説明

表示制御装置

【課題】 特定エリアへ特定コンテントが配置された後、過去の画面表示の要求があった際、過去のエリア使用状況に基づいてコンテントを配置することが可能な表示制御装置を提供する。
【解決手段】 特定コンテントの特定エリアへの配置指示を取得し、有効指示集合へ追加する。有効指示集合に重複する配置指示が追加された場合には当該配置指示を削除し、削除した配置指示を指示履歴集合へ追加する。その後、有効指示集合の配置指示に基づいてコンテントを配置し、有効指示集合の配置指示に重複しない配置指示が指示履歴集合にあれば、指示履歴集合の配置指示に基づいてコンテントを配置する。このとき、コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合(S400:YES)、指示履歴集合から配置指示を取得する(S410)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報などを車室内に用意された表示装置に表示する際、ユーザが把握し易いように表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の室内で提供される情報は、多岐にわたっている。例えば、車両の状態を示す車速、エンジン回転数、シフトポジション、燃料、水温などが挙げられる。また例えば、ナビゲーションのための地図、エアコンの設定情報、オーディオ情報などが挙げられる。近年では、運転支援のためのナイトビューや、車両内に持ち込んだ携帯端末の情報なども提供されるようになってきた。
【0003】
これらの情報を提供するための表示装置も、種々のものが搭載されるようになっており、ヘッドアップディスプレイや、ナビゲーションのための地図などが表示される液晶ディスプレイが挙げられる。また、車速などが表示されるメータパネルも液晶などの採用によって種々の情報を提供可能なものがあり、一種の表示装置と言える。
【0004】
このように提供される情報(以下「コンテント」という)が多くなってきていること、また、複数の表示装置が搭載されることから、どのコンテントをどの表示装置のどの領域(以下「エリア」という)に表示させるのかが、重要となってくる。
【0005】
従来、携帯端末が生成した複数の画面データを1つのディスプレイに対して割り当てる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、画面データ及び表示領域にそれぞれ優先度を割り当てて、優先度順に領域を決定するものである。また、ユーザの指示によって、特定のエリアへ特定のコンテントを割り当てることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−140488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明は、次のような点で不十分であると言わざるを得ない。
それは、特定のエリアへ特定のコンテントが割り当てられた後、何らかの理由でユーザが画面表示を元に戻そうとしても、その特定のエリアに過去に表示されていたコンテントを再び表示することはできないという点である。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、特定エリアへ特定コンテントが配置された後、過去の画面表示の要求があった際、過去のエリア使用状況に基づいてコンテントを配置することが可能な表示制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の表示制御装置(1)は、車両に搭載される表示装置(21,22,23)の画面に表示領域として設定される複数のエリアに対し、コンテントを割り当てて表示するものである。
【0010】
本発明の表示制御装置では、配置指示取得手段(15a)が、コンテントのエリアへの配置指示を取得する。この配置指示は、システムの要求によって発生するものであることが考えられる。また、ユーザの要求によって発生するものであることが考えられる。
【0011】
配置指示記憶制御手段(15b)は、取得される配置指示を、配置指示記憶手段(14a)に、時系列に記憶する。このとき、コンテント及びエリアの少なくとも一方が重複する配置指示が配置指示記憶手段に記憶されると、当該コンテント又は当該エリアを含む過去の配置指示を、配置指示削除手段(15c)が削除する。また、指示履歴記憶制御手段(15d)は、配置指示削除手段にて削除された配置指示を、指示履歴記憶手段(14b)に、時系列に記憶する。そして、コンテント割当手段(15e)によって、配置指示記憶手段に記憶される配置指示に基づきエリアに対しコンテントが割り当てられと共に、指示履歴記憶手段に記憶される配置指示に基づき、エリアに対しコンテントが割り当てられる。
【0012】
ここで特に、配置指示取得手段は、コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合(S400:YES)、指示履歴記憶手段に記憶された配置指示の中で最も新しいものを取得する(S410)。
【0013】
つまり、削除された配置指示を時系列に記憶しておくことで、過去の画面表示の要求があった場合には、もっとも新しいものを配置指示として取得するのである。このようにすれば、特定エリアへ特定コンテントが配置された後、過去の画面表示の要求があった際、過去のエリア使用状況に基づいてコンテントを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】表示制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】コンテント及びエリアに対応付けられる属性を示す説明図である。
【図3】エリア管理部におけるエリアの階層データ構造を示す説明図である。
【図4】所定の演算子を用いて規定される必須排他制約式の処理を示す説明図である。
【図5】仮想エリアへの配置指示を統治セットで実現することを示す説明図である。
【図6】表示制御処理の前部分を示すフローチャートである。
【図7】表示制御処理の中部分を示すフローチャートである。
【図8】表示制御処理の後部分を示すフローチャートである。
