説明

表示情報変換装置

【課題】 画像表示装置を用いて情報を伝達する際の漏洩電磁波等を通じた情報の傍受を防止することを課題とする。
【解決手段】 画像変換装置が入力画像と数値列から複数の変換画像を生成し,生成された変換画像を画像記憶装置に格納し,画像出力装置により,画像記憶装置から変換画像を読出し,表示制御装置に順次送信する。表示制御装置は画像表示装置に受信画像を表示する。画像出力装置が高速に前記の変換画像群を出力することで,画像表示装置上で切替表示をおこない,視覚上で入力画像と同等の画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報表示装置および情報表示方法に関し,特にTEMPEST (Transient ElectroMagnetic Pulse Emission Surveillance Technology: 放射電磁波解析技術)などによる各種情報漏洩への対策に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の組込用マイコン,パソコンやサーバに搭載されている中央演算装置(CPU)をはじめとして,計算や制御を必要とする様々な電気機器が,高機能化とともに多数のトランジスタで構成されるようになっている。トランジスタは,電力を与えることによって動作している。また,動作の際の消費電力量は,動作速度(クロック速度)の高速化によって増加する傾向がある。たとえば,CMOSインバータのスイッチング時に発生する貫通電流は,クロック速度の増加に応じて増加する。貫通電流は,電源から接地線に流れ出る。接地線の電流変化によって,接地配線をアンテナとした,電磁波が放射される。電流の変化量が大きいほど,放射電磁波は強くなる。このように意図せずに発生する電磁波は,漏洩電磁波と呼ばれる。
【0003】
トランジスタ群は,半導体集積回路(IC)の中を張り巡らせた配線で相互に接続されている。配線の素材としては,一般に,銅やアルミニウムなどの金属が用いられている。配線上を電子が通過する際には,電子の通過量の時間変化により,配線周辺の磁場や電場が変化する。配線は,ICの内部だけで閉じているわけではない。配線上を伝達される情報(0もしくは1に対応する二値情報であることが多い)のいくつかは,小型に集約されチップ化された回路から,外部にも伝達されるか,外部から伝達されて来る。ここで,外部とは,チップ化の単位で見ての外部である場合や,ある機能モジュール単位で見ての外部であって,必ずしもICチップの物理的な外側ではない場合もある。というのは,計算機とメモリ装置など複数の機能をワンチップ化した,SoC(System on Chip)といった技術も用いられるためである。チップ間を明示的な配線で結ぶのではなく,電極パッドを互いに貼り付ける技術なども開発されており,ICチップの内外の境界は,かならずしも明らかではない。とはいえ,複数の機能モジュール間をつなぐ配線を通じて情報のやり取りが行われるということに変わりはない。
【0004】
電圧がある閾値以上であれば1とみなし,閾値未満であれば0とみなす,一般的な論理回路においては,信号の送信側と受信側で電圧値が所定に保たれることが重要である。信号を送信する側から,電圧を測定する側である信号の受信側までの距離が長いほど,途中の配線における電気抵抗のため,電圧降下が発生する。よって,信号を伝達する際の配線の長さが長いほど,途中で信号が閾値以上に減衰してしまわないように,送信側での信号の電圧を高くしておくということが行われる。明らかにこの場合は,1を送信する場合と0を送信する場合の電位差が大きく異なる。単位時間での電圧の変化が大きいほど,周囲に発生する電場の変化が大きい。また同様に,スイッチングの際に電流の変化が発生するため磁場の変化も発生する。このようにして,電圧の変化に応じた電磁波が発生する。すなわち,電圧の変化に対応している送信情報は,配線の周辺で発生する磁場や電場の変化を観察することで,間接的に知ることができる。配線経路での電圧降下に対応するために,途中にアンプなどを設置して,昇圧する方法なども用いられる。この場合でも,電圧変動と伝達する情報に相関があることは同様である。
【0005】
小型化・低消費電力化の進んだ装置では,配線長が短いために必要な電圧も小さく,先に説明したような現象の結果として,動作時に発生する磁場や電場の変化も小さい。また,コンピュータなどの情報端末が動作する際に発生する電磁波は,VCCI (Voluntary Control Council for Information Technology Equipment: 情報処理装置等電波障害自主規制協議会等の規格に準拠することで,強度を小さくするように制御されている。それでもなお,高性能なアンテナや受信機を用いることによって,微かな電磁波を傍受することが可能である。
【0006】
傍受した電磁波には,伝送されているデータに代表される,情報端末の動作状況に関する情報が含まれている。そのため,傍受した情報を適切に解析すれば,キーボードの打鍵内容やモニタへの表示内容などに関する情報を読み取ることができる。パソコンなどに使用されるモニタもトランジスタで構成され動作しているため,図4に示すように,モニタ401からも,動作状態に応じた電磁波が発生している。一般に,発生する電磁波は微弱ではあるが,高性能アンテナ402と高性能受信装置403を用いることで,傍受することができる。傍受結果を表示するためのモニタ404に傍受結果を解析して表示することで,モニタ401の表示内容に応じた画面を再現することができる。
【0007】
空中を伝播する電磁波以外にも,装置の電源ケーブルや各種の接続ケーブルに含まれる金属部品を伝播する電磁波も存在する。たとえば,信号の伝達の際に発生する電圧変動やトランジスタのスイッチングによって発生する貫通電流などによって,接地端子のレベルが変動し,その変動が,装置の電源ケーブルを伝播することがある。金属中を伝播する電気信号は,空中を伝播する場合よりも単位距離あたりの減衰量が小さく,またノイズが混入する割合も小さいため,より遠方での傍受が可能となる。
【0008】
対策として,特許文献1に示されるように,建築物の壁にシールドを施し,建物外部での情報傍受を抑止することや,装置の筐体に電磁放射を吸収・遮断するためのシールド処理を行い,漏洩電磁波を装置の内部に閉じ込めることが行われている。シールド以外にも,信号ケーブルに低域通過フィルタ部品を取り付けることによる高周波の漏洩電磁波の低減や,漏洩電磁波の傍受を妨害する妨害電波の発生といった対策が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6-209180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
シールドを施す対策技術は,電磁波の量を低減することができるものの,信号源を絶つものではない。また,傍受装置の性能向上によって,より強固な対策が必要となった場合,建物や装置を作り変えることは多大なコストを要する。妨害電波を発生する場合も,VCCI等の規格により上限が定められているため,妨害電波の発生可能な量には限界がある。そのため,漏洩電磁波の傍受を妨害する目的に対して,必ずしも十分な効果が得られない。本発明は,漏洩電磁波傍受によるオリジナル表示画像の漏洩を低減または防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
漏洩電磁波自体を無くさなくとも,正規の送受信者間で伝達される情報と,漏洩電磁波を通じて不正な第三者が傍受する情報とが異なるものであり,第三者が傍受した情報から正規の送受信者間で伝達された情報が推定できなければ,情報伝達装置は漏洩電磁波の傍受に対して安全であるといえる。本発明は,正規の送受信者間では画像情報の伝達が正常に行われ,かつ漏洩電磁波を傍受した第三者には伝達が正常に行われない,情報表示装置および情報表示方法を提供する。本発明の情報表示装置および情報表示方法は,第三者が傍受した情報から元の状態を復元できないような形態に,表示画像を処理して表示することを基本とする。
【0012】
以下の説明では,最初に本発明の基本方式について述べる。続いて,前記の基本方式に従った実施例として,数値列を表示画像の各画素値に加える方式と表示画像を異なる基本画素単位にエンコードする方式について述べる。また,同期情報の撹乱方法について述べる。
【0013】
<本発明の基本方式>
正規の通信者間において,ある画像Iを送受信する場合を考える。画像Iの送信者Sは,画像Iの受信者Rに対して画像Iを送信する際に,画像IからN枚の画像Pi(i∈N)を生成し,生成した画像Pi(i∈N)を受信者Rに送信する。ここで,Nは2以上の整数である。画像の生成と送信は,画像Iの再現が単独のPiのみからは行えず,複数のPiが必要となるように行う。本明細書では,その方法のひとつとして,内部的に持つある数値列を用いて,画像Iと前記数値列を加算した第1の変換画像と,画像Iから前記数値列を減算した第2の変換画像を生成する方法について述べる。また,ひとつでもPiが不足すれば,複数のPiを用いても画像Iが再現できず,すべてのPiが必要となるように行ってもよい。本明細書では,その方法のひとつとして,内部的に持つある数値列から第1のエンコード画像を生成し,画像Iと前記数値列を用いて第2のエンコード画像を生成する方法について述べる。
【0014】
一般の表示装置に準じ,画像情報の伝送は,表示に際して同期情報Isを必要とするような方法で行う。同期情報Isは画像Piと併せて送信する。ここで言う同期情報とは,たとえば,画像をモニタに表示する際に使用するピクセルクロックや水平同期信号や垂直同期信号のことを意味している。VGAのアナログデータ伝送では,水平同期信号と垂直同期信号が画素情報とともに伝送される。モニタでは受信した水平同期信号と垂直同期信号とに基づいて,表示装置への描画を行う。DVIのデジタルデータ伝送では,ピクセルクロックが画素情報とともに伝送される。モニタでは受信したピクセルクロックに基づいて,表示装置への描画を行う。
【0015】
正規の表示情報送受信者間は,信号ケーブルなどで結ばれている。すなわち正規の送受信間の通信路は,インピーダンス等の整合がとれた金属ケーブルなどであり,情報損失の少ない通信路である。一方で,表示情報送信者と傍受者間の通信経路は,空中を伝播する電磁波やインピーダンス等のマッチングがとれていない金属ケーブルなどを通じた電磁波であり,損失の大きな通信路である。画像Iから生成される画像Pi(i∈N)の数が増えるほど,傍受者が正しくすべての情報を取得することができなくなり,一部の画像Piが欠落すると画像Iの傍受は不可能となる。
【0016】
画像Pi(i∈N)は,必ずしもひとつずつが明示的に分割して送信されるわけではなく,切れ目無くシリアルまたはパラレルに送信される。画像の切れ目を示す論理信号が,並列に送信される場合もあるが,画像データのみの時系列の伝送状態に着目すれば,切れ目無く送信されるといえる。よって,画像Piから画像Iを再現するためには,複数のPiに加えて,画像の切れ目を表している同期情報Isが必要である。同期情報Isに関しても,傍受者が必ずしも正確に傍受することができる情報ではない。しかし,画像Iに本発明の処理を施すことなく伝達すれば,傍受者は,傍受した情報に対して様々な同期情報を想定して復元を試みることで,正しい同期情報Isを探索することができる。これは,画像Iが一般的に,冗長性を多く含むためで,前記の様々な同期情報を想定して復元を試みる方法は,傍受者がこの冗長性を利用した情報探索を行っていることに相当する。本発明の装置では,画像Iに加算する数値の大きさや分散値(混入するノイズの量とも表現できる)を増やすことによって,表示画像の冗長性が小さくなり,画像Piの開始位置を決定することが困難になるので,正しいIsを探索するために、傍受した情報を用いることができない。言い換えると,伝送する画像Piの冗長性は,元の画像Iの冗長性よりも小さくなっているため,傍受者は情報探索の根拠とする情報に乏しい状態となり,結果として同期情報の探索を行うことが困難になる。なお,本明細書におけるノイズという表現は,入力画像とは異なる情報源からの情報を意味している。乱数生成装置を用いて生成する乱数のように,誰にも予測不可能な情報はノイズであるといえるし,少なくとも傍受者が予測不可能な情報は,固定的な情報であってもノイズとみなされる。また,コンピュータ環境を想定すれば,上記において送信者Sとは,コンピュータにおけるCPUやグラフィックカードなどのユーザに対して表示する画像を生成する側であり,受信者Rとは,前記ユーザであるか,ユーザに対して直接的に情報を提示するモニタなどの表示装置であってもよい。
【0017】
<数値列を表示画像の各画素値に加える方式>
本発明の装置は,数値列を保持し,その数値列を出力する数値列供給装置と,デジタル表示画像データと前記数値列供給装置からの前記数値列データを演算して前記デジタル表示画像を画像変換する画像変換装置と,前記画像変換装置で生成された前記変換された画像データを記憶し外部へ出力するための記憶装置とを有し,前記数値列供給装置はn×mの数値配列である第1から第Nの数値列(Nは2以上の整数)を持ち,前記画像変換装置はn×mの数値配列(n,mは1以上の整数)である第M番目(M∈{1,...,N})の入力画像を受け取り,前記数値列供給装置から第M番目の数値列を受け取り,前記第M番目の入力画像と前記第M番目の数値列を演算して生成した第M番目の変換結果を前記画像記憶装置に記録し,前記画像記憶装置から順次出力する。
【0018】
数値列供給装置は,あらかじめ固定的な数値列を持つか初期化時に任意に数値列を生成し,それをコントローラまたは画像変換装置からの出力制御信号によって出力しても良いし,乱数生成装置を用いて,動的に数値列を生成してもよい。ある数値列を用いた画像変換による入力画像の視覚的変化を抑制するようにその他の数値列を生成することで,表示される画像は入力画像と異なるものであるが,視覚的にはより入力画像に近い画像を認識することができる,というような画像変換を行うことができる。
【0019】
複数の連続する表示画像の輝度は,視覚的には加算平均化が行われている。すなわち,ある時刻で輝度kの画像を表示し,次の時刻で輝度0の画像を表示すれば,本変化が短時間であるならば,視覚的には輝度k/2の画像が認識される。これは,中間混色とも呼ばれる視覚の特性である。よって,前記画像変換装置が,前記入力画像の座標(i,j)に対応する値をai,j(i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m}),前記数値列の座標(i,j)に対応する数値をbi,j,変換結果の座標(i,j)に対応する値をa’i,jと表記するとa’i,j = ai,j ± bi,jと演算する方式で複数の変換画像を生成することが,視覚特性にとっても好ましい方式であるといえる。
【0020】
たとえば,8ビット画像において,ある入力画像の画素値が8ビットの値で“128”であったとする。数値列供給装置の出力rから第1の変換画像の画素値を“128+r”と計算し,第2の変換画像の画素値は“128−r”とする。これら2つの出力画像を短時間の間に表示すれば,両画像の画素値の平均値である“128”が視覚上で認識されることになる。ところが,実際に表示される画像は本来の画素値とは異なるものになっており,画素値に依存して発生する電磁波等を傍受したとしても,オリジナルの画素値“128”を知ることができない。なお,ここで,数値列供給装置の出力rは,0以上127以下であると仮定した。これは,一般的な表示装置は整数値で表示画像の輝度を指定するように構成されており,rが0未満や128以上であれば,正しい画素値の指定ができないためである。もちろん,画像表示装置によっては,内部的に負の数を許容したり,外部から設定可能な範囲以上の値を設定できるように構成したりされているものもある。また,後処理などによって,計算結果の値を調整することもできる。よって,rの値の範囲は,すべての場合で上記に限定されるわけではない。
【0021】
前記の中間混色という視覚特性により,前記数値列供給装置が前記第1から第N-1の数値列を用いて,第kの数値列の座標(i,j)に対応する数値をRk,i,j(k∈{1,...,N}, i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m})と表記すると,第Nの数値列をRN,i,j = - (R1,i,j + ... + RN-1,i,j)と演算生成するように構成すれば,短時間のうちに表示されるN枚の変換画像において,加算された数値列の効果が視覚上で打ち消される。結果として,表示装置に表示される画像には前記数値列による変換が行われるため単独の画像は数値列の加算によってノイズが大きくなっているにも関わらず,入力画像に相当する画像が視覚される。また,第1から第N-1の数値列を生成するに当たり,乱数生成装置を用いれば,入力画像の特徴によらず,ノイズの大きい変換画像を得ることができる。
