説明

表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置

【課題】第1の粒子を移動させた後に第1の粒子より低閾値の第2の粒子を移動させる場合に、第2の粒子の表示濃度に関わらず第1の粒子を移動させる際の電圧を固定にした場合と比較して、第1の粒子を移動させる際の駆動エネルギーを抑制することができる表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置を提供する。
【解決手段】表示媒体100の駆動装置20は、複数種類の粒子群のうち第1の閾値以上の第1の電圧が基板間に印加されることにより移動する第1の泳動粒子11を移動させた後に、絶対値が第1の閾値より小さい第2の閾値以上の第2の電圧が基板間に印加されることにより移動する第2の泳動粒子12を移動させる場合、第2の泳動粒子12の表示濃度に応じて、第2の泳動粒子12を移動させる際に第1の泳動粒子11が移動しない第1の電圧の電圧値及び電圧印加時間を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入された透光性を有する分散媒と、前記分散媒中に移動可能に分散され、前記基板間に形成される電界に応じて移動すると共に、互いに色及び前記基板からの離脱する力が異なる複数種類の粒子群と、を備えた画像表示媒体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−249188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、第1の粒子を移動させた後に第1の粒子より低閾値の第2の粒子を移動させる場合に、第2の粒子の表示濃度に関わらず第1の粒子を移動させる際の電圧を固定にした場合と比較して、第1の粒子を移動させる際の駆動エネルギーを抑制することができる表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明の表示媒体の駆動装置は、透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入された分散媒と、前記分散媒中に分散され且つ前記基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された色及び帯電極性が異なる複数種類の粒子群と、を有する表示媒体に対して、前記複数種類の粒子群のうち第1の閾値以上の第1の電圧が前記基板間に印加されることにより移動する第1の粒子群を移動させた後に、絶対値が前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上の第2の電圧が前記基板間に印加されることにより移動する第2の粒子群を移動させる場合、前記第2の粒子群の表示濃度に応じて、前記第2の粒子群を移動させる際に前記第1の粒子群が移動しない前記第1の電圧の電圧値及び電圧印加時間を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された前記第1の電圧を前記基板間に印加した後、前記第2の電圧を前記基板間に印加する電圧印加手段と、を備える。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記設定手段は、前記第1の電圧の電圧値を固定にすると共に、前記第2の表示濃度に応じて、前記電圧印加時間を変更する。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記電圧印加手段が、前記第1の粒子群が前記表示基板及び前記背面基板のうち一方の基板に移動し且つ前記第2の粒子群が前記表示基板及び前記背面基板のうち他方の基板に移動するように前記第1の電圧を前記基板間に印加し、前記設定手段により設定された前記第1の電圧であって、前記第1の粒子群の表示濃度に応じた前記第1の電圧を前記基板間に印加し、絶対値が前記第1の閾値未満で且つ前記第2の閾値以上の前記第2の電圧であって、前記第2の粒子群の表示濃度に応じた前記第2の電圧を前記基板間に印加する。
【0008】
請求項4記載の発明の表示媒体の駆動プログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置を構成する各手段として機能させる。
【0009】
請求項5記載の発明の表示装置は、透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入された分散媒と、前記分散媒中に分散され且つ前記基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された色及び帯電極性が異なる複数種類の粒子群と、を有する表示媒体と、前記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の前記表示媒体の駆動装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、3、4、5記載の発明によれば、第1の粒子を移動させた後に第1の粒子より低閾値の第2の粒子を移動させる場合に、第2の粒子の表示濃度に関わらず第1の粒子を移動させる際の電圧を固定にした場合と比較して、駆動エネルギーを抑制することができる、という効果を有する。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、第1の電圧の電圧印加時間を固定にすると共に、第2の表示濃度に応じて電圧値を変更する場合と比較して、駆動時間を短縮することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】表示装置を示す概略図である。
【図2】各泳動粒子の閾値特性を示す図である。
【図3】電界強度と駆動時間との関係を示す線図である。
【図4】駆動エネルギーと閾値電界強度との関係を示す線図である。
【図5】電界強度と駆動速度との関係を示す線図である。
【図6】各泳動粒子の閾値特性を示す図である。
【図7】各泳動粒子の移動の様子を示す図である。
【図8】各泳動粒子の移動の様子を示す図である。
【図9】各泳動粒子の閾値特性を示す図である。
