説明

表示板、表示装置、電子機器、計測装置

【課題】平面的な表示に厚みをもたせて立体感及び浮遊感を与えることができるとともに、表示板全体の外観を照光時と非照光時とで相違させることが可能な表示板、表示装置、電子機器、計測装置を提供する。
【解決手段】基板に形成された静的な表示をバックライトによって照明する表示板であって、透光性を有する材料からなる基板10と、基板10の表面側に位置する遮光性のポジ表示10aと、基板10の裏面側に位置する遮光層11と、遮光層11中に形成され、ポジ表示10aに対応する輪郭形状を有し、基板10の肉厚を介してポジ表示10aに重複する透光性のネガ表示11aと、を含み、ポジ表示10aとネガ表示11aとの大きさを大小異ならせ、互いの輪郭形状をオフセットさせた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、カメラのモードダイヤルやスピードメータなどに用いられるバックライトを備えた自発光式の表示板、及びこれを備えた表示装置に関し、特に、平面的な表示に厚みをもたせて立体感及び浮遊感を与えることができるとともに、表示板全体の外観を照光時と非照光時とで相違させることが可能な表示板、表示装置、電子機器、計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラやコンパクトカメラには、複数のプログラム露出モードの中から一つを選択するモードダイヤルを備えたものがあった。従来のモードダイヤルは、回転可能な円形のダイヤルに表示された図形、記号、文字又は数字を、カメラ本体に固定された指標位置に合わせる構成となっていた。
【0003】
また、下記の特許文献1〜7には、前記ダイヤルに透光性を有する絵文字等の表示を形成し、この表示をLEDバックライトによって照明するモードダイヤルが提案されている。このような照明付きモードダイヤルでは、ダイヤルを回転させて絵文字等の表示を指標位置に合わせると、当該表示が自発光して選択されたモードを報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−005075号公報
【特許文献2】特開2001−005076号公報
【特許文献3】特開2001−005085号公報
【特許文献4】特開2002−062570号公報
【特許文献5】特開2002−075106号公報
【特許文献6】特開2006−003806号公報
【特許文献7】特開2007−199362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1〜7のモードダイヤルは、透光性を有する絵文字等の表示をLEDバックライトによって自発光させるだけの構成なので、表示が平面的であり、斬新さに欠けるという問題があった。また、透光性を有する絵文字等の表示は、一般に乳白色や半透明となっており、遮光性の印刷表示と比較して、非照光時の視認性が低いという問題があった。
【0006】
さらに、特許文献1〜7のモードダイヤルは、いずれも照光時と非照光時とにおいて、いずれかの表示が点灯しているか否かの相違しかなく、表示部全体の外観を照光時と非照光時とで大きく相違させるものではなかった。
【0007】
なお、自動車のインストルメントパネルには、自発光式メータのカバーを透過率20%程度のスモークグラスで覆い、イグニッションキーをONにしたとき以外、メータの表示が見えないブラックアウト型のものがあった。このようなブラックアウト型自発光式メータは、イグニッションキーをONにしたときにメータの表示が浮かび上がり、表示板全体の外観が照光時と非照光時とで大きく相違する。
【0008】
しかし、ブラックアウト型自発光式メータは、バックライトを常時点灯させなければ、メータの表示を視認することができず、晴れた日の屋外などでバックライトを消灯させて使用することができないという問題がある。また、バックライトの消灯時に表示板全体をブラックアウトさせるために、表示板のデザインは暗色(一般的には黒)に制限されてしまい、表示板の表面にテクスチャ模様などの細かいデザインを施しても、暗くて視認することができないという問題もある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、平面的な表示に厚みをもたせて立体感及び浮遊感を与えることができるとともに、表示板全体の外観を照光時と非照光時とで相違させることが可能な表示板、表示装置、電子機器、計測装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の表示板は、基板に形成された静的な表示をバックライトによって照明する表示板であって、透光性を有する材料からなる前記基板と、前記基板の表面側に位置する遮光性のポジ表示と、前記基板の裏面側に位置する遮光層と、前記遮光層中に形成され、前記ポジ表示に対応する輪郭形状を有し、前記基板の肉厚を介して前記ポジ表示に重複する透光性のネガ表示と、を含み、前記ポジ表示と前記ネガ表示との大きさを大小異ならせ、互いの輪郭形状をオフセットさせた構成としてある。
【0011】
上記構成によれば、互いの輪郭形状をオフセットさせたポジ表示とネガ表示とを、基板厚み方向の間隔をおいて重複させることにより、バックライトの照光時において、遮光性のポジ表示が、ネガ表示を透過した照光で背後から照明され、これらポジ表示とネガ表示とで形成された一体の表示を立体的に見せることが可能となる。一方、バックライトの非照光時には、外部からの光を受けて遮光性のポジ表示を良好に視認することができる。
【0012】
