説明

表示制御装置

【課題】映像に映された地物を特定する手間を利用者にかけずに、映像に関連する情報を利用者に提示することができる表示制御装置を提供する。
【解決手段】車両に設けられた撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる表示制御装置を適用したナビゲーション装置において、CPUが、地物を3次元で表す地図データに基づいて、映像に映された各地物が占める当該映像上の領域を算出する(S12)ことによって、入力装置を介して指定された当該映像上の座標を含む領域に映された地物を特定する(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示制御装置としては、情報提供者側の車載端末装置が、映像を編集すると共に映像に関連する地点の位置データをリンクしてセンタに送出し、情報享受者側の車載端末装置が、センタより受信した所望の映像を表示すると共に映像に関連する地点の位置データに基づいて、経路誘導、地点登録または地図表示を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−288530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の表示制御装置は、映像に関連する情報を利用者に提示することができるものの、映像に関連する地点の位置データをリンクさせる必要があるため、映像に映された地物を特定する手間を利用者にかけてしまうといった問題があった。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、映像に映された地物を特定する手間を利用者にかけずに、映像に関連する情報を利用者に提示することができる表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表示制御装置は、車両に設けられた撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる表示制御装置において、地物を3次元で表す地図データに基づいて、前記映像に映された各地物が占める該映像上の領域を算出することによって、入力装置を介して指定された該映像上の座標を含む領域に映された地物を特定する制御手段を備えた構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明の表示制御装置は、映像に映された地物を地図データに基づいて特定することができるため、映像に映された地物を特定する手間を利用者にかけずに、映像に関連する情報を利用者に提示することができる。
【0007】
なお、前記制御手段は、前記映像が撮影されたときの前記撮影装置の緯度、経度、撮影方位および視野で、前記地図データが表す各地物を投影した映像を表す投影データを生成することによって、前記撮影装置によって撮影された映像に映された各地物が占める該映像上の領域を算出するようにしてもよい。
【0008】
この構成により、本発明の表示制御装置は、映像に映された各地物が占める映像上の領域を算出することができる。
【0009】
また、前記制御手段は、測位装置によって測位された前記車両の緯度および経度と、方位検出装置によって検出された前記車両の方位と、記憶媒体に記憶された前記車両に対する前記撮影装置の位置および向きとに基づいて、前記撮影装置の緯度、経度および撮影方位を算出するようにしてもよい。
【0010】
この構成により、本発明の表示制御装置は、撮影装置が映像を撮影したときの緯度、経度および撮影方位を算出することができる。
【0011】
また、前記制御手段は、前記映像から特定した地物に関する情報を前記表示装置に表示させるようにしてもよい。
【0012】
この構成により、本発明の表示制御装置は、映像から指定された地物に関する情報を表示装置に表示させることにより当該情報を利用者に提示することができる。
【0013】
また、前記制御手段は、前記撮影装置によって撮影された映像を表す映像データと、該映像が撮影されたときの前記撮影装置の緯度、経度および撮影方位とを対応させて記憶媒体に記憶させるようにしてもよい。
【0014】
この構成により、本発明の表示制御装置は、過去に走行した経路上で撮影された映像から指定された地物に関する情報を利用者に提示することができる。
【0015】
また、前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶させた映像から特定した地物の位置を経路探索の目的地とするようにしてもよい。
【0016】
この構成により、本発明の表示制御装置は、過去に走行した経路上で撮影された映像から指定された地物の位置を経路探索の目的地とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、映像に映された地物を特定する手間を利用者にかけずに、映像に関連する情報を利用者に提示することができるという効果を有する表示制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
なお、本実施の形態においては、本発明に係る表示制御装置を車両に搭載されるナビゲーション装置に適用し、本発明に係る表示制御装置を構成する制御手段をCPU(Central Processing Unit)によって構成した例について説明する。
【0020】
本発明の一実施の形態の表示制御装置を図1に示す。
【0021】
図1において、ナビゲーション装置1は、CPU10と、RAM(Random Access Memory)11と、ROM(Read Only Memory)12と、ハードディスク13と、表示装置としての液晶ディスプレイ14と、液晶ディスプレイ14に一体に設けられたタッチパネルやリモコン等の入力装置15と、無線通信するための通信モジュール16と、GPS(Global Positioning System)アンテナで受信した複数の衛星から送出された電波に基づいて現在位置の緯度および経度を測る測位装置としてのGPS受信機17と、自車の進行方位を検出する方位検出装置としてのジャイロ18とを備えている。また、ナビゲーション装置1には、自車の車輪の回転数に基づいて車速を検知する車速センサ19と、自車の外部を撮影する撮影装置としてのカメラ20とが接続されている。
