体の接近を検知した場合には前記表示手段への表示を行わないように制御する、あるいは前記表示手段の輝度を低減または消灯するように制御し、前記接近検知手段によって物体の接近を検知しても、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち前記所定範囲以上の領域で物体の接近を検知していない場合には前記表示手段への表示を継続するように制御する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルと接近検知手段での検出に基づいて表示制御を行う表示制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、接眼ファインダと被写体構図の決定および撮像により取得された画像の確認用として背面に表示装置を備えた撮像装置が増えている。また、ユーザがより簡単に操作を行うことができるようタッチパネル入力が可能な表示装置を備えたものもある。しかしながら、接眼ファインダを覗いて撮影を行う場合、背面の表示装置が点灯したままだと眩しいという問題があった。これに対し特許文献1では、接眼ファインダ内に設置した光量検知センサで接眼を判定し、背面の表示装置を消灯する表示制御装置が開示されている。
【0003】
また、携帯電話端末などの表示部兼操作部としてもタッチパネルの採用が進んでいる。携帯電話端末では、装置を耳に近付けて通話している状況ではユーザは表示部を見る必要がないため、表示部の照明をつけたままとしていると電力を浪費することになる。また、頭部(耳)に近付けた携帯電話端末が発光していると眩しいという課題もある。これに対し特許文献2では、携帯電話機が耳に近づいたことを検知した場合には表示部および/又は操作部のバックライトをオフ(遮断)して不要な電力消費を回避する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−331472号公報
【特許文献2】特開2005−278043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、タッチパネル入力が可能な表示装置の場合、タッチ操作をユーザの頭部の接近(接眼または耳の接近)と誤検知して意図せず表示装置が消灯してしまう可能性がある。そのため、ユーザがタッチパネルのうちどこをタッチすべきかを見失い、操作性が悪くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、タッチ操作以外の動作を誤認してタッチパネルを消灯してしまうことを防ぎ、操作性を低下させることがない表示制御技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の表示制御装置は、タッチパネル式の表示手段と、表示制御装置に物体が接近したことを検知する接近検知手段と、前記表示手段に物体が接近したことを検知可能なタッチ検知手段と、前記接近検知手段によって物体の接近を検知し、かつ、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち所定範囲以上の領域で物体の接近を検知した場合には前記表示手段への表示を行わないように制御する、あるいは前記表示手段の輝度を低減または消灯するように制御し、前記接近検知手段によって物体の接近を検知しても、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち前記所定範囲以上の領域で物体の接近を検知していない場合には前記表示手段への表示を継続するように制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タッチ操作以外の動作を誤認してタッチパネルを消灯してしまうことを防ぎ、操作性を低下させることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態の撮像装置の外観図。
【図2】本発明に係る実施形態の撮像装置のブロック図。
【図3】本発明に係る実施形態のタッチパネルの接近検知機能の説明図。
【図4】実施形態1の表示制御処理を示すフローチャート。
【図5】実施形態2の表示制御処理を示すフローチャート。
【図6】実施形態2の撮像装置の姿勢に応じて変化する接近検知領域の説明図。
【図7】実施形態3の表示制御処理を示すフローチャート。
【図8】実施形態3の利き目に応じて変化する接近検知領域の説明図。
【図9】本発明に係る実施形態4の携帯電話端末の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<装置構成>図1及び図2を参照して、本発明の表示制御装置を適用した実施形態の撮像装置(本実施形態では、一眼レフデジタルカメラを例に挙げる)の機能及び外観について説明する。なお、本発明は撮像装置に限られず、後述する実施形態1乃至3をタッチパネル式の携帯電話機などにも適用可能である。
【0012】
図1に示す撮像装置100において、表示部101は画像や各種情報を表示するLCDパネルなどであり、操作部104の機能を兼ね備えるタッチパネル式の表示部である。レリーズスイッチ102は撮影指示を行うための操作部である。モードダイアル103は撮像装置100の動作モードを切り替えるための操作部である。104はユーザ操作を受け付ける各種スイッチ、ボタン、タッチパネルなどの操作部材からなる操作部である。
