説明

表示制御装置

【課題】 様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができる表示制御装置を提供する。
【解決手段】 車両に設けられ車両の外部を撮影する撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる制御手段を備えた表示制御装置において、制御手段は、車両を表す自車画像31を表示装置に表示させると共に、自車画像31の表示位置に対して、車両に対する撮影装置の撮影方向に応じて定まる方向に映像32を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置に関し、例えば、車両に設けられた撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる表示制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の表示制御装置は、図10(a)に示すように、車両右側方が撮影されて得られた映像50を表示装置の画面右側51に表示させ、図10(b)に示すように、車両左側方が撮影されて得られた映像52を表示装置の画面左側53に表示させることによって、表示装置に表示された映像が車両に対してどの方向から得られたものなのかを利用者に認識しやすくしていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−16595号公報(第4−5頁、第3−4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の表示制御装置においては、映像が車両に対して左右いずれの撮影方向から得られたものなのかを利用者に認識しやすくすることができるものの、車両前方や車両後方等の他の撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができないといった問題があった。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができる表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表示制御装置は、車両に設けられた撮影装置からの映像および記録媒体上のデータが示す位置マークを表示装置に表示させる表示制御装置であって、
前記位置マークの表示位置に対する前記映像の表示位置を前記車両の中心位置に対する前記撮影装置で撮影される位置に対応させて前記映像を前記表示装置に表示させる制御手段を備えた構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明の表示制御装置は、位置マークの表示位置に対する映像の表示位置を車両の中心位置に対する撮影装置で撮影される位置に対応させて映像を表示させるため、様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができる。
【0007】
なお、前記制御手段は、前記映像の回動方向を前記位置マークの回動方向に合わせて前記映像を前記表示装置に表示させるようにしてもよい。
【0008】
この構成により、本発明の表示制御装置は、映像の回動方向を位置マークの回動方向に合わせて映像を表示させるため、撮像方向を利用者に認識させることができる。
【0009】
また、本発明の表示制御装置は、車両に設けられた撮影装置からの映像および記録媒体上のデータに対応する位置マークを表示装置に表示させる表示制御装置であって、
前記位置マークの表示位置に対する前記映像の表示位置を前記車両の中心位置に対する前記撮影装置の撮影視点に対応させて前記映像を前記表示装置に表示させる制御手段を備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の表示制御装置は、位置マークの表示位置に対する映像の表示位置を車両の中心位置に対する撮影装置の撮影視点に対応させて映像を表示させるため、様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができる。
【0011】
なお、前記制御手段は、前記映像の回動方向を前記位置マークの回動方向に合わせて前記映像を前記表示装置に表示させるようにしてもよい。
【0012】
この構成により、本発明の表示制御装置は、映像の回動方向を位置マークの回動方向に合わせて映像を表示させるため、撮像方向を利用者に認識させることができる。
【0013】
また、本発明のナビゲーション装置は、前記表示制御装置を備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができるという効果を有する表示制御装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
なお、本実施の形態においては、本発明に係る表示制御装置を車両に搭載されるナビゲーションシステムに適用し、本発明に係る表示制御装置を構成する制御手段をCPU(Central Processing Unit)を用いて構成した例について説明する。
【0018】
本発明の一実施の形態のナビゲーションシステムを図1に示す。
【0019】
ナビゲーションシステム1は、CPU2と、ROM(Read Only Memory)3と、RAM(Random Access Memory)4と、ハードディスク装置等の大容量記憶装置5と、DVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体から情報を読み込むメディアドライブ6と、キーボード、ポインティングデバイスおよびタッチパネル等によって構成された入力装置7と、液晶ディスプレイ等の表示装置を構成するディスプレイ装置8と、GPS(Global Positioning System)アンテナで受信した複数の衛星から送出された電波に基づいて現在位置の緯度および経度を測るGPS受信機9と、自車の進行方位を検出するジャイロ10と、自車の車輪の回転数に基づいて車速を検知する車速センサ11と、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報を受信および復号するためのFM(Frequency Modulation)受信機12と、車両外部を撮影する撮影装置を構成するカメラ13乃至15とを備えている。
