説明

表示材料封入パネル及び表示材料封入パネルの製造方法

【課題】帯電粒子や有機EL材料などの表示材料が略均一に封入され、必要に応じて電圧を印加したり、電荷を注入したりして、光の透過、不透過を短時間で切り替えることができる応答性に優れた電子シャッターや所望の画像を簡便に表示することができる画像の高品質性に優れた画像表示媒体として使用できる表示材料封入パネルの提供。
【解決手段】表示材料と、表示材料の外表面を覆う隔壁形成材と、を有する表示セルが、マイクロ流路の内部に複数配列されて形成された表示セル形成体を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界の作用で移動する帯電粒子や電流を流すことによって発光する有機EL材料などの表示材料が封入される表示材料封入パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偏光板を使用しない明るい液晶光学装置として(高分子/液晶)複合膜あるいは高分子分散型液晶(PDLC)を利用する光学装置が開発され、その光スイッチング機能に基づく光シャッター(調光シャッター装置)やディスプレイ(画像などの情報表示装置)などへの応用が試みられている。
光スイッチング機能を示す(高分子/液晶)複合膜には、電界の無印加時に光散乱状態となり、電界の印加時に透明状態となるように制御するノーマル方式(ノーマルモード)と、電界の無印加時に光透過状態となり、電界の印加時に光散乱状態となるリバース方式(リバースモード)の二種類があり、用途などに応じて使い分けられている。
乗物、建物などの窓やパーティション用の光シャッター(電子シャッター)として使用されるような場合には、設置場所、目的、消費電力、安全性などを考慮して、いずれかの方式が採用される。
特に、リバースモード型の光スイッチング液晶光学装置において所期の電気光学効果を実現するには、電界無印加時での複合膜の透明状態を安定に保持させるために、初期状態で液晶分子の均一な配列を垂直(ホメオトロピック)配向か平行(ホモジニアスあるいはプレーナ)配向で安定に固定化することが必要となり、量産性に欠けると共に、コントラストや応答速度などが低下し易いという問題点があった。
この問題点を解決するために、例えば、(特許文献1)には、「基板表面にシランカップリング剤が吸着しており、液晶の分子長軸が、基板近傍においては基板に対して傾斜して配向しているとともに、複合膜の中央部に進むに従って基板に対して垂直に配向しているような初期配向を有していることを特徴とする液晶表示装置」が開示されている。
また、液晶の代わりに、液体中や気体中に帯電粒子を封入し、電界によって帯電粒子を移動させることにより、帯電粒子の分散状態を変化させ、光の透過と不透過を切り替えたり、画像を表示したりする電気泳動型や粒子移動型等の装置も検討されている。
【0003】
さらに、有機ELディスプレイは、鮮明で明るい画面を広い視野角及び高速応答で表示できることから、様々な用途に使用される次世代ディスプレイとして期待されており、既に携帯電話や車載用ディスプレイとして工業化されている。この有機ELディスプレイの製造においては、ドットマトリクス表示の多数の画素にそれぞれ発光素子を構成しなければならず、発光層となる有機EL素子の薄膜を製造する際には、真空中でマスクを用いてガラス基板上に薄膜を形成するマスク蒸着方式が主流となっている。また、インクジェット方式の印刷技術を利用し、インク(液体)状にした有機EL材料を基板上で薄膜にして素子を作製する技術も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−321562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)のように液晶を用いる方式では、特に液晶自体が高価で装置として高コストになるだけでなく、液晶が光に弱く、耐候性に欠けるため、設置場所が限定され、設置自在性、汎用性に欠けるという課題があった。
(2)電気泳動型の装置は、一般的に、溶媒と共に帯電粒子を封入したマイクロカプセルを整列させて製造するが、表示のコントラストを向上させるためにはマイクロカプセルの粒子径をできるだけ均一にそろえなければならず、現状は主に篩い分けによる分級が行われており、製造効率が悪く、また破損したマイクロカプセルの除去が困難で、量産性に欠けるという課題があった。
(3)また、一方の基板にフォトリソグラフィやスクリーン印刷等で碁盤目状や蜂巣状に隔壁を形成し、各々のセルに帯電粒子分散液を充填した後、他方の基板を貼り合わせる電気泳動型の画像表示媒体の製造方法では、隔壁と他方の基板との間を確実に接着することが困難であり、隔壁と基板との間に帯電粒子が侵入し易く、基板を屈曲させることができず、形状自在性、設置自在性に欠けるという課題があった。さらに、カラーの画像表示媒体を製造する場合、多色の帯電粒子を制御電極に対して正確に塗り分けることが困難で、量産性、画像の高品質性に欠けるという課題があった。
(4)有機ELディスプレイの製造におけるマスク蒸着方式による薄膜形成では、真空のチャンバー内で、原料化合物を加熱し蒸発させるため、マスクのズレが生じるなどの理由で、大型画面においては均一に成膜することが難しく、大型有機ELディスプレイ製造上の課題となっている。
