表示玩具
【課題】 遊戯者が手書き入力したことにより形成される顔画像を基に表情を変化させて感情表現を演出することのできる表示玩具を提供する。
【解決手段】 表示玩具1は、液晶表示面3と液晶表示面3上に配置されたタッチセンサー面4と表示用メモリと表示制御手段を備え、タッチセンサー面4に対し、遊戯初期画面において、目、鼻、口を描く各領域に目等を手書きしたとき、手書き位置の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されると共に液晶表示画素を表示制御手段により駆動して手書きされた目等の画像を表示し、該画像が表示されている状態において所定の入力操作を行ったとき、遊戯初期画面で手書きされた目、鼻、口の画像の相対的位置を維持した状態で、前記領域の少なくとも一つに対し、当該領域全体を拡大し、縮小し、傾ける等の表示変更を行う主制御手段を備え、喜び等の顔表情を演出するものとする。
【解決手段】 表示玩具1は、液晶表示面3と液晶表示面3上に配置されたタッチセンサー面4と表示用メモリと表示制御手段を備え、タッチセンサー面4に対し、遊戯初期画面において、目、鼻、口を描く各領域に目等を手書きしたとき、手書き位置の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されると共に液晶表示画素を表示制御手段により駆動して手書きされた目等の画像を表示し、該画像が表示されている状態において所定の入力操作を行ったとき、遊戯初期画面で手書きされた目、鼻、口の画像の相対的位置を維持した状態で、前記領域の少なくとも一つに対し、当該領域全体を拡大し、縮小し、傾ける等の表示変更を行う主制御手段を備え、喜び等の顔表情を演出するものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯者がタッチセンサー面に所定の入力操作をすることにより、表示画面上に表示されるキャラクタの顔画像の態様を変化させる表示玩具に関し、特に、キャラクタの顔画像の態様の変化を、遊戯者の描いた目、鼻、口等の図柄より形成される顔画像を基に行うことで、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出する表示玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示玩具としては、手のひらサイズの筺体に液晶表示面と操作キーを設け、遊戯者の操作によりキャラクタを動作させ、又は育成するようなものがある。しかしながら、このようなゲームは、操作キーの選択のみでゲームが進行するため、操作の自由度が制限されていた。
【0003】
そこで、遊戯者が自由な操作感覚でゲームを楽しむことのできる表示玩具として、例えば、特開2005−193006号公報(特許文献1)では、タッチセンサー面に覆われた第2の表示画面に表示された画像に対してタッチペン等によって入力の変化を与える表示玩具のゲームプログラムに関する提案がされている。
【0004】
この発明は、遊戯者の入力に応じてその表示態様が変化するキャラクタを含んだ影像を第1の表示画面に表示すると共に、キャラクタの顔画像を第2の表示画面に表示するものである。そして、タッチセンサー面に対して与えられる入力を一定時間間隔で検出し、当該入力の変化が検出されている間の当該タッチセンサー面上の位置座標を検出することによって入力の変化を検出し、検出された入力がキャラクタの顔画像に対するものであるとき、入力の変化に最も近い入力パターンを予め用意されている入力パターン群の中から抽出し、抽出された入力パラメータの種類及び当該入力パターンが繰り返された回数に応じて、キャラクタに関連付けられて記憶されている感情情報を変化させ、変化後の感情情報に基づいてキャラクタの表示態様を変化させるものである。
【0005】
この発明においては、入力の変化に応じてキャラクタの感情情報を変化させ、当該感情情報に応じて表示態様を変化させるので、遊戯者の入力の仕方によってキャラクタの表示態様を変化させることができる。その結果、従来のように単なる操作キーの選択だけでは表現できなかった自由な操作感覚の表示玩具を提供することができる。
【特許文献1】特開2005−193006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明は、タッチセンサー面で覆われた第2の表示画面に表示される画像に対する入力の変化に応じて第1の表示画面及び第2の表示画面に表示されるキャラクタを含む影像及びキャラクタの顔画像を変化させることができるも、キャラクタ等の画像は予め用意されていたものであるため、キャラクタ自身を遊戯者が作成することができないといった問題点があった。
【0007】
又、遊戯者の入力により感情情報を変化させることにより表示態様を変化させる場合も、予め用意された画像を読みだすことにより、喜び、怒り、哀しみ等の感情表現をさせるものであるため、その変化した画像は遊戯者に依存すること無く一定であり、遊戯者特有の変化をさせることができないといった問題点もあった。
【0008】
又、従来技術において、表示画像の変化態様に幅を持たせるためには、予め画像データ及び画像データの選択、変形、配置等のルールを数多く用意しておくことにより対応は可能であるが、その場合、複雑な命令を瞬時に処理するために、高性能且つ高価なCPU等を含む制御手段を搭載する必要があり、表示玩具のコストアップを誘発するといった問題点もある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、遊戯者が自由に目、鼻、口等の図柄を描くことができ、その図柄より形成された顔画像に対して感情的な動作を模した操作をすることにより、その顔画像を基に表情を変化させて喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出することのできる表示玩具であって、遊戯者に新鮮な驚きや知的興奮を与えると共に、制御系をシンプルな構成とすることにより、安価で子供でも扱い易い表示玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る表示玩具は、液晶表示面と、前記液晶表示面上に配置された透明タッチセンサー面と、少なくとも液晶表示面を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリと、表示制御手段と、を備え、前記タッチセンサー面に対し、遊戯初期画面において、左右の目を描く領域と、鼻を描く領域と、口を描く領域と、が設定されており、前記領域のそれぞれに目、鼻、口を手書きしたとき、手書きされた位置におけるタッチセンサー面の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する前記液晶表示面を構成する液晶表示画素を前記表示制御手段により駆動することによって手書きに対応する目、鼻、口の画像を表示し、前記手書きに対応する目、鼻、口の画像が表示されているときに、前記透明タッチセンサー面に対し所定の入力操作を行ったとき、前記遊戯初期画面で前記手書きに対応して表示された目、鼻、口のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、前記領域の少なくとも一つに対し、当該領域全体を拡大し、縮小し、或いは傾ける等の表示変更を行う主制御手段を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出するものである。
【0011】
そして、前記液晶表示面は手のひらサイズで形成されているものである。
【0012】
又、表示玩具が、付属品を取り付け可能、或いは、玩具の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成されることもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊戯者が自由に目、鼻、口等の図柄を描くことができ、その図柄より形成された顔画像に対して感情的な動作を模した操作をすることにより、その顔画像を基に表情を変化させて喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出することのできる表示玩具であって、遊戯者に新鮮な驚きや知的興奮を与えると共に、制御系をシンプルな構成とすることにより、安価で子供でも扱い易い表示玩具を提供することができるものである。
【0014】
又、画像を表示する液晶表示面を手のひらサイズに形成することにより、筺体も小型に形成することができるため、持ち運びに便利で様々な場所で操作をして楽しむことのできる表示玩具を提供することができる。
【0015】