【図9】(a)は有効指示集合への配置指示の追加を示す説明図であり、(b)は重複する配置指示の削除を示す説明図であり、(c)は削除された配置指示の指示履歴集合への追加を示す説明図である。
【図10】仮想エリアへの配置指示と仮想エリアと実際のエリアとの紐付けを示す説明図である。
【図11】(a)はコンテントにおける必須排他関係を示す説明図であり、(b)はエリアにおける必須排他関係を示す説明図であり、(c)はコンテントとエリアとの組合せを示す説明図である。
【図12】(a)は有効指示集合への配置指示の追加を示す説明図であり、(b)は重複する配置指示の削除を示す説明図であり、(c)は削除された配置指示の指示履歴集合への追加を示す説明図である。
【図13】有効指示集合からの配置指示の削除を示す説明図である。
【図14】ユーザから過去の画面表示が要求された場合の表示制御処理の前部分を示すフローチャートである。
【図15】(a)は指示履歴集合からの配置指示の追加を示す説明図であり、(b)は重複する配置指示の削除を示す説明図であり、(c)は指示履歴集合への追加がないことを示す説明図である。
【図16】(a)は指示履歴集合からの配置指示の追加を示す説明図であり、(b)は重複する配置指示の削除を示す説明図であり、(c)は指示履歴集合への追加がないことを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態の表示制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
表示制御装置1は、制御部10を中心に構成されている。制御部10には、3台の表示装置21,22,23、及び、入出力IF30が接続されている。なお、以下では、3台の表示装置21〜23を区別するため、必要に応じて「ア表示装置21」、「イ表示装置22」、「ウ表示装置23」と記述する。
【0016】
3台のア〜ウの表示装置21〜23はそれぞれ、例えばヘッドアップディスプレイ、メータパネル、ナビゲーションのための地図などを表示するカラー液晶表示装置などとして具現化される。ただし、これに限られるものではない。
【0017】
入出力IF30は、車両内のネットワーク(例えばCAN)に接続するための構成であり、入出力IF30を介し、表示制御装置1は、マルチメディアECU41、車速ECU42、エンジン回転数センサ43、各種ECU44、及び、各種センサ45に接続されている。各種ECU44には、例えばナビゲーションECUなどが含まれる。また、各種センサ45には、車室外の気温を検知する外気温センサやエンジン冷却水の温度を検知する水温センサなどが含まれる。
【0018】
このような構成により、表示制御装置1は、ネットワークを介して各種のコンテントを取得可能となっている。コンテントは、マルチメディアECU41から取得される「オーディオ情報」、車速ECU42から取得される「車速」、エンジン回転数センサ43から取得される「エンジン回転数」、各種ECU44に含まれるナビゲーションECUから取得される「地図」、各種センサ45に含まれる外気温センサから取得される「外気温」など様々である。
【0019】
制御部10は、コンテント管理部11、エリア管理部12、割当管理部13、配置指示管理部14、コンテント割当制御部15、及び表示レイアウト制御部16を有している。
コンテント管理部11は、上述した種々のコンテントを管理するための機能を有し、カテゴリーの異なるコンテントも同様に管理している。コンテント管理部11は、コンテントに対し、図2に示すように、「情報価値」、「コンテントサイズ」及び「表示状態」の3つの属性を対応付けて管理する。
【0020】
ここで情報価値とは、表示対象者毎のコンテントの価値を示すものである。本実施形態では、表示対象者は、運転者、助手席同乗者、後席同乗者である。つまり、コンテントの価値は、表示対象者によって異なる。例えば「車速」や「エンジン回転数」といったコンテントは、運転者にとって価値の高い情報となる。そのため、情報価値[運転者]、情報価値[助手席同乗者]、及び、情報価値[後席同乗者]という3つの価値を各コンテントが有している。なお、本実施形態では、情報価値が「0」以上の数値として記憶されているものとする。
【0021】
またコンテントサイズは、コンテントの表示に要する領域の大きさであり、例えば縦及び横のピクセル数で表される。
さらにまた表示状態は、そのコンテントが表示対象であるか否かを示す情報であり、表示対象であることを示す「アクティブ状態」又は表示対象でないことを示す「非アクティブ状態」のいずれかが設定される。
【0022】
具体的には、車両状況やユーザ操作に応じて「アクティブ状態」と「非アクティブ状態」とが切り替えられる。例えば、シフトレンジがRの時は「バックモニタ」のコンテントが「アクティブ状態」となり、シフトレンジがR以外の時は「バックモニタ」のコンテントが「非アクティブ状態」になるという具合である。また例えば、ユーザがオーディオスイッチをオンにすると「オーディオ情報」のコンテントが「アクティブ状態」となり、オーディオスイッチをオフにすると「オーディオ情報」のコンテントが「非アクティブ状態」になるという具合である。
【0023】
図1の説明に戻り、エリア管理部12は、表示領域としての複数のエリアを管理するための機能を有する。エリアは、ア〜ウの3台の表示装置21〜23の画面に対して設定される。エリア管理部12は、ア〜ウの3台の表示装置21〜23のエリアを同様に管理している。すなわち、ア表示装置21のエリアもイ表示装置22のエリアも区別なく管理している。ただし、エリア管理部12は、エリアに対し、図2に示すように、「エリア適性度」及び「エリアサイズ」の2つの属性を対応付けて管理する。
【0024】
ここでエリア適性度とは、表示対象者毎のエリアの場所的な適正度を示すものである。表示対象者は、上述したように、運転者、助手席同乗者、後席同乗者である。つまり、エリア適性度は、表示対象者によって異なる。例えばメータパネルのエリアは運転者にとってエリア適性度が大きくなり、また例えばナビゲーションのための地図などを表示する液晶表示装置のエリアは、運転者及び助手席同乗者にとってエリア適性度が大きくなる。そのため、エリア適性度[運転者]、エリア適性度[助手席同乗者]、及び、エリア適性度[後席同乗者]という3つの適性度を各エリアが有している。なお、本実施形態では、エリア適性度を「1」〜「10」の10段階で示すものとする。ただし、これには限定されない。