インクジェット印刷方式では、ノズルから有機EL材料をガラス基板上の隔壁内に噴出して塗布する際に、有機EL材料の一部がガラス基板から跳ね返って周りに飛散し、跳ね返った有機EL材料が周りの他の色の有機EL材料に混入してしまい、有機EL材料が混色するという課題があった。また、ノズルを、有機EL材料を噴出すべき、隔壁内の各噴出位置に合わせるようにXY方向の二方向に高精度に制御する必要があり、さらに、各噴出位置に合わせた時点で有機EL材料を噴出させるという有機EL材料噴出のオンオフタイミングも高精度に制御する必要があり、有機EL材料を塗布する際の制御が非常に煩雑であるという課題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、帯電粒子や有機EL材料などの表示材料が略均一に封入され、必要に応じて電圧を印加したり、電荷を注入したりして、光の透過、不透過を短時間で切り替えることができる応答性に優れた電子シャッターや所望の画像を簡便に表示することができる画像の高品質性に優れた画像表示媒体として使用できる表示材料封入パネルの提供、及び簡素な製造工程で帯電粒子や有機EL材料などの表示材料を確実かつ略均一に封入することができる高歩留まりで量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の表示材料封入パネル及び表示材料封入パネルの製造方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の表示材料封入パネルは、表示材料と、前記表示材料の外表面を覆う隔壁形成材と、を有する表示セルが、マイクロ流路の内部に複数配列されて形成された表示セル形成体を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)表示材料と、表示材料の外表面を覆う隔壁形成材と、を有する表示セルが、マイクロ流路の内部に複数配列されて形成された表示セル形成体を備えることにより、複数の表示セルを簡単に整列させることができ、位置決めが容易で、量産性、高精細性に優れる。
(2)表示材料の外表面が隔壁形成材で覆われた状態で、マイクロ流路の内部に配列されて複数の表示セルが形成されるので、隣接する表示セル間で表示材料が混ざり合うことがなく、表示セルの均一性、高品質性に優れる。
(3)複数の表示セルを表示セル形成体として列単位でまとめて取り扱うことができ、量産性、組立作業性に優れる。
【0008】
ここで、表示材料は、用途に応じて帯電粒子分散液や液体状の有機EL材料などの各種表示材料の中から選択することができる。
帯電粒子分散液は、分散媒(溶媒)の中に多数の帯電粒子を分散させたものである。
帯電粒子は、正又は負に帯電して電界によって移動する粒子であって、白色や黒色等のほか、用途に応じて、所望の色に着色された着色粒子を用いることができる。具体的には、酸化チタン微粒子,アルミナ微粒子等の白色の粒子、トナー粒子等の黒色その他の単色の粒子或いはブリジストン製の電子粉流体と呼ばれる白色、黒色、灰色等の単色の粒子などを用いることができる。
分散媒(溶媒)としては、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素、シリコンオイル等の絶縁性流体が好適に用いられる。
液体状の有機EL材料は、高分子材料で発光材料を溶媒に分散及び溶解させたものが好適に用いられる。
表示セル形成体は、表示材料として、異なる色に着色された帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液や異なる発光色を有する液体状の有機EL材料が列単位で充填されることにより、列毎に所望の表示色を表示することができる。
【0009】
隔壁形成材は、初めは液状で、マイクロ流路に注入後、光や熱などの作用によって硬化するものが好適に用いられる。また、隔壁形成材の材質は、表示材料の分散媒(溶媒)の種類に応じて選択することができるが、表示材料の分散媒(溶媒)と混ざらないものが好適に用いられる。マイクロ流路の内部に液状の隔壁形成材を充填しながら所定の間隔で表示材料を注入することにより、表示材料の外表面が隔壁形成材で覆われた状態(隔壁形成材の中に表示材料が浮いた状態)となり、隔壁形成材を硬化させるだけで、簡便に複数の表示セルを形成することができるためである。尚、界面重合反応を用いて、隔壁形成材と表示材料の分散媒(溶媒)との界面に高分子の膜を形成してもよい。
隔壁形成材を硬化させた後に、マイクロ流路を取り除くことにより、複数の表示セルを有する表示セル形成体が得られるが、複数の表示セルが形成されたマイクロ流路をそのまま表示セル形成体として使用することもできる。
表示材料封入パネルは、表示セル形成体を一方の基板上に載置又は転写し、表示セル形成体の上から他方の基板を覆設して製造することができる。尚、表示セル形成体と各基板は、接着や溶着などで接合することができる。また、初めから基板間にマイクロ流路を形成し、基板間に直接、表示セル形成体を形成して製造することもできる。
尚、マイクロ流路の数や断面形状は、適宜、選択することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示材料封入パネルであって、前記表示セル形成体が、基板間に1乃至複数列配設された構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)表示セル形成体が、基板間に1乃至複数列配設されることにより、複数の表示セルを均一に高密度で縦横に配置することができ、高精細性に優れる。
(2)異なる色を表示する複数の表示セル形成体を組み合わせて配列することにより、列単位で表示色を選択することができ、フルカラー表示を行うことが可能で、高品質性に優れる。
