説明

表示制御装置及び項目表示方法

【課題】複数の項目を表示した状態にてユーザが所望する項目を実行することができる表示制御装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】DVDのメニュー画像などの複数のメニュー項目31A,32Aを表示させ、当該表示画面30に対する操作位置を検出した時に、検出されたユーザの操作位置が、各メニュー項目31A,32Aが選択可能な表示画面30上の複数のメニュー項目選択領域31B,32Bに該当する場合には、所定条件に従って何れかのメニュー項目選択領域31B,32Bに対応したメニュー項目31A,32Aに対応する処理を実行する。複数のメニュー項目選択領域31B,32Bが重複している場合であっても、何れかのメニュー項目選択領域31B,32Bに対応したメニュー項目31A,32Aを選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばメニュー項目などの複数の項目を表示してユーザに選択させことによって、選択された項目に対応した処理を実行させる表示制御装置及び項目表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タッチパネルとなっている液晶パネルに複数のメニュー項目を表示させ、当該液晶パネルに対する操作に従ってメニュー項目を選択できる技術が、下記の特許文献1などにて知られている。
【0003】
この従来技術においては、例えばDVDの記録再生装置を動作させるための複数のメニュー項目をタッチパネル上に表示し、当該タッチパネルに対するユーザの操作位置を検出する。ここで、各メニュー項目には、当該メニュー項目が選択されたことを認識するためのメニュー項目選択領域が設定されている。そして、ユーザの操作位置があるメニュー項目のメニュー項目選択領域に含まれていた場合には、当該メニュー項目に対応した処理をDVDの記録再生装置によって実行させる。
【0004】
このような技術においては、ユーザの操作位置に、複数のメニュー項目選択領域が該当している場合には、メニュー項目が特定できなくなることを防止するために、当該ユーザの操作位置を中心としてメニュー項目を含む画像を拡大させ、再度の操作を促している。
【特許文献1】特開2002−351618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術において、一方のメニュー項目選択領域が他方のメニュー項目選択領域に重なる割合が高い場合には、ユーザの操作位置によっては所望するメニュー項目を選択することができない可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、複数の項目を表示した状態にてユーザが所望する項目を実行することができる表示制御装置及び項目表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の操作項目を表示させ、当該表示画面に対する操作位置を検出した時に、検出されたユーザの操作位置が、各操作項目が選択可能な表示画面上の複数の操作項目選択領域に該当する場合には、所定条件に従って何れかの操作項目選択領域に対応した操作項目に対応する処理を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の操作項目選択領域が重複している場合であっても、何れかの操作項目選択領域に対応した操作項目を選択することができ、複数の項目を表示した状態にてユーザが所望する項目を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る表示制御装置及び項目表示方法は、例えば図1に示すように構成された第1実施形態に係る車載システムに適用される。この車載システムは、ナビゲーション機能、CD(Compact Disc)、HDD等の記録媒体に記録された音声信号やラジオ放送を再生する音響再生機能、DVD(Digital Versatile Disk)、HDD等の記録媒体に記録された画像信号やテレビ放送を再生する画像再生機能を有する。
【0011】
この車載システムは、当該車載システムの動作を統括する制御部1によって、映像や各種情報を表示部2に表示させる。また、この車載システムは、複数のメニュー項目(操作項目)を含むメニュー情報を表示部2に表示させることによって、各種の操作をユーザに行わせる。なお、以下では、ユーザに選択させる操作項目をメニュー項目として説明するが、これに限らず、リスト表示された情報や、アイコンなどの操作可能なものであれば良い。