【0025】
またエリアサイズは、エリアの大きさであり、コンテントサイズと同様、例えば縦及び横のピクセル数で示される。
また、エリア管理部12は、ア〜ウの表示装置21〜23のエリアを階層データ構造で管理する。例えばア表示装置21のエリアを例に挙げて説明すると、図3に示す如くである。
【0026】
ア表示装置21の表示領域は、図3(a)に示すように、画面全体を使用するaエリア、このaエリアを左右2つに分割したbエリア及びcエリア、さらに、bエリアを左右2つに分割したdエリア及びeエリア、cエリアを上下2つに分割したfエリア及びgエリアとして設定されているものとする。
【0027】
このとき、図3(b)に示すように、aエリアを最上位の階層のエリアとして管理する。aエリアの直下の階層にb及びcのエリアを管理し、b及びcのエリアの直下の階層にそれぞれ、d及びeのエリアとf及びgのエリアとを管理する。
【0028】
これにより、図3(c)に示すように、例えばbエリアにコンテントが割り当てられると、それよりも下の階層であるd及びeのエリアは使用不能と判断する。なお、aエリアの直下にあるb及びcのエリアのうち一方のbエリアのみにコンテントが割り当てられるときは(c,f,gのエリアが使用されていないときは)、aエリアの内部にコンテントが表示されればよく、例えばコンテントがb及びcのエリアに跨るようにセンタリングなどを施すようにしてもよい。
【0029】
図1に戻り、割当管理部13は、コンテント及びエリアの必須排他制約式、及び、所定エリアに対する所定コンテントの割当情報を記憶している。
コンテントの必須排他制約式は、コンテントの必須表示やコンテントの排他表示を、予め定められた制約式で規定する情報である。
【0030】
本実施形態では「&」、「|」、「^」、「/」、「+」の5つの演算子が定義されている。図4(a)に示す如くである。すなわち、
X&Yは、XとYとの両方を表示することを意味する。
【0031】
X|Yは、Xのみを表示する、Yのみを表示する、又は、XとYとの両方を表示することを意味する。
X^Yは、Xのみを表示する、又は、Yのみを表示することを意味する。
【0032】
X/Yは、Xのみを表示する、Yのみを表示する、又は、XもYも表示しないことを意味する。
X+Yは、XとYとの両方を表示する、又は、XもYも表示しないことを意味する。
【0033】
なお、X/YはX&Yの否定であり、X+YはX^Yの否定となっている。ただし、本実施形態では、後述する表示制御処理にて、演算子に対する処理を行う。この処理を簡単にするため、あえて否定を示す演算子を使用することを避けている。
【0034】
なお、エリアの必須排他制約式についても、コンテントの必須排他制約式と同様となっている。
また、所定エリアに対する所定コンテントの割当情報は、予め定められたエリアと予め定められたコンテントとの対応関係を示すものである。
【0035】
図1に戻り、配置指示管理部14は、システムによる配置指示やユーザの操作に基づく配置指示を管理するものである。これは、割当管理部13に記憶される割当情報と異なり、動的な配置指示を管理するものである。
【0036】
例えば、シフトレンジがRになった場合「バックモニタ」のコンテントをナビの地図が表示されているエリアに配置するというシステムによる配置指示が考えられる。また例えば、ユーザがオーディオスイッチをオンにすると「オーディオ情報」のコンテントをナビの地図が表示されているエリアに配置するというユーザ操作に基づく配置指示が考えられる。なお、ユーザ操作に基づく配置指示には、表示されているコンテントをドラッグ操作などにより別のエリアへ移動させるような配置指示も含まれる。
【0037】
すなわち、ここでいう配置指示は、特定コンテントを特定エリアへ配置するものであり、その特定エリアにもともと表示されているコンテントに代え、特定コンテントの配置を指示するものである。これは、いわば「後勝ちの配置」と言える。
【0038】
本実施形態では、以上のようなコンテント管理部11、エリア管理部12、割当管理部13及び配置指示管理部14に記憶される情報に基づき、コンテント割当制御部15が、まずは配置指示管理部14の配置指示に基づきコンテントをエリアへ割り当て、配置指示にないコンテントに対してはその後、コンテントのエリアに対する評価値を算出し、コンテントのエリアへの割り当てを行う。また、コンテント割当制御部15によるコンテントのエリアへの割り当てに基づき、コンテントを表示するのが、表示レイアウト制御部16である。
【0039】
なお、本実施形態では、後述するようにコンテント同士の結び付きを考慮したコンテント配置を実現するため、統治セットの単位でコンテント及びエリアを管理する。複数の統治セットがある場合、統治セット毎に割り当てを行い、優先的にエリアへの割り当てを行うコンテントが含まれる統治セットから順に処理される。
【0040】
例えば、コンテントAとコンテントAに関連するコンテントCがある場合、コンテントAに並べてコンテントCを表示したいという要求があるものとする。具体的には、図5(a)に示すように、ア表示装置21のbエリアにコンテントAを配置した場合にはbエリアの隣のcエリアにコンテントCを表示し、イ表示装置22のhエリアにコンテントAを配置した場合にはhエリアの隣のiエリアにコンテントCを表示する。このときは、コンテントAをbエリアに配置するのかあるいはhエリアに配置するのかが決まってはじめて、コンテントCの配置エリアが定まる。したがって、図5(b)に示すように、コンテントAが含まれる統治セットT1→コンテントCが含まれる統治セットT2という順序で、割り当てを行う。
【0041】
ところが、上述したような配置指示がコンテントCに対してなされる場合が考えられる。例えば、コンテントAに対するポップアップ表示がコンテントCであるような場合が挙げられる。このときは、コンテントAの配置エリアが決まるまで、特定コンテントCの特定エリアに対する配置指示は行えない。
【0042】
そこで、本実施形態では、仮想エリアという概念を用いる。すなわち、このときは、図5(c)に示すように、特定コンテントCを仮想エリアへ配置するという配置指示がなされることになる。そして、コンテントAの割り当て後に、仮想エリアとc又はiエリアとの紐付けが行われる。