【0022】
CPU10は、ROM12およびハードディスク13に記憶されたプログラムをRAM11に読み込んで、RAM11に読み込んだプログラムを実行することによって、ナビゲーションや経路探索、液晶ディスプレイ14に対する表示制御を行う等、各部を制御するようになっている。
【0023】
ハードディスク13には、CPU10に実行させるためのプログラムに加えて、ナビゲーションや経路探索を行うための地図データ、自車の走行履歴、カメラ20に関するカメラ情報、および、映像データ等が格納されている。
【0024】
ここで、地図データには、道路、交差点、建造物および河川等の地物を3次元で表す情報および各地物に関する説明や広告等の情報を含む地物情報や、道路の車線数や一方通行等の交通規制に関する道路情報等が含まれる。地図データは、プログラムを実行するCPU10によってDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体や通信モジュール16を介したネットワーク等からハードディスク13に読み込まれる。
【0025】
走行履歴には、走行日時を示す情報、および、道路や交差点等の地物に付与されたIDの配列、または、GPS受信機17によって測られた自車の緯度および経度、ジャイロ18によって検出された自車が向いている方位、ならびに、車速センサ19によって検知された自車の車速から算出される緯度および経度の配列よりなる経路情報等が含まれる。この走行履歴は、GPS受信機17によって測られた自車の緯度および経度、ジャイロ18によって検出された自車が向いている方位、および、車速センサ19によって検知された自車の車速に基づいて、CPU10によって生成されハードディスク13に格納される。
【0026】
カメラ情報には、自車に対するカメラ20の位置および向き、および、カメラ20の視野等を表す情報が含まれている。このカメラ情報は、カメラ20の設置時に入力装置15等を介してハードディスク13に予め格納されるものとする。
【0027】
映像データは、カメラ20によって撮影された映像を表し、この映像を撮影したときのカメラ20の緯度、経度および撮影方位に対応してハードディスク13に格納される。
【0028】
カメラ20は、図2に示すように、自車のバックミラー21付近に設置されている。なお、カメラ20は、自車のダッシュボードの上や自車のフロントグリル等に設置されていてもよい。
【0029】
以上のように構成されたナビゲーション装置1について図3乃至図5を用いてその動作を説明する。
【0030】
図3は、ナビゲーション装置1の映像データ登録動作を説明するためのフロー図である。
【0031】
まず、入力装置15を介して利用者によって撮影の指示が入力されると、カメラ20によって自車の外部が撮影される(S1)。ここで、CPU10は、GPS受信機17によって測られた緯度および経度と、ジャイロ18によって検出された方位と、カメラ情報が表すカメラ20の位置および向きとに基づいて、カメラ20が撮影したときのカメラ20の緯度、経度および撮影方位を算出する(S2)。
【0032】
次に、CPU10は、算出したカメラ20の緯度、経度および撮影方位に対応させてカメラ20が撮影した映像を表す映像データをハードディスク13に格納する(S3)。
【0033】
図4は、ナビゲーション装置1の位置登録動作を説明するためのフロー図である。
【0034】
まず、車両に搭載されたカメラ20で撮影されたリアルタイムな映像が液晶ディスプレイ14に表示されているものとする。ここで、表示させる映像は、リアルタイムな映像ではなく、以前に撮影された映像の中から利用者が選択した映像であってもよい。
【0035】
利用者は、液晶ディスプレイ14に表示されている映像の中から、所望のオブジェクトが表示された際、入力装置15を介して所望の建物を選択する。
【0036】
このように、入力装置15を介して映像上の建物が指定されると、CPU10は、指定された画面上のX、Y座標値として位置座標を取得すると共に(S10)、指定されたオブジェクトを含む映像データに対応してハードディスク13に格納されているカメラ20の緯度、経度、高さ、および撮影方位、ならびに、ハードディスク13に予め格納されている地図データ内に記録されている各地物情報を使って、カメラ20から見た投影データを生成する(S11)。
【0037】
例えば、図5(a)に示すような、カメラ20によって撮影された映像が液晶ディスプレイ14に表示されており、表示されている地物30eが利用者に選択された場合、図5(b)に示すような映像を表す投影データがCPU10によって生成される。
【0038】
なお、図5(b)に示すような映像を表す投影データは、地物の緯度、経度、面積および高さ情報を利用して、液晶ディスプレイ14に表示される地物を、視点遠方からカメラ20まで表示を重ねていくことで生成される。
【0039】
ここで、CPU10は、映像に映されている地物30a乃至30eが投影データを生成した際に、それぞれの地物が表示されている領域31a乃至31eを算出する(S12)。
【0040】
図4において、CPU10は、算出した各領域のなかで入力装置15を介して指定された座標を含む領域があるか否かを判断する(S13)。地図データの更新時期の遅れ等により、指定された座標を含む領域がないと判断した場合には、CPU10は、液晶ディスプレイ14に座標の再指定を促すメッセージを表示させ(S14)、新たに座標が指定されるのを待つ。
【0041】
一方、指定された座標を含む領域があると判断した場合には、CPU10は、地図データの更新時期の遅れ等に対応するよう、指定された座標を含む領域に近い境界を有する地物を映像から認識して切出し、切出した境界からなる領域と指定された座標を含む領域との形状や面積を比較することによって地物が地図データに存在するか否かを判断する(S15)。
【0042】