(3)表示セル形成体が列単位で形成されるので、従来のように縦横に配置された複数のセル内に個別に帯電粒子分散液を充填したり、有機EL材料を基板上に真空蒸着或いは噴射して薄膜を形成したりする場合に比べ、量産性に優れる。
【0011】
ここで、基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート,ポリエーテルスルフォン等の透明な合成樹脂、ガラス等でフィルム状やシート状に形成されたものが好適に用いられる。屈曲や湾曲が自在な厚みに形成された透明な合成樹脂で基板が形成されている場合は、フレキシブルな表示材料封入パネルを得ることができ、設置自在性、形状自在性に優れる。
各基板には必要に応じて電極を形成する。電極としては、ITO、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、共役系の導電性ポリアニリンやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸からなる導電性高分子(PEDOT/PSS)等の透明電極が好適に用いられる。
また、各基板に形成する電極のパターンは、表示材料封入パネルの用途に応じて、適宜、選択することができる。
【0012】
表示材料として帯電粒子分散液を封入した表示材料封入パネルを電子シャッターに用いる場合、単に全面で光の透過と不透過を切り替えるだけであれば、各基板の全面に電極を形成し、その間に電圧を印加すればよい。
一対の基板のいずれか一方にセル単位に分割した電極を形成したものや、一方の基板に行単位に分割した電極を形成し、他方の基板に列単位に分割した電極を形成したものであれば、選択的(部分的)に光の透過と不透過を切り替えることができる電子シャッター或いは所望の画像を表示する画像表示媒体に用いることができる。
画像表示媒体として用いる場合、一方の基板に電極を形成し、電子又はイオンを発生させる画像書込手段(印字ヘッド)により、他方の基板の表面に選択的に電子やイオンを照射して電荷を注入し、基板間の電位差によって帯電粒子を移動させて、所望の画像を表示することもできる。このとき、一方の基板に形成する電極のパターンは、適宜、選択することができる。
また、TFT(薄膜トランジスタ)などのアクティブ素子を各画素に配置して駆動する(アクティブ・マトリクス駆動)か、直交させたストライプ電極にタイミングを合わせて電流を流すことでその交点の各画素を順次駆動する(パッシブ・マトリクス駆動)かのどちらかの駆動方式を用いることにより、有機EL材料が封入された表示材料封入パネルを有機ELディスプレイとして使用することができる。薄膜トランジスタや薄膜ダイオードを搭載することにより、高精細な画像を大画面で表示することができ、画像の高品質性に優れ、カラー画像(特にフルカラー)の表示に好適に用いることができる。
【0013】
表示材料が、帯電粒子分散液の場合、例えば白色と黒色等の異なる色に着色された2種類の着色粒子により単色表示を行うことができ、表示材料封入パネルを電子シャッターやモノカラーの画像表示媒体として使用することができる。また、表示セル形成体を列単位で複数の領域に分割し、領域毎に異なる色を表示するようにしてもよい。さらに、加法混色法における三原色(R,G,B)を持つカラーフィルタや減法混色法における三原色(Y,M,C)を持つ反射層と組合せてフルカラー表示を行うこともできる。
尚、表示材料封入パネルを画像表示媒体に用いる場合には、白色等の背景色を表示する着色粒子以外を減法混色法における三原色(Y,M,C)等の表示原色に着色することにより、カラーフィルタや反射層を用いずにフルカラー表示を行うことができる。
【0014】
表示材料が、有機EL材料の場合、白色、青色、黄色などの発光色を有する有機EL材料により、モノカラーやエリアカラーの有機ELディスプレイとして使用することができる。また、加法混色法における三原色(R,G,B)の各発光色を有する有機EL材料をそれぞれ列単位で表示セル形成体に表示材料として封入すれば、フルカラー表示の有機ELディスプレイとして使用することができる。尚、青色(B)の発光色を有する有機EL材料のみを用い、その発光の一部を色変換層によって赤色(R)と緑色(G)に変換し、フルカラー表示を行うことや、白色の発光色を有する有機EL材料のみを用い、三原色(R,G,B)のカラーフィルタと組合せてフルカラー表示を行うこともできる。
帯電粒子分散液又は有機EL材料が、複数列の表示セル形成体に帯電粒子の色単位又は有機EL材料の発光色単位で縞模様状に繰り返し並ぶように配置した場合、各色の合成による表示色の制御を容易にし、色ずれを防止することができ、画像表示媒体や有機ELディスプレイとしての色の再現性、画像の高品質性に優れる。
【0015】
本発明の請求項3に記載の表示材料封入パネルの製造方法は、マイクロ流路の内部に表示材料と前記表示材料の外表面を覆う隔壁形成材とを注入して複数の表示セルを配列する表示セル配列工程と、前記隔壁形成材を硬化させる隔壁形成材硬化工程により、表示セル形成体を形成する構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)マイクロ流路の内部に表示材料と表示材料の外表面を覆う隔壁形成材とを注入して複数の表示セルを配列する表示セル配列工程と、隔壁形成材を硬化させる隔壁形成材硬化工程により、表示セル形成体を形成するので、複数の表示セルを簡単に精度よく整列させることができ、高精細性、量産性に優れる。