【0043】
次に、表示制御処理について説明する。図6は、表示制御処理の前部分を示すフローチャートであり、図7は、表示制御処理の中部分を示すフローチャートであり、図8は、表示制御処理の後部分を示すフローチャートである。なお、以下では適宜、情報価値及びエリア適性度をまとめて「価値」といい、コンテントサイズ及びエリアサイズをまとめて「サイズ」という。
【0044】
最初のS100では、配置指示を取得する。上述したように、この配置指示は、システムによる配置指示やユーザの操作に基づく配置指示であり、配置指示管理部14にて管理される。
【0045】
続くS110では、配置指示を有効指示集合へ追加する。本実施形態では、有効指示集合及び指示履歴集合を設定する。有効指示集合は、時系列に記憶された配置指示の集合である。一方、指示履歴集合は、有効指示集合に記憶された後、有効指示集合から削除された配置指示の履歴を時系列に示すものである。例えばS100において配置指示「E−c」が取得されると、図9(a)に二点鎖線で示すように、当該配置指示「E−c」が有効指示集合に追加される。
【0046】
次のS120では、価値変更処理を実行する。この処理は、車両の状況(本実施形態では走行中であるか停車中であるかという走行状況)に基づき、コンテントの情報価値及びエリアのエリア適性度を変更するものである。
【0047】
なお、本実施形態では価値変更処理を実行するものとしたが、この処理は必須のものではないため、別の形態として価値変更処理を省略することも考えられる。また、所定条件の成立時にだけ実行する構成としてもよい。
【0048】
続くS130では、統治セットを示す変数lを「1」として初期化する。この変数lがインクリメントされる毎に、1番目の統治セット→2番目の統治セット→3番目の統治セット→・・・という具合に処理されることなる。
【0049】
次のS140では、仮想エリアの紐付けを行う。この処理は、有効指示集合の配置指示に仮想エリアがある場合で、かつ、関連コンテントのエリアへの割り当てが決定されている場合に実行されるものである。
【0050】
例えば図10(a)に示すように、配置指示「C−仮想エリア」が有効指示集合にある場合を考える。このとき、コンテントCに関連するコンテントAが図5(a)に示すエリアbに割り当てられているのであれば、仮想エリアとエリアcとを紐付けるという具合である。
【0051】
続くS150では、必須排他制約式を処理する。必須排他制約式には、属性が「非アクティブ状態」となっているコンテントも含まれる。そのため、ここでは、「非アクティブ状態」となっているコンテントを含む必須排他制約式を処理する。
【0052】
具体的には、図4(b)に示すように、必須排他制約式から構文ツリーを作る。図4(b)では、「(A&Z)^B」の必須排他制約式が構文ツリーとして示されている。このとき、A及びBのコンテントが「アクティブ状態」であり、Zのコンテントが「非アクティブ状態」であるものとする。この場合、Zのコンテントを構文ツリーから削除すると共に、その上位の演算子「&」を構文ツリーから削除する(記号J参照)。これにより、構文ツリーは図4(c)に示す如くとなり、必須排他制約式は、「A^B」となる。このように、「非アクティブ状態」のコンテントとその上位の演算子を削除するという手法は、上位演算子が「&」、「|」、「^」の場合に適用される。
【0053】
一方、上位演算子が「/」の場合には、図4(d)に示すように、「非アクティブ」のYのコンテント及びその上位の演算子「/」を削除すると共に(記号L参照)、削除した演算子「/」の下位のコンテントXも削除する(記号K参照)。演算子が「+」の場合も同様である。
【0054】
なお、このような必須排他制約式の処理を行う場合、否定を示す演算子を用いると期待する結果が得られないため、本実施形態では、否定を示す演算子を用いていない。
また、S150では、必須排他制約式に基づくコンテントとエリアとの組合せを作成する。
【0055】
まず、必須排他制約式に基づくコンテントのリストを取得する。例えば、必須排他制約式「A^B」があるものとし、l番目の統治セットに含まれるコンテントが「A,B,C,D」であれば、図11(a)に示すように、「A,C,D」、「B,C,D」という2つのリストが抽出される。
【0056】
同様に、必須排他制約式に基づくエリアのリストを取得する。例えば必須排他制約式「a/b」があるものとし、l番目の統治セットに含まれるエリアが「a,b,c,d」であれば、図11(b)に示すように、「a,c,d」、「b,c,d」という2つのリストが抽出される。
【0057】
これにより、コンテントとエリアとの組合せは、図11(c)に示すように、コンテント「A,C,D」とエリア「a,c,d」との組合せをはじめ、「A,C,D」と「b,c,d」、「B,C,D」と「a,c,d」、「B,C,D」と「b,c,d」という具合に4つの組合せが取得される。なお、図中でコンテントA,Bに付した下線は、コンテントA,Bが必須表示項目であることを示す。ここでは、M個の組合せが取得されたものとして説明を続ける。
【0058】
続くS160では、コンテントとエリアとの組合せを示す変数mを「1」として初期化する。この変数mがインクリメントされる毎に、1番目の組合せ→2番目の組合せ→3番目の組合せ→・・・という具合に処理されることなる。
【0059】
次のS170では、重複指示を削除し、指示履歴集合への追加を行う。この処理は、有効指示集合の中でコンテントあるいはエリアが重複する配置指示があれば過去の配置指示を削除するものである。また、削除した過去の配置指示を、指示履歴集合へ追加するものである。
【0060】
例えば、図9の例で言えば、図9(a)に示すように配置指示「E−c」が追加された場合、図9(b)に示すように、エリアが重複する配置指示「G−c」及び、コンテントが重複する配置指示「E−a」を削除する。そして、図9(c)に示すように、配置指示「G−c」,「E−a」を、指示履歴集合へ記憶する。
【0061】
続くS180では、有効指示集合に基づいてコンテントをエリアへ割り当てる。これにより、コンテントのエリアへの「後勝ちの配置」が実現される。