【0022】
第1から第Nの数値列の加算結果が0となるように構成することが最適であるが,人間の目が輝度のわずかな変化を十分に認識しないため,必ずしも0でなくともよい。画素の階調値を8ビットで表現する表示装置において,たとえば,下7ビット以下の変化は,視覚上の大きな変化をもたらさない。よって,前記数値列供給装置が前記第1から第Nの数値列を最大階調kの1/2未満の値を供給するようにしても良い。加算結果がどのような値の範囲となるかは,座標によらずに決定しても良いが,入力画像に依存して決定しても良い。たとえば,入力画像の画素値が大きい場合,すなわち輝度が大きい場合,わずかな画素値の変化は視覚上問題とならないため,上記の加算結果の許容範囲を大きくし,入力画像の画素値が小さい場合,すなわち輝度が小さい場合,上記の加算結果が小さくなるように構成する。すなわち,ある単調増加関数fを用いて,入力画像の画素値piを入力とし,許容される加算結果の上限値uを,u = f(pi)と計算する。ただし,関数fは必ずしも単調増加でなくともよい。というのは,入力画像の多くの領域で輝度が大きく,輝度の小さい領域が少ない場合は,入力画像の画素値の小さな部分でも,加算結果が大きくなっても視覚上で問題にならないためである。このように,関数fを入力画像の特徴に応じて使い分けることで,より大きな値の数値列を加算した上でもなお良好な視覚画像が得られる。カラー画像においては,緑のプレーンと青のプレーンでは,同じ画素値であっても視覚上の輝度が異なるため,プレーンごとに上記の依存性を決定してもよい。
【0023】
中間混色は輝度の加算平均であるから,前記画像変換装置は,前記入力画像の座標(i,j)に対応する値をai,j(i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m}),前記数値列の座標(i,j)に対応する数値をbi,j,変換結果の座標(i,j)に対応する値をa’i,jと表記するとa’i,j = ai,j × bi,jと演算し,前記数値列供給装置は前記第1から第N-1の数値列を用いて,第Nの数値列を,RN,j = N (R1,j + ... + RN-1,j)と演算生成することでも,変換画像を短時間の間に出力することで,入力画像相当の画像を視覚することができる。
【0024】
本発明の情報表示装置は,視覚上で入力画像相当のものを再現することを特徴としており,そのために,生成した変換画像を短時間の間に表示する。よって,秒間30枚以上の高速切り替え表示に対応するために,30Hz以上の速さで,変換画像を出力する。出力する速さの上限は特にないが,一般的なCRTの蛍光面の残光時間が約1 msであることから,1KHz以下としても十分であると考えられる。
【0025】
一般的な表示装置では,表示画像の画素の階調を各色8ビットで表現したデータを送信する。すなわち,前記数値列供給装置から供給される数値列の値によっては,8ビットで表現できない値が変換画像に含まれる。このような場合,前記入力画像の画素値と前記数値列とを加算した結果が画素の最大階調値kよりも大きい値の場合は結果をkとし,加算結果が0よりも小さい場合は結果を0とする。最大階調値kを超える画素数や最低階調値0を下回る画素の数が少なければ,視覚上影響の少ない変換画像といえる。一方で,第M番目の変換画像の座標(i,j)の値a’i,jが前記最大階調値kよりも大きい場合,p=a’i,j- k を計算して得たpを第M+1番目の変換画像に加え,前記a’i,jが0より小さい場合,p = - a’i,jを計算して得たpを第M+1番目の変換画像から減じるように構成すれば,オーバーフローやアンダーフローの影響を小さく補正することができるため,より入力画像に近い画像が視覚される。
【0026】
表色系変換装置を有し,前記表色系変換装置は第1の表色系で与えられた入力画像を第2の表色系に変換し,前記画像変換装置は前記第2の表色系に変換された画像を用いて前記変換画像生成し,前記表色系変換装置は前記第2の表色系から前記第1の表色系に前記変換画像を変換することで,より少ない処理量で十分な変換を行うことができる。たとえば,入力画像がRGB表色系の場合,RGBが3原色に対応するため,各色を独立に演算する必要がある。一方,XYZ表色系やYIQ表色系では,輝度情報と色情報が分離されているため,輝度情報のみに前記数値列を加えるといった処理を行うことができる。視覚は,色変化に対して鈍感なので,色情報のみに前記数値列を加えても良い。
【0027】
上記のオーバーフローやアンダーフローに対する補正技術を用いてもなお,前記数値列の値によっては補正が不十分となる場合がある。その場合,前記の表色系変換技術によって,画質を向上させることができる。前記第1の表色系はRGB表色系であり,前記第2の表色系はCMY表色系であるように構成し,入力画像の1画素を変換するごとに表色系の変換の有無を設定する。CMY表色系は,RGB表色系から,数1
【0028】
【数1】

【0029】
と変換される(ここで,RGBとCMYはそれぞれ0から255までの値を取るとした)。よって,入力画像がRGB表色系であるとして,正の数値を加算する際に,入力画像の画素値が128未満であればRGB表色系で,入力画像の画素値が128以上であればCMY表色系で計算するというようにすれば,オーバーフローの確率を小さくすることができ,負の値を加算する際(正の数値を減算する際)に,入力画像の画素値が128未満であればCMY表色系で,入力画像の画素値が128以上であればRGB表色系で計算するというようにすれば,アンダーフローの確率を小さくすることができ,より入力画像に近い画像が視覚される変換画像を得ることができる。
【0030】
入力画像が二値である場合,すなわち,黒と白の2色である場合,入力画像の画素値をグレー値に変換して適用しても良い。たとえば,8ビットの値を用いて白を255,黒を0と表現する表示系において,白を200,黒を55というように値を変換することで,より大きなノイズを加えることができ,撹乱効果を高めることができる。このような色変換は,上記の表色系変換装置で行っても良いし,入力画像を受け取った画像変換装置が,常に使用する値の範囲を,上記の例であれば55以上200以下となるように変換する処理をあわせて行っても良い。より撹乱効果を高めるために,この処理は,二値画像に限らず行うことができる。入力画像がグレー画像であり,0から255の範囲の値をとるときは,入力画像の画素値piから新たな画素値p’i = α×pi + βを計算する。αは0より大きく1未満の実数または有理数であり,βは0以上255以下の整数である(画素値が0以上255以下の場合)。カラー画像においても,RGB各プレーンを分解した上で,上記のグレー画像の場合と同様に変換し,結合するようにすることで,画素値の範囲を変換することができる。上記では線形変換を行ったが,新たな画素値をある範囲の値に収まるように変換するものであれば,変換式は上記に限られず,非線形変換でも良い。たとえば,画素値がある値uよりも大きい場合に,当該画素値をuに変換するなどである。
【0031】
逆に,ある範囲の値の画素値をより広い範囲の値をとるように変換しても良い。同一画素値の値が連続する場合,乱数生成装置の特性で,当該連続区間の平均値が前記の画素値になる。このことを防止するために,たとえば,入力画像の画素値piから新たな画素値p’i = pi + βと変換した上で,数値列との加算を行う。βは,たとえば0から255までの整数である。オーバーフローやアンダーフローに対応するため,p’iが0未満となればp’iを0に,p’iが255より大きくなればp’iを255に設定する。βは事前にある値に固定しても良いが,画素ごとに適応的に設定変更することで,より効果的に画素値を撹乱することができる。
【0032】
<表示画像を異なる基本画素単位にエンコードする方式>
本発明の方式は,n×mの数値配列であるデジタル表示画像データを受け取って記憶装置に記録するステップと,演算装置を駆動してn×mの数値配列である任意の数値列をN個(Nは1以上の整数)生成するステップと,sn×tmの数値配列(s,tは少なくとも一方が2以上の自然数)であるN+1個のエンコード画像を生成するステップと,前記生成したエンコード画像を記憶装置に記録するステップとからなり,前記エンコード画像を生成するステップは,s×t個の画素のうちs×t/2個の画素を0としs×t/2個の画素を1とした第1のテンプレートと第1のテンプレートの画素値を反転させた第2のテンプレートを用いて,第M番目(M∈{1,...,N})の前記数値列の座標(i,j)の値が0であれば第M番目のエンコード画像の座標(si,tj)を左上とし座標(s(i+1)-1,t(j+1)-1)を右下とする矩形に第1のテンプレートをコピーし,前記第M番目の数値列の座標(i,j)の値が1であれば第M番目のエンコード画像の座標(si,tj)を左上とし座標(s(i+1)-1,t(j+1)-1)を右下とする矩形に第2のテンプレートをコピーすることで生成し,前記デジタル表示画像データと第1番目から第N番目の数値列を排他的論理和演算することで生成した第N+1番目の数値列を用い前記エンコード画像生成ステップと同じ方法でエンコード画像を生成して前記エンコード画像を記憶装置に記録するステップであることを特徴とする。
【0033】
なお,上記いずれの方式においても,入力されるデジタル表示画像データは,表示装置に出力される情報は一般に2次元の画像を表現するものであるから,n×mの数値配列として表現されるとした。しかし,3次元の空間を,2次元に射影して表示する場合もある。このような場合,3次元画像のテクスチャに対して本発明を適用してもよい。
【0034】
また,上記では,短時間のうちに切替表示する方式について述べたが,生成した変換画像が互いに光学的に重ねあわされるように構成されていればよく,たとえば,表示装置を複数有し,各表示装置にそれぞれ変換画像を表示するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、従来よりも、漏洩電磁波と装置内部処理情報との相関を低減することが可能である。すなわち,漏洩電磁波からの情報傍受を困難にすることが可能である。
【0036】
<本発明の実施例の効果>
本発明の実施例の効果は,表示画像にノイズを含ませることによる漏洩電磁波の撹乱効果と,それによる同期情報取得の妨害効果である。前者は仮に同期情報が得られた場合でも,オリジナル画像に関する情報を得ることを困難にしており,後者は同期情報自身も得ることを困難にしている。漏洩電磁波の撹乱効果は,数値列供給装置から得た数値列を加えることにより,入力画像と表示画像との相関が小さくなるため,容易に理解される。以下では,同期情報の取得困難性について述べる。
【0037】
画像情報とともに送信される同期情報は,一般に画像情報と同等の電圧すなわち信号レベルで送信される。そのため,漏洩電磁波などに含まれる同期情報を,漏洩電磁波などに含まれる画像情報から分離することは困難である。すなわち,正確な同期情報Isが得られないため,傍受者がIsの探索を行わずに画像Iを再現することは困難である。
【0038】
画像Iは,モニタに対してストリーミング形式で伝送される。すなわち,二次元の画像情報であれば,左上から開始して右に向かって順番にデータが送信され,右端に到達したら次の行の左端から続くデータを送信する。この動作は,CRTモニタが画像を描画する際の走査動作と同様である。もちろん,ストリーミングで送る限り,画像の中でどの部分が先に送信されようとも,本発明の適用を妨げるものではない。また,画像Iを,ラインごとなどいくつかの複数のストリームに分割して,パラレルに送信しても良い。受信側でストリームが再現されれば良いので,特にデジタル伝送を行う場合においては,一部の情報が前記の順序の通りに伝送されるとは限らない。このような実装のバリエーションがあるとはいえ,画像Iがストリーミング形式で伝送される部分に着目すれば,本実施例技術を画像情報の一部のみの保護などに適用することは容易である。
【0039】
一般に,画像情報はコンピュータの起動時点などから絶え間なく伝送され続けるため,傍受者は,ある画像Iの送信開始時刻を知ることができない。しかし,一般の画像表示を想定すれば,毎秒60フレームのペースで画像が伝送されていると予想して,さらに同一の内容の画像が複数フレームの間にわたって連続で伝送されると考えられるため,テンプレートマッチングと呼ばれるような繰り返しパターンの位置を発見するための手法を用いて,同一情報が伝送されるタイミングを見出し,画像Iが伝送されている時刻を知ることが可能である。前記の方法を用いて画像Iが繰り返される周期を見ることで,同期情報Isを知ることが可能である。
【0040】
ところが,本発明の実施例の情報表示装置は,伝送画像にノイズを混入させているため,傍受データを見てもノイズと判別することが困難である。すなわち,パターンマッチングによって繰り返しパターンを見出すことが困難である。また,同一入力画像が連続する場合であっても,時刻が異なればパターン生成器の出力パターンが異なるように構成することで,伝送される画像に含まれるのは異なるノイズパターンとなり,傍受者にとってパターンマッチングを適用する際のよりどころとなる繰り返しパターンが存在しないようにすることができる。よって,本発明の実施例の情報表示装置を用いれば,傍受者が同期情報を見出すことは困難である。
【0041】
結果として,画像Iは正規の通信者間のみで授受される。また,同期情報Isは,製造ばらつきなどにより装置ごとに異なるため,万一ある装置の同期情報が漏洩したとしても,その他の装置の同期情報は新たに再探索する必要がある。また,同期情報を生成するクロック生成装置は,一般に温度変化による揺らぎが発生するため,同一の装置であっても,時刻が異なれば,同一の同期情報を用いて傍受することができない。さらには,本発明の実施例の情報表示装置が乱数生成装置を備え,乱数生成装置を用いて同期情報が情報の伝達ごとや,ある程度の期間ごとに異なるように構成すれば,ある時刻でひとつの情報が仮に漏洩した場合でも,その他の情報の安全は保たれる。
【0042】
以上により,第三者による外部からの情報傍受に対して,安全に情報を送受信することができる情報伝達装置および情報伝達手段を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】コンピュータの構成図。
【図2】コンピュータの構成図。
【図3】ATMの構成図。
【図4】電磁波解析装置の構成。
【図5】画像生成および表示装置の構成。
【図6】入力画像,変換画像,表示画像,視覚画像の関係。
【図7】画像表示装置に変換画像を表示する手順。
【図8】情報表示装置の構成。
【図9】表色系変換装置を備える本発明の実施例の情報表示装置の構成。
【図10】入力画像と数値列に対する出力画像の対応表。
【図11】出力画像と視覚上の色の関係。
【図12】情報表示装置における2つの画像表示装置の位置関係。
【図13】2つの画像表示装置を備える情報表示装置。
【図14】入力画像と数値列に対する出力画像の対応表。
【図15】複数の画像表示装置を備える情報表示装置。
【図16】画像表示装置部と画像生成装置部からなる情報表示装置。
【図17】グラフィックボードを有するコンピュータの構成。
【図18】GPU部の構成。
【図19】数値列供給装置の構成。
【図20】クロック変換装置の構成。
【図21】表示制御装置の構成。
【図22】画像変換装置の構成。
【図23】画像出力装置の構成。
【図24】クロック生成装置を備える表示画像変換装置の構成。
【図25】クロック変換装置を備える表示画像変換装置の構成。
【図26】信号分配装置を備える表示画像変換装置の構成。
【図27】クロック情報もあわせて分配する表示画像変換装置の構成。
【図28】暗号化装置を有する表示画像変換装置の構成。
【図29】復号化装置・暗号化装置を備える表示画像変換装置の構成。
【図30】本発明の実施例のATM。
【図31】本発明の実施例のコンピュータ。
【図32】本発明の実施例のディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本節では,最初に本発明の実施例の適用対象となるコンピュータやATMの基本的な構成について述べる。次に,数値列を表示画像の各画素値に加える方式の実施例について述べ,表示画像を異なる基本画素単位にエンコードする方式の実施例について述べる。最後に,本発明の構成上のバリエーションについて述べる。
【0045】
<本発明の実施例の適用対象の基本的な説明>
