表示板及びそれを備えた電子表示機器
【課題】 薄型で均一な照明明るさが得られる表示板を得る。
【解決手段】 透過性基板11の上面に表示層13を設け、透過性基板11の下面11bに光源15を中心にして形成した複数並んだV字形突起11a又はV字形凹溝を設けて表示板10を構成する。V字形突起11a又はV字形凹溝は光源15を中心に同心円のサークル状の模様に、又は光源15を中心に放射目状の模様に形成する。そして、複数のV字形突起11a又はV字形凹溝のピッチ間隔は光源15に近い所は広く、光源15から遠のくに従ってピッチ間隔を狭くする。
【解決手段】 透過性基板11の上面に表示層13を設け、透過性基板11の下面11bに光源15を中心にして形成した複数並んだV字形突起11a又はV字形凹溝を設けて表示板10を構成する。V字形突起11a又はV字形凹溝は光源15を中心に同心円のサークル状の模様に、又は光源15を中心に放射目状の模様に形成する。そして、複数のV字形突起11a又はV字形凹溝のピッチ間隔は光源15に近い所は広く、光源15から遠のくに従ってピッチ間隔を狭くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計の表示板や自動車の計器表示板、その他各種の電子表示機器の表示板に関する。
【背景技術】
【0002】
時計の一部の表示板や自動車の計器表示板、その他各種の電子表示機器の表示板において、夜間などの暗がりでも表示が読み取れるように照明装置を備えている。その照明装置の多くは、表示板の背面にバックライトを備えた照明構造を取っている。例えば、携帯時計などにおいては、透過性の表示板の背面側にEL(エレクトロルミネッセンス)を配設し、ELを発光させて表示板を照明する構造を取っている。しかしながら、ELを用いる照明構造は時計全体の厚みを比較的薄くすることが可能であるが、ELの発光輝度が低いがために表示板の表示明るさも低く、しかも、照明色調に制限があると云う問題を持っている。そこで、表示明るさを明るくするために、表示板の側面側にLEDなる光源を配設して表示板を照明する構造も一部において用いられてきている。図11は、携帯時計の表示板の側面側にLEDなる光源を配設して表示板を照明する従来の照明構造を示したもので、図11の(a)は平面図、図11の(b)は側面図を示している。
【0003】
以下、携帯時計の表示板の場合について図11を用いて従来技術を説明する。表示板1は透過性基板2の上面に時字からなる指標3が設けられている。透過性基板2は透明なポリカーボネイト樹脂などから形成されていて、その表面には塗料などを用いての表示板としての装飾などが施されている。表示板1の左右両側にLEDからなる光源4が2個配設されており、光源4の発光によって表示板1が両側から照明される構造を取っている。表示板1の側面側に配設した光源4が発光して、その光が透明なポリカーボネイト樹脂などから形成した透過性基板2の内部に入射し、その入射した光でもって表示板1を照明する構造になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この構造は、図11の(a)に示すように、左右の光源4に近い部分の領域A1とA2は明るく照明されるが斜線で示した領域Bは暗くなって、はっきりとその照明明るさのムラが視認されるようになる。このように、光源から遠くになるに従って暗くなって明るさにムラが現れ、外観的や機能的にも劣って高級時計には使えないと云う問題を持っている。
【0005】
このような構造を取る限りにおいては、携帯時計の表示板のみならず他の電子表示機器の表示板でも同様なことが起きる。この問題は光源の数を増やすことによってある程度の解消を図ることができる。しかしながら、光源の数を増やすとコストアップにつながり、また、配設スペースも広く必要とすると云う問題が新たに生まれる。特に、携帯時計のように限られた大きさのものは、光源の数を増やさないで明るい照明、ムラのない照明が求められる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたもので、光源の数を増やさずに明るい照明、ムラのない照明が得られる表示板を得ることを目的とする。また、明るくムラのない照明を薄い表示板の中で達成させ、表示機器の薄型化を達成させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の請求項1に記載の表示板は、上面側に表示層を有し、下面側に反射手段を有する光透過性基板からなる表示板であって、前記反射手段は、前記光透過性基板の側面側に配設される光源を中心にして前記透過性基板の下面に複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝からなることを特徴とするものである。尚、本発明におけるV字形突起はV字形状の連なった突起を云う。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の表示板は、前記複数並べて形成したV字形突起の相隣るV字型突起の間に、又はV字形凹溝の相隣るV字型凹溝の間に、平坦面を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の表示板は、前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝の幅は20〜70μmであることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の表示板は、前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝は鏡面になっていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の表示板は、前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝はサークル模様又は放射目模様を成していることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載の表示板は、前記サークル模様は、光源を中心にして同心円状に設けられ、光源から遠のくに従ってサークルのピッチが小さくなっていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項7に記載の表示板は、前記放射目模様は、光源から遠のくに従って放射目の数が多くなっていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項8に記載の表示板は、前記光源は前記透過性基板の略中心線上の左右に2個設けられ、前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝は左右対称に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項9に記載の表示板は、前記透過性基板の下面は、基板の外周側から基板の中心側に向かうに従って立ち上がりの傾斜を有することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項10に記載の表示板は、前記V字形突起又はV字形凹溝が設けられた前記光透過性基板の下面に反射膜を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項11に記載の表示板は、前記表示層と前記光透過性基板との間に光拡散層を有することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項12に記載の電子表示機器は、表示板の照明構造を備えた電子表示機器において、前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載の表示板を備え、表示板の明るさを均一に照明すると共に表示機器を薄型にしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
発明の効果として、本発明の表示板は、上面側に表示層を有し、下面側に反射手段を有する光透過性基板からなって、反射手段は、光透過性基板の側面側に配設される光源を中心にして複数並べて形成したV字形突起またはV字形凹溝からなる。側面側から光透過性基板内に入射した光をV字形突起またはV字形凹溝のV斜面で反射させ、そして、表示層側に放射させて表示層を照明する構造を取る。V字形突起またはV字形凹溝を光源を中心にして複数並べて設けていることから、V斜面からの反射光が多くなり、且つ、光源から同一距離に当たる所は明るさが同じになる。
【0020】
また、V字形突起またはV字形凹溝を、請求項5、6、7に記載の如く、サークル模様又は放射目模様に形成し、サークル模様は光源を中心にして同心円状に、光源から遠のくに従ってサークルのピッチが小さくなっている。同様に、放射目模様は光源から遠のくに従って放射目の数が多くなっている。これによって、光源から遠のくに従ってV斜面からの反射光が多く得られ、照明明るさが全体に渡って均一になるようになる。
【0021】
また、V字形突起またはV字形凹溝は、請求項4に記載の下では、鏡面になっている。これにより、鏡面になったV斜面で全反射を起こし、多くの反射光量を表示層に放射させて表示層を尚一層明るく照明する。
【0022】
また、本発明の請求項3に記載の如く、V字形突起又はV字形凹溝の幅を20〜70μmにすると、反射効率が悪くならず、しかも、V字形突起又はV字形凹溝が視認されず、良い外観的品質が得られる。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の如く、複数並べて形成したV字形突起の相隣るV字型突起の間に、又はV字形凹溝の相隣るV字型凹溝の間に、平坦面を設けると、外光がその平坦面の部分から下方に透過する。表示板の下方にソーラーセルを設けた構造のものに対しても適用させることができ、照明とソーラーセル発電の両方の機能を持たせて表示板にすることができる。
【0024】
また、本発明の請求項8に記載の如く、光源が前記透過性基板の略中心線上の左右に2個設けられている場合は、複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝を左右対称に設けることにより、表示板の左右の照明明るさが均一になる。
【0025】
また、本発明の請求項9に記載の如く、透過性基板の下面を、基板の外周側から基板の中心側に向かうに従って立ち上がりの傾斜を持たせると、光源から遠のいても光源からの多くの光がV字形突起またはV字形凹溝のV斜面に入射するようになる。そして、光源から遠のいてもV斜面での反射光量が多くなり、明るさが増す効果を生む。
有することを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の請求項10に記載の如く、V字形突起又はV字形凹溝を設けた光透過性基板の下面に反射膜を設けると、反射率が高められより明るい照明が得られる。
【0027】
また、本発明の請求項11に記載の如く、表示層と光透過性基板との間に光拡散層を設けることにより、V字形突起またはV字形凹溝から上方に向かって反射された光はこの拡散層で拡散される。光を拡散して照明明るさを均一にさせる。
【0028】
また、表示板の照明構造を備えた電子表示機器にあっては、本発明の表示板を用いることにより表示板全体が均一に明るく照明された表示機器が得られる。また、表示板とその側面に配設する光源だけでの構造であるから、表示機器は表示板の厚みだけを考慮して設計すれば良いので、格段と薄くした薄型化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図10を用いて説明する。尚、本発明の表示板の実施形態を説明するに当たり時計用表示板を用いて説明する。しかしながら、本発明の表示板は時計用表示板に限らず他の計器類の表示板や電子表示機器の表示板、或いは単体で用いられる表示板にも共通して適用できるものである。ここで、図の説明を行う。図1は本発明の第1実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)におけるD−D断面図を示している。また、図2は図1における表示板の背面を模式的に表した背面図、図3は図1の(b)におけるE部拡大断面図を示している。また、図4は本発明の第2実施形態に係る時計用表示板の要部断面図で、図5は図4におけるF部の拡大図を示している。また、図6は本発明の第3実施形態に係る時計用表示板の要部断面図で、図7は図6におけるG部の拡大図を示している。また、図8は本発明の第4実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図8の(a)は平面図、図8の(b)は図8の(a)におけるD−D断面図を示している。また、図9は図8における表示板の背面を模式的に表した背面図で、図10は図9におけるH部の要部を拡大して示した斜視図で、背面から見た斜視図を示している。