次のS190では、指示履歴集合の中に、有効指示集合に重複しない配置指示があるか否かを判断する。新たな配置指示が有効指示集合に追加されることにより、一度は削除された過去の配置指示が有効指示集合に重複しないことがあり得る。ここで、重複しない配置指示がある場合(S190:YES)、S200にて指示履歴集合の配置指示に基づいてコンテントをエリアへ配置し、その後、図7中のS210へ移行する。一方、重複しない配置指示がない場合(S190:NO)、S200の処理を実行せず、図7中のS210へ移行する。
【0062】
例えば、図12(a)に示すように、指示履歴集合に配置指示「G−c」,「E−a」が記憶されている状態で、有効指示集合に配置指示「E−d」が新たに追加された場合を考える。図12(b)に示すように、重複する配置指示「E−c」が削除され、図12(c)に示すように、配置指示「E−c」が指示履歴集合に追加される(S170)。このとき、もともと指示履歴集合にあった配置指示「G−c」(記号αで示した)は、有効指示集合の配置指示と重複しないものとなり(S190:YES)、配置指示「G−c」に基づいてコンテントGがエリアcへ割り当てられる(S200)。
【0063】
図7中のS210では、コンテントリストを作成する。この処理は、S200までの処理でエリアに割り当てられていないコンテントのリストを作成するものである。具体的には、コンテントの属性である表示状態が「アクティブ状態」となっているコンテントを抽出して情報価値が大きいものから順に並べ替える。例えば、コンテントX,Y,Z,Wがあり、情報価値がX>Y>Z>Wのとき、「アクティブ状態」となっているコンテントが「X,Z,W」であれば、コンテントリストは、「X→Z→W」となる。なお、ここでは、N個のコンテントが並べ替えられたものとする。
【0064】
次のS220では、コンテントを示す変数nを「1」として初期化する。この変数nがインクリメントされる毎に、m番目の組合せの1番目のコンテント→m番目の組合せの2番目のコンテント→m番目の組合せの3番目のコンテント→・・・という具合に処理されることになる。
【0065】
続くS230では、エリアを探索する。この処理は、未だコンテントが割り当てられていない全てのエリアを探索するものである。
次のS240では、階層データ構造に基づきエリアを除外する。この処理は、コンテントが割り当てられていないエリアであっても、階層データ構造で上位に位置するエリアに対しコンテントが割り当てられている場合に、そのエリアを除外するものである。例えば図3(c)に示したように、bエリアにコンテントが割り当てられている場合、d及びeのエリアが除外されるという具合である。
【0066】
続くS250では、コンテントサイズ及びエリアサイズに基づきエリアを除外する。この処理は、割り当てられるコンテントのコンテントサイズよりも小さなエリアサイズのエリアを除外するものである。
【0067】
次のS260では、割当管理に基づきエリアを除外する。具体的には、割当管理部13に記憶された対応関係に基づき、コンテントとエリアとの対応関係にないエリアを除外する。
【0068】
続くS270では、評価値を算出し、評価値が最も大きなエリアを選択する。この処理は、予め定められた算出式でコンテント及びエリアの情報から評価値を算出し、当該評価値が最も大きくなるエリアを選択するものである。
【0069】
具体的に、本実施形態では、評価値には、運転者評価値(DE)、助手席同乗者評価値(AE)、及び、後席同乗者評価値(RE)がある。なお、式を煩雑にしないために、運転者を「D」、助手席同乗者を「A」、後席同乗者を「R」で表すと、本実施形態では、それぞれ、

DE=K[D]×情報価値[D]×エリア適性度[D]
AE=K[A]×情報価値[A]×エリア適性度[A]
RE=K[R]×情報価値[R]×エリア適性度[R]

となる。
【0070】
ここでK[D],K[A],K[R]は、運転者、助手席同乗者、及び、後席同乗者の存在を示すものであり、乗車時に「1」となり、非乗車時に「0」となる。
そして、求める評価値は、

評価値 = DE+AE+RE

となる。
【0071】
S280では、S270における評価値が最も大きくなるコンテントのエリアへの割り当てを記憶する。
続くS290では、変数nがコンテントの個数Nに等しいか否かを判断する。この処理は、m番目の組合せに含まれる全てのコンテントを処理したか否かを判断するものである。ここでn=Nである場合(S290:YES)、図8中のS310へ移行する。一方、n≠Nである場合(S290:NO)、すなわち処理していないコンテントがあるうちは、S300にて変数nをインクリメントし、S230からの処理を繰り返す。
【0072】
図8中のS310では、変数mが組合せの個数Mに等しいか否かを判断する。この処理は、全ての組合せを処理したか否かを判断するものである。ここでm=Mである場合(S310:YES)、S320へ移行する。一方、m≠Mである場合(S310:NO)、すなわち処理していない組合せがあるうちは、S330にて変数mをインクリメントし、図6中のS170からの処理を繰り返す。
【0073】
S320では、必須排他制約式を満たす組合せがあるか否かを判断する。例えば上述したコンテントではA又はBのコンテントが必須表示されるべきコンテントであるため、A又はBのコンテントがエリアに割り当てられる組合せがあるか否かを判断する。ここで必須排他制約式を満たす組合せがあると判断された場合(S320:YES)、S340へ移行する。一方、必須排他制約式を満たす組合せがないと判断された場合(S320:NO)、S350にて有効指示集合から古い配置指示を削除し、図6中のS160へ移行する。
【0074】
S340では、それぞれの組合せにおける評価値の合計に基づき、最も評価値の合計が大きくなった組合せを選択する。これにより、図7中のS280にて記憶されたコンテントのエリアへの割り当てが確定することになる。続くS360では、有効指示集合及び指示履歴集合を確定する。
【0075】
続くS370では、変数lが統治セットの個数Lに等しいか否かを判断する。この処理は、統治セットの全てを処理したか否かを判断するものである。ここでl=Lである場合(S370:YES)、S380へ移行する。一方、l≠Lである場合(S370:NO)、すなわち処理していない統治セットがあるうちは、S390にて変数lをインクリメントし、図6中のS140からの処理を繰り返す。
