説明

表示機器

【課題】他の表示窓への光漏れを確実に防止でき、使用者の誤認識や操作ミスを確実に且つ低コストで防止すること。
【解決手段】電気的に制御される機能機器7の外郭部5に複数の表示窓6を設け、外郭部5の内方に前記機能機器7の動作状態を表示する複数の表示発光部8を各表示窓6に個別に臨ませて配した表示機器4である。複数の表示発光部8を個別に被う導光性を有する保護部材9を備える。保護部材9の表示発光部8側の裏面部9bに、表示発光部8の発光方向に対向配置されて表示発光部8の光を集光するレンズ形状部11を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機器に関し、詳しくは機能機器の動作状態を使用者に表示して認識させるための表示機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器本体に電気的に制御される機能機器を収めたケーシングを固定し、ケーシングの内部に機能機器の動作状態を表示する複数のLEDを収納すると共に、各LEDの発光面をそれぞれ被うように透明のホルダー(保護部材)を配設し、LEDからの光をホルダーを通してケーシングに設けた表示窓から外部に放出するようにした衛生洗浄便座用表示灯が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが前記特許文献1に見られる従来例では、表示窓を点灯させるLEDの光が、ホルダーを伝って近接する他の表示窓へ漏れることがある。特にLED同士が互いに近接配置されている場合、LEDが消灯しているにもかかわらず、あたかも点灯しているように見えてしまうなど、使用者の誤認識を招くという問題がある。さらにホルダーによる光の減衰や光の漏れによって光量が不充分となり、このためLEDを高輝度なものにする必要が生じ、コスト高を招くという問題もある。
【特許文献1】特開2001−123500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、他の表示窓への光漏れを確実に防止でき、使用者の誤認識や操作ミスを確実に且つ低コストで防止できる表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を特徴としている。
【0006】
電気的に制御される機能機器7の外郭部5に複数の表示窓6を設け、外郭部5の内方に前記機能機器7の動作状態を表示する複数の表示発光部8を各表示窓6に個別に臨ませて配した表示機器4において、前記複数の表示発光部8を個別に被う導光性を有する保護部材9を備えると共に、保護部材9の表示発光部8側の裏面部9bに、表示発光部8の発光方向に対向配置されて表示発光部8の光を集光するレンズ形状部11を形成した。
【0007】
このような構成することで、表示発光部8からの光は保護部材9のレンズ形状部11により集光されるので、表示発光部8の放射角を狭くできる。従って、光が保護部材9を伝って近接する他の表示窓6へ漏れるようなことがなくなり、本来消灯しているはずの表示発光部8が点灯しているように見えるという不都合を回避することができ、使用者の誤認識や操作ミスを確実に防止できるようになる。また保護部材9による光の減衰や光の漏れを防止できるので、表示発光部8の光量が充分なものとなり、使用者の視覚に十分識別できるようになり、高輝度の表示発光部8を使用しなくても済み、コスト高を回避できる。
【0008】
また、前記レンズ形状部11を鏡面仕上げとするのが好ましく、この場合、表示発光部8からレンズ形状部11への集光効率をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、保護部材のレンズ形状部により表示発光部からの光を集光することにより、光の放射角を狭くできるので、他の表示窓への光漏れを確実に防止でき、使用者の誤認識や操作ミスを確実に且つ低コストで防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
図3は本実施形態の表示機器4を備えた便器装置1の一例を示している。本例の便器装置1は例えば樹脂成形品からなる局部洗浄一体式の便器本体2と、便座(図示せず)と、便蓋26とで構成されている。なお局部洗浄部は一体式でもよく、別体を取り付けて形成されたものでも良い。
【0012】
