説明

表示板

【課題】表示板を、比較的小さい操作量で切り替え可能であるとともに、コンパクトで単純に構成する。
【解決手段】本発明の表示板は、少なくとも2種類の表示状態を切り替え可能に表示する表示部4と、表示部4の表示状態を切り替える切替機構3とを有する表示板であって、表示部4は、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第1シート41と、この第1シート41の背面側にそれぞれ配置され、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第2シート42とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2種類の表示状態を切り替えて表示可能な表示板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の表示状態を切り替えて表示する表示板が知られている。
【0003】
特許文献1には、それぞれ異なる表示項目が表示された2枚の板状体を設け、手動で2パターンの表示状態を切り替えることができるツーパターン表示板が開示されている。このなかで、2枚の板状体が重ね合わされた状態で設けられ、切り替え時には、前面側に配置された一方の板状体(特許文献1におけるスライド板)をスライド移動させて、この一方の板状体の背面側に配設された他方の板状体(特許文献1における外枠の内壁)に表示された内容を正面に露出させることが説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−50076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、切り替え時に、一方の板状体を、その大きさに応じた距離だけスライド移動させる必要があるため、切り替えに伴う操作量が大きくなるだけでなく、この一方の板状体のスライド前の配置空間に加えて、スライド後の配置空間を確保する必要が生じ、表示板全体が大型化する傾向があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、比較的小さい操作量で切り替え可能であるとともに、コンパクトで単純に構成することができる表示板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示板は、少なくとも2種類の表示状態を切り替え可能に表示する表示部と、該表示部の表示状態を切り替える切替機構とを有する表示板であって、前記表示部は、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第1シートと、この第1シートの背面側にそれぞれ配置され、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第2シートとを備え、前記切替機構は、前記第1シートおよび第2シートのうちの少なくとも一方を、他方に対して前記列方向にスライド可能に支持し、この一方のシートをスライドさせることにより、隣接する第1シートの間から前記第2シートを相対的に進退させるように構成されているとともに、この第2シートの進出状態では当該第2シートにより前記隣接する第1シートのうち進出方向に位置する第1シートを覆い隠すように構成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、表示部は、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第1シートと、この各第1シートの背面側にそれぞれ配置され、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第2シートとを備えるので、少なくとも2種類の表示状態をこれらの第1または第2シートにより領域を分割して表示させることができる。そして、前記切替機構は、前記第1シートおよび第2シートのうち少なくとも一方を、他方に対して前記列方向にスライド可能に支持し、この一方のシートをスライドさせることにより、隣接する第1シートの間から前記第2シートを相対的に進退させるように構成されているとともに、この第2シートの進出状態では当該第2シートにより前記隣接する第1シートのうち進出方向に位置する第1シートを覆い隠すように構成されているので、前記分割構成された表示状態を分割された領域毎に表示状態を切り替えることができる。すなわち、第1シートが前面に露出する第1の表示状態と、第2シートが前面に露出する第2の表示状態を、それぞれ各シートに対応する領域毎に分割して構成することができ、この領域毎に表示状態を切り替えることができる。