本発明の実施例は,漏洩電磁波傍受による情報漏洩を防止するための情報表示装置を提供するものであり,コンピュータ間やコンピュータとモニタ間での画像情報のやり取りを想定している。図1に示すように,一般的なコンピュータは,中央演算装置であるCPU 101 ,主記憶装置であるRAM 102 ,二次記憶装置であるHDD 106 (フラッシュメモリ,CDROM,DVD,MO,FDD,USBメモリであることもある),画像処理装置であるGPU 103 ,画像出力端子,ネットワーク端子に代表されるI/O端子 105 を備える。前記の装置は,内部バスと呼ばれる配線 107 を通じて接続されており,ネットワークなどへの接続はI/O端子を通じて行われる。I/O端子には,イーサネット(登録商標)接続端子であるR45端子や,モデムへの接続端子であるR11端子をはじめシリアル通信用のRS232C端子やプリンタ接続に用いられるパラレル端子,キーボードやマウスとの接続に用いられるPS/2端子,各種機器へのユニバーサルな接続端子であるUSB端子,SCSI端子,音声入出力のためのマイクやイヤホンの接続端子,コンピュータに拡張機能を提供するボード類を増設するためのPCI接続端子,外部モニタ 104 への接続を行うVGA端子やDVI端子などが含まれる。GPUは主として三次元画像処理の高速化や複数画面のバッファリングなどに用いられるもので,本発明の実施例の画像処理はCPUで行うこともある。GPU自体が計算能力を持つため,GPUで画像処理を行っても良い。また,GPUとCPUで分担して画像処理を行っても良い。そのほかにPCI端子をはじめとする拡張機能ボード用の端子に接続した拡張機能ボードを用いて,画像処理を行っても良い。また,拡張機能ボードは,USB端子などで接続する形態のものを用い,コンピュータの筐体の外側にあっても良い。図2に示すように,高速な画像処理を行う装置においては,GPUから直接的にモニタ接続用のI/O端子 108 が設置されている場合もある。I/O端子 108 は,映像を出力するだけの出力専用端子であることもあり,また,タッチパネルなどの入力機能を持つモニタを接続することを想定した入出力対応端子であることもある。GPUが備えるI/O端子 108 は,映像の出力専用として,タッチパネルなどからの入力は,GPUを介さないI/O端子 105 に接続する形態である場合もある。
【0046】
コンピュータの本体から接続された表示装置に,処理した画像情報を伝送する際は,VGAやDVIの規格に従って各画像情報の分解と結合が行われる。VGAは,信号を3原色に対応するRGBに分解してアナログ信号として伝送する。同時に,表示画面の解像度とフレームレートに応じた,垂直同期信号と水平同期信号が伝送される。モニタ側では,垂直同期信号と水平同期信号からドットクロック(ピクセルクロックとも呼ばれる)を生成し,RGB信号に応じて各座標に適切な画素情報を書き込む。CRTのように,このRGB信号が直接,画素描画用のビームのコントロールに使用される場合も,LCDのように,RGB信号をAD変換し内部バッファに一度蓄積される場合もある。DVIは,RGB信号をデジタルに分解して伝送する。また,表示画面の解像度とフレームレートに応じたドットクロックが伝送される。デジタルデータとして伝送されるため,暗号化を行うことができる。暗号化を用いれば,伝送される真のデータと実際に信号ケーブルを伝送されるデータには相関がないため,信号ケーブルを伝送される情報から漏洩した情報は,真のデータを推測するのに役に立たない。
【0047】
DVIでは,RGBと異なり,デジタルデータを複数の信号線に分配して並列に同時送信する。よって,発生電磁波の形態はVGAと異なる。しかし,これは信号ケーブル上でのことであり,表示画像をバッファリングしているGPUないしRAM上のデータはVGAと同様であり,また,ひとたび表示装置に伝送が完了すれば,暗号化が解除され,元のデータが復元されるため,表示装置のバッファに蓄積されるデータはVGAと同様である。USB端子に接続する形態の表示装置もあり,この場合は必ずしもRGB信号に分解されて伝送されない。また,テレビモニタなどに表示する際には,コンポジット端子を用いることもある。その場合の画像データは,RGBではなく,輝度信号(Y)と色信号(C)で表され,同期信号をあわせたすべてが複合された形で伝送される。そのほかにも,セパレート映像端子(S端子)のように,YとCを分離して伝送する場合もある。また,D端子のように,輝度信号(Y)と青色差信号(Cb/Pb)と赤色差信号(Cr/Pr)に分離する場合もある。HDMI端子のようにデジタル化されており,データ伝送時に暗号化をサポートするHDCPといった暗号化データ伝送形式もある。
【0048】
CRTモニタでは,電子ビームをドットクロックに応じて左上から右方向へと照射する。ドットクロックとは,横方向への1画素の書き込みタイミングを決定するクロックである。水平同期信号に従って電子ビームが1画素ずつ右方向へ移動し,横方向に1ライン分を走査した後に再度画面左に戻る。垂直同期信号に従って,電子ビームは1ラインずつ下方向へ移動し,最下部まで走査した後に一番上のラインへと戻る。すなわち,水平同期信号と垂直同期信号によって,電子ビームは画面全体を左上から右下まで走査し,再度左上へと戻る。LCDモニタでは,各xy座標に対応するトランジスタを順次駆動して,画素値を書き込んでいく。LCDモニタの場合は,デジタル処理が可能であるから,必ずしもCRTのような順番に従う必要はなく,1ラインずつ書き換える方法もあるし,画面全体を一度に書き換える方法もある。CRTモニタは電子ビームを蛍光面に照射することで短時間発光させる方式であり,残光のあるうちに再度電子ビームを照射する必要がある。LCDモニタは,画素値を記憶しておくことができるので,各画素の電荷を一定のタイミングで再充填する必要がある場合もあるが,一部の変化のあった座標だけを書き換えるといった方法を取ることができる。このことは,画面の変化に応じてトランジスタの動きが変化するため,LCDの方がCRTよりも,画像データと内部処理との対応が複雑になっていることを意味している。また,CRTモニタは,表示面を一面しか持てないが,LCDモニタは液晶層が透明であるため,複数の液晶層を設けることで,複数の表示面を持つことができる。
【0049】
図3は、本発明の実施形態のひとつである,ATMの構成図である。制御部 306 は表示部 302 、操作部 303 、カードリーダ部 304 、入出金部 305 、記憶部 307 、通信部 308 、センサ部 309 、音声発生部 310 を制御する。制御部 306 は、ATM全体 301 の制御だけでなくカード認識、操作者の接近検知および紙幣取扱いなどの処理も行う。表示部 302 は、サービス内容の案内や処理手順などが表示されるものであり、CRTや液晶ディスプレイが例として挙げられる。GPUなどの表示制御装置も表示部 302 に含む。操作部 303 は、メニューの選択や暗証番号入力など、利用者からの情報を入力するものであり、キーボードやタッチパネルが例として挙げられる。カードリーダ部 304 は、磁気カードやICカードに格納された情報を読み出すためのものである。入出金部 305 は、預け入れのための紙幣を投入や、引き出しのための紙幣の排出など、取引のための紙幣の入出金を行うためのものである。記憶部 307 は、ATMでの処理のための情報を記憶しておくためのものであり、ハードディスクやメモリが例として挙げられる。制御部 306 、通信部 308 、センサ部 309 などを動作させるためのプログラムは記憶部 307 に記憶される。通信部 308 は、回線を通じてATM 301 と外部のコンピュータやデータベースとの通信を行うものである。センサ部 309 は、操作者の接近などを検知する人感センサが例として挙げられる。人感センサは、赤外線などの発生状況や反射を観察することで、センサから近接した部分に人間すなわち操作者が居るかどうかを検知することを主目的とするセンサである。操作者がATMの操作を行うことができる距離まで近づいた時に、取引サービスを開始する。音声発生部 310 は、操作者をはじめとする装置の周辺に滞在する人物に対する音声案内を行うための、スピーカを備える。よく知られた音声発生部 310 の使用方法は、操作者に次の操作の指示を与えるものである。音声案内は、表示部 302 と連動することで、より案内の効果を高めることができる。たとえば、前記の音声案内とともに、表示部 302 にキャッシュカードを挿入口に入れる映像アニメーションを表示するなどすると効果的である。通信部 308 は、ATMを設置している銀行やATMの管理会社とデータのやり取りを行うことができるように、LANや電話回線に接続されている。ここで、ATMの管理会社とは、本願の課題に挙げたような、ATMの監視を行っている会社であり、ネットワーク接続されたカメラなどを用いて、複数のATMを常時監視している。ATMのサービスを停止するべき事態が発生した場合には、管理会社や銀行はネットワークを経由して通信部 308 からATM 301の制御部 306 にサービス停止の信号を送ることができる。ATM 301 には 302 から 311 以外にも通帳プリンタなどの他の装置や処理が存在する。一般的には,図1におけるCPU 101 と内部バス 107 が図3の制御部 306 に対応している。制御部 306 が独自のRAMやHDDを備える場合もある。
以下に,本発明の実施形態の詳細を述べる。
【0050】
<数値列を表示画像の各画素値に加える方式の実施例>
<第1の実施例>
本発明のひとつの実施形態を示す。本実施形態では,画像変換装置が,表示画像生成装置が生成した画像を入力画像として受け取り,複数の画像群を生成して画像記憶装置に保存する,画像出力装置は画像記憶装置から表示制御装置に画像を送信し,表示制御装置は受信した画像を画像表示装置に表示する。画像表示装置は,たとえばバックライトで後方から照らされる液晶モニタであり,画像表示装置から放射される光が,ユーザに視覚的に認識される。
【0051】
ひとつの入力画像から2つの画像を生成して表示する場合の情報表示装置について述べる。取り扱う画像は,8ビットのグレー画像であるとする。表示画像生成装置は,すべての時刻で新しい画像を生成する必要はなく,以前の時刻の画像を別途備える記憶装置に記憶しておき,それを再送信しても良い。また,表示画像生成装置と画像変換装置は,画像入力端子で接続されるか,必ずしも端子を備える必要はなく,また,これらの装置が互いに異なるパッケージに実装される必要はないため,画像入力端子の代わりに,バス配線のみとしても良い。
【0052】
図5を用いて説明する。表示画像生成装置 501 は,ユーザに対して表示する画像I 502を生成し,クロック生成装置 503 で生成したクロックとともに,画像変換装置 504 に送信する。クロック生成装置が生成するクロックは,一般的にモニタで表示を行う際に使用される垂直同期信号や水平同期信号,ドットクロックなどであり,表示制御装置や画像表示装置がこれらのうち一部のみを必要とする場合は,必ずしもすべてを生成する必要は無く,必要なクロックのみを生成したり,送信したりする。送信された画像Iとクロック情報のうち,画像Iは画像変換装置 504 に,クロック情報はクロック変換装置 509 に伝達される。クロック変換装置 509 は,受け取ったクロック情報を用いて,実際に表示制御装置や画像表示装置で使用するクロックを生成する。画像変換装置は表示画像生成装置から画像Iを受け取ると,数値列供給装置 505から数値列を受け取り,2つの画像P0とP1を生成し,画像記憶装置 506 に記録する。画像変換には,数値列供給装置からえた値の列s0を用いる。ここで,s0は,たとえば8ビットの値の列であり,サイズは入力画像Iの解像度によって決定される。入力画像IがXGAのサイズを持つ画像であれば,1024×768=307200個の値を用意する。s0は,画像Iを受け取ってから生成しても良いが,事前に十分な数の値を生成して記憶装置に記録しておいても良い。処理速度を高速化するために複数の数値列供給装置を備えてもよい。数値列供給装置が供給する値は,0より大きく1より小さい値をとり,その値を入力画像Iの対応する座標の画素値と演算することによって,変換画像を得る。ここで演算とは,入力として,座標(x,y)の入力画像画素値I(x,y)と前記数値列の値s0(x,y)を受け取る関数f(I(x,y),s0(x,y))の計算を行うことで第1の画素値を得て,同じ値を入力とする関数g(I(x,y),s0(x,y))の計算を行うことで第2の画素値を得ることを意味する。関数fと関数gの関係は,画像表示装置における表示方法や表示速度や色特性に依存して決定される。たとえば,画像表示装置において2画像P0, P1の短時間切り替え表示を行う場合であり,画像表示装置の表示更新速度が画素値に依存せず一定であり,色特性が画素値0から255まで線形であるならば,関数g(I(x,y),s0(x,y))=2×I(x,y)−f(I(x,y),s0(x,y))とすることで,関数f,gのセットを得ることができる。関数fの一例を挙げると,f(I(x,y),s0(x,y))=I(x,y)×s0(x,y)である。このとき,対応する関数gは,g(I(x,y),s0(x,y))=I(x,y)×(2−s0(x,y))となる。数値列供給装置が,s0としてある周波数kの正弦波を生成する場合,すなわち,s0(x,y)=(sin(2πk(x+y*width))+1)/2というように生成する場合,第1もしくは第2の画像における水平方向の画素値の変化周波数は,入力画像Iの画素値の変化周波数を変調したものになり,傍受者は入力画像Iに関する情報を得ることが難しくなる。前記においてwidthとは,画像Iの横幅のピクセル数を意味している。
【0053】
入力画像Iとノイズパターンs0から生成された画像は,画像記憶装置 506 に格納される。画像出力装置 507 は,画像記憶装置から画像表示装置に表示するべき画像を読出し,表示制御装置 508に送信する。画像出力装置が画像記憶装置から画像を選択する際の基準は,画像記憶装置のアドレスの小さいほうに記録されているものから順番に取り出す方法や,画像出力装置が乱数生成装置を有するか外部から乱数の入力を受けることで画像記憶装置に格納された画像をランダムに取り出す方法などがある。外部から予測できない方法で画像を選択すれば,傍受者による解析を効果的に妨害することができる。表示制御装置 508は,画像表示装置 510を制御する。図5における画像表示装置 510としては,CRTやLCDなどをはじめプラズマモニタや有機ELモニタや電子ペーパーなど一般的なモニタを用いることができる。図5において,表示制御装置は,クロック変換装置509を介して画像表示装置に画像を表示する際のクロックを得ている。これは,クロック生成装置503からのクロックを直接用いるのではなく,さらにクロックを変化させることによって,画像入力レートに応じた画像出力レートを設定する。つまり,入力画像を受け取るペース以上の速さで出力する。
【0054】
図6に,入力画像と変換画像,表示画像,視覚画像の関係を示す。入力画像 601に対して変換画像1 (602),変換画像2 (603)を生成する。入力画像 601を数値列供給装置から得た数値列を用いて変換するため,変換画像1,変換画像2は各単独では入力画像と比べて入力画像に含まれる文字列の視認性が悪くなる。表示装置ではこれら変換画像1および変換画像2を視覚上で重ね合わせるように表示する。たとえば,ひとつの表示装置上で短時間のうちに切り替え表示することによって,重ね合わせる方法を用いる。図7にその様子を示す。ある時刻t0で画像表示装置A 701 に対して第1の変換画像P0を表示した後,次の時刻t1では第2の変換画像P1を表示し,次の時刻t2では第1の変換画像P0を表示し,次の時刻t3では第2の変換画像P1を表示する。このように表示すると,視覚される輝度値が複数の表示画像の平均値に等しい中間混色が実現される。先の関数f, gの作成方法は,中間混色を想定したものであり,生成した2つの変換画像を短時間切り替え表示することで,入力画像I相当の画像 606が視覚される。しかしながら,画像表示装置上の表示画像1 (604)や表示画像2 (605)は,入力画像に対して視認性の劣化した画像であり,漏洩電磁波もこの表示される画像に従って発生し,結果として,視覚される画像と漏洩電磁波を傍受することによって得る画像とが異なることになる。
【0055】
<第2の実施例>
