説明

表示板

【課題】 トーンジャンプが目立たない表示板を提供する。
【解決手段】 表示板は、多数のドットP(m,n)〜P(m+5,n+7)を配列したグラデーション表示部12を有する。ドットP(m,n)〜P(m+5,n+7)の大きさは、グラデーション方向における配列で不規則になっている。グラデーション表示部12は、隣り合う前記ドットが接触する第一の領域S1と、隣り合う前記ドットが接触しない第二の領域S2と、隣り合う前記ドットが接触する箇所と隣り合う前記ドットが接触しない箇所とが混在する第三の領域S3と、を有する。グラデーション表示部12は、中心部から周辺部に向かって徐々に明るさが変化している。第一の領域S1と第三の領域S3の境界B1と、第三の領域S3と第二の領域S2との境界B2とが、同心円状になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラデーション表示部を有する表示板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドットの大きさを徐々に異ならせることによって明るさを漸次変化させるグラデーション表示部を有する表示板が種々提案されており、例えば特許文献1,2に開示されている。グラデーション表示部のドットは、「網点」と称されることもある。斯かるドットは、明るさが徐々に変化する方向(以下、グラデーション方向と記す)で、大きさが徐々に変化している。
【0003】
図5は、グラデーション表示部の一部を拡大した模式図である。ドットQ(m,n)〜Q(m+5,n+7)は、明るさが徐々に暗くなる方向に、徐々に大きくなっている。また、グラデーション方向に垂直な方向では、ドットは同じ大きさになっている。つまり、ドットQ(m,n)〜Q(m+5,n),ドットQ(m,n+1)〜Q(m+5,n+1),ドットQ(m,n+2)〜Q(m+5,n+2),ドットQ(m,n+3)〜Q(m+5,n+3),ドットQ(m,n+4)〜Q(m+5,n+4),ドットQ(m,n+5)〜Q(m+5,n+5),ドットQ(m,n+6)〜Q(m+5,n+6),ドットQ(m,n+7)〜Q(m+5,n+7)は、夫々、同じ大きさになっている。
【0004】
グラデーション表示部は、隣り合うドットQ(m,n)〜Q(m+5,n+2)が接触しない非接触領域S4と、隣り合うドットQ(m,n+7)〜Q(m+5,n+7)が接触する接触領域S5とを有している。図6は、隣り合うドットと接触しないドットを白丸、接触する部分を有するドットを黒丸で表したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2526323号公報
【特許文献2】特許第4501515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非接触領域S4と接触領域S5との境界B5で、明るさ急激に変化しているように見えてしまうという問題を有している。前記境界B5は、トーンジャンプ境界と称されている。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、トーンジャンプが目立たない表示板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載のように、多数のドットP(m,n)〜P(m+5,n+7)を配列したグラデーション表示部12を有する表示板であって、前記グラデーション表示部12は、隣り合う前記ドットが接触する第一の領域S1と、隣り合う前記ドットが接触しない第二の領域S2と、隣り合う前記ドットが接触する箇所と隣り合う前記ドットが接触しない箇所とが混在する第三の領域S3と、を有するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項2に記載のように、前記グラデーション表示部12は、中心部から周辺部に向かって徐々に明るさが変化しているものである。
【0009】
また、本発明は、請求項3に記載のように、前記第一の領域S1と前記第三の領域S3の境界B1と、前記第三の領域S3と前記第二の領域S2との境界B2とが、同心円状になっているものである。
【発明の効果】
【0010】
隣り合うドットが接触する箇所と、隣り合うドットが接触しない箇所とが混在する第三の領域を設けたことにより、トーンジャンプが目立たない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す正面図。
【図2】同上実施形態を示す正面図。
【図3】同上実施形態を示す模式図。
【図4】同上実施形態を示す模式図。
【図5】従来例を示す模式図。