【0012】
車載システムは、映像、音声や各種情報のソースとして、CD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5及びセレクタ5a、DVD再生部6、HD記録再生部7、ナビゲーション部8及びGPS情報受信部8aを備える。また、車載システムは、映像、音声及び各種情報を出力するための構成として、上記各部3〜8と接続された分配処理部9、音声処理部10及びスピーカ11、画像処理部12及び画像出力部13を備える。更に、車載システムは、車両の走行状態を検出する構成として、制御部1に車速情報を供給する車速センサ14と、制御部1にシフト位置情報を供給するシフト位置センサ15とを備えている。
【0013】
表示部2は、表示画面に、DVDに記録された映像やTV映像、操作メニューを表示する。表示部2は、表示画面に各種情報を表示する液晶パネル(表示手段)21と、表示画面に対するユーザの操作を検出するための透明フィルムスイッチ等から構成されるタッチパネル22とを備える。液晶パネル21は、画像出力部13から供給された映像データに従って動作を行うことによってDVD又はTV映像を表示させる。また、液晶パネル21は、画像出力部13から供給されたメニュー画像データに従って、車載システムの各部を動作させるメニュー画像を表示させる。タッチパネル22は、表示画面に対するユーザの操作位置を検出した時に当該表示画面内における操作位置情報を制御部1に出力する。
【0014】
CD再生部3は、CDに記録されたCD音声データを読み取り、分配処理部9に出力する。ラジオ受信部4は、ラジオ放送波を受信し、ラジオ音声データとして分配処理部9に出力する。TV受信部5は、セレクタ5aで受信しているテレビ放送波を受信し、TV映像データとして分配処理部9に出力する。DVD再生部6は、DVDに記録された映像データを読み取り、DVD映像データとして分配処理部9に出力する。HD記録再生部7は、磁気ディスクに記録された信号を読み取って分配処理部9に出力すると共に、分配処理部9から供給された情報を磁気ディスクに記録する。
【0015】
HD記録再生部7は、ナビゲーション部8が用いる経路探索用地図データや地図・風景表示用の地図データ、楽曲の音声データ、楽曲における曲名等の楽曲情報データを記憶しても良い。また、HD記録再生部7は、ナビゲーション部8にて登録した登録地点情報や推奨経路情報等のデータや、処理のための一時記憶にも用いられる。
【0016】
ナビゲーション部8は、HD記録再生部7に記憶された地図データ及び現在地の表示、目的地設定、HD記録再生部7に記録された地図データを参照した車両の現在地からユーザにより設定された目的地までの推奨経路の探索、推奨経路の案内、交通情報の報知などを行う。ナビゲーション部8は、GPS情報受信部8aから供給された現在地情報に基づいて、現在地表示、推奨経路の案内を行う。GPS情報受信部8aは、GPS衛星からのGPS信号を受信してそのGPS信号に基づいて車両の現在地情報を算出する。
【0017】
これらCD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5、DVD再生部6、HD記録再生部7、ナビゲーション部8は、例えばタッチパネル22に対するユーザの操作に従って制御部1から制御信号が供給される。これによって、これらCD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5、DVD再生部6、HD記録再生部7、ナビゲーション部8は、制御信号に従ってそれぞれ動作する。
【0018】
分配処理部9は、CD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5、DVD再生部6、HD記録再生部7又はナビゲーション部8から供給されたデータを選択的に入力し、音声データを音声処理部10に出力し、映像データやメニュー画像データを画像処理部12に出力する。分配処理部9は、例えばタッチパネル22に対するユーザの操作に従って制御信号が供給される。そして、分配処理部9は、制御信号に従って、CD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5、DVD再生部6、HD記録再生部7、ナビゲーション部8から供給されているデータを分配する動作を切り替える。
【0019】