図8に,本発明の情報表示装置のひとつの実施例を示す。本実施例の情報表示装置801は,表示画像生成装置802から,ユーザに対して表示する画像Iとクロック情報を受け取る。画像変換装置804は表示画像生成装置から画像Iを受け取ると,2つの変換画像P0とP1を生成する。変換画像の生成には,数値列供給装置803から得た数値列r0を用いる。ここでr0は,たとえば8ビットの乱数値の集合であり,サイズは入力画像Iの解像度によって決定される。入力画像IがXGAのサイズを持つ画像であれば,1024×768=307200個の数値を用意する。これら数値は,画像Iを受け取ってから生成しても良いが,事前に十分な数の数値を生成して記憶装置に記録しておいても良い。処理速度を高速化するために,複数の数値列供給装置を備えてもよい。複数の数値列供給装置を備え,その一部は真正乱数生成装置から値を受け取り,一部は擬似乱数生成装置からの値を受け取るような構成にしてもよい。数値は,0から1までの実数のいずれかを取るとする。画像変換装置は,入力画像Iの左上に対応する座標(0,0)から,右方向に向かって順番に画素値を読み出していく。画像の右端に到達すると,次の行に移り,再度左から右方向に画素値を読み出していく。入力画像Iにおける座標(x,y)の画素値をI(x,y)と表記する。すなわち,画像Iの左上の画素値はI(0,0)である。同様に,数値列r0も画像Iの各座標に対応する形に並べ替えを行うかもしくは読み替えて,画像Iの座標(x,y)の画素値に対して用いる数値をr0(x,y)と表記する。画像P0の座標(x,y)の画素値も同様にP0(x,y)と表記する。画像変換装置は,P0(x,y)を生成するために,I(x,y)を読み取る。画素値は8ビットであるとすれば,I(x,y)は0から255までの値のいずれかとなる。そこで,Δ(x,y)=|255−I(x,y)|を計算する。なお,値aの絶対値を計算することを|a|と表記した。次に,δ(x,y)=min(Δ(x,y), I(x,y))としてδ(x,y)を計算する。このようにして得られるδは,本実施例の画像変換装置がI(x,y)に対して加減算する際に用いるノイズの振幅を表している。すなわち,第1の変換画像をP0(x,y)=I(x,y)+δ(x,y)・r0(x,y)と計算する。次に,第2の変換画像をP1(x,y)=I(x,y)−δ(x,y)・r0(x,y)と計算する。以下同様にすべての座標(x,y)について処理することで,入力画像Iと数値列r0から,2つの変換画像P0とP1が得られる。P0とP1は,いったん画像記憶装置805に記録される。
【0056】
次に画像出力装置806は,画像記憶装置に記録されたP0とP1を表示制御装置808に送る。この際に,画像出力装置は,画像記憶装置に保存されているP0とP1をこの順序で出力する。もしくは,画像出力装置が乱数生成装置から乱数を受け取り,P0とP1のどちらを表示制御装置に送信するかをランダムに決定してもよい。そのような選択方法は,P0とP1を格納している画像記憶装置の先頭アドレスをテーブルとして保存しておき,前記の乱数を用いてテーブル先頭からのオフセットを計算するという方法で実装することができる。P0とP1をこの順序で出力する方法であれば,P0を生成した後にP1の生成完了を待たずに,画像を出力することができるという利点がある。ランダムに選択して出力する方法であれば,一度生成して画像記憶装置に記録した変換画像を再利用表示する際に,次に表示される画像を第三者が予測することを困難にすることができるため,漏洩電磁波を解析することを困難にすることができる効果が得られる。表示制御装置 808は,画像出力装置806から受け取ったクロック変換装置 807が出力する変換クロックを用いて,画像表示装置 809を制御して画像出力装置 806から受け取った画像を表示する。表示画像生成装置802は,表示画像とともに水平同期信号や垂直同期信号,ドットクロックなどのクロック情報をあわせて情報表示装置801に送信する。情報表示装置801は,受信した表示画像情報とクロック情報を分離して,表示画像情報を画像変換装置804に,クロック情報をクロック変換装置807に入力する。VGA規格のケーブルであれば,水平同期信号と垂直同期信号とR画像信号とG画像信号とB画像信号が独立の配線で伝送されているため,クロック(水平同期信号や垂直同期信号)と画像情報(R画像信号,G画像信号,B画像信号)を分離することは容易である。DVIケーブルでも,クロック情報と画像情報は異なる配線で伝送されているため,分離は容易である。クロック変換装置807は,Aを30以上の任意の整数として,入力されたクロックF [Hz]から,A/F倍の速さのクロックをPLL回路等により生成して出力する。Aは,毎秒表示する変換画像の数に対応しており,入替え表示によって表示画像を視覚上で重ね合わせ表示するためには,30以上であることが必要である。Aの最大値については,特別な制限は無いものの,CRTの蛍光面での残光時間が約1 msであることから,1000以下として十分であると考えられる。たとえば,生成する変換画像が2つである場合,A=60とすれば良好な結果が得られる。一般的な表示画像生成装置は,60Hz以下の速さで画像を送信するため,問題なくすべての入力画像を変換して出力することができる。
【0057】
変換画像P0やP1は,画像表示装置 809において後方から照射されるバックライト810によって,ユーザに対して表示される。P0とP1を短時間のうちに入替え表示すれば,ユーザには重ね合わせたものとして表示され,P0とP1の加算平均値の画素値が視覚される。
【0058】
なお,ここではδ(x,y)=min(Δ(x,y), I(x,y))と計算したが,ある値αを決めて,δ(x,y)=min(α,Δ(x,y), I(x,y))としてもよい。αをI(x,y)の平均的な値よりも小さい値に設定することで,I(x,y)に依存しすぎないようにすることができる。このことは,出力される画像に含まれる入力画像に関する情報が,さらに削減されることを意味している。すなわち,漏洩電磁波からの情報傍受を防止する観点から,好ましい特性が得られることを意味している。
【0059】
さらに,I(x,y)が0や255に近い値をとらないように前処理を行えば,ノイズによる撹乱効果を高めることができる。単純な方法としては,I(x,y)の値をa×I(x,y) + bというように変換する方法を用いることができる。ここで,aは0より大きく1未満の実数であり,bは自然数である。a=0.8, b=20とすれば,画素値が20から224をとる画像に変換することができる。画素値の計算結果が整数でなければ,最も近い整数に変換する。ディザ法を用いて,擬似的に階調を増やせば,階調数の低下による画質の劣化を抑制することができる。上記では乱数値を8ビットとしたが,より滑らかな階調を表現するために,ビット数を多くしても良い。また,乱数は0から1までの実数であるとしたが,有理数であっても良いし,δ(x,y)の計算を行った上で,0からδ(x,y)までの整数値を生成するようにしても良い。リアルタイムに生成しなくとも,事前に各範囲の整数乱数値を多数,テーブル形式で記憶しておき,必要な乱数をテーブルから引き出してきてもよい。
【0060】
<第3の実施例>
次に,画像変換装置が,表示画像生成装置から受け取ったひとつの入力画像Iから,3つの変換画像P0, P1, P2を生成する場合について述べる。数値列供給装置は,乱数生成装置から乱数を得るなどして内部に持つ数値列を,画像変換装置に供給する。画像変換装置は,数値列r0, r1を受け取る。r0, r1のサイズは,入力画像Iに依存する。入力画像IがSVGAのサイズを持つ場合は,800×600=480000個の数値をr0, r1それぞれが持つようにする。r0,r1の数値は,0から1までの実数とする。ここで,Δ(x,y)=|255−I(x,y)|とする。また,δ(x,y)=min(Δ(x,y), I(x,y))とする。P0(x,y)=I(x,y)+δ(x,y)・r0(x,y)とする。次に,σ(x,y)=min(Δ(x,y),I(x,y))−δ(x,y)・r0(x,y)とする。そして,P1(x,y)=I(x,y)+σ(x,y)・r1(x,y)とする。最後に,P2(x,y)=I(x,y)−(δ(x,y)・r0(x,y)+σ(x,y)・r1(x,y))とする。このように3つの変換画像P0, P1, P2を生成し,結果を画像記憶装置に格納する。本発明の実施例の情報表示装置は,画像出力装置を用いて,3つの変換画像を順次,表示制御装置に送信する。P0,P1,P2の送信順序は,画像出力装置が,乱数生成装置から得た乱数を用いて行ってもよいし,前記の画像記憶装置のメモリアドレスの小さいものから順番に送信しても良い。 同様にして,4つ以上の変換画像を生成する場合についても実施可能である。
【0061】
画像記憶装置の画像は,1回表示されるごとに新しく生成しなおされることが望ましいが,処理速度や消費電力の制限がある場合,ある程度の期間にわたり,同一の変換画像群を連続して使用してもよい。図8では,液晶モニタを想定して,画像表示装置 809の背面にバックライト 810を有する実施例を示した。しかし,画像表示装置はCRTや有機ELなどの自発光型の表示装置でもよく,その場合はバックライトを必ずしも備える必要は無い。
【0062】
<第4の実施例>
入出力画像がカラー画像である場合の実施例を示す。入力画像Iから2つの変換画像P0, P1を生成する場合について述べる。
【0063】
画像変換装置は,入力されたカラー画像をRGBの3プレーンに分解する。次に,数値列供給装置から,各プレーンで使用する数値列r0, r1, r2を受け取る。r0, r1, r2のサイズは,入力画像Iの解像度に依存して決定される。入力画像Iが1024×768ドットで構成されるXGAサイズであれば,r0, r1, r2それぞれ786432個の数値を持つようにする。これら値は,たとえば8ビットの値で,0から1までの実数値のいずれかであるとする。画像IのRプレーンの座標(x,y)の画素値をIR(x,y)と表記する。G, Bプレーンについても同様にIG(x,y), IB(x,y)と表記する。画像P0についてもR, G, Bプレーンの座標(x,y)の画素値をP0R(x,y), P0G(x,y), P0B(x,y)とし,画像P1についてもR, G, Bプレーンの座標(x,y)の画素値をP1R(x,y), P1G(x,y), P1B(x,y)と表記する。本実施例の情報表示装置では,処理をプレーンごと独立に行うため,以下の処理は順次行っても並列に行っても良い。
【0064】
画像変換装置は,P0R(x,y)を生成するために,IR(x,y)を読み取る。各プレーンの画素値は8ビットであるとする。そこで,ΔR(x,y)=|255−IR(x,y)|を計算する(255は符号無し8ビット値の最大値)。次に,δR(x,y)=min(ΔR(x,y), IR(x,y))とする。δR(x,y)は,IR(x,y)に対して加減算可能なノイズの振幅を表している。すなわち,r0(x,y)を用いて,P0R(x,y)=IR(x,y)+δR(x,y)・r0(x,y)とする。各(x,y)について同様に計算すれば,P0Rが得られる。GプレーンやBプレーンについても,同じように処理を行う。すなわち,Gプレーンについては,ΔG(x,y)=|255−IG(x,y)|を計算し,δG(x,y)=min(ΔG(x,y), IG(x,y))とし,P0G(x,y)=IG(x,y)+δG(x,y)・r1(x,y)とする。Bプレーンについては,ΔB(x,y)=|255−IB(x,y)|を計算し,δB(x,y)=min(ΔB(x,y), IB(x,y))とし,P0B(x,y)=IB(x,y)+δB(x,y)・r2(x,y)とする。このようにして,画像P0のRGBプレーンが計算される。画像P1についても同様に,RGBプレーンを独立に生成する。P1R(x,y)=IR(x,y)−δR(x,y)・r0(x,y),P1G(x,y)=IG(x,y)+δG(x,y)・r1(x,y),P1B(x,y)=IB(x,y)−δB(x,y)・r2(x,y)と計算することで,画像P1が得られる。
【0065】
各プレーンの画素値が0や255に近い値をとらないように前処理を行うことや,加減算するノイズの振幅の大きさを制限することで,入力画像Iに関する情報を,より効率よく隠蔽することができることは,グレー画像の場合と同様である。また,ディザ法を用いて,擬似的に階調を増やすことで,画質の劣化を抑制することができる。r0,r1,r2の値を0から1までの実数としたが,有理数に限定しても良いし,δR(x,y)やδG(x,y)やδB(x,y)が判明した後に,0からδR(x,y)や0からδG(x,y)や0からδB(x,y)までの範囲の整数値を生成するようにしても良い。r0,r1,r2それぞれ異なる方法で生成しても良い。
【0066】
<第5の実施例>
数値列供給装置が供給する数値が,入力画像の階調数をkとした場合に,−kより大きくk以下の値をとる場合の実施例について述べる。入出力画像はグレー画像であるとする。本実施例の画像変換装置は,入力画像Iと2つの数値列から,2つの変換画像P0,P1を生成する。入力画像はm×n(m,nは自然数)の配列とし,数値列供給装置が供給する数値列もm×nの配列であるとする。第1の数値列の座標(x,y)の値をr0(x,y)と表記し,第2の数値列の座標(x,y)の値をr1(x,y)と表記する。また,入力画像Iの座標(x,y)の値をI(x,y)と表記する。2つの変換画像P0,P1についても同様に座標(x,y)の値をP0(x,y), P1(x,y)と表記する。
【0067】
数値列供給装置は,すべての座標(x,y)について,乱数生成装置を用いて kより大きくk以下の値をr0(x,y)に設定する。また,すべての座標(x,y)について,r1(x,y) = r0(x,y)と計算して生成する。 ここで,r1(x,y)はr0(x,y)の符号を反転したものなので,必ずしもすべての値を記憶装置上に持つ必要は無く,r1(x,y)をr0(x,y)から出力時に生成しても処理速度を損なうことはほとんどない。画像変換装置は,第1の変換画像の値を得るためにまず,p = I(x,y) + r0(x,y)を計算する。もしpがkよりも大きい場合は,P0(x,y) = kとし,p’ = p kを計算する。もしpが0よりも小さい場合は,P0(x,y) = 0 とし,p’ = p とする。次に第2の変換画像の値を得るために,q = I(x,y) + r1(x,y) + p’ を計算する。もしqがkよりも大きい場合は,P1(x,y) = kとする。もしqが0よりも小さい場合は,P1(x,y) = 0とする。もしくは,P0(x,y)とP1(x,y)の計算順序を逆にする。すなわち,q = I(x,y) + r1(x,y)を計算する。もしqがkよりも大きい場合は,P1(x,y) = kとし,q’ = q kを計算する。もしqが0よりも小さい場合は,P1(x,y) = 0 とし,q’ = q とする。次に,p = I(x,y) + r0(x,y) + q’ を計算する。もしpがkよりも大きい場合は,P0(x,y) = kとする。もしpが0よりも小さい場合は,P0(x,y) = 0とする。さらには,両者をランダムに切り替えるように構成する。本実施例の方式は,入力画像Iに加算する数値が入力画像Iの画素値の大きさに依存しないため,変換画像の撹乱効果を高めることができる。
【0068】
<第6の実施例>
第5の実施例では,グレー画像の場合について示したが,カラー画像に対しても同様に実施することができる。入力画像がRGB表色系である場合,画像変換装置は,RGB各プレーンに分解して処理を行う。各プレーンの計算は上記グレー画像の場合と同様である。入力画像Iから2つの変換画像P0, P1を生成する場合について述べる。
【0069】
本実施例の画像変換装置は,入力されたカラー画像をRGBの3プレーンに分解する。次に,数値列供給装置から,各プレーンで使用する数値列rr0, rr1, rg0, rg1, rb0, rb1を受け取る。r0, r1, r2のサイズは,入力画像Iの解像度に依存して決定される。入力画像Iが1024×768ドットで構成されるXGAサイズであれば,rr0, rr1, rg0, rg1, rb0, rb1それぞれ786432個の数値を持つようにする。これら値は,たとえば8ビットの値で,入力画像の階調数をkとした場合に,−kより大きくk以下の値の整数値のいずれかとなるように生成する。画像IのRプレーンの座標(x,y)の画素値をIR(x,y)と表記する。G, Bプレーンについても同様にIG(x,y), IB(x,y)と表記する。画像P0についてもR, G, Bプレーンの座標(x,y)の画素値をP0R(x,y), P0G(x,y), P0B(x,y)とし,画像P1についてもR, G, Bプレーンの座標(x,y)の画素値をP1R(x,y), P1G(x,y), P1B(x,y)と表記する。本実施例の情報表示装置では,処理をプレーンごと独立に行うため,以下の処理は順次行っても並列に行っても良い。
【0070】