更に、当該表示玩具をモジュールとして、人形等の玩具の顔部分に組み込むことができるように形成すれば、ぬいぐるみやプラスチック玩具等の様々な玩具に適用させることにより、その使用形態を拡張することができ、幼児から大人まで楽しむことのできる表示玩具として提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態の表示玩具1は、筺体2と、筺体2の前面に配置された手のひらサイズの液晶表示面3と、液晶表示面3上に配置された透明タッチセンサー面4と、少なくとも液晶表示面3を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリ51と、表示制御手段57と、を備え、タッチセンサー面4に対し、遊戯初期画面において、左右の目を描く領域と、鼻を描く領域と、口を描く領域と、が設定されており、前記領域のそれぞれに目、鼻、口を手書きしたとき、手書きされた位置におけるタッチセンサー面4の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する液晶表示面3を構成する液晶表示画素を表示制御手段57により駆動し、手書きされた目、鼻、口に対応する目、鼻、口の画像を表示させ、手書きされた目、鼻、口に対応する目、鼻、口の画像が表示されているときに、透明タッチセンサー面4に対し所定の入力操作を行ったとき、遊戯初期画面で手書きされた目及び鼻に対応した目及び鼻のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、目を描く領域全体を拡大し、或いは傾ける等の表示変更を行うとともに、口を描く領域の表示画像を予め用意した画像と差換える表示変更を行う主制御手段50を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出するものである。
【0017】
そして、当該表示玩具1を、付属品60を取り付け可能なモジュールとして形成し、筺体2の側面等に付属品60を取り付けることによって、人間、動物、物品等を模した形状に形成することもある。
【0018】
又、筺体2を直方体形状に形成し、表示玩具1を玩具70の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成することもある。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明に係る表示玩具1は、図1に示すように、直方体形状の筺体2と、該筺体2の前面に配置された液晶表示面3と、該液晶表示面3上に配置された透明のタッチセンサー面4とを備え、少なくとも液晶表示面3を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリと、液晶表示画素を駆動制御する表示制御手段と、を筺体2の内部に備えるものである。
【0020】
液晶表示面3は、液晶表示画素がマトリックス状に配置されて形成されるものであって、該液晶表示面3上に積層した透明のタッチセンサー面4に遊戯者がタッチペンや爪先等で手書きした目、鼻、口等を画像として表示するものであり、又、該画像が表示されているときにタッチセンサー面4に対し所定の入力操作を行うことによって様々に変化する顔画像を表示するものである。
【0021】
尚、顔画像を適切に表示変更させるために、液晶表示面3の解像度は32×32ドット以上とすることが好ましく、より好ましくは80ドット×80ドット程度の解像度で、ドットの縦幅及び横幅を約0.4mm、液晶表示面の縦幅及び横幅を約40mmとして構成することにより、表示される顔画像を滑らかに表現すると共に持ち運びに便利な手のひらサイズの表示玩具1を提供することができる。
【0022】
タッチセンサー面4は、反応検出用の入力装置として用いられるものであり、後述する表示用メモリの座標系に対応する座標系を有し、タッチペン等によって手書きされた目、鼻、口等の図柄に対応する位置を検出するものである。このタッチセンサー面4は、抵抗膜式、光学式、静電容量式、超音波式などの各種方式を採用することができるが、表示玩具1のコストを抑えるために、比較的安価な抵抗膜式を採用することが好ましい。
【0023】
図2は、本発明に係る表示玩具1の機能回路ブロックを示す図である。図2に示すように、表示玩具1の制御系は、入出力インターフェース56、並びに、主制御手段50としてCPU(Central Processing Unit)55、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)52、並びに、表示制御手段57及び表示用メモリ(VRAM)51、並びに、タイマ54等によって構成されており、遊戯者による入力操作の検出、座標情報の記録や液晶表示画素の駆動制御等の各種データ処理及び制御を、主制御手段50及び表示制御手段57により行うものである。
【0024】
この主制御手段50を構成するCPU55、ROM53、及びRAM52はシステムバス(SB)を介して相互に接続されており、CPU55は、ROM53に記憶されているプログラムにしたがって各種の処理を実行するものである。そして、RAM52は、データ処理に使用されるものであって、CPU55の演算結果等のデータを一次的に記憶するものである。
【0025】
又、システムバス(SB)には、タッチセンサー面4とCPU55との間のデータの受け渡しを実行する回路である入出力インターフェース56が接続されている。この入出力インターフェース56は、該入出力インターフェース56に接続されるタッチセンサー面4により検出された情報を、システムバス(SB)を介してCPU55に提供するものである。
【0026】
更に、システムバス(SB)には、表示制御手段57が接続されている。この表示制御手段57は、液晶表示面(LCD)3、並びに、液晶表示面3を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリ51が接続されており、CPU55からの指示に応じて描画されたことを表す情報を表示用メモリ51に記録し、記録した情報に対応する液晶表示画素を駆動して画像を液晶表示面3に表示させるものである。
【0027】
図3は本発明に係る表示玩具1の主制御手段50の処理の概略を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて主制御手段50の処理の概略を説明する。表示玩具1は、遊戯者がタッチセンサー面4に触れる或いはタッチセンサー面4とは別に設けられた電源スイッチをONすることにより、表示玩具1の電源がON状態となり(ステップS1)、タッチセンサー面4における手書き入力検出を開始する(ステップS2)。そして、遊戯者がタッチセンサー面4にタッチペン等で次々に目、鼻、口等の図柄を描くと、描画されたことを表す情報が入出力インターフェース56を介して座標情報として検出され(ステップS3〜ステップS5)、タッチセンサー面4の座標系に対応する座標系を有する表示用メモリ51のセル要素に記録される(ステップS6)。
【0028】
そして、表示制御手段57により、表示用メモリ51のセル要素に記録された座標情報に対応する液晶表示画素を駆動して、液晶表示面3に目、鼻、口等の描き込み画像を表示する(ステップS7)。この描き込み画像は、遊戯者が目、鼻、口等をタッチセンサー面4に描くことにより、手書きにより描かれた図柄部分の座標位置に対応する液晶表示画素が駆動されることにより、手書きに対応した目、鼻、口等の画像が液晶表示面3に形成されるものである。
【0029】
そして、一旦入力が検出された後、予め定めた所定の時間内に遊戯者からの入力を検出できないときは、手書き入力検出を終了し(ステップS8〜ステップS11)、入力操作パターンの検出を開始する(ステップS12)。尚、予め「手書き入力終了」ボタンを液晶表示面3に表示しておき、遊戯者が該ボタンを入力操作することにより、タイマ54を用いずに手書き入力検出を終了して入力操作パターンの検出開始状態に移行させてもよい。又、手書き入力終了ボタンの他に、手書き入力をやり直す「やり直し」ボタンを表示しておいて、該ボタンが入力操作された際は、遊戯者の描いた図柄を非表示として、再度初めからゲームを開始できるようにしてもよい。
【0030】
入力操作パターンの検出を開始(ステップS12)した後、遊戯者が所定の入力操作を行うと、図4に示す表示変更規則に基づき画像表示変更パターンが選択される(ステップS13〜ステップS15)。この表示変更規則については後述する。一の表示変更パターンが選択されると、主制御手段50は描き込み画像の座標情報をRAM52に記憶した後、該表示変更パターンに対応した演算処理を実行し、描き込み画像を変換するように表示する画像の座標を決定するものである(ステップS16)。この演算処理による新座標は、表示用メモリ51のセル要素に記録され(ステップS17)、表示制御手段57により、当該座標情報に該当する液晶表示画素が駆動され、液晶表示面3には当該表示変更後の画像を表示することができる(ステップS18)。
【0031】
そして、遊戯者の入力操作が、所定の時間内に行われなければ、表示変更後の画像に換えて描き込み画像を再表示する(ステップS19〜ステップS21)。更に、所定の時間内に遊戯者の入力操作を検出しない場合は、入力操作パターンの検出を終了すると共に電源をOFF状態とする(ステップS22〜ステップS24)。以上が、主制御手段50による処理の概略である。
【0032】
次に、本発明に係る表示玩具1の液晶表示面3及びタッチセンサー面4を示す図5〜図10により、ゲームの進行と共に主制御手段50による画像の表示変更の詳細について説明する。
【0033】
図5(a)は入力前の表示玩具1の液晶表示面3及びタッチセンサー面4を示す図であり、図5(b)は入力後の表示玩具1の液晶表示面3及びタッチセンサー面4を示す図である。尚、本実施例においては、液晶表示面3の解像度を32ドット×32ドットとした。図5(a)に示したように、タッチセンサー面4は、遊戯者の入力操作前である遊戯初期画面において、左右の目を描く領域である「目」エリアEと、鼻を描く領域である「鼻」エリアNと、口を描く領域である「口」エリアMが予め設定されているものである。
【0034】
