説明

表示検査装置

【課題】容器の大きさや表示面の形状、材質等が種々変わっても、表示面に表示された表示部が鮮明に撮像できる表示検査装置を提供する。
【解決手段】搬送手段7により連続的に搬送される容器10の底面10aや上面に表示された表示部9を検査する表示検査装置であって、検査位置Bにある容器10の下方または上方に位置し、かつ容器10の中心線Oに対し反射面13cが角度θ傾斜された第1反射板13aと、前記第1反射板13aの反射面13cに発光面14aが対向し、かつ発光面14aが容器10の中心線Oとほぼ平行するよう設置された面光源14と、反射面13cが第1反射板13a及び面光源14の両側に位置するよう設置された第2反射板13bと、光軸12aが第1反射板13aの反射面13cとほぼ平行するように設置され、かつ表示部9を撮像する撮像手段12とから構成したことにより、表示面に表示された表示部9が鮮明に撮像できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の底面等に表示された文字等の表示部を検査する表示検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビンや缶等の容器に収容された食品や飲料等は、賞味期限等が容器の例えば底面等に捺印や印字等の手段で表示されており、消費者はその表示を確認することにより商品を安心して購入したり、賞味期限内に消費する際の目安としている。
一方食品や飲料等を収容する容器は、少品種多量生産されるのに対して、薬品や化粧品等を収容する容器は、比較的多品種少量生産される上、容器の種類もガラスビンやプラスチックボトル、エアゾール缶等の多種になり、その形状も多様となっている。
これら容器にも使用期限等が捺印や印字等の手段で表示されているが、容器の底面等に印字された表示部は、表示が正常になされているかを表示検査装置により検査している。
【0003】
表示検査装置による検査方法としては、生産ラインに設置したラインCCDやエリアITVカメラ等の撮像手段により表示部を直接撮像して得られた画像により表示部の正否を判定しているが、薬品や化粧品等の容器の場合、底面の形状が種々変わるため、安定的に均一な映像を得ることは困難である。
このため従来では容器が変わる毎に専用の照明手段で照明したり、複雑な調整手段を用いて表示部がより鮮明に撮像できるように対策している。
しかしこれら方法は、多品種少量生産する商品の場合、容器が変わる毎に照明を交換したり、複雑な調整をしなければならないため、これら作業に多くの手間と時間を必要として生産性を低下させる原因となっている。
例えば特許文献1で、凹曲面に表示された表示部でも常に均一な映像が得られるようにした表示部の検査装置が提案されている。
【0004】
前記特許文献1に記載された検査装置は、缶底面等の凹曲面に表示された表示部を検査するに際して、凹曲面に対して光源部の直接光を当てることなく、光源部の光を凹曲面を覆う傘状反射部による間接反射光を介して照明すると共に、検査カメラの設置角度を、凹曲面への垂直線に対して僅かに傾斜して配置したもので、ストロボ照明等の特殊な装置を使用しなくとも、常に均一な映像を安定的に得ることができる等の効果を有している。
【特許文献1】特開平10−187989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし前記特許文献1に記載された検査装置では、凹曲面に表示された表示部に対しては効果を有するが、薬品や化粧品等の容器のように、底面の形状が複雑な上表面が鏡面加工や艶消し加工が施されていたり、容器の材質が金属やプラスチックのように変わる場合、照明手段を調整したり、検査カメラの位置を調整する等の複雑な作業をしないと鮮明な映像が得られない。
このため多品種少量生産する商品の場合、容器が変わる毎に複雑な調整を繰り返す必要があるため、調整作業に多くの手間と時間を必要として、生産性を低下させる問題発生依然として解消されない。
【0006】
本発明は係る問題を改善するためになされたもので、容器の大きさや表示面の形状、材質等が種々変わっても、表示面に表示された表示部が鮮明に撮像できる表示検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示検査装置は、搬送手段により連続的に搬送される容器の底面や上面に表示された表示部を検査する表示検査装置であって、検査位置にある容器の下方または上方に位置し、かつ容器の中心線に対し反射面が角度θ傾斜された第1反射板と、前記第1反射板の反射面に発光面が対向し、かつ発光面が容器の中心線とほぼ平行するよう設置された面光源と、反射面が第1反射板及び面光源の両側に位置するよう設置された第2反射板と、光軸が第1反射板の反射面とほぼ平行するように設置され、かつ表示部を撮像する撮像手段とから構成されたものである。
【0008】
