説明

表示器

【課題】製品に同梱する取付金具の収納構造を変更し、ユーザーが表示器を盤パネルに取り付ける際の作業性向上が図れるよう改良したパネルマウント方式の表示器を提供する。
【解決手段】表示器本体の筐体前部にディスプレイを備え、その筐体4aを盤パネルの取付穴に前方から挿入した上で、筐体4の周面複数箇所に分散してネジ締め式の取付金具3を装着し、該取付金具3とディスプレイの外周フレームとの間に盤パネルを挟み込んで表示器本体を固定支持するようにしたパネルマウント方式のプログラマブル表示器において、筐体4の背面には所用個数の取付金具4を取出し可能に収容保持する金具収納部6を一体に形成した上で、この金具収納部6に金具を収納位置に保持するフェンスと抜け止め用フックを設けておき、この金具収納部6に取付金具3を収容した状態で製品を出荷し、ユーザーは金具収納部6から取付金具3を取り出して筐体4に装着できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FA関連機器のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)機器として様々な情報,データをディスプレイの画面に表示するパネルマウント方式のプログラマブル表示器を対象とした表示器に関し、詳しくはその製品の出荷時に標準付属品として同梱する取付金具の収納構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
頭記のプログラマブル表示器は、制御装置,電源端子,各種インターフェースなどを搭載した表示器本体の筐体前部にタッチパネル式のディスプレイを備えた構成の表示器であり、パネルマウント方式の表示器ではその表示器本体を操作盤,制御盤などの盤パネルに取付けて使用される。
【0003】
また、パネルマウント方式の表示器を盤パネルに固定支持する手段として、盤パネルにカットした所定寸法の取付穴に表示器本体を前方から挿入セットした上で、盤パネルの背後に突き出した表示器筐体の周面複数箇所にネジ締め式の取付金具を装着して盤パネルに搭載支持した取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、このようなプログラマブル表示器の製品を出荷するに際して、従来は前記取付金具を一括してビニール袋などに入れ、これを標準付属品として製品に同梱して出荷するようにしている。一方、製品を入手したユーザーの作業者は、表示器を盤パネルに搭載する際に前記の取付金具をビニール袋から取り出して所定の取付箇所に装着した上で、その取付金具のネジを締め付けて表示器を盤パネルに固定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−36365号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先記のように取付金具をビニール袋に袋詰めしてプログラマブル表示器の製品に同梱する方法は、その部品の取扱い性に次記のような課題がある。
すなわち、メーカーでは、プログラマブル表示器の製品組立とは別に、付属部品の取付金具をビニール袋などに袋詰めした上で製品の梱包箱に同梱する作業が必要となる。また、ユーザー側では、入手した表示器を盤パネルに取付けるに先立って、取付金具をビニール袋から取り出す段取りの作業が必要で煩雑となるほか、袋から取り出した取付金具を作業現場に置き忘れたり、袋から転がり落ちて紛失したりすることがあった。また、製品の輸送中,あるいは梱包を開く際に取付金具が袋から不測に飛び出して表示器のディスプレイ板面を傷つけてしまう初期不良のクレームもあって、その部品の保管,取扱いの改善策が要望されている。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は取付金具の保管,取扱い性を改善してユーザーが表示器本体を盤パネルに取り付ける際の作業性向上を図った表示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によれば、表示器を次記のように構成するものとする。
(1)表示器筐体の一面に、該表示器を所定のパネルに固定支持するネジ締め式の取付金具を収納する桶状の金具収納部を凹設し、かつこの金具収納部には前記取付金具を横並びにスライドして凹所内に保持するフェンスと、収容した取付金具のネジ頭部に当接して取付金具を収納位置に係止する抜け止め用フックを設ける(請求項1)。