そして、この「口」エリアMは、更に3つの領域に区分され、中央に位置する第1エリアMa及び両端に位置する第2エリアMb及び第3エリアMcが設定されている。又、図には各領域の境界線Xを実線により示しているが、この境界線Xは実際に画面上に表示等により表わされているものではない。即ち、遊戯初期状態における液晶表示面3である遊戯初期画面には何も画像が表示されていない。
【0035】
尚、初めて遊ぶ遊戯者のために、遊戯初期画面において所定の目、鼻、口等をガイド画像として、液晶表示画素を高速で駆動して表示/非表示を切換えることにより、遊戯者に薄く見えるように表示させておいてもよい。この場合、遊戯者の描いた図柄は濃く表示することにより形成される顔画像を明確に表示し、手書き入力が終了した際にガイド画像を非表示とするものである。そして、ガイド画像は遊戯初期画面において、遊戯者によって任意に表示、非表示を選択できるようにしておくことが好ましい。
【0036】
この初期状態におけるタッチセンサー面4に設定されている「目」エリアEと、「鼻」エリアNと、「口」エリアMのそれぞれの領域に、遊戯者がタッチペン等により、目、鼻、口等の図柄を手書きしたとき、手書きされた位置の座標に対応する表示用メモリ51のセル要素に、タッチセンサー面4上に図柄が描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する液晶表示面3を構成する液晶表示画素を駆動し、図5(b)に示したように、手書きされた目、鼻、口等の画像である描き込み画像を表示する。
【0037】
そして、この表示玩具1は、描き込み画像である目、鼻、口の画像が表示されているとき、タッチセンサー面4に対し所定の入力操作を行ったとき、遊戯初期画面で手書きされた目、鼻、口等の図柄のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、「目」エリアE、「鼻」エリアN、「口」エリアMの少なくとも一つ或いは全てに対し、各領域全体を拡大し、縮小し、或いは傾ける等の表示変更を行う主制御手段50を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出するものである。
【0038】
この表示変更は、入力操作と予め定めた表示変更規則にしたがって、記録された座標位置の情報を他の座標位置に移すなどして描き込み画像を非表示とし、新たな画像を表示するものである。これにより表示状態にある液晶表示画素である表示ドットを上下或いは左右にずらす表示変更が可能となる。尚、「目」エリアE、「鼻」エリアN、「口」エリアMの全てにおいて描き込み画像の座標情報を基に表示変更を実施する必要はなく、図4に示したように、表示ドットの移動による表示変更に加え、予め備えている画像と描き込み画像を差換えたり、予め備えている画像を追加表示するという表示変更を採用してもよい。
【0039】
本実施例においては、目、鼻、口の中で特に感情表現に大きな寄与のある目に着目し、「目」エリアEの画像に対し、拡大、或いは傾ける等の表示変更を行うこととし、次いで感情表現に寄与のある口に対しては、「口」エリアMである第1乃至第3エリアMa〜Mcの何れかに描かれたかにより、「大」「小」の2つに分類して、分類毎の感情表現に対応する予め備えた画像を口の描き込み画像と差換えることとし、感情表現に寄与の小さい鼻に対しては、感情表現を演出する場合においても基本的には描き込み画像の鼻をそのまま表示することとした。これにより、制御系の性能を抑えることができるため、より安価な表示玩具1を提供できる。
【0040】
以下、図4に示した本実施例に係る表示玩具1の表示変更規則を、各感情状態における画像を表示させるための入力操作と表示変更後の状態とを合せて詳説する。
【0041】
哀しみの感情表現に対応する表示変更の規則については、図6(a)に示すように、表示されている描き込み画像の目の表示画像を遊戯者がタッチペン等で一度突くと第一の哀しみ状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図示しない第一の哀しみ状態に対応する画像を表示し、そして、目の表示画像を二度突くと第二の哀しみ状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図6(b)に示す第二の哀しみ状態に対応する画像を表示し、又、目の表示画像を三度突くと第三の哀しみ状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図6(c)に示す第三の哀しみ状態に対応する画像を表示するものとする。
【0042】
第一の哀しみ状態における「目」エリアEに表示される画像については、当該表示変更パターンが選択されると、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に、センターラインCLの左右方向を傾斜させるように表示状態にある液晶表示画素である表示ドットを上下にずらすことで、図6(b)に示したように、キャラクタの目が垂れ下がったような表示をさせることとする。
【0043】
即ち、この表示変更は、目の画像を表示する領域が、図7(a)に示す「目」エリアEから図7(b)に示す表示変更後「目」エリアE1となるように、「目」エリアEにおける各要素における表示/非表示情報を、センターラインCLを中心に、当該要素と同一或いは異なる上下方向の要素に移すことにより、表示状態にある液晶表示画素である表示ドットを上下にずらすものである。
【0044】
尚、本実施例においては、傾斜角度が15°程度の緩やかな傾斜となるように4列毎に一行ずつずれるようにした。したがって、センターラインCL近傍の表示ドットはずれること無く同位置に留まり、表示玩具1の中心側に行くほど上方にずれ、外側に行くほど下方にずれることとなる。
【0045】
したがって、「目」エリアEの描き込み画像が、図7(a)に示すように5行8列の表示ドットの集合体である要素群Aから構成されているものとすれば、表示変更によって、センターラインCLの左右2列(計4列)の要素群の液晶表示画素を表示状態とするという情報は他の座標位置に移ること無く同座標位置における情報とし、表示玩具1の中心側の2列の要素群の情報は1行上の座標位置に移り、外側の2列の要素群の情報は1行下の座標位置に移るため、表示変更後に表示駆動される液晶表示画素の集合体は表示変更後要素群A1となるように傾けた表示変更とすることができる。
【0046】
この表示ドットをずらす処理や表示ドットの移動の処理は、表示用メモリ(VRAM)51上に展開される画像情報の表示位置を指定する座標情報を変更することにより、これに対応して表示制御手段57により表示駆動される液晶表示面3のドット位置が変更されるものである。
【0047】
そして、表示変更後「目」エリアE1において、液晶表示面3外へはみ出た部分である除外領域Dについては表示するものでなく、「口」エリアMへはみ出た部分である除外領域Dについては、「口」エリアMに表示される画像を優先して表示することとした。即ち、この表示変更によって、液晶表示面3外の座標位置へ移る表示画像情報は消去されることとなり、「口」エリアMの座標位置へ移る表示画像情報は、「口」の表示画像と重ならない場合は残すようにするものである。もっとも、「口」エリアMに移る表示画像情報も全て消去することもある。
【0048】
そして、「口」エリアMに表示される画像については、図6(a)に示したように、第1エリアMaの中にのみに口が描かれ、その描かれた部分の座標位置に対応する液晶表示画素が描き込み画像として表示されている。この場合、表示玩具1は描かれた口を「小」と認識して、表示変更パターンを決定する。「小」と認識されたときの、第一の哀しみ状態を表す口は、予め備えた画像データから表示変更規則にしたがって選択され、図6(b)に示したように、描き込み画像の換わりに、小さな「へ」の字口の画像が差し換えられて表示される。
【0049】
尚、口の「大」「小」の認識規則は、遊戯者によって、「口」エリアMの第1エリアMaのみに手書きされた場合、第1エリアMa及び第2エリアMb若しくは第3エリアMcに手書きされた場合に「小」と認知し、第1エリアMa及び第2エリアMb及び第3エリアMcに手書きされた場合に「大」と認知し、第2エリアMbのみ或いは第3エリアMcのみに手書きされたときは、該領域を表示状態とはせず、再度遊戯者に手書きするように促すこととした。
【0050】
このように、描き込み画像の座標情報に基づく表示変更を行わせることで、遊戯者の描き込み画像に対する目を突くような操作により、その顔画像を基に表情を変化させて、哀しみの感情表現を演出することができる。
【0051】
又、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に上下に表示ドットをずらしているため、目の画像は表示変更により表示態様が変わるも、目の中心位置は変わること無く、目を表示する画像の相対的位置を維持することができる。これにより、遊戯者の描いた描き込み画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが哀しんだように演出することができる。
【0052】
そして、「目」エリアEの表示ドットのずれる量については、数列毎に1行ずつずれるようにして表示画像を傾斜させる場合に限ることは無く、1列毎に数行ずつずれるようにしてもよく、又、ずれる量を数列毎に異なるものとしてもよい。
【0053】
又、図6(b)に示したように、第一の哀しみ状態に加えて、予め備えた「涙」などの画像を合せて表示させ、第二の哀しみ状態として、哀しみの表現をより豊かにすることができる。
【0054】