数値列供給装置は,すべての座標(x,y)について,乱数生成装置を用いて kより大きくk以下の値をrr0(x,y), rg0(x,y), rb0(x,y)に設定する。また,すべての座標(x,y)について,rr1(x,y) = rr0(x,y), rg1(x,y) = rg0(x,y), rb1(x,y) = rb0(x,y)と計算して生成する。 画像変換装置は,第1の変換画像のRプレーンの値P0R(x,y)を得るためにまず,p = I(x,y) + rr0(x,y)を計算する。もしpがkよりも大きい場合は,P0R(x,y) = kとし,p’ = p kを計算する。もしpが0よりも小さい場合は,P0R(x,y) = 0 とし,p’ = p とする。次に第2の変換画像のRプレーンの値P1R(x,y)を得るために,q = I(x,y) + rr1(x,y) + p’ を計算する。もしqがkよりも大きい場合は,P1R(x,y) = kとする。もしqが0よりも小さい場合は,P1R(x,y) = 0とする。もしくは,P0R(x,y)とP1R(x,y)の計算順序を逆にする。すなわち,q = I(x,y) + rr1(x,y)を計算する。もしqがkよりも大きい場合は,P1R(x,y) = kとし,q’ = q kを計算する。もしqが0よりも小さい場合は,P1R(x,y) = 0 とし,q’ = q とする。次に,p = I(x,y) + rr0(x,y) + q’ を計算する。もしpがkよりも大きい場合は,P0R(x,y) = kとする。もしpが0よりも小さい場合は,P0R(x,y) = 0とする。
【0071】
第1の変換画像のGプレーンの値P0G(x,y)を得るために,p = I(x,y) + rg0(x,y)を計算する。もしpがkよりも大きい場合は,P0G(x,y) = kとし,p’ = p kを計算する。もしpが0よりも小さい場合は,P0G(x,y) = 0 とし,p’ = p とする。次に第2の変換画像のGプレーンの値P1G(x,y)を得るために,q = I(x,y) + rg1(x,y) + p’ を計算する。もしqがkよりも大きい場合は,P1G(x,y) = kとする。もしqが0よりも小さい場合は,P1G(x,y) = 0とする。
【0072】
第1の変換画像のBプレーンの値P0B(x,y)を得るために,p = I(x,y) + rb0(x,y)を計算する。もしpがkよりも大きい場合は,P0B(x,y) = kとし,p’ = p kを計算する。もしpが0よりも小さい場合は,P0B(x,y) = 0 とし,p’ = p とする。次に第2の変換画像のGプレーンの値P1B(x,y)を得るために,q = I(x,y) + rb1(x,y) + p’ を計算する。もしqがkよりも大きい場合は,P1B(x,y) = kとする。もしqが0よりも小さい場合は,P1B(x,y) = 0とする。
【0073】
第1の変換画像と第2の変換画像の計算順序を変更しても良いことは,Rプレーンの値を計算する場合と同様である。
【0074】
<第7の実施例>
図9に,表色系変換装置を有する場合の実施例を示す。本実施例の情報表示装置901は,表示画像生成装置902から入力画像Iを受け取り,入力画像Iの表色系を第1の表色系変換装置903を用いて変換した表色系変換画像を生成し,画像変換装置905は,数値列供給装置904から供給された数値列と,前記の表色系変換画像を演算して変換画像を生成し,第2の表色系変換装置906は前記の変換画像を入力画像Iと同じ表色系に変換し,画像記憶装置907に記録する。画像記憶装置に記録された画像は,画像出力装置908を用いて表示制御装置910に出力される。表示画像生成装置902は,表示制御装置や画像表示装置が画像を表示する際に使用するクロックを表示画像とともに出力しており,それを受け取る情報表示装置901は,クロックと画像を分離して,クロックをクロック変換装置908に入力する。クロック変換装置は,変換結果である変換クロックを画像出力装置909に出力する。画像出力装置909は,出力画像とともに前記の変換クロックを表示制御装置910に出力する。表示制御装置は,入力された画像とクロック情報を用いて,画像表示装置911を制御して,画像をユーザ対して表示する。本実施例の情報表示装置901の画像表示装置911は,液晶などの光透過型表示装置を想定しており,バックライト912を備えるが,CRTなどの自発光型表示装置であれば,バックライト912に相当する装置は必ずしも必要ではない。本実施例の表色系変換装置は,入力画像の表色系を変換する第1の表色系変換装置と,画像変換装置の出力である変換画像の表色系を変換する第2の表色系変換装置を備えるが,必ずしも2つの表色系変換装置を備える必要は無く,ひとつ表色系変換装置で両方の機能を実現しても良い。
【0075】
表色系変換装置は,入力画像Iの各画素を独立に処理することができるため,一部の画素のみの表色系を変換するように構成してもよい。例えば,RGB表色系とCMY表色系は,互いに補色関係にあるので,先の実施例で示したように,第1の変換画像と第2の変換画像の生成順序を変更することと同等の効果を,RGB表色系とCMY表色系のどちらで処理するかを切り替えることで実現することができる。
【0076】
<表示画像を異なる基本画素単位にエンコードする方式の実施例>
<第8の実施例>
本発明の情報表示装置のひとつの実施形態について説明する。まず,画像生成装置が,ひとつの入力画像から二つの画像を生成する場合について述べる。入力画像Iが二値の白黒画像の場合について述べる。
【0077】
図13は,本実施例の情報表示装置を示したものである。本実施例の情報表示装置1301は,数値列供給装置1303と画像変換装置1304と画像記憶装置1305と画像出力装置1307とクロック変換装置1306と第1の表示制御装置1308と第1の画像表示装置1310と第2の表示制御装置1309と第2の画像表示装置1311とバックライト1312を有する。
【0078】
画像変換装置は,情報表示装置が備える数値列供給装置から,数値列r0を受け取る。ここで,r0のサイズは,表示画像生成装置1302から入力される入力画像Iの画素数に対応しており,入力画像IがXGAサイズの画像であれば,(1024×768=)786432個の乱数値を持つようにする。r0の数値は,0または1である。入力画像Iの座標(x,y)の画素値をI(x,y)で表し,r0も入力画像Iの同じ座標に対応付けてr0(x,y)と表す。出力される2つの変換画像は,それぞれP0, P1とし,座標(x,y)の画素値を参照する場合はP0(x,y), P1(x,y)と表す。
画像変換装置は,r0(0,0)の値を読出し,その値が0であれば,P0(0,0)に(0:1)という情報を画像記憶装置1305に記憶する。
【0079】
本実施例の画像変換装置は,入力画像Iの解像度と生成画像の解像度が異なっている。ここでは,変換画像P0,P1のx軸方向すなわち横方向の解像度が,入力画像Iの2倍になるように構成する例を示している。前記の(0:1)という情報は,画素値0を白に画素値1を黒に対応させると,座標(x,y)に対応する画素値が,左0右1すなわち白黒という並びの2画素に変換されることを意味している。図10に,画像変換装置への入力であるI(x,y)とr0(x,y)の値と,出力されるP0(x,y), P1(x,y)の関係を示す。前記の(0:1)とは,白黒で構成される2ピクセル画素1001を表しており,(1:0)であれば2ピクセル画素1002をあらわす。このような2ピクセル画素を本明細書では,テンプレートと呼ぶ。2ピクセルで構成されるテンプレートは2×1の配列である。本発明の実施例の情報表示装置では,エンコード方法として,s×tの配列であるテンプレートのうち,s×t/2個の画素を0とし,s×t/2個の画素を1とする。よって,2×1の配列である前記テンプレートは,白黒または黒白の2種類である。前記のように変換画像の各座標にテンプレート情報を記録する情報管理方法は,P0やP1の横方向の解像度をあらかじめ入力画像Iの2倍に設定しておき,前記(0:1)を記録する代わりに,P0(0,0)に0を格納し,P0(1,0)に1を格納するようにしても良い。この場合は,入力画像の座標(x,y)の画素値と数値列の座標(x,y)の数値から変換画像の座標(2x,2y),(2x+1,2y)の二つの画素値が決定されることになる。
【0080】
次に,I(0,0)を読出し,その値が0であればP1(0,0)には(0:1)を記録し,その値が1であればP1(0,0)には(1:0)を記録する。これは,I(0,0)の値が0すなわち白であれば,P0(0,0)とP1(0,0)とを光学的に重ね合わせた結果が(0:1)となり,ユーザには白黒の並びとして見えることに対応付けた割当である。一方,I(0,0)の値が1すなわち黒であれば,P0(0,0)とP1(0,0)とを光学的に重ね合わせた結果が(1:1)となり,ユーザには黒黒の並びとして見える。結果として,I(0,0)の値が0すなわち白であればユーザは白黒を,1すなわち黒であればユーザは黒黒を見ることになる。
【0081】
乱数r0(0,0)の値が1であれば,P0(0,0)には(1:0)を記録する。また,I(0,0)の画素値が0すなわち白であれば,P1(0,0)には(1:0)を,I(0,0)の画素値が1すなわち黒であれば,P1(0,0)には(0:1)を記録する。この場合も,第1の画像表示装置にP0(0,0)を表示し,第2の画像表示装置にP1(0,0)を表示することで重ね合わせた結果は,I(0,0)の画素値が0すなわち白であれば黒白に,I(0,0)の画素値が1すなわち黒であれば黒黒に見えることになる。本実施例の画像変換装置において,入力I(x,y)とr0(x,y)の組に対して,出力されるP0(x,y), P1(x,y)は図10の通りである。以下同様にして,画像変換装置はすべての(x,y)座標に対してP0(x,y)およびP1(x,y)を計算し,画像バッファに結果を格納する。
【0082】
次に,画像出力装置1307は,画像記憶装置1305に記録されているP0,P1をそれぞれ第1の表示制御装置である表示制御装置A 1308,第2の表示制御装置である表示制御装置B 1309に送信する。画像記憶装置に記録されている変換画像の形式が,テンプレート情報を記録する形式である場合は,各座標にテンプレートデータを割り当てて画像を出力するようにする。この際,変換画像P0,を第1の表示制御装置に送信し,P1を第2の表示制御装置に送信する。または,画像出力装置が乱数生成装置から得た乱数を用いて変換画像P0の送信先を第1と第2の表示制御装置のいずれかからランダムに選択し,P1をP0とは異なる表示制御装置に送信するようにしても良い。
【0083】
第1の表示制御装置と第2の表示制御装置は,それぞれに画像出力装置から受け取った画像を,各画像表示装置に表示する。図11に,上記で生成された変換画像のある座標(x,y)を本情報表示装置で表示した場合にユーザに視覚される画像について示す。第1の画像表示装置1310に第1の変換画像1102を表示し,第2の画像表示装置1311に第2の変換画像1103を表示している。バックライト1104は,図13のバックライト1312と同じものを意味している。第1と第2の画像表示装置表示画像の表示画素サイズが十分に小さければ,ユーザは隣り合う画素の平均値を視覚するため,白黒はグレーであるかのように見える。図12に示すように,画像表示装置が光透過型の表示装置であれば,第1の画像表示装置1201に表示される画像が黒すなわちバックライト光の透過を阻止する表示内容であれば,第2の画像表示装置1202に表示される画像の内容によらずユーザに視覚されるのは黒である。また,第1の画像表示装置に表示される画像が白すなわちバックライト光を透過させる表示内容であれば,第2の画像表示装置に表示される画像の内容である黒または白が表示される。すなわち,図11に示すように,表示面から少し距離の離れたユーザには,黒もしくはグレーで構成された,入力画像I相当の画像であるかのごとく認識される。
【0084】
ここで,入力画像I相当というのは,本情報表示装置が行うエンコーディングによって,入力画像Iの横方向の画素数が2倍に増加しており,また入力画像Iの白画素がグレー画素に見えるということから,完全にIが再現されるわけではなく,同等の情報を持つ画像が得られるということを意味するものである。
【0085】
<第9の実施例>
画像のアスペクト比の変化が好ましくない場合は,入力画素ひとつに対して2×2配列で構成されるテンプレートを割り当てる方法を用いればよい。もしくは,表示画像生成装置から入力画像Iを受け取った際に,画像変換装置が前処理として入力画像Iの横方向の解像度を1/2に変換するようにすればよい。入力画像Iが横方向に冗長性を持つ場合は,単純に半分のラインを間引きすればよい。単純な間引きが好ましくない場合は,削除するべきラインの画素値情報を横方向に隣接する画素に拡散することで,情報量の低減を抑えることができる。
【0086】
入力画素ひとつに対して2×2配列のテンプレートを割り当てる場合について述べる。数値列供給装置1303は,入力画像Iのサイズがn×m(n,mは自然数)に対して,n×m個の数値の列r0を,画像変換装置1304に供給する。数値列r0は,0または1をとる数値の列である。画像変換装置1304は,入力画像Iの座標(x,y)の画素値I(x,y)と,数値列r0の座標(x,y)に相当する数値r0(x,y)を読み出す。画像変換装置は,入力画像Iの座標(0,0)から座標(n-1,m-1)までを順次または並列に,以下のように処理する。本実施例の画像変換装置は,図14に示すように,r0(x,y)の値が0であれば,P0(x,y)に(0:1:1:0)という情報を割り当てる。ここで,(0:1:1:0)は2行2列の行列を表している。(P0のサイズをx方向に2倍,y方向に2倍に拡大して,P0(2x,2y)=0, P0(2x+1,2y)=1, P0(2x,2y+1)=1, P0(2x+1,2y+1)=0のように割り当てても同等の機能を実現できることは容易に分かる。)これを画像イメージであらわせば,図14の1401に示すものが(0:1:1:0)に対応し,1402は(1:0:0:1)に対応する。P0(x,y)に(0:1:1:0)を割り当てた場合,I(x,y)の値が0すなわち白であれば,P1(x,y)には(0:1:1:0)を割り当てる。一方,I(x,y)の値が1すなわち黒であった場合には,P1(x,y)には(1:0:0:1)を割り当てる。画像変換装置は,以下同様にして変換画像P0, P1を生成し,変換画像を画像記憶装置1305に記録する。
【0087】
画像出力装置1307は,画像記憶装置1305に記録されたP0とP1を読出し,表示制御装置A 1308と表示制御装置B 1309にクロック変換装置1306から受け取った変換クロックとともに出力する。表示制御装置Aは画像表示装置A 1310に,表示制御装置Bは画像表示装置B 1311にそれぞれ受け取った画像を表示する。本実施例の情報表示装置は,光透過型の表示装置を画像表示装置A,Bとして用いており,バックライト1312を転倒させることで,画像表示装置Aと画像表示装置Bに表示された画像がユーザに視覚される。
【0088】
変換画像P0とP1はそれぞれ二値の画像なので,どちらか一方が1すなわち黒であれば,図12の例と同様にバックライトからの光が遮断され,ユーザには黒画素として認識される。また,両方が0すなわち白であれば,バックライトからの光が透過され,ユーザには白画素として認識される。変換画像P0とP1を重ね合わせた際に,I(x,y)の値が0すなわち白であれば,テンプレートの重ねあわせパターンは(0:1:1:0)または(1:0:0:1)となり,2画素が0で2画素が黒という構成になる。画像表示装置の画素サイズが十分に小さければ,ユーザには,白画素と黒画素の組み合わせではなく,グレー画素であるかのように見える。
【0089】
I(x,y)の値が1すなわち黒であれば,テンプレートの重ねあわせパターンは(1:1:1:1)となり,4画素とも黒となる。すなわち,ユーザには,黒画素として認識される。よって,本実施例の情報表示装置を用いて,ユーザはI(x,y)に対応した色を見ることができる。
ここでは,使用するテンプレートとして(0:1:1:0)と(1:0:0:1)のみを示したが,(0:0:1:1)と(1:1:0:0)という組み合わせで用いてもよく,4画素中2画素が0で2画素が1となるように組み合わされていれば,P0とP1を重ね合わせた際に黒と白でコントラストが得られる限り,どのように組み合わせても良い。2×2のテンプレートであれば,上記のほかに(1:0:1:0)と(0:1:0:1)を用いることができる。すなわち,2×2のテンプレートは,3種類ある。
【0090】
本実施例では,一組の変換画像を生成するのに,(0:1:1:0)(1:0:0:1)のテンプレートのみを使用する例を示した。しかし,入力画像Iの1画素ごとに異なるテンプレートを使用しても良い。たとえば,入力画像Iの1画素ごとにランダムに使用するテンプレートを変化させれば,発生する電磁波のパターンがさらにかく乱されるため,漏洩電磁波の傍受を妨げる上で,好ましい形態であるといえる。