(2)前項(1)において、前記抜け止め用フックの少なくとも一箇所のフックを押込み操作可能な取出しゲートとし、この取出しゲートの押込み操作により前記取付金具とフックとの係止を解除して前記取付金具を取り出すようにする(請求項2)。
(3)前項(1),(2)の構成において、前記フェンスを前記凹所の長手方向の開口縁の一方に配し、前記抜け止め用フックを前記開口縁の長手方向の他方に配し、該抜け止め用フックは前記凹所内に挿入された前記取付金具のネジ頭部に当接する突起形状体とする(請求項3)。
(4)また、前記金具収納部は、前記表示器の筐体に一体成形する(請求項4)か、もしくは独立したアセンブリー部品として前記表示器の筐体背面に組み付けて構成することができる(請求項5)。
(5)一方、前記取付金具は、桶状の押圧片と、この押圧片内に収容されるコ字状のベース片と、前記押圧片を貫通してベース片に螺接する締め付けネジとの組立体になり、前記締め付けネジを前記ベース片に螺接して前記筐体を前記パネルに固定する(請求項6)。
(6)また、前記パネルは、前記表示器の外形に合わせて取付穴が開口された盤パネルであり、該盤パネルの取付穴に表示器の筐体を前方から挿入セットした状態で、盤パネルの取付穴周面を挟んで前記表示器のディスプレイ外周フレームの背後側に前記取付金具を表示器筐体に装着し、該取付金具のネジ締め付け操作により取付金具を盤パネルの背面に押圧して前記表示器を盤パネルに固定支持する(請求項7)。
(8)前記の各項における表示器は、前面にタッチパネル式のディスプレイが備えられ、該ディスプレイに表示された画面とタッチパネルにおける操作位置とがあらかじめ対応付けされたディスプレイ画面を表示し、このディスプレイ画面が操作されることにより前記ディスプレイ画面に設定された指示データを外部に出力するように構成されたプログラマブル表示器である(請求項8)。
【発明の効果】
【0009】
上記した表示器,および該表示器の筐体に設けた取付金具の収納構造によれば、次記のような効果を奏することができる。
(1)表示器組立工程の途上で表示器筐体の背面に設けた金具収納部に所定個数の取付金具を収容セットしておくことにより、メーカーが製品を出荷する際には、従来のように取付金具を別に用意したビニール袋に袋詰めして製品に同梱する手間の掛かる梱包作業が不要となる。
(2)また、製品を入手したユーザーの作業者が表示器を盤パネルに搭載する際には、従来のように製品に同梱されている取付金具をビニール袋から一々取り出す手間の掛かる段取り作業は必要なく、表示器の筐体に設けた金具収納部から一個ずつ取り出した取付金具をそのまま、同じ筐体の周面部に形成されている金具取付穴に装着セットすることができる。これにより、作業者は取付金具を作業現場に置き忘れて紛失したりする気遣いなしに、盤パネルに搭載する表示器の取付け作業を簡単,かつ能率よく進めることができる。また、製品の輸送中、あるいは梱包を開く際に取付金具が不測にビニール袋から飛び出て表示器ディスプレイの板面を傷つけてしまうといった初期不良のクレーム対応も減らすことができる。
(3)そのほか、前記金具収納部には、前記取付金具を一列に並べて収容保持するフェンス、および前記取付金具のネジ頭部と当接し該金具を収納位置に係止する抜け止め用フックを設けたことにより、表示器の製品輸送中に金具収納部に収納した取付金具が不測に脱落するのを防いで取付金具を収納位置に安定保持することかできる。また、前記抜け止め用フックのうち、少なくとも一箇所のフックを釈放位置に押込み操作可能な取出しゲートとし、この取出しゲートの押込み操作により前記取付金具とフックとの係合を解除して取付金具を取り出し可能にするようにしたことで、金具収納部の凹所に所定個数の取付金具を横一列に並べて遊び隙間なく収納した満杯状態から取付金具を簡単な操作で一個ずつ順に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例によるプログラマブル表示器の筐体背面に形成した金具収納部に取付金具を収納した状態を表す表示器本体の背面図である。
【図2】図1における金具収納部(矢印P部)の拡大図であって、(a),(b)はそれぞれ取付金具を金具収納部の凹所に収納した状態、および空の状態を表す斜視図、(c)は(b)に対応する俯瞰図である。
【図3】図2(a)に対応する金具収納部の補足説明図であって、(a)は正面図、(b)は(a)における矢視A−A,B−B,C−Cの断面図である。
【図4】図2(b)に対応する金具収納部の補足説明図であって、(a)は正面図、(b)は(a)における矢視A−A,B−B,C−Cの断面図である。