好ましくは、前記ポジ表示及び/又は前記ネガ表示を印刷により形成した構成とし、より好ましくは、前記ポジ表示及び/又は前記ネガ表示をフィルムに印刷し、前記フィルムを前記基板に積層した構成としてもよい。
【0013】
上記構成によれば、ポジ表示、ネガ表示を基板に直接印刷した場合には、表示板の積層構造を簡単化することができ、表示板の薄型化、組立工数の削減を図ることができる。一方、ポジ表示、ネガ表示をフィルムに印刷して基板に積層した場合には、フィルムに着色したり、テクスチャ模様を施したりすることができ、表示板の背景を任意にデザインすることが可能となる。好ましくは、ポジ表示、ネガ表示をフィルムの裏面に印刷すると、これらポジ表示、ネガ表示がフィルムによって保護される。
【0014】
好ましくは、前記遮光層を、前記ネガ表示を除く黒色抜き印刷とした構成とし、より好ましくは、前記基板の裏面側における前記遮光層よりも上に、半透光性の背景加飾層を形成した構成としてもよい。
【0015】
上記構成によれば、遮光層を黒色抜き印刷とすることにより、ネガ表示を除く背景部分の遮光性を良好にすることができる。また、このような遮光層よりも上に半透光性の背景加飾層を形成し、この背景加飾層によってネガ表示を覆うにより、バックライトの非照光時に、ネガ表示を隠蔽してポジ表示の背景デザインを統一することが可能となる。
【0016】
好ましくは、前記基板の裏面側における前記遮光層のよりも上に、少なくとも前記ネガ表示に対応する領域に透光性をもたせた、遮光性、透光性又は半透光性の背景加飾層を形成した構成とし、好ましくは、前記基板の裏面側における前記遮光層のよりも下に、少なくとも前記ネガ表示に対応する半透光性の背景加飾層を形成した構成としてもよい。
【0017】
上記構成によれば、背景加飾層の少なくともネガ表示に対応する領域に透光性をもたせたことにより、ネガ表示を透過する照光量を確保しつつ、背景加飾層を遮光性又は半透光性のいずれにすることもでき、ポジ表示の背景デザインの自由度を拡大することが可能となる。また、遮光層のよりも下に、少なくともネガ表示に対応する半透光性の他の背景加飾層を形成したことにより、ネガ表示のみを背景部分と異なるデザインにすることができる。
【0018】
好ましくは、前記背景加飾層を、金属薄膜、カラー印刷、スモーク印刷、又は微細凹凸からなるテクスチャ模様印刷のいずれかとした構成としてもよい。
【0019】
上記構成によれば、金属薄膜、カラー印刷、スモーク印刷、又は微細凹凸のいずれか一つ又は二以上の組み合わせにより、表示板の背景又はネガ表示を種々のデザインにすることができる。
【0020】
例えば、背景加飾層を金属薄膜で形成した場合は、表示板の背景又はネガ表示の外観を金属調、ミラー調、シェル調等にすることができる。背景加飾層は、遮光層とは別に基板に形成されるものであるから、背景加飾層としての金属製膜は、遮光性又は半透光性のいずれであってもよい。
【0021】
また、背景加飾層をカラー印刷した場合は、表示板の背景又はネガ表示を任意の色に着色することができる。カラー印刷の色は有彩色又は無彩色のいずれであってもよく、一色又は二色以上であってもよい。上述した金属薄膜の上にカラー印刷を施し、背景加飾層をメタリック調のカラーとしてもよい。
【0022】
さらに、背景加飾層をスモーク印刷した場合は、例えば、表示板の背景とネガ表示との両方をスモーク印刷することにより、バックライトの非照光時に、ネガ表示を隠蔽してポジ表示の背景デザインを統一することができる。また、ネガ表示のみをスモーク印刷して黒色にしてもよい。
【0023】
これに加え、背景加飾層を微細凹凸とした場合は、表示板の背景又はネガ表示に質感をもたせるテクスチャ模様を付加することができる。なお、微細凹凸には、例えば、金属加工のヘアライン模様、カーボンファイバの繊維模様、一般的な市松模様、水玉模様、唐草模様などのあらゆる模様が含まれる。
【0024】
好ましくは、前記基板の裏面側における前記遮光層のよりも下に、前記バックライトの照光を着色する照光着色層を形成した構成とする。このような構成によれば、照光着色層により、バックライトの照光時に、表示板の背景又はネガ表示を任意の色に発光させることが可能となり、照光時のデザインの自由度を拡大することができる。
【0025】
好ましくは、前記基板の表面側又は裏面側に、微細凹凸からなるテクスチャ模様を形成した透光性を有する加飾フィルムを積層した構成としてもよい。このような構成によれば、例えば、加飾フィルムを基板の表面側に積層した場合は、ポジ表示を含む表示板全体にテクスチャ模様を付加することができる。また、加飾フィルムを基板の裏面側において、遮光層よりも上に積層した場合は、表示板の背景及びネガ表示の全体にテクスチャ模様を付加することができ、遮光層よりも下に積層した場合は、バックライトの照光時に、ネガ表示のみにテクスチャ模様を発現させることができる。
【0026】