【0013】
105はユーザが被写体構図を決定するための接眼ファインダである。106は接眼ファインダ105に対して、物体が近接していることを検知する接近検知センサである。106a、106bはそれぞれ、接近検知センサ106の赤外発光レンズ窓、受光レンズ窓である。赤外発光レンズ窓106aが一定間隔で赤外光を発光し、赤外受光レンズ窓106bが後述の被検出物体107で反射した光を受光し、その光量により特定の位置に被検出物体107が存在するか判定できる。
【0014】
107は接近検知センサ106の被検出物体であり、接眼時の顔、タッチ操作時の指などである。
【0015】
図2において、撮像素子201は被写体の光学像を電気信号に変換するCCDやCMOSなどのイメージセンサである。ユーザがレリーズスイッチ102を押すことで不図示のレンズなどを介して被写体の光学像を結像し光電変換を行う。
【0016】
A/D変換部202は、撮像素子201から出力されるアナログ電気信号をデジタル信号に変換する。
【0017】
画像処理部203は、A/D変換部202からのデータ、又は、後述のメモリ制御部204からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部203では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、得られた演算結果に基づいて後述のシステム制御部208が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。さらに、画像処理部203では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0018】
メモリ制御部204は、A/D変換部202、画像処理部203、表示部101、後述のメモリ205と外部着脱メモリ206でデータの送受信を制御する。
【0019】
メモリ205は、撮像素子201によって得られA/D変換部202によりデジタル信号に変換された撮像データや、表示部101に表示するための画像データを格納する。メモリ205は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0020】
外部着脱メモリ206は、撮影画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0021】
不揮発性メモリ207は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ207には、後述のシステム制御部208の動作用の定数、プログラム等が記憶されている。ここでいうプログラムとは、後述するフローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0022】
システム制御部208は、撮像装置100全体を制御する。不揮発性メモリ207に記録されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの各処理を実現する。また、システム制御部208はメモリ205や表示部101などを制御することにより表示制御も行う。
【0023】
システムメモリ209には、RAMが用いられ、システム制御部208の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ207から読み出したプログラム等を展開する。
【0024】
モードダイアル103、後述の第1レリーズスイッチ102a、第2レリーズスイッチ102b、及び操作部104は、ユーザ操作に応じてシステム制御部208に各種の動作指示を入力するための操作手段を構成する。
【0025】
モードダイアル103は、システム制御部208の動作モードを静止画記録モード、動画記録モード、及び再生モードのいずれかに切り替える。静止画記録モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、プログラムAEモード、カスタムモード等がある。モードダイアル103で、静止画撮影モードに含まれるこれらのモードのいずれかに直接切り替えられる。あるいは、モードダイアル103で静止画撮影モードに一旦切り換えた後に、静止画撮影モードに含まれるこれらのモードのいずれかに、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。第1レリーズスイッチ102aは、撮像装置100に設けられたレリーズスイッチ102の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でオンとなり第1レリーズスイッチ信号SW1を発生する。第1レリーズスイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作を開始する。
【0026】
第2レリーズスイッチ102bは、レリーズスイッチ102の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でオンとなり、第2レリーズスイッチ信号SW2を発生する。システム制御部208は、第2レリーズスイッチ信号SW2により、撮像素子201からの信号読み出しから外部着脱メモリ206に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0027】