【0009】
このため、表示部によって表示される領域が比較的広くても、この領域の一端から他端にかけて順次表示状態を切り替える必要がなく、各短冊状のシートに対応する領域毎に表示状態を切り替えるので、スライドストロークが短くて済み、表示状態が1枚のシートから構成される従来の表示板に比べて、小さい操作量で表示状態を切り替えることができる。しかも、短冊状の第2シートが同じく短冊状の第1シートの背面側に配置することができるので、第2シートの隠蔽のための空間を比較的小さくすることができ、コンパクトに構成することができる。すなわち、表示部の表示状態を短冊状の第1および第2シートにより構成するという簡単な構成で、コンパクトかつ小さい操作量で表示状態を切り替え可能な表示板を構成することができる。
【0010】
前記切替機構は、前記表示部の表示状態を切り替えるための押圧操作を受ける操作部を含み、前記切替機構は、前記操作部の前記押圧操作に伴って、前記第1シート群および前記第2シート群の双方を、前記列方向であって、互いに反対の方向にスライドさせるように構成されていることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、第1シート群および第2シート群の双方を反対方向にスライドさせることで、一方をスライドさせる場合に比べて各シート群のスライドストロークを更に短くすることができ、表示板を一層コンパクトにすることができる。しかも、スライドストロークが短いので、比較的操作量が小さい押圧操作によっても表示部の表示状態を機械的構成だけで切り替えることができる。
【0012】
また、前記切替機構は、前記表示部の表示状態を切り替えるためのスライド操作を受ける操作部を含み、前記切替機構は、前記操作部の前記スライド操作に伴って、前記第1シート群および前記第2シート群のうち、一方のシート群のみを、前記列方向にスライドさせるように構成されていてもよい。
【0013】
この発明によれば、操作部のスライド動作を直接的にシート群に伝達してシート群をスライドさせることができるので、操作部を含む切替機構の構造を全体的に単純化することができる。
【0014】
また、前記表示部および前記切替機構はケーシング内に収容され、前記ケーシングは、前記表示部の周縁部を覆い隠す矩形状の枠体を含み、前記各シートの幅は、前記枠体を構成する一辺の幅より小さくなるように設定されていることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、列方向最端に設けられたシートが、枠体の幅部分によって覆い隠されるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の表示板によれば、比較的小さい操作量で切り替え可能であるとともに、コンパクトで単純に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1の表示板の斜視図であり、第1の表示状態を示す。
【図2】実施の形態1の表示板の斜視図であり、第2の表示状態を示す。
【図3】実施の形態1の表示板の分解斜視図である。
【図4】第1シートおよび第2シートの配設状態を説明する斜視図である。
【図5】実施の形態1の表示板の内部構造を説明するための平面図であり、第1シートが第2シートの上面を覆っている状態を示す。
【図6】図5の状態におけるVI−VI線断面図であり、カバーと操作部とが設けられた状態を示す。
【図7】実施の形態1の表示板の内部構造を説明するための平面図であり、第1シートが第2シートの下面に隠れるように往復運動部材をスライドさせた状態を示す。
【図8】図7の状態におけるVIII−VIII線断面図であり、カバーと操作部とが設けられた状態を示す。
【図9】実施の形態1の表示板における、第1シートの動きと第2シートの動きとを説明するための断面図であり、(a)は第1シートが第2シートの上面を覆っている状態を示し、(b)は往復運動部材がスライドして第1シートが第2シートの下面に隠れた状態を示す。
【図10】実施の形態2の表示板の内部構造を説明するための平面図であり、第1シートが第2シートの上面を覆っている状態を示す。
【図11】実施の形態2の表示板の内部構造を説明するための平面図であり、第1シートが第2シートの下面に隠れるように往復運動部材をスライドさせた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で、本実施の形態の表示板について、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1および図2は、実施の形態1の表示板100の斜視図であり、図1は、第1の表示状態を示し、図2は、第2の表示状態を示す。図3は、表示板100の分解斜視図である。図4は、第1シート41および第2シート42の配設状態を説明する斜視図である。