音声処理部10は、分配処理部9から供給された音声データを処理して音声の出力レベルの調整、周波数特性の調整、音場特性(遅延処理等による反射音,残響音特性)の調整を行う。この音声処理部10は、DSP等からなるディジタル信号処理回路により構成される。この音声処理部10によって行われる音声処理は、例えばユーザの音声出力レベルの変更操作などに従った制御部1からの制御信号に従って調整される。この音声処理部10で処理された音声信号は、増幅器(図示せず)で増幅され、スピーカ11から音声として出力される。
【0020】
画像処理部12は、映像データ、メニュー画像データを処理して表示画像の色調、明るさ、コントラスト調整、また分割画面や拡大・縮小、文字等を重畳表示する画像処理を行う。この画像処理部12は、映像データやメニュー画像データを記憶する画像メモリ、画像メモリに記憶された映像データやメニュー画像データにディジタル演算処理を施すDSP等からなるディジタル処理回路、表示出力画像が記録されるVRAM(ビデオRAM)等により構成される。この画像処理部12によって行われる処理は、例えばユーザの操作に従った制御部1からの制御信号に従って調整される。
【0021】
画像出力部13は、画像処理部12のVRAMに記憶されたデータに基づき液晶パネル21を駆動して画像を表示部2に表示する。この画像出力部13は、画像処理部12のVRAMに記憶されたデータを液晶パネル21駆動用の画像信号に変換する変換回路や増幅回路、同期信号生成回路等により構成される。なお、この画像出力部13の動作は、制御部1からの制御信号に従って制御される。
【0022】
このように、制御部1は、分配処理部9、画像処理部12及び画像出力部13を制御して、複数のメニュー項目を表示部2の液晶パネル21に表示させる表示制御手段として機能する。
【0023】
制御部1は、タッチパネル22によって検出された操作位置情報に従って、上述の各部を統括して制御する。制御部1は、CD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5、ナビゲーション部8を制御する場合には、例えば予めHD記録再生部7に記憶されたメニュー情報を読み出して、HD記録再生部7から分配処理部9にメニュー画像データを出力させる。
【0024】
HD記録再生部7に記憶されたメニュー情報は、複数の階層のうちの各階層に複数のメニュー項目を配置してなり、一画面内に複数のメニュー項目を表示させるための情報である。また、このメニュー情報には、各階層ごとの複数のメニュー項目が一画面内においてレイアウトされたメニュー画像データと、各メニュー項目をタッチパネル22上で選択可能とするメニュー項目選択領域を示す座標情報とが含まれている。なお、このメニュー項目としては、ユーザが選択する選択肢の他に、OKボタンやキャンセルボタンも含まれるものとする。
【0025】
そして、HD記録再生部7は、制御部1からの制御信号に従って、メニュー情報を参照して、複数のメニュー項目からなるメニュー画像データを作成する。ここで、HD記録再生部7に記憶されたCD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5及びナビゲーション部8を動作させるためのメニュー情報は、表示部2の表示画面の形状やサイズなどに合わせて設計されたメニュー項目のレイアウト及びメニュー項目選択領域の座標情報となっている。したがって、CD再生部3、ラジオ受信部4、TV受信部5やナビゲーション部8を動作させるために表示部2にメニュー画像を表示させても、各メニュー項目のメニュー項目選択領域同士が重複することはない。
【0026】
また、制御部1は、DVD再生部6に装着されたDVDに格納されたコンテンツデータを再生などする場合には、DVD再生部6によってDVDに格納されたメニュー情報を読み出させて、メニュー画像データを分配処理部9に出力させる。ここで、制御部1は、車速センサ14によって取得された車速信号、シフト位置センサ15によって取得されたシフト位置などから車両が停車している場合のみにDVDに記憶されたコンテンツの再生を許可する。一方、制御部1は、車速、シフト位置などから、車両が走行している状態であると判定した場合には、DVDに記憶されたコンテンツの再生を禁止する。
【0027】
このDVDに記憶されたメニュー情報は、HD記録再生部7に記憶されたメニュー情報と同様に、複数のメニュー項目を含み、一画面内に複数のメニュー項目を表示させるための情報である。また、このメニュー情報には、各階層ごとの複数のメニュー項目が一画面内においてレイアウトされたメニュー画像データと、各メニュー項目をタッチパネル22上で選択可能とするメニュー項目選択領域を示す座標情報とが含まれている。なお、このメニュー項目としては、ユーザが選択する選択肢の他に、OKボタンやキャンセルボタンも含まれるものとする。
【0028】