【0020】
CPU2は、ディスプレイ装置8の表示を制御するための表示制御プログラム等を含むプログラムをROM3や大容量記憶装置5からRAM4に読み込み、RAM4に読み込まれたプログラムを実行することによって、ディスプレイ装置8の表示等のようなナビゲーションシステム1の各機能を制御するようになっている。
【0021】
大容量記憶装置5には、上記プログラムの他に地図情報、車両の走行履歴および経路探索データの履歴等が記憶される。
【0022】
ここで、地図情報には、道路、交差点、建造物および河川などの地物を表す情報および各地物に関する説明や広告等の情報を含む地物情報や、道路の車線数や一方通行などの交通規制に関する道路情報等が含まれる。例えば、地図情報は、プログラムを実行するCPU2によってDVD等からメディアドライブ6を介して大容量記憶装置5に読み込まれる。
【0023】
また、走行履歴は、例えば、GPS受信機9によって得られた自車の位置、ジャイロ10によって検出された自車の進行方位、および、車速センサ11によって検知された自車の車速に基づいて、プログラムを実行するCPU2によって生成される。また、経路探索データは、利用者によって入力装置7を介して設定された出発地から目的地までの経路を表す。
【0024】
カメラ13乃至15は、図2に示すように、車両前部、車両左側のドアミラー20および車両後部にそれぞれ設けられ、車両前方、車両左側後方および車両後方をそれぞれ撮影するようになっている。また、カメラ13は、広角に撮影できるよう、プリズムカメラや広角カメラ等によって構成されている。
【0025】
なお、本実施形態において、3台のカメラ13乃至15を用いたが、本発明に用いられるカメラの台数および撮影方向を限定するものではない。
【0026】
以上のように構成されたナビゲーションシステム1において、図3乃至図8を用いてその動作を説明する。
【0027】
なお、本実施の形態において、表示制御プログラムを実行するCPU2は、ヘディングアップモードおよびノースアップモードの2つの表示モードをとり、これらの表示モードは、例えば、利用者による入力装置7を介した入力等に基づいて切り替わる。
【0028】
図3(a)に示すように、CPU2は、ヘディングアップモードにある場合には、ディスプレイ装置8の画面上方を車両前方としたナビゲーション情報を表示させる。
【0029】
ここで、ナビゲーション情報は、地図情報に含まれる地物情報、経路探索データ、自車の位置を表す位置マーク、および、VICS情報から得られた渋滞状況や交通規制等の交通情報や広告情報等を含む。なお、位置マークは、三角形などの多角形や円、自車を概ね表した画像などを以って表示される。
【0030】
例えば、ディスプレイ装置8の画面上には、GPS受信機9によって得られた自車の位置に基づいて特定された範囲の地図情報に基づいた地図30が表示され、地図30上に位置マーク31、および、特定の地物を表すランドマークや経路探索データ等が表示される。
【0031】
一方、図3(b)に示すように、CPU2は、ノースアップモードにある場合には、ディスプレイ装置8の画面上方を北としたナビゲーション情報を表示させる。
【0032】
図4は、表示制御プログラムを実行するCPU2の映像表示制御動作を説明するためのフロー図である。
【0033】
まず、CPU2は、走行状態を検出する(S1)。ここで、走行状態は、左折、右折、後進またはT字路合流等のことをいい、車両に設けられた方向指示器やトランスミッションの状態、地図情報、GPS受信機9によって得られた自車の位置、ジャイロ10によって検出された自車の進行方位、および、車速センサ11によって検知された自車の車速等に基づいてCPU2によって検出される。
【0034】
次に、CPU2は、検出した走行状態に基づいて映像表示タイミングであるか否かを判断する(S2)。具体的には、CPU2は、検出した走行状態が図5に示すようなカメラ切替規則にあるか否かによって映像表示タイミングであるか否かを判断する。
【0035】
映像表示タイミングであると判断した場合には、CPU2は、カメラ13乃至15の何れかを選択する(S3)。具体的には、CPU2は、検出した走行状態と対応するカメラをカメラ切替規則に基づいて選択する。
【0036】
次に、CPU2は、表示モードを選択し(S4)、ディスプレイ装置8の画面上における映像の表示位置を決定する(S5)。具体的には、CPU2は、位置マークの表示位置に対して、車両に対するカメラ13乃至15の撮影方向に応じて定まる方向にある位置に映像の表示位置を決定する。
【0037】
例えば、表示モードがヘディングアップモードでカメラ13が選択された場合には、図6(a)に示すように、位置マーク31に対して上方に映像32が表示されるように映像32の表示位置が決定される。
【0038】
また、表示モードがヘディングアップモードでカメラ14が選択された場合には、図6(b)に示すように、位置マーク31に対して左方に映像32が表示されるように映像32の表示位置が決定される。
【0039】
また、表示モードがヘディングアップモードでカメラ15が選択された場合には、図6(c)に示すように、位置マーク31に対して下方に映像32が表示されるように映像32の表示位置が決定される。
【0040】
また、表示モードがノースアップモードでカメラ13が選択され、右方を車両前方として位置マーク31がディスプレイ装置8の画面に表示されている場合には、図6(d)に示すように、位置マーク31に対して右方に映像32が表示されるように映像32の表示位置が決定される。
【0041】
また、表示モードがノースアップモードでカメラ14が選択され、右方を車両前方として位置マーク31がディスプレイ装置8の画面に表示されている場合には、図6(e)に示すように、位置マーク31に対して上方に映像32が表示されるように映像32の表示位置が決定される。
【0042】
