説明

表示情報切替装置及び表示情報切替方法及び表示情報切替プログラム

【課題】モバイル機器にあって、ユーザに対する向きに応じて画面表示情報を切替える表示情報切替装置を得る。
【解決手段】モバイル機器に搭載される表示情報切替装置100の記憶部103に、モバイル機器の傾きとユーザに対するモバイル機器の向きとの対応を予め定義した向き定義情報103Aと、表示画像103Bと、モバイル機器の向きごとに表示可能な画像を予め定義した表示切替情報103Cと、ある画像から遷移する画像を予め定義した遷移情報103Dとを記憶させ、傾き検出部101によりモバイル機器の傾きを検出し、この検出結果に応じて、向き判定部102により、向き定義情報103Aを参照してモバイル機器の向きを判定し、この判定結果に応じて、表示制御部104により、表示情報を切替えて表示部105に表示させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報サービスを提供するとともにユーザ操作が必要な機能を有するモバイル機器に搭載され、表示情報の切替を制御する表示情報切替装置及び表示情報切替方法及び表示情報切替プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話とパソコン、PDA(Personal Digital Assistant)の機能を組み合わせたスマートフォンの普及率が増加している。
このスマートフォンの特徴の一つとして、さまざまなアプリケーション(以下、アプリという。)をスマートフォンにダウンロードできることが挙げられる。これにより、ユーザは、音声通話やメール以外に自分好みのさまざまな使い方ができるようになる。
ここで、車載用途に目を向けても、多数のアプリが提供されている。代表的なものとしては、カーナビアプリが挙げられる。このカーナビアプリによって、カーナビを搭載していない車両でも、目的地検索やルート案内の享受が可能になる。
【0003】
ただし、問題点も存在する。その一つとして、スマートフォンは画面サイズが一般的に小さいため、運転手が運転中に画面を注視(1回の視認時間が2秒以上)してしまう可能性が高いことが挙げられる。これに関しては、特許文献1のように、機器のユーザに対する向きを判断し、その向きに基づいて表示フォーマットを変更することで改善が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−515884号公報(第8〜16頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スマートフォンの機器の画面サイズそのものを変更することはできない。
また、運転中に、画面サイズの小さな機器に対する操作を正確に行うことは難しく、それ故操作中は特に画面を注視してしまう可能性が高い。
特許文献1でも、運転中の画面操作についての考慮がなされていないという問題がある。
また、運転中に携帯電話を手にとって通話やメール操作を行うことは法律で禁止されており、極力運転中の操作は不要となるよう配慮する必要がある。例えば、カーナビでは車速情報から走行中は一部操作を無効とする機能が備わっている。しかし、スマートフォンのようなモバイル機器の場合、例えば後部座席に乗っている人が使用することも考えられ、この場合、運転中の操作を無効とすると、運転手以外の人には不便さを与えてしまう。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、モバイル機器にあって、ユーザに対する向きに応じて画面表示情報を切替える表示情報切替装置及び表示情報切替方法及び表示情報切替プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる表示情報切替装置においては、モバイル機器に搭載され、表示情報の切替を制御する表示情報切替装置であって、モバイル機器の傾きとユーザに対するモバイル機器の向きとの対応を予め定義した向き定義情報を記憶した記憶部、モバイル機器の傾きを検出する傾き検出部、向き定義情報を参照して、傾き検出部による検出結果に応じたモバイル機器の向きを判定する向き判定部、及びこの向き判定部による判定結果に応じて、表示情報の切替を制御する表示制御部を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、モバイル機器に搭載され、表示情報の切替を制御する表示情報切替装置であって、モバイル機器の傾きとユーザに対するモバイル機器の向きとの対応を予め定義した向き定義情報を記憶した記憶部、モバイル機器の傾きを検出する傾き検出部、向き定義情報を参照して、傾き検出部による検出結果に応じたモバイル機器の向きを判定する向き判定部、及びこの向き判定部による判定結果に応じて、表示情報の切替を制御する表示制御部を備えたので、ユーザの状況に応じて表示情報を切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による表示情報切替装置を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の向き定義情報の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の表示切替情報の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の遷移情報の構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の表示画面判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による表示情報切替装置を示すブロック構成図である。