【0020】
実施の形態1の表示板100は、図1〜図4に示されるように、2種類の表示状態を示す表示部4と、表示部4の表示状態を切り替える切替機構3とを有する。表示板100は、前面に文字が表示され、その背景色を切り替えることによりその文字の肯定と否定とを切り替えるように構成されている。すなわち、この表示板100は、第1の表示状態では、図1に示されるように、表示された文字列の背景が白色の表示状態になり、これにより文字列の意味を否定する状態(図示の例では使用中でない状態)を表わす。また、第2の表示状態では、図2に示されるように、表示された文字列の背景が赤色(点影で示される)の表示状態になり、これにより文字列の意味を肯定する状態(図示の例では使用中である状態)を表わす。こうして、2種類の表示状態が切り替えられて表示される。
【0021】
これらの部品は、上方に開口する収容箱2とこの開口部に装着されるカバー7とからなるケーシング内の所定の位置に収容される。具体的には、平面視で長方形状を呈した収容箱2内に、切替機構3を位置決めする段部21、軸支部22、軸装着孔2a(図6、図8参照)などが形成され、収容箱2内で、切替機構3および表示部4が、所定の位置関係を保ちつつ、所定の動きが許容されるように配置される。そして、ケーシングのカバー7が収容箱2の開口部を覆うように配設されると、カバー7に形成された2箇所の開口7a、7bのうち、一方の開口7aから、表示部4が表出し、他方の開口7bから、切替機構3(後述の操作スイッチ5)が部分的に突出する。このうち、カバー7の開口7aは、平面視で矩形状の枠体71によって構成されている。
【0022】
以下で、表示部4、切替機構3について、それぞれ詳しく説明する。
【0023】
表示部4は、カバー7の開口7aを塞ぐように設けられる透明のクリアパネル6と、短冊状の複数のシートから構成される背景シート41、42とを含む。
【0024】
クリアパネル6には、たとえば、「使用中」等といった白色の文字列が表示されて(たとえば、貼り付けられて)いる。
【0025】
背景シート41、42は、表面が白色を呈した第1シート41群と、表面が赤色(点影で示す)を呈した第2シート42群とを含む。
【0026】
また、第1シート41群および第2シート42群を構成する各々のシートには、その一側短辺側に、係合孔41a、42aが一対ずつ形成されている。この係合孔41a、42aは、第1シート41および第2シート42を、切替機構3に対して係合させるための孔である。
【0027】
そして、第1シート41は、図3および図4に示されるように、隣接する端部同士が平面視で一部重なる態様で、一方向に列状に並べられている。そして、各第1シート41の背面側に第2シート42がそれぞれ配置され、その結果、この第2シート42も隣接する端部同士が平面視で一部重なる態様で、一方向に列状に並べられている。
【0028】
具体的には、隣り合う第1シート41において、それぞれに形成された2つの係合孔41aのうち、近接する一方が上下に連通するように、第1シート41の互いに近接する長辺側端部が重ねられる。そして、第1シート41に形成された係合孔41aが第1シート41群全体として一列になるように、第1シート41群は並べられる。また、隣り合う第2シート42において、それぞれに形成された2つの係合孔42aのうち、近接する一方が上下に連通するように、第2シート42の互いに近接する長辺側端部が重ねられる。そして、第2シート42に形成された係合孔42aが第2シート42群全体として一列になるように、第2シート42群は並べられる。
【0029】
さらに、第1シート41群は、係合孔41aの列が収容箱2の短手方向の一端部に位置するように配置される。また、第2シート42群は、係合孔42aの列が収容箱2の短手方向の他端部に位置するように配置される。このとき、第1シート41の背面側に第2シート42が位置するように配置され、この第2シート42の一端部は、第1シート41の重合部において、第1シート41の間に位置する。
【0030】
また、第1シート41群、第2シート42群には、切替機構3などの構造に応じた、平面視でL字状を呈したシート41’、42’が含まれる(図4参照)。これらのシート41’、42’は、シート群の列の最端位置に配置される。
【0031】