このDVDに記録されたメニュー情報は、DVDのコンテンツ作製者によって設計されたものである。したがって、メニュー項目のレイアウト及びメニュー項目選択領域の広さは、DVDのコンテンツ作製者が決めたものとなっている。したがって、DVDのメニュー情報は、図2に示すメニュー項目表示領域31A及びメニュー項目選択領域31B、メニュー項目表示領域32A及びメニュー項目選択領域32Bに規則性がないこととなっている。
【0029】
具体的には、図2に示すように、DVD再生部6を動作させるために表示部2にメニュー画像を表示させた場合、表示部2の表示画面30に、文字で表されたメニュー項目Aのメニュー項目表示領域31Aより広いメニュー項目選択領域31Bと、文字で表されたメニュー項目Bのメニュー項目表示領域32Aより広いメニュー項目選択領域32Bとが重複する事象が発生する。
【0030】
この原因は、例えばDVDのメニュー情報が表示部2の表示画面30よりも大きい画面や、表示部2の表示画面30とは異なる縦横比で構成された画面を想定して各メニュー項目選択領域の座標情報が設定されていることが挙げられる。したがって、車載システムは、DVD再生部6から出力されたDVDのメニュー画像データを画像処理部12によって縮小などの処理を施して、液晶パネル21の表示画面30に合うようにメニュー項目表示領域31A及びメニュー項目表示領域32Aでメニュー項目A及びメニュー項目Bを表示させても、メニュー項目Aのメニュー項目選択領域31Bとメニュー項目Bのメニュー項目選択領域32Bとが重複してしまう。
【0031】
そこで、車載システムの制御部1は、表示部2の表示画面30に表示させている各メニュー項目が選択可能な当該表示画面30上のメニュー項目選択領域に対するユーザの操作位置をタッチパネル22が検出した場合、検出されたユーザの操作位置が、表示画面30に表示している複数のメニュー項目選択領域に該当する場合には、所定条件に従って、何れかのメニュー項目選択領域に対応したメニュー項目に対応する処理を実行する(選択手段)。
【0032】
具体的には、制御部1は、所定条件として、タッチパネル22によって検出された操作位置を含む複数のメニュー項目選択領域のうち、当該操作位置からメニュー項目選択領域の重心位置までの距離が最も短いメニュー項目選択領域のメニュー項目を選択することを採用する。すなわち、図3に示すように、メニュー項目Aのメニュー項目選択領域31Bとメニュー項目Bのメニュー項目選択領域32Bとが重複している場合、制御部1は、メニュー項目選択領域31Bの重心位置31Cと操作位置33との距離D1と、メニュー項目選択領域32Bの重心位置32Cと操作位置33との距離D2とを比較して、距離が短い方のメニュー項目Bが選択されたと判定する。なお、図2,図3では、説明の便宜上、メニュー項目選択領域31B、メニュー項目選択領域32Bを線で示したが、実際には、これらは表示されていない。
【0033】
このような処理を行う制御部1は、図4に示すように、先ず、ステップS1において、タッチパネル22から操作位置情報が供給されて、ユーザのタッチパネル22に対するメニュー項目決定のための操作を検出すると、ステップS2に処理を進める。
【0034】
ステップS2においては、制御部1によって、ステップS1にて供給された操作位置情報に基づいて、表示画面30内における操作位置を検出して、ステップS3に処理を進める。
【0035】
ステップS3においては、制御部1によって、ステップS2にて検出された表示画面30内における操作位置にメニュー項目選択領域が複数存在するか否かを判定する。操作位置に複数のメニュー項目選択領域が存在する場合にはステップS4に処理を進め、操作位置に複数のメニュー項目選択領域が存在しない場合にはステップS5に処理を進める。
【0036】
ここで、制御部1は、メニュー画像データが表示画面30の液晶パネル21に表示された時点で、メニュー画像における各メニュー項目のレイアウト及びメニュー項目選択領域の座標情報に基づいてメニュー項目選択領域を演算しておく。また、制御部1は、演算したメニュー項目選択領域に基づいてメニュー項目選択領域の重心位置も演算しておく。
【0037】
例えば、図3に示すように、メニュー項目選択領域31Bとメニュー項目選択領域32Bとの重複領域に対して操作位置33が検出された場合には、処理はステップS4に進められる。
【0038】
ステップS4においては、制御部1によって、ステップS3にて操作位置に複数のメニュー項目選択領域が存在すると判定されたメニュー項目選択領域のうち、それぞれのメニュー項目選択領域の重心位置が、ユーザの操作位置に最も近いメニュー項目を選択する。