【0030】
最初に、本発明の第1実施形態に係る時計用表示板について図1、図2、図3を用いて説明する。この表示板10は、図1の(a)に示すように、外径が丸く、その中心に指針取付け用の中心穴11cを持っている。また、この表示板10は、下面側に反射手段を設けた光透過性基板11と、この光透過性基板11の上面側に設けた表示層13とから構成される。表示層13は装飾膜13bと時計の時字などを示す指標13aとから構成される。また、この表示板10の左右の側面側にLEDからなる光源15が2個配設されている。この2個の光源15は左右均等な明るさに照明するために表示板10のほぼ中心線上に設けている。光透過性基板11の下面側に設けた反射手段は、図1の(b)及び図2に示すように、透過性基板11の下面11bに複数並べて形成したV字形の連なる突起(本発明では、以降、V字形突起と呼んで説明する)11aからなり、このV字形突起はVの字形をなして下面11bより突出していて、光源15を中心にして同心円でもってサークル模様状に形成されているものである。そして、この表示板10は、複数並べてサークル状に形成したV字形突起11aの反射手段を用いて光源15からの入射光を表示層13側に光を反射し、表示層13を明るく照明する構造を取っている。また、図示はしていないが、この表示板10の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0031】
このV字形突起11aは光源15を中心にして同心円状に設けられるが、表示板10の左右両側に2個の光源15を持っていることから、光透過性基板11には、図2に示すように、光透過性基板11の右半分には右側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数のV字形突起11aが設けられ、左半分には左側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数のV字形突起11aが設けられている。従って、右半分のV字形突起11aと左半分のV字形突起11aは表示板の中心で左右対称になっている。
【0032】
このV字形突起11aは、図3に示すように、光透過性基板11の下面11b側において、光源15に近い方はピッチp1が広く、光源15から遠くになるに従ってピッチp2は狭くなっていて、光源15から遠のくに従ってV字形突起11aはだんだん密の状態になって形成されている。また、相隣るV字形突起11aの間には平坦面をなした下面11bを残しており、V字形突起−平坦面−V字形突起−平坦面−・・・の連続面をなしている。そして、V字形突起11aの表面及び平坦面は鏡面に仕上げられている。
【0033】
図3において、L1、L2は光源15からの入射光を示しており、矢印の方向が光の進む方向を示している。V字形突起11aの形状は、先端の角度が85°±15°(70°〜100°)の範囲内で、より好ましくは80°〜90°の範囲内に設定するのが良い。この角度の範囲がV斜面での反射率を一番高め、入射光L1、L2を効率よく上方(表示層側)に反射する。また、V字形突起11aの高さhは10〜35μmの範囲位となる。このV字形突起11aの高さhはV字形突起11aの幅mから決まるもので、V字形突起11aの幅mは20〜70μmの範囲に設定する。幅mが20μmより小さくすると反射効率が悪くなり、明るい照明が得られなくなる。一方、70μmより大きくするとV字形突起11aが鏡面をなしていることもあって表示板10の上方から視認されるようになり、外観品質を損なうようになる。
【0034】
光源15からの光で、V字形突起11aのV斜面に当たった光(L1、L2)は反射を起こして上方に向かって反射される。一般に、表示板は光源に近いところは光源の放射光が多く当たるために明るく照明される。一方、光源から遠くの所は光量が少なくなるので暗くなる。しかしながら、複数のV字形突起11aは光源15を中心として同心円状に形成してあることから、更に、光源15から遠のく従ってピッチを狭くして密に形成してあることから、光源15から遠のく従ってV字形突起11aからの反射光も多くなり、これによって明るさが明るくなり、全体的に均一な明るさが得られるようになる。
【0035】
光透過性基板11は透明なポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形突起11a、並びに、光透過性基板11の下面側の鏡面仕上げ、即ち、V字形突起11aの表面や相隣るV字形突起の間の平坦面の鏡面仕上げは金型からの転写方法で形成する。この光透過性基板11の厚みは略0.4〜0.6mmの範囲の厚みに形成される。尚、光透過性基板11に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0036】
表示層13は表示板としての表示役割を果たす表示層である。時計用表示板においては、時字などの指標や時計としての外観の質感を高めるための装飾が施される。図1において、表示層13を装飾膜13bと時字などを示す指標13aとから構成している。装飾膜13bは時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持っている。この装飾膜13bは、透明なアクリル樹脂やウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて生成した着色インクや着色樹脂塗料を用いて公知の印刷方法や塗装方法などで形成する。着色インクや着色樹脂塗料を用いる場合は、所要の透過性を確保しなければならないことから、顔料や染料などの着色剤を上記の樹脂に5〜10重量部配合して着色インクや着色樹脂塗料を生成して5〜20μmの厚みに形成するのが好ましい。また、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で光透過性を持たせた金属薄膜で形成することもできる。金属薄膜で装飾膜13bを形成する場合でも、必要とする透過率を得ることから、50〜200Åの厚みに形成するのが好ましい。この厚みであると30〜70%の範囲の透過率が得られる。また、用いる金属は、Au、Ag、Al、Cu、Co、Cr、Ni、Pt、Pdなどの金属やこれらの合金金属を用いることができ、色々な金属色調を持った装飾膜13bを得ることができる。また、この装飾膜13bは金属薄膜と有色樹脂被膜と積層した被膜でもって構成しても良い。各種の装飾を施すことができて装飾性を高めると共に装飾バリエーションを広げることができる。指標13aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0037】
以上の構造を取った表示板は、光源15から光透過性基板11に入射して光透過性基板11の下面側に向かう光は、下面側に設けたV字形突起11aのV斜面で反射して表示層13に向かって放射される。V斜面が鏡面を成して、70°〜100°の角度を成していることから多くの光を反射して反射効率を非常に高めている。そして、多くの反射光量で表示層を照明する。表示層13の装飾膜13bは透過性を持っていることから、光が装飾膜13bを透過して外に放射される。そして、多くの反射光量の下で装飾膜13bの装飾が明るい装飾として目に視認される。また、V字形突起11aを複数並べて、光源15から遠のく(このことは、光透過性基板11の中心部に近づくことになるが)に従って密になるように設けてあることより、光源15から遠のいても多くの反射光量が得られ、表示層13の照明明るさを均一化させる。尚、当然ながら、光源15から表示層13に向かって直接放射される光も現れる。この直接放射される光や光透過性基板11のV字形突起11aによって反射される光でもって表示層13が均一に明るく照明される。光源15として用いるLEDは発光輝度も明るく、そして、色々な発光色を持たせることができる。従って、表示板10を明るく、均一な明るさの下で照明することができる。そして、発光色は求める仕様に応じて適宜に選択することができる。
【0038】
また、光透過性基板11は、相隣り合うV字形突起11aの間には平坦面が設けられている。この平坦面は表示板10の上方から入射する外光を透過させるために設けており、この平坦面を通して多くの光量が表示板を透過し、表示板の下面側に配設したソーラーセルに発電作用を起こさせる。近年のソーラーセルは光電変換効率も非常に高くなってきており、光透過率が15%で満足する発電が得られるソーラーセルも用いられるようになってきている。光透過性基板11の下面側の平坦面は、ソーラーセルの発電に支障を及ぼさない面積をもって形成されている。
【0039】
以上の構造を取った表示板10は、表示板自体を明るく照明する構造にもなっていると共に、ソーラーセルにも適用できる構造にもなっている。そして、表示板10の照明は光透過性基板1枚の構成で達成できることから、薄型にした照明構造が得られる。
【0040】
尚、本実施形態に係る表示板10は、光透過性基板11の下面側にV字形突起11aを設けて、そのV字形突起11aを反射手段に用いたが、このV字形突起に代えてV字形凹溝を設けて、V字形凹溝を反射手段として用いても同様な効果を得るものである。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る表示板について図4、図5を用いて説明する。図4は本発明の第2実施形態に係る時計用表示板の要部断面図で、図5は図4におけるF部の拡大図を示している。第2実施形態に係る表示板20は、図4に示すように、表示板20の左右側面側にLEDからなる光源15を2個配設しての照明をする照明構造を取っているものである。ここでの表示板20は、光透過性基板21の下面側には反射手段を設け、上面側には光拡散層22と、装飾膜23bと指標23aとで構成した表示層23とを設けている。光透過性基板21の下面側に設けた反射手段は、左右の光源15を中心にして形成したサークル状の複数並んだV字形突起21aと、その上に設けた反射膜24とでもって構成を取っている。
【0042】
光透過性基板21の下面に設けた複数のV字形突起21aの形状は、前述の第1実施形態で図2をもって説明した形状と同じ形状を取っている。即ち、光透過性基板21の右半分には右側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数並んだV字形突起21aを設け、左半分には左側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数並んだV字形突起21aを設けて、右半分のV字形突起21aと左半分のV字形突起21aとは光透過性基板21の中心でもって左右対称になっている。また、このサークル状になっている複数並んだV字形突起21aは、光源15に近い方はピッチが広く、光源15から遠くなるに従ってピッチが狭くなっている。また、V字形突起21aの先端角は70°〜100°の範囲に形成され、V字形突起21aの幅は20〜70μm、高さは10〜35μmの高さになっている。そして、V字形突起21aの表面は鏡面仕上げが施されている。
【0043】
また、光透過性基板21の平坦面を成す下面21bは、図5に示すように、光透過性基板21の外周部から中心部に向かうに従って立ち上がりの傾斜角θを持っている。そして、鏡面仕上げが施されている。この傾斜角θは光透過性基板21の厚みと外形大きさによって決められるが、例えば時計用の表示板にあっては、傾斜角θは約1/100の値を取ることができる。この傾斜角θは大きければ大きいほど効果が大きく現れるので、光透過性基板21の厚みと外形大きさによって適宜に設定すると良い。光源15から遠のくに従って立ち上がりの傾斜角θが付いていると、V字形凸溝21aのV斜面に入射する光(L3、L4)の量が多くなり、従って、V斜面でもっての反射する光量も多くなる。これによって明るさもアップする。