【0076】
S380では、コンテントを表示する。この処理は、割り当てられたエリアにコンテントを表示するものであり、表示レイアウト制御部16の機能として実現される。
なお、表示制御処理では、必須排他制約式を満たす組合せがない場合(S320:NO)、有効指示集合から古い指示を削除して(S350)、再び全ての組合せについて処理を行う。このとき、有効指示集合からの配置指示削除の一例を図13に示した。
【0077】
図13(a)に示すように最初に最も古い配置指示「B−b」を削除し(S350)、再び全ての組合せについて処理を行う。このようにしても、必須排他制約式を満たす組合せがない場合(S320:NO)、次に図13(b)に示すように、古い方から2番目の配置指示「E−a,F−c」を削除する(S350)。
【0078】
さらに必須排他制約式を満たす組合せがない場合(S320:NO)、図13(c)に示すように、配置指示「B−b」,「E−a,F−c」を削除し(S350)、S320で否定判断される度に、配置指示「A−d」(図13(d)参照)→配置指示「A−d」,「B−b」(図13(e)参照)→配置指示「A−d」,「E−a,F−c」(図13(f)参照)→・・・という具合に削除していく。
【0079】
これは、丁度、「001」→「010」→「011」→「100」→「101」→「111」というように2進数の桁の繰り上がりに対応する。なお、「1」が削除される配置指示に対応し、より新しい配置指示がより左側の桁に対応する。
【0080】
このようにするのは、必須排他制約式を満たす組合せが、なるべく有効指示集合に含まれる配置指示を実現することが望ましいためである。
次に、ユーザから過去の画面表示の要求があった際の処理について説明する。この場合、図14に示すように、図6中のS100の処理に代え、S400,S410の処理を実行し、S170の処理に代え、S420を実行する。
【0081】
これにより、配置指示があって特定コンテントが特定エリアに割り当てられた後、元の配置に戻す操作が実現される。例えば、オーディオボタンの操作により、地図が表示されていたエリアにオーディオ操作画面が配置された場合、所定操作によって再び地図をそのエリアに表示させることができる。
【0082】
図14に示すように、S400では、画面を戻す指示があったか否かを判断する。画面を戻す指示は、システムによる指示やユーザの操作に基づく指示である。なお、この指示は、システム全体に対してなされることも考えられるし、特定のエリアについてなされることも考えられる。ここで画面を戻す指示があったと判断された場合(S400:YES)、S410へ移行する。一方、画面を戻す指示がないと判断された場合(S400:NO)、以降の処理を実行せず、表示制御処理を終了する。
【0083】
S410では、S100と同様、配置指示を取得する。ただし、この配置指示は、指示履歴集合の中の最も新しいものとして取得される。
図13中のS110〜S160は、上記表示制御処理と同様である。
【0084】
S160に続くS420では、重複指示を削除する。この処理は、有効指示集合の中に配置指示と重複するものがあれば、過去の配置指示を削除するものである。ただし、図6中のS170と異なるのは、削除した配置指示を指示履歴集合に追加しない点である。これにより、画面を元に戻す指示が連続してなされた場合に、より古い過去の配置指示を読み出すことができる。
【0085】
具体的には、図15(a)に示すように、有効指示集合に配置指示「E−a,F−c」,「B−b」が含まれており、指示履歴集合に配置指示「A−a,C−c」が含まれている場合を考える。このとき、システム全体の画面を一つ前の画面に戻す指示があると(図14中のS400:YES)、指示履歴集合から、配置指示「A−a,C−c」が取得される(S410)。この場合、有効指示集合の配置指示「E−a,F−c」とa及びcのエリアが重複するため、この配置指示「E−a,F−c」が削除される(S420)。
【0086】
また、図15と同様、図16(a)に示すように、有効指示集合に配置指示「E−a,F−c」,「B−b」が含まれており、指示履歴集合に配置指示「A−a,C−c」が含まれている場合を考える。このとき、特定エリアaの画面を一つ前の画面に戻す指示があると(図14中のS400:YES)、指示履歴集合から、配置指示「A−a」が取得される(S410)。この場合、有効指示集合には配置指示「E−a」があり、aのエリアが重複するため、この配置指示「E−a」が削除される(S420)。
【0087】
次に、本実施形態の表示制御装置1が発揮する効果を説明する。
本実施形態では、特定コンテントの特定エリアへの配置指示を取得し(図6中のS100)、有効指示集合へ追加する(S110)。有効指示集合に重複する配置指示が追加された場合には当該配置指示を削除し、削除した配置指示を指示履歴集合へ追加する(S170)。その後、有効指示集合の配置指示に基づいてコンテントを配置し(S180)、また、指示履歴集合の配置指示に基づいてコンテントを配置する(S200)。
【0088】
このとき、コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合(図14中のS400:YES)、指示履歴集合から配置指示を取得する(S410)。すなわち、配置指示取得手段15aは、コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合、指示履歴記憶手段14bに記憶された配置指示の中で最も新しいものを取得する。これにより、特定エリアへ特定コンテントが配置された後、過去の画面表示の要求があった際、過去のエリア使用状況に基づいてコンテントを配置することができる。
【0089】
また、本実施形態では、コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合は(図14中のS400:YES)、有効指示集合の中の重複する過去の配置指示を削除し(図14中のS420)、指示履歴集合への追加は行わない。すなわち、指示履歴記憶制御手段15dは、コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合は、配置指示削除手段15cにて削除された配置指示を指示履歴記憶手段14bに記憶しない。これにより、過去の状態へ戻すことが繰り返し指示された場合、可能な限り過去の配置状態を再現することができる。