前記構成により、第1反射板の反射面から反射された光により容器の表示面がむらなくほぼ均一に照射されるため、容器の表示面のどの位置に表示部が表示されていても、表示部を撮像手段が鮮明に撮像することができ、これによって表示面の形状が複雑な上、表面が鏡面加工や艶消し加工が施されていたり、容器の材質が金属やプラスチックのように変わった場合でも、照明手段を調整したり、撮像手段の位置を調整する等の複雑な作業をせずに鮮明な映像が得られるため、検査精度の向上及び生産性の向上が図れるようになる。
【0009】
本発明の表示検査装置は、第1反射板及び第2反射板の反射面を、表示部の色と反対色の色に着色したものである。
【0010】
前記構成により、容器の底面が鏡面加工されていて、第1反射板の反射面が底面に写り込んだ状態で表示部が撮像手段に撮像されても、表示部と反射面は反対色となっているため表示部の解像度が損なわれることがなく、これによって精度の高い検査が可能になる。
【0011】
本発明の表示検査装置は、容器の大きさや、表示部か表示された表示面の形状に応じて第1反射板及び面光源を移動調整する調整手段を設けたものである。
【0012】
前記構成により、容器の直径や表示面の形状が変わっても、調整手段により簡単に第1反射板及び面光源を移動調整できるため、多品種少量生産される容器の検査にも容易に対応することができる。
【0013】
本発明の表示検査装置は、撮像手段に、容器の大きさや表示部か表示された面の形状に応じて光軸の角度及び位置を調整する調整手段を設けたものである。
【0014】
前記構成により、容器の大きさや表示部か表示された面の形状が種々変わっても、常に鮮明に表示部を撮像できるため、検査精度がさらに向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の表示検査装置によれば、容器の大きさや表示面の形状、材質等が種々変わっても、表示面に表示された表示部が鮮明に撮像できるため、精度の高い検査が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は表示検査装置の正面図、図2は同側面図、図3は検査位置付近の斜視図、図4は同断面図、図5は照明手段の分解斜視図、図6は検査時の作用説明図、図7は照明手段の変形例を示す分解斜視図である。
【0017】
表示検査装置の本体1は、平面ほぼ正方形の基台2を有していて、基台2の底面には、基台2を水平位置に調整する複数の調整脚3と、基台2を床面に固定する複数の固定脚4が設けられている。
基台2の後部上面には、支柱5が立設されていて、支柱5の上部前面に角箱状のケース6が取り付けられており、ケース6の上面は、検査対象である容器10を搬送する搬送手段7の搬送ライン7aとほぼ同じ高さとなっている。
搬送手段7は、例えばベルトコンベアにより形成されていて、図2に示すように搬送方向Aに並設された一対のグリップコンベア7bを有しており、これらグリップコンベア7bの間に容器10が挟着された状態で搬送方向Aへ連続的には搬送されるようになっていると共に、搬送状態にある容器10の底面10aは、搬送ライン7aとほぼ一致していて、ケース6の上面と近接した状態でケース6の上方に搬入されるようになっている。
ケース6内には、検査位置Bに達した容器10の底面10aを下方から照明する照明手段8と、容器10の底面10aに表示された表示部9を撮像する撮像手段12が設けられている。
【0018】
照明手段8は図2及び図3に示すように、反射手段13と面光源14とからなり、反射手段13は、検査位置Bの直下に設けられた第1反射板13aと、その両側に設けられた第2反射板13bとから構成されている。
第1反射板13aは、反射面13cが垂線に対して角度θ傾斜されていて、検査位置Bにある容器10の中心を通る中心線Oが反射面13cの上下方向のほぼ中央に位置するように設置されている。
第1反射板13aの両側に設けられた2枚の第2反射板13bは、ほぼ平行するように設けられていて、互いに対向する内面が反射面13cとなっており、第1反射板13aの反対側となる開放端部間に平面光源14が図5に示すように嵌着されている。
平面光源14は、第1反射板13aの反射面13cと対向する面がほぼ垂直な発光面14aとなっていて、発光面14aよりほぼ均一な光が反射面13cに向けて照射されるようになっており、反射面13cに達した光は、図6に示すように検査位置Bに達した容器10の底面10aに反射されて、底面10aに表示された表示部9を下方より照明するようになっている。
第1反射板13aと第2反射板13bの反射面13cは、容器10の底面に捺印やインクジェット等の印刷手段で印字された表示部9と反対色に着色されている。
例えば表示部9が黒のインキで表示されている場合は、反対色の白に着色されている。
【0019】
また照明手段8の平面光源14は、例えばフラッシュ発光するキセノンランプにより形成されていて、発光面14aに設けられた拡散板により均一な光が第1反射板13aの反射面13cに向けて照射されるようになっており、検査位置Bの近傍に設置された検出手段15からの検出信号により発光するようになっている。