そして、各シート41、41’、42、42’の幅(シートの短辺の長さ)は、ケーシングのカバー7の枠体71の幅71aより小さくなるように設定されている。これによって、列方向の最端位置に設けられたシートが、枠体71の幅71a部分によって覆い隠されるようになる。
【0032】
切替機構3は、図3に示されるように、背景シート4の表示状態を切り替える操作を受ける操作スイッチ(操作部)5と、操作スイッチ5の作動を受けて所定の部位(後述の回動軸31d)を中心として所定の角度だけ回動するアーム状の動力伝達部材31と、動力伝達部材31の一方の端部に係合し、第1シート41群を支持した(係合させた)状態でスライドさせる第1の往復運動部材32と、動力伝達部材31の他方の端部に係合し、第2シート42群を支持した(係合させた)状態でスライドさせる第2の往復運動部材33とを含む。すなわち、本実施の形態の切替機構3は、操作を受ける部分である操作部分(操作スイッチ5)と、操作部で受けた操作を所定の方向に変換する変換部分(動力伝達部材31)と、背景シート41、42群を支持する支持部分(第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33)とにより構成されている。
【0033】
操作スイッチ5は、図3に示されるように、側面視で略くの字状を呈した部材である。操作スイッチ5は、操作面部51と、支持軸52と、嵌合部53とを一体に含む。
【0034】
操作面部51は、カバー7に形成された開口7bから外部に突出する部分であり、操作時には、操作者によって押圧される部分である。操作面部51は、第1の押圧部51aと第1の押圧部51aに連続した第2の押圧部51bとを含み、第1の押圧部51aと第2の押圧部51bとの境界位置で、操作面部51が折れ曲がっている。第1の押圧部51aが押圧されて押し下げられるか、あるいは、第2の押圧部51bが押圧されて押し下げられるかによって、表示板100の第1の表示状態と第2の表示状態とが切り替えられる。
【0035】
支持軸52は、第1の押圧部51aと第2の押圧部51bとの境界部分から、第1の押圧部51aおよび第2の押圧部51bの延びる方向に対して直交する方向に突出して形成された軸体である。支持軸52は、その両端部が、収容箱2に形成された軸支部22の凹部Aおよび収容箱2の縁の凹部Aに配置される。そして、第1の押圧部51aおよび第2の押圧部51bは、この支持軸52の軸線を中心軸として揺動可能に支持される。こうして、操作スイッチ5は、ケーシング内の所定の位置に位置決めされる。
【0036】
嵌合部53は、操作面部51の背面側に形成され、第1の押圧部51aと第2の押圧部51bとの境界を挟むように凹状に形成された部分である。嵌合部53は、操作スイッチ5に施された動作を動力伝達部材31に伝達する部分であり、この凹状に窪んだ空間に動力伝達部材31の一部(後述の被操作部31c)が嵌め合わされる。そして、操作面部51の押圧を受けて支持軸52が回動し、嵌合部53を構成する押圧壁53a、53b(図6、図8参照)の傾きが変化することにより、押圧壁53a、53bは、動力伝達部材31の被操作部31cを押圧する。
【0037】
動力伝達部材31は、基部材31eと、被操作部31cと、回動軸31dと、突出部31a、31bとを含む。
【0038】
基部材31eは扁平な長尺の部材である。基部材31eは、収容箱2の一方の短辺側に配置され、両端を収容箱2の対向する一対の長辺側へ向けて配置される。
【0039】
被操作部31cは、基部材31eの略中央部前面側に突出して形成されている。動力伝達部材31および操作スイッチ5が収容箱2の所定の位置に配備されると、被操作部31cは、操作スイッチ5の嵌合部53に嵌り込んだ状態になる(図6参照)。
【0040】
回動軸31dは、基部材31eの長手方向中央部分であって、背面側に円柱状に突出して形成されている。被操作部31cは、この回動軸31dの中心に対して偏心した位置に形成されている(図5、図7参照)。回動軸31dは、収容箱2に形成された軸装着孔2a(図6参照)に回動可能に挿入される。これによって、動力伝達部材31の位置決めがなされる。操作スイッチ5が作動すると、被操作部31cに加わった力を受けて、基部材31eは回動軸31dの回動中心線Ax1を中心として、所定の角度だけ回転する。
【0041】