以上の画像変換方法は,Naor, Shamirによる視覚復号型秘密分散法(以下NS法と略す)(M. Naor, A. Shamir, “Visual Cryptography,” EUROCRYPT’94, LNCS 950, pp.1-12, Springer-Verlag, 1995.)を基礎としている。NS法は,1枚の画像を2枚以上のシェアと呼ばれる画像に分割し,OHPなどの透明シートに印刷したシェアを重ね合わせれば,光学的に元の情報が得られるという方法である。NS法では,単一のシェアから原画像に関する情報は一切漏洩しないことが示されている。本発明の実施例の情報表示装置では,画像の表示をOHPのように書き換えのできない媒体ではなく,書き換え可能な画像表示装置に表示するため,同一の画像を表示する場合でも,短い期間のうちに異なる乱数を用いて作成した新たなシェアを表示に用いることで,漏洩電磁波による情報傍受を効果的に防止することができる。また,従来,コンピュータを用いる表示方法では,複数のシェアをCPUなどの計算機を用いて事前に1枚の画像に結合しておき,結合画像を表示していたため,結合画像を表示する際の漏洩電磁波から結合画像に関する情報を傍受することができた。しかし,本発明の実施例の情報表示装置は結合画像を生成せずに,ユーザの視覚を用いて結合するため,漏洩電磁波を傍受されても,情報が漏洩することがない。
【0091】
<第10の実施例>
図8に示すように,画像表示装置を1つのみ備える本発明の情報表示装置の実施例を示す。変換画像P0とP1の生成方法は,第8や第9の実施例と同様である。
【0092】
本実施例では,画像表示装置が1つなので,画像出力装置806は,画像記憶装置805に記録されている変換画像P0とP1を交互に表示制御装置808に出力する。また,画像出力装置806は,クロック変換装置807から出力される変換クロックもあわせて表示制御装置808に送信する。表示制御装置は受け取った変換クロックを用いて,画像表示装置809を制御し,受け取った画像を表示する。
【0093】
本実施例の変換画像生成方法および表示方法を用いた場合,表示される画像には空間的な色の平均化と時間的な色の平均化が発生する。2つの光透過型表示装置に表示した場合に,どちらか一方の値が1すなわち黒であれば,ユーザには黒画素が認識されていたところ,本表示方式ではP0とP1の入替え表示による平均化が起こるため,両方の値が1すなわち黒の場合のみに黒画素が認識される。両方の値が0すなわち白の場合のみに白画素が認識されることは両者で同様である。NS法に従えば,入力画像Iの画素値が0すなわち白である場合に,第1の変換画像P0と第2の変換画像P1の対応する座標で使用されるテンプレートが同一になり,入力画像Iの画素値が1すなわち0である場合に,第1の変換画像P0と第2の変換画像P1の対応する座標で使用されるテンプレートが異なる。よって,入力画像Iの画素値が0の場合に,空間的な色の平均化が起こり,入力画像Iの画素値が1の場合に,時間的な色の平均化が起こることになる。
【0094】
そこで,本実施例の情報表示装置は,x方向やy方向の隣接ピクセル間で視覚的な平均化すなわちグレー化が起こらない程度に,表示に使用する画素を大きくする。これによって,時間的な平均化のみがグレー化され,入力画像Iの画素値に応じた表示結果を得ることができる。ピクセルの大きさを大きくするために,表示装置の画素自体を大きくしても良いし,縦横3ピクセルなどの正方形を新たに1ピクセルとみなして画像を拡大することでも同様の効果が得られる。一辺が0.01mm程度以上の画素を用いれば,隣接ピクセル間でのグレー化が抑制されるが,画素サイズを大きくすると,短時間切り替えによる時間的な色の平均化効果が得られにくくなるため,一辺が1mm未満程度の画素を用いることが望ましい。
【0095】
上記の実施例では,画像変換装置が生成する変換画像の数と,情報表示装置が備える画像表示装置の数が同一であった。次に,画像変換装置が生成する画像の数よりも,情報表示装置が備える画像表示装置の数が少ない場合について述べる。
【0096】
画像表示装置の数が,生成される変換画像の数よりも少ない場合,画像出力装置は,乱数生成装置から得た乱数を用いて,画像表示装置の数にあわせた数の変換画像を画像記憶装置からランダムに選択する。選択された画像は,表示制御装置に送信され,表示制御装置は,受信した画像を画像表示装置に表示する。次の時刻で,画像出力装置は,新たに乱数生成装置から得た乱数を用いて,画像記憶装置に保存されている変換画像の中から,画像表示装置の数にあわせた数の画像をランダムに選択し,表示制御装置に送信する。このように構成することによって,画像記憶装置に保存されている各画像が単位時間に表示される確率が均一になり,ユーザの視覚上では,変換画像群が重ねあわされたように見えることになる。ここで,乱数を用いずに,変換画像群を巡回的に表示することもできる。一方で,3枚以上の画像については,ランダムに選択することによって,表示順序の違いによる視覚上の偏りを抑制することができる。すなわち,ランダムに選択して表示することによって,より視覚上で安定した画像を表示することができる。
【0097】
画像表示装置の数が,生成される変換画像の数よりも多い場合,画像出力装置は,乱数生成装置から得た乱数を用いて,変換画像を送信するべき表示制御装置をランダムに選択する。画像表示装置が透明であっても,ある程度の透過光の減衰が発生する。使用する画像表示装置を毎回ランダムに選択することによって,このような光の減衰による,表示画像の輝度の偏りを抑制することができる。画像表示装置における透過光の減衰が,無視できるほどに小さい場合は,必ずしも毎回,前記のように画像表示装置をランダムに選択する必要はない。すなわち,あるタイミングで生成画像を送信するべき表示制御装置をランダムに決定した後は,一定期間ないし乱数生成装置から生成した乱数によって決められた期間は,同一の対応関係を保つように構成してもよい。このようにすることによって,毎時刻に乱数を生成せずに済み,また,ある時刻で使用し次の時刻で使用しない画像表示装置の表示内容を消去する必要がなくなることによって,消費電力を低減することができる。消費電力の低減は,放射される電磁波の低減にもつながるため,結果として漏洩情報を低減させることができる。
【0098】
以上により,図15に示すように,任意の数の画像表示装置を備える情報表示装置を構成することができる。本情報表示装置1501は,数値列供給装置1503と画像変換装置1504と画像記憶装置1505と画像出力装置1506とクロック変換装置1507と複数の表示制御装置1508と複数の画像表示装置1509を有し,表示画像生成装置1502から表示画像とクロックを受け取り,表示画像を画像変換装置1504に入力し,クロックをクロック変換装置1507に入力する。
【0099】
画像変換装置1504は,前記の入力画像と数値列供給装置1503から得たM個の(Mは2以上の整数)数値列を演算して,M個の変換画像を生成して画像記憶装置1505に記録する。M個の変換画像は単一の入力画像から生成しても良いし,複数の入力画像から生成しても良い。
【0100】
一般的な表示画像生成装置は,同一画像であってもクロックに従って継続的に表示画像を送出する。よって,前記のように単一の入力画像からM個の変換画像を生成することと複数の入力画像からM個の変換画像を生成することが等価となる場合もある。画像出力装置1506は,クロック変換装置1507から変換クロックを受け取り,画像記憶装置1505から読み出した変換画像とともに表示制御装置1508に出力する。画像表示装置1501と表示制御装置1502は対で設置され,画像表示装置をN個(Nは自然数)備える場合は,表示制御装置も同様にN個備える。
【0101】
<構成上のバリエーション>
本発明の実施例の情報表示装置は,数値列と表示画像用いて2つ以上の変換画像を生成して出力する。画像表示装置を有する実施例を示したが,画像表示装置として既存のものを活用するように構成することもできる。
【0102】
<第11の実施例>
図16に,画像表示装置部1601と画像生成装置部1609からなる情報表示装置の実施例を示す。本実施例の情報表示装置は,表示する画像を生成する部分と表示を行う部分が分離しており,一般的なコンピュータの構成における,コンピュータとモニタが想定される。すなわち,画像表示装置部はモニタに対応し,画像生成装置部はコンピュータに対応する。近年,画像処理機能を拡張ボードとして取り外し可能なように設置するコンピュータが増加しており,画像生成装置は,取り外し可能な拡張ボードの形態としてもよい。
【0103】
画像表示装置部1601は,表示するべき画像を受信するための接続端子を持ち,入力された画像を表示する機能を持つ。本実施例の画像表示装置部は,画像入力端子を2つ持ち,2つの入力画像を受け取ることができる。第1の表示制御装置1603と第2の表示制御装置1604は,それぞれ入力画像とともに送信されるクロック情報を元に第1のクロック変換装置1602と第2のクロック変換装置1605で変換されたクロックを受け取り,第1の画像表示装置1606と第2の画像表示装置1607を制御し,画像表示装置に受信した画像を表示する。
【0104】
画像生成装置部1609では,まず,表示画像生成装置1610は表示画像を生成し,数値列供給装置1611は数値列を準備する。画像変換装置1612は,表示画像生成装置から表示画像を受け取り,数値列供給装置から数値列を受け取り,表示画像を変換した変換画像を画像記憶装置1613に記録する。画像生成装置部1609は,クロック生成装置1614を備え,出力クロックはそれぞれ第1の画像出力装置1615と第2の画像出力装置1616に入力される。第1の画像出力装置は,画像記憶装置から第1の変換画像を読み出し,クロック生成装置から受け取ったクロックとともに送信する。それと同時に,第2の画像出力装置は,画像記憶装置から第2の変換画像を読み出し,クロック生成装置から受け取ったクロックとともに送信する。画像出力装置は,受け取った画像とクロックをそれぞれ,画像表示装置部1601に対して送信する。
【0105】
<第12の実施例>
図17に,図2をより詳細にした装置の構成例を示す。本実施例の情報表示装置は,表示装置1701と,表示装置およびコンピュータの内部バス1715に接続されたグラフィックボード1706からなる。表示装置1701には,入力画像を受け取り画像表示装置1704やバックライト1705を制御して画像を表示する表示制御装置1702と入力画像を表示するために使用されるクロックを入力し,表示制御装置が画像表示装置やバックライトを制御するタイミングを決定するための変換クロックを生成するクロック変換装置1703が備えられている。グラフィックボード1706には画像処理を行うGPU 1707と画像出力装置1710とクロック生成装置1709と画像記憶装置1708が備えられている。グラフィックボード1706は中央演算装置であるCPU 1714や,キーボードなどの入力端末やRS232Cなどの出力端子を備えるI/O 1711や,大容量データを保持するHDD 1712や,一次記憶装置であるRAM 1713などが内部バス1715で接続されたコンピュータに接続されている。
【0106】
一般的なコンピュータは,ノートPCをはじめ大型計算機についても,図17のような構成になっていることが多く,構成の差異があったとしても,容易に本発明の実施例を適用することができる程度である。
【0107】
図18に,本発明の実施例の情報表示装置が備えるGPU 1801の構成例を示す。本発明の実施例のGPU 1801は,表示画像生成装置1804から直接入力されるか,または表示画像生成装置1804があらかじめ画像記憶装置1805に記録した画像を入力画像として使用する。GPUは数値列供給装置 1802と画像変換装置1803を有し,画像変換装置は数値列供給装置から数値列の供給を受け,表示画像生成装置から直接入力されるか,事前に画像記憶装置に記録された入力画像を演算して変換画像を生成し,生成した変換画像を画像記憶装置1805に記録する。ここで表示画像生成装置1804は,GPUと内部バスで接続されて折り,CPUである場合もある。本GPUは,内部バス1806に接続されており,情報漏洩対策画像の生成機能を有効にしたり無効にしたりするコントロール信号を受け付けることができる。同じく内部バスに接続されているCPU等からコントロール信号を送信することで,必要な期間に限り対策機能を有効にすることができる。対策が不要な機関に対策機能を無効に切り替えることによって,使用しない装置を停止させ,消費電力を低減させることができる。各装置は,ハードウェアではなく,ソフトウェアで構成してもよい。その場合,GPU上で計算させることもできるが,CPUを併用ないしはすべての処理をCPUで行うようにしても良い。
【0108】
図19に,数値列供給装置の構成例を示す。本例の数値列供給装置1901は,数値列演算装置1903と乱数生成装置1902と数値列記憶装置1904を有する。また,数値列演算装置制御信号を入力するポート1905や供給する数値列を出力するポート1906を有する。数値列供給装置1901は,制御信号入力ポート1905から受けた開始信号により数値列の出力を開始する。数値列演算装置1903は,乱数生成装置1902と数値列記憶装置1904の値に応じて,新たな数値列を生成し,数値列記憶装置に記録する。数値列記憶装置の値は,数値列出力ポート1906から出力される。数値列記憶装置が独自にいくつかのあらかじめ設定された数値列を持ち,制御信号に応じて,乱数生成装置や数値列演算装置で生成する数値列の値によらず,保持する数値列を出力するように構成する場合もあり,その際には必ずしも乱数生成装置や数値列演算装置を備える必要は無い。また,乱数生成装置を数値列供給装置1901の内部に備えるのではなく,乱数生成装置への接続ポートを設け,外部から入力するように構成してもよい。数値列は,外部から予測できない値であることが望ましく,その限りにおいては,必ずしも乱数生成装置を用いずに生成してもよい。
【0109】
図20は,クロック変換装置の構成例である。クロック変換装置2001は,クロック演算装置2003と周波数解析装置2002とクロックバッファ2004と変換クロックバッファ2005ヲを備える。また,クロック演算装置制御信号を入力するポート2006とクロック入力ポート2007と変換クロック出力ポート2008を備える。本クロック変換装置は,クロック入力ポート2007から入力されクロックバッファ2004に記録されたクロックを周波数解析装置2002を用いて解析し,クロック演算装置制御信号入力ポート2006から入力された所定の倍率でクロックバッファのクロックを演算変換し,結果を変換クロックバッファ2005に出力する。変換クロックバッファに記録された変換クロックは,変換クロック出力ポート2008を通じて出力される。クロック変換装置は,変換が不要であることが分かっている場合,クロック演算装置制御信号を入力ポート2006から設定することによって無効化することができる。
【0110】
図21に,表示制御装置2103とクロック変換装置2110とクロック生成装置2111と画像表示装置2101とバックライト2102を有する画像表示装置部の例を示す。表示制御装置2103は,画像表示装置駆動装置2104と表示色計算装置2105と表示座標計算装置2106を備える。また,ピクセルクロックバッファ2107や水平同期クロックバッファ2108や垂直同期クロックバッファ2109を備える。また,表示画像を受け取るポート2112,ピクセルクロックを受け取るポート,水平同期クロックを受け取るポート,垂直同期クロックを受け取るポートを備える。表示制御装置2103は,表示するべき画像情報をポート2112から受け取り,表示座標計算装置2106は画像情報から画像表示装置2101の各座標に書き込むべき画素値を決定し,また表示色計算装置2105は同座標に表示する色を計算する。結果は画像表示装置駆動装置2104に送信され,画像表示装置駆動装置は画像表示装置の各座標を駆動することで,色情報を記録する。画像表示装置が液晶のように自発光しない材料の場合,画像表示装置2101の背面等にバックライト2102を備え,画像表示装置駆動装置2104はバックライト2102の明るさを制御する。画像表示装置を駆動する際のクロックは,クロック変換装置2110から入力される。一般にピクセルクロックと水平同期クロックと垂直同期クロックが用いられるが,画像表示装置の駆動に必要であればその他のクロックも受け取るように構成する。必要なクロックが前記のクロックの一部であれば,必ずしもすべてを受け取る必要は無く,その場合はピクセルクロックバッファ2107,水平同期クロックバッファ2108,垂直同期クロックバッファ2109の一部のみを備えるようにしてもよい。クロック変換装置は,クロック生成装置2111から入力画像表示の際の基準となるクロックを受け取る。本構成例では,入力画像と独立にクロック生成装置2111がクロックを生成しているが,入力画像を生成する装置が画像を表示するのに適切なクロックを生成し,クロック変換装置2110に対して出力するように構成してもよい。
【0111】