便器本体2は、封水を貯溜するボウル部3と、これを被うスカート23と側面板24等を備えると共に、ボウル部3の後方上部には、スカート23の上端部に設けたリム25と連続して立ち上がる立ち上がり部が設けられており、この立ち上がり部の下方に、温水で便器使用者の臀部を洗浄する局部洗浄装置、局部洗浄ノズルへの送水用ポンプ、温風供給用の温風ファン、水道水からの入水を制御する電磁弁、便座ヒータを制御する制御回路等の機能機器7が収納されていると共に、これら機能機器7の動作状態を表示する表示機器4が配設されている。
【0013】
表示機器4は、ボウル部3の後方上部の立ち上がり部の一部を構成する外郭部5に複数の表示窓6を設けると共に、外郭部5の内方に前記機能機器7の動作状態を表示する複数の表示発光部8を各表示窓6に個別に臨ませて収納したものである。
【0014】
本例では、複数の表示窓6は一列に設けられ、表示窓6の側方には、例えば図2に示すように、「電源」、局部洗浄ノズルの「自動洗浄」や「洗剤洗浄」等の文字情報が表示されている。各表示窓6に臨んで配置される表示発光部8は、例えばLED8a(発光ダイオード)で構成されている。
【0015】
前記複数のLED8aはそれぞれ、導光性を有する保護部材9にて被われている。保護部材9は、LED8aを水等から防ぐためのもので、LED8aの光が透過する材料、例えば、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂材料で構成される。
【0016】
保護部材9のLED8a側の裏面部9bには、図1に示すように、LED8aの発光方向と対向するレンズ形状部11が各LED8aごとに複数形成されている。レンズ形状部11は、本例ではLED8aに対向した側が凸面となるように配設された凸レンズで形成されており、またレンズ形状部11の表面は鏡面仕上げされている。なお図1中の20はLED8aの周りを包み込む筒部、21はLED基板8bの周囲を包囲するカバー部、22は保護部材9をLED基板8bにネジ固定する固定部である。
【0017】
一方、保護部材9の表示窓6側の表面部9aには、各表示窓6に嵌め込まれて各LED8aからの光を外部に放出する凸状導光部10が前記レンズ形状部11ごとに複数形成されている。これらレンズ形状部11と凸状導光部10とはLED8aの発光方向と同軸上に配置されている。
【0018】
しかして、前記構成のLED8aからの光は凸レンズ状のレンズ形状部11に集光され平行光となって、表示窓6に嵌め込まれた凸状導光部10から外部に放出されるので、LED8aの光が一層見えやすくなる利点があり、またLED8aと保護部材9との位置関係が若干ずれた場合でも、レンズ形状部11によってLED8aの光を保護部材9の凸状導光部10に確実に伝達できるので、従って、LED8aの光が保護部材9を伝って近接する他の表示窓6へ漏れるようなことがなくなり、本来消灯しているはずのLED8aが点灯しているように見えるという不都合を回避することができ、使用者の誤認識や操作ミスを確実に防止できるようになり、また保護部材9による光の減衰や光の漏れを防止することで、LED8aの光量が充分なものとなり、使用者の視覚に十分識別できるようになり、高輝度のLED8aを使用しなくても済み、コスト高を回避できる。さらに本例ではレンズ形状部11を鏡面仕上げしているので、LED8aからレンズ形状部11への集光効率をより一層高めることができると共に保護部材9の成形時においては金型からの型離れを良くでき、歩留まりが向上する利点も得られる。
【0019】
さらに本例では、近接する表示窓6への漏光防止効果をより高めるために図1、図5に示すように、表示窓6が形成されている外郭部5に、表示窓6相互間の部位から内方に向かってそれぞれ漏光防止用突起13を突設させている。なお図5中の27は便蓋26軸の挿通穴である。本例の漏光防止用突起13は、リブ形状をしている。一方、保護部材9の表面部9aには、前記のように溝部12が形成されており、この溝部12を漏光防止用突起13を逃がすための凹部14として兼用している。これら溝部12(凹部14)と漏光防止用突起13とでLED8a相互間で光を完全に分離できるようになる。なお、漏光防止用突起13は図1のように溝部12との間で所定の隙間をあくように挿入されており、溝部12による浸入水の捕捉機能が損なわれないようにしている。
【0020】