突出部31a、31bは、それぞれ、基部材31eの両端部に、前面側に突出して円柱状に形成されている。この突出部31aは、第1の往復運動部材32と係合して、突出部31bは、第2の往復運動部材33と係合して、第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33を、動力伝達部材31の回転運動に連動させる。すなわち、操作スイッチ5が押圧されると、動力伝達部材31の基部材31eおよび基部材31eの突出部31a、31bが回動軸31dを中心に回転し、この回動に伴って、突出部31aに係合した第1の往復運動部材32および突出部31bに係合した第2の往復運動部材33が、直線運動する。
【0042】
第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33は、図3および図4に示されるように、長尺部材32a、33aと、係合柱32b、33bと、連結部32c、33cとを含む。
【0043】
長尺部材32a、33aは、長尺扁平な部材である。そして、これら長尺部材32a、33aが互いに平行な状態になるように、第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33が収容箱2の対向する一対の長辺に沿った状態で収容箱2内に配置される。そして、動力伝達部材31の回転運動を受けて、長尺部材32aは、その長手方向に直線的に往復運動する。
【0044】
係合柱32b、33bは、長尺部材32a、33aの前面側に、所定の間隔(各シート41、42に形成された一対の係合孔41a、42aの間隔と同じ間隔)を空けて形成された柱状の部分である。第1の往復運動部材32に形成された係合柱32bは、第1シート41の係合孔41aに挿入されて、第1シート41群を係止する。このとき、両端の係合柱32bを除く各係合柱32bには、隣り合う2枚の第1シート41が係合するように配備される。また、第2の往復運動部材33に形成された係合柱33bは、第2シート42の係合孔42aに挿入されて、第2シート42群を係止する。このとき、両端の係合柱33bを除く各係合柱33bには、隣り合う2枚の第2シート42が係合するように配備される。これによって、第1の往復運動部材32の直線運動とともに、第1シート41群が一斉にスライド移動し、また、第2の往復運動部材33の直線運動とともに、第2シート42群が一斉にスライド移動する。
【0045】
連結部32c、33cは、長尺部材32a、33aと動力伝達部材31とを連結するための部分であり、長尺部材32a、33aの一方の端に形成されている。連結部32c、33cには、動力伝達部材31の突出部31a、31bを係合させるための連係孔32c1、33c1が形成されている。この連係孔32c1、33c1は、平面視で長円形を呈している。連係孔32c1、33c1がこのような形状を呈していることで、基部材31eの回動に伴う突出部31a、31bの第1の往復運動部材32、第2の往復運動部材33に対する移動が許容される。第1の往復運動部材32、第2の往復運動部材33は、連結部32c、33cが形成された端部を基部材31eが配置された側へ向けて、連結部32cを基部材31eの突出部31aに対して係合させて、連結部33cを基部材31eの突出部31bに対して係合させて、収容箱2内に配置される。こうして、第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33の双方が、基部材31eの回転運動(すなわち突出部31a、31bの移動)に連動して、互いに反対方向に直線運動するように配備される。
【0046】
この表示板100の動作について、以下で、図面を用いて詳細に説明する。
【0047】
図5は、表示板の内部構造を説明するための平面図であり、開口7aを通じて表示される第1シート41が第2シート42の上面を覆っている状態を示す。図6は、図5の状態におけるVI−VI線断面図であり、カバー7と操作スイッチ5とが設けられた状態を示す。図7は、開口7aを通じて表示される第1シート41が第2シート42の下面に隠れるように往復運動部材32、33をスライドさせた状態を示す。図8は、図7の状態におけるVIII−VIII線断面図であり、カバー7と操作スイッチ5とが設けられた状態を示す。
【0048】
まず、操作者が、操作スイッチ5の第2の押圧部51bを押圧し、図6に示される状態から図8に示される状態にすると、動力伝達部材31の被操作部31cは、操作スイッチ5の嵌合部53の押圧壁53aによって押圧される。そして、動力伝達部材31は、回動軸31dの中心Ax1を中心として、所定の角度だけ回転する。このとき、動力伝達部材31の突出部31a、は、基部材31eの回動に伴って、X2方向(図5および図7参照)に移動し(厳密には回動し)、また、突出部31bは、基部材31eの回動に伴って、X1方向(図5および図7参照)に移動する(厳密には回動する)。また、突出部31aの動きに連動して、第1の往復運動部材32がX2方向へ所定のストロークSt1だけスライドし、突出部31bの動きに連動して、第2の往復運動部材33がX1方向へ所定のストロークSt1だけスライドする。つまり、第1シート41群および第2シート42群は、それぞれ、シート群の列に沿った方向にスライド移動する。