【0044】
また、光透過性基板21の下面側には、即ち、V字形突起21aの表面や平坦面を成して傾斜角θを持つ下面21bの表面には反射膜24を設けてある。この反射膜24は反射率の高い金属被膜や白色樹脂被膜などから形成している。反射率の高い金属被膜としては、Al、Cr、Pd、Ag、Au、Ptなどの金属を用いて真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式メッキ方法で形成することができる。また、白色樹脂被膜としては、白色樹脂塗料を用いて塗装方法などで形成することができる。このように反射膜24を設けると、光源15から入射する光の大半を効果的に光透過性基板21の表示層23側に反射させて、表示層23を明るく照明する。
【0045】
光透過性基板21は透明なポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形突起21aの形状や光透過性基板21の下面側の鏡面仕上げは金型からの転写方法で形成する。この光透過性基板21の厚みは略0.4〜0.6mmの範囲の厚みに形成される。尚、光透過性基板21に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0046】
光透過性基板21の上面に設ける光拡散層22は光を散乱させて照明明るさを更に均一にするために設ける。光拡散層22は、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン(SiO2)粉末などの散乱微粒子を分散させたものからなる。光透過性基板21の下面側に設けたV字形突起21aや反射膜24から反射された光や光源15からの直接光がこの光拡散層22を透過すると散乱微粒子の作用を受けて光が散乱し、散乱光となって光拡散層22を透過する。この光散乱によって照明の明るさが更に均一化する。尚、本実施形態においては散乱微粒子を分散した樹脂被膜から構成したが、樹脂被膜に代えて、透過性基板21の上面に梨地処理を施して微小な凹凸を設け、この梨地面を光拡散層としても良い。
【0047】
表示層23は表示板としての表示役割を果たす表示層である。時計用表示板においては時字などの指標や時計として外観の質感を高めるための装飾が施される。図4において、指標23aは時字を示しており、装飾膜23bは時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持っている。この装飾膜23bは、前述の第1実施形態の装飾膜13bと同様に、透明な樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて形成した有色樹脂被膜や金属薄膜で形成した金属被膜などで形成することができる。指標23aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0048】
以上の構造を取った表示板20は、均一な照明と、より明るい照明の下で表示が鮮明に視認される。また、光透過性基板21の1枚基板で表示板20を構成することから薄型化が可能になる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る表示板について図6、図7を用いて説明する。本発明の第3実施形態に係る表示板は、前述の第1実施形態と同様に、表示板30の左右の側面側に2個のLEDからなる光源15を配設した中で用いられる。ここでの表示板30は、光透過性基板31の上面に梨地面からなる光拡散層32と、装飾膜33bと指標33aとで構成した表示層33を有しており、また、光透過性基板31の下面には左右の光源15を中心にして同心円状に形成したサークル状の複数並んだV字形凹溝31aからなる反射手段を有している。従って、前述の第1実施形態で説明したV字形突起と形状の違いこそあれ、図2をもって示した模様と同じ模様を取っている。即ち、光透過性基板31の中心でもって左右対称になるサークル状のV字形凹溝31aでもって形成された凹凸模様が設けられたものとなっている。このV字形凹溝31aはVの字形をして下面31bから沈んでの凹溝をなしているものである。また、光透過性基板31の下面31bと、この下面31bに設けたV字形凹溝31aの表面は鏡面になっている。また、図示はしていないが光透過性基板31の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0050】
このV字形凹溝31aは、図7に示すように、光透過性基板31の下面31b側において、光源15に近い方はピッチが広く、光源15から遠くになるに従ってピッチは狭くなっていて、光源15から遠のくに従ってV字形凹溝31aはだんだん密の状態になって形成されている。また、相隣り合うV字形凹溝31aの間には平坦面をなした下面31bを残しており、V字形凹溝−平坦面−V字形凹溝−平坦面−・・・の連続面をなしている。そして、V字形凹溝31aの表面及び平坦面は鏡面に仕上げられている。
【0051】
図7において、L1、L2は光源15からの入射光を示しており、矢印の方向が光の進む方向を示している。V字形凹溝31aの形状は、溝先端の角度が85°±15°(70°〜100°)の範囲内で、より好ましくは80°〜90°の範囲内で設けるのが良い。この角度の範囲がV斜面での反射率を一番高め、入射光L1、L2を効率よく上方(表示層側)に反射する。また、V字形凹溝31aの深さtは10〜35μmの範囲位となる。このV字形凹溝31aの深さtはV字形凹溝11aの幅nから決まるもので、V字形凹溝31aの幅nは20〜70μmの範囲に設定する。幅nが20μmより小さくすると反射効率が悪くなり、明るい照明が得られなくなる。一方、70μmより大きくするとV字形凹溝31aが鏡面をなしていることもあって表示板30の上方から視認されるようになり、外観品質を損なうようになる。
【0052】
光源15からの光で、V字形凹溝31aのV斜面に当たった光(L1、L2)は反射を起こして上方に向かって反射される。一般に、表示板は光源に近いところは光源の放射光が多く当たるために明るく照明される。一方、光源から遠くの所は光量が少なくなるので暗くなる。しかしながら、複数のV字形凹溝31aを光源15を中心として同心円状に形成してあることから、更に、光源15から遠のく従ってピッチを狭くして密に形成してあることから、光源15から遠のく従ってV字形凹溝31aからの反射光も多くなり、これによって光源15から遠のいても明るさが明るくなり、全体的に均一な明るさが得られるようになる。
【0053】
このV字形凹溝31aを設けた光透過性基板31は透明なポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形凹溝31a、並びに、光透過性基板31の下面側の鏡面仕上げ、即ち、V字形凹溝31aの表面や下面31bの鏡面仕上げは金型からの転写方法で形成する。この光透過性基板31の厚みは略0.4〜0.6mmの範囲の厚みに形成される。尚、光透過性基板31に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0054】
光透過性基板31の上面に設ける光拡散層32は光を散乱させて照明明るさを更に均一にするために設ける。本実施形態における光拡散層32は、透過性基板31の上面に梨地処理を施して微小な凹凸を設け、この梨地面を光拡散層として用いている。この光拡散層32は、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン(SiO2)粉末などの散乱微粒子を分散させて形成した透明樹脂被膜を用いても何ら支障はない。この光拡散層32を設けることによって光散乱が起き、照明の明るさが更に一層均一になる。
【0055】
表示層33は表示板としての表示役割を果たす表示層で、装飾膜33bと時字などを示す指標33aとから構成している。装飾膜33bは、時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持つ有色樹脂被膜や金属被膜でもって形成する。有色樹脂被膜でもって形成する場合は、透明なアクリル樹脂やウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて生成した着色インクや着色樹脂塗料を用いて公知の印刷方法や塗装方法などで形成する。着色インクや着色樹脂塗料を用いる場合は、所要の透過性を確保しなければならないことから、顔料や染料などの着色剤を上記の樹脂に5〜10重量部配合しての着色インクや着色樹脂塗料を生成して5〜20μmの厚みに形成するのが好ましい。また、金属被膜で形成する場合は、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で光透過性を持たせた金属薄膜で形成する。透過率を必要とすることから、50〜200Åの厚みに形成するのが好ましい。この厚みであると30〜70%の範囲の透過率が得られる。また、用いる金属は、Au、Ag、Al、Cu、Co、Cr、Ni、Pt、Pdなどの金属やこれらの合金金属を用いることができ、色々な金属色調を持った装飾膜33bを得ることができる。また、この装飾膜33bは金属薄膜と有色樹脂被膜と積層した被膜でもって構成しても良く、金属薄膜と有色樹脂被膜とを積層した構成を取ると装飾性を高めると共に装飾バリエーションを広げることができる。指標33aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0056】
以上の構造を取った表示板30は、光源15から光透過性基板31に入射して光透過性基板31の下面側に向かう光は、下面側に設けたV字形凹溝31aのV斜面で反射して光拡散層32及び表示層33に向かって放射される。V斜面が鏡面を成して、70°〜100°の角度を成していることから多くの光を反射して反射効率を非常に高めている。また、V字形凹溝31aを複数並べて、光源15から遠のく(このことは、光透過性基板31の中心部に近づくことになるが)に従って密になるように設けてあることより、光源15から遠のいても多くの反射光量が得られ、光拡散層32及び表示層33に向かって反射される反射光量も均一化される。そして、多くの反射光量が光拡散層32に入射し、光散乱した状態で表示層33を透過して表示板30の外に放射される。光拡散層32の光散乱作用により照明の明るさが更に均一化されて明るい表示装飾が得られる。
【0057】
また、光透過性基板31は、相隣り合うV字形凹溝31aの間には平坦面が設けられている。この平坦面は表示板30の上方から入射する外光を透過させるために設けており、この平坦面を通して多くの光量が表示板を透過し、表示板の下面側に配設したソーラーセルに発電作用を起こさせる。
【0058】
以上の構造を取った表示板30は、表示板自体を明るく照明する構造にもなっていると共に、ソーラーセルにも適用できる構造にもなっている。そして、表示板30の照明は光透過性基板1枚の構成で達成できることから、薄型にした照明構造が得られる。
【0059】
尚、本実施形態に係る表示板30は、光透過性基板31の下面側にV字形凹溝31aを設けて、そのV字形凹溝31aを反射手段に用いたが、このV字形凹溝に代えて、前述の第1実施形態と同様に、V字形突起を設けて、V字形突起を反射手段として用いても同様な効果を得る。
【0060】
次に、本発明の第4実施形態に係る表示板について図8、図9、図10を用いて説明する。本発明の第4実施形態に係る表示板40は、図8に示すように、左右側面側に2個のLEDからなる光源15を配設して用いられる。表示板40は、光透過性基板41の上面に光拡散層42と、装飾膜43bと指標43aとで構成した表示層43を設けており、光透過性基板41の下面には左右の光源15を中心にして放射状に複数並んだV字形突起41aを設けたものから構成している。そして、放射状に複数並んだV字形突起41aが反射手段を構成している。尚、図示はしていないが光透過性基板41の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0061】