このように、漏光防止部材を溝部12(凹部14)に逃がすことによって、外郭部5に近づけて保護部材9を配置でき、表示装置の小型化に寄与できるようになり、そのうえ溝部12が凹部14を兼ねることで保護部材9には溝部12と凹部14とを別々に設ける必要がなく、保護部材9自体の構造を簡略化、コンパクト化できる利点もある。
【0021】
次に水浸入時の排水構造を説明する。
【0022】
前記凸状導光部10の周囲には、表示窓6と凸状導光部10間の隙間から浸入する水を捕捉する溝部12が形成されている。この溝部12は、図4に示すように、各凸状導光部10の上端面よりも低い位置で且つ各凸状導光部10の外周部をそれぞれ囲むように、凸状導光部10ごとに環状に形成されていると共に、これら環状の溝部12は互いに連通している。この溝部12は、表示窓6と凸状導光部10間の隙間から浸入した水を捕捉するものであり、さらに保護部材9の端部には、溝部12にて捕捉された水を集水する樋部15が垂下形成されている。
【0023】
樋部15の上開口部15aは溝部12に連通し、下開口部15bはボウル部3内に通じる流路16に連通している。この流路16は、図6に示すように、機能機器7を取り付ける機器取付用ベース2A上に形成されている。流路16の一端は樋部15の下開口部15bに連通し、他端は便器本体2のボウル部3内に開放されている。なお、図7はこの流路16に沿った水の流れ方向を外郭部5側から見た図である。つまり、図6の流路16の方向と図7の矢印16の方向とが対応している。
【0024】
しかして、便器用表示機器4が水が飛散する場所に設置された場合において、表示窓6と導光部材との隙間から浸入した水は溝部12にて捕捉されて樋部15に集水され、さらに樋部15から流下した水は機器取付用ベース2Aの流路16上に流れ落ち、流路16に伝って便器本体2のボウル部3内へ排水される構造となる。つまり、溝部12と樋部15とによって、溝部12内で捕捉された浸入水を機能機器7に触れさせることなく、機器取付用ベース2A上の流路16上に流し落とすことができる。従って、表示窓6から浸入した水によって電気的に制御される機能機器7が悪影響を蒙ることがなくなる。そのうえ表示窓6に防水シートを被ったりする必要がなくなり、防水シートによる見えづらさやコストアップを回避できるものである。
【0025】
なお、前記実施形態では、表示発光部8にLED8aを用いたが、LED8a以外の光源を用いてもよい。
【0026】
また本発明の表示窓機器4は便器装置1以外の分野にも広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に用いる表示機器の側面断面図である。
【図2】同上の表示機器を表示窓側から見た該略図である。
【図3】同上の表示機器を備えた便器装置の斜視図である。
【図4】同上の表示発光部の保護部材を上面側から見た斜視図
【図5】同上の外郭部に設けられる表示窓を裏面側から見た斜視図である。
【図6】同上の機能機器を取り付ける機器取付用ベースの上面に設けた排水路を説明する平面図である。
【図7】図6の機器取付用ベースの排水路に沿った水の流れ方向を説明する外郭部の裏面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
4 表示機器
5 外郭部
6 表示窓
7 機能機器
8 表示発光部
9 保護部材
10 凸状導光部
11 レンズ形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に制御される機能機器の外郭部に複数の表示窓を設け、各表示窓の内方に前記機能機器の動作状態を表示する複数の表示発光部を各表示窓に個別に臨ませて配した表示機器において、前記複数の表示発光部を個別に被う導光性を有する保護部材を備えると共に、保護部材の表示発光部側の裏面部に、前記表示発光部の発光方向に対向配置されて表示発光部の光を集光するレンズ形状部を形成したことを特徴とする表示機器。
【請求項2】
前記レンズ形状部を鏡面仕上げとしたことを特徴とする請求項1記載の表示機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−288345(P2009−288345A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138649(P2008−138649)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】