【0039】
そして、制御部1は、現在操作されている機器がDVD再生部6である場合、選択したメニュー項目の情報をDVD再生部6に供給する。これによって、車載システムは、DVD再生部6によって記録再生動作を行わせたり、表示画面30のメニュー画像を下位層のメニュー画像に遷移させることができる。
【0040】
一方、ステップS5においては、制御部1によって、操作位置が含まれるメニュー項目選択領域のメニュー項目を選択する。そして、制御部1は、現在操作されている機器がナビゲーション部8等である場合、選択したメニュー項目の情報をナビゲーション部8等に供給する。これによって、車載システムは、ナビゲーション部8等によってユーザが所望する動作を行わせたり、表示画面30のメニュー画像を下位層のメニュー画像に遷移させることができる。
【0041】
なお、この車載システムは、タッチパネル22に対してユーザが操作した時に、図5に示すように、当該操作位置33を表示させることが望ましい。この時、制御部1は、タッチパネル22から操作位置情報が供給された時に、当該操作位置を表示させるように操作位置33を重畳表示するために、供給された操作位置情報を含む制御信号を画像処理部12に供給する。そして、画像処理部12は、制御信号に含まれる操作位置情報に従って、当該操作位置33を重畳したメニュー画像に更新するように画像出力部13及び液晶パネル21を制御する。これにより、車載システムは、当該車載システムが認識したユーザの操作位置をユーザ自身に提示することができる。
【0042】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第1実施形態に係る車載システムによれば、ユーザのタッチパネル22に対する操作を検出した時に、ユーザの操作位置が、複数のメニュー項目のメニュー項目選択領域に該当する場合には、所定条件に従って、何れかのメニュー項目選択領域に対応したメニュー項目に対応する処理を実行することができる。これにより、この車載システムによれば、メニュー項目選択領域が重複している領域に対するユーザの操作を検出した場合でも、ユーザが所望する動作を実行することができる。
【0043】
具体的には、車載システムは、ユーザの操作位置を含む複数のメニュー項目選択領域のうち、当該操作位置からメニュー項目選択領域の重心位置までの距離が最も短いメニュー項目選択領域のメニュー項目を選択するので、メニュー項目選択領域が重複している領域を操作された場合でもユーザが所望する操作を実行する効果を実現できる。
【0044】
また、この車載システムによれば、図5を参照して説明したように、タッチパネル22により検出されたユーザの操作位置を液晶パネル21に表示させるので、ユーザの操作位置を車載システムで認識した結果として表示することができ、ユーザの操作位置を確認させることができる。
【0045】
[第2実施形態]
つぎに、本発明を適用した第2実施形態に係る車載システムについて説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の部分については同じ符合、ステップ番号を付することによってその詳細な説明を省略する。
【0046】
第2実施形態に係る車載システムにおいて、制御部1は、ユーザの操作位置が表示画面に表示している複数のメニュー項目選択領域に該当する場合に、所定条件として、当該操作位置を含む複数のメニュー項目選択領域のうち、最も面積が小さいメニュー項目選択領域の操作項目を選択することを採用する。すなわち、図6に示すように、メニュー項目Aのメニュー項目選択領域31Bとメニュー項目Bのメニュー項目選択領域32Bとが重複している場合、制御部1は、メニュー項目選択領域31Bの面積と、メニュー項目選択領域32Bの面積とを比較して、面積が小さい方のメニュー項目Bが選択されたことを判定する。
【0047】
なお、図6では、説明の便宜上、メニュー項目表示領域31A、メニュー項目選択領域31B、メニュー項目表示領域32A、メニュー項目選択領域32Bを線で示したが、実際には、これらを表示しなくても良く、メニュー項目表示領域31A、メニュー項目表示領域32A内のメニュー項目の内容が文字表示されているだけである。
【0048】
このような処理を行う制御部1は、図7に示すように、ステップS3において操作位置にメニュー項目選択領域が複数存在すると判定した場合に、メニュー項目選択領域の面積に基づいて一つのメニュー項目を選択するステップS11に処理を進める。
【0049】
