説明

表示機能付きクリップとその製造方法

【課題】簡単な構造で、表示機能が高く、組立性や取扱性が良い表示機能付きクリップを提供する。
【解決手段】表示部16が設けられた平面状のシート台紙14と、シート台紙14が二つ折りされた内側に配置されたクリップ体12とを備える。シート台紙14は、表示部16が外側に位置するように二つ折りされ、中心線14aから所定の位置でさらに二つ折り状態で折り返されている。折り返されたシート台紙14の内側に位置し谷折りされたシート台紙14の一部分が、クリップ体12により挟持されている。クリップ体12及び谷折りされたシート台紙14を覆うように、二つ折りされたシート台紙14の他の部分が折り曲げられて、シート台紙14の互いに対面した端縁部の内側が糊付けされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、書類などを挟み止めて保持するクリップであって、広告や取扱等の表示が可能な表示機能付きクリップとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1〜3に開示されているように、金属製のクリップ体に矩形の紙などをカバーにして貼り付けて形成したクリップが提案されている。例えば、特許文献1に開示されたゼムクリップカバーは、ゼムクリップへの挟み止め片部と、この挟み止め片部の一方側縁に折曲自在線部を介して連設したゼムクリップの隠し覆い片部と、この隠し覆い片部の上辺縁に連設した名札用片部とから成る主体を、紙に打ち抜き加工を施すことによって構成したものである。隠し覆い片部の外側面には、絵模様が印刷されている。
【0003】
特許文献2には、ゼムクリップをシートの内側に取り付けたカードホルダが開示されている。また、特許文献3には、ゼムクリップを紙で被覆して、錆等が付かないようにした紙巻きクリップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3060072号公報
【特許文献2】特開2006−281752号公報
【特許文献3】実開昭58−157673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術の場合、単にゼムクリップを紙製のカバーで覆う機能を有したもので、広告や説明機能が十分ではなく、組立性やクリップの取扱性も良いものではなかった。
【0006】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、表示機能が高く、組立性や取扱性が良い表示機能付きクリップとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、表示部が設けられた平面状のシート台紙と、このシート台紙が二つ折りされた内側に配置されたクリップ体とを備え、前記シート台紙は、前記表示部が外側に位置するように二つ折りされ、前記二つ折りの中心線から所定の位置で、二つ折り状態でさらに折り返され、この折り返された前記シート台紙の内側に位置し谷折りされた前記シート台紙の一部分が、前記クリップ体により挟持され、前記クリップ体及び前記谷折りされた前記シート台紙を覆うように、前記二つ折りされたシート台紙の他の部分が折り曲げられている表示機能付きクリップである。
【0008】
二つ折りした前記シート台紙の互いに対面する端縁部は等しい大きさに形成され、前記シート台紙の互いに対面した端縁部の内側が糊付けされている。
【0009】
前記クリップ体は、金属線が平面的に巻回されたものである。又は、平面的に形成された樹脂製の挟持部を有するものや、厚紙製の挟持部を有するものでもよい。
【0010】
またこの発明は、表示部が設けられた平面状のシート台紙を前記表示部が外側に位置するように中心線で二つ折りにし、二つ折りした前記シート台紙の一方を、前記二つ折りの内側が凸になるように折り曲げて、この折り曲げた部分をクリップ体で挟持し、この後二つ折りした前記シート体の他の部分を、前記クリップ体を覆うように折り曲げる表示機能付きクリップの製造方法である。さらに、二つ折りした前記シート台紙の内側を、前記クリップ体で挟持し、この後互いに対面する端縁部を互いに糊付けするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の表示機能付きクリップは、簡単な構造で、表裏の面を有効に使用することができ、表示機能が高く、しかもシート等を保持させる際の取り扱いが容易で、簡単にシート等を挟み込むことができる。さらに、表示部が見やすいところに位置し、広告機能が高く、必要な電話番号やアドレス等を容易に認識することが出来る。
【0012】