【図10】駆動エネルギーと閾値電界強度との関係を示す線図である。
【図11】マゼンダ粒子Mの閾値特性とシアン粒子の濃度と混色との関係を示す表である。
【図12】電圧印加のシーケンスを示す図である。
【図13】各泳動粒子の閾値特性を示す図である。
【図14】マゼンダ粒子Mの閾値特性とシアン粒子の濃度と混色との関係を示す表である。
【図15】電圧印加のシーケンスを示す図である。
【図16】電圧印加のシーケンスを示す図である。
【図17】電圧印加のシーケンスを示す図である。
【図18】制御部で実行される処理のフローチャートである。
【図19】各泳動粒子の閾値特性を示す図である。
【図20】マゼンダ粒子Mの第2の行程の電圧とシアン粒子の濃度と混色との関係を示す表である。
【図21】マゼンダ粒子Mの第2の行程の電圧とシアン粒子の濃度と混色との関係を示す表である。
【図22】マゼンダ粒子Mの第2の行程の電圧とシアン粒子の濃度と混色との関係を示す表である。
【図23】シアン粒子Cの第2の行程の駆動条件と濃度との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。作用・機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。また、説明を簡易化するために、適宜1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0014】
また、シアン色の粒子をシアン粒子C、マゼンタ色の粒子をマゼンタ粒子M、黄色の粒子を黄色粒子Yと記し、各粒子とその粒子群は同じ記号(符号)によって示す。
【0015】
図1(A)は、本実施形態に係る表示装置を概略的に示している。この表示装置100は、表示媒体10と、表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。駆動装置20は、表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に電圧を印加する電圧印加部30と、表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
【0016】
表示媒体10は、画像表示面とされる、透光性を有する表示基板1と、非表示面とされる背面基板2と、が間隙を持って対向して配置されている。
【0017】
これらの基板1、2間を定められた間隔に保持すると共に、該基板間を複数のセルに区画する間隙部材5が設けられている。
【0018】
上記セルとは、背面側電極4が設けられた背面基板2と、表示側電極3が設けられた表示基板1と、間隙部材5と、によって囲まれた領域を示している。セル中には、例えば絶縁性液体で構成された分散媒6と、分散媒6中に分散された第1粒子群11、第2粒子群12、及び白色粒子群13とが封入されている。
【0019】
第1粒子群11と第2粒子群12は、色及び帯電極性が互いに異なり、一対の電極3、4間に予め定めた閾値電圧以上の電圧を印加することにより、第1粒子群11及び第2粒子群12がそれぞれ単独で泳動する特性を有している。一方、白色粒子群13は、第1粒子群11、第2粒子群12よりも帯電量が少なく、第1粒子群11、第2粒子群12が何れか一方の電極側まで移動する電圧が電極間に印加されても、何れの電極側まで移動しない粒子群である。
【0020】
なお、分散媒に着色剤を混合することで、泳動粒子の色とは異なる白色を表示させてもよい。
【0021】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に表示させる色に応じた電圧を印加することにより、粒子群11、12を泳動させ、それぞれの帯電極性に応じて表示基板1、背面基板2の何れか一方に引き付ける。
【0022】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されている。また、電圧印加部30は、制御部40に信号授受されるように接続されている。
【0023】
制御部40は、図1(B)に示すように、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成であり、I/O40Eには電圧印加部30が接続されている。この場合、各色の表示に必要な電圧の印加を電圧印加部30に指示する処理をコンピュータ40に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ40Dに書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで実行させる。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0024】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極3及び背面側電極4に印加する。
【0025】
本実施形態では、一例として背面側電極4を接地し、表示側電極3に電圧を印加する場合について説明する。
【0026】
図2には、背面側電極4をグランド(0V)として表面側電極3に電圧を印加した場合に基板間に印加される電界強度(V/μm)と、各粒子群による表示濃度との関係(閾値特性)を示したものである。図2では、シアン粒子Cの閾値特性を50C、マゼンダ粒子Mの閾値特性を50Mで表わしている。なお、本実施形態では、一例としてマゼンダ粒子Mが負に帯電し、シアン粒子Cが正に帯電されたものとして説明する。
【0027】
図2に示すように、背面基板2側の負に帯電されたマゼンダ粒子Mが表示基板1側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)は+VMLであり、全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)は+VMHである。また、表示基板1側のマゼンダ粒子Mが背面基板2側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)は−VMLであり、全てのマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)は−VMHである。