そして、第三の哀しみ状態における表示画像については、当該表示変更パターンが選択されると、第二の哀しみ状態における所定の表示ドットを左右方向にずらして、図6(c)に示したように、キャラクタの顔が哀しみでしわくちゃになったような表示をさせることとする。
【0055】
即ち、この表示変更は、表示領域を図7(c)に示した表示変更後「目」、「鼻」、「口」エリアE2、N2、M2となるように、表示ドットを1行毎に左右方向にずれる行とずれない行を交互に、且つ、左右方向にずれる行は、交互に左右にずれるようにするものである。尚、液晶表示面3外へはみ出た部分については前述と同様に除外領域Dとする。
【0056】
したがって、図7(b)に示した表示変更後要素群A1は、図7(c)に示すように1行目の要素群の液晶表示画素を表示状態とするという情報は他の座標位置に移ること無く同座標位置における情報とし、2行目の要素群の情報は液晶表示面3を正面から見て1列右の座標位置に移り、3行目は同座標位置に、4行目は左の座標位置に移るため、表示変更後に表示駆動される液晶表示画素の集合体は表示変更後要素群A2となる。
【0057】
この表示変更により、顔画像がしわくちゃになったような表示をさせることができるため、哀しみの感情表現を高めて演出することができる。又、表示ドットを左右交互にずらすようにしているため、第二の哀しみ状態の画像に対して、目、鼻、口を表示する画像の相対的位置は変わること無く維持されることとなる。
【0058】
そして、怒りの感情表現に対応する表示変更の規則については、図8(a)に示すように、表示されている描き込み画像の目の表示画像以外の「目」エリアEをタッチペン等で一度突くと第一の怒り状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図示しない第一の怒り状態に対応する画像を表示し、そして、同様に「目」エリアEを二度突くと第二の怒り状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図8(b)に示す第二の怒り状態に対応する画像を表示し、又、三度突くと第三の怒り状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図8(c)に示す第三の怒り状態に対応する画像を表示するものとする。
【0059】
そして、第一の怒り状態の表示変更パターンが選択されると、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に前述の第一の哀しみ状態への表示変更とは逆に両目の外側を上方にずらすように表示ドットを上下にずらす傾斜変更を行うこととすれば、図8(b)に示したようにキャラクタの目がつり上がったような表示をさせる傾けた表示変更となり、怒りの感情表現を演出することができる。
【0060】
尚、この表示ドットをずらす処理も、表示用メモリ51上に展開される画像情報の表示位置を指定する座標情報を変更することにより、迅速且つ容易に行うことができる。
【0061】
又、「口」エリアMに表示される画像については、図8(a)に示したように、第1エリアMa及び第2エリアMb及び第3エリアMcに口が描かれ、その描かれた部分の座標位置に対応する液晶表示画素が描き込み画像として表示されている。この場合、描かれた口は「大」と認識して、表示変更パターンを決定する。「大」と認識されたときの、第一の怒り状態を表す口は、予め備えた画像データから表示変更規則にしたがって選択され、図8(b)に示したように、描き込み画像の換わりに、大きな「へ」の字口の画像が差し換えられて表示される。
【0062】
このように、描き込み画像の座標情報に基づく表示変更を行わせることで、遊戯者の描き込み画像に対する額等を突くような操作により、その顔画像を基に表情を変化させて、怒りの感情表現を演出することができる。
【0063】
そして、第一の怒り状態に加えて、予め備えた浮き出た血管を表現する「怒りマーク」の画像を合せて追加表示させる表示変更により第二の怒り状態を表示し、更に「鼻息」の画像を追加表示する表示変更により第三の怒り状態を表示するなどして、怒りの表現をより豊かにすることができる。
【0064】
又、前述の第一の哀しみ状態への表示変更と同様に、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に上下に表示ドットをずらしているため、目を表示する液晶表示画素は表示変更により表示態様が変わるも、目の中心位置は変わること無く、目を表示する画像の相対的位置を維持することができる。これにより、遊戯者の描いた描き込み画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが怒ったように演出することができる。
【0065】
そして、喜びの感情表現に対応する表示変更の規則については、図9(a)に示すように、「目」エリアEにおいてタッチペン等でなでるように直線或いは曲線を一度描くように操作すると第一の喜び状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図9(b)に示す第一の喜び状態に対応する画像を表示し、二度なでると、第二の喜び状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図示しない第二の喜び状態に対応する画像を表示し、三度なでると第三の喜び状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図9(c)に示す第三の喜び状態を表示するものとする。
【0066】
そして、第一の喜び状態における「目」エリアEに表示される画像については、当該表示変更パターンが選択されると、「目」エリアEの描き込み画像の情報より目の中心点CPを判別し、中心点CPを中心に「目」エリアEの表示領域を上下に1.5倍、左右に1.2倍となるように拡大することにより、図9(b)に示したように、キャラクタの目が見開いたような表示をさせることとする。
【0067】
即ち、この拡大表示変更は、目の画像を表示する領域を、図10(a)に示す「目」エリアEから図10(b)に示す表示変更後「目」エリアE1となるように、拡大するものである。
【0068】
したがって、図10(a)に示す描き込み画像を構成する液晶表示画素の一部分である4行5列から成る要素群Aの表示領域Bに着目すれば、図10(b)に示すように要素群Aの表示領域Bを、中心点CPを中心に上下に1.5倍、左右に1.2倍に拡大した表示変更後表示領域B1が形成される。
【0069】
そして、図10(c)に示すように、この表示変更後表示領域B1内の要素群を表示変更後要素群A1として、この要素群A1の液晶表示画素を表示状態とする。これにより、描き込み画像が拡大したかのように見えることとなる。尚、拡大された表示領域が液晶表示面3外、及び「口」エリアMへはみ出る部分については前述と同様に除外領域Dとした。
【0070】
そして、「口」エリアMに表示される画像については、図9(a)に示したように、第1エリアMaの中にのみに口が描かれ、その描かれた部分の座標位置に対応する液晶表示画素が描き込み画像として表示されているため、描かれた口は「小」と認識して、第一の喜び状態を表す口が選択され、図9(b)に示したように、描き込み画像の換わりに、「小さな開いた口」の画像が差し換えられて表示される。
【0071】
このように、描き込み画像の座標情報に基づく表示変更を行わせることで、遊戯者の描き込み画像に対する額をなでるような操作により、その顔画像を基に表情を変化させて、喜びの感情表現を演出することができる。
【0072】
そして、「目」エリアEに書き込まれた目の中心点CPを判別し、中心点CPを中心に拡大させることにより、目の画像の位置を、表示変更が行われた際にも相対的に位置が変わることの無いようにすることができる。これにより、遊戯者の描いた描き込み画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが喜んだように演出することができる。
【0073】
尚、描き込み画像と拡大画像を交互に表示させて、驚きの感情表現を演出してもよい。このとき、中心点CPを中心に上下に2倍、左右に1.5倍となるように「目」エリアEを拡大させることが好ましい。又、中心点CPを中心に縮小の表示変更を行わせて、驚きあきれ返った表情を演出してもよい。
【0074】
そして、第二の喜び状態の表示変更については、第一の喜び状態の表示画像に「鼻息」画像を追加表示させ、第三の喜び状態の表示変更については、「目」エリアEに「ハートマーク」の画像を差し換えて表示することとして、喜びの強さを高める効果を持たせることとした。
【0075】
以上説明した本実施例に係る表示玩具1により、遊戯者は、表示玩具1のタッチセンサー面4に対し、自由に目、鼻、口等の図柄を描くことができ、その図柄の座標情報に基づき液晶表示画面3に表示された顔画像に対して感情的な動作を模した操作をすることにより、その顔画像を基に表情を変化させて喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出することのできる表示玩具1であって、遊戯者に新鮮な驚きや知的興奮を与えることができるものである。更に、本実施例に係る表示玩具1に内蔵されるCPU55は、8bit或いは16bitのA/D4ch内臓タイプのような安価なもので実現可能であるため、制御系をシンプルな構成とすることができ、安価で子供でも扱い易い表示玩具1として提供することができるものである。
【0076】