上述した本発明の表示板は、例えば、カメラのモードダイヤルなどの電子機器の操作部、スピードメータ、タコメータ、時計などの計測装置の文字盤、企業名や店舗名を表示する銘板、個人の表札等に広く適用することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の表示板、及びこれを備えた表示装置、電子機器、計測装置によれば、平面的な表示に厚みをもたせて立体感及び浮遊感を与えることができるとともに、表示板全体の外観を照光時と非照光時とで相違させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示板を示すものであり、同図(a)は、非照光時及び照光時の本表示板の外観を示す平面図、同図(b)は、同図(a)の部分斜視図、同図(c)及び(d)は、本表示板の積層構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る表示板を示すものであり、同図(a)は、背景を金属調にした表示板、同図(b)は、背景をスモーク調にした表示板の平面図である。また、同図(c)は、同図(a)の表示板の非照光時及び照光時の外観を示す部分斜視図、同図(d)は、同図(b)の表示板の非照光時及び照光時の外観を示す部分斜視図である。同図(e)は、本表示板の積層構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る表示板を示すものであり、同図(a)は、非照光時の本表示板の外観を示す平面図、同図(b)は、本表示板の積層構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る表示板を示すものであり、同図(a)は、背景をカーボンファイバの線維模様にした表示板の、非照光時及び照光時の外観を示す平面図である。同様に、同図(b)は、背景を金属加工のヘアライン模様にした表示板の、非照光時及び照光時の外観を示す平面図である。また、同図(c)は、同図(a)又は(b)の表示板の非照光時及び照光時の外観を示す部分斜視図である。
【図5】同図(a)〜(c)は、図4(a)又は(b)に示す本表示板の積層構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る表示板を示すものであり、同図(a)は、ネガ表示をポジ表示の縁取り状にした表示板の、非照光時及び照光時の外観を示す部分斜視図である。同図(b)は、本表示板の積層構造を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るカメラのモードダイヤルを示すものであり、同図(a)は非照光時の平面図、同図(b)は照光時の平面図、同図(c)は照光時の外観を示す部分斜視図である。また、同図(d)は本モードダイヤルの断面図、同図(e)は本モードダイヤルを構成する表示板の積層構造を示す部分断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスピードメータの文字盤を示すものであり、同図(a)は非照光時の平面図、同図(b)は同図(a)の部分拡大図である。同様に、同図(c)は非照光時の平面図、同図(d)は同図(c)の部分拡大図である。また、同図(e)は本文字盤の積層構造を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る表示板について、図1(a)〜(d)を参照しつつ説明する。
【0030】
<全体構成>
図1(a)及び(b)の左側の図は、本実施形態に係る表示板1の非照光時の外観を示すものである。これら図面において、表示板1は、透明な基板10の表面に印刷した遮光性のポジ表示10a(図中の黒塗り「ABC」を参照)を、図示しないLED等のバックライトにより、基板10の裏面側から照明する構成となっている。
【0031】
図1(c)の断面図に示すように、基板10の裏面全体には、任意の色に着色した遮光層11が印刷してある。本実施形態では、透明な基板10の裏面に直接、遮光層11を印刷しているので、この遮光層11の色が表示板1の背景色となる。遮光層11は、遮光性の高い黒色、紺色、焦茶色等の濃色とすることが好ましい(図1(a)〜(c)では、図示の便宜上、遮光層11の色をハッチングで示す)。また、表示板1の背景を遮光性の低い淡色、半透過性の金属皮膜又はスモーク印刷等とする場合には、図2(e)に示すような、遮光層11と別個に背景加飾層21を設けるとよい。
【0032】
このような遮光層11中には、透光性のネガ表示11aが抜き印刷してある。このネガ表示11aは、ポジ表示10aに対応する輪郭形状を有し、基板10の肉厚を介してポジ表示10aに重複する。本実施形態では、ネガ表示11aの各部の幅L2を、ポジ表示10aの各部の幅L1よりも若干大きくし、図1(a)及び(b)に示すように、ネガ表示11aの輪郭形状を、ポジ表示10aの輪郭形状の外側にオフセットさせてある。
【0033】
図1(c)に戻り、基板10の裏面側における遮光層11の下には、任意の色に着色した半透光性の照光着色層12が印刷してある。この照光着色層12は、ネガ表示11aとバックライトとの間に介在し、ネガ表示11aを透過する照光を任意の色に着色する。
【0034】
<非照光時における表示板の外観>
図1(a)及び(b)の左側の図に示すように、バックライトの非照光時において、表示板1は、外部からの光を受けてデザイン通りの色や質感を呈する。例えば、ポジ表示10aを赤色、遮光層11を黒色にしたならば、赤色の平面的な「ABC」の文字が、基板10の肉厚を介して黒色の背景上に浮かび上がって見える。
【0035】
このとき、ネガ表示11aは、照光着色層12自体の色を呈する。例えば、照光着色層12自体の色を、遮光層11と同系色(例えば黒色)にした場合は、非照光時にネガ表示11aを目立たなくすることができる。これと逆に、照光着色層12自体の色を、遮光層11の反対色(例えば白色)にした場合は、非照光時にネガ表示11aを目立たせることができる。この場合に、照光着色層12自体の色が、ポジ表示10aの色とも異なるならば、外部からの光の下で正面から見ると、ポジ表示10aの周囲がネガ表示11aに縁取られたように見える。
【0036】
<照光時における表示板の外観>