【図6】同上従来例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を指示計器装置の表示板10に適用した一実施形態を説明する。指示計器装置は、回動する指針20にて表示板10を指示することにより、車両速度及びエンジン回転数を表示する。表示板10は、発光素子(図示しない)によって、透過照明される。
【0013】
表示板10は、指針20に指示される指標部11(目盛り,数字),グラデーション表示部12等がスクリーン印刷によって形成されている。グラデーション表示部12は、グラデーション方向が径方向になっており、中心部(指針20の回動中心A)から周辺部に向かって明るさが徐々に明るくなっている。
【0014】
グラデーション表示部12は、非接触領域S1と、接触領域S2と、非接触領域S1と接触領域S2との間にある混在領域S3とを有している。非接触領域S1及び混在領域S3は、環状になっている。非接触領域S1と混在領域S3との境界B1、混在領域S3と接触領域S2と境界B2は、同心円状になっている。グラデーション表示部12の色は任意である。
【0015】
図3は、グラデーション表示部12の一部分Fを拡大した模式図である。理解を助けるため、ドットP(m,n)〜P(m+5,n+7)を大きく図示しているが、実際には、各領域S1,S2,S3に多数のドットが配列されている。グラデーション表示部12のスクリーン印刷は、100線(100LPI)以上が望ましい。
【0016】
グラデーション表示部12の前記一部分Fは、指針20の回動中心Aの左側箇所であり、左側から右側に向かって明るさが徐々に暗くなっている。また、グラデーション方向は、横方向になっている。ドットP(m,n)〜P(m+5,n+7)は正方形になっており、縦方向,横方向に均等な間隔Dで配列されている。ドットP(m,n)〜P(m+5,n+7)の大きさは、グラデーション方向において不規則になっている。
【0017】
非接触領域S1は、隣り合うドットP(m,n)〜P(m+5,n+1)が接触しない領域である。接触領域S2は、隣り合うドットP(m,n+5)〜P(m+5,n+7)が接触する領域である。混在領域S3は、隣り合うドットが接触しない箇所と、隣り合うドットが接触する箇所とが混在する領域である。
【0018】
図4は、隣り合うドットと接触しないドットを白丸、接触する部分を有するドットを黒丸で表したものである。非接触領域S1においては、全てのドットP(m,n)〜P(m+5,n+1)が、隣り合うドットと接触していない。接触領域S2においては、全てのドットP(m,n+5)〜P(m+5,n+7)が、接触する部分を有する。混在領域S3においては、隣り合うドットと接触しないドットと、接触する部分を有するドットとが混在している。
【0019】
本実施形態によれば、第三の領域S3において、隣り合うドットが接触する箇所と、隣り合うドットが接触しない箇所とが混在するため、トーンジャンプが目立たない。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態のグラデーション表示部12は明るさが徐々に変化するものであったが、色が徐々に変化するグラデーション表示部であっても良い。また、本実施形態のドットの形状は正方形であったが、菱形,円形,楕円形であっても良い。
【符号の説明】
【0020】
12 グラデーション表示部
S1 第一の領域
S2 第二の領域
S3 第三の領域
B1 境界
B2 境界
P(m,n)〜P(m+5,n+7) ドット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のドットを配列したグラデーション表示部を有する表示板であって、前記グラデーション表示部は、隣り合う前記ドットが接触する第一の領域と、隣り合う前記ドットが接触しない第二の領域と、隣り合う前記ドットが接触する箇所と隣り合う前記ドットが接触しない箇所とが混在する第三の領域と、を有することを特徴とする表示板。
【請求項2】
前記グラデーション表示部は、中心部から周辺部に向かって徐々に明るさが変化していることを特徴とする請求項1に記載の表示板。
【請求項3】
前記第一の領域と前記第三の領域の境界と、前記第三の領域と前記第二の領域との境界とが、同心円状になっていることを特徴とする請求項1に記載の表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−194217(P2012−194217A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56139(P2011−56139)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】