【図5】図2(a)の金具収納部から取付金具を取り出す作業の説明図であって、(a)〜(d)はその作業手順を表す図である。
【図6】パネルマウント方式のプログラマブル表示器を盤パネルに取付けた状態を表す図であって、(a),(b)はそれぞれ表示器の背面図、および側面図である。
【図7】図6で表示器本体を盤パネルの取付穴に差込みセットする作業手順の説明図である。
【図8】図6で表示器の筐体に取付金具を装着する作業手順の説明図である。
【図9】図6における取付金具の詳細な部品構造図であって、(a)は取付金具の組立状態の斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)は分解斜視図である。
【図10】図6(a)における取付金具(矢視A部)の拡大側視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明の主要部構造を説明する前に、この発明を適用する表示器の概要について述べる。本例の表示器は、特に図示・説明しないが、プログラマブル表示器としての一般的な構成・機能(例えば、タッチパネル等の入力装置、プログラマブルコントローラ本体やI/Oモジュールとの通信インターフェース、タッチパネル上での操作に応じたプログラマブルコントローラ本体やI/Oモジュールの制御/データ収集処理機能等の各種構成・各種機能)を有するものである。
【0012】
この表示器は、工場等において制御対象であるアクチュエータ、インバータ又は温調計などのシーケンス制御を行うPLC(Programmable Logic Controller:プログラマブル・ロジック・コントローラ)の動作状態を表示する表示器としてPLCに接続して使用される。
【0013】
また、このような表示器は、グラフィック表示が可能なディスプレイ画面と、このディスプレイ画面に重ね合わされたタッチパネルとを備え、PLCによる制御対象のシーケンス制御を実行中に、PLCから読み取ったデータ内容を表示するとともに、PLCに書き込むべきデータの設定入力を受け付けるように構成されている。
【0014】
ここで、前記ディスプレイ画面の表示内容とタッチパネルにおける操作位置とはあらかじめプログラム(作画プログラム)によって対応付けられており、ディスプレイ画面により表示されるスイッチ、ボタン等の表示位置でタッチパネルに触れることによって、プログラムにより設定されている操作内容に応じた指示データをPLCへ送信する。それゆえ、このような表示器は“プログラマブル表示器”と呼称されている。
【0015】
このような表示器に表示されるディスプレイ画面は、例えばパソコン等の汎用コンピュータ上でオペレータ等により作成されて、その作成された画面データが表示器に転送される。画面データとしては、例えばスイッチ、各種部品、ランプ、メータ、グラフ等の様々なアイテム(オブジェクト)が、任意の位置に配置されることで1つの画面として作成される。
【0016】
次に、前記表示器をその設置先でパネルに搭載支持する取り付け方法、およびその取り付けに用いる取付金具の構造を図6〜図10により説明する。なお、各図において、1はパネルマウント方式のプログラマブル表示器、2は表示器1を搭載する制御盤,操作盤などの盤パネル、3は表示器1を盤パネル2に固定支持するネジ締め式の取付金具である。
【0017】
ここで、プログラマブル表示器1は、先記のように制御装置,電源端子,各種インターフェースを搭載した筐体4の前面にタッチパネル式のディスプレイ5を備えた構成になり、該ディスプレイ5は筐体4の前部に筐体より一回り大きく張り出した額縁状の外周フレーム4aに嵌め込まれている。また、筐体4の上下四カ所には前記ディスプレイ5を支持する外周フレーム4aの背後に近接して取付金具3を係止装着する金具取付穴4b(図7参照)を形成している。一方、プログラマブル表示器1を取り付ける盤パネル2の板面には前記筐体4の外形サイズ(X,Y)に合わせてカットした表示器の取付穴2aを開設している(図7参照)。
【0018】
そして、プログラマブル表示器1を盤パネル2に搭載支持するには、その作業手順として図7で示すように盤パネル2の前方から表示器本体を取付穴2aに差込みセットし、この状態で盤パネル2の背面側に突き出した筐体4の上下四カ所に次記構造の取付金具3を手作業により装着セット(図6参照)した上で、該取付金具3をネジ締めして図6(a),(b)のようにプログラマブル表示器1を盤パネル2に固定支持する。
【0019】