また、表示モードがノースアップモードでカメラ15が選択され、右方を車両前方として位置マーク31がディスプレイ装置8の画面に表示されている場合には、図6(f)に示すように、位置マーク31に対して左方に映像32が表示されるように映像32の表示位置が決定される。
【0043】
なお、図7(a)乃至(f)にそれぞれ示すように、CPU2は、決定した映像の表示位置に応じて、映像の表示領域を広くとれるよう、位置マーク31、すなわち、ナビゲーション情報の表示位置を変位させるようにしてもよい。
【0044】
図4において、CPU2は、ディスプレイ装置8の画面上の決定した表示位置に映像を表示させる(S6)。例えば、図8(a)に示すように、表示モードがヘディングアップモードでカメラ14が選択された場合には、ディスプレイ装置8の画面上の位置マーク32の左方にカメラ14によって得られた映像32が表示される。
【0045】
なお、図8(b)に示すように、表示モードがノースアップモードの場合には、CPU2は、各カメラ13乃至15の撮影方向に応じて各映像を回転処理してディスプレイ装置8の画面上に表示するようにしてもよい。
【0046】
このような本発明の一実施の形態のナビゲーションシステムによれば、位置マークの表示位置に対して、撮影方向に応じて定まる方向に映像を表示させるため、様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができる。
【0047】
なお、ナビゲーション情報がディスプレイ装置8の画面上に3次元で表示される場合でも、本発明に係る表示制御装置は、図9に示すように、位置マーク31の表示位置に対して、車両に対するカメラ13乃至15の撮影方向に応じて定まる方向にある位置に映像32を表示させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる表示制御装置は、様々な撮影方向から得られた映像に対して、撮影方向を利用者に認識させることができるという効果を有し、例えば、車両に設けられた撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる表示制御装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムのブロック図
【図2】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムを構成するカメラの設置位置の例を示す概念図
【図3】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムを構成するCPUの各表示モードにおける地図画面の表示例を示すイメージ
【図4】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムを構成するCPUの映像表示制御動作を説明するためのフロー図
【図5】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムのカメラ切替規則の説明図
【図6】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムを構成するディスプレイ装置の画面に表示される映像の第1の表示位置例を示す概念図
【図7】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムを構成するディスプレイ装置の画面に表示される映像の第2の表示位置例を示す概念図
【図8】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムを構成するディスプレイ装置の画面の第1の表示例を示すイメージ
【図9】本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステムを構成するディスプレイ装置の画面の第2の表示例を示すイメージ
【図10】従来の表示制御装置を構成するディスプレイ装置の画面の表示例を示すイメージ
【符号の説明】
【0050】
1 ナビゲーションシステム
2 CPU
3 ROM
4 RAM
5 大容量記憶装置
6 メディアドライブ
7 入力装置
8 ディスプレイ装置
9 GPS受信機
10 ジャイロ
11 車速センサ
12 FM受信機
13、14、15 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた撮影装置からの映像および記録媒体上のデータが示す位置マークを表示装置に表示させる表示制御装置であって、
前記位置マークの表示位置に対する前記映像の表示位置を前記車両の中心位置に対する前記撮影装置で撮影される位置に対応させて前記映像を前記表示装置に表示させる制御手段を備えた表示制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記映像の回動方向を前記位置マークの回動方向に合わせて前記映像を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
車両に設けられた撮影装置からの映像および記録媒体上のデータに対応する位置マークを表示装置に表示させる表示制御装置であって、
前記位置マークの表示位置に対する前記映像の表示位置を前記車両の中心位置に対する前記撮影装置の撮影視点に対応させて前記映像を前記表示装置に表示させる制御手段を備えた表示制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記映像の回動方向を前記位置マークの回動方向に合わせて前記映像を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の表示制御装置を備えたナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−199237(P2006−199237A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15734(P2005−15734)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】