操作部104の各操作部材は、表示部101に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部101に表示される。ユーザは、表示部101に表示されたメニュー画面と、上下左右の4方向ボタンやSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0028】
なお、操作部104の1つとして、表示部101への接触を検知可能なタッチパネル210を有する。タッチパネル210と表示部101とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル210を光の透過率が表示部101の表示を妨げないように構成し、表示部101の表示面の上層に取り付ける。そして、タッチパネル210における入力座標と、表示部101上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザが表示部101に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUIを構成することができる。
【0029】
システム制御部208はタッチパネル210への以下の操作を検知できる。タッチパネル210を指やペンで触れたこと(以下、タッチダウン)。タッチパネル210を指やペンで触れている状態であること(以下、タッチオン)。タッチパネル210を指やペンで触れたまま移動していること(以下、ムーブ)。タッチパネル210へ触れていた指やペンを離したこと(以下、タッチアップ)。タッチパネル210に何も触れていない状態(以下、タッチオフ)。タッチパネル210への物体の接近状態。本実施の形態では、タッチパネル210を静電容量方式のタッチパネルで構成した例を説明する。
【0030】
<接近検知方法>図3を参照して、本実施形態によるタッチパネル210への接近検知方法について説明する。
【0031】
図3において、タッチパネル210には、複数のセンサ部301が配列されている。センサ部301は、接近した指などの電導物体302との間に容量303が発生するように構成された静電容量型のタッチ検知センサである。センサ出力値としての発生容量303に対し、電導物体302が接近したことを検出するための閾値304を設定することで、閾値304を超える容量を検出したセンサ部に電導物体302が接近したことがわかる。複数のセンサ部301のうちどの領域の接近を検知しているかによって、タッチパネル210のうちのどの領域へ電導物体302が接近したかをシステム制御部208へ通知することができる。図示のように掌全体をタッチパネル210に近づけた場合は、タッチパネル210に配列された複数のセンサ部301で発生する容量が閾値304を超える。そのため、ある程度の面積をもった電導物体が接近したと判定することができる。また、閾値304よりも大きい閾値(より大きな容量が発生した場合に超える閾値)を設定し、この閾値を超えたか否かに基づいて、タッチパネル210に対する接触があったか否かを検出する。
【0032】
これらの操作や、タッチパネル210に指やペンが触れている位置座標はシステム制御部208に通知され、システム制御部208は通知された情報に基づいてタッチパネル210にどのような操作が行われたか判定する。ムーブはタッチパネル210で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル210の垂直成分・水平成分ごとに判定できる。またタッチパネル210をタッチダウンから一定のムーブを経てタッチアップをしたとき、ストロークを描いたこととする。素早くストロークを描く操作をフリックと呼ぶ。フリックは、タッチパネル210に指を触れたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作であり、言い換えればタッチパネル210を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検知されるとフリックが行なわれたと判定できる。また、所定距離以上を、所定速度未満でムーブしたことが検知された場合はドラッグが行われたと判定するものとする。タッチパネル210は、静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式等、出力から任意の領域への近接状態を検知できる方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。
【0033】
その他の操作部材211はタッチパネル210以外のメカ釦等の操作部材である。
【0034】
接眼検出部212は接近検知センサ106、タッチパネル210から構成される。
【0035】
姿勢検出部213は撮像装置100の姿勢を検出するセンサ回路であり、本例では加速度センサ及び検出回路から構成される。姿勢検出部213は、少なくとも表示部101の横、縦に沿った方向(X軸、Y軸)の加速度が検出できるように設けられているものとする。例えば3軸方向の加速度が検出可能な場合、表示部101の横、縦に沿った方向(X軸、Y軸)と、表示部101の表示面に対して垂直な方向(Z軸)の加速度が検出できるように設けられる。
