説明

表示操作装置

【課題】本体部と表示操作部との間で効率よくデータを送受信する。
【解決手段】本体部2から表示操作部3に向けて通信を行う際の転送単位と、表示操作部3から本体部2に向けて通信を行う際の転送単位とを異ならせる。より具体的には、本体部2から表示操作部3に向けて通信を行う際の転送単位(たとえば、16バイト)を、表示操作部3から本体部2に向けて通信を行う際の転送単位(たとえば、1バイト)よりも大きくする。
【効果】本体部2から表示操作部3に向けて通信を行う際の転送単位を、画像データなどを送信するのに適した転送単位とし、表示操作部3から本体部2に向けて通信を行う際の転送単位を、キー入力の信号などを送信するのに適した転送単位とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の操作および表示を行うことができる表示操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本体部と、この本体部に対して通信可能に接続された表示操作部とを備えた画像形成装置が知られている。表示操作部は、たとえば、タッチパネル付きの液晶表示器により構成されている。表示操作部に表示される画像データは、本体部から表示操作部に向けて送信され、表示操作部に対するキー入力の信号は、表示操作部から本体部に向けて送信される。
【0003】
この種の画像形成装置において、本体部と表示操作部との通信の負荷を軽減するために、本体部から表示操作部に向けて送信される画像データを、所定の転送単位に分けて転送するような構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−231473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本体部から表示操作部に向けて送信されるデータは、表示操作部に表示される画像データなどであるため、データ量が比較的多い一方、表示操作部から本体部に向けて送信されるデータは、キー入力の信号などであるため、データ量が比較的少ない。したがって、画像データを送信するために転送単位を比較的大きく設定すると、表示操作部から本体部に向けてデータを送信する際の効率が悪くなるという問題がある。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、本体部と表示操作部との間で効率よくデータを送受信することができる表示操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、本体部(2)と、この本体部に対して通信可能に接続された表示操作部(3)とを備え、上記本体部から上記表示操作部に向けて通信を行う際の転送単位と、上記表示操作部から上記本体部に向けて通信を行う際の転送単位とが異なることを特徴とする表示操作装置(1)である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素を表す。以下、この項において同じ。
【0007】
この構成によれば、本体部から表示操作部に向けて通信を行う際の転送単位と、表示操作部から本体部に向けて通信を行う際の転送単位とを異ならせることにより、本体部から表示操作部に向けて通信を行う際の転送単位を、画像データなどを送信するのに適した転送単位とし、表示操作部から本体部に向けて通信を行う際の転送単位を、キー入力の信号などを送信するのに適した転送単位とすることができる。これにより、本体部と表示操作部との間で効率よくデータを送受信することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記本体部(2)から上記表示操作部(3)に向けて通信を行う際の転送単位の方が、上記表示操作部から上記本体部に向けて通信を行う際の転送単位よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の表示操作装置(1)である。
この構成によれば、本体部から表示操作部に向けて通信を行う際の転送単位(たとえば、16バイト)を、表示操作部から本体部に向けて通信を行う際の転送単位(たとえば、1バイト)よりも大きくすることにより、本体部から表示操作部に向けて1回の転送が行われる度に本体部に備えられたCPUに対して行われる割り込みの回数を削減することができ、これにより、CPUの負荷を低減することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記本体部(2)から上記表示操作部(3)に向けて通信を行う際の転送単位は、所定のデータと、そのデータに関するコマンド(たとえば、ヘッダ、アドレスおよびチェックサムのうちの少なくとも1つ)とで構成されることを特徴とする請求項1または2記載の表示操作装置(1)である。
この構成によれば、たとえば、本体部から表示操作部に向けて送信されるデータに、そのデータに対応するヘッダのコマンドを付加して送信することにより、種々のデータを効率よく送信できる。
【0010】
また、たとえば、本体部から表示操作部に向けて画像データを送信する場合には、その画像データのアドレスのコマンドを付加して送信することにより、表示操作部側で受信した画像データをアドレスに基づいて展開し、その画像データに基づく画像を表示させることができる。
請求項3記載の発明は、上記本体部(2)から上記表示操作部(3)に向けて送信されるデータは、ブロック単位で送信されることを特徴とする請求項1または2記載の表示操作装置(1)である。
【0011】
この構成によれば、本体部から表示操作部に向けて送信する画像データをブロック単位(複数行×複数列)で送信することにより、ライン単位で送信するような構成と比較して、そのブロックに表示操作部に表示させるべき文字などが含まれる確率が高くなる。すなわち、表示操作部の所定位置に表示されている文字のみを変更するような場合に、その部分の文字が含まれるブロックの画像データを送信するだけでよく、ライン単位で送信するような構成と比較して画像データを送信する回数が少なくて済むので、本体部と表示操作部との間でさらに効率よくデータを送受信することができる。