なお、CPU10は、地物を映像から認識して地物の存在を判断するのに代えて、指定された座標を含むと判断した領域を示す映像をカメラ20によって撮影された映像上に重畳、もしくは強調表示させて液晶ディスプレイ14に表示させ、入力装置15を介して利用者に地物が地図データに存在するか否かを確認させるようにしてもよい。
【0043】
当該地物が地図データに存在しないと判断した場合には、CPU10は、液晶ディスプレイ14に座標の再指定を促すメッセージを表示させ(S14)、新たに座標が指定されるのを待つ。
【0044】
一方、当該地物が地図データに存在すると判断した場合には、CPU10は、指定された座標を含むと判断した領域に該当する地物に関する地物情報や当該地物の位置を地図と共に液晶ディスプレイ14に表示し(S16)、入力装置15を介した利用者の確認等を経て、当該地物の位置をRAM11やハードディスク13に登録する(S17)。
【0045】
CPU10は、例えば、このように登録した地物の位置を経路探索の目的地とする。
【0046】
また、CPU10は、液晶ディスプレイ14上に映像と地図とを緯度、経度および方位によってリンクさせて表示させることにより、映像上で選択した地物に対応する地図上の地物を強調表示したり、地図上で選択した地物に対応する映像上の地物を強調表示したりしてもよい。
【0047】
このような本発明の一実施の形態のナビゲーション装置1は、映像に映された地物を地図データに基づいて特定することができるため、映像に映された地物を特定する手間を利用者にかけずに、映像に関連する情報を利用者に提示することができる。
【0048】
なお、本実施の形態において、CPU10は、ハードディスク13に格納されている地図データに基づいて、カメラ20によって撮影された映像を表す投影データを生成するものとして説明したが、CPU10が経路案内のために液晶ディスプレイ14に表示させる投影データを生成する場合には、この投影データが表す映像をカメラ20から見た映像に視点変換することによって、カメラ20によって撮影された映像を表す投影データを生成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明にかかる表示制御装置は、映像に映された地物を特定する手間を利用者にかけずに、映像に関連する情報を利用者に提示することができるという効果を有し、例えば、車両に設けられた撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる表示制御装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置のブロック図
【図2】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置に接続されるカメラの設置例を示す概念図
【図3】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置の映像データ登録動作を説明するためのフロー図
【図4】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置の位置登録動作を説明するためのフロー図
【図5】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置によって撮影された映像と、生成された投影データが表す映像とを示すイメージ
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーション装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 ハードディスク
14 液晶ディスプレイ
15 入力装置
16 通信モジュール
17 GPS受信機
18 ジャイロ
19 車速センサ
20 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた撮影装置によって撮影された映像を表示装置に表示させる表示制御装置において、
地物を3次元で表す地図データに基づいて、前記映像に映された各地物が占める該映像上の領域を算出することによって、入力装置を介して指定された該映像上の座標を含む領域に映された地物を特定する制御手段を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記映像が撮影されたときの前記撮影装置の緯度、経度、撮影方位および視野で、前記地図データが表す各地物を投影した映像を表す投影データを生成することによって、前記撮影装置によって撮影された映像に映された各地物が占める該映像上の領域を算出することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、測位装置によって測位された前記車両の緯度および経度と、方位検出装置によって検出された前記車両の方位と、記憶媒体に記憶された前記車両に対する前記撮影装置の位置および向きとに基づいて、前記撮影装置の緯度、経度および撮影方位を算出することを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記映像から特定した地物に関する情報を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記撮影装置によって撮影された映像を表す映像データと、該映像が撮影されたときの前記撮影装置の緯度、経度および撮影方位とを対応させて記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶させた映像から特定した地物の位置を経路探索の目的地とすることを特徴とする請求項5に記載の表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−155528(P2007−155528A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351882(P2005−351882)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】