図1において、表示情報切替装置100は、次の各部を有し、スマートフォンなどのモバイル機器(以下、単に機器という。)に搭載されている。この機器は、車両に取り付け可能に形成されるか、または車両に取り付け可能な装置の一部であってもよい。
傾き検出部101は、加速度センサや音声認識センサなどの少なくとも1つのセンサからなり、機器が、どの方向にどの程度傾いているかを計測する。向き判定部102は、傾き検出部101で計測した情報から、機器の向きを判定する。
データ記憶部103(記憶部)は、ユーザに対する機器の向きと機器の傾きとの関連を予め定義した向き定義情報103A、表示する画像群を格納した表示画像103B、画像とユーザに対する機器の向きとの関連を予め定義した表示切替情報103C(表示可能画像情報)、遷移条件に応じて遷移される各画像名を予め定義した遷移情報103D、の各情報を記憶装置に記憶する。
表示制御部104は、向き判定部102の情報とデータ記憶部103の情報から、次に表示する画像を決定し、表示部105へ表示指示を行う。表示部105は、表示制御部104の指示に従い、画像を表示する。
【0011】
なお、本実施の形態1の説明において、「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実現されても構わない。
【0012】
図2は、この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の向き定義情報の構成を示す図である。
図2において、向き定義情報103Aの構成の一例として、傾き検出部101が計測した機器の傾きの値と対応する機器の向き(ユーザに対する向き。以下同じ。)が定義されている。
【0013】
図3は、この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の表示切替情報の構成を示す図である。
図3において、表示切替情報103Cの構成の一例として、各画像に対し、機器がどの向きのとき表示されるかが定義されている。
なお、図3では縦向きと横向きだけ定義しているが、他の向きが追加で定義してあってもよい。
【0014】
図4は、この発明の実施の形態1による表示情報切替装置の遷移情報の構成を示す図である。
図4において、遷移情報103Dの構成の一例として、ある遷移条件に従って画像が遷移する場合(矢印の遷移)と、割込みで画像が遷移する場合(稲妻線の遷移)があることを示し、それぞれの遷移条件で遷移される画像名が示されている。
なお、遷移条件としては、ユーザ操作有無や規定時間経過などが考えられるが、本実施の形態1では規定しない。
【0015】
次に、動作について説明する。
図5を用いて、表示情報切替装置100の処理の流れの一例を説明する。なお、今回は簡単のため、機器の向きによる遷移以外は発生していないものとする。
まず、傾き検出部101は、周期的に機器の傾きを測定し、結果を向き判定部102へ送る(S100、第1のステップ、第1の処理)。向き判定部102は、図2の向き定義情報103Aを参照し、傾き検出部101から送られてきた傾きの値がどの向きに該当するかを判定する(S101、第2のステップ、第2の処理)。例えば、(Y、X、Z)=(0.1、1.0、0.05)の場合、機器は横向きと判定する。
【0016】
次いで、向き判定部102は、判定結果を表示制御部104へ送る(S102)。
表示制御部104は、図6を用いて後述する表示画面判定処理を行い、次に表示させる画像を判定する。表示中の画像(第1の表示画像)と異なる画像を表示する場合、すなわち画像を遷移する場合は、遷移する画像(第2の表示画像)を表示画像103Bより取り出し、表示部105へ画像を送る(S103、第3のステップ、第3の処理)。
表示部105は、表示制御部104から受け取った画像を表示する(S104)。
【0017】
次に、図6を用いて、表示制御部104が行う表示画面判定処理S103の処理の流れの一例を説明する。なお、今回は簡単のため、機器の向きによる遷移以外は発生していないものとする。
【0018】
表示制御部104は、向き判定部102から向き判定結果を取得する(S200)。また、表示中の画像名も取得する(S201)。その後、図3の表示切替情報103Cから表示中の画像の、機器の向きに対する表示可否を確認し、S200で得た向きと比較する(S202)。
S200により得られた向きで、表示中の画像が表示可能な場合(S202YES)、画面の変更は行わない(表示中の画面のまま)と判定する(S203)。
S200により得られた向きでは、表示中の画像が表示不可な場合(S202NO)で、向き判定結果が横向きの場合(S204)は、図4の遷移情報103Dを参照し、横向き変更時に表示する画面(画像)に変更すると判定する(S205)。
向き判定結果が縦向きの場合(S204)は、図4の遷移情報103Dを参照し、縦向き変更時に表示する画面に変更すると判定する(S206)。
向き判定結果がそれ以外の場合は、表示画面の変更無しと判定する(S203)。
【0019】
例えば、現在、図3の「4.JPG」の画像を表示中に、機器の向きを横向きにすると、「4.JPG」の画像は機器の横向き時に表示不可のため、図4の遷移情報103Dから横向き変更時の「2.JPG」の画像を表示するよう変更する。
【0020】