製造においては、工数が少なく組み立てが容易であり、コストもかからず安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第一実施形態の表示機能付きクリップのシート台紙の展開図である。
【図2】この発明の第一実施形態の表示機能付きクリップの製造工程を示す斜視図である。
【図3】この発明の第一実施形態の表示機能付きクリップの上部表示部を表側にした使用状態を示す斜視図(a)、裏面表示部を表側にした使用状態を示す斜視図(b)である。
【図4】この発明の第二実施形態の表示機能付きクリップのシート台紙の展開図である。
【図5】この発明の第二実施形態の表示機能付きクリップの製造工程を示す斜視図である。
【図6】この発明の第二実施形態の表示機能付きクリップの上部表示部を表側にした使用状態を示す斜視図(a)、裏面表示部を表側にした使用状態を示す斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図3はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の表示機能付きクリップ10は、金属製のゼムクリップ等のクリップ体12と、紙や樹脂シートその他合成紙等のシート台紙14を用いるものである。シート台紙14は長方形等の四角形のものであり、表側に表示部16を有している。シート台紙14は表示部16が外側に位置するように二つ折りされ、その一方の辺である例えば短辺と平行な中心線14aで山折りされている。ここで、表示部16側を凸にした折り方を山折り、逆を谷折りと称す。さらに、中心線14aで二つ折りされた状態で、中心線14aと平行な線であって中心線14aと短辺との中間よりも中心線14a寄りの折り罫線14b,14cで、シート台紙14が二つ折り状態で一方に折り返されている。従って、折り罫線14bは山折りされ、折り罫線14cは谷折りされている。
【0015】
二つ折り状態のシート台紙14内には、例えば2つのクリップ体12が取り付けられている。クリップ体12は、谷折りされた折り罫線14cのシート台紙14を挟むように取り付けられている。シート台紙14の端縁部及び内側は糊付けされて、開かないように形成されている。
【0016】
この実施形態の表示機能付きクリップ10の組み立て方法は、まず、シート台紙14の中心線14aを谷折りし、折り罫線14b,14cで折り返して、二つ折り状態にする。この後、外側に位置した山折りの折り罫線14bでシート台紙14の半分を開き、折り罫線14cを露出させる。この状態で、折り罫線14c側から2つのクリップ体12により、シート台紙14を挟持させる。この後、開いていた半分のシート台紙14を閉じて、折り罫線14bを山折りに戻して、シート台紙14の開放端縁部の内側同士を糊付けして、表示機能付きクリップ10とする。
【0017】
この実施形態の表示機能付きクリップ10は、図2に示すように、二つ折り状態の幅の狭い上部表示部16aとその下方に表れる下部表示部16b、及び裏面側の幅の広い裏面表示部16cとを備える。
【0018】
この実施形態の表示機能付きクリップ10の使用方法は、図3(a)に示すように、上部表示部16aを表側にして、書類等の被保持物18を下部表示部16b側から差し込むように入れる。これにより、被保持物18の差し込みが容易であり、下部表示部14bは隠れるが、上部表示部16aが目立つようになる。また、図3(b)に示すように、裏面表示部16cを表側にすれば、より大面積の表示が可能となる。
【0019】
この実施形態の表示機能付きクリップ10によれば、簡単な構造で、表示面積が大きく、広告機能の高い表示機能付きクリップ10を提供することができる。しかも、書類等の被保持物18を挟む場合の操作性もよく、安定に保持することができる。表示部16は、目に付きやすいところに位置し、広告機能が高く、使用者は必要な電話番号やアドレス等を容易に認識することが出来る。
【0020】
次に、この発明の表示機能付きクリップの第二実施形態について、図4〜図6に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の表示機能付きクリップ20は、外観形状が三角形のもので、シート台紙24は、図4、図5に示すように、各折り罫線24a,24b,24cで折り曲げた状態で、三角形になるように形成されている。
【0021】