この複数並んだV字形突起41aで形成した放射目は、図9に示すように、光透過性基板41の右半分には右側の光源15を中心にして放射目状に形成した複数のV字形突起41aが設けられ、左半分には左側の光源15を中心にして放射目状に形成したV字形突起41aが設けられている。そして、右半分のV字形突起41aと左半分のV字形突起41aは光透過性基板41の中心で左右対称になっている。複数の放射目状になっているV字形突起41aは、突起41aの長さが長いもの、長さが短いもの、長いものと短いものとの間の中間の長さのものの3種類で構成され、長さが長いものは光源15に一番近い透過性基板41の外周縁部から形成され、長さが短いものは光源15からかなり遠のいた位置から形成され、中間の長さのものはその略中間の位置から形成されている。そして、この3種類からなるV字形突起41aは、光源15から遠のいた所においては概ね等間隔に形成されている。従って、光源15に近い位置ではV字形突起41aの数が少なく、光源15から遠のくに従ってV字形突起41aの数が多くなっている。尚、本実施形態においては、放射目模様状に形成するV字形突起41aの長さを、長さが長いもの、長さが短いもの、長いものと短いものとの間の中間の長さのものの3種類で構成したが、特に3種類に限定するものではなく、表示板の大きさや突起の幅などを考慮して適宜に設定するのが良い。
【0062】
図10は光透過性基板41の背面側から見た斜視図を示していて、図中において上方側が光透過性基板41の下面側になり、下方側が光透過性基板の上面側になっている。光透過性基板41の下面41bに形成したV字形突起41aは、下面41bから突出して形成されており、その先端角は70°〜100°の範囲内で、幅は20〜40μm、高さは10〜35μmの範囲内で形成される。また、光透過性基板41の下面41b、並びに、V字形突起41aの表面は鏡面になっており、光の反射性が高められるようにしてある。
【0063】
光源15から入射した光はV字形突起41aの両傾斜面(o、p)に当たり、そして、そこで反射された光の多くが光透過性基板41の上面側にある光拡散層42や表示層43向かって放射される。光源15から遠のくに従ってV字形突起41aの数が多くなることから、V字形突起41aの両傾斜面(m、n)からの反射光量も多くなり、それによって、照明の明るさも増してくる。
【0064】
透過性基板41はポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形凸溝41a、並びに、V字形凸溝41aの表面の鏡面仕上げや透過性基板41の下面41bの鏡面仕上げも金型からの転写方法で形成する。尚、光透過性基板41に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0065】
透過性基板41の上面に設ける光拡散層42は光を散乱させて照明明るさを更に均一にするために設ける。光拡散層42は、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン(SiO2)粉末などの散乱微粒子を分散させたものからなる。光透過性基板41の下面側に設けた放射目状のV字形突起41aから反射された光や光源15からの直接光がこの光拡散層42を透過すると散乱微粒子の作用を受けて光が散乱し、散乱光となって光拡散層42を透過する。この光散乱によって照明の明るさが更に一層均一になる。尚、本実施形態においては散乱微粒子を分散した樹脂被膜から構成したが、樹脂被膜に代えて、光透過性基板41の上面に梨地処理を施して微小な凹凸を設け、この梨地面を光拡散層としても構わない。
【0066】
表示層43は表示板としての表示役割を果たす表示層で、装飾膜43bと時字などを示す指標43aとから構成している。装飾膜43bは、時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持つ有色樹脂被膜や金属被膜でもって形成する。有色樹脂被膜でもって形成する場合は、透明なアクリル樹脂やウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて生成した着色インクや着色樹脂塗料を用いて公知の印刷方法や塗装方法などで形成する。着色インクや着色樹脂塗料を用いる場合は、所要の透過性を確保しなければならないことから、顔料や染料などの着色剤を上記の樹脂に5〜10重量部配合しての着色インクや着色樹脂塗料を生成して5〜20μmの厚みに形成するのが好ましい。また、金属被膜で形成する場合は、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で光透過性を持たせた金属薄膜で形成する。透過率を必要とすることから、50〜200Åの厚みに形成するのが好ましい。この厚みであると30〜70%の範囲の透過率が得られる。また、用いる金属は、Au、Ag、Al、Cu、Co、Cr、Ni、Pt、Pdなどの金属やこれらの合金金属を用いることができ、色々な金属色調を持った装飾膜33bを得ることができる。また、この装飾膜43bは金属薄膜と有色樹脂被膜と積層した被膜でもって構成しても良く、金属薄膜と有色樹脂被膜とを積層した構成を取ると装飾性を高めると共に装飾バリエーションを広げることができる。指標43aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0067】
以上の構造を取った表示板40は、均一な明るさの照明の下で鮮明な表示装飾を視認することができる。また、光透過性基板41の1枚の厚さだけで照明構造が取れるので時計の薄型化も可能になる。
【0068】
尚、本実施形態における表示板40は、放射目状に形成した複数のV字形突起41aを光透過性基板41の下面から突出する形状で形成したものから構成したが、V字形突起41aに代えてV字形凹溝を彫り込んだ形状で構成しても同じ効果が得られる。
【0069】
また、本実施形態の表示板40の構成において、光透過性基板41の下面41bを傾斜を持たせた形状にすることもできる。外周縁部から中心部に向かうに従って立ち上がりの傾斜が付いていると、光源から遠のくに従ってV字形突起41aのV斜面に入射する光の量も多くなり、よってV斜面でもって反射する光量も多くなる。これによって明るさもアップする。
【0070】
また、本実施形態の表示板40においては、光透過性基板41の下面側に放射目状に設けた複数のV字形突起41aの相隣り合うV字形凹溝31aの間には下面41bの平坦面が残って設けられている。この平坦面は表示板40の上方から入射する外光を透過させるために設けており、この平坦面を通して多くの光量が透過し、表示板の下面側に配設したソーラーセルに発電作用を起こさせる。
【0071】
以上の構造を取った表示板40は、表示板自体を明るく照明する構造にもなっていると共に、ソーラーセルにも適用できる構造にもなっている。
【0072】
以上説明した本発明の実施形態は光源を2個用いたもので説明した。表示板の大きさが小さいものは光源が1個でも十分明るく照明することができる。表示板の大きさを見て、適宜に光源の個数を設定すると良い。表示板が大きく、光源が複数個必要とされる場合は、表示板を光源の数の分で等分割して光源に対応する領域を決めて、その領域はその対応する光源を中心にしてサークル状に、或いは、放射目状にV字形突起またはV字形凹溝を設けるようにすれば良い。何れにしても、従来技術での構造と比較すると光源の数は少なくすることが可能である。
【0073】
また、時計用表示板を例にとって本発明の表示板の構造を説明したが、本発明の構造は時計に限らず、計器類の表示板やその他の電子表示機器の表示板にも適用できる。そして、本発明の構造を用いた電子表示機器は表示板1枚の厚さでもって表示の照明ができることから薄型化が可能になる。そしてその中で、均一なる明るさの表示照明を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)におけるD−D断面図である。
【図2】図1における表示板の背面を模式的に表した背面図である。
【図3】図1の(b)におけるE部拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る時計用表示板の要部断面図である。
【図5】図4におけるF部の拡大図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る時計用表示板の要部断面図である。
【図7】図6におけるG部の拡大図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図8の(a)は平面図、図8の(b)は図8の(a)におけるD−D断面図である。
【図9】図8における表示板の背面を模式的に表した背面図である。
【図10】図9におけるH部の要部を拡大して示した斜視図である。
【図11】携帯時計の表示板の側面側にLEDなる光源を配設して表示板を照明する従来の照明構造を示したもので、図11の(a)は平面図、図11の(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0075】
10、20、30、40 表示板
11、21、31、41 光透過性基板
11a、21a、41a V字形突起
31a V字形凹溝
11b、21b、31b、41b 下面
13、23、33、43 表示層
13a、23a、33a、43a 指標
13b、23b、33b、43b 装飾膜
15 光源
22、32、42 光拡散層
24 反射膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計の表示板や自動車の計器表示板、その他各種の電子表示機器の表示板に関する。
【背景技術】
【0002】
時計の一部の表示板や自動車の計器表示板、その他各種の電子表示機器の表示板において、夜間などの暗がりでも表示が読み取れるように照明装置を備えている。その照明装置の多くは、表示板の背面にバックライトを備えた照明構造を取っている。例えば、携帯時計などにおいては、透過性の表示板の背面側にEL(エレクトロルミネッセンス)を配設し、ELを発光させて表示板を照明する構造を取っている。しかしながら、ELを用いる照明構造は時計全体の厚みを比較的薄くすることが可能であるが、ELの発光輝度が低いがために表示板の表示明るさも低く、しかも、照明色調に制限があると云う問題を持っている。そこで、表示明るさを明るくするために、表示板の側面側にLEDなる光源を配設して表示板を照明する構造も一部において用いられてきている。図11は、携帯時計の表示板の側面側にLEDなる光源を配設して表示板を照明する従来の照明構造を示したもので、図11の(a)は平面図、図11の(b)は側面図を示している。
【0003】
以下、携帯時計の表示板の場合について図11を用いて従来技術を説明する。表示板1は透過性基板2の上面に時字からなる指標3が設けられている。透過性基板2は透明なポリカーボネイト樹脂などから形成されていて、その表面には塗料などを用いての表示板としての装飾などが施されている。表示板1の左右両側にLEDからなる光源4が2個配設されており、光源4の発光によって表示板1が両側から照明される構造を取っている。表示板1の側面側に配設した光源4が発光して、その光が透明なポリカーボネイト樹脂などから形成した透過性基板2の内部に入射し、その入射した光でもって表示板1を照明する構造になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この構造は、図11の(a)に示すように、左右の光源4に近い部分の領域A1とA2は明るく照明されるが斜線で示した領域Bは暗くなって、はっきりとその照明明るさのムラが視認されるようになる。このように、光源から遠くになるに従って暗くなって明るさにムラが現れ、外観的や機能的にも劣って高級時計には使えないと云う問題を持っている。
【0005】