(2)表示材料の外表面が隔壁形成材で覆われた状態で、複数の表示セルがマイクロ流路の内部に配列されるので、隣接する表示セル同士が連通することがなく、また、複数列のマイクロ流路に同時に表示セルを配列する場合でも、隣接する列間で表示材料が混ざり合うことがないので、各列に表示材料として異なる色に着色された帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液や異なる発光色を有する液体状の有機EL材料を確実に充填し、複数列の表示セル形成体を列単位で多色に塗り分けることができ、従来のように縦横に配置された複数のセル内に個別に帯電粒子分散液を充填したり、有機EL材料を基板上に真空蒸着或いは噴射して薄膜を形成したりする方法に比べ、表示材料の密閉性、表示セルの均一性、高品質性、耐久性、量産性に優れる。
【0016】
ここで、チューブなどの筒体(中空体)をマイクロ流路として用いてもよいし、一方の基板上に凹溝又は仕切壁を形成し、他方の基板で蓋をしてマイクロ流路を形成してもよい。
尚、マイクロ流路に表示材料や隔壁形成材を注入するには、マイクロポンプなどが好適に用いられる。表示材料として帯電粒子分散液や有機EL材料を略均一に封入することができ、電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイなどに用いた際のコントラストや濃度の斑を低減でき、品質の均一性に優れるためである。
隔壁形成材硬化工程では、マイクロ流路を加熱したり、マイクロ流路を透過する光を隔壁形成材に照射したりして、隔壁形成材を硬化させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記マイクロ流路が、基板部と前記基板部に立設された複数列の仕切壁とを有するマイクロ流路形成型と、前記マイクロ流路形成型の前記仕切壁の上面に圧接される第1基板によって形成される構成を有している。
この構成により、請求項3の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)マイクロ流路が、基板部と基板部に立設された複数列の仕切壁とを有するマイクロ流路形成型と、マイクロ流路形成型の仕切壁の上面に圧接される第1基板によって形成されるので、高精細のマイクロ流路を容易に形成することができ、量産性に優れる。
(2)基板部に複数列の仕切壁が立設されたマイクロ流路形成型に第1基板を圧接してマイクロ流路を形成するので、複数列のマイクロ流路で表示セル形成体を形成する場合でも各々のマイクロ流路を仕切壁によって確実に仕切ることができ、隔壁形成材硬化工程により隔壁形成材を硬化させる前でも、隣接するマイクロ流路の間で、表示材料や隔壁形成材が移動することや混ざり合うことがなく、複数の表示セルを縦横に精度よく配置することができ、高精細で、画像の視認性、高品質性、均一性に優れる。
(3)表示セル形成体の各々の表示セルの表示材料が、隔壁形成材硬化工程により硬化させた隔壁形成材で覆われているので、第1基板側に表示セルを区切るための隔壁を形成する必要がなく、第1基板と表示セル形成体とを簡便かつ確実に接着することができ、量産性、耐久性に優れる。
【0018】
ここで、マイクロ流路形成型を前述の基板と同様の材質で形成した場合、マイクロ流路形成型に第1基板を圧接する際に、マイクロ流路形成型の仕切壁の上面又は第1基板の圧接面に接着剤を塗布しておき、熱やUV光などで硬化させてマイクロ流路を形成すれば、その内部に表示セル形成体を形成して、そのまま表示材料封入パネルとして使用することができる。
また、マイクロ流路形成型をステンレスなどの金属、シリコンゴム、合成樹脂などで形成した場合は、表示セル形成体を形成した後に、マイクロ流路形成型と第1基板を分離して表示セル形成体を取り出し(第1基板上に転写し)、マイクロ流路形成型の代わりに第2基板を覆設して表示材料封入パネルを得ることができる。この場合、隔壁形成材硬化工程では、マイクロ流路形成型を外からヒータなどで加熱してもよいが、マイクロ流路形成型の基板部にヒータを埋設した場合、ヒータの発する熱を隔壁形成材に効率的に伝達することができ、短時間で確実に隔壁形成材を硬化させることができるので好ましい。
尚、第1基板及び第2基板は、前述の基板と同様なので説明を省略する。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記マイクロ流路形成型を取り除いて前記表示セル形成体を前記第1基板上に転写する転写工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項4の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)マイクロ流路形成型を取り除いて表示セル形成体を第1基板上に転写する転写工程を有するので、第1基板上に複数の表示セルを精度よく整列させることができ、量産性、高品質性に優れる。
(2)転写工程により第1基板上に転写される表示セル形成体の表示セルの表面が隔壁形成材で覆われているので、表示セル形成体を圧縮して扁平化することにより、表示材料封入パネル全体の厚みを薄くすることができると共に、隣接する表示セル間の隔壁形成材を薄膜化し、表示セルを高精細化、高輝度化して、画像の視認性、均一性を向上させることができる。
【0020】