図1(a)及び(b)の右側の図は、本実施形態に係る表示板1の照光時の外観を示すものである。これら図面において、バックライトからの照光は、照光着色層12によって着色され、ネガ表示11aを透過してポジ表示10aを背後から照明する。すると、これらポジ表示10aとネガ表示11aとが一体となって、一つの立体的表示を形成する。すなわち、背後から照光を受けたポジ表示10aが、ネガ表示11aを透過した照光の中に浮かび上がり、このポジ表示10aが立体的表示の上面、ネガ表示11aが立体的表示の下面、基板10のうち照光の透過する部分が立体的表示の肉厚を形成する。この結果、本実施形態の表示板1では、透明な基板10中に、照光の肉厚をもった「A」、「B」、「C」の立体的表示が個別に存在するように見える。
【0037】
<作用効果>
本実施形態に係る表示板1によれば、平面的なポジ表示10aに、厚みをもたせて立体感及び浮遊感を与えることができる。特に、バックライトの非照光時には、外部からの光の下で、表示板1全体をデザイン通りの色や質感で見せることができるとともに、外部からの光が少ない暗所では、ネガ表示11aを透過した照光の中にポジ表示10aが浮かび上がる立体的表示を形成することができ、表示板1全体の外観を照光時と非照光時とで大きく相違させることが可能となる。
【0038】
<変更例>
本実施形態では、ネガ表示11aの各部の幅L2を、ポジ表示10aの各部の幅L1よりも若干大きくし、ネガ表示11aの輪郭形状を、ポジ表示10aの輪郭形状の外側にオフセットさせたが、本発明の表示板は、この構成に限定されるものではない。図1(d)に示すように、ネガ表示11aの各部の幅L2を、ポジ表示10aの各部の幅L1よりも若干小さくし、ネガ表示11aの輪郭形状を、ポジ表示10aの輪郭形状の内側にオフセットさせた構成としてもよい。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る表示板について、図2(a)〜(e)を参照しつつ説明する。これら図面において、本実施形態の表示板2は、透明な基板10の裏面側における遮光層11よりも上に、半透光性の背景加飾層21を形成した構成としてある。
【0040】
<全体構成>
図2(a)及び(b)は、それぞれ背景加飾層21が異なる2種類の表示板2、2の、非照光時の外観を示すものである。同図(a)の表示板2は金属調の背景加飾層21Aを備えており、同図(b)の表示板2はスモーク調の背景加飾層21Bを備えている。
【0041】
図2(e)に示すように、各表示板2、2は、いずれも基板10の表面に、薄い透明なフィルム20を積層した構成となっている。フィルム20の裏面には、遮光性のポジ表示20a(図中の黒塗り「ABC」を参照)が印刷してある。一方、基板10の裏面には、背景加飾層21が形成してあり、この背景加飾層21の下に遮光層11が印刷してある。
【0042】
フィルム20は、表示板2の用途に応じた耐性を有するものであればよく、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)、ポリカーボネート、シリコーン等とすることができる。また、表示板2を電子機器の操作部や経年外部に曝される銘板などに適用する場合には、フィルム20の表面に傷防止のためのハードコートを施すことが好ましい。
【0043】
背景加飾層21は、表示板2におけるポジ表示20aの背景デザインを構成するものである。例えば、AlやSUSのハーフスパッタリングによって基板10の裏面に金属薄膜を蒸着し、金属調の背景加飾層21Aとすることができる。また、基板10の裏面に半透光性のスモーク色(黒色半透明)を印刷し、スモーク調の背景加飾層21Bとすることができる。さらに、黒色以外の半透明色を印刷して、任意のカラーの背景加飾層21Cとしてもよい。
【0044】
遮光層11には、第1実施形態と同様のネガ表示11aが抜き印刷してある。本実施形態では、背景加飾層21の下に遮光層11を印刷しているので、表示板2の表面側から見て、ネガ表示11aが背景加飾層21に覆われる。これにより、バックライトの非照光時に、ネガ表示11aの輪郭形状を見えなくすることができる。
【0045】
その他は第1実施形態と同様であり、ネガ表示11aは、ポジ表示20aに対応する輪郭形状を有し、基板10の肉厚を介してポジ表示20aに重複している。ネガ表示11aの各部の幅(図1(c)のL2を参照)を、ポジ表示20aの各部の幅(図1(c)のL1を参照)よりも若干大きくし、図2(a)及び(b)に示すように、ネガ表示11aの輪郭形状を、ポジ表示20aの輪郭形状の外側にオフセットさせてある。
【0046】
<非照光時における表示板の外観>
図2(a)及び(c)中の上図において、金属調の背景加飾層21Aを採用した表示板2は、フィルム20により、表面にポジ表示20aの凹凸のない平滑な外観を呈する。また、背景加飾層21Aは、透明な基板10の肉厚を介して、鏡面仕上げの背景を形成する。バックライトの非照光時には、ネガ表示11aの輪郭形状が見えないので、線図や模様が一切ない鏡面仕上げの背景に統一される。このような鏡面仕上げの背景上に、平面的なポジ表示20aの「ABC」(例えば赤色)の文字が浮き上がって見える。さらに、「ABC」の文字が鏡面仕上げの背景に映り込み、実像と虚像の一対の「ABC」が、基板10の肉厚を介して平面的な二重像に見える。
【0047】
一方、図2(b)及び(d)中の上図において、スモーク調の背景加飾層21Bを採用した表示板2は、背景加飾層21Bが、透明な基板10の肉厚を介して、光沢を有する黒色の背景を形成する。このような黒色の背景上に、平面的なポジ表示20aの「ABC」(例えば赤色)の文字が浮き上がって見える。なお、上述した金属調の背景加飾層21Aと同様に、フィルム20により、表面にポジ表示20aの凹凸のない平滑な外観を呈する。また、バックライトの非照光時には、ネガ表示11aの輪郭形状が見えないので、線図や模様が一切ない黒色の背景に統一される。