尚、本実施例における入力操作パターン及び画像表示変更パターンは図4に示した10パターンとしたが、パターンの内容を様々に変更させる、パターン数を拡張するなどにより、感情表現をより豊かにしてもよく、又、より安価な表示玩具1を提供するために厳選した感情表現パターンのみ残してパターン数を減らしてもよい。
【0077】
そして、遊戯者の入力操作によって、各種の操作が行われた回数等により、各種ステータス値を変更すると共に記憶させて、所定のステータス値が一定の値に達した時に通常とは異なるゲームを行えるようなイベントを発生させるようにしてもよい。更に、表示玩具1に音源及び音源回路を備えて、画像表示変更や、遊戯者の入力操作に合わせて、拡声放音させてもよい。
【0078】
例えば、図11(a)に示す描き込み画像が表示されている状態において、図11(b)に示すように、遊戯者が顔の額部分に「怒りマーク」を描くという入力操作を行うと、操作時に操作を認識したことを示す認識音を鳴らし、その後に図11(c)に示す怒り状態に対応する画像表示変更を行い、変更と共に「ぷんっ、ぷんっ」という音を鳴らすこととしてもよい。即ち、入力操作パターンを、単に画面上を突いたり、一曲線或いは一直線を描いたりする場合に限ることなく、予め複数の入力操作パターンを用意しておき、遊戯者の入力操作により記憶される座標情報群に最も近いパターンを選択して、画像表示変更を行わせてもよい。
【0079】
そして、目の下に「涙マーク」を描くと認識音が鳴って哀しみ状態の画像表示変更を行い、変更と共に「ぐすっ、ぐすっ」という音を鳴らすこととする。又、哀しみ状態のときに、顔の額部分をなでると、認識音を鳴らして泣きやむ状態の画像表示変更を行うというように、表示変更が行われた後に、更にその状態においてのみ認識される入力操作パターンを用意しておいてもよい。
【0080】
又、額に「ハートマーク」を描くと認識音が鳴って喜び状態に対応する画像表示変更を行わせることとし、先ず両目がハートの目になり、ハートの部分が左右交互に拡大及び縮小するものであり、徐々に変化が早くなり、所定の時間が経過すると、鼻から蒸気を噴出させ、更に所定の時間が経過すると、描き込み画像に移行させるなどして、時間と共に感情が移り変わっていくような画像表示変更を行わせてもよい。
【0081】
又、額に「星マーク」を描くと認識音が鳴って、その後の遊戯者の入力操作を敏感に反応する感激状態に移行させて、入力操作パターンを前述のものと異なるようにしてもよい。例えば、感激状態においては、額部分を軽く突いただけで怒り状態に移行したり、額部分を軽くなでただけで喜び状態に移行させるような画像表示変更を行わせてもよい。
【0082】
尚、前述した「怒りマーク」「ハートマーク」「星マーク」は、顔画像よりも薄い表示となるように液晶表示画素を駆動調整して所定の時間だけ遊戯者に薄く見えるように表示することにより、その操作が遊戯者の意図した入力操作であったかどうかを確認できるようにしてもよい。
【0083】
そして、図11に示した表示玩具1は、液晶表示面3及びタッチセンサー面4の縦幅及び横幅を約40mmとし、解像度を80ドット×80ドットとして形成したものであるため、表示される顔画像を滑らかに表現すると共に、液晶表示面3を手のひらサイズに形成することにより、筺体2も小型に形成することができるため、持ち運びに便利で様々な場所で操作をして楽しむことのできる表示玩具1として提供することができるものである。
【0084】
又、表示変更についても、前述の図8(b)に示した怒り状態における画像表示変更のように表示ドットを上下にずらす場合に限ることはなく、図11(c)に示したように、目のセンターラインCLを中心に左右にずらすこともある。これにより、前述と同様に遊戯者の描いた画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが怒ったように演出することができる。又、入力操作パターンによって、ずれる量が異なるような画像表示変更を行わせて、同一の感情表現を更に細分化して、同一の感情表現を様々に演出させることもできる。
【0085】
このように、入力操作パターンや画像表示変更パターンを様々に持たせることで、恰も表示玩具1が生きているかのように、感情を遊戯者の操作によって変化させることができるため、遊戯者が愛着を持って表示玩具1による遊戯や育成を楽しむことができる。
【0086】
そして、当該表示玩具1を、主制御手段50としたCPU55、ROM53、RAM52、及び、表示制御手段57と表示用メモリ51や入出力インターフェース56を取り付けた基板及び液晶表示面3と該液晶表示面3上に積層されるタッチセンサー面4を筺体2に組み込んだモジュールとして形成することもある。そして、このモジュールは、図12に示すように、筺体2の側面に付属品60を取り付け可能なモジュールとして形成され、筺体2の側面等に付属品60を取り付けることによって、人間、動物、物品等を模した形状に形成されるものである。
【0087】
図12(a)に示した表示玩具1は、前後面を平面とする略円柱形状として形成したモジュールであって、人間の胴体、腕、脚等を模した付属品60を筺体2の下側面に取り付けることで、人間であるヒーローのキャラクタを模した形状に形成したものである。又、図12(b)に示した表示玩具1は、前後面を平面とする略直方体形状として形成したモジュールであって、耳、胴体、腕、脚、尾等を模した付属品60を筺体2の下側面に取り付けることで、動物である猿のキャラクタを模した形状に形成したものである。更に、図12(c)に示した表示玩具1は、筺体2を略リング状に形成したモジュールであって、テーブル、引出、脚等を模した付属品60を筺体2の下側面に取り付けることで、物品である鏡台を模した形状に形成したものである。そして、それぞれの顔部分或いは鏡に対応する部分には、液晶表示面3及び透明のタッチセンサー面4が配置されている。
【0088】
このように、表示玩具1を、付属品60を取り付け可能なモジュールとして形成することで、同じ形状の表示玩具1であっても、様々な付属品60を取り付けることにより、人間や動物を模したものであれば当該キャラクタに様々なポーズをさせることができる。又、物品を模したものであって、例えば物品が鏡台であれば、表示玩具1に様々な形状のテーブル等を選択して様々な鏡台として形成することもできる。
【0089】
更に、時には人間を模したキャラクタとして、そして、付属品60を取り換えることにより、時には動物を模したキャラクタとして、或いは、物品を模した形状として、形成することが可能であるため、遊戯者が様々な態様を自ら創意工夫して楽しむこともできる。
【0090】
尚、付属品60を取り付けることなく、表示玩具1の筺体2自体を人間、動物、物品等を模した形状に形成することもある。
【0091】
このように、表示玩具1を付属品60を用いて、或いは用いずに、人間、動物、物品等を模した形状に形成することで、表示玩具1に特徴及び個性という付加価値を持たせることができると共に、遊戯者に当該表示玩具1が人間、或いは、動物であるというような認識を持たせることができる。これにより、好みの形状の表示玩具1を遊戯者が選ぶことができるため、より愛着を持って遊戯を楽しむことのできる表示玩具1として提供することができる。
【0092】
尚、液晶表示面3及びタッチセンサー面4は図12(a)、(b)に示したように、矩形状の場合のみに限らず、図12(c)に示したように、楕円形状に形成するなど様々な形状に形成することができるものである。
【0093】
そして、図13に示すように、当該表示玩具1を玩具70の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成することもある。本実施例においては、表示玩具1の筺体2を、製造及び組み込みの容易な直方体形状とし、当該表示玩具1を組み込む玩具70は、犬を模したプラスチック製の玩具であって、犬の顔部分に表示玩具1を着脱自在とする直方体空間が形成されているものである。
【0094】
このように、表示玩具1をモジュールとして、人形等の玩具70の顔部分に組み込むことができるように形成すれば、表示玩具1に対して比較的大きなぬいぐるみやプラスチック玩具などの様々な玩具に適用させることにより、その使用形態を拡張することのでき、幼児から大人まで楽しむことのできる表示玩具1として提供することもできる。
【0095】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施例に係る表示玩具の外観斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る表示玩具の機能回路ブロックを示す図。
【図3】本発明の実施例に係る表示玩具の主制御手段の処理の概略を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施例に係る表示玩具の表示変更規則の表を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る表示玩具の入力前後の状態を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示玩具の哀しみ状態における画像を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示玩具の哀しみ状態に対する表示領域を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る表示玩具の怒り状態における画像を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る表示玩具の喜び状態における画像を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る表示玩具の喜び状態に対する表示領域を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る表示玩具の怒り状態における画像を示す図。