このような構造を取る限りにおいては、携帯時計の表示板のみならず他の電子表示機器の表示板でも同様なことが起きる。この問題は光源の数を増やすことによってある程度の解消を図ることができる。しかしながら、光源の数を増やすとコストアップにつながり、また、配設スペースも広く必要とすると云う問題が新たに生まれる。特に、携帯時計のように限られた大きさのものは、光源の数を増やさないで明るい照明、ムラのない照明が求められる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたもので、光源の数を増やさずに明るい照明、ムラのない照明が得られる表示板を得ることを目的とする。また、明るくムラのない照明を薄い表示板の中で達成させ、表示機器の薄型化を達成させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の請求項1に記載の表示板は、上面側に表示層を有し、下面側に反射手段を有する光透過性基板からなる表示板であって、前記反射手段は、前記光透過性基板の側面側に配設される光源を中心にして前記透過性基板の下面に複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝からなることを特徴とするものである。尚、本発明におけるV字形突起はV字形状の連なった突起を云う。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の表示板は、前記複数並べて形成したV字形突起の相隣るV字型突起の間に、又はV字形凹溝の相隣るV字型凹溝の間に、平坦面を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の表示板は、前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝の幅は20〜70μmであることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の表示板は、前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝は鏡面になっていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の表示板は、前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝はサークル模様又は放射目模様を成していることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載の表示板は、前記サークル模様は、光源を中心にして同心円状に設けられ、光源から遠のくに従ってサークルのピッチが小さくなっていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項7に記載の表示板は、前記放射目模様は、光源から遠のくに従って放射目の数が多くなっていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項8に記載の表示板は、前記光源は前記透過性基板の略中心線上の左右に2個設けられ、前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝は左右対称に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項9に記載の表示板は、前記透過性基板の下面は、基板の外周側から基板の中心側に向かうに従って立ち上がりの傾斜を有することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項10に記載の表示板は、前記V字形突起又はV字形凹溝が設けられた前記光透過性基板の下面に反射膜を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項11に記載の表示板は、前記表示層と前記光透過性基板との間に光拡散層を有することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項12に記載の電子表示機器は、表示板の照明構造を備えた電子表示機器において、前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載の表示板を備え、表示板の明るさを均一に照明すると共に表示機器を薄型にしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
発明の効果として、本発明の表示板は、上面側に表示層を有し、下面側に反射手段を有する光透過性基板からなって、反射手段は、光透過性基板の側面側に配設される光源を中心にして複数並べて形成したV字形突起またはV字形凹溝からなる。側面側から光透過性基板内に入射した光をV字形突起またはV字形凹溝のV斜面で反射させ、そして、表示層側に放射させて表示層を照明する構造を取る。V字形突起またはV字形凹溝を光源を中心にして複数並べて設けていることから、V斜面からの反射光が多くなり、且つ、光源から同一距離に当たる所は明るさが同じになる。
【0020】
また、V字形突起またはV字形凹溝を、請求項5、6、7に記載の如く、サークル模様又は放射目模様に形成し、サークル模様は光源を中心にして同心円状に、光源から遠のくに従ってサークルのピッチが小さくなっている。同様に、放射目模様は光源から遠のくに従って放射目の数が多くなっている。これによって、光源から遠のくに従ってV斜面からの反射光が多く得られ、照明明るさが全体に渡って均一になるようになる。
【0021】
また、V字形突起またはV字形凹溝は、請求項4に記載の下では、鏡面になっている。これにより、鏡面になったV斜面で全反射を起こし、多くの反射光量を表示層に放射させて表示層を尚一層明るく照明する。
【0022】
また、本発明の請求項3に記載の如く、V字形突起又はV字形凹溝の幅を20〜70μmにすると、反射効率が悪くならず、しかも、V字形突起又はV字形凹溝が視認されず、良い外観的品質が得られる。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の如く、複数並べて形成したV字形突起の相隣るV字型突起の間に、又はV字形凹溝の相隣るV字型凹溝の間に、平坦面を設けると、外光がその平坦面の部分から下方に透過する。表示板の下方にソーラーセルを設けた構造のものに対しても適用させることができ、照明とソーラーセル発電の両方の機能を持たせて表示板にすることができる。
【0024】
また、本発明の請求項8に記載の如く、光源が前記透過性基板の略中心線上の左右に2個設けられている場合は、複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝を左右対称に設けることにより、表示板の左右の照明明るさが均一になる。
【0025】
また、本発明の請求項9に記載の如く、透過性基板の下面を、基板の外周側から基板の中心側に向かうに従って立ち上がりの傾斜を持たせると、光源から遠のいても光源からの多くの光がV字形突起またはV字形凹溝のV斜面に入射するようになる。そして、光源から遠のいてもV斜面での反射光量が多くなり、明るさが増す効果を生む。
有することを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の請求項10に記載の如く、V字形突起又はV字形凹溝を設けた光透過性基板の下面に反射膜を設けると、反射率が高められより明るい照明が得られる。
【0027】
また、本発明の請求項11に記載の如く、表示層と光透過性基板との間に光拡散層を設けることにより、V字形突起またはV字形凹溝から上方に向かって反射された光はこの拡散層で拡散される。光を拡散して照明明るさを均一にさせる。
【0028】
また、表示板の照明構造を備えた電子表示機器にあっては、本発明の表示板を用いることにより表示板全体が均一に明るく照明された表示機器が得られる。また、表示板とその側面に配設する光源だけでの構造であるから、表示機器は表示板の厚みだけを考慮して設計すれば良いので、格段と薄くした薄型化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図10を用いて説明する。尚、本発明の表示板の実施形態を説明するに当たり時計用表示板を用いて説明する。しかしながら、本発明の表示板は時計用表示板に限らず他の計器類の表示板や電子表示機器の表示板、或いは単体で用いられる表示板にも共通して適用できるものである。ここで、図の説明を行う。図1は本発明の第1実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)におけるD−D断面図を示している。また、図2は図1における表示板の背面を模式的に表した背面図、図3は図1の(b)におけるE部拡大断面図を示している。また、図4は本発明の第2実施形態に係る時計用表示板の要部断面図で、図5は図4におけるF部の拡大図を示している。また、図6は本発明の第3実施形態に係る時計用表示板の要部断面図で、図7は図6におけるG部の拡大図を示している。また、図8は本発明の第4実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図8の(a)は平面図、図8の(b)は図8の(a)におけるD−D断面図を示している。また、図9は図8における表示板の背面を模式的に表した背面図で、図10は図9におけるH部の要部を拡大して示した斜視図で、背面から見た斜視図を示している。
【0030】
最初に、本発明の第1実施形態に係る時計用表示板について図1、図2、図3を用いて説明する。この表示板10は、図1の(a)に示すように、外径が丸く、その中心に指針取付け用の中心穴11cを持っている。また、この表示板10は、下面側に反射手段を設けた光透過性基板11と、この光透過性基板11の上面側に設けた表示層13とから構成される。表示層13は装飾膜13bと時計の時字などを示す指標13aとから構成される。また、この表示板10の左右の側面側にLEDからなる光源15が2個配設されている。この2個の光源15は左右均等な明るさに照明するために表示板10のほぼ中心線上に設けている。光透過性基板11の下面側に設けた反射手段は、図1の(b)及び図2に示すように、透過性基板11の下面11bに複数並べて形成したV字形の連なる突起(本発明では、以降、V字形突起と呼んで説明する)11aからなり、このV字形突起はVの字形をなして下面11bより突出していて、光源15を中心にして同心円でもってサークル模様状に形成されているものである。そして、この表示板10は、複数並べてサークル状に形成したV字形突起11aの反射手段を用いて光源15からの入射光を表示層13側に光を反射し、表示層13を明るく照明する構造を取っている。また、図示はしていないが、この表示板10の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0031】
このV字形突起11aは光源15を中心にして同心円状に設けられるが、表示板10の左右両側に2個の光源15を持っていることから、光透過性基板11には、図2に示すように、光透過性基板11の右半分には右側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数のV字形突起11aが設けられ、左半分には左側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数のV字形突起11aが設けられている。従って、右半分のV字形突起11aと左半分のV字形突起11aは表示板の中心で左右対称になっている。
【0032】
このV字形突起11aは、図3に示すように、光透過性基板11の下面11b側において、光源15に近い方はピッチp1が広く、光源15から遠くになるに従ってピッチp2は狭くなっていて、光源15から遠のくに従ってV字形突起11aはだんだん密の状態になって形成されている。また、相隣るV字形突起11aの間には平坦面をなした下面11bを残しており、V字形突起−平坦面−V字形突起−平坦面−・・・の連続面をなしている。そして、V字形突起11aの表面及び平坦面は鏡面に仕上げられている。
【0033】
図3において、L1、L2は光源15からの入射光を示しており、矢印の方向が光の進む方向を示している。V字形突起11aの形状は、先端の角度が85°±15°(70°〜100°)の範囲内で、より好ましくは80°〜90°の範囲内に設定するのが良い。この角度の範囲がV斜面での反射率を一番高め、入射光L1、L2を効率よく上方(表示層側)に反射する。また、V字形突起11aの高さhは10〜35μmの範囲位となる。このV字形突起11aの高さhはV字形突起11aの幅mから決まるもので、V字形突起11aの幅mは20〜70μmの範囲に設定する。幅mが20μmより小さくすると反射効率が悪くなり、明るい照明が得られなくなる。一方、70μmより大きくするとV字形突起11aが鏡面をなしていることもあって表示板10の上方から視認されるようになり、外観品質を損なうようになる。