【0048】
<照光時における表示板の外観>
図2(c)及び(d)中の各下図に示すように、バックライトからの照光は、ネガ表示11a及び背景加飾層21A又は21Bを透過し、ポジ表示20aを背後から照明する。すると、第1実施形態と同様に、これらポジ表示20aとネガ表示11aとが一体となって、一つの立体的表示を形成する。上述したように、背後から照光を受けたポジ表示20aが、ネガ表示11aを透過した照光の中に浮かび上がり、このポジ表示20aが立体的表示の上面、ネガ表示11aが立体的表示の下面、基板10のうち照光の透過する部分が立体的表示の肉厚を形成する。
【0049】
この結果、金属調の背景加飾層21Aを採用した表示板2では、鏡面仕上げの背景上に、照光の肉厚をもった「A」、「B」、「C」の立体的表示が個別に存在するように見える。一方、スモーク調の背景加飾層21Bを採用した表示板2では、黒色の背景上に、照光の肉厚をもった「A」、「B」、「C」の立体的表示が個別に存在するように見える。
【0050】
<作用効果>
本実施形態に係る表示板2によれば、遮光層11よりも上に半透光性の背景加飾層21を形成したことにより、ポジ表示20aの背景を金属調、ミラー調、シェル調、スモーク調、カラー調など、色や質感の異なる多種多様のデザインにすることができる。また、この背景加飾層21によってネガ表示11aを覆うにより、バックライトの非照光時に、ネガ表示11aを隠蔽してポジ表示20aの背景デザインを統一することが可能となる。
【0051】
さらに、バックライトの非照光時には、外部からの光の下で、表示板2全体をデザイン通りの色や質感で見せることができるとともに、外部からの光が少ない暗所では、ネガ表示11aを透過した照光の中にポジ表示20aが浮かび上がる立体的表示を形成することができ、表示板2全体の外観を照光時と非照光時とで大きく相違させることができる。
【0052】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る表示板について、図3(a)及び(b)を参照しつつ説明する。これら図面において、本実施形態の表示板3は、透明な基板10の裏面に背景加飾層31を印刷し、この背景加飾層31の下に遮光層11を印刷した構成としてある。そして、背景加飾層31には、遮光層11のネガ表示11aに対応する、同様のネガ表示(透光部)31aが抜き印刷してある。
【0053】
このように、背景加飾層31のネガ表示11aに対応する領域に透光性をもたせたことにより、ネガ表示11aを透過する照光量を確保しつつ、背景加飾層31を遮光性、透光性又は半透過性にすることができ、ポジ表示の背景デザインの自由度を拡大することが可能となる。
【0054】
なお、遮光性又は半透過性の背景加飾層31としては、例えば、上述した金属皮膜、スモーク印刷、カラー印刷が該当し、また、透光性の背景加飾層31としては、例えば、後述する微細凹凸からなるテクスチャ模様の印刷又は加飾フィルムが該当する。
【0055】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る表示板について、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)を参照しつつ説明する。これら図面において、本実施形態の表示板4は、基板10の表面側又は裏面側に、微細凹凸からなるテクスチャ模様を形成した透光性を有する加飾フィルム40を積層した構成としてある。
【0056】
<全体構成>
図4(a)及び(b)は、それぞれ加飾フィルム40のテクスチャ模様が異なる2種類の表示板4、4の、非照光時及び照光時の外観を示すものである。同図(a)の表示板4はカーボンファイバの線維模様を形成した加飾フィルム40Aを備えており、同図(b)の表示板4は金属加工のヘアライン模様を形成した加飾フィルム40Bを備えている。
【0057】
図5(a)〜(c)に示すように、加飾フィルム40は、透明フィルムの表面又は裏面に微細凹凸からなるテクスチャ模様を形成した構成となっており、上述した背景加飾層21と相俟って、カーボンファイバ又は表面処理した金属の質感を模した外観を呈する。
【0058】
具体的に、カーボンファイバの線維模様を形成した加飾フィルム40Aの下に、スモーク調の背景加飾層21Bを積層することにより、黒いカーボンファイバを格子状に編み込んだ外観になる。また、金属加工のヘアライン模様を形成した加飾フィルム40Bの下に、金属調の背景加飾層21Aを積層することにより、微細な線状の模様が付いた光沢のない金属表面の外観になる。
【0059】
ここで、加飾フィルム40は、透明な基板10の表面側又は裏面側のいずれに積層してもよい。例えば、図5(a)に示すように、基板10の表面に加飾フィルム40を積層する。この場合は、加飾フィルム40の裏面にポジ表示20aを印刷する。加飾フィルム40のテクスチャ模様は、その表面又は裏面のいずれに形成してもよい。テクスチャ模様を加飾フィルム40の表面に形成した場合は、表示板4の表面に指で触れたとき、テクスチャ模様を触感で感じることができる。また、図4(b)に示す金属加工のヘアライン模様のように、表示板4の表面を光沢のない外観にしたい場合は、テクスチャ模様を加飾フィルム40の表面に形成するとよい。逆に、図4(a)に示すカーボンファイバの繊維模様のように、表示板4の表面に光沢をもたせたい場合は、テクスチャ模様を加飾フィルム40の裏面に形成するとよい。
【0060】