【0028】
従って、+VML以上の電界強度が基板間に印加されることにより背面基板2側のマゼンダ粒子が表示基板1側へ移動開始し、+VMH以上の電界強度が基板間に印加されることにより全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動する。また、−VML以下の電界強度が基板間に印加されることにより表示基板1側のマゼンダ粒子Mが背面基板2側へ移動開始し、−VMH以下の電界強度が基板間に印加されることにより全てのマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動する。
【0029】
また、背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)は−VCLであり、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)は−VCHである。また、表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)は+VCLであり、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)は+VCHである。
【0030】
従って、−VCL以下の電圧を印加することで背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動開始し、−VCH以下の電界強度が基板間に印加されることにより全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。また、+VCL以上の電圧を印加することで表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動開始し、+VCH以上の電界強度が基板間に印加されることにより全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0031】
ここで、電界強度と粒子の駆動時間(粒子の移動時間)との関係は、図3に示すような関係となる。図3では、マゼンダ粒子Mの電界強度と粒子の駆動時間との関係を示す特性を特性52M、シアン粒子Cの電界強度と粒子の駆動時間との関係を示す特性を特性52Cで表している。図3に示すように、基板間に印加される電界強度が大きいほど、駆動時間は短くなる。また、閾値電界強度が小さい粒子ほど、駆動時間も短い。
【0032】
また、図4に示すように、粒子が一方の基板から他方の基板へ移動開始する電界強度の絶対値をV、全ての粒子が一方の基板から他方の基板へ移動終了する電界強度の絶対値をVとすると、粒子を移動させるための駆動エネルギーによって閾値電界強度は変動し、駆動エネルギーが小さいほど、閾値電界強度も小さくなる。例えばマゼンダ粒子Mの閾値特性が、図4に示すように駆動エネルギーがAの場合の閾値特性であって図2に示す閾値特性50Mであったとする。そして、例えば電圧値を固定にして電圧印加時間を短くすることで駆動エネルギーを図4に示す駆動エネルギーBにした場合、駆動エネルギーBは駆動エネルギーAよりも小さいので、閾値特性は、図2に示すように、閾値特性50Mから50M’にシフトする。また、図3に示すように、マゼンダ粒子Mの電界強度と粒子の駆動時間との関係を示す特性は、特性52M’のようになる。なお、一方の粒子の駆動エネルギーの増減に連鎖して他方の粒子の駆動エネルギーも増減する。例えば、マゼンダ粒子Mを移動させる駆動エネルギーが減少すれば、シアン粒子Cを移動させる駆動エネルギーも連鎖的に減少する。
【0033】
また、図5には、各粒子の電界強度と駆動速度との関係を示した。同図では、マゼンダ粒子Mの特性を54M、マゼンダ粒子Mの閾値特性をシフトさせた場合の特性を54M’、シアン粒子Cの特性を54Cで示した。同図に示すように、閾値電界強度が小さいシアン粒子Cの方が、マゼンダ粒子Mよりも駆動速度が速い。
【0034】
図2の例では、マゼンダ粒子Mの閾値特性が閾値特性50M’にシフトしても、マゼンダ粒子Mが背面基板2側から表示基板1側に移動開始する電界強度VML’よりもシアン粒子Cが背面基板2側に移動終了する電界強度VCHの方が小さいため、混色は発生せず、駆動時間が短縮される。
【0035】
これに対して、図6に示すように、閾値特性50M’がシアン粒子Cの閾値特性50Cとクロスする場合、すなわち、マゼンダ粒子Mの閾値電界強度VML’が、シアン粒子Cの閾値電界強度VCHよりも小さい場合、例えばシアン粒子Cを駆動するために閾値電界強度VCHを基板間に印加した場合に、マゼンダ粒子Mも移動して混色が発生する場合がある。ただし、シアン粒子Cの表示濃度によっては混色が発生しない条件でマゼンダ粒子Mを駆動することも可能である。
【0036】
そこで、本実施形態では、混色が発生しない範囲で駆動時間が短くなるように、マゼンダ粒子Mの駆動条件を設定する。
【0037】
まず、粒子の色を階調表示する場合、すなわち粒子の色の濃度を調整する場合の基本的な駆動のシーケンスについて説明する。
【0038】
階調表示する場合には、基本的には、一方の基板に粒子を全て移動させる第1の行程と、階調に応じて粒子を一方の基板から他方の基板に移動させる第2の行程と、を含む。
【0039】
具体的には、例えば図7(A)に示すように、マゼンダ粒子Mを全て表示基板1側に移動させるための電圧を表示側電極3に印加し、マゼンダ粒子Mの全てを表示基板1側に移動させると共に、シアン粒子Cの全てを背面基板2側に移動させる(マゼンダ粒子Mの第1の行程)。
【0040】
次に、図7(B)に示すように、階調に応じた量のマゼンダ粒子Mを表示基板1側に残し、その他のマゼンダ粒子Mを背面基板2側に移動させるための電圧を表示側電極3に印加する。これにより、階調に応じた量のマゼンダ粒子Mが表示基板1側に残り、その他のマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する(マゼンダ粒子Mの第2の行程、シアン粒子Cの第1の行程)。
【0041】