【0090】
ところで、コンテントの中には必須表示を必要とするものや排他表示を必要とするものが考えられる。例えば「車速」の場合、アナログ表示(メータ表示)及びデジタル表示(数値表示)の少なくとも一方が必須になるという具合である。
【0091】
そこで、本実施形態では、割当管理部13に、所定の演算子にて示されるコンテント及びエリアの必須排他関係を示す必須排他制約式を記憶している。そして、この必須排他制約式を処理し(図6中のS150)、必須排他制約式を満たす組合せがあるか否かを判断し(図8中のS320)、コンテントをエリアへ割り当てる(図6中のS180,S200)。すなわち、コンテントの必須排他関係を規定するコンテント情報を記憶するための割当管理部13を備え、コンテント割当手段15eは、割当管理部13に記憶されたコンテント情報に基づき、コンテントをエリアに割り当てる。ここで、コンテント情報は、所定の演算子にて示されるコンテントの必須排他関係を示す必須排他制約式であり、コンテント割当手段15eは、必須排他制約式を満たすように、コンテントをエリアに割り当てる。また、エリアの必須排他関係を規定するエリア情報を記憶するための割当管理部13を備え、コンテント割当手段15eは、割当管理部13に記憶されたエリア情報に基づき、コンテントをエリアに割り当てる。ここで、エリア情報は、所定の演算子にて示されるエリアの必須排他関係を示す必須排他制約式であり、コンテント割当手段15eは、必須排他制約式を満たすように、コンテントをエリアに割り当てる。これにより、コンテント及びエリアの必須排他関係を含めてエリアに対しコンテントが割り当てられるため、より適切な情報表示を行うことができる。
【0092】
このとき、必須排他制約式を満たす組合せがなければ(図8中のS320:NO)、有効指示集合から配置指示の一部を削除して(S350)、再度、コンテントをエリアに割り当てる(図6中のS180,S200)。すなわち、コンテント割当手段15eは、コンテント情報及びエリア情報を満たすようにコンテントをエリアに割り当てられない場合、配置指示記憶手段15aに記憶された配置指示の一部を削除して、再度、コンテントをエリアに割り当てる。これにより、必須表示が求められるコンテントを確実に表示することができる。
【0093】
なお、配置指示にないコンテントについては、コンテントの情報価値及びエリアのエリア適性度に基づいて、エリアに対するコンテントの割り当てを行う。具体的には、コンテント管理部11が表示対象者毎の情報の価値である情報価値を対応付けてコンテントを管理すると共に、エリア管理部12がエリアの場所的な適正度であるエリア適性度を対応付けてエリアを管理する。そして、コンテント割当制御部15は、情報価値及びエリア適性度に基づく評価値を用い、コンテントのエリアへの割り当てを決定する(図7中のS210〜S300,図8中のS340)。すなわち、情報の価値を示す情報価値を対応付けて、コンテントを管理するコンテント管理部11と、場所的な適正度を示すエリア適性度を対応付けて、エリアを管理するエリア管理部12と、を備え、コンテント割当手段15eは、情報価値及びエリア適性度に基づいて、配置指示にないコンテントをエリアへ割り当てる。これにより、配置指示にないコンテントについては、情報価値とエリア適性度とによってコンテントがエリアに割り当てられるため、ユーザにとって把握し易い情報表示を行うことができる。
【0094】
さらにまた、本実施形態では、車両内のネットワークを介して、種々のコンテントが取得される(図1参照)。すなわち、コンテント管理部11は、コンテントを車両内のネットワークによって取得する。また、コンテント管理部11は、新たに接続された外部機器からコンテントを取得するようにしてもよい。このとき、コンテント管理部11は、種々のコンテントに対し「情報価値」、「コンテントサイズ」及び「表示状態」を対応付けて同様に管理する(図2参照)。これにより、コンテントの種類によらず、同一のアルゴリズムでコンテントをエリアに割り当てることができる。
【0095】
同様に、本実施形態では、ア〜ウの表示装置21〜23の複数のエリアに対し「エリア適性度」及び「エリアサイズ」を対応付けて当該エリアを管理する(図2参照)。すなわち、エリア管理部12は、複数台の表示装置21,22,23に対しエリアを管理している。これにより、表示装置21〜23が異なっていても、同一のアルゴリズムでコンテントを割り当てるべきエリアを判断することができる。
【0096】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施することができる。
(イ)コンテント及びエリアをその属性のみで管理することによって、コンテントの種類によらず、また、表示装置21〜23の区別によらず、コンテントのエリアへの割り当てが同一のアルゴリズムで可能となることは既に述べた。したがって、上記実施形態の表示制御装置1では、例えば、ア〜ウの表示装置21〜23のいずれかが故障した場合など、エリア管理部12が管理情報を更新することで、アルゴリズムを変更することなく、コンテントのエリアへの割り当てが可能となる。同様に、図1に示すように、エ表示装置50を追加して接続することも容易である。この場合も、エリア管理部12がエ表示装置50に合わせて管理情報を更新するようにすればよい。エ表示装置50は、例えばスマートフォンなどの携帯電話機や、PDAと呼ばれる情報端末などであることが例示される。このときは、エ表示装置50自体からエリアに関する情報を取得することが考えられる。すなわち、エリア管理部12は、表示装置21,22,23,50の一部が着脱されると、管理するエリアを更新することとしてもよい。
【0097】
(ロ)上記実施形態では、コンテントの情報価値及びエリアのエリア適性度に基づいて評価値を算出しているが、コンテントの情報特性及びエリアのエリア特性として視線特性、表現力特性、操作特性などを採用することも考えられる。
【符号の説明】
【0098】
1…表示制御装置
10…制御部