ステップS11においては、制御部1によって、ステップS3にて操作位置に複数のメニュー項目選択領域が存在すると判定されたメニュー項目選択領域のうち、メニュー項目選択領域の面積が小さい方のメニュー項目を選択する。ここで、制御部1は、メニュー画像を液晶パネル21に表示させる時に取得した各メニュー項目のメニュー項目選択領域の座標情報を参照して、予め各メニュー項目選択領域の面積を求めておく。
【0050】
そして、制御部1は、現在操作されている機器がDVD再生部6である場合、選択したメニュー項目の情報をDVD再生部6に供給する。これによって、車載システムは、DVD再生部6によって記録再生動作を行わせたり、表示画面30のメニュー画像を下位層のメニュー画像に遷移させることができる。
【0051】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第2実施形態に係る車載システムによれば、ユーザのタッチパネル22に対する操作を検出した時に、ユーザの操作位置が、複数のメニュー項目のメニュー項目選択領域に該当する場合には、当該複数のメニュー項目選択領域のうち面積が小さいメニュー項目選択領域のメニュー項目を選択する。これにより、車載システムは、メニュー項目選択領域が重複している領域を操作された場合でもユーザが所望する操作を実行する効果を実現できる。
【0052】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る車載システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0053】
第3実施形態に係る車載システムは、制御部1によって、各メニュー項目に対応したメニュー項目選択領域を液晶パネル21に表示させる点で、上述した実施形態とは異なる。
【0054】
この車載システムは、図8に示すように、メニュー項目A、メニュー項目Bを表示させる場合に、点線で表現されたメニュー項目選択領域31B’、メニュー項目選択領域32B’を表示させる。
【0055】
この車載システムは、メニュー画像を液晶パネル21によって表示させる時に、メニュー画像におけるメニュー項目のレイアウト及び制御部1によって取得したメニュー項目選択領域の座標情報に基づいて、表示画面30内におけるメニュー項目選択領域31B、メニュー項目選択領域32Bの座標を演算する。そして、制御部1は、当該メニュー項目選択領域31B、メニュー項目選択領域32Bの座標を、メニュー画像に重畳して表示させる制御信号を画像処理部12に供給して、図8に示したようなメニュー項目選択領域31B’メニュー項目選択領域32B’を表示させる。
【0056】
このように、第3実施形態に係る車載システムによれば、ユーザがメニュー項目を選択可能なメニュー項目選択領域を表示させるので、メニュー項目選択領域が重複する領域を避けて操作させることができる。これにより、車載システムは、メニュー項目選択領域が重複している場合でもユーザが所望する操作を実行する効果を実現できる。
【0057】
なお、この車載システムは、複数のメニュー項目選択領域が重複していることを検出した場合のみ、メニュー項目選択領域31B’、メニュー項目選択領域32B’を表示させても良い。
【0058】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る車載システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0059】
第4実施形態に係る車載システムは、制御部1によって、各メニュー項目に対応したメニュー項目選択領域が重複する場合には、選択可能な複数のメニュー項目のメニュー項目選択領域を重複させないで液晶パネル21に表示させるものである。
【0060】
この車載システムは、図9に示すように、メニュー項目Aのメニュー項目選択領域31Bとメニュー項目Bのメニュー項目選択領域32Bとが重複していることを検出した場合には、表示画面30に、「選択可能なメニュー項目は以下です」とのメッセージ34aと、メニュー項目Aが文字表示された当該メニュー項目Aのメニュー項目選択領域34bと、メニュー項目Bが文字表示された当該メニュー項目Bのメニュー項目選択領域34cとを含む操作リスト34を表示させる。また、この操作リスト34は、なるべくメニュー項目選択領域31B、メニュー項目選択領域32Bと重複しない領域に表示される。
【0061】