【0036】
[実施形態1]図4を参照して、接近検知センサおよびタッチパネルの接近検知機能を併用した接眼検知による実施形態1の表示制御処理を説明する。なお、図示の処理は、システム制御部208が不揮発性メモリ207に格納されたプログラムをシステムメモリ209に展開して実行することにより実現される。
【0037】
図4において、ステップS401では、システム制御部208は、被検出物体107が接近したか否かを判定する。接近検知センサ106の受光レンズ窓106bにて閾値以上の光量を検知した場合は被検出物体107が接近したと判定してステップS402へ移行し、検知しなかった場合は被検出物体107は接近していないと判定してステップS401へ戻る。
【0038】
ステップS402では、システム制御部208は、被検出物体107の接近が接眼動作であるか否かを判定する。ここでシステム制御部208は、タッチパネル210に設定された検知領域305の全センサ部の出力値303が閾値304を上回っていれば接眼動作と判定してステップS403へ移行する。一方、上回っていなければ接眼動作ではないと判定してステップS406へ移行する。ここで、検知領域305は、指ではなく、接眼ファインダに接眼するために顔全体が近づいたのであれば、少なくとも検知領域の全センサ部にユーザの顔が対向し、領域内の全センサ部の出力値が閾値304を上回るものとして設定されている。すなわち、S402では、表示部101のうち、検知領域305で規定される所定範囲以上の検知領域で物体の接近が検知されているか否かを判定する。なお、検知領域305の範囲は予め設定されているが、ユーザの事前設定により任意に範囲を変えてもよい。
【0039】
ステップS403では、システム制御部208は、表示部101を消灯する。具体的には、表示部101を照明するバックライトを消灯する。但し、ここでの処理は、ユーザが眩しさを感じないようにすればよいので、バックライトの輝度を低減させるだけでもよいし、LCDパネルではなく自己発光する表示素子を採用した場合には、自己発光の発光輝度を低減または消灯するようにしてもよい。また、表示部101での表示を非表示とする制御としても良い。
【0040】
ステップS404では、システム制御部208は、接眼動作が解除されたか否かを判定する。そして、接近検知センサ106の受光レンズ窓106bにて閾値以上の光量を検知しなかった場合は接眼動作が解除されたと判定してステップS405へ移行し、検知した場合は接眼動作が継続していると判定してステップS404へ戻る。
【0041】
ステップS405では、システム制御部208は、表示部101を点灯してステップS401へ戻る。
【0042】
ステップS406では、システム制御部208は、被検出物体107の接近が解除されたか否かを判定する。そして、接近検知センサ106の受光レンズ窓106bにて閾値以上の光量を検知しなかった場合は被検出物体107の接近が解除されたと判定してステップS401へ戻り、検知した場合は被検出物体107の接近が継続していると判定してステップS402へ戻る。
【0043】
以上のように、実施形態1によれば、タッチ操作をするための指の接近を接近検知センサ106で検知しただけでは、検知領域305全体で容量が閾値を超えることがないため表示部101は消灯されない。すなわち、ある程度以上の面積を持つ物体が接近しないと表示部101は消灯されない。
【0044】
よって、ファインダを覗く際のユーザの頭部が接近する動作を誤認してタッチパネルを消灯してしまうことを防ぎ、操作性を低下させることもなくなる。例えば、表示部にタッチアイコンなどが表示されていた場合に、タッチアイコンを操作しようとして指を近づけると表示が消灯してしまい、タッチアイコンを正しくタッチできなくなるという不都合を解消できる。
【0045】
なお、上述のS403では、タッチパネル210のセンサ部を駆動する電力の供給を停止し、S405で電力供給を再開するようにしてもよい。このようにすることで、低消費電力化を実現できる。
【0046】
また、本実施形態では接近検知センサ106による検知結果を優先した処理を説明したが、タッチパネル210の検知結果を優先し、両方の検知結果を利用して表示制御を行えばよい。
【0047】
[実施形態2]図5を参照して、撮像装置の姿勢に応じてタッチパネルの検知領域を変化させる実施形態2の表示制御処理について説明する。実施形態2では、撮像装置の姿勢に応じてタッチパネルの検知領域を変化させることで実施形態1をより高精度に行う。なお、図示の処理は、システム制御部208が不揮発性メモリ207に格納されたプログラムをシステムメモリ209に展開して実行することにより実現される。
【0048】
図5のステップS501、S505〜S508は、図4のステップS401、S403〜S406と同様の処理であるので説明を省略する。
【0049】
ステップS502では、システム制御部208は、姿勢検出部213により撮像装置100の姿勢が横位置であるか、縦位置であるかを判定する。そして、横位置である場合はステップS503へ移行し、縦位置である場合はステップS504へ移行する。
【0050】