また、例えば、図5(b)に示すように、基板10の裏面に加飾フィルム40を積層し、その下に背景加飾層21を印刷した構成としてもよい。この場合は、加飾フィルム40のテクスチャ模様と、背景加飾層21とが一体的に見えるメリットがある。基板10の裏面に加飾フィルム40を積層した場合は、透明な基板10の肉厚を介して、カーボンファイバ調又は金属ヘアライン調の背景が見えるようになる。特に、背景をカーボンファイバ調とした場合は、表示板4の外観を、プラスチックの中にカーボンファイバを入れたFRP(Fiber Reinforced Plastics)に酷似させることができる。
【0061】
<非照光時における表示板の外観>
図4(a)の左側の図に示すように、カーボンファイバの線維模様を形成した加飾フィルム40Aを採用した表示板4では、この加飾フィルム40Aと、スモーク調の背景加飾層21Bとが相俟って、カーボンファイバ調の背景を形成する。背景加飾層21Bの下に遮光層11を印刷してあるので、バックライトの非照光時には、ネガ表示11aの輪郭形状が隠蔽され、背景の外観は、黒色のカーボンファイバ調に統一される。このようなカーボンファイバ調の背景上に、平面的なポジ表示20aの「ABC」(例えば白色)の文字が浮き上がって見える。
【0062】
一方、図4(b)の右側の図に示すように、金属加工のヘアライン模様を形成した加飾フィルム40Bを採用した表示板4では、この加飾フィルム40Bと、金属調の背景加飾層21Aとが相俟って、金属ヘアライン調の背景を形成する。上記と同様に、背景加飾層21Aの下に遮光層11を印刷してあるので、バックライトの非照光時には、ネガ表示11aの輪郭形状が隠蔽され、背景の外観は、金属ヘアライン調に統一される。このような金属ヘアライン調の背景上に、平面的なポジ表示20aの「ABC」(例えば黒色)の文字が浮き上がって見える。
【0063】
<照光時における表示板の外観>
図4(a)及び(b)の各右側の図に示すように、バックライトからの照光は、ネガ表示11a、背景加飾層21及び加飾フィルム40を透過し、ポジ表示20aを背後から照明する。すると、第1実施形態と同様に、これらポジ表示20aとネガ表示11aとが一体となって、一つの立体的表示を形成する。上述したように、背後から照光を受けたポジ表示20aが、ネガ表示11aを透過した照光の中に浮かび上がり、このポジ表示20aが立体的表示の上面、ネガ表示11aが立体的表示の下面、基板10のうち照光の透過する部分が立体的表示の肉厚を形成する。
【0064】
この結果、加飾フィルム40Aを採用した表示板4では、カーボンファイバ調の背景上に、照光の肉厚をもった「A」、「B」、「C」の立体的表示が個別に存在するように見える。一方、加飾フィルム40Bを採用した表示板4では、金属ヘアライン調の背景上に、照光の肉厚をもった「A」、「B」、「C」の立体的表示が個別に存在するように見える。
【0065】
<作用効果>
本実施形態に係る表示板4によれば、微細凹凸からなるテクスチャ模様を形成した加飾フィルム40と、背景加飾層21との組み合わせにより、カーボンファイバ調、金属ヘアライン調など、立体的な質感を有する多種多様のデザインにすることができる。
【0066】
さらに、バックライトの非照光時には、外部からの光の下で、表示板4全体をデザイン通りの色や質感で見せることができるとともに、外部からの光が少ない暗所では、ネガ表示11aを透過した照光の中にポジ表示20aが浮かび上がる立体的表示を形成することができ、表示板4全体の外観を照光時と非照光時とで大きく相違させることができる。
【0067】
<変更例>
図5(c)に示すように、遮光層11の下に加飾フィルム40を積層し、ネガ表示11aの裏側をテクスチャ模様で覆った構成としてもよい。このような構成とした場合は、図4(c)に示すように、バックライトの照光時において、ネガ表示11aのみにテクスチャ模様を発現させることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、加飾フィルム40に形成するテクスチャ模様の例として、カーボンファイバの繊維模様、金属加工のヘアライン模様を挙げたが、これに限定されるものではない。加飾フィルム40には、一般的な市松模様、水玉模様、唐草模様などのあらゆる模様、キャラクターや企業ロゴ等のあらゆるモチーフを微細凹凸で描画することができる。
【0069】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る表示板について、図6(a)及び(b)を参照しつつ説明する。これら図面において、本実施形態の表示板5は、遮光層11の下にネガ表示21a及び11aを覆う半透過性の着色層50を印刷した構成としてある。
【0070】
図6(b)に示すように、本実施形態の表示板5では、透明な基板10の裏面に背景加飾層21が形成してあり、この背景加飾層21の下に遮光層11が印刷してある。本実施形態では、金属調の背景加飾層21Aを採用しており、背景加飾層21A及び遮光層11には、互いに輪郭形状が一致するネガ表示21a及び11aが抜き印刷してある。これらネガ表示21a及び11aは、ポジ表示20aより若干大きく、ポジ表示20aの外周を縁取り状のデザインとなっている。
【0071】