すなわち検出手段15は、図3に示すように表示検査装置を制御する制御手段16に接続されていて、検出手段15が検出した検出信号により制御手段16より平面光源14に発光信号が送られ、これによって平面光源14がフラッシュ発光するようになっており、同時に撮像手段12が撮像した映像を、撮像手段12より映像信号として制御手段16へ取り込むようになっている。
反射手段13は、検査すべき容器10の大きさ等に応じて中心線Oにずれが生じるのを修正できるように調整手段17により搬送方向Aと直行する方向へ水平移動できるようになっている。
【0020】
調整手段17は図1及び図3に示すように、両端側に軸受け17aを介してケース6に水平に支承されたボールねじよりなるねじ軸17bと、ねじ軸17bに螺合されたナット17cとからなり、ナット17cが反射手段13の下部に連結されている。
ケース6の外側に突出されたねじ軸17bの先端には、ハンドル17dが取り付けられていて、ハンドル17dによりねじ軸17bを回転することにより、反射手段13を水平方向へ移動調整できるようになっており、反射手段13の移動位置は、反射手段13に取り付けられた指針18aがスケール18を指示するようになっている。
スケール18は反射手段13の近傍に設置されていて、ケース6の前面に開口された覗き窓6aを介して外部から容易に見ることができるようになっており、覗き窓6aにはアクリル板等の透明板6bが取り付けられている。
【0021】
反射手段13の下方に設置された撮像手段12は、図4に示すように第1反射板13aと平行するよう光軸12aが垂線に対して角度θ傾斜されており、調整手段19を介してケース6内に取り付けられている。
調整手段19は、撮像手段12を水平方向に移動調整するための水平方向の長孔19aが穿設された第1ブラケット19bと、第1ブラケット19bに下端側がピン19cにより枢着された第2ブラケット19dからなり、第2ブラケット19dに撮像手段12が取り付けられている。
第2ブラケット19dには、ピン19cを中心とする円弧状の長孔19eが穿設されていて、この長孔19eに挿入された固着具20を緩めた状態で、ピン19cを中心に第2ブラケット19dを回動することにより撮像手段12の光軸12aの角度調整が行えるようになっている。
【0022】
次に前記構成された表示検査装置の作用を説明する。
底面10aに表示された表示部9を検査する容器10が例えばスプレー缶の場合は、図6に示すように縦長な円筒状で、かつ底面10aが凹球面となっており、底面10aの表面は鏡面加工されている場合が多い。
検査すべき容器9は、図3に示すように搬送手段7のグリップベルト7aに挟着された状態で連続的に搬送方向Aへと搬送され、ケース6上面の検査位置Bに達する。
容器10が検査位置Bに達したのを検出手段15が検出すると、検出手段15より制御手段16へ検出信号が送られるため、制御手段16は平面光源14の照明電源19へ発光指令信号をと送り、これによって平面光源14がフラッシュ発光される。
平面光源14の発光面14aより照射された光は、第1反射板13aの反射面13cに反射されて一部は検査位置Bにある容器10の底面10aに達し、残りは第2反射板13bの反射面13cに反射されて拡散乱射を繰り返すため、平面光源14より照射された光のほとんどは容器10の下方に位置する照明手段8の上面開口部に達する。
これによって容器10の底面10aが明るく照明されると同時に、発光に同期して撮像手段12が撮像した映像を制御手段16が映像信号として取り込む。
【0023】
また凹曲面に形成された容器10の底面10aには、図6に示すように第1反射板13aの反射面13cから反射された光がほぼ均一に照射されるため、凹曲面のどの位置に表示部9が表示されていても、表示部9を撮像手段12が鮮明に撮像することができると共に、底面10aが鏡面となっていて、第1反射板13aの反射面13cが底面10aに写り込んだ状態で表示部9の映像が撮像手段12に達しても、表示部9と反射面13cは反対色となっているため、表示部9の解像度が損なわれることがない。
【0024】
撮像手段12から制御手段16に取り込まれた映像信号は、制御手段16により画像処理された上、表示部9の識別処理が行われているかが判断され、良否がモニタ等の表示手段(図示せず)に表示されると同時に、表示不良と判定された容器10は、図示しない排出手段によりライン外へと排出される。
以下前記動作を繰り返して、容器10の底面10aに表示された表示部9の検査を連続的に行うもので、表示検査装置により検査可能な表示は、賞味期限や消費期限等を表示する数字や記号は勿論、絵や図案、バーコード、3次元バーコード等であっても高精度で検査が可能となり、容器10の底面10aが艶消し加工されていても何ら問題なく検査できるようになる。
【0025】