この実施形態の表示機能付きクリップ20の組み立て方法は、まず、シート台紙24の中心線24aを谷折りし、折り罫線24b,24cで折り返して、二つ折り状態にする。この後、外側に位置した山折りの折り罫線24bでシート台紙24の半分を開き、折り罫線24cを露出させる。この状態で、折り罫線24c側から2つのクリップ体12により、シート台紙24を挟持させる。この後、開いていた半分のシート台紙24を閉じて、折り罫線24bを山折りに戻して、シート台紙24の開放端縁部の内側同士を糊付けして、表示機能付きクリップ20とする。
【0022】
この実施形態の表示機能付きクリップ20は、図5に示すように、二つ折り状態の幅の狭い上部表示部26aとその下方に表れる下部表示部26b、及び裏面側の幅の広い裏面表示部26cとを備える。
【0023】
この実施形態の表示機能付きクリップ20の使用方法は、図6(a)に示すように、上部表示部16aを表側にして、書類等の被保持物18を下部表示部26b側から差し込むように入れる。これにより、被保持物18の差し込みが容易であり、下部表示部24bは隠れるが、上部表示部26aが目立つようになる。また、図6(b)に示すように、裏面表示部16cを表側にすれば、より大面積の表示が可能となる。
【0024】
この実施形態の表示機能付きクリップ20によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、形状を三角形とすることにより、外観形状的にも目立つものとなり、より広告機能を発揮する。
【0025】
なお、本発明の表示機能付きクリップは上記各実施の形態に限定されるものではなく、中に入れるクリップ体は、ゼムクリップ等の金属製のものに限らず、樹脂製のクリップ体でも良く、厚紙製のクリップ体でも良い。厚紙製のクリップ体と紙製のシート台紙にすることにより、表示機能付きクリップ全体を紙製とすることが出来、廃棄や焼却が容易となり、環境負荷が小さいものとなる。その他、クリップ体の材料は、適宜のものを使用することができる。シート台紙の形状も、四角形や三角形に限らず、円形や適宜の形状を選択することができ、材料も樹脂等を用いることも出来る。表示部は、平面以外に立体的な飾りや広告等の標示物を配置してもよく、適宜の表示が可能である。
【符号の説明】
【0026】
10,20 表示機能付きクリップ
12 クリップ体
14 シート台紙
14a,24a 中心線
14b,14c,24b,24c 折り罫線
16 表示部
18 被保持物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が設けられた平面状のシート台紙と、このシート台紙が二つ折りされた内側に配置されたクリップ体とを備え、前記シート台紙は、前記表示部が外側に位置するように二つ折りされ、前記二つ折りの中心線から所定の位置で、二つ折り状態でさらに折り返され、この折り返された前記シート台紙の内側に位置し谷折りされた前記シート台紙の一部分が、前記クリップ体により挟持され、前記クリップ体及び前記谷折りされた前記シート台紙を覆うように、前記二つ折りされたシート台紙の他の部分が折り曲げられていることを特徴とする表示機能付きクリップ。
【請求項2】
二つ折りした前記シート台紙の互いに対面する端縁部は等しい大きさに形成され、前記シート台紙の互いに対面した端縁部の内側が糊付けされている請求項1記載の表示機能付きクリップ。
【請求項3】
前記クリップ体は、金属線が平面的に巻回されたものである請求項1又は2記載の表示機能付きクリップ。
【請求項4】
前記クリップ体は、平面的に形成された樹脂製の挟持部を有するものである請求項1又は2記載の表示機能付きクリップ。
【請求項5】
前記クリップ体は、平面的に形成された厚紙製の挟持部を有するものである請求項1又は2記載の表示機能付きクリップ。
【請求項6】
表示部が設けられた平面状のシート台紙を前記表示部が外側に位置するように中心線で二つ折りにし、二つ折りした前記シート台紙の一方を、前記二つ折りの内側が凸になるように折り曲げて、この折り曲げた部分をクリップ体で挟持し、この後二つ折りした前記シート体の他の部分を、前記クリップ体を覆うように折り曲げることを特徴とする表示機能付きクリップの製造方法。
【請求項7】
二つ折りした前記シート台紙の内側を、前記クリップ体で挟持し、この後互いに対面する端縁部を互いに糊付けする請求項6記載の表示機能付きクリップの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67153(P2013−67153A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210938(P2011−210938)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(397043190)ライフケア技研株式会社 (11)
【Fターム(参考)】