上述したように、遮光層11の下には、ネガ表示21a及び11aを覆う半透過性の着色層50が印刷してあり、これらネガ表示21a及び11aを任意の色に着色している。着色層50は、例えば、黒色のスモーク印刷50A、又は黒色以外の半透過性のカラー印刷50Bとすることができる。この着色層50を、ポジ表示20a及び背景加飾層21のいずれとも異なる色にすると、ポジ表示20aのデザイン上のアクセントになって、ポジ表示20aとネガ表示21a及び11aとからなる表示を目立たせることができる。例えば、ポジ表示20aを赤色、ネガ表示21a及び11aを黒色、背景加飾層21Aを白いシェル調とする。この例示において、着色層50を白色のカラー印刷50Bとし、ネガ表示21a及び11aの縁取りを、シェル調の背景加飾層21Aと同系色の白色としてもよい。
【0072】
このような構成からなる本実施形態の表示板5では、図6(a)の上図に示すように、バックライトの非照光時には、シェル調の背景上で、赤色のポジ表示20aが、黒色のネガ表示21a及び11aに縁取られた外観を呈する。一方、バックライトの非照光時には、赤色のポジ表示20aが、ネガ表示21a及び11aを透過した透光に縁取られ、照光の肉厚をもった「A」、「B」、「C」の立体的表示が個別に存在するように見える。
【0073】
[第6実施形態]
次に、本発明の表示板を備えたカメラのモードダイヤル(操作部)の一実施形態について、図7(a)〜(e)を参照しつつ説明する。
【0074】
図7(a)の平面図に示すように、本実施形態に係るモードダイヤル6は、上述した実施形態の積層構造を有する表示板61の外側に、ベゼル63を取り付けた外観となっている。ベゼル63の外周面には図示しないローレット(滑り止め)が設けてある。
【0075】
図7(d)の断面図に示すように、表示板61の裏面には、乳白色のPC材からなるライトガイド62が接着してあり、これら表示板61とライトガイド62との組立体は、回転軸64を介して、カメラ筐体67に回動自在に取り付けてある。また、回動軸64とカメラ筐体67との間には、カラー65が介設してあり、モードダイヤル6の回動を円滑にしている。そして、ライトガイド62の下方には、表示板61を照明するためのLED66が内蔵してある。
【0076】
図7(e)の拡大図に示すように、表示板61は、透明の基板10の表面に、薄い透明なフィルム20を積層した構成となっている。フィルム20の裏面には、遮光性のポジ表示20a(図7(a)中の黒塗りの文字及び絵文字を参照)が印刷してある。一方、基板10の裏面には、金属調の背景加飾層21Aが形成してあり、この背景加飾層21Aの下に遮光層11が印刷してある。この遮光層11には、ポジ表示20aの輪郭形状に対応するネガ表示11aが抜き印刷してある。上記実施形態と同様に、ネガ表示11aは、ポジ表示20aよりも若干大きな幅寸法としてある。さらに、遮光層11の下には、LED66の照光を着色するための照光着色層12が印刷してある。この照光着色層12は、LED66の照光を任意の色、例えば青色に着色する。
【0077】
このようなモードダイヤル6では、図7(a)に示すLED66の非照光時において、表示板61の背景が、外部からの光を受けて鏡面仕上げの金属調に見え、ポジ表示20aからなる文字及び絵文字(例えば黒色)が、基板10の肉厚分だけ金属調の背景上に浮き上がったように見える。また、本実施形態では、同図(e)に示す背景加飾層21Aが、透光性のネガ表示11aを覆っているので、LED66の非照光時に、ネガ表示11aの輪郭形状が見えることはない。
【0078】
一方、図7(b)及び(c)に示すLED66の照光時には、LED66からの照光が、照光着色層12、ネガ表示11a及び背景加飾層21Aを透過し、照光着色層12によって青色に着色された照光が、ポジ表示20aを背後から照明する。これにより、黒色のポジ表示20aからなる平面的な文字又は絵文字が、ネガ表示11aを透過した青色の照光の中に浮かび上がり、表示板6中に個別の立体的表示を形成する。
【0079】
このような本実施形態のモードダイヤル6によれば、平面的なポジ表示20aに厚みをもたせて立体感及び浮遊感を与えることができるとともに、表示板6全体の外観を照光時と非照光時とで相違させることが可能となる。この結果、従来のカメラにはない斬新な構造及び外観のモードダイヤル6を提供することができる。
【0080】
[第7実施形態]
次に、本発明の表示板を備えたスピードメータの文字盤の一実施形態について、図8(a)〜(e)を参照しつつ説明する。
【0081】
図8(a)において、本実施形態に係るスピードメータの文字盤7は、上述した実施形態の積層構造を有する表示板からなっている。同図(b)の断面図に示すように、文字盤7は、2枚の透明な基板10、10を上下に積層した構成となっており、上の基板10の表面には、速度を表す数字を形成するポジ表示10aが直接印刷してある。本実施形態では、ポジ表示10aを白色としている。
【0082】
一方、下の基板10の表面には、黒色の遮光層11が印刷してあり、この遮光層11の上に加飾フィルム40Aが積層してある。この加飾フィルム40Aには、微細凹凸からなるカーボンファイバの線維模様が形成してある。図8(b)に示すように、加飾フィルム40Aのテクスチャ模様と、黒色の遮光層11とが相俟って、黒色のカーボンファイバ調の背景が形成される。
【0083】
また、これら加飾フィルム40A及び遮光層11には、それぞれポジ表示10aに対応するネガ表示40a、11aが形成してある。透光性を有する加飾フィルム40Aにもネガ表示40aを形成することで、テクスチャ模様による照光の乱反射をなくし、ポジ表示10aを照明するための照光量低下を防止している。また、テクスチャ模様による照光の乱反射をなくすことで、ネガ表示40a、11aを透過する照光の輪郭形状がはっきりと画定される効果もある。
【0084】