図22に,画像変換装置2201の構成例を示す。画像変換装置2201は,数値列バッファ2202と画像演算装置2203と内部画像バッファ2204を有する。また,数値列供給装置から数値列を受信するポート2205と表示画像生成装置もしくは画像記憶装置から画像を入力するポート2206と生成した変換画像を出力するポート2207を備える。生成画像出力ポート2207は,画像記憶装置に接続される。画像変換装置2201ニにおいて,画像演算装置2203は,数値列バッファから読み出した数値列を用いて内部画像バッファの画像を変換し,変換画像を生成する。数値列の形態や,入力画像の変換方法の具体例は,すでに述べたとおりである。数値列バッファや内部画像バッファには,入力画像のすべての画素値やその変換に使用する数値列のすべてを一度に記憶する必要は無く,適宜数値列供給装置や画像記憶装置ないし表示画像生成装置から必要なだけ受け取っても良い。
【0112】
図23は,画像出力装置2301の構成例である。本例の画像出力装置2301は,画像選択装置2303と乱数生成装置2302,クロックバッファ2304を有する。また,画像記憶装置2305への接続ポート2306と選択した画像の出力ポート2309,クロック入力ポート2307とクロック出力ポート2308を備える。画像選択装置2303ハは,乱数生成装置2302から受け取った乱数に基づいて,読み出す画像のアドレスを計算し,画像記憶装置2305から画像を読み出し,出力ポート2309から出力する。画像出力装置は,画像の出力レートを決定するクロックをクロック入力ポート2307から受け取り,クロックバッファ2304に保持する。画像を出力する際には,クロック出力ポート2308より,クロックバッファに保持しているクロックをあわせて出力する。本例の画像出力装置2301は,乱数生成装置2302を有する構成とした。上記では,画像選択装置が毎回乱数生成装置の出力に従って画像記憶装置から画像を読み出すように記したが,複数の変換画像が記録されている画像記憶装置の中から読み出す最初の変換画像を決定する際のみに乱数生成装置を用い,それ以降は内部に備えるカウンタ装置のカウンタに従って順番に読み出すようにしても良い。また,乱数生成装置を備えずカウンタ装置のみを備え,画像記憶装置に記録されている画像を順番に読み出すように構成してもよいことは,すでに述べたとおりである。
【0113】
<第13の実施例>
本発明の実施形態のひとつである図24に示す実施例は,入力された画像を変換して出力する表示画像変換装置の形態である。表示画像変換装置2401は,数値列供給装置2402と画像変換装置2403と画像記憶装置2404と画像出力装置2405とクロック生成装置2406を備える。また,画像入力用のポート2407と画像およびクロック出力用のポート2408を備える。表示画像変換装置2401では,画像変換装置2403が画像入力ポート2407から受け取った入力画像と数値列供給装置2402の出力から,複数の変換画像を生成し,画像記憶装置2404に記録する。画像出力装置2405は,画像記憶装置から,出力する画像を選択し,画像およびクロック出力ポートを通じて出力する。クロック生成装置2406は,出力画像の水平同期クロックや垂直同期クロック(これは画面の出力レートにも相当する)を生成し,画像出力装置2405に入力する。画像出力装置は,入力されたクロックを画像とあわせて,画像およびクロック出力ポート2408を通じて出力する。画像入力用ポート2407と画像およびクロック出力ポート2408は,それぞれVGA端子,DVI端子,コンポジット端子,S端子,D端子,HDMI端子など,一般的な画像入出力端子を想定しているが,このような標準化された端子ではなく,独自の形式を用いてもよい。たとえば,本表示画像変換装置はクロック生成装置を備えるため,画像入力ポートからは,画像のみを受け取り,クロック情報を受け取らないような形式でも良い。
【0114】
<第14の実施例>
図25は,表示画像変換装置がクロック生成装置を内部に持たない場合の構成例を示したものである。本表示画像変換装置2501は,クロック変換装置2502を持ち,画像入力端子2503から画像情報とともに受け取ったクロック情報を,クロック変換装置に入力する。変換されたクロックは,画像記憶装置に記憶された変換画像とともに,画像出力装置によって,画像およびクロック出力ポート2504から出力される。クロック変換装置2502は,入力画像を変換した変換画像を用いて,視覚的に入力画像と同等のものが認識されるように,変換クロックの速さを決定する。たとえば,短時間で複数画像を切替表示する場合,入力画像の表示レート30FPS(フレーム毎秒)であった場合に,フレームレートを60FPSに向上させて,高速に切り替えるように構成する。また,入力画像のフレームレートが60FPSであって,画像表示装置が120FPSに対応している場合,フレームレートを120FPSに向上させて,さらに高速に切り替えるように構成してもよい。入力クロックが十分に高速な場合,必ずしも出力画像のクロックを早くする必要は無い。
【0115】
<第15の実施例>
図26に表示画像変換装置の実施例のひとつを示す。本実施例の表示画像変換装置2601は,信号分配装置2602を更に備える。また,信号分配装置と画像出力装置2603の動作をコントロールする制御信号の入力ポート2604を備える。信号分配装置と画像出力装置は,制御信号によって,入力画像の処理経路を変更する。処理経路として,数値列供給装置の出力を用いた画像変換処理のほかに,無処理で通過するための信号線2606を更に備える。すなわち,画像およびクロック入力ポート2605から入力された画像情報は,信号分配装置でいずれかの処理経路に分配され,画像出力装置2603で選択されるとともにクロック情報をあわせて画像およびクロック出力ポート2607から出力される。
【0116】
本実施例の構成であれば,無処理でデータを出力する場合においても,数値列供給装置や画像変換装置の動作がノイズ源となるため,漏洩電磁波を傍受することを妨害する効果が得られる。
【0117】
<第16の実施例>
第15の実施例では,信号分配装置に画像情報が入力され,クロック情報はクロック変換装置に入力される構成例を示したが,図27に示す表示画像変換装置2701は,画像およびクロック入力ポート2705から入力された画像情報とクロック情報をあわせて信号分配装置2702で分配する。信号分配装置をコントロールする制御信号入力ポート2704からは,信号分配装置のみが制御される。本表示画像変換装置では,信号線2706にクロック情報も含まれているため,画像出力装置2703がクロックを参照して動作すればよい。信号分配装置が画像変換を行うことを選択した場合,クロック変換装置2708からクロックが供給され,無処理を選択した場合は信号線2706からクロックが供給されるため,画像出力装置2703は,制御信号入力ポート2704からの信号を参照せずとも,動作を適切に切り替えることができ,表示するべき画像とクロックをあわせて画像およびクロック出力ポート2707から出力することができる。
【0118】
<第17の実施例>
図28の実施例では,表示画像変換装置が,さらに暗号化装置2801を備える。暗号化装置として,HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection system)などの標準化された方式を用いるものとすれば,画像およびクロック出力ポート2804から出力する情報の受信先である画像表示装置として幅広い装置が利用可能となる。もちろん,独自の暗号化方式を用いてもよい。暗号化装置2801は,制御信号入力ポート2802からのコントロールが可能で,画像およびクロック入力ポート2803から入力される画像を暗号化せずにポート2804から出力することもできる。このようにすれば,暗号化機能に対応していない画像表示装置を用いることもできる。
【0119】
<第18の実施例>
図29に示す実施例の表示画像変換装置は,復号化装置2901と暗号化装置2902を備える。本表示画像変換装置は,入力画像が暗号化されている場合にも用いることができる。信号系路2904上には暗号化装置が設置されていない。よって,無処理で信号線2904を通過する場合は,暗号化の有無に関わらずに正しく情報が伝送される。復号化装置2901と暗号化装置2902は,それぞれ外部から制御可能であり,入力画像や出力画像の暗号化の有無に応じて処理を変更することができる。制御信号入力ポート2905は,例えばUSBなどの汎用的な端子とすることで,一般的なコンピュータに接続が容易な装置を構成することができる。
【0120】
<第19の実施例>
図30は,本発明の実施例の情報表示装置を備えるATMの例である。本実施例のATM 3001は,画像表示装置3002と表示画像生成変換装置3003を有し,表示画像生成変換装置と画像表示装置はビデオケーブル3004で接続されている。表示画像生成変換装置は,表示画像生成装置と数値列供給装置と画像変換装置とを有し,ユーザへの情報提示を行うために表示画像を生成するとともに,数値列供給装置から得た数値列を用いて画像変換装置で変換した画像を,ビデオケーブルを通じて画像表示装置に表示する。情報表示装置としては,画像表示装置を1つ有するものとしても,画像表示装置を2つ以上有するものとしてもよい。
【0121】
<第20の実施例>
図31は,本発明の実施例の表示画像変換装置を備えるコンピュータの例である。本コンピュータは,計算機3101とディスプレイ3102から構成されており,計算機とディスプレイはビデオケーブル3103で接続されている。計算機は,ドキュメントや操作状況などを画像として生成し,ビデオケーブルを通じてディスプレイに伝送する。本実施例のコンピュータは,計算機とディスプレイの間に表示画像変換装置3104を備え,計算機がディスプレイに対して表示画像を伝送する際に,前記表示画像変換装置において数値列供給装置から供給される数値列とを演算することで,変換画像を生成し,生成した変換画像をディスプレイに伝送する。表示画像変換装置は,図31に示すように,ビデオケーブルの途中に設置しても良いが,計算機のビデオ信号出力ポートに差し込むようにしても良い。また,計算機に内蔵しても良い。係員が顧客と対応する際に使用するほとんどの窓口端末は,本実施例のコンピュータと同様の構成となっているため,本発明の実施例の適用も同様の方法で行うことができる。
【0122】
<第21の実施例>
図32は,本発明の実施例の表示画像変換装置を備えるディスプレイの例である。本ディスプレイ3201は,液晶や蛍光管などの画像表示装置3202と画像表示装置を制御するコントローラ3203と画像バッファ3204と表示画像変換装置3205とクロック変換装置3206を有する。また,画像とクロックを入力するポート3207を有する。本実施例のディスプレイは,画像およびクロック入力ポート3207から入力した画像情報とクロック情報を分離し,画像情報を表示画像変換装置に,クロック情報をクロック変換装置に入力する。表示画像変換装置は,数値列供給装置の出力と入力画像を用いて変換画像を生成し,画像バッファ3204に記憶する。コントローラ3203は,画像バッファに記録された画像を,クロック変換装置の出力である変換クロックにしたがって読み出し,画像表示装置を制御して表示する。
【0123】
なお、本発明の実施例に関連する技術的事項は次の通りである。
1.数値列を保持し,その数値列を出力する数値列供給装置と,デジタル表示画像データと前記数値列供給装置からの前記数値列データを演算して前記デジタル表示画像を画像変換する画像変換装置と,前記画像変換装置で生成された前記変換された画像データを記憶し外部へ出力するための記憶装置とを有し,前記数値列供給装置はn×m(n,mは1以上の整数)の数値配列である第1から第Nの数値列(Nは2以上の整数)を持ち,前記画像変換装置はn×mの数値配列である第M番目(M∈{1,...,N})の入力画像を受け取り,前記数値列供給装置から第M番目の数値列を受け取り,前記第M番目の入力画像と前記第M番目の数値列を演算して生成した第M番目の変換結果を前記画像記憶装置に記録し,前記画像記憶装置から順次出力することを特徴とする表示画像変換装置。
2.乱数生成装置を有し,前記数値列供給装置は前記第1から第N-1の数値列を前記乱数生成装置を用いて,前記デジタル入力画像データの最大階調kに対して,0以上k/2未満の値を供給することを特徴とする上記1に記載の表示画像変換装置。
3.前記数値列供給装置が,前記第Nの数値列を,前記第1から第N-1の数値列を演算して生成することを特徴とする上記1に記載の表示画像変換装置。
4.前記画像変換装置は,前記入力画像の座標(i,j)に対応する値をai,j(i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m}),前記数値列の座標(i,j)に対応する数値をbi,j,変換結果の座標(i,j)に対応する値をa’i,jと表記するとa’i,j = ai,j + bi,jまたはa’i,j = ai,j - bi,jと演算することを特徴とする上記3に記載の表示画像変換装置。
5.乱数生成装置を有し,前記数値列供給装置は前記第1から第N-1の数値列を前記乱数生成装置を用いて生成し,第kの数値列の座標(i,j)に対応する数値をRk,i,j(k∈{1,...,N}, i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m})と表記すると,第Nの数値列をRN,i,j = - (R1,i,j + ... + RN-1,i,j)と演算生成したものとして供給することを特徴とする上記4に記載の表示画像変換装置。
6.乱数生成装置を有し,前記画像変換装置は,前記入力画像の座標(i,j)に対応する値をai,j(i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m}),前記数値列の座標(i,j)に対応する数値をbi,j,変換結果の座標(i,j)に対応する値をa’i,jと表記するとa’i,j = ai,j ×bi,jと演算し,前記数値列供給装置は前記第1から第N-1の数値列を前記乱数生成装置を用いて生成し,第Nの数値列を,RN,j = N (R1,j + ... + RN-1,j)と演算生成したものとして供給することを特徴とする上記3に記載の表示画像変換装置。
7.前記画像記憶装置から前記変換結果である数値列群の出力を毎秒30回以上の速さで行うことを特徴とする上記5に記載の表示画像変換装置。
8.表色系変換装置を有し,前記表色系変換装置は前記入力画像を第1の表色系から第2の表色系に変換して表色系変換画像を生成し,前記画像変換装置は前記表色系変換画像を受け取り,前記第M番目の入力画像と前記第M番目の数値列を演算して生成した前記第M番目の変換結果の画像を得て,前記表色系変換装置は前記変換画像を前記第2の表色系から第1の表色系に変換した結果を前記画像記憶装置に記録することを特徴とする上記7に記載の表示画像変換装置。
9.前記第1の表色系はRGB表色系であり,前記第2の表色系はCMY表色系であることを特徴とする上記8に記載の表示画像変換装置。
10.上記9に記載の表示画像変換装置を搭載した自動現金預け払い機または窓口端末またはディスプレイ装置。
11.表示装置に対して出力される表示画像を入力する表示画像入力端子と,表示装置に対して出力される表示画像の表示のためのクロックを入力するクロック入力端子と,数値列を保持し,その数値列を出力する数値列供給装置と,前記表示画像入力端子から受け取ったデジタル表示画像データと前記数値列供給装置からの前記数値列データとを演算して前記デジタル表示画像を画像変換する画像変換装置と,前記画像変換装置で生成された前記変換された画像データを記憶し外部へ出力するための画像記憶装置と,前記クロック入力端子から受け取った画像表示クロックの周波数を変換して出力するクロック変換装置と,前記画像記憶装置から出力された画像データを外部に出力するための表示画像出力端子と,前記変換されたクロックを出力するためのクロック出力端子とを有し,前記数値列供給装置はn×mの数値配列である第1から第Nの数値列(Nは2以上の整数)を持ち,前記画像変換装置は前記表示画像入力端子からn×mの数値配列(n,mは1以上の整数)である第M番目(M∈{1,...,N})の入力画像を受け取り,前記数値列供給装置から第M番目の数値列を受け取り,前記第M番目の入力画像と前記第M番目の数値列を演算して生成した第M番目の変換結果を前記画像記憶装置に記録し,前記クロック変換装置は前記クロック入力端子より受け取った入力クロックから前記入力クロックのM倍(Mは1以上の有理数)の周波数となる変換クロックを生成し,前記画像記憶装置から前記変換画像を,前記クロック出力端子から前記変換クロックを順次出力することを特徴とする表示情報変換装置。