ステップS503では、システム制御部208は、横位置に対応した検知領域601のセンサ部を用いて被検出物体107の接近が接眼動作であるか否かを判定する。そして、検知領域601の全センサ部の出力値303が閾値304を上回っていれば接眼動作と判定してステップS505へ移行し、上回っていなければ接眼動作ではないと判定してステップS508へ移行する。
【0051】
ステップS504では、システム制御部208は、縦位置に対応した検知領域602のセンサ部を用いて被検出物体107の接近が接眼動作であるか否かを判定する。そして、検知領域602の全センサ部の出力値303が閾値304を上回っていれば接眼動作と判定してステップS505へ移行し、上回っていなければ接眼動作ではないと判定してステップS508へ移行する。
【0052】
図6は検知領域601と602の設定範囲を例示している。図6(a)において、撮像装置100は横位置である。この状態で接眼ファインダ105を覗き込んだ場合に顔が接近すると推定される検知領域601を対象として接眼動作であるか否かを判定する。図6(b)において、撮像装置100は縦位置である。この場合、接眼ファインダ105を覗き込んでも、表示部の下部(図6(b)の姿勢では右部)には顔は重ならない。そのため、縦位置で接眼ファインダ105を覗き込んだ場合に顔が接近すると推定される縦位置用の検知領域402を用いて、接眼動作であるか否かを判定する。
【0053】
以上のように、実施形態2によれば、撮像装置の姿勢に応じてタッチパネルの検知領域を変化させることで、ファインダを覗く動作を誤認してタッチパネルを消灯してしまうことを防ぎ、操作性を低下させることもなくなる。
【0054】
[実施形態3]図7を参照して、利き目に応じてタッチパネルの検知領域を変化させる実施形態3の表示制御処理について説明する。実施形態3では、利き目の設定に応じてタッチパネルの検知領域を変化させることで実施形態1をより高精度に行う。なお、図示の処理は、システム制御部208が不揮発性メモリ207に格納されたプログラムをシステムメモリ209に展開して実行することにより実現される。
【0055】
図7のステップS702、S706〜S709は、図4のステップS401、S403〜S406と同様の処理であるので説明を省略する。
【0056】
図7において、ステップS701では、システム制御部208は、ユーザ操作により利き目情報が設定されると、設定された利き目情報を不揮発性メモリ207に記憶させる。
【0057】
ステップS703では、システム制御部208は、ユーザにより設定された利き目情報からタッチパネルの検知領域を判定し、右目が利き目であればステップS704、左目が利き目でればステップS705へ移行する。
【0058】
ステップS704では、システム制御部208は、右目に対応した検知領域801のセンサ部を用いて被検出物体107の接近が接眼動作であるか否かを判定する。そして、検知領域801の全センサ部の出力値303が閾値304を上回っていれば接眼動作と判定してステップS706へ移行し、上回っていなければ接眼動作ではないと判定してステップS709へ移行する。
【0059】
ステップS705では、システム制御部208は、左目に対応した検知領域802のセンサ部を用いて被検出物体107の接近が接眼動作であるか否かを判定する。そして、検知領域802の全センサ部の出力値303が閾値304を上回っていれば接眼動作と判定してステップS706へ移行し、上回っていなければ接眼動作ではないと判定してステップS709へ移行する。
【0060】
図8は検知領域801と802の設定範囲を例示している。撮像装置100が横位置で、接眼ファインダ105を右目で覗き込んだ場合、接眼ファインダより右側の領域には顔は重ならない。そのため、図8(a)に示す通り、接眼ファインダよりも右側の領域は用いないで、接眼ファインダよりも左側の領域を右目用の検知領域801として用い、接眼動作であるか否かを判定する。反対に、撮像装置100が横位置で、接眼ファインダ105を左目で覗き込んだ場合、接眼ファインダより左側の領域には顔は重ならない。そのため、図8(b)に示す通り、接眼ファインダよりも左側の領域は用いないで、接眼ファインダよりも右側の領域を左目用の検知領域801として用い、接眼動作であるか否かを判定する。
【0061】
以上のように、実施形態3によれば、利き目の設定に応じてタッチパネルの検知領域を変化させることで、ファインダを覗く動作を誤認してタッチパネルを消灯してしまうことを防ぎ、操作性を低下させることもなくなる。
【0062】
[実施形態4]本発明は撮像装置に限られず、タッチパネル式の携帯電話機やスマートフォンなどに適用可能である。
【0063】
ここで、図9を参照して、本発明を携帯電話機により実現した実施形態について説明する。
【0064】
図9において、携帯電話端末又はスマートフォン900は、通話用スピーカ901、接近検知センサ902、タッチパネル式の表示部903、通話用マイクロフォン904を備える。接近検知センサ902は、通話用スピーカ901にユーザの耳が近づいたことを検知する。
【0065】
本実施形態では、通話するために耳をスピーカ901に近づけると、接近検知センサ902で物体の接近が検出される。物体の接近が検出されると、通話時のまぶしさ防止と、省電力のために、タッチパネルの表示を消す(消灯する、減光する、非表示とすることのいずれでもよい)。