次に、図7(C)に示すように、階調に応じた量のシアン粒子Cを表示基板1側に残し、その他のシアン粒子Cを背面基板2側に移動させると共に、マゼンダ粒子Mを移動させないための電圧を表示側電極3に印加する。これにより、階調に応じた量のシアン粒子Cが表示基板1側に残り、その他のマゼンダ粒子Cが背面基板2側に移動する(シアン粒子Cの第2の行程)。
【0042】
また、図8に示すようなシーケンスで駆動してもよい。具体的には、図8(A)に示すように、図7(A)と同様に駆動した後(マゼンダ粒子Mの第1の行程)、図8(B)に示すように、図7(B)と同様に駆動し(マゼンダ粒子Mの第2の行程)、図8(C)に示すように、シアン粒子Cを全て背面基板2側に移動させると共にマゼンダ粒子Mを移動させないための電圧を表示側電極3に印加し(シアン粒子Cの第1の行程)、図8(D)に示すように、階調に応じた量のシアン粒子Cを表示基板1側に移動させると共に、マゼンダ粒子Mを移動させないための電圧を表示側電極3に印加するようにしてもよい(シアン粒子Cの第2の行程)。
【0043】
なお、図7、8に示したシーケンスは一例であり、これに限られるものではない。例えば、最初に全てのマゼンダ粒子Mを背面基板2側に移動させると共に全てのシアン粒子Cを表示基板1側に移動させ、次に階調に応じた量のマゼンダ粒子Mを表示基板1側に移動させると共に全てのシアン粒子Cを背面基板2側に移動させ、次に階調に応じた量のシアン粒子Cを表示基板1側に移動させるようにしてもよい。
【0044】
次に、具体的な駆動のシーケンスについて説明する。
【0045】
図9には、マゼンダ粒子Mを移動させる際に印加する電圧の電圧値を固定し、電圧印加時間を変化させることで閾値特性を変化させた場合の閾値特性を示した。
【0046】
図9では、マゼンダ粒子Mの閾値特性をVthM3、VthM2、VthM1、シアン粒子Cの閾値特性をVthCで示している。また、マゼンダ粒子Mの表示濃度をDM3(最高濃度)にする場合にマゼンダ粒子Mの第1の行程で表示側電極3に印加する電圧の電圧値を−VM3、マゼンダ粒子Mの第2の行程(シアン粒子Cの第1の行程)で表示側電極3に印加する電圧の電圧値をVM3、シアン粒子Cの第2の行程でシアン粒子Cの表示濃度をDC3(最高濃度)にする場合に表示側電極3に印加する電圧の電圧値を−VC3、シアン粒子Cの表示濃度をDC2にする場合に表示側電極3に印加する電圧の電圧値を−VC2、シアン粒子Cの表示濃度をDC1にする場合に表示側電極3に印加する電圧の電圧値を−VC1で示している。
【0047】
図10には、マゼンダ粒子Mの閾値特性VthM3、VthM2、VthM1と駆動エネルギーとの関係を示した。ここでは、駆動エネルギーは、表示側電極3に電圧値VM3の電圧を印加した場合の電圧印加時間である。図10に示すように、閾値特性VthM3は、電圧値VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加した場合の閾値特性である。また、閾値特性VthM2は、電圧値VM3、電圧印加時間tM32の電圧を表示側電極3に印加した場合の閾値特性である。また、閾値特性VthM1は、電圧値VM3、電圧印加時間tM31の電圧を表示側電極3に印加した場合の閾値特性である。そして、図10に示すように、tM33>tM32>tM31である。
【0048】
また、図11には、マゼンダ粒子Mの濃度をDM3とした場合の各閾値特性とシアン粒子Cの濃度との関係を示した。図9に示すように、シアン粒子Cの閾値特性VthCとマゼンダ粒子Mの閾値特性VthM2、VthM1とはクロスするため、シアン粒子Cの濃度がDC2以上の場合、マゼンダ粒子Mの閾値特性としてVthM2、VthM1とを用いた場合には、図11に示すように混色が発生する場合がある。
【0049】
一方、混色が発生しない場合においては、なるべく駆動時間、すなわち電圧印加時間が短いことが好ましい。このため、図11に示すように、シアン粒子Cの濃度をDC0またはDC1とする場合には、マゼンダ粒子Mの閾値特性として混色が発生せず且つ電圧印加時間が最も短くなるVthM1を選択し、電圧印加時間をtM31に設定する。
【0050】
また、シアン粒子Cの濃度をDC2とする場合には、マゼンダ粒子Mの閾値特性として混色が発生せず且つ電圧印加時間が最も短くなるVthM2を選択し、電圧印加時間をtM32に設定する。
【0051】
また、シアン粒子Cの濃度をDC3とする場合には、マゼンダ粒子Mの閾値特性としてVthM3を選択し、電圧印加時間をtM33に設定する。
【0052】
具体的には、シアン粒子Cの濃度と、混色が発生せず且つ第2の行程でマゼンダ粒子Mを駆動する際の電圧印加時間が最も短くなる電圧印加時間と、の関係を示すテーブルデータをマゼンダ粒子Mの濃度毎に予め不揮発性メモリ40Dに記憶しておき、マゼンダ粒子Mの濃度に応じたテーブルデータから、シアン粒子Cの濃度に応じた電圧印加時間を読み出して電圧印加部30に指示すればよい。
【0053】
図12には、具体的な電圧印加のシーケンスを示した。
【0054】
図12(A)に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度をDM3、シアン粒子Cの濃度をDC3とする場合、まず、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値−VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、全てのマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0055】
次に、マゼンダ粒子Mの第2の行程及びシアン粒子Cの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DM3に応じた量のマゼンダ粒子M、すなわち全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0056】
次に、シアン粒子Cの第2の行程として、シアン粒子Cの濃度DC3に応じた電圧値−VC3、電圧印加時間tの電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DC3に応じた量のシアン粒子C、すなわち全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0057】