【0012】
請求項4記載の発明のように、上記本体部(2)から上記表示操作部(3)に向けて送信されるデータには、上記表示操作部に表示させる画像データが含まれるような構成であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る表示操作装置としての画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図1を参照して、この画像形成装置1は、たとえば、複写機、プリンタ、ファクシミリなどであって、用紙に対する画像形成処理を行う本体部2と、この本体部2に対して電気的に接続された表示操作部3とを備えている。
【0014】
本体部2には、この画像形成装置1の動作を制御するためのCPU4と、このCPU4に対して所定のバス幅(たとえば、32ビット(4バイト))を有するバス5を介して接続されたRAM6および通信部7とが備えられている。RAM6には、VRAM(Video RAM)8が含まれる。
表示操作部3は、たとえば、タッチパネル付きの液晶表示器(LCD9)が備えられていて、このLCD9に対して所定の表示を行うことができるとともに、このLCD9に表示されたキーを操作することにより、所定の操作を行うことができる。表示操作部3には、LCD9の他に、マイクロコンピュータ10と、このマイクロコンピュータ10にそれぞれ接続されたLCDC(LCDコントローラデバイス)11、スピーカ12および汎用入出力部13とが備えられている。
【0015】
マイクロコンピュータ10には、通信部14が備えられている。LCDC11は、マイクロコンピュータ10に対して所定のバス幅(たとえば、8ビット(1バイト))を有するバス15により接続されていて、LCD9は、このLCDC11およびバス15を介してマイクロコンピュータ10に接続されている。LCDC11には、VRAMからなる複数(たとえば、2つ)のフレームメモリ16が含まれる。汎用入出力部13には、複数のキーからなるキー群と、複数の発光ダイオード(LED)からなるLED群とが含まれる。
【0016】
本体部2の通信部7と表示操作部3の通信部14とは、互いにシリアル通信可能に接続されている。
この画像形成装置1において、表示操作部3のLCD9に表示されたキーに対する操作が行われると、その旨の信号が、LCDC11およびバス15を介してマイクロコンピュータ10に入力される。この信号を受信したマイクロコンピュータ10は、信号をコマンドに変換し、そのコマンドのデータを、通信部14から本体部2の通信部7へと所定の転送単位(たとえば、1バイト)で送信する。
【0017】
表示操作部3からコマンドを受信した本体部2のCPU4は、受信したコマンドを解釈し、対応する制御を実行する。そして、LCD9の表示の変更が必要な場合には、CPU4は、RAM6に備えられたVRAM8に、LCD9に表示させるべき画像データを生成する。
RAM6のVRAM8に生成された画像データは、後述する通信用のコマンド(ヘッダ、アドレス、チェックサムなど)が付加された後、表示操作部3から本体部2への転送単位(たとえば、1バイト)よりも大きい所定の転送単位(たとえば、16バイト)で通信部7へと送られ、通信部7から表示操作部3の通信部14へと送信される。このとき、RAM6のVRAM8に生成された画像データは、所定バス幅(たとえば、32ビット(4バイト))×複数段(たとば、4段)のデータとして、バス5を介して通信部7へと送られるようになっている。これにより、バス5のバス幅全体を使って画像データを送信することができるので、効率がよい。
【0018】
本体部2からの画像データを受信した表示操作部3のマイクロコンピュータ10は、受信した画像データに付加されたコマンドを解釈し、画像データをLCDC11に備えられたいずれかのフレームメモリ16に展開する。そして、マイクロコンピュータ10は、解釈したコマンドに基づいてエラーチェックを行い、画像データにエラーがなければ、フレームメモリ16に展開した画像データをLCD9に送り、その画像データに基づく画像をLCD9に表示させる。このとき、画像データを正常に受信した旨の信号が、表示操作部3から本体部2へと送信されるようになっていてもよい。
【0019】
図2は、本体部2のVRAM8からバス5を介して通信部7に送られる画像データの内容を示す図である。
図2を参照して、本体部2のVRAM8からバス5を介して通信部7に送られる画像データは、たとえば、32ビット(4バイト)×4段のデータとして送られる。
1段目(1stWord)の1バイト目には、このデータが画像データである旨のデータがヘッダとして割り当てられる。1段目(1stWord)の2バイト目と3バイト目には、本体部2から表示操作部3に送られる画像データ全体におけるこの画像データのアドレスを表すデータが割り当てられる。1段目(1stWord)の4バイト目と、2段目(2stWord)の1バイト目〜4バイト目と、3段目(3stWord)の1バイト目〜4バイト目と、4段目(4stWord)の1バイト目〜3バイト目との計12バイトには、画像データが割り当てられる。4段目(4stWord)の4バイト目には、表示操作部3が画像データを正常に受信したか否かのエラーチェックを行う際に必要なデータがチェックサムとして割り当てられる。
【0020】
図3は、本体部2のVRAM8から送信された画像データ17が表示操作部3のフレームメモリ16に展開される態様を示す図である。また、図4は、表示操作部3のフレームメモリ16に展開された画像データ17に基づいてLCD9に画像が表示される態様を示す図である。
図3および図4を参照して、本体部2から表示操作部3への1回の転送(転送単位は、16バイト)で送られる画像データ17は、たとえば、本体部2から表示操作部3に送られる画像データ全体の中の所定のアドレスにおける6行×2列(6画素×16画素)の計12バイトの画像データである。すなわち、本体部2から表示操作部3に向けて送信される画像データは、複数行×複数列のブロック単位で送信されるようになっている。