このような文字盤7では、図8(a)及び(b)に示すように、図示しないバックライトの非照光時においては、黒色のカーボンファイバ調の背景上で、白色のポジ表示10aが、基板10の肉厚分だけ金属調の背景上に浮き上がったように見える。特に、黒色のカーボンファイバ調の背景上では、これと反対色である白色のポジ表示10aが目立ち、文字盤7の視認性が良好となる。
【0085】
一方、図8(c)及び(d)に示すバックライトの照光時には、照光が、ネガ表示11a、40aを透過して、ポジ表示20aを背後から照明する。これにより、白色のポジ表示20aからなる平面的な数字が、ネガ表示11a、40aを透過した照光の中に浮かび上がり、文字盤7中に個別の立体的表示を形成する。ここで、同図(d)に示すように、暗所において背後からポジ表示10aを照明すると、白色のポジ表示10aは、逆光で影になり黒色に見えるようになる。したがって、本実施形態の文字盤7では、バックライトの非照光時において白色の平面的な数字が、照光時には黒色の数字と照光の肉厚からなる立体的表示に見えるようになるのである。
【0086】
このような本実施形態の文字盤7によれば、平面的なポジ表示10aに厚みをもたせて立体感及び浮遊感を与えることができるとともに、文字盤7全体の外観を照光時と非照光時とで相違させることが可能となる。この結果、従来の自発光式の文字盤にはない斬新な外観の文字盤7を提供することができる。
【符号の説明】
【0087】
1、2、3、4、5 表示板
10 基板
10a、20a ポジ表示
11 遮光層
11a、21a、40a ネガ表示
12 照光着色層
20 フィルム
21、31 背景加飾層
21A 背景加飾層(金属薄膜)
21B 背景加飾層(スモーク印刷)
21C 背景加飾層(黒以外のカラー印刷)
31a 透光部
40 加飾フィルム
40A 加飾フィルム(カーボンファイバの線維模様)
40B 加飾フィルム(金属加工のヘアライン模様)
50 着色層
50A 着色層(スモーク印刷)
50B 着色層(黒以外のカラー印刷)
6 モードダイヤル
61 表示板
62 ライトガイド
63 ベゼル
64 回転軸
65 カラー
66 LED
67 カメラ筐体
7 スピードメータの文字盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された静的な表示をバックライトによって照明する表示板であって、
透光性を有する材料からなる前記基板と、
前記基板の表面側に位置する遮光性のポジ表示と、
前記基板の裏面側に位置する遮光層と、
前記遮光層中に形成され、前記ポジ表示に対応する輪郭形状を有し、前記基板の肉厚を介して前記ポジ表示に重複する透光性のネガ表示と、を含み、
前記ポジ表示と前記ネガ表示との大きさを大小異ならせ、互いの輪郭形状をオフセットさせたことを特徴とする表示板。
【請求項2】
前記ポジ表示及び/又は前記ネガ表示を印刷により形成した請求項1記載の表示板。
【請求項3】
前記ポジ表示及び/又は前記ネガ表示をフィルムに印刷し、前記フィルムを前記基板に積層した請求項2記載の表示板。
【請求項4】
前記遮光層を、前記ネガ表示を除く黒色抜き印刷とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項5】
前記基板の裏面側における前記遮光層よりも上に、半透光性の背景加飾層を形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項6】
前記基板の裏面側における前記遮光層のよりも上に、少なくとも前記ネガ表示に対応する領域に透光性をもたせた、遮光性、透光性又は半透光性の背景加飾層を形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項7】
前記基板の裏面側における前記遮光層のよりも下に、少なくとも前記ネガ表示に対応する半透光性の他の背景加飾層を形成した請求項6記載の表示板。
【請求項8】
前記背景加飾層を、金属薄膜、カラー印刷、スモーク印刷、又は微細凹凸からなるテクスチャ模様印刷のいずれかとした請求項5〜7のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項9】
前記基板の裏面側における前記遮光層のよりも下に、前記バックライトの照光を着色する照光着色層を形成した請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項10】
前記基板の表面側又は裏面側に、微細凹凸からなるテクスチャ模様を形成した透光性を有する加飾フィルムを積層した請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載した表示板と、前記表示板を裏面側から照明するバックライトとを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11の表示装置を操作部に適用したことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項11の表示装置を文字盤に適用したことを特徴とする計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−155143(P2012−155143A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14253(P2011−14253)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(390001487)サンアロー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】