また、表示器1の固定支持に使用する前記取付金具3は、図9(a)〜(c)で示すように、押圧片として機能するパーツ3aと、表示器1の筐体4に係止装着されるベース片として機能するパーツ3bと、締め付けネジ3cとの組立体からなる。
【0020】
ここで、前記パーツ3a(押圧片)は、その矩形な基板の前後,および左右側縁に壁が起立形成された桶形状の鈑金品で、その前後端の壁にはネジ3cの軸部を嵌挿するネジ通し穴(バカ穴)3a−1が穿孔されている。また、パーツ3b(ベース片)は、コ字形形状の周壁を基体として前記パーツ3aの内方に挿入して前後方向へスライド可能に遊嵌された鈑金品であり、その前壁にはネジ3cが螺接するネジ穴3b−1が形成され、さらに前壁部の縁から“くの字”形に突き出した係合爪3b−2が起立形成されている。そして、パーツ3aの内側にパーツ3bを嵌入した状態で、パーツ3aの前後壁に穿孔したネジ通し穴3a−1に嵌挿した締め付けネジ3cをパーツ3bのネジ穴3b−1に螺合して取付金具3を組み立てている。
【0021】
次に、前記取付金具3を用いて表示器1を盤パネル2に固定支持する作業手順について述べる。すなわち、プログラマブル表示器1を盤パネル2の取付穴2aに挿入した状態で(図8参照)、図10で示すように表示器本体の筐体4の上下四カ所に形成した金具取付穴4bに取付金具3の係合爪3b−2(図9参照)を差し込んで装着し、続いて各個の取付金具3のネジ3cを締め付ける。このネジ締め操作により、取付金具3は前記係合爪3b−2を固定点としてパーツ3bのネジ穴3b−1に螺合した締め付けネジ3cが前方に進み、そのネジ頭を介してパーツ3a(押圧片)が前方にスライド移動する。そして、このネジ締め操作によりパーツ3aの前壁が盤パネル2の板面に当接して前方に押圧されると、このパーツ3aとディスプレイ5の外周フレーム4aとの間に盤パネル2を挟み込んで表示器本体が盤パネル2に固定支持されることになる。
【0022】
次に、本発明の主テーマである前記取付金具の収納構造について、その実施の形態を図1〜図5に示す実施例に基づいて説明する。
まず、図示実施例の表示器1は盤パネル2に搭載するパネルマウント方式のプログラマブル表示器であり、先に図6〜図10で説明したように、この表示器1は取付金具3を介して盤パネル2に固定支持される。
【0023】
このような表示器1に対し、本発明の構成ではその筐体4の背面に表示器の標準付属品である所定個数(4個)の取付金具3(図9参照)を一括して収納する金具収納部6を設けておき、メーカーはプログラマブル表示器の組立工程でこの金具収納部6に所定個数の取付金具3を一括して収納した上で、製品を出荷する。また、この製品を入手したユーザーは、表示器1を盤パネル2に搭載する際に、前記金具収納部6から取付金具3を一個ずつ順に取り出して表示器筐体4に装着する(図8参照)。なお、図1示す実施例では前記金具収納部6がモールド樹脂成形品になる筐体4の背面カバーに一体成形されており、次にその詳細構造を図2〜図4に示す。
【0024】
すなわち、金具収納部6は図示のように4個の取付金具3を横一列に並べて収容する凹所6aが筐体4の背面から筐体内方へ引っ込むように桶形状に形成されており、さらに該凹所の前縁下部には各個の取付金具3の収納位置に合わせて上方に突き出した突起形状の抜け止め用フック6bが形成され、上縁側には左右に延在するレール状のフェンス6cを形成して凹所6aに収容した取付金具3が脱落しないように収納位置に保持している。なお、この金具収納部6に収納する取付金具3(図9参照)は、その締め付けネジ3cのネジ頭を下に向けた起立姿勢で凹所6aに挿入し、横一列に整列して収納させる。また、金具収納部6の凹所6aの右端には、取付金具3の取出し用ゲート機構として下方に押込み操作が可能な鍵盤形の可動フック6dを設けている。なお、6eは可動フック6dの周域に形成した逃げ溝である。
【0025】
次に、前記構成の金具収納部6に収容する取付金具3の挿入,および取り出し方法を図5(a)〜(d)に基づいて説明する。先ず、図5(a)は金具収納部6の凹所6aに4個の取付金具3を左右に並べて収納した状態を表している。ここで、金具収納部6に取付金具3を挿入するには、凹所6aの右端に設けた可動フック6dを下方に押し下げて凹所の開放面域を広げる、この状態で取付金具3を一個ずつ前方から挿入し、凹所6aの中を左側にスライドして横並びに整列させる。この収納状態では、各個の取付金具3は凹所6aの上縁フェンス6cと下縁に設けたフック6b,および可動フック6d(可動フック6dは手を離すと抜け止め位置に弾性復帰する)との間に拘束されて収納位置から脱落しないように保持される。
【0026】