また、図12(B)に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度をDM3、シアン粒子Cの濃度をDC2とする場合、まず、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値−VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、全てのマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0058】
次に、マゼンダ粒子Mの第2の行程及びシアン粒子Cの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM32の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DM3に応じた量のマゼンダ粒子M、すなわち全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0059】
次に、シアン粒子Cの第2の行程として、シアン粒子Cの濃度DC2に応じた電圧値−VC2、電圧印加時間tの電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DC2に応じた量のシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0060】
また、図12(C)に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度をDM3、シアン粒子Cの濃度をDC1とする場合、まず、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値−VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、全てのマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0061】
次に、マゼンダ粒子Mの第2の行程及びシアン粒子Cの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM31の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DM3に応じた量のマゼンダ粒子M、すなわち全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0062】
次に、シアン粒子Cの第2の行程として、シアン粒子Cの濃度DC1に応じた電圧値−VC1、電圧印加時間tの電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DC1に応じた量のシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0063】
次に、マゼンダ粒子Mの濃度をDM1とした場合の例について説明する。
【0064】
図13には、マゼンダ粒子M及びシアン粒子Cの閾値特性を示した。各粒子の閾値特性は図9と同一である。また、図13では、マゼンダ粒子Mの第1の行程で表示側電極3に印加する電圧の電圧値を+VM3、マゼンダ粒子Mの第2の行程(シアン粒子Cの第1の行程)で表示側電極3に印加する電圧の電圧値を−VM31、−VM21、−VM11、シアン粒子Cの第2の行程でシアン粒子Cの表示濃度をDC0(最低濃度)にする場合に表示側電極3に印加する電圧の電圧値を+V、シアン粒子Cの表示濃度をDC1にする場合に表示側電極3に印加する電圧の電圧値を+VC1、シアン粒子Cの表示濃度をDC2にする場合に表示側電極3に印加する電圧の電圧値を+VC2で示している。
【0065】
図14には、マゼンダ粒子Mの濃度をDM1とした場合の各閾値特性とシアン粒子Cの濃度との関係を示した。図13に示すように、シアン粒子Cの閾値特性VthCとマゼンダ粒子Mの閾値特性VthM2、VthM1とはクロスするため、シアン粒子Cの濃度がDC1以下の場合、マゼンダ粒子Mの閾値特性としてVthM2、VthM1とを用いた場合には、図14に示すように混色が発生する場合がある。
【0066】
一方、混色が発生しない場合においては、なるべく駆動時間、すなわち電圧印加時間が短いことが好ましい。このため、図14に示すように、シアン粒子Cの濃度をDC2と又はDC3とする場合には、マゼンダ粒子Mの閾値特性として混色が発生せず且つ電圧印加時間が最も短くなるVthM1を選択し、電圧印加時間をtM31に設定する。
【0067】
また、シアン粒子Cの濃度をDC1とする場合には、マゼンダ粒子Mの閾値特性として混色が発生せず且つ電圧印加時間が最も短くなるVthM2を選択し、電圧印加時間をtM32に設定する。
【0068】
また、シアン粒子Cの濃度をDC0とする場合には、マゼンダ粒子Mの閾値特性としてVthM3を選択し、電圧印加時間をtM33に設定する。
【0069】
図15には、マゼンダ粒子Mの濃度をDM1、シアン粒子Cの濃度をDC0とする場合の具体的な電圧印加のシーケンスを示した。
【0070】
図15に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度をDM1、シアン粒子Cの濃度をDC0とする場合、まず、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0071】
次に、マゼンダ粒子Mの第2の行程及びシアン粒子Cの第1の行程として、電圧値−VM31、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DM1に応じた量のマゼンダ粒子Mが表示基板1側に残り、他のマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0072】
次に、シアン粒子Cの第2の行程として、シアン粒子Cの濃度DC0に応じた電圧値+V、電圧印加時間tの電圧を表示側電極3に印加する。これにより、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0073】