実施の形態1によれば、表示情報切替装置100を用いることで、ユーザの状況に応じた表示情報の切替の制御が可能となる。例えば機器の横向き時に表示する画像は、ユーザ操作無し及び走行中に受けたいサービスに関するものに限定し、ユーザ操作が必要なものは縦向きに表示することで、車両の走行中にユーザ操作を行う危険性を低減でき、交通安全に寄与することが可能となる。
また、車両の運転席以外の人が操作する場合も、機器の向きを変えるだけでよいので、利便性を損ねることはない。
【0021】
なお、本実施の形態1では、向き判定は1回の計測のみで行ったが、複数回連続で同じ向きが続いた時に初めて判定してもよい。これにより、向き判定の精度を高めることができ、誤判定を防止することができる。
また、本実施の形態1では、向きの判定に機器の傾きを利用したが、他のデータを利用しても良い。例えば、音声データによる音声認識を用いることが考えられる。
【符号の説明】
【0022】
100 表示情報切替装置
101 傾き検出部
102 向き判定部
103 データ記憶部
103A 向き定義情報
103B 表示画像
103C 表示切替情報
103D 遷移情報
104 表示制御部
105 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル機器に搭載され、表示情報の切替を制御する表示情報切替装置であって、
上記モバイル機器の傾きとユーザに対する上記モバイル機器の向きとの対応を予め定義した向き定義情報を記憶した記憶部、
上記モバイル機器の傾きを検出する傾き検出部、
上記向き定義情報を参照して、上記傾き検出部による検出結果に応じた上記モバイル機器の向きを判定する向き判定部、
及びこの向き判定部による判定結果に応じて、表示情報の切替を制御する表示制御部を備えたことを特徴とする表示情報切替装置。
【請求項2】
上記記憶部は、上記モバイル機器の向きごとに表示可能な画像を予め定義した表示可能画像情報を記憶するとともに、ある画像から遷移する画像を予め定義した遷移情報を記憶し、
上記表示制御部は、上記表示可能画像情報を参照して、表示中の第1の表示画像が、上記向き判定部で得られたモバイル機器の向きに対し、表示可能でない場合には、上記遷移情報を参照して、次に表示する第2の表示画像を決定することを特徴とする請求項1に記載の表示情報切替装置。
【請求項3】
上記傾き検出部は、加速度センサにより構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示情報切替装置。
【請求項4】
上記傾き検出部は、音声認識センサにより構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示情報切替装置。
【請求項5】
上記モバイル機器は、車両に取り付け可能に形成されるか、または車両に取り付け可能な装置の一部であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の表示情報切替装置。
【請求項6】
モバイル機器の表示情報の切替を制御する表示情報切替方法であって、
傾き検出部によって、上記モバイル機器の傾きを検出する第1のステップ、
上記モバイル機器の傾きとユーザに対する上記モバイル機器の向きとの対応を予め定義し、記憶部に格納された向き定義情報を参照して、向き判定部によって、上記第1のステップによる検出結果に応じた上記モバイル機器の向きを判定する第2のステップ、
及び表示制御部によって、上記第2のステップによる判定結果に応じて、表示情報の切替を制御する第3のステップを含むことを特徴とする表示情報切替方法。
【請求項7】
上記記憶部は、上記モバイル機器の向きに応じて表示可能な画像を予め定義した表示可能画像情報を記憶するとともに、ある画像から遷移する画像を予め定義した遷移情報を記憶し、
上記第3のステップで、上記表示制御部は、上記表示可能画像情報を参照して、表示中の第1の表示画像が、上記第2のステップで得られたモバイル機器の向きに対し、表示可能でない場合には、上記遷移情報を参照して、次に表示する第2の表示画像を決定することを特徴とする請求項6に記載の表示情報切替方法。
【請求項8】
モバイル機器の表示情報の切替を制御する表示情報切替プログラムであって、
傾き検出部からの信号により、上記モバイル機器の傾きを検出する第1の処理、
上記モバイル機器の傾きとユーザに対する上記モバイル機器の向きとの対応を予め定義した向き定義情報を参照して、上記第1の処理による検出結果に応じた上記モバイル機器の向きを判定する第2の処理、
及びこの第2の処理による判定結果に応じて、表示情報の切替を制御する第3の処理を含み、
上記第1、第2及び第3の各処理をコンピュータにより実行させることを特徴とする表示情報切替プログラム。
【請求項9】
上記第3の処理は、上記モバイル機器の向きに応じて表示可能な画像を予め定義した表示可能画像情報を参照して、表示中の第1の表示画像が、上記第2のステップで得られたモバイル機器の向きに対し、表示可能でない場合には、ある画像から遷移する画像を予め定義した遷移情報を参照して、次に表示する第2の表示画像を決定することを特徴とする請求項8に記載の表示情報切替プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65162(P2013−65162A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202881(P2011−202881)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】