一方検査すべき容器10の直径が変ったため、表示部9と撮像手段12の光軸12aがずれた場合は、撮像手段12を支持している調整手段19の第1ブラケット19を固定している固着具20を緩めて第1ブラケット19bを水平方向へ移動し、検査位置Bにある容器10中心に撮像手段12の光軸12aが一致するよう調整し、同時に調整手段17のねじ軸17bに取り付けられたハンドル17dを回転して照明手段8も水平方向へ移動し、容器10の底面10aが最も効率よく照明できる位置へ照明手段8を移動調整する。
また容器10の底面10aの形状が変ったために、底面10aに表示されている表示部9が撮像手段12により鮮明に撮像できない場合は、調整手段19の第2ブラケット19dを固定している固着具20を緩めて、ピン19cを中心に第2ブラケット19dを回動し、表示部9が鮮明に撮像できるように撮像手段12の光軸角度θを調整する。
これら調整により、容器10の直径や底面10aの形状が変わっても、常に鮮明に表示部9を撮像できるため、検査精度の向上が図れるようになる。
【0026】
なお第1反射板13aの傾斜角θ及び撮像手段12の光軸傾斜角度θは、撮像手段12が撮像した映像の歪みを極力少なくするため20°±5°の範囲が望ましい。
また反射手段13の第2反射板13bの開放端部に平面光源14を設けて照明手段8を構成したが、図7に示す変形例のように第1、第2反射板13a、13bを枠状に形成して、この枠の上方より第1反射板13aの反射面13cと発光面14aが対向するよう平面光源14を挿入することにより、照明手段8を構成してもよい。
【0027】
一方図8は、容器10が缶のように上面に表示部9が表示されている場合の実施の形態を示すもので、この場合、照明手段8の上方に撮像手段12を設置すればよい。
また缶等の容器10は、種類が変わると高さも変わることがあるため、照明手段8及び撮像手段12に高さ調整手段を設けて、容器10の高さが変わっても、表示部9から照明手段8及び撮像手段12迄の距離が一定となるように調整することにより、容器10の底面10aに表示部9が設けられたものと同様に、鮮明な映像が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態になる表示検査装置の一部破断正面図である。
【図2】本発明の実施の形態になる表示検査装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態になる表示検査装置の要部を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態になる表示検査装置の要部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態になる表示検査装置に設けられた照明手段の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態になる表示検査装置の作用説明図である。
【図7】本発明の実施の形態になる表示検査装置に設けられた照明手段の変形例を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態になる表示検査装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
7 搬送手段
9 表示部
10 容器
10a 底面
12 撮像手段
12a 光軸
13a 第1反射板
13b 第2反射板
13c 反射面
14 面光源
14a 発光面
17 調整手段
19 調整手段
O 容器の中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により連続的に搬送される容器の底面や上面に表示された表示部を検査する表示検査装置であって、検査位置にある前記容器の下方または上方に位置し、かつ前記容器の中心線に対し反射面が角度θ傾斜された第1反射板と、前記第1反射板の反射面に発光面が対向し、かつ前記発光面が前記容器の中心線とほぼ平行するよう設置された面光源と、反射面が前記第1反射板及び前記面光源の両側に位置するよう設置された第2反射板と、光軸が前記第1反射板の反射面とほぼ平行するように設置され、かつ前記表示部を撮像する撮像手段とを具備したことを特徴とする表示検査装置。
【請求項2】
前記第1反射板及び前記第2反射板の反射面を、前記表示部の色と反対色の色に着色してなる請求項1に記載の表示検査装置。
【請求項3】
前記容器の大きさや、前記表示部か表示された表示面の形状に応じて前記第1反射板及び前記面光源を移動調整する調整手段を設けてなる請求項1または2に記載の表示検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段に、前記容器の大きさや、前記表示部か表示された面の形状に応じて光軸の角度及び位置を調整する調整手段を設けてなる請求項1ないし3の何れかに記載の表示検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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