【0034】
光源15からの光で、V字形突起11aのV斜面に当たった光(L1、L2)は反射を起こして上方に向かって反射される。一般に、表示板は光源に近いところは光源の放射光が多く当たるために明るく照明される。一方、光源から遠くの所は光量が少なくなるので暗くなる。しかしながら、複数のV字形突起11aは光源15を中心として同心円状に形成してあることから、更に、光源15から遠のく従ってピッチを狭くして密に形成してあることから、光源15から遠のく従ってV字形突起11aからの反射光も多くなり、これによって明るさが明るくなり、全体的に均一な明るさが得られるようになる。
【0035】
光透過性基板11は透明なポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形突起11a、並びに、光透過性基板11の下面側の鏡面仕上げ、即ち、V字形突起11aの表面や相隣るV字形突起の間の平坦面の鏡面仕上げは金型からの転写方法で形成する。この光透過性基板11の厚みは略0.4〜0.6mmの範囲の厚みに形成される。尚、光透過性基板11に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0036】
表示層13は表示板としての表示役割を果たす表示層である。時計用表示板においては、時字などの指標や時計としての外観の質感を高めるための装飾が施される。図1において、表示層13を装飾膜13bと時字などを示す指標13aとから構成している。装飾膜13bは時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持っている。この装飾膜13bは、透明なアクリル樹脂やウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて生成した着色インクや着色樹脂塗料を用いて公知の印刷方法や塗装方法などで形成する。着色インクや着色樹脂塗料を用いる場合は、所要の透過性を確保しなければならないことから、顔料や染料などの着色剤を上記の樹脂に5〜10重量部配合して着色インクや着色樹脂塗料を生成して5〜20μmの厚みに形成するのが好ましい。また、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で光透過性を持たせた金属薄膜で形成することもできる。金属薄膜で装飾膜13bを形成する場合でも、必要とする透過率を得ることから、50〜200Åの厚みに形成するのが好ましい。この厚みであると30〜70%の範囲の透過率が得られる。また、用いる金属は、Au、Ag、Al、Cu、Co、Cr、Ni、Pt、Pdなどの金属やこれらの合金金属を用いることができ、色々な金属色調を持った装飾膜13bを得ることができる。また、この装飾膜13bは金属薄膜と有色樹脂被膜と積層した被膜でもって構成しても良い。各種の装飾を施すことができて装飾性を高めると共に装飾バリエーションを広げることができる。指標13aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0037】
以上の構造を取った表示板は、光源15から光透過性基板11に入射して光透過性基板11の下面側に向かう光は、下面側に設けたV字形突起11aのV斜面で反射して表示層13に向かって放射される。V斜面が鏡面を成して、70°〜100°の角度を成していることから多くの光を反射して反射効率を非常に高めている。そして、多くの反射光量で表示層を照明する。表示層13の装飾膜13bは透過性を持っていることから、光が装飾膜13bを透過して外に放射される。そして、多くの反射光量の下で装飾膜13bの装飾が明るい装飾として目に視認される。また、V字形突起11aを複数並べて、光源15から遠のく(このことは、光透過性基板11の中心部に近づくことになるが)に従って密になるように設けてあることより、光源15から遠のいても多くの反射光量が得られ、表示層13の照明明るさを均一化させる。尚、当然ながら、光源15から表示層13に向かって直接放射される光も現れる。この直接放射される光や光透過性基板11のV字形突起11aによって反射される光でもって表示層13が均一に明るく照明される。光源15として用いるLEDは発光輝度も明るく、そして、色々な発光色を持たせることができる。従って、表示板10を明るく、均一な明るさの下で照明することができる。そして、発光色は求める仕様に応じて適宜に選択することができる。
【0038】
また、光透過性基板11は、相隣り合うV字形突起11aの間には平坦面が設けられている。この平坦面は表示板10の上方から入射する外光を透過させるために設けており、この平坦面を通して多くの光量が表示板を透過し、表示板の下面側に配設したソーラーセルに発電作用を起こさせる。近年のソーラーセルは光電変換効率も非常に高くなってきており、光透過率が15%で満足する発電が得られるソーラーセルも用いられるようになってきている。光透過性基板11の下面側の平坦面は、ソーラーセルの発電に支障を及ぼさない面積をもって形成されている。
【0039】
以上の構造を取った表示板10は、表示板自体を明るく照明する構造にもなっていると共に、ソーラーセルにも適用できる構造にもなっている。そして、表示板10の照明は光透過性基板1枚の構成で達成できることから、薄型にした照明構造が得られる。
【0040】
尚、本実施形態に係る表示板10は、光透過性基板11の下面側にV字形突起11aを設けて、そのV字形突起11aを反射手段に用いたが、このV字形突起に代えてV字形凹溝を設けて、V字形凹溝を反射手段として用いても同様な効果を得るものである。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る表示板について図4、図5を用いて説明する。図4は本発明の第2実施形態に係る時計用表示板の要部断面図で、図5は図4におけるF部の拡大図を示している。第2実施形態に係る表示板20は、図4に示すように、表示板20の左右側面側にLEDからなる光源15を2個配設しての照明をする照明構造を取っているものである。ここでの表示板20は、光透過性基板21の下面側には反射手段を設け、上面側には光拡散層22と、装飾膜23bと指標23aとで構成した表示層23とを設けている。光透過性基板21の下面側に設けた反射手段は、左右の光源15を中心にして形成したサークル状の複数並んだV字形突起21aと、その上に設けた反射膜24とでもって構成を取っている。
【0042】
光透過性基板21の下面に設けた複数のV字形突起21aの形状は、前述の第1実施形態で図2をもって説明した形状と同じ形状を取っている。即ち、光透過性基板21の右半分には右側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数並んだV字形突起21aを設け、左半分には左側の光源15を中心にして形成した同心円状の複数並んだV字形突起21aを設けて、右半分のV字形突起21aと左半分のV字形突起21aとは光透過性基板21の中心でもって左右対称になっている。また、このサークル状になっている複数並んだV字形突起21aは、光源15に近い方はピッチが広く、光源15から遠くなるに従ってピッチが狭くなっている。また、V字形突起21aの先端角は70°〜100°の範囲に形成され、V字形突起21aの幅は20〜70μm、高さは10〜35μmの高さになっている。そして、V字形突起21aの表面は鏡面仕上げが施されている。
【0043】
また、光透過性基板21の平坦面を成す下面21bは、図5に示すように、光透過性基板21の外周部から中心部に向かうに従って立ち上がりの傾斜角θを持っている。そして、鏡面仕上げが施されている。この傾斜角θは光透過性基板21の厚みと外形大きさによって決められるが、例えば時計用の表示板にあっては、傾斜角θは約1/100の値を取ることができる。この傾斜角θは大きければ大きいほど効果が大きく現れるので、光透過性基板21の厚みと外形大きさによって適宜に設定すると良い。光源15から遠のくに従って立ち上がりの傾斜角θが付いていると、V字形凸溝21aのV斜面に入射する光(L3、L4)の量が多くなり、従って、V斜面でもっての反射する光量も多くなる。これによって明るさもアップする。
【0044】
また、光透過性基板21の下面側には、即ち、V字形突起21aの表面や平坦面を成して傾斜角θを持つ下面21bの表面には反射膜24を設けてある。この反射膜24は反射率の高い金属被膜や白色樹脂被膜などから形成している。反射率の高い金属被膜としては、Al、Cr、Pd、Ag、Au、Ptなどの金属を用いて真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式メッキ方法で形成することができる。また、白色樹脂被膜としては、白色樹脂塗料を用いて塗装方法などで形成することができる。このように反射膜24を設けると、光源15から入射する光の大半を効果的に光透過性基板21の表示層23側に反射させて、表示層23を明るく照明する。
【0045】
光透過性基板21は透明なポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形突起21aの形状や光透過性基板21の下面側の鏡面仕上げは金型からの転写方法で形成する。この光透過性基板21の厚みは略0.4〜0.6mmの範囲の厚みに形成される。尚、光透過性基板21に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0046】
光透過性基板21の上面に設ける光拡散層22は光を散乱させて照明明るさを更に均一にするために設ける。光拡散層22は、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン(SiO2)粉末などの散乱微粒子を分散させたものからなる。光透過性基板21の下面側に設けたV字形突起21aや反射膜24から反射された光や光源15からの直接光がこの光拡散層22を透過すると散乱微粒子の作用を受けて光が散乱し、散乱光となって光拡散層22を透過する。この光散乱によって照明の明るさが更に均一化する。尚、本実施形態においては散乱微粒子を分散した樹脂被膜から構成したが、樹脂被膜に代えて、透過性基板21の上面に梨地処理を施して微小な凹凸を設け、この梨地面を光拡散層としても良い。
【0047】
表示層23は表示板としての表示役割を果たす表示層である。時計用表示板においては時字などの指標や時計として外観の質感を高めるための装飾が施される。図4において、指標23aは時字を示しており、装飾膜23bは時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持っている。この装飾膜23bは、前述の第1実施形態の装飾膜13bと同様に、透明な樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて形成した有色樹脂被膜や金属薄膜で形成した金属被膜などで形成することができる。指標23aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0048】
以上の構造を取った表示板20は、均一な照明と、より明るい照明の下で表示が鮮明に視認される。また、光透過性基板21の1枚基板で表示板20を構成することから薄型化が可能になる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る表示板について図6、図7を用いて説明する。本発明の第3実施形態に係る表示板は、前述の第1実施形態と同様に、表示板30の左右の側面側に2個のLEDからなる光源15を配設した中で用いられる。ここでの表示板30は、光透過性基板31の上面に梨地面からなる光拡散層32と、装飾膜33bと指標33aとで構成した表示層33を有しており、また、光透過性基板31の下面には左右の光源15を中心にして同心円状に形成したサークル状の複数並んだV字形凹溝31aからなる反射手段を有している。従って、前述の第1実施形態で説明したV字形突起と形状の違いこそあれ、図2をもって示した模様と同じ模様を取っている。即ち、光透過性基板31の中心でもって左右対称になるサークル状のV字形凹溝31aでもって形成された凹凸模様が設けられたものとなっている。このV字形凹溝31aはVの字形をして下面31bから沈んでの凹溝をなしているものである。また、光透過性基板31の下面31bと、この下面31bに設けたV字形凹溝31aの表面は鏡面になっている。また、図示はしていないが光透過性基板31の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0050】