次に、金具収納部6から取付金具3を取り出すには、図5(b)で示すように可動フック6dを矢印I方向に押込んで釈放位置に退避させた上で、凹所6aの右端に並んでいる取付金具3を指先で摘み、矢印IIのように前方に傾けて引き出す。そして、金具収納部6から抜き出した取付金具3は、図8で述べたように表示器本体の筐体周面に開口した金具取付穴4bに差し込んでこの位置に仮装着する。なお、右端の取付金具3を抜き出した状態では凹所6aの右端に金具1個分の空所が生じる。
【0027】
次に、凹所6aの右端から2番目に並ぶ取付金具3を、図5(c)の矢印IIIで示すように右方向に半ピッチだけずらしてフック6bとの拘束を解除した上で、前記と同様に取付金具3を矢印IV方向に傾けて前方に引き出し、そのまま筐体4の金具取付穴4bに装着する。以下、同様な手順で残りの取付金具3を金具収納部6から順に引き出して筐体4の金具取付穴4bに装着した上で、各個の取付金具3のネジ3cを締め付けて表示器本体を盤パネル2に固定する(図10参照)。
【0028】
上記の作業手順で明らかなように、プログラマブル表示器1の製品を購入したユーザーの作業員は、表示器本体を盤パネル2に取り付ける際に(図7,図8参照)、従来のように製品に同梱されている取付金具3をビニール袋から取り出す面倒な段取り作業は必要なく、表示器本体の金具収納部6にあらかじめ収納セットされている取付金具3を凹所6aから1個ずつ順に抜き出してそのまま表示器の筐体4の周面に開口した金具取付穴4bに装着することが可能であり、これにより作業現場での部品の落下,置き忘れによる紛失のおそれなしに、盤パネル2への表示器の取付け作業を簡単,かつ能率よく行うことができる。
【0029】
また、メーカー側においても、製品を出荷する際には取付金具を別に用意したビニール袋に袋詰めして同梱する手間の掛かる梱包作業が不要となる。
なお、図示実施例では金具収納部6を表示器本体の筐体4に一体成形しているが、別な実施例として、金具収納部6を独立したアセンブリー部品として成型し、この部品を筐体4の背面にネジ止めするなどして組み付けるようにしてもよい。また、金具収納部6の凹所の向きについても、図示実施例では取付金具6を横並びに収容するように横向きに形成しているが、筐体4の背面スペースの関係から縦向きに形成してもよい。
【0030】
そのほか、金具収納部6から取り出した取付金具3を使ってプログラマブル表示器1を盤パネル2に取り付けた状態では、空になった金具収納部6の外側に重ねて筐体4の背面にデータ通信ユニットなど各種オプションユニットを装着することも可能である。
【0031】
前述のように、本発明では、取付金具3を使って盤パネル2に搭載支持するパネルマウント方式のプログラマブル表示器1について、その表示器筐体4の背面には、標準付属品として用意した所定個数の取付金具3を一括して収納する金具収納部6をあらかじめ作り込んでおき、メーカーは前記取付金具3を金具収納部6に収納した同梱状態で製品を出荷する。また、この製品を入手したユーザーは、表示器1を盤パネル2に取り付ける際に前記した金具収納部6から直接に取付金具3を一個ずつ取り出し、そのまま表示器1の筐体4に係止装着してネジ締めすることかできる。
【0032】
これにより、付属部品である取付金具3を別に用意したビニール袋に収容して製品に同梱する従来方式に起因する様々な課題を解消して、取付金具の取扱い,およびその取付作業性の改善を図ることができる。
【0033】
以上の本発明を纏めると、図示実施例の表示器1の筐体4は直方体形状の箱型である。この表示器筐体4の背面には表示器1を盤パネル2などに固定支持するためのネジ締め式の取付金具3を収容する凹所6aが形成されている。この凹所6aは表示器筐体4の背面から筐体内方へ窪んで形成されており、この凹所の開口部の長手方向の縁部の一方には凹所に収容された取付金具3をその凹所内に保持するフェンス6cが形成されている。一方、縁部の他方には凹所6aに取付金具3が全て収容されたときの、それぞれの取付金具3のネジ位置に合わせて、取付金具3の抜けを防止する抜け止め用フック6bが形成されている。さらに、抜け止め用フック6bは突起形状体であり、収容した取付金具3のネジ頭部と当接し、取付金具3をその収納位置に係止する役割を果たす。
【0034】
また、本発明は抜け止め用フック6bの少なくとも一箇所を押込み操作可能な取出しゲートとしており、この取出しゲートの押込み操作により取付金具とフックとの係止を解除して取付金具を取り出すようにしている。
【0035】