この操作リスト34の表示データは、制御部1によって作成されて画像処理部12によってメニュー画像上に重畳される。例えば、制御部1は、DVD再生部6のメニュー情報を表示させる時に、重複しているメニュー項目のメニュー項目選択領域を取得した場合に、当該複数のメニュー項目名とメッセージ34aとを組み合わせた操作リスト34の表示データを作成して、画像出力部13に供給する。そして、制御部1は、画像出力部13によって、現在表示しているメニュー画像の所定位置に操作リスト34を重畳表示させる。そして、制御部1は、操作リスト34を表示させている所定位置のメニュー項目選択領域34b,34cに対する操作を検出した場合に、メニュー項目A、メニュー項目Bがユーザによって選択されたことを判定できる。
【0062】
これにより、制御部1は、メニュー項目選択領域34bが表示された領域に対するユーザの操作を検出した場合にメニュー項目Aが選択されたことを認識し、メニュー項目選択領域34cが表示された領域に対するユーザの操作を検出した場合にメニュー項目Bが選択されたことを認識する。
【0063】
このような車載システムによれば、操作リスト34を表示させることによって、メニュー項目選択領域が重複する領域ではなく、リスト化されたメニュー項目を選択させることができる。
【0064】
また、この車載システムの制御部1は、各メニュー項目に対応したメニュー項目選択領域が重複する場合に、当該重複したメニュー項目選択領域部分が操作位置として検出された場合には、選択可能な複数のメニュー項目のメニュー項目選択領域を重複させないで表示させても良い。すなわち、制御部1は、ユーザの操作位置が、メニュー項目選択領域31Bとメニュー項目選択領域32Bとの重複位置であると判定した場合には、図9に示すように、メニュー項目Aのメニュー項目選択領域34bとメニュー項目Bのメニュー項目選択領域34cとを含む操作リスト34を表示させても良い。
【0065】
これにより、この車載システムによれば、メニュー項目選択領域が重複していない操作リスト34上のメニュー項目選択領域34b、メニュー項目選択領域34cを再度選択させることができ、所望のメニュー項目を選択させることができる。
【0066】
[第5実施形態]
つぎに、第5実施形態に係る車載システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0067】
第5実施形態に係る車載システムは、メニュー項目選択領域が重複している場合に、ユーザの操作位置に対応するメニュー項目を表示するものである。具体的には、図10に示すようにメニュー項目選択領域31Bとメニュー項目選択領域32Bとが重複している場合において、メニュー項目選択領域31Bに含まれる位置がユーザの操作位置33として制御部1によって検出された場合、制御部1は、メニュー項目Aのみをメニュー画像として表示し、メニュー項目Bについてのメニュー項目表示領域32A及びメニュー項目選択領域32Bを非表示とさせる。
【0068】
また、この車載システムは、図11に示すように、ユーザの操作位置が33aから移動して、メニュー項目Bのメニュー項目選択領域32B内の33bとなった場合には、メニュー項目Aについて表示していたメニュー項目表示領域31Aを非表示にする。また、車載システムは、メニュー項目Bのメニュー項目表示領域32Aを表示させる。
【0069】
このような車載システムは、メニュー項目選択領域が重複している場合に、操作位置33が検出されたことをトリガーとして表示させるメニュー項目を変化させることができる。
【0070】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明を適用した車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態に係る車載システムによって表示させるメニュー画像のメニュー項目表示領域、メニュー項目選択領域を説明する図である。
【図3】本発明を適用した第1実施形態に係る車載システムにおいて、メニュー項目選択領域の重心位置に基づいて、操作されたメニュー項目を選択する処理を説明する図である。
【図4】本発明を適用した第1実施形態に係る車載システムにおいて、メニュー項目選択領域の重心位置に基づいて、操作されたメニュー項目を選択する処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第1実施形態に係る車載システムにおいて、表示画面に対して操作されたユーザの操作位置を表示することを説明する図である。
【図6】本発明を適用した第2実施形態に係る車載システムにおいて、メニュー項目選択領域の面積に基づいて、操作されたメニュー項目を選択する処理を説明する図である。