【0021】
本体部2から表示操作部3への1回の転送で送られた画像データ17は、その画像データ17とともに送られたアドレスを表すデータに基づいて、表示操作部3のフレームメモリ16におけるそのアドレスに対応する部分に展開される。
このようにして、本体部2から表示操作部3に送られる画像データ全体を、1ないし複数回の画像データの転送により本体部2から表示操作部3へと転送して、画像データ全体を表示操作部3のフレームメモリ16に展開し、その画像データに基づく画像をLCD9に表示させることができる。
【0022】
この実施形態では、本体部2から表示操作部3に向けて通信を行う際の転送単位と、表示操作部3から本体部2に向けて通信を行う際の転送単位とを異ならせることにより、本体部2から表示操作部3に向けて通信を行う際の転送単位を、画像データなどを送信するのに適した転送単位(たとえば、16バイト)とし、表示操作部3から本体部2に向けて通信を行う際の転送単位を、キー入力の信号などを送信するのに適した転送単位(たとえば、1バイト)とすることができる。これにより、本体部2と表示操作部3との間で効率よくデータを送受信することができる。
【0023】
特に、本体部2から表示操作部3に向けて通信を行う際の転送単位(たとえば、16バイト)を、表示操作部3から本体部2に向けて通信を行う際の転送単位(たとえば、1バイト)よりも大きくすることにより、本体部2から表示操作部3に向けて1回の転送が行われる度にCPU4に対して行われる割り込みの回数を削減することができ、これにより、CPU4の負荷を低減することができる。
【0024】
この実施形態では、本体部2から表示操作部3に向けて通信を行う際の転送単位を16バイトとすることにより、転送単位が1バイトの場合よりも、CPU4に対して行われる割り込みの回数が12分の1に削減され、CPU4の負荷を大幅に低減することができる。
また、本体部2から表示操作部3に向けて送信する画像データをブロック単位(複数行×複数列)で送信することにより、ライン単位で送信するような構成と比較して、そのブロックに表示操作部3(のLCD9)に表示させるべき文字などが含まれる確率が高くなる。すなわち、表示操作部3(のLCD9)の所定位置に表示されている文字のみを変更するような場合に、その部分の文字が含まれるブロックの画像データを送信するだけでよく、ライン単位で送信するような構成と比較して画像データを送信する回数が少なくて済むので、本体部2と表示操作部3との間でさらに効率よくデータを送受信することができる。
【0025】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、本体部2から表示操作部3に向けて送信されるデータは、画像データに限らず、汎用入出力部13に備えられたLEDの点灯パターンのデータ(たとえば、6バイト程度)や、スピーカ12の鳴動パターンのデータ(たとえば、20バイト程度)などであってもよい。この場合、本体部2から表示操作部3に向けて送信されるデータのヘッダを対応するデータに変更すれば、種々のデータを効率よく送信できる。
【0026】
上記実施形態では、表示操作装置の一例として、画像形成装置1について説明したが、この発明は、所定の操作および表示を行うことができる装置であれば、画像形成装置1に限らず、たとえば、他の電気機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態に係る表示操作装置としての画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本体部のVRAMからバスを介して通信部に送られる画像データの内容を示す図である。
【図3】本体部のVRAMから送信された画像データが表示操作部のフレームメモリに展開される態様を示す図である。
【図4】表示操作部のフレームメモリに展開された画像データに基づいてLCDに画像が表示される態様を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 画像形成装置
2 本体部
3 表示操作部
4 CPU
7 通信部
9 LCD
14 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、この本体部に対して通信可能に接続された表示操作部とを備え、
上記本体部から上記表示操作部に向けて通信を行う際の転送単位と、上記表示操作部から上記本体部に向けて通信を行う際の転送単位とが異なることを特徴とする表示操作装置。
【請求項2】
上記本体部から上記表示操作部に向けて通信を行う際の転送単位の方が、上記表示操作部から上記本体部に向けて通信を行う際の転送単位よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の表示操作装置。
【請求項3】
上記本体部から上記表示操作部に向けて通信を行う際の転送単位は、所定のデータと、そのデータに関するコマンドとで構成されることを特徴とする請求項1または2記載の表示操作装置。
【請求項4】
上記本体部から上記表示操作部に向けて送信されるデータは、ブロック単位で送信されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示操作装置。
【請求項5】
上記本体部から上記表示操作部に向けて送信されるデータには、上記表示操作部に表示させる画像データが含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−139494(P2006−139494A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327924(P2004−327924)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】