ここで、隔壁形成材は、隔壁形成材硬化工程における硬化と共に第1基板への接着が行われるので、転写工程ではマイクロ流路形成型を取り除くことにより、表示セル形成体が第1基板上に転写される。尚、マイクロ流路形成型を離型性のよい材料で形成することやマイクロ流路形成型の内表面に離型材を塗布することにより、マイクロ流路形成型を容易に取り除くことができ、表示セル形成体を第1基板上に確実に転写することができる。
転写工程後に、第2基板を表示セル形成体を挟んで第1基板と対向配置し、表示セル形成体の隔壁形成材に接着すること(第2基板覆設工程)により、表示材料封入パネルを製造することができる。
第2基板も第1基板と同様に、表示セルを区切るための隔壁を形成する必要がなく、平板状の第1基板及び第2基板で表示セル形成体を挟むようにして簡便かつ確実に接着することができる。このとき、第1基板と第2基板で表示セル形成体を圧縮して扁平化することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の表示材料封入パネル及び表示材料封入パネルの製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)表示材料が封入された複数の表示セルを簡単に整列させて列単位の表示セル形成体を形成することができ、表示セルの位置決めが容易で、量産性、高精細性に優れた表示材料封入パネルを提供することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)複数の表示セルを均一に高密度で縦横に配置することができる高精細性に優れた表示材料封入パネルを提供することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)複数の表示セルを簡単に精度よく整列させることができる高精細性、量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示セル形成体を形成するための高精細のマイクロ流路を容易に形成することができる量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)第1基板上に複数の表示セルを精度よく整列させることができる量産性、高品質性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法におけるマイクロ流路形成工程を示す要部断面模式図 (b)実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法におけるマイクロ流路を示す要部断面模式図
【図2】(a)実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における表示セル配列工程を示す要部断面模式平面図 (b)図2(a)のA部拡大模式図
【図3】(a)実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における隔壁形成材硬化工程を示す要部断面模式図 (b)実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における転写工程を示す要部断面模式図
【図4】実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における第2基板覆設工程を示す要部断面模式図
【図5】(a)実施の形態2の表示材料封入パネルの製造方法における表示セル配列工程を示す要部模式平面図 (b)実施の形態2の表示材料封入パネルの製造方法における表示セル配列工程の変形例を示す要部拡大模式平面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における表示材料封入パネル及び表示材料封入パネルの製造方法について、以下図面を参照しながら説明する。尚、本発明の技術的範囲は本実施の形態に限定されるものではない。
まず、表示材料封入パネルの製造方法におけるマイクロ流路形成工程について説明する。
図1(a)は実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法におけるマイクロ流路形成工程を示す要部断面模式図であり、図1(b)は実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法におけるマイクロ流路を示す要部断面模式図である。
図1中、1は本発明の実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法で用いる金属製やシリコンゴム製などのマイクロ流路形成型、1aはマイクロ流路形成型1の基板部、1bは基板部1aに立設された複数列の仕切壁、2は基板部1aに埋設されたヒータ、3は透明なPETで屈曲,湾曲自在な厚みに形成された第1基板、3aはITO、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、共役系の導電性ポリアニリンやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸からなる導電性高分子(PEDOT/PSS)等の透明電極で第1基板3の表面全体に共通して形成されたベタ状(平板状)の電極、4はマイクロ流路形成型1の仕切壁1bの上面に第1基板3を圧接することによって形成される複数列のマイクロ流路(図1(b))である。
マイクロ流路形成工程においては、図1に示すように、マイクロ流路形成型1の仕切壁1bの上面に第1基板3の電極3a側を圧接し、マイクロ流路4を形成する。