また、図16(A)に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度をDM1、シアン粒子Cの濃度をDC1とする場合、まず、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0074】
次に、マゼンダ粒子Mの第2の行程及びシアン粒子Cの第1の行程として、電圧値−VM31、電圧印加時間tM32の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DM1に応じた量のマゼンダ粒子Mが表示基板1側に残り、他のマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0075】
次に、シアン粒子Cの第2の行程として、シアン粒子Cの濃度DC1に応じた電圧値+VC1、電圧印加時間tの電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DC1に応じた量のシアン粒子Cが表示基板1側に残り、他のシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0076】
また、図17(A)に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度をDM1、シアン粒子Cの濃度をDC2とする場合、まず、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM33の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、全てのマゼンダ粒子Mが表示基板1側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0077】
次に、マゼンダ粒子Mの第2の行程及びシアン粒子Cの第1の行程として、電圧値−VM31、電圧印加時間tM31の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DM1に応じた量のマゼンダ粒子Mが表示基板1側に残り、他のマゼンダ粒子Mが背面基板2側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。
【0078】
次に、シアン粒子Cの第2の行程として、シアン粒子Cの濃度DC2に応じた電圧値+VC2、電圧印加時間tの電圧を表示側電極3に印加する。これにより、濃度DC2に応じた量のシアン粒子Cが表示基板1側に残り、他のシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0079】
なお、シアン粒子Cの濃度がDC1の場合はマゼンダ粒子Mの閾値特性としてVthM2を選択しても混色は発生しないことから、図16(B)に示すように、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM32の電圧を表示側電極3に印加するようにしてもよい。また、マゼンダ粒子Mの第2の行程として、電圧値−VM21(|VM21|<|VM31|)、電圧印加時間tM22(>tM32)の電圧を表示側電極3に印加するようにしてもよい。
【0080】
また、シアン粒子Cの濃度がDC2の場合はマゼンダ粒子Mの閾値特性としてVthM2を選択しても混色は発生しないことから、図17(B)に示すように、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM32の電圧を表示側電極3に印加するようにしてもよい。また、マゼンダ粒子Mの第2の行程として、電圧値−VM21(|VM21|<|VM31|)、電圧印加時間tM21(>tM31)の電圧を表示側電極3に印加するようにしてもよい。
【0081】
さらに、シアン粒子Cの濃度がDC2の場合はマゼンダ粒子Mの閾値特性としてVthM1を選択しても混色は発生しないことから、図17(C)に示すように、マゼンダ粒子Mの第1の行程として、電圧値+VM3、電圧印加時間tM31の電圧を表示側電極3に印加するようにしてもよい。また、マゼンダ粒子Mの第2の行程として、電圧値−VM11(|VM11|<|VM21|)、電圧印加時間tM11(>tM21)の電圧を表示側電極3に印加するようにしてもよい。
【0082】
次に、制御部40のCPU40Aで実行される制御について図18に示すフローチャートを参照して説明する。
【0083】
まず、ステップS10では、表示媒体100に表示させるべき画像の画像情報を例えばI/O40Eを介して図示しない外部装置から取得する。
【0084】
ステップS12では、マゼンダ粒子Mの第1の行程で印加する電圧の電圧値及び電圧印加時間を電圧印加部30に設定する。例えばマゼンダ粒子Mの濃度がDM3、シアン粒子Cの濃度がDC3の場合は図12(A)に示すように、予め定めた電圧値として−VM3、予め定めた電圧印加時間としてtM33を設定する。
【0085】
ステップS14では、マゼンダ粒子Mの第2の行程(シアン粒子Cの第2の行程)で印加する電圧の電圧値及び電圧印加時間を電圧印加部30に設定する。具体的には、マゼンダ粒子Mの濃度に対応したテーブルデータ、すなわち、シアン粒子Cの濃度と、混色が発生せず且つ混色が発生せず且つ第2の行程でマゼンダ粒子Mを駆動する際の電圧印加時間が最も短くなる電圧印加時間と、の関係を示すテーブルデータを不揮発性メモリ40Dから読み出す。そして、読み出したテーブルデータからシアン粒子Cの濃度に応じた第2の行程におけるマゼンダ粒子Mを駆動する際の電圧印加時間を設定する。
【0086】
例えば図12(A)に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度がDM3、シアン粒子Cの濃度がDC3の場合は、マゼンダ粒子Mの濃度DM3に対応したテーブルデータを読み出し、シアン粒子Cの濃度DC3に対応した電圧印加時間tM33をテーブルデータから読み出し、これを電圧印加部30に設定する。なお、電圧値は、図12(A)に示すように、予め定めた電圧値として+VM3を設定する。
【0087】