【0049】
このストロークSt1は、各シート41、42の短辺側の長さのおよそ半分程度の長さである。
【0050】
図9は、第1シート41群の動きと第2シート42群の動きとを説明するための断面図であり、(a)は第1シート41群が第2シート42群の上面を覆っている状態を示し、(b)は往復運動部材32、33がスライドして第1シート41群が第2シート42群の下面に隠れた状態を示す。
【0051】
先に説明したように、第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33が互いに反対方向に所定のストロークSt1だけスライドすると、第1シート41群および第2シート42群の双方が互いに反対方向にスライドする。このように、双方のシート41、42群をスライドさせることにより、隣接する第1シート41の間から第2シート42を相対的に進退させる。第2シート42の進出状態では、第2シート42により、隣接する第1シート41のうち進出方向に位置する第1シート41が覆い隠される。すなわち、図9(a)および図9(b)に示されるように、スライド前に第2シート42群上を覆っていた第1シート41群が、第2シート42の下側に隠れ込んで、言い換えれば、第2シート42が、各第2シート42の進行方向に位置する各第1シート41上に露出して、表示状態が白色から赤色に変化する。すなわち、隣り合う第1シート41の間の隙間から、第2シート42が進退し、加えて、隣り合う第2シート42の間の隙間から、第1シート41が進退し、最前面に現われるシートの種類が変更される。このように、背景シート4の色が白色から赤色に変化すると、クリアパネル6に貼り付けられた白色の文字列は、赤色の背景によってくっきりと浮かび上がり、強調されて表示される(図2参照)。
【0052】
本実施の形態のように、第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33の双方を反対方向にスライドさせることで、一方の往復運動部材のみをスライドさせる場合よりも、背景シート4の表示状態を切り替えるためのストロークSt1をさらに短く設定することができる。すなわち、表示板100全体を、一層コンパクトに構成することができる。しかも、スライドストロークが短いので、比較的操作量が小さい押圧動作によっても表示部4の表示状態を機械的構成だけで切り替えることができる。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態1の表示板が、操作スイッチ5の押圧動作によって、第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33の双方をスライドさせることで、背景シート4の表示状態を切り替える形態であったのに対し、第2の実施の形態の表示板は、操作スイッチ5のスライド動作によって、一方の往復運動部材32’のみをスライドさせることで、背景シート4の表示状態を切り替える形態である。
【0054】
図10および図11は、実施の形態2の表示板の内部構造を説明するための平面図であり、図10は、第1シート41群が第2シート42群の上面を覆った状態を示し、図11は、第1シート41が第2シート42の下面に隠れるように第1の往復運動部材32’をスライドさせた状態を示す。
【0055】
具体的には、図10および図11に示されるように、実施の形態2の切替機構3は、第1の往復運動部材32’と、第2の往復運動部材33’と、操作スイッチ(操作部)5とを含む。また、実施の形態2では、操作スイッチ5が、第1の往復運動部材32’の長尺部材32a’と一体に形成されている。すなわち、実施の形態2の切替機構3は、操作を受ける部分である操作部分(操作スイッチ5)と、背景シート41、42群を支持する支持部分(第1の往復運動部材32’および第2の往復運動部材33’)とにより構成されており、実施の形態1のような変換部分が省略されている。
【0056】
実施の形態2の第1の往復運動部材32’および第2の往復運動部材33’は、実施の形態1の第1の往復運動部材32および第2の往復運動部材33と、連結部32c、33cが形成されていないという点で異なる。また、実施の形態2の第2の往復運動部材33’は、収容箱2内の所定の位置に位置決めされた状態で固定されているという点で、実施の形態1の第2の往復運動部材33と異なる。