【0028】
次に、表示セル配列工程について説明する。
図2(a)は実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における表示セル配列工程を示す要部断面模式平面図であり、図2(b)は図2(a)のA部拡大模式図である。
図2(a)中、20は一端部がマイクロ流路4に挿通され他端部に配設されるマイクロポンプ等(図示せず)により、マイクロ流路4の内部に、後述する表示材料及び隔壁形成材を注入するためのマイクロチューブである。
図2(b)中、5はマイクロ流路4の内部に複数配列されて形成された表示セル、6はマイクロ流路4に注入される表示セル5の表示材料としての帯電粒子分散液、6aは脂肪族炭化水素,イソパラフィン,シリコンオイル等の絶縁性流体からなる帯電粒子分散液6の分散媒(溶媒)、6bは正又は負に帯電し減法混色法における三原色(Y,M,C)の表示原色のいずれかに着色され分散媒6aの中に分散された有色帯電粒子、6cは有色帯電粒子6bと逆極性に帯電し分散媒6aの中に分散された酸化チタン微粒子やアルミナ微粒子等を用いた白色帯電粒子、7は表示セル5の帯電粒子分散液6(表示材料)の外表面を覆う液状の隔壁形成材である。
図2(a)の表示セル配列工程においては、マイクロチューブ20を用いて、マイクロ流路4の内部に隔壁形成材7を充填しながら、所定の間隔で帯電粒子分散液6を注入することにより、帯電粒子分散液6(表示材料)の外表面が隔壁形成材7で覆われ、複数の表示セル5が整列して形成される。
【0029】
次に、隔壁形成材硬化工程及び転写工程について説明する。
図3(a)は実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における隔壁形成材硬化工程を示す要部断面模式図であり、図3(b)は実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における転写工程を示す要部断面模式図である。
図3(b)中、8は第1基板3上に転写された表示セル形成体である。
まず、図3(a)の隔壁形成材硬化工程において、ヒータ2でマイクロ流路形成型1を介してマイクロ流路4内の表示セル5の隔壁形成材7を加熱して硬化させる。
次に、図3(b)の転写工程において、マイクロ流路形成型1と第1基板3を分離し、マイクロ流路4で形成された表示セル形成体8を第1基板3上に転写する。
【0030】
隔壁形成材7は、隔壁形成材硬化工程における硬化と共に第1基板3の電極3aへの接着が行われるので、転写工程ではマイクロ流路形成型1を取り除くことにより、表示セル形成体8が第1基板3上に転写される。尚、マイクロ流路形成型1を離型性のよい材料で形成することやマイクロ流路形成型1の内表面に離型材を塗布することにより、マイクロ流路形成型1を容易に取り除くことができ、表示セル形成体8を第1基板3上に確実に転写することができる。
マイクロ流路形成型1の基板部1aにヒータ2を埋設したことにより、ヒータ2の発する熱を隔壁形成材7に効率的に伝達することができ、短時間で確実に隔壁形成材7を硬化させることができた。
尚、隔壁形成材硬化工程は、本実施の形態に限定されるものではなく、マイクロ流路形成型1を外からヒータなどで加熱して硬化させてもよいし、マイクロ流路形成型1を透過する光を隔壁形成材7に照射して硬化させてもよい。
【0031】
次に、第2基板覆設工程について説明する。
図4は実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法における第2基板覆設工程を示す要部断面模式図である。
図4において、9は各々の表示セル5(画素)に対応してTFT(薄膜トランジスタ)9aが搭載された第2基板、10は画像表示媒体として用いることができる実施の形態1の表示材料封入パネルである。
第2基板覆設工程において、第2基板9を表示セル形成体8を挟んで第1基板3と対向配置し、表示セル形成体8の隔壁形成材7に接着することにより、表示材料封入パネル10が得られる。このとき、表示セル形成体8を圧縮して扁平化することにより、表示材料封入パネル10全体の厚みを薄くすることができると共に、隣接する表示セル5同士を密着させ、表示セル5の高精細化、高輝度化を図ることができる。
【0032】
複数列の表示セル形成体8において、帯電粒子分散液6に含まれる有色帯電粒子6b(図2(b)参照)が、列毎に色単位で縞模様状に繰り返し並ぶように配置することにより、各色の合成による表示色の制御を容易にし、色ずれを防止することができ、表示材料封入パネル10を画像表示媒体として用いた際の色の再現性、画像の高品質性に優れる。
また、TFT(薄膜トランジスタ)9aを搭載することにより、高精細な画像を大画面で表示することができ、高品質なフルカラー画像を表示することができる。
尚、本実施の形態では、表示材料として帯電粒子分散液6を用いたが、代わりに有機EL材料などの各種表示材料を用いることができる。
また、第2基板9にTFT9aを搭載する代わりに、電極を形成してもよい。尚、表示材料封入パネル10は、第1基板3と第2基板9との間の電位差により、帯電粒子分散液5に含まれる有色帯電粒子6b及び白色帯電粒子6cを選択的に移動させることができればよいので、第1基板3及び第2基板9に形成する電極のパターンは、その用途に応じて、適宜、選択することができる。
【0033】
実施の形態1の表示材料封入パネルは、以下の作用を有する。