ステップS16では、シアン粒子Cの第2の行程で印加する電圧の電圧値及び電圧印加時間を電圧印加部30に設定する。具体的には、例えば図12(A)に示すように、マゼンダ粒子Mの濃度がDM3、シアン粒子Cの濃度がDC3の場合は、シアン粒子Cの濃度DC3に対応して予め定められた電圧値−VC3及び予め定めた電圧印加時間tを電圧印加部30に設定する。
【0088】
なお、本実施形態では、電圧値を固定して電圧印加時間を変更にすることでマゼンダ粒子Mの閾値特性を変更する場合について説明したが、電圧印加時間を固定にして電圧値を変更することでマゼンダ粒子Mの閾値特性を変更するようにしてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、粒子群がマゼンダ粒子Mとシアン粒子Cの2種類の場合について説明したが、粒子の種類は3種類以上でもよい。例えば、粒子群がマゼンダ粒子M、シアン粒子C、黄色粒子Yの3種類の場合についても本発明は適用される。
【0090】
(実施例)
【0091】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0092】
<非帯電白粒子の調製>
【0093】
還流冷却管を取り付けた100ml三口フラスコに、2−ビニルナフタレン(新日鐵化学社製)を5質量部、サイラプレーンFM−0721(チッソ社製)を5質量部、開始剤として過酸化ラウロイル(和光純薬社製)を0.3質量部、シリコーンオイルKF−96L−1CS(信越化学社製)を20質量部加え、窒素ガスによるバブリングを15分間行った後、窒素雰囲気下にて65°C、24時間の重合を行い、白粒子を作製した。
【0094】
得られた白粒子は、遠心分離装置を用いて粒子の沈降とシリコーンオイルでの洗浄を繰り返し、精製を行なった。このようにして、粒子固形分が40質量%の、白色粒子が分散した分散液を作製した。作製した白粒子の体積平均粒子径(大塚電子社製、FPAR−1000で測定)は、550nmであった。
【0095】
<シアン泳動粒子C1の調製、正帯電、低閾値>
【0096】
サイラプレーンFM−0711(チッソ社製)95質量部、メタクリル酸メチル3質量部、グリシジルメタクリレート2質量部をシリコーンオイル(信越化学社製KF−96L−2CS)50質量部と混合し、重合開始剤としてAIBN(2,2−アゾビスイソブチルニトリル)を0.5質量部添加して、重合を実施し、エポキシ基をもった反応性シリコーン系高分子A(反応性分散剤)を作製した。
【0097】
次に、N−ビニルピロリドンとN,N−ジエチルアミノエチルアクリレートとの質量比で9/1の共重合体を通常のラジカル溶液重合で合成した。
【0098】
次に、水分散顔料溶液(Ciba社製、ユニスパース・シアン色:顔料濃度26質量%)1質量部に、上記共重合体の10質量%水溶液3質量部を混合し、この混合溶液を上記反応性シリコーン系高分子Aの3質量%シリコーン溶液10質量部に混合し、これを超音波破砕機で10分間攪拌し、高分子および顔料を含む水溶液をシリコーンオイル中に分散・乳化した懸濁液を調製した。
【0099】
次に、この懸濁液を減圧(2KPa)、加熱(70°C)して水分を除去し、シリコーンオイル中に高分子および顔料を含んだ着色粒子が分散したシリコーンオイル分散液を得た。さらに、この分散液を100°Cで3時間加熱して上記反応性シリコーン系高分子に反応させて結合させた。次に分散液中に粒子固形分中のN,N−ジエチルアミノエチルアクリレートのモル量の50%に相当する臭化ブチルを添加し80℃で3時間加熱し、アミノ基の4級化処理を行なった後、遠心分離装置を用いて粒子の沈降とシリコーンオイルでの洗浄を繰り返し、精製を行なった。このようにして、粒子固形分が4質量%の、シアン顔料を含んだ着色粒子が分散した分散液を作製した。
【0100】
作製したシアン粒子の体積平均粒子径(大塚電子社製、FPAR−1000で測定)は、680nmであった。
【0101】
<マゼンタ泳動粒子M1の調製、負帯電、高閾値>
【0102】
サイラプレーンFM−0725(チッソ社製)19質量部、サイラプレーンFM−0721(チッソ社製)29質量部、メタクリル酸メチル(和光純薬社製)9質量部、メタクリル酸オクタフルオロペンチル(和光純薬社製)5質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート (和光純薬社製)38質量部を、イソプロピルアルコール(IPA)300質量部に混合し、重合開始剤としてAIBN(2,2−アゾビスイソブチルニトリル)1質量部を溶解し、窒素下で70°C、6時間重合を行なった。これによる生成物を、ヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥し、シリコーン系高分子Bを得た。
【0103】
次に、イソプロピルアルコール(IPA)9質量部に上記シリコーン系高分子B 0.5質量部を加え、溶解させた後、山陽色素製マゼンタ顔料(Pigment Red 3090)0.5質量部を添加し、0.5mm径のジルコニアボールを使用し、48時間分散させ、顔料含有高分子溶液を得た。
【0104】
この顔料含有高分子溶液を3質量部取り出し、これを40℃に加熱させた後、超音波を印加させながら、シリコーンオイル(信越化学社製KF−96L−2CS)12質量部を少量ずつ滴下させたところ、シリコーン系高分子が顔料表面に析出した。その後、溶液を60℃に加温・減圧乾燥させ、IPAをエバポレートさせ、シリコーン系高分子が顔料表面に付着したマゼンタ粒子を得た。
【0105】
得られたマゼンタ粒子は、遠心分離装置を用いて粒子の沈降とシリコーンオイルでの洗浄を繰り返し、精製を行なった。このようにして、粒子固形分が4質量%の、マゼンタ顔料を含んだ着色粒子が分散した分散液を作製した。作製したマゼンタ粒子の体積平均粒子径(大塚電子社製、FPAR−1000で測定)は、380nmであった。
【0106】
<CM2粒子系の混合液の調整>
【0107】
前述の白粒子分散液、シアン粒子分散液、マゼンタ粒子分散液を次の比率で混合し、CM2粒子系の混合液を作製した。
【0108】
混合比 W:C:M = 2:1:1(wt%)
【0109】
<表示媒体の作製>
【0110】