【0066】
上述の携帯電話端末でも、タッチパネルを操作しようとした指が接近することによって、接近検知センサ902で物体の接近が検知されたことに応じてタッチパネルが消灯してしまい、タッチ操作がしにくくなることが考えられる。この場合にも、図4の表示制御処理を適用することで、指の接近を耳の接近と誤認してタッチパネルを消灯してしまうことを防ぎ、操作性を低下させることもなくなる。
【0067】
なお、システム制御部208の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0068】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0069】
また、上述した実施形態においては、本発明を撮像装置や携帯電話機に適用した場合を例にして説明したが、上記例に限定されず、物体が接近したことを検知するとタッチパネルを消灯する電子機器であれば、例えば、PDA、携帯型の画像ビューワ、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどにも適用可能である。
【0070】
[他の実施形態]本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式の表示手段と、
表示制御装置に物体が接近したことを検知する接近検知手段と、
前記表示手段に物体が接近したことを検知可能なタッチ検知手段と、
前記接近検知手段によって物体の接近を検知し、かつ、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち所定範囲以上の領域で物体の接近を検知した場合には前記表示手段への表示を行わないように制御する、あるいは前記表示手段の輝度を低減または消灯するように制御し、
前記接近検知手段によって物体の接近を検知しても、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち前記所定範囲以上の領域で物体の接近を検知していない場合には前記表示手段への表示を継続するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御装置は、被写体を撮像する撮像手段を有する撮像装置であり、前記接近検知手段は、前記撮像装置の接眼ファインダへの物体の接近を検知することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御装置の姿勢が縦位置であるか、横位置であるかを検出する姿勢検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記表示制御装置の姿勢が縦位置か横位置かに応じて前記所定範囲を変えることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
ユーザの利き目を設定する設定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記設定手段により設定された利き目が右目か左目かに応じて前記所定範囲を変えることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御装置は、携帯電話端末であり、前記接近検知手段は、前記携帯電話端末の通話用スピーカへの物体の接近を検知することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表示手段への表示を行わないように制御する、あるいは前記表示手段の輝度を低減または消灯するとともに、前記タッチ検知手段への電力の供給を停止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
タッチパネル式の表示手段と、
表示制御装置に物体が接近したことを検知する接近検知手段と、
前記表示手段に物体が接近したことを検知可能なタッチ検知手段と、を有する表示制御装置における表示制御方法であって、
前記接近検知手段によって物体の接近を検知し、かつ、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち所定範囲以上の領域で物体の接近を検知した場合には前記表示手段への表示を行わないように制御する、あるいは前記表示手段の輝度を低減または消灯するように制御し、
前記接近検知手段によって物体の接近を検知しても、前記タッチ検知手段によって、前記表示手段のうち前記所定範囲以上の領域で物体の接近を検知していない場合には前記表示手段への表示を継続するように制御する制御工程を有することを特徴とする表示制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるプログラムを格納した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105272(P2013−105272A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247964(P2011−247964)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】