(1)表示材料と、表示材料の外表面を覆う隔壁形成材と、を有する表示セルが、マイクロ流路の内部に複数配列されて形成された表示セル形成体を備えることにより、複数の表示セルを簡単に整列させることができ、位置決めが容易で、量産性、高精細性に優れる。
(2)表示材料の外表面が隔壁形成材で覆われた状態で、マイクロ流路の内部に配列されて複数の表示セルが形成されるので、隣接する表示セル間で表示材料が混ざり合うことがなく、表示セルの均一性、高品質性に優れる。
(3)複数の表示セルを表示セル形成体として列単位でまとめて取り扱うことができ、量産性、組立作業性に優れる。
(4)表示セル形成体が、第1基板と第2基板の間に複数列配設されることにより、複数の表示セルを均一に高密度で縦横に配置することができ、高精細性に優れる。
(5)異なる色を表示する複数の表示セル形成体を組み合わせて配列することにより、列単位で表示色を選択することができ、フルカラー表示を行うことが可能で、高品質性に優れる。
(6)表示セル形成体が列単位で形成されるので、従来のように縦横に配置された複数のセル内に個別に帯電粒子分散液を充填したり、有機EL材料を基板上に真空蒸着或いは噴射して薄膜を形成したりする場合に比べ、量産性に優れる。
【0034】
実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法は、以下の作用を有する。
(1)マイクロ流路の内部に表示材料と表示材料の外表面を覆う隔壁形成材とを注入して複数の表示セルを配列する表示セル配列工程と、隔壁形成材を硬化させる隔壁形成材硬化工程により、表示セル形成体を形成するので、複数の表示セルを簡単に精度よく整列させることができ、高精細性、量産性に優れる。
(2)表示材料の外表面が隔壁形成材で覆われた状態で、複数の表示セルがマイクロ流路の内部に配列されるので、隣接する表示セル間で表示材料が混ざり合うことがなく、また、複数列のマイクロ流路に同時に表示セルを配列する場合でも、隣接する列間で表示材料が混ざり合うことがないので、各列に表示材料として異なる色に着色された帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液や異なる発光色を有する液体状の有機EL材料を確実に充填し、複数列の表示セル形成体を列単位で多色に塗り分けることができ、従来のように縦横に配置された複数のセル内に個別に帯電粒子分散液を充填したり、有機EL材料を基板上に真空蒸着或いは噴射して薄膜を形成したりする方法に比べ、表示材料の密閉性、表示セルの均一性、高品質性、耐久性、量産性に優れる。
(3)マイクロ流路が、基板部と基板部に立設された複数列の仕切壁とを有するマイクロ流路形成型と、マイクロ流路形成型の仕切壁の上面に圧接される第1基板によって形成されるので、高精細のマイクロ流路を容易に形成することができ、量産性に優れる。
(4)基板部に複数列の仕切壁が立設されたマイクロ流路形成型に第1基板を圧接してマイクロ流路を形成するので、複数列のマイクロ流路で表示セル形成体を形成する場合でも各々のマイクロ流路を仕切壁によって確実に仕切ることができ、隔壁形成材硬化工程により隔壁形成材を硬化させる前でも、隣接するマイクロ流路の間で、表示材料や隔壁形成材が移動することや混ざり合うことがなく、複数の表示セルを縦横に精度よく配置することができ、高精細で、画像の視認性、高品質性、均一性に優れる。
(5)表示セル形成体の各々の表示セルの表示材料が、隔壁形成材硬化工程により硬化させた隔壁形成材で覆われているので、第1基板側に表示セルを区切るための隔壁を形成する必要がなく、第1基板と表示セル形成体とを簡便かつ確実に接着することができ、量産性、耐久性に優れる。
(6)マイクロ流路形成型を取り除いて表示セル形成体を第1基板上に転写する転写工程を有するので、第1基板上に複数の表示セルを精度よく整列させることができ、量産性、高品質性に優れる。
(7)転写工程により第1基板上に転写される表示セル形成体の表示セルの表面が隔壁形成材で覆われているので、表示セル形成体を圧縮して扁平化することにより、表示材料封入パネル全体の厚みを薄くすることができると共に、隣接する表示セル同士を密着させ、、表示セルを高精細化、高輝度化して、画像の視認性、均一性を向上させることができる。
【0035】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における表示材料封入パネルの製造方法について、以下図面を参照しながら説明する。尚、本発明の技術的範囲は本実施の形態に限定されるものではない。
図5(a)は実施の形態2の表示材料封入パネルの製造方法における表示セル配列工程を示す要部模式平面図であり、図5(b)は実施の形態2の表示材料封入パネルの製造方法における表示セル配列工程の変形例を示す要部拡大模式平面図である。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図5(a)中、21は各々のマイクロチューブ20に延設され徐々に幅広になるように形成され扇状に配置される供給部、22a,22b,22cはそれぞれ供給部21と連結孔23で接続され、異なる色(例えば、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン))に着色された有色帯電粒子6bと白色帯電粒子6cを分散媒6aに分散させた帯電粒子分散液6を有色帯電粒子6bの色(Y,M,C)毎に供給部21に供給する表示材料注入管である。
供給部21は、帯電粒子分散液6中の有色帯電粒子6b(Y,M,C)が色単位で縞模様状に繰り返し並ぶように表示材料注入管22a,22b,22cと連結孔23で接続され繰り返し配置される。