【図7】本発明を適用した第2実施形態に係る車載システムにおいて、メニュー項目選択領域の面積に基づいて、操作されたメニュー項目を選択する処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明を適用した第3実施形態に係る車載システムにおいて、メニュー項目選択領域を表示させることについて説明する図である。
【図9】本発明を適用した第4実施形態に係る車載システムにおいて、重複するメニュー項目選択領域がある場合に、メニュー項目選択領域のリストを表示させることを説明する図である。
【図10】本発明を適用した第5実施形態に係る車載システムにおいて、ユーザの操作位置に追従してメニュー項目表示領域、メニュー項目選択領域を表示することを説明する図である。
【図11】本発明を適用した第5実施形態に係る車載システムにおいて、ユーザの操作位置に追従してメニュー項目表示領域、メニュー項目選択領域を表示することを説明する他の図である。
【符号の説明】
【0072】
1 制御部
2 表示部
3 CD再生部
4 ラジオ受信部
5 TV受信部
5a セレクタ
6 DVD再生部
7 HD記録再生部
8 ナビゲーション部
8a GPS情報受信部
9 分配処理部
10 音声処理部
11 スピーカ
12 画像処理部
13 画像出力部
14 車速センサ
15 シフト位置センサ
21 液晶パネル
22 タッチパネル
30 表示画面
31A メニュー項目表示領域
31B メニュー項目選択領域
31C 重心位置
32A メニュー項目表示領域
32B メニュー項目選択領域
32C 重心位置
33 操作位置
34 操作リスト
34a メッセージ
34b、34c メニュー項目選択領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作項目を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示させている各操作項目が選択可能な当該表示手段の表示画面上の操作項目選択領域に対するユーザの操作位置を検出する入力手段と、
前記入力手段によって検出されたユーザの操作位置が、前記表示手段に表示している複数の操作項目選択領域に該当する場合には、所定条件に従って、何れかの操作項目選択領域に対応した操作項目に対応する処理を実行する選択手段と
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記所定条件は、前記操作位置を含む複数の操作項目選択領域のうち、当該操作位置から操作項目選択領域の重心位置までの距離が最も短い操作項目選択領域の操作項目を選択することであることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記操作位置を含む複数の操作項目選択領域のうち、最も面積が小さい操作項目選択領域の操作項目を選択することであることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記各操作項目に対応した操作項目選択領域を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記各操作項目に対応した操作項目選択領域が重複する場合には、選択可能な複数の操作項目の操作項目選択領域を重複させないで前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記各操作項目に対応した操作項目選択領域が重複する場合に、当該重複した操作項目選択領域部分が前記入力手段によって操作位置として検出された場合には、選択可能な複数の操作項目の操作項目選択領域を重複させないで前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記入力手段により検出されたユーザの操作位置を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
複数の操作項目を表示手段に表示させ、当該表示手段の表示画面に対する操作位置を検出した時に、検出されたユーザの操作位置が、各操作項目が選択可能な当該表示手段の表示画面上の複数の操作項目選択領域に該当する場合には、所定条件に従って何れかの操作項目選択領域に対応した操作項目に対応する処理を実行することを特徴とする項目表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−211663(P2009−211663A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56894(P2008−56894)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】