【図12】本発明の実施例に係る表示玩具をモジュールとして付属品を取り付けた状態を示す図。
【図13】本発明の実施例に係る表示玩具をモジュールとして玩具に組み込んだ状態を示す図。
【符号の説明】
【0097】
1 表示玩具 2 筺体
3 液晶表示面 4 タッチセンサー面
E 「目」エリア E1 表示変更後「目」エリア
E2 表示変更後「目」エリア
N 「鼻」エリア N2 表示変更後「鼻」エリア
M 「口」エリア M2 表示変更後「口」エリア
Ma 第1エリア Mb 第2エリア
Mc 第3エリア
50 主制御手段 51 表示用メモリ(VRAM)
52 RAM 53 ROM
54 タイマ 55 CPU
56 入出力インターフェース 57 表示制御手段
60 付属品
70 玩具
A 要素群 A1 表示変更後要素群
A2 表示変更後要素群 B 表示領域
B1 表示変更後表示領域
CL センターライン CP 中心点
D 除外領域 X 境界線
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯者がタッチセンサー面に所定の入力操作をすることにより、表示画面上に表示されるキャラクタの顔画像の態様を変化させる表示玩具に関し、特に、キャラクタの顔画像の態様の変化を、遊戯者の描いた目、鼻、口等の図柄より形成される顔画像を基に行うことで、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出する表示玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示玩具としては、手のひらサイズの筺体に液晶表示面と操作キーを設け、遊戯者の操作によりキャラクタを動作させ、又は育成するようなものがある。しかしながら、このようなゲームは、操作キーの選択のみでゲームが進行するため、操作の自由度が制限されていた。
【0003】
そこで、遊戯者が自由な操作感覚でゲームを楽しむことのできる表示玩具として、例えば、特開2005−193006号公報(特許文献1)では、タッチセンサー面に覆われた第2の表示画面に表示された画像に対してタッチペン等によって入力の変化を与える表示玩具のゲームプログラムに関する提案がされている。
【0004】
この発明は、遊戯者の入力に応じてその表示態様が変化するキャラクタを含んだ影像を第1の表示画面に表示すると共に、キャラクタの顔画像を第2の表示画面に表示するものである。そして、タッチセンサー面に対して与えられる入力を一定時間間隔で検出し、当該入力の変化が検出されている間の当該タッチセンサー面上の位置座標を検出することによって入力の変化を検出し、検出された入力がキャラクタの顔画像に対するものであるとき、入力の変化に最も近い入力パターンを予め用意されている入力パターン群の中から抽出し、抽出された入力パラメータの種類及び当該入力パターンが繰り返された回数に応じて、キャラクタに関連付けられて記憶されている感情情報を変化させ、変化後の感情情報に基づいてキャラクタの表示態様を変化させるものである。
【0005】
この発明においては、入力の変化に応じてキャラクタの感情情報を変化させ、当該感情情報に応じて表示態様を変化させるので、遊戯者の入力の仕方によってキャラクタの表示態様を変化させることができる。その結果、従来のように単なる操作キーの選択だけでは表現できなかった自由な操作感覚の表示玩具を提供することができる。
【特許文献1】特開2005−193006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明は、タッチセンサー面で覆われた第2の表示画面に表示される画像に対する入力の変化に応じて第1の表示画面及び第2の表示画面に表示されるキャラクタを含む影像及びキャラクタの顔画像を変化させることができるも、キャラクタ等の画像は予め用意されていたものであるため、キャラクタ自身を遊戯者が作成することができないといった問題点があった。
【0007】
又、遊戯者の入力により感情情報を変化させることにより表示態様を変化させる場合も、予め用意された画像を読みだすことにより、喜び、怒り、哀しみ等の感情表現をさせるものであるため、その変化した画像は遊戯者に依存すること無く一定であり、遊戯者特有の変化をさせることができないといった問題点もあった。
【0008】
又、従来技術において、表示画像の変化態様に幅を持たせるためには、予め画像データ及び画像データの選択、変形、配置等のルールを数多く用意しておくことにより対応は可能であるが、その場合、複雑な命令を瞬時に処理するために、高性能且つ高価なCPU等を含む制御手段を搭載する必要があり、表示玩具のコストアップを誘発するといった問題点もある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、遊戯者が自由に目、鼻、口等の図柄を描くことができ、その図柄より形成された顔画像に対して感情的な動作を模した操作をすることにより、その顔画像を基に表情を変化させて喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出することのできる表示玩具であって、遊戯者に新鮮な驚きや知的興奮を与えると共に、制御系をシンプルな構成とすることにより、安価で子供でも扱い易い表示玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る表示玩具は、液晶表示面と、前記液晶表示面上に配置された透明タッチセンサー面と、少なくとも液晶表示面を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリと、表示制御手段と、を備え、前記タッチセンサー面に対し、遊戯初期画面において、左右の目を描く領域と、鼻を描く領域と、口を描く領域と、が設定されており、前記領域のそれぞれに目、鼻、口を手書きしたとき、手書きされた位置におけるタッチセンサー面の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する前記液晶表示面を構成する液晶表示画素を前記表示制御手段により駆動することによって手書きに対応する目、鼻、口の画像を表示し、前記手書きに対応する目、鼻、口の画像が表示されているときに、前記透明タッチセンサー面に対し所定の入力操作を行ったとき、前記遊戯初期画面で前記手書きに対応して表示された目、鼻、口のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、前記領域の少なくとも一つに対し、当該領域全体を拡大し、縮小し、或いは傾ける等の表示変更を行う主制御手段を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出するものである。
【0011】
そして、前記液晶表示面は手のひらサイズで形成されているものである。
【0012】
又、表示玩具が、付属品を取り付け可能、或いは、玩具の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成されることもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊戯者が自由に目、鼻、口等の図柄を描くことができ、その図柄より形成された顔画像に対して感情的な動作を模した操作をすることにより、その顔画像を基に表情を変化させて喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出することのできる表示玩具であって、遊戯者に新鮮な驚きや知的興奮を与えると共に、制御系をシンプルな構成とすることにより、安価で子供でも扱い易い表示玩具を提供することができるものである。
【0014】
又、画像を表示する液晶表示面を手のひらサイズに形成することにより、筺体も小型に形成することができるため、持ち運びに便利で様々な場所で操作をして楽しむことのできる表示玩具を提供することができる。
【0015】
更に、当該表示玩具をモジュールとして、人形等の玩具の顔部分に組み込むことができるように形成すれば、ぬいぐるみやプラスチック玩具等の様々な玩具に適用させることにより、その使用形態を拡張することができ、幼児から大人まで楽しむことのできる表示玩具として提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態の表示玩具1は、筺体2と、筺体2の前面に配置された手のひらサイズの液晶表示面3と、液晶表示面3上に配置された透明タッチセンサー面4と、少なくとも液晶表示面3を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリ51と、表示制御手段57と、を備え、タッチセンサー面4に対し、遊戯初期画面において、左右の目を描く領域と、鼻を描く領域と、口を描く領域と、が設定されており、前記領域のそれぞれに目、鼻、口を手書きしたとき、手書きされた位置におけるタッチセンサー面4の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する液晶表示面3を構成する液晶表示画素を表示制御手段57により駆動し、手書きされた目、鼻、口に対応する目、鼻、口の画像を表示させ、手書きされた目、鼻、口に対応する目、鼻、口の画像が表示されているときに、透明タッチセンサー面4に対し所定の入力操作を行ったとき、遊戯初期画面で手書きされた目及び鼻に対応した目及び鼻のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、目を描く領域全体を拡大し、或いは傾ける等の表示変更を行うとともに、口を描く領域の表示画像を予め用意した画像と差換える表示変更を行う主制御手段50を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出するものである。