11…コンテント管理部
12…エリア管理部
13…割当管理部
14…配置指示管理部
14a…配置指示記憶手段
14b…指示履歴記憶手段
15…制御部
15a…配置指示取得手段
15b…配置指示記憶制御手段
15c…配置指示削除手段
15d…指示履歴記憶制御手段
15e…コンテント割当手段
16…表示レイアウト制御部
21,22,23,50…表示装置
30…入出力IF
41…マルチメディアECU
42…車速ECU
43…エンジン回転数センサ
44…各種ECU
45…各種センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される表示装置(21,22,23)の画面に表示領域として設定される複数のエリアに対し、コンテントを割り当てて表示する表示制御装置(1)であって、
前記コンテントの前記エリアへの配置指示を取得する配置指示取得手段(15a)と、
前記取得される配置指示を、配置指示記憶手段(14a)に、時系列に記憶する配置指示記憶制御手段(15b)と、
前記配置指示記憶手段に前記コンテント及び前記エリアの少なくとも一方が重複する配置指示が記憶されると、当該コンテント又は当該エリアを含む過去の配置指示を削除する配置指示削除手段(15c)と、
前記配置指示削除手段にて削除された配置指示を、指示履歴記憶手段(14b)に、時系列に記憶する指示履歴記憶制御手段(15d)と、
前記配置指示記憶手段に記憶される配置指示に基づき前記エリアに対し前記コンテントを割り当てると共に、前記指示履歴記憶手段に記憶される配置指示に基づき、前記エリアに対し前記コンテントを割り当てるコンテント割当手段(15e)と、を備え、
前記配置指示取得手段は、前記コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合(S400:YES)、前記指示履歴記憶手段に記憶された配置指示の中で最も新しいものを取得すること(S410)
を特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記指示履歴記憶制御手段は、前記コンテントの割り当てを過去の状態へ戻すことが指示された場合は(S400:YES)、前記配置指示削除手段にて削除された配置指示を前記指示履歴記憶手段に記憶しないこと(S420)
を特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示制御装置において、
前記コンテントの必須排他関係を規定するコンテント情報を記憶するための割当管理部(13)を備え、
前記コンテント割当手段は、前記割当管理部に記憶されたコンテント情報に基づき、前記コンテントを前記エリアに割り当てること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示制御装置において、
前記コンテント情報は、所定の演算子にて示されるコンテントの必須排他関係を示す必須排他制約式であり、
前記コンテント割当手段は、前記必須排他制約式を満たすように、前記コンテントを前記エリアに割り当てること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の表示制御装置において、
前記エリアの必須排他関係を規定するエリア情報を記憶するための割当管理部(13)を備え、
前記コンテント割当手段は、前記割当管理部に記憶されたエリア情報に基づき、前記コンテントを前記エリアに割り当てること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示制御装置において、
前記エリア情報は、所定の演算子にて示されるエリアの必須排他関係を示す必須排他制約式であり、
前記コンテント割当手段は、前記必須排他制約式を満たすように、前記コンテントを前記エリアに割り当てること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項3〜6の何れか一項に記載の表示制御装置において、
前記コンテント割当手段は、前記コンテント情報及び前記エリア情報を満たすように前記コンテントを前記エリアに割り当てられない場合、前記配置指示記憶手段に記憶された前記配置指示の一部を削除して、再度、前記コンテントを前記エリアに割り当てること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の表示制御装置において、
情報の価値を示す情報価値を対応付けて、前記コンテントを管理するコンテント管理部(11)と、
場所的な適正度を示すエリア適性度を対応付けて、前記エリアを管理するエリア管理部(12)と、を備え、
前記コンテント割当手段は、前記情報価値及び前記エリア適性度に基づいて、前記配置指示にないコンテントを前記エリアへ割り当てること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示制御装置において、
前記コンテント管理部は、前記コンテントを車両内のネットワークによって取得すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の表示制御装置において、
前記コンテント管理部は、新たに接続された外部機器から前記コンテントを取得可能であること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか一項に記載の表示制御装置において、
前記エリア管理部は、複数台の表示装置に対し前記エリアを管理していること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示制御装置において、
前記エリア管理部は、前記表示装置(21,22,23,50)の一部が着脱されると、管理するエリアを更新すること
を特徴とする表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−107625(P2013−107625A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187564(P2012−187564)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】