【0057】
実施の形態2の操作スイッチ5は、第1の往復運動部材32’の長尺部材32a’の長手方向に沿って形成されている。操作スイッチ5は、第1の往復運動部材32’の長尺部材32aから延出して形成された延出部50aと、延出部50aの前面側に突出して形成され、操作時に操作者がつまむ部分となるつまみ部50bとを含む。つまみ部50bは、カバー7が設けられたときに、カバー7に第1の往復運動部材32’のスライド方向に沿って長孔状に形成された開口から、外方へ突出した状態になる。
【0058】
ここで、実施の形態2の表示板の動作について、図面を用いて説明する。
【0059】
まず、操作者が操作スイッチ5のつまみ部50bをつまんで、X2方向へ所定のストロークSt2だけスライド移動させると、操作スイッチ5と一体に形成された第1の往復運動部材32’もまた、操作スイッチ5とともにX2方向へ所定のストロークSt2だけスライド移動する(図10、図11参照)。
【0060】
このストロークSt2は、各シート41、42の幅(短辺側の長さ)よりも、やや短い程度の長さである。
【0061】
こうして、第1の往復運動部材32’がX2方向に所定のストロークSt2だけスライド移動すると、第1シート41群がX2方向にスライドする。このように、一方のシート41群をスライドさせることにより、隣接する第1シート41の間から第2シート42を相対的に進退させる。第2シート42の進出状態では、第2シート42により、隣接する第1シート41のうち進出方向に位置する第1シート41が覆い隠される。すなわち、図11に示されるように、スライド前に第2シート42群上を覆っていた各第1シート41が、第2シート42の下側に隠れ込んで、つまり、各第2シート42が、各第2シート42の進行方向に位置する各第1シート41上に露出して、表示状態が白色から赤色に変化する。言い換えれば、隣り合う第2シート42の間の隙間から、第1シート41が進退することで、最前面に現われるシートの種類が変更される。このように背景シート4の色が白色から赤色に変化すると、クリアパネル6に貼り付けられた白色の文字列は、赤色の背景によってくっきりと浮かび上がり、強調されて表示される(図2参照)。
【0062】
実施の形態2の表示板によれば、表示状態を切り替えるためのストロークSt2は実施の形態1のストロークSt1に比べて長くなるものの、操作スイッチ5のスライド動作を直接的に第1の往復運動部材32’に伝達してシート群をスライドさせることができるので、操作スイッチ5を含む切替機構3の構造を単純化することができるという利点がある。
【0063】
以上の実施の形態によれば、表示部4は、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第1シート41と、この各第1シート41の背面側にそれぞれ配置され、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第2シート42とを備えるので、少なくとも2種類の表示状態をこれらの第1または第2シート41、42により領域を分割して表示させることができる。そして、切替機構3は、第1シート41および第2シート42のうち少なくとも一方を、他方に対して前記列方向にスライド可能に支持し、この一方のシートをスライドさせることにより、隣接する第1シート41の間から第2シート42を相対的に進退させるように構成されているとともに、この第2シート42の進出状態では第2シート42により前記隣接する第1シート41のうち進出方向に位置する第1シート41を覆い隠すように構成されているので、前記分割構成された表示状態を分割された領域毎に表示状態を切り替えることができる。すなわち、第1シート41が前面に露出する第1の表示状態と、第2シート42が前面に露出する第2の表示状態を、それぞれ各シートに対応する領域毎に分割して構成することができ、この領域毎に表示状態を切り替えることができる。
【0064】