【0017】
そして、当該表示玩具1を、付属品60を取り付け可能なモジュールとして形成し、筺体2の側面等に付属品60を取り付けることによって、人間、動物、物品等を模した形状に形成することもある。
【0018】
又、筺体2を直方体形状に形成し、表示玩具1を玩具70の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成することもある。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明に係る表示玩具1は、図1に示すように、直方体形状の筺体2と、該筺体2の前面に配置された液晶表示面3と、該液晶表示面3上に配置された透明のタッチセンサー面4とを備え、少なくとも液晶表示面3を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリと、液晶表示画素を駆動制御する表示制御手段と、を筺体2の内部に備えるものである。
【0020】
液晶表示面3は、液晶表示画素がマトリックス状に配置されて形成されるものであって、該液晶表示面3上に積層した透明のタッチセンサー面4に遊戯者がタッチペンや爪先等で手書きした目、鼻、口等を画像として表示するものであり、又、該画像が表示されているときにタッチセンサー面4に対し所定の入力操作を行うことによって様々に変化する顔画像を表示するものである。
【0021】
尚、顔画像を適切に表示変更させるために、液晶表示面3の解像度は32×32ドット以上とすることが好ましく、より好ましくは80ドット×80ドット程度の解像度で、ドットの縦幅及び横幅を約0.4mm、液晶表示面の縦幅及び横幅を約40mmとして構成することにより、表示される顔画像を滑らかに表現すると共に持ち運びに便利な手のひらサイズの表示玩具1を提供することができる。
【0022】
タッチセンサー面4は、反応検出用の入力装置として用いられるものであり、後述する表示用メモリの座標系に対応する座標系を有し、タッチペン等によって手書きされた目、鼻、口等の図柄に対応する位置を検出するものである。このタッチセンサー面4は、抵抗膜式、光学式、静電容量式、超音波式などの各種方式を採用することができるが、表示玩具1のコストを抑えるために、比較的安価な抵抗膜式を採用することが好ましい。
【0023】
図2は、本発明に係る表示玩具1の機能回路ブロックを示す図である。図2に示すように、表示玩具1の制御系は、入出力インターフェース56、並びに、主制御手段50としてCPU(Central Processing Unit)55、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)52、並びに、表示制御手段57及び表示用メモリ(VRAM)51、並びに、タイマ54等によって構成されており、遊戯者による入力操作の検出、座標情報の記録や液晶表示画素の駆動制御等の各種データ処理及び制御を、主制御手段50及び表示制御手段57により行うものである。
【0024】
この主制御手段50を構成するCPU55、ROM53、及びRAM52はシステムバス(SB)を介して相互に接続されており、CPU55は、ROM53に記憶されているプログラムにしたがって各種の処理を実行するものである。そして、RAM52は、データ処理に使用されるものであって、CPU55の演算結果等のデータを一次的に記憶するものである。
【0025】
又、システムバス(SB)には、タッチセンサー面4とCPU55との間のデータの受け渡しを実行する回路である入出力インターフェース56が接続されている。この入出力インターフェース56は、該入出力インターフェース56に接続されるタッチセンサー面4により検出された情報を、システムバス(SB)を介してCPU55に提供するものである。
【0026】
更に、システムバス(SB)には、表示制御手段57が接続されている。この表示制御手段57は、液晶表示面(LCD)3、並びに、液晶表示面3を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリ51が接続されており、CPU55からの指示に応じて描画されたことを表す情報を表示用メモリ51に記録し、記録した情報に対応する液晶表示画素を駆動して画像を液晶表示面3に表示させるものである。
【0027】
図3は本発明に係る表示玩具1の主制御手段50の処理の概略を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて主制御手段50の処理の概略を説明する。表示玩具1は、遊戯者がタッチセンサー面4に触れる或いはタッチセンサー面4とは別に設けられた電源スイッチをONすることにより、表示玩具1の電源がON状態となり(ステップS1)、タッチセンサー面4における手書き入力検出を開始する(ステップS2)。そして、遊戯者がタッチセンサー面4にタッチペン等で次々に目、鼻、口等の図柄を描くと、描画されたことを表す情報が入出力インターフェース56を介して座標情報として検出され(ステップS3〜ステップS5)、タッチセンサー面4の座標系に対応する座標系を有する表示用メモリ51のセル要素に記録される(ステップS6)。
【0028】
そして、表示制御手段57により、表示用メモリ51のセル要素に記録された座標情報に対応する液晶表示画素を駆動して、液晶表示面3に目、鼻、口等の描き込み画像を表示する(ステップS7)。この描き込み画像は、遊戯者が目、鼻、口等をタッチセンサー面4に描くことにより、手書きにより描かれた図柄部分の座標位置に対応する液晶表示画素が駆動されることにより、手書きに対応した目、鼻、口等の画像が液晶表示面3に形成されるものである。
【0029】
そして、一旦入力が検出された後、予め定めた所定の時間内に遊戯者からの入力を検出できないときは、手書き入力検出を終了し(ステップS8〜ステップS11)、入力操作パターンの検出を開始する(ステップS12)。尚、予め「手書き入力終了」ボタンを液晶表示面3に表示しておき、遊戯者が該ボタンを入力操作することにより、タイマ54を用いずに手書き入力検出を終了して入力操作パターンの検出開始状態に移行させてもよい。又、手書き入力終了ボタンの他に、手書き入力をやり直す「やり直し」ボタンを表示しておいて、該ボタンが入力操作された際は、遊戯者の描いた図柄を非表示として、再度初めからゲームを開始できるようにしてもよい。
【0030】
入力操作パターンの検出を開始(ステップS12)した後、遊戯者が所定の入力操作を行うと、図4に示す表示変更規則に基づき画像表示変更パターンが選択される(ステップS13〜ステップS15)。この表示変更規則については後述する。一の表示変更パターンが選択されると、主制御手段50は描き込み画像の座標情報をRAM52に記憶した後、該表示変更パターンに対応した演算処理を実行し、描き込み画像を変換するように表示する画像の座標を決定するものである(ステップS16)。この演算処理による新座標は、表示用メモリ51のセル要素に記録され(ステップS17)、表示制御手段57により、当該座標情報に該当する液晶表示画素が駆動され、液晶表示面3には当該表示変更後の画像を表示することができる(ステップS18)。
【0031】
そして、遊戯者の入力操作が、所定の時間内に行われなければ、表示変更後の画像に換えて描き込み画像を再表示する(ステップS19〜ステップS21)。更に、所定の時間内に遊戯者の入力操作を検出しない場合は、入力操作パターンの検出を終了すると共に電源をOFF状態とする(ステップS22〜ステップS24)。以上が、主制御手段50による処理の概略である。
【0032】
次に、本発明に係る表示玩具1の液晶表示面3及びタッチセンサー面4を示す図5〜図10により、ゲームの進行と共に主制御手段50による画像の表示変更の詳細について説明する。
【0033】
図5(a)は入力前の表示玩具1の液晶表示面3及びタッチセンサー面4を示す図であり、図5(b)は入力後の表示玩具1の液晶表示面3及びタッチセンサー面4を示す図である。尚、本実施例においては、液晶表示面3の解像度を32ドット×32ドットとした。図5(a)に示したように、タッチセンサー面4は、遊戯者の入力操作前である遊戯初期画面において、左右の目を描く領域である「目」エリアEと、鼻を描く領域である「鼻」エリアNと、口を描く領域である「口」エリアMが予め設定されているものである。
【0034】
そして、この「口」エリアMは、更に3つの領域に区分され、中央に位置する第1エリアMa及び両端に位置する第2エリアMb及び第3エリアMcが設定されている。又、図には各領域の境界線Xを実線により示しているが、この境界線Xは実際に画面上に表示等により表わされているものではない。即ち、遊戯初期状態における液晶表示面3である遊戯初期画面には何も画像が表示されていない。
【0035】