なお、上記実施例では表示器1の筐体背面に金具収納部6を設けるように説明したが、金具収納部6は筐体4の背面に限定されるものではなく、例えば筐体4の側面、底面、上面、前面(ディスプレイ周辺枠など)のいずれか、または複数個所に設けられても良い。また、本発明の表示器は盤パネル2などへの装着に支障の無い範囲で、金具収納部6を表示器筐体4に多少出っ張らせて形成しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 プログラマブル表示器(表示装置)
2 盤パネル
2a 表示器取付穴
3 取付金具
3a 押圧片として機能するパーツ
3b 固定ベース片として機能するパーツ
3c 締め付けネジ
4 表示器の筐体
4a 外周フレーム
4b 金具取付穴
5 ディスプレイ
6 金具収納部
6a 凹所
6b フック
6c フェンス
6d 可動フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の筐体を所定のパネルにネジ締めして取り付ける取付金具と、
前記筐体の一面に凹設されて前記取付金具を収納する桶状の金具収納部と、を備え、
前記金具収納部は、
前記取付金具を横並びにスライドして収容し、凹所内に保持するフェンスと、
収容した前記取付金具のネジ頭部と当接し収納位置に係止する抜け止め用フックと、
を有することを特徴とする表示器。
【請求項2】
請求項1に記載の表示器において、
前記抜け止め用フックの少なくとも一箇所のフックを押込み操作可能な取出しゲートとし、この取出しゲートの押込み操作により前記取付金具とフックとの係止を解除して前記取付金具を取り出すことを特徴とする表示器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の表示器において、
前記フェンスを前記凹所の長手方向の開口縁の一方に配し、
前記抜け止め用フックを前記開口縁の長手方向の他方に配し、該抜け止め用フックは前記凹所内に挿入された前記取付金具のネジ頭部に当接する突起形状体であることを特徴とする表示器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の表示器において、
前記金具収納部が前記表示器の筐体に一体形成されていることを特徴とする表示器。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の表示器において、
前記金具収納部を独立したアセンブリー部品として、前記表示器の筐体に組み付けたことを特徴とする表示器。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の表示器において、
前記取付金具は、桶状の押圧片と、この押圧片内に収容されるコ字状のベース片と、前記押圧片を貫通して前記ベース片に螺接する締め付けネジとの組立体になり、前記締め付けネジを前記ベース片に螺接して前記筐体を前記パネルに固定することを特徴とする表示器。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の表示器において、
前記所定のパネルは前記表示器の筐体に合わせて取付穴が開口された盤パネルであり、
該盤パネルの取付穴に表示器の筐体を前方から挿入セットした状態で、盤パネルの取付穴周面を挟んで前記表示器のディスプレイ外周フレームの背後側に前記取付金具を装着し、この取付金具のネジ締め付け操作により取付金具を盤パネルの背面に押圧して前記表示器を盤パネルに固定支持することを特徴とする表示器。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の表示器において、
前記表示器は、前面にタッチパネル式のディスプレイが備えられ、
該ディスプレイに表示された画面とタッチパネルにおける操作位置とがあらかじめ対応付けされたディスプレイ画面を表示し、このディスプレイ画面が操作されることにより前記ディスプレイ画面に設定された指示データを外部に出力するように構成されたプログラマブル表示器であることを特徴とする表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−58600(P2013−58600A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195966(P2011−195966)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(591016253)発紘電機株式会社 (23)
【Fターム(参考)】