このため、表示部4によって表示される領域が比較的広くても、この領域の一端から他端にかけて順次表示状態を切り替える必要がなく、各短冊状のシートに対応する領域毎に表示状態を切り替えるので、スライドストロークが短くて済み、表示状態が1枚のシートから構成される従来の表示板に比べて、小さい操作量で表示状態を切り替えることができる。しかも、短冊状の第2シート42が同じく短冊状の第1シート41の背面側に配置することができるので、第2シート42の隠蔽のための空間を比較的小さくすることができ、コンパクトに構成することができる。すなわち、表示部4の表示状態を短冊状の第1および第2シート41、42により構成するという簡単な構成で、コンパクトかつ小さい操作量で表示状態を切り替え可能な表示板を構成することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態では、クリアパネル6に文字列を表示させた形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、背景シート4に文字列を表示させる形態であってもよい。たとえば、第1シート41群で、「使用中」という文字列を表示させて、第2シート42群で、「空室」という文字列を表示させてもよい。ここで、文字列は、いずれの場合もとくに限定されるものではなく、使用に応じて適宜選択される。
【0066】
また、上記実施の形態では、操作スイッチ6の押圧操作またはスライド操作を受けて切替機構3が作動する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、回転操作や引っ張り操作を受けて、切替機構を作動させるような形態であってもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、第1シート41群と第2シート42とで、第1の表示状態と第2の表示状態とが切り替えられて表示される形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、第1シート群、第2シート群に加えて第3シート群を用いて、第1の表示状態、第2の表示状態および第3の表示状態が切り替えられて表示される形態であってもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、第1シート群の色と第2シート群の色とを異ならせて、第1の表示状態における背景シートの色と、第2の表示状態における背景シートの色とを切り替えた形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1シート群に施される模様と第2シート群に施される模様とを異ならせて、第1の表示状態における背景シートの模様と、第2の表示状態における背景シートの模様とを切り替える形態であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
3 切替機構
4 表示部
41、41’ 第1シート
42、42’ 第2シート
5 操作スイッチ(操作部)
100 表示板





【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の表示状態を切り替え可能に表示する表示部と、
該表示部の表示状態を切り替える切替機構とを有する表示板であって、
前記表示部は、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第1シートと、この第1シートの背面側にそれぞれ配置され、隣接する端部が平面視において一部重なる態様で列状に並べられた短冊状の複数の第2シートとを備え、
前記切替機構は、前記第1シートおよび第2シートのうちの少なくとも一方を、他方に対して前記列方向にスライド可能に支持し、この一方のシートをスライドさせることにより、隣接する第1シートの間から前記第2シートを相対的に進退させるように構成されているとともに、この第2シートの進出状態では当該第2シートにより前記隣接する第1シートのうち進出方向に位置する第1シートを覆い隠すように構成されていることを特徴とする表示板。
【請求項2】
前記切替機構は、前記表示部の表示状態を切り替えるための押圧操作を受ける操作部を含み、
前記切替機構は、前記操作部の前記押圧操作に伴って、前記第1シート群および前記第2シート群の双方を、前記列方向であって、互いに反対の方向にスライドさせるように構成されている請求項1に記載の表示板。
【請求項3】
前記切替機構は、前記表示部の表示状態を切り替えるためのスライド操作を受ける操作部を含み、
前記切替機構は、前記操作部の前記スライド操作に伴って、前記第1シート群および前記第2シート群のうち、一方のシート群のみを、前記列方向にスライドさせるように構成されている請求項1に記載の表示板。
【請求項4】
前記表示部および前記切替機構はケーシング内に収容され、
前記ケーシングは、前記表示部の周縁部を覆い隠す矩形状の枠体を含み、
前記各シートの幅は、前記枠体の幅より小さくなるように設定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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