12.前記数値列供給装置は,前記第1から第N-1の数値列として,前記入力画像の画素の階調数をkとして,−kより大きくk未満の整数列を任意に生成し,第kの数値列の座標(i,j)に対応する数値をRk,i,j(k∈{1,...,N}, i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m})と表記すると,第Nの数値列をRN,i,j = −(R1,i,j + ... + RN-1,i,j)と演算生成し,前記画像変換装置は,前記入力画像の座標(i,j)に対応する値をai,j(i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m}),前記数値列の座標(i,j)に対応する数値をbi,j,変換結果の座標(i,j)に対応する値をa’i,jと表記するとa’i,j = ai,j + bi,jと演算することを特徴とする上記11に記載の表示
情報変換装置。
13.前記画像生成装置は,前記入力画像の画素値と前記数値列とを加算した結果が画素の最大階調値kよりも大きい値の場合は結果をkとし,加算結果が0よりも小さい場合は結果を0とすることを特徴とする上記12に記載の表示情報変換装置。
14.第M番目の変換画像の座標(i,j)の値a’i,jが前記最大階調値kよりも大きい場合,p=a’i,j - k を計算して得たpを第M+1番目の変換画像に加え,前記a’i,jが0より小さい場合,p = -a’i,jを計算して得たpを第M+1番目の変換画像から減じることを特徴とする上記13に記載の表示情報変換装置。
15.前記クロック変換装置は,入力クロックの周波数をF [Hz]として,Aを30以上1000以下の任意の整数として,前記変換クロックの倍率Mを,M = A/F と計算することを特徴とする上記14に記載の表示情報変換装置。
16.前記数値列供給装置は乱数生成装置を備え,第1の数値列から第N-1の数値列を乱数生成装置を用いて生成することを特徴とする上記15に記載の表示情報変換装置。
17.前記画像生成装置は,第1の数値列と第1の入力画像を用いて第1の変換画像を生成し,第2から第Nの数値列と第1の入力画像を用いてそれぞれ第2から第Nの変換画像を生成することを特徴とする上記15に記載の表示情報変換装置。
18.表色系変換装置を有し,前記表色系変換装置は第1の表色系で与えられた入力画像を第2の表色系に変換し,前記画像変換装置は前記第2の表色系に変換された画像を用いて前記変換画像生成し,前記表色系変換装置は前記第2の表色系から前記第1の表色系に前記変換画像を変換することを特徴とする上記6に記載の表示情報変換装置。
19.前記数値列の個数Nは2であることを特徴とする上記18に記載の表示情報変換装置。
20.前記表色系変換装置は,動作・非動作設定信号線を有し,前記画像変換装置は入力画像の1画素を変換するごとに前記動作・非動作設定信号を発生し,前記表色系変換装置の動作・非動作を制御することを特徴とする上記19に記載の表示情報変換装置。
21.前記第1の表色系はRGB表色系であり,前記第2の表色系はCMY表色系であることを特徴とする上記20に記載の表示情報変換装置。
22.上記17に記載の表示情報変換装置を搭載する,自動現金預け払い機または窓口端末またはディスプレイ装置。
23.上記20に記載の表示情報変換装置を搭載する,自動現金預け払い機または窓口端末またはディスプレイ装置。
24.N×mの数値配列であるデジタル表示画像を受け取り記憶装置に記録するステップと,演算装置を駆動してn×mの数値配列である任意の数値列をN組(Nは2以上の整数)生成するステップと,演算装置を駆動して前記デジタル表示画像の座標(i,j)の値(i∈{1,...,n}, j∈{1,...,m})と前記数値列の座標(i,j)の数値を加算して変換画像を生成するステップと,前記変換画像を記憶装置に記録するステップと,前記記憶装置に記憶した前記変換画像を出力する画像出力装置を駆動するステップからなり,前記入力画像を記憶装置に記録するステップをN回繰り返すことで第1番目から第N番目の入力画像を記憶装置に順次記録し,前記変換画像を生成するステップをN回繰り返すことで第1番目から第N番目の変換画像を順次生成して前記記憶装置に記録し,前記画像出力装置を駆動するステップは前記記憶装置に記録された画像を順次出力することを特徴とする情報表示方法。
25.前記数値列を生成するステップは,前記第Nの数値列を,前記第1から第N-1の数値列を演算して生成することを特徴とする上記24に記載の表示画像変換装置。
26.乱数生成器を有し,前記デジタル表示画像の階調数をkと表記すると,前記数値列生成ステップでは前記第1から第N-1の数値列として,−kより大きくk未満の整数を前記乱数生成器を用いて生成し,第Nの数値列を,前記第1から第N-1の数値列の加算結果を0から減じることで生成することを特徴とする上記25に記載の情報表示方法。
27.前記変換画像を生成するステップでは,前記デジタル入力画像の画素値と前記数値列とを加算した結果が画素の最大階調値kよりも大きい値の場合は結果をkとし,加算結果が0よりも小さい場合は結果を0とすることを特徴とする上記26に記載の情報表示方法。
28.前記変換画像を生成するステップでは,第M番目の変換画像の座標(i,j)の値a’i,jが前記最大階調値kよりも大きい場合,p=a’i,j - k を計算して得たpを第M+1番目の変換画像に加え,前記a’i,jが0より小さい場合,p = - a’i,jを計算して得たpを第M+1番目の変換画像から減じることを特徴とする上記27に記載の情報表示方法。
29.前記画像出力装置を駆動するステップは,前記記憶装置に記録された画像を30Hz以上のフレームレートで順次出力することを特徴とする上記28に記載の情報表示方法。
30.上記29に記載の情報表示方法を用いた自動現金預け払い機または窓口端末または
ディスプレイ装置。
31.N×mの数値配列であるデジタル表示画像データを受け取って記憶装置に記録するステップと,演算装置を駆動してn×mの数値配列である任意の数値列をN個(Nは1以上の整数)生成するステップと,sn×tmの数値配列(s,tは少なくとも一方が2以上の自然数)であるN+1個の変換画像を生成するステップと,前記生成した変換画像を記憶装置に記録するステップとからなり,前記変換画像を生成するステップは,s×t個の画素のうちs×t/2個の画素を0としs×t/2個の画素を1とした第1のテンプレートと第1のテンプレートの画素値を反転させた第2のテンプレートを用いて,第M番目(M∈{1,...,N})の前記数値列の座標(i,j)の値が0であれば第M番目の変換画像の座標(si,tj)を左上とし座標(s(i+1)-1,t(j+1)-1)を右下とする矩形に第1のテンプレートをコピーし,前記第M番目の値列の座標(i,j)の値が1であれば第M番目の変換画像の座標(si,tj)を左上とし座標(s(i+1)-1,t(j+1)-1)を右下とする矩形に第2のテンプレートをコピーすることで生成し,前記デジタル表示画像データと第1番目から第N番目の数値列を排他的論理和演算することで生成した第N+1番目の数値列を用い前記変換画像生成ステップと同じ方法で変換画像を生成して前記変換画像を記憶装置に記録するステップであることを特徴とする情報表示方法。
32.前記数値列の個数Nは1であり,前記変換画像を出力するステップは,前記2つの変換画像を交互に出力することを特徴とする上記31に記載の情報表示方法。
33.前記変換画像を出力するステップでは,出力画像のフレームレートが30Hz以上となるように前記記憶装置に記録された前記変換画像を順次出力することを特徴とする上記32に記載の情報表示方法。
34.表示装置のピクセルサイズA [mm2]を受け取るステップを有し,前記s,tをそれぞれ1/(100*√A)以上かつ1/√A未満に設定することを特徴とする上記33に記載の情報表示方法。
35.上記34に記載の情報表示方法を用いた自動現金預け払い機または窓口端末またはディスプレイ装置。
36.数値列を保持し,その数値列を出力する数値列供給装置と,デジタル表示画像データと前記数値列供給装置からの前記数値列データを演算して前記デジタル表示画像を画像変換する画像変換装置と,前記画像変換装置で生成された前記変換された画像データを記憶し表示装置へ出力するための記憶装置と,前記画像データを表示するN個(Nは2以上の整数)の表示装置とを有し,前記数値列供給装置はn×mの数値配列である第1から第Nの数値列を持ち,前記画像変換装置はn×mの数値配列(n,mは1以上の整数)である第M番目(M∈{1,...,N})の入力画像を受け取り,前記数値列供給装置から第M番目の数値列を受け取り,前記第M番目の入力画像と前記第M番目の数値列を演算して生成した第M番目の変換結果を前記画像記憶装置に記録し,前記第M番目の変換結果を前記画像記憶装置から第M番目の前記表示装置に出力することを特徴とする画像変換表示装置。
37.前記表示装置が液晶層を有することを特徴とする上記36に記載の画像変換表示装置。
38.上記37に記載の画像変換表示装置を備える自動現金預け払い機または窓口端末またはディスプレイ装置。
【符号の説明】
【0124】
101,1714... 中央演算装置
102,1713... 一次記憶装置
103,1707,1801... 画像演算装置
104,401,3102,3201... モニタ(ディスプレイ)
105,108,1711... 入出力ポート
106,1712... 二次記憶装置
107,1715,1806... 内部バス
301,3001... ATM
302,3002... ATM表示部
303... ATM操作部
304... ATMカードリーダ部
305... ATM入出金部
306,3003... ATM制御部
307... ATM記憶部
308... ATM通信部
309... ATMセンサ部
310... ATM音声発生部
402... アンテナ
403... 受信装置
404... 結果表示用モニタ
501,802,902,1302,1502,1610,1804... 表示画像生成装置
502... 表示画像
503,1614,1709,2111,2406... クロック生成装置
504,804,905,1304,1504,1612,1803,2201,2403... 画像変換装置
505,803,904,1303,1503,1611,1802,1901,2402... 数値列供給装置
506,805,907,1305,1505,1613,1708,1805,2305,2404... 画像記憶装置
507,806,909,1307,1506,1615,1616,1710,2301,2405,2603,2703,2903... 画像出力装置
508,808,910,1308,1309,1508,1603,1604,1702,2103... 表示制御装置
509,807,908,1306,1507,1602,1605,1703,2001,2110,2502,2708,3206... クロック変換装

510,701,809,911,1201,1202,1310,1311,1509,1606,1607,1704,2101,3202... 画像表示装

601... 画像変換装置への入力画像
602,603... 変換画像
604,605... 表示画像
606... 視覚される画像
801,901,1301,1501... 情報表示装置
810,912,1312,1608,1705,2102... バックライト
903,906... 表色系変換装置
1001,1002,1401,1402... 出力画像のテンプレート
1601... 画像表示装置部
1609... 画像生成装置部
1701... 画像表示装置
1706... グラフィックボード
1902,2302... 乱数生成装置
1903... 数値列演算装置
1904... 数値列記憶装置
1905... 数値列制御信号線
1906... 数値列出力ポート
2002... 周波数解析装置
2003... クロック演算装置
2004... クロックバッファ
2005... 変換クロックバッファ
2006... クロック変換装置制御信号線
2007... クロック入力ポート
2008... 変換クロック出力ポート
2104... 画像表示装置駆動装置
2105... 表示色計算装置
2106... 表示座標計算装置
2107... ピクセルクロックバッファ
2108... 水平同期クロックバッファ
2109... 垂直同期クロックバッファ
2112... 画像入力ポート
2202... 数値列バッファ
2203... 画像演算装置
2204... 内部画像バッファ
2205... 数値列入力ポート
2206... 画像入力ポート
2207... 変換画像出力ポート
2303... 画像選択装置
2304... クロックバッファ
2306... 選択画像入力ポート
2307... クロック入力ポート
2308... クロック出力ポート
2309... 画像出力ポート
2401,2501,2601,2701,3104,3205... 表示画像変換装置
2407... 画像入力ポート
2503,2605,2705,2803,3207... 画像およびクロック入力ポート
2408,2504,2607,2707,2804... 画像およびクロック出力ポート
2602,2702... 信号分配装置
2604,2704,2802,2905... 制御信号入力ポート
2606,2706,2904... 無処理通過時の信号線
2801,2902... 暗号化装置
2901... 復号化装置
3004,3103... ビデオケーブル
3101... コンピュータ
3203... 画像表示装置コントローラ
3204... 画像バッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値列を保持し,その数値列を出力する数値列供給装置と,
デジタル表示画像データと前記数値列供給装置からの前記数値列データを演算して前記デジタル表示画像を画像変換する画像変換装置と,
前記画像変換装置で生成された前記変換された画像データを記憶し外部へ出力するための記憶装置とを有し,
前記数値列供給装置はn×m(n,mは1以上の整数)の数値配列である第1から第Nの数値列(Nは2以上の整数)を持ち,前記画像変換装置はn×mの画素値配列である第L番目(Lは1以上の整数)の入力画像の画素値Piを受け取り,前記数値列供給装置から第L番目の数値列を受け取り,前記入力画像の画素値Piから新たな画素値P’i=α×Pi+β(αは0より大きく1未満の実数または有理数、βは整数)を計算し、前記第L番目の入力画像の画素値P’iと前記第L番目の数値列を演算して生成した第L番目の変換結果を前記画像記憶装置に記録し,前記画像記憶装置から順次出力することを特徴とする表示画像変換装置。
【請求項2】
表示装置に対して出力される表示画像を入力する表示画像入力端子と,
表示装置に対して出力される表示画像の表示のためのクロックを入力するクロック入力端子と,
数値列を保持し,その数値列を出力する数値列供給装置と,
前記表示画像入力端子から受け取ったデジタル表示画像データと前記数値列供給装置からの前記数値列データとを演算して前記デジタル表示画像を画像変換する画像変換装置と,
前記画像変換装置で生成された前記変換された画像データを記憶し外部へ出力するための画像記憶装置と,
前記クロック入力端子から受け取った画像表示クロックの周波数を変換して出力するクロック変換装置と,
前記画像記憶装置から出力された画像データを外部に出力するための表示画像出力端子と,
前記変換されたクロックを出力するためのクロック出力端子とを有し,
前記数値列供給装置はn×mの数値配列である第1から第Nの数値列(Nは2以上の整数)を持ち,
前記画像変換装置は前記表示画像入力端子からn×mの画素値配列である第L番目(Lは1以上の整数)の入力画像の画素値Piを受け取り,前記数値列供給装置から第L番目の数値列を受け取り,前記入力画像の画素値Piから新たな画素値P’i=α×Pi+β(αは0より大きく1未満の実数または有理数、βは整数)を計算し、前記第L番目の入力画像の画素値P’iと前記第L番目の数値列を演算して生成した第L番目の変換結果を前記画像記憶装置に記録し,
前記クロック変換装置は前記クロック入力端子より受け取った入力クロックから前記入力クロックのS倍(Sは1以上の有理数)の周波数となる変換クロックを生成し,前記画像記憶装置から前記変換画像を,前記クロック出力端子から前記変換クロックを順次出力することを特徴とする表示情報変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−250333(P2010−250333A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123718(P2010−123718)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【分割の表示】特願2007−204873(P2007−204873)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】