【0036】
表示セル配列工程では、各々の供給部21から隔壁形成材7を充填する隔壁形成材充填工程と、各々の表示材料注入管22a,22b,22cから表示材料として帯電粒子分散液6を注入する表示材料注入工程を行う。隔壁形成材充填工程で隔壁形成材7を充填しながら、所定の間隔で表示材料注入工程により帯電粒子分散液6を注入することにより、帯電粒子分散液6が隔壁形成材7で覆われた状態となり、複数の表示セル5が整列して形成される。
供給部21、表示材料注入管22a,22b,22c、連結孔23のピッチを広げ、供給部21と表示材料注入管22a,22b,22cとを連結孔23によって確実に接続することができ、マイクロチューブ20のピッチを狭くして、表示セル5を高密度に配列することが可能で、量産性、高品質性に優れる。
【0037】
次に、実施の形態2の表示材料封入パネルの製造方法における表示セル配列工程の変形例について説明する。
図5(b)中、20aは複数のマイクロチューブ20の端部を並列に束ねて幅広に形成した集合部である。
実施の形態1では、複数列の仕切壁1bで仕切られた複数のマイクロ流路4に対し、それぞれ1本ずつマイクロチューブ20を挿通し、表示セル5の注入を行ったが、図5(b)に示すように、仕切壁1bのない1本のマイクロ流路4に対し、複数本のマイクロチューブ20から同時に表示セル5の注入を行うこともできる。
これにより、隣接するマイクロチューブ20から注入される表示セル5を密着させて高密度化を図ることができ、高品質性に優れる。
尚、図5(a)で説明したマイクロチューブ20の先端に集合部20aを形成してもよい。
【0038】
実施の形態2の表示材料封入パネルの製造方法は、実施の形態1と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)マイクロチューブを狭いピッチで配列して、表示セルを高密度に配置することができ、量産性、画像の高品質性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、帯電粒子や有機EL材料などの表示材料が略均一に封入され、必要に応じて電圧を印加したり、電荷を注入したりして、光の透過、不透過を短時間で切り替えることができる応答性に優れた電子シャッターや所望の画像を簡便に表示することができる画像の高品質性に優れた画像表示媒体として使用できる表示材料封入パネルの提供、及び簡素な製造工程で帯電粒子や有機EL材料などの表示材料を確実かつ略均一に封入することができる高歩留まりで量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法の提供を行って、電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイの普及を図ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 マイクロ流路形成型
1a 基板部
1b 仕切壁
2 ヒータ
3 第1基板
3a 電極
4 マイクロ流路
5 表示セル
6 帯電粒子分散液
6a 分散媒(溶媒)
6b 有色帯電粒子
6c 白色帯電粒子
7 隔壁形成材
8 表示セル形成体
9 第2基板
9a TFT(薄膜トランジスタ)
10 表示材料封入パネル
20 マイクロチューブ
20a 集合部
21 供給部
22a,22b,22c 表示材料注入管
23 連結孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示材料と、前記表示材料の外表面を覆う隔壁形成材と、を有する表示セルが、マイクロ流路の内部に複数配列されて形成された表示セル形成体を備えたことを特徴とする表示材料封入パネル。
【請求項2】
前記表示セル形成体が、基板間に1乃至複数列配設されたことを特徴とする請求項1に記載の表示材料封入パネル。
【請求項3】
マイクロ流路の内部に表示材料と前記表示材料の外表面を覆う隔壁形成材とを注入して複数の表示セルを配列する表示セル配列工程と、前記隔壁形成材を硬化させる隔壁形成材硬化工程により、表示セル形成体を形成することを特徴とする表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項4】
前記マイクロ流路が、基板部と前記基板部に立設された複数列の仕切壁とを有するマイクロ流路形成型と、前記マイクロ流路形成型の前記仕切壁の上面に圧接される第1基板によって形成されることを特徴とする請求項3に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項5】
前記マイクロ流路形成型を取り除いて前記表示セル形成体を前記第1基板上に転写する転写工程を備えたことを特徴とする請求項4に記載の表示材料封入パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−4381(P2013−4381A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135748(P2011−135748)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(302004366)有限会社 福岡テクノ研工業 (16)
【出願人】(310009454)
【出願人】(504224153)国立大学法人 宮崎大学 (239)
【Fターム(参考)】