このV字形凹溝31aは、図7に示すように、光透過性基板31の下面31b側において、光源15に近い方はピッチが広く、光源15から遠くになるに従ってピッチは狭くなっていて、光源15から遠のくに従ってV字形凹溝31aはだんだん密の状態になって形成されている。また、相隣り合うV字形凹溝31aの間には平坦面をなした下面31bを残しており、V字形凹溝−平坦面−V字形凹溝−平坦面−・・・の連続面をなしている。そして、V字形凹溝31aの表面及び平坦面は鏡面に仕上げられている。
【0051】
図7において、L1、L2は光源15からの入射光を示しており、矢印の方向が光の進む方向を示している。V字形凹溝31aの形状は、溝先端の角度が85°±15°(70°〜100°)の範囲内で、より好ましくは80°〜90°の範囲内で設けるのが良い。この角度の範囲がV斜面での反射率を一番高め、入射光L1、L2を効率よく上方(表示層側)に反射する。また、V字形凹溝31aの深さtは10〜35μmの範囲位となる。このV字形凹溝31aの深さtはV字形凹溝11aの幅nから決まるもので、V字形凹溝31aの幅nは20〜70μmの範囲に設定する。幅nが20μmより小さくすると反射効率が悪くなり、明るい照明が得られなくなる。一方、70μmより大きくするとV字形凹溝31aが鏡面をなしていることもあって表示板30の上方から視認されるようになり、外観品質を損なうようになる。
【0052】
光源15からの光で、V字形凹溝31aのV斜面に当たった光(L1、L2)は反射を起こして上方に向かって反射される。一般に、表示板は光源に近いところは光源の放射光が多く当たるために明るく照明される。一方、光源から遠くの所は光量が少なくなるので暗くなる。しかしながら、複数のV字形凹溝31aを光源15を中心として同心円状に形成してあることから、更に、光源15から遠のく従ってピッチを狭くして密に形成してあることから、光源15から遠のく従ってV字形凹溝31aからの反射光も多くなり、これによって光源15から遠のいても明るさが明るくなり、全体的に均一な明るさが得られるようになる。
【0053】
このV字形凹溝31aを設けた光透過性基板31は透明なポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形凹溝31a、並びに、光透過性基板31の下面側の鏡面仕上げ、即ち、V字形凹溝31aの表面や下面31bの鏡面仕上げは金型からの転写方法で形成する。この光透過性基板31の厚みは略0.4〜0.6mmの範囲の厚みに形成される。尚、光透過性基板31に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0054】
光透過性基板31の上面に設ける光拡散層32は光を散乱させて照明明るさを更に均一にするために設ける。本実施形態における光拡散層32は、透過性基板31の上面に梨地処理を施して微小な凹凸を設け、この梨地面を光拡散層として用いている。この光拡散層32は、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン(SiO2)粉末などの散乱微粒子を分散させて形成した透明樹脂被膜を用いても何ら支障はない。この光拡散層32を設けることによって光散乱が起き、照明の明るさが更に一層均一になる。
【0055】
表示層33は表示板としての表示役割を果たす表示層で、装飾膜33bと時字などを示す指標33aとから構成している。装飾膜33bは、時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持つ有色樹脂被膜や金属被膜でもって形成する。有色樹脂被膜でもって形成する場合は、透明なアクリル樹脂やウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて生成した着色インクや着色樹脂塗料を用いて公知の印刷方法や塗装方法などで形成する。着色インクや着色樹脂塗料を用いる場合は、所要の透過性を確保しなければならないことから、顔料や染料などの着色剤を上記の樹脂に5〜10重量部配合しての着色インクや着色樹脂塗料を生成して5〜20μmの厚みに形成するのが好ましい。また、金属被膜で形成する場合は、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で光透過性を持たせた金属薄膜で形成する。透過率を必要とすることから、50〜200Åの厚みに形成するのが好ましい。この厚みであると30〜70%の範囲の透過率が得られる。また、用いる金属は、Au、Ag、Al、Cu、Co、Cr、Ni、Pt、Pdなどの金属やこれらの合金金属を用いることができ、色々な金属色調を持った装飾膜33bを得ることができる。また、この装飾膜33bは金属薄膜と有色樹脂被膜と積層した被膜でもって構成しても良く、金属薄膜と有色樹脂被膜とを積層した構成を取ると装飾性を高めると共に装飾バリエーションを広げることができる。指標33aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0056】
以上の構造を取った表示板30は、光源15から光透過性基板31に入射して光透過性基板31の下面側に向かう光は、下面側に設けたV字形凹溝31aのV斜面で反射して光拡散層32及び表示層33に向かって放射される。V斜面が鏡面を成して、70°〜100°の角度を成していることから多くの光を反射して反射効率を非常に高めている。また、V字形凹溝31aを複数並べて、光源15から遠のく(このことは、光透過性基板31の中心部に近づくことになるが)に従って密になるように設けてあることより、光源15から遠のいても多くの反射光量が得られ、光拡散層32及び表示層33に向かって反射される反射光量も均一化される。そして、多くの反射光量が光拡散層32に入射し、光散乱した状態で表示層33を透過して表示板30の外に放射される。光拡散層32の光散乱作用により照明の明るさが更に均一化されて明るい表示装飾が得られる。
【0057】
また、光透過性基板31は、相隣り合うV字形凹溝31aの間には平坦面が設けられている。この平坦面は表示板30の上方から入射する外光を透過させるために設けており、この平坦面を通して多くの光量が表示板を透過し、表示板の下面側に配設したソーラーセルに発電作用を起こさせる。
【0058】
以上の構造を取った表示板30は、表示板自体を明るく照明する構造にもなっていると共に、ソーラーセルにも適用できる構造にもなっている。そして、表示板30の照明は光透過性基板1枚の構成で達成できることから、薄型にした照明構造が得られる。
【0059】
尚、本実施形態に係る表示板30は、光透過性基板31の下面側にV字形凹溝31aを設けて、そのV字形凹溝31aを反射手段に用いたが、このV字形凹溝に代えて、前述の第1実施形態と同様に、V字形突起を設けて、V字形突起を反射手段として用いても同様な効果を得る。
【0060】
次に、本発明の第4実施形態に係る表示板について図8、図9、図10を用いて説明する。本発明の第4実施形態に係る表示板40は、図8に示すように、左右側面側に2個のLEDからなる光源15を配設して用いられる。表示板40は、光透過性基板41の上面に光拡散層42と、装飾膜43bと指標43aとで構成した表示層43を設けており、光透過性基板41の下面には左右の光源15を中心にして放射状に複数並んだV字形突起41aを設けたものから構成している。そして、放射状に複数並んだV字形突起41aが反射手段を構成している。尚、図示はしていないが光透過性基板41の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0061】
この複数並んだV字形突起41aで形成した放射目は、図9に示すように、光透過性基板41の右半分には右側の光源15を中心にして放射目状に形成した複数のV字形突起41aが設けられ、左半分には左側の光源15を中心にして放射目状に形成したV字形突起41aが設けられている。そして、右半分のV字形突起41aと左半分のV字形突起41aは光透過性基板41の中心で左右対称になっている。複数の放射目状になっているV字形突起41aは、突起41aの長さが長いもの、長さが短いもの、長いものと短いものとの間の中間の長さのものの3種類で構成され、長さが長いものは光源15に一番近い透過性基板41の外周縁部から形成され、長さが短いものは光源15からかなり遠のいた位置から形成され、中間の長さのものはその略中間の位置から形成されている。そして、この3種類からなるV字形突起41aは、光源15から遠のいた所においては概ね等間隔に形成されている。従って、光源15に近い位置ではV字形突起41aの数が少なく、光源15から遠のくに従ってV字形突起41aの数が多くなっている。尚、本実施形態においては、放射目模様状に形成するV字形突起41aの長さを、長さが長いもの、長さが短いもの、長いものと短いものとの間の中間の長さのものの3種類で構成したが、特に3種類に限定するものではなく、表示板の大きさや突起の幅などを考慮して適宜に設定するのが良い。
【0062】
図10は光透過性基板41の背面側から見た斜視図を示していて、図中において上方側が光透過性基板41の下面側になり、下方側が光透過性基板の上面側になっている。光透過性基板41の下面41bに形成したV字形突起41aは、下面41bから突出して形成されており、その先端角は70°〜100°の範囲内で、幅は20〜40μm、高さは10〜35μmの範囲内で形成される。また、光透過性基板41の下面41b、並びに、V字形突起41aの表面は鏡面になっており、光の反射性が高められるようにしてある。
【0063】
光源15から入射した光はV字形突起41aの両傾斜面(o、p)に当たり、そして、そこで反射された光の多くが光透過性基板41の上面側にある光拡散層42や表示層43向かって放射される。光源15から遠のくに従ってV字形突起41aの数が多くなることから、V字形突起41aの両傾斜面(m、n)からの反射光量も多くなり、それによって、照明の明るさも増してくる。
【0064】
透過性基板41はポリカーボネイト樹脂などの透明なプラスチック材を用いて射出成形方法で形成する。その時、V字形凸溝41a、並びに、V字形凸溝41aの表面の鏡面仕上げや透過性基板41の下面41bの鏡面仕上げも金型からの転写方法で形成する。尚、光透過性基板41に用いる材料はポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリイミド樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性や耐湿性、耐光性などに優れた樹脂材料を用いることがきる。
【0065】
透過性基板41の上面に設ける光拡散層42は光を散乱させて照明明るさを更に均一にするために設ける。光拡散層42は、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン(SiO2)粉末などの散乱微粒子を分散させたものからなる。光透過性基板41の下面側に設けた放射目状のV字形突起41aから反射された光や光源15からの直接光がこの光拡散層42を透過すると散乱微粒子の作用を受けて光が散乱し、散乱光となって光拡散層42を透過する。この光散乱によって照明の明るさが更に一層均一になる。尚、本実施形態においては散乱微粒子を分散した樹脂被膜から構成したが、樹脂被膜に代えて、光透過性基板41の上面に梨地処理を施して微小な凹凸を設け、この梨地面を光拡散層としても構わない。
【0066】