表面基板及び背面基板として、50mm×50mm×1.1mmのガラス基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜し、その上にフッ素樹脂(旭硝子社製、CYTOP)をスピンコート法により100nmの厚さで成膜した。
【0111】
50mm×40mm×50μmのフッ素樹脂シートの中央部から20mm×20mmの正方形を切り抜いたものをスペーサとして使用し、これを背面基板上に置いた。
【0112】
上記調整したCM2粒子系の混合液を、該スペーサの中央の正方形に切り抜かれた空間に注入した。その後、スペーサ上に表面基板を密着させ、両基板をダブルクリップで加圧保持して、スペーサーと両基板とを密着させ、表示媒体を作製した。
【0113】
<評価方法>
【0114】
前記作製した表示媒体の電極間に電圧を印加し、分光器(OceanOptics社製USB2000+)で反射光を測定して表示特性を評価した。なお、図19に前記作製した表示媒体の閾値特性を示した。
【0115】
<駆動評価結果>
【0116】
前記作製した表示媒体に、高閾値粒子であるマゼンタ粒子の第1の工程として、表示基板側が正極となるように15Vを1秒印加したところ、表面基板がマゼンタ色、背面基板がシアン色に変化した。続いて、高閾値粒子であるマゼンタ粒子の第2の工程、兼、低閾値粒子であるシアン粒子の第1の工程として、表示基板側が負極となるように電圧を印加して表示基板をシアン色、背面基板をマゼンタ色にした。続いて、低閾値粒子であるシアン粒子の第2の工程として、表示基板側が負極となるように電圧を印加した。
【0117】
この時のシアン粒子濃度とマゼンタ粒子の第2の工程の駆動条件と混色の有無の関係は、図20〜22に示すような結果となった。なお、シアン粒子Cの第2の行程において印加する電圧の電圧値、電圧印加時間、及び濃度の関係を図23に示した。
【0118】
図20、21は、電圧値を固定にして電圧印加時間を変化させた場合の結果であり、図20は電圧値を15V、図21は電圧値を30Vとした場合の結果である。また、図22は、電圧印加時間を固定にして電圧値を変化させた場合の結果である。
【0119】
混色の有無は、混色の無い状態のシアン表示色との色差ΔE(L軸、a軸、b軸の差をそれぞれ二乗したものの和の平方根)で判別した。ΔE<5であれば混色なし:○、ΔE≧5であれば混色あり:×、とした。
【0120】
図21及び図22の結果を比較すれば判るように、電圧値を固定にして電圧印加時間を変えた方が、総駆動時間を短縮できることが判った。
【0121】
また、従来は、マゼンダ粒子Mの第2の行程における駆動条件は固定であり(図20〜22の最も左側の条件)、本発明と比較して総駆動時間は長くなることが判った。
【符号の説明】
【0122】
1 表示基板
2 背面基板
3 表示側電極
4 背面側電極
5 間隙部材
6 分散媒
10 表示媒体
11 第1泳動粒子(群)
12 第2泳動粒子(群)
13 白色粒子(群)
20 駆動装置
30 電圧印加部
40 制御部
100 表示装置
C シアン粒子(群)
M マゼンタ粒子(群)
Y 黄色粒子(群)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入された分散媒と、前記分散媒中に分散され、絶対値が第1の閾値以上の第1の電圧が前記基板間に印加されることにより移動する第1の粒子群と、前記第1の粒子群と色が異なり、前記分散媒中に分散され、絶対値が前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上の電圧が前記基板間に印加されることにより移動する第2の粒子群と、を有する表示媒体に対して、
前記第1の粒子群を移動させた後に前記第2の粒子群を移動させる場合、前記第2の粒子群の表示濃度に応じて、前記第2の粒子群を移動させる際に前記第1の粒子群が移動しない前記第1の電圧の電圧値及び電圧印加時間を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記第1の電圧を前記基板間に印加した後、前記第2の電圧を前記基板間に印加する電圧印加手段と、
を備えた表示媒体の駆動装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記第1の電圧の電圧値を固定にすると共に、前記第2の表示濃度に応じて、前記第1の電圧の前記電圧印加時間を変更する
請求項1記載の表示媒体の駆動装置。
【請求項3】
前記電圧印加手段が、
前記第1の粒子群が前記表示基板及び前記背面基板のうち一方の基板に移動し且つ前記第2の粒子群が前記表示基板及び前記背面基板のうち他方の基板に移動するように前記第1の電圧を前記基板間に印加し、
前記設定手段により設定された前記第1の電圧であって、前記第1の粒子群の表示濃度に応じた前記第1の電圧を前記基板間に印加し、
絶対値が前記第1の閾値未満で且つ前記第2の閾値以上の前記第2の電圧であって、前記第2の粒子群の表示濃度に応じた前記第2の電圧を前記基板間に印加する
請求項1又は請求項2記載の表示媒体の駆動装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置を構成する各手段として機能させるための表示媒体の駆動プログラム。
【請求項5】
透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入された分散媒と、前記分散媒中に分散され且つ前記基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された色及び帯電極性が異なる複数種類の粒子群と、を有する表示媒体と、
前記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の前記表示媒体の駆動装置と、
を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−141494(P2012−141494A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528(P2011−528)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】