表示層43は表示板としての表示役割を果たす表示層で、装飾膜43bと時字などを示す指標43aとから構成している。装飾膜43bは、時計としての外観質感を高めるために設ける装飾で、光透過性を持つ有色樹脂被膜や金属被膜でもって形成する。有色樹脂被膜でもって形成する場合は、透明なアクリル樹脂やウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂に顔料や染料などを混ぜ合わせて生成した着色インクや着色樹脂塗料を用いて公知の印刷方法や塗装方法などで形成する。着色インクや着色樹脂塗料を用いる場合は、所要の透過性を確保しなければならないことから、顔料や染料などの着色剤を上記の樹脂に5〜10重量部配合しての着色インクや着色樹脂塗料を生成して5〜20μmの厚みに形成するのが好ましい。また、金属被膜で形成する場合は、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で光透過性を持たせた金属薄膜で形成する。透過率を必要とすることから、50〜200Åの厚みに形成するのが好ましい。この厚みであると30〜70%の範囲の透過率が得られる。また、用いる金属は、Au、Ag、Al、Cu、Co、Cr、Ni、Pt、Pdなどの金属やこれらの合金金属を用いることができ、色々な金属色調を持った装飾膜33bを得ることができる。また、この装飾膜43bは金属薄膜と有色樹脂被膜と積層した被膜でもって構成しても良く、金属薄膜と有色樹脂被膜とを積層した構成を取ると装飾性を高めると共に装飾バリエーションを広げることができる。指標43aは、着色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成したり、切削加工方法やプレス加工方法、電鋳メッキ方法などの方法で形成した金属指標を貼付けたりして形成する。
【0067】
以上の構造を取った表示板40は、均一な明るさの照明の下で鮮明な表示装飾を視認することができる。また、光透過性基板41の1枚の厚さだけで照明構造が取れるので時計の薄型化も可能になる。
【0068】
尚、本実施形態における表示板40は、放射目状に形成した複数のV字形突起41aを光透過性基板41の下面から突出する形状で形成したものから構成したが、V字形突起41aに代えてV字形凹溝を彫り込んだ形状で構成しても同じ効果が得られる。
【0069】
また、本実施形態の表示板40の構成において、光透過性基板41の下面41bを傾斜を持たせた形状にすることもできる。外周縁部から中心部に向かうに従って立ち上がりの傾斜が付いていると、光源から遠のくに従ってV字形突起41aのV斜面に入射する光の量も多くなり、よってV斜面でもって反射する光量も多くなる。これによって明るさもアップする。
【0070】
また、本実施形態の表示板40においては、光透過性基板41の下面側に放射目状に設けた複数のV字形突起41aの相隣り合うV字形凹溝31aの間には下面41bの平坦面が残って設けられている。この平坦面は表示板40の上方から入射する外光を透過させるために設けており、この平坦面を通して多くの光量が透過し、表示板の下面側に配設したソーラーセルに発電作用を起こさせる。
【0071】
以上の構造を取った表示板40は、表示板自体を明るく照明する構造にもなっていると共に、ソーラーセルにも適用できる構造にもなっている。
【0072】
以上説明した本発明の実施形態は光源を2個用いたもので説明した。表示板の大きさが小さいものは光源が1個でも十分明るく照明することができる。表示板の大きさを見て、適宜に光源の個数を設定すると良い。表示板が大きく、光源が複数個必要とされる場合は、表示板を光源の数の分で等分割して光源に対応する領域を決めて、その領域はその対応する光源を中心にしてサークル状に、或いは、放射目状にV字形突起またはV字形凹溝を設けるようにすれば良い。何れにしても、従来技術での構造と比較すると光源の数は少なくすることが可能である。
【0073】
また、時計用表示板を例にとって本発明の表示板の構造を説明したが、本発明の構造は時計に限らず、計器類の表示板やその他の電子表示機器の表示板にも適用できる。そして、本発明の構造を用いた電子表示機器は表示板1枚の厚さでもって表示の照明ができることから薄型化が可能になる。そしてその中で、均一なる明るさの表示照明を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)におけるD−D断面図である。
【図2】図1における表示板の背面を模式的に表した背面図である。
【図3】図1の(b)におけるE部拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る時計用表示板の要部断面図である。
【図5】図4におけるF部の拡大図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る時計用表示板の要部断面図である。
【図7】図6におけるG部の拡大図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る時計用表示板の構成を示す図で、図8の(a)は平面図、図8の(b)は図8の(a)におけるD−D断面図である。
【図9】図8における表示板の背面を模式的に表した背面図である。
【図10】図9におけるH部の要部を拡大して示した斜視図である。
【図11】携帯時計の表示板の側面側にLEDなる光源を配設して表示板を照明する従来の照明構造を示したもので、図11の(a)は平面図、図11の(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0075】
10、20、30、40 表示板
11、21、31、41 光透過性基板
11a、21a、41a V字形突起
31a V字形凹溝
11b、21b、31b、41b 下面
13、23、33、43 表示層
13a、23a、33a、43a 指標
13b、23b、33b、43b 装飾膜
15 光源
22、32、42 光拡散層
24 反射膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側に表示層を有し、下面側に反射手段を有する光透過性基板からなる表示板であって、前記反射手段は、前記光透過性基板の側面側に配設される光源を中心にして前記透過性基板の下面に複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝からなることを特徴とする表示板。
【請求項2】
前記複数並べて形成したV字形突起の相隣るV字形突起の間に、又はV字形凹溝の相隣るV字型凹溝の間に、平坦面を有することを特徴とする請求項1に記載の表示板。
【請求項3】
前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝の幅は20〜70μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示板。
【請求項4】
前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝は鏡面になっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項5】
前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝はサークル模様又は放射目模様を成していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項6】
前記サークル模様は、光源を中心にして同心円状に設けられ、光源から遠のくに従ってサークルのピッチが小さくなっていることを特徴とする請求項5に記載の表示板
【請求項7】
前記放射目模様は、光源から遠のくに従って放射目の数が多くなっていることを特徴とする請求項5に記載の表示板。
【請求項8】
前記光源は前記透過性基板の略中心線上の左右に2個設けられ、前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝は左右対称に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示板
【請求項9】
前記透過性基板の下面は、基板の外周側から基板の中心側に向かうに従って立ち上がりの傾斜を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項10】
前記V字形突起又はV字形凹溝が設けられた前記光透過性基板の下面に反射膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項11】
前記表示層と前記光透過性基板との間に光拡散層を有することを特徴とする請求項1に記載の表示板。
【請求項12】
表示板の照明構造を備えた電子表示機器において、前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載の表示板を備え、表示板の明るさを均一に照明すると共に表示機器を薄型にしたことを特徴とする電子表示機器。
【請求項1】
上面側に表示層を有し、下面側に反射手段を有する光透過性基板からなる表示板であって、前記反射手段は、前記光透過性基板の側面側に配設される光源を中心にして前記透過性基板の下面に複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝からなることを特徴とする表示板。
【請求項2】
前記複数並べて形成したV字形突起の相隣るV字形突起の間に、又はV字形凹溝の相隣るV字型凹溝の間に、平坦面を有することを特徴とする請求項1に記載の表示板。
【請求項3】
前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝の幅は20〜70μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示板。
【請求項4】
前記複数並べて形成しV字形突起又はV字形凹溝は鏡面になっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項5】
前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝はサークル模様又は放射目模様を成していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項6】
前記サークル模様は、光源を中心にして同心円状に設けられ、光源から遠のくに従ってサークルのピッチが小さくなっていることを特徴とする請求項5に記載の表示板
【請求項7】
前記放射目模様は、光源から遠のくに従って放射目の数が多くなっていることを特徴とする請求項5に記載の表示板。
【請求項8】
前記光源は前記透過性基板の略中心線上の左右に2個設けられ、前記複数並べて形成したV字形突起又はV字形凹溝は左右対称に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示板
【請求項9】
前記透過性基板の下面は、基板の外周側から基板の中心側に向かうに従って立ち上がりの傾斜を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項10】
前記V字形突起又はV字形凹溝が設けられた前記光透過性基板の下面に反射膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項11】
前記表示層と前記光透過性基板との間に光拡散層を有することを特徴とする請求項1に記載の表示板。
【請求項12】
表示板の照明構造を備えた電子表示機器において、前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載の表示板を備え、表示板の明るさを均一に照明すると共に表示機器を薄型にしたことを特徴とする電子表示機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−208221(P2006−208221A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21208(P2005−21208)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
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