尚、初めて遊ぶ遊戯者のために、遊戯初期画面において所定の目、鼻、口等をガイド画像として、液晶表示画素を高速で駆動して表示/非表示を切換えることにより、遊戯者に薄く見えるように表示させておいてもよい。この場合、遊戯者の描いた図柄は濃く表示することにより形成される顔画像を明確に表示し、手書き入力が終了した際にガイド画像を非表示とするものである。そして、ガイド画像は遊戯初期画面において、遊戯者によって任意に表示、非表示を選択できるようにしておくことが好ましい。
【0036】
この初期状態におけるタッチセンサー面4に設定されている「目」エリアEと、「鼻」エリアNと、「口」エリアMのそれぞれの領域に、遊戯者がタッチペン等により、目、鼻、口等の図柄を手書きしたとき、手書きされた位置の座標に対応する表示用メモリ51のセル要素に、タッチセンサー面4上に図柄が描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する液晶表示面3を構成する液晶表示画素を駆動し、図5(b)に示したように、手書きされた目、鼻、口等の画像である描き込み画像を表示する。
【0037】
そして、この表示玩具1は、描き込み画像である目、鼻、口の画像が表示されているとき、タッチセンサー面4に対し所定の入力操作を行ったとき、遊戯初期画面で手書きされた目、鼻、口等の図柄のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、「目」エリアE、「鼻」エリアN、「口」エリアMの少なくとも一つ或いは全てに対し、各領域全体を拡大し、縮小し、或いは傾ける等の表示変更を行う主制御手段50を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出するものである。
【0038】
この表示変更は、入力操作と予め定めた表示変更規則にしたがって、記録された座標位置の情報を他の座標位置に移すなどして描き込み画像を非表示とし、新たな画像を表示するものである。これにより表示状態にある液晶表示画素である表示ドットを上下或いは左右にずらす表示変更が可能となる。尚、「目」エリアE、「鼻」エリアN、「口」エリアMの全てにおいて描き込み画像の座標情報を基に表示変更を実施する必要はなく、図4に示したように、表示ドットの移動による表示変更に加え、予め備えている画像と描き込み画像を差換えたり、予め備えている画像を追加表示するという表示変更を採用してもよい。
【0039】
本実施例においては、目、鼻、口の中で特に感情表現に大きな寄与のある目に着目し、「目」エリアEの画像に対し、拡大、或いは傾ける等の表示変更を行うこととし、次いで感情表現に寄与のある口に対しては、「口」エリアMである第1乃至第3エリアMa〜Mcの何れかに描かれたかにより、「大」「小」の2つに分類して、分類毎の感情表現に対応する予め備えた画像を口の描き込み画像と差換えることとし、感情表現に寄与の小さい鼻に対しては、感情表現を演出する場合においても基本的には描き込み画像の鼻をそのまま表示することとした。これにより、制御系の性能を抑えることができるため、より安価な表示玩具1を提供できる。
【0040】
以下、図4に示した本実施例に係る表示玩具1の表示変更規則を、各感情状態における画像を表示させるための入力操作と表示変更後の状態とを合せて詳説する。
【0041】
哀しみの感情表現に対応する表示変更の規則については、図6(a)に示すように、表示されている描き込み画像の目の表示画像を遊戯者がタッチペン等で一度突くと第一の哀しみ状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図示しない第一の哀しみ状態に対応する画像を表示し、そして、目の表示画像を二度突くと第二の哀しみ状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図6(b)に示す第二の哀しみ状態に対応する画像を表示し、又、目の表示画像を三度突くと第三の哀しみ状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図6(c)に示す第三の哀しみ状態に対応する画像を表示するものとする。
【0042】
第一の哀しみ状態における「目」エリアEに表示される画像については、当該表示変更パターンが選択されると、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に、センターラインCLの左右方向を傾斜させるように表示状態にある液晶表示画素である表示ドットを上下にずらすことで、図6(b)に示したように、キャラクタの目が垂れ下がったような表示をさせることとする。
【0043】
即ち、この表示変更は、目の画像を表示する領域が、図7(a)に示す「目」エリアEから図7(b)に示す表示変更後「目」エリアE1となるように、「目」エリアEにおける各要素における表示/非表示情報を、センターラインCLを中心に、当該要素と同一或いは異なる上下方向の要素に移すことにより、表示状態にある液晶表示画素である表示ドットを上下にずらすものである。
【0044】
尚、本実施例においては、傾斜角度が15°程度の緩やかな傾斜となるように4列毎に一行ずつずれるようにした。したがって、センターラインCL近傍の表示ドットはずれること無く同位置に留まり、表示玩具1の中心側に行くほど上方にずれ、外側に行くほど下方にずれることとなる。
【0045】
したがって、「目」エリアEの描き込み画像が、図7(a)に示すように5行8列の表示ドットの集合体である要素群Aから構成されているものとすれば、表示変更によって、センターラインCLの左右2列(計4列)の要素群の液晶表示画素を表示状態とするという情報は他の座標位置に移ること無く同座標位置における情報とし、表示玩具1の中心側の2列の要素群の情報は1行上の座標位置に移り、外側の2列の要素群の情報は1行下の座標位置に移るため、表示変更後に表示駆動される液晶表示画素の集合体は表示変更後要素群A1となるように傾けた表示変更とすることができる。
【0046】
この表示ドットをずらす処理や表示ドットの移動の処理は、表示用メモリ(VRAM)51上に展開される画像情報の表示位置を指定する座標情報を変更することにより、これに対応して表示制御手段57により表示駆動される液晶表示面3のドット位置が変更されるものである。
【0047】
そして、表示変更後「目」エリアE1において、液晶表示面3外へはみ出た部分である除外領域Dについては表示するものでなく、「口」エリアMへはみ出た部分である除外領域Dについては、「口」エリアMに表示される画像を優先して表示することとした。即ち、この表示変更によって、液晶表示面3外の座標位置へ移る表示画像情報は消去されることとなり、「口」エリアMの座標位置へ移る表示画像情報は、「口」の表示画像と重ならない場合は残すようにするものである。もっとも、「口」エリアMに移る表示画像情報も全て消去することもある。
【0048】
そして、「口」エリアMに表示される画像については、図6(a)に示したように、第1エリアMaの中にのみに口が描かれ、その描かれた部分の座標位置に対応する液晶表示画素が描き込み画像として表示されている。この場合、表示玩具1は描かれた口を「小」と認識して、表示変更パターンを決定する。「小」と認識されたときの、第一の哀しみ状態を表す口は、予め備えた画像データから表示変更規則にしたがって選択され、図6(b)に示したように、描き込み画像の換わりに、小さな「へ」の字口の画像が差し換えられて表示される。
【0049】
尚、口の「大」「小」の認識規則は、遊戯者によって、「口」エリアMの第1エリアMaのみに手書きされた場合、第1エリアMa及び第2エリアMb若しくは第3エリアMcに手書きされた場合に「小」と認知し、第1エリアMa及び第2エリアMb及び第3エリアMcに手書きされた場合に「大」と認知し、第2エリアMbのみ或いは第3エリアMcのみに手書きされたときは、該領域を表示状態とはせず、再度遊戯者に手書きするように促すこととした。
【0050】
このように、描き込み画像の座標情報に基づく表示変更を行わせることで、遊戯者の描き込み画像に対する目を突くような操作により、その顔画像を基に表情を変化させて、哀しみの感情表現を演出することができる。
【0051】
又、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に上下に表示ドットをずらしているため、目の画像は表示変更により表示態様が変わるも、目の中心位置は変わること無く、目を表示する画像の相対的位置を維持することができる。これにより、遊戯者の描いた描き込み画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが哀しんだように演出することができる。
【0052】
そして、「目」エリアEの表示ドットのずれる量については、数列毎に1行ずつずれるようにして表示画像を傾斜させる場合に限ることは無く、1列毎に数行ずつずれるようにしてもよく、又、ずれる量を数列毎に異なるものとしてもよい。
【0053】
又、図6(b)に示したように、第一の哀しみ状態に加えて、予め備えた「涙」などの画像を合せて表示させ、第二の哀しみ状態として、哀しみの表現をより豊かにすることができる。
【0054】
そして、第三の哀しみ状態における表示画像については、当該表示変更パターンが選択されると、第二の哀しみ状態における所定の表示ドットを左右方向にずらして、図6(c)に示したように、キャラクタの顔が哀しみでしわくちゃになったような表示をさせることとする。
【0055】
即ち、この表示変更は、表示領域を図7(c)に示した表示変更後「目」、「鼻」、「口」エリアE2、N2、M2となるように、表示ドットを1行毎に左右方向にずれる行とずれない行を交互に、且つ、左右方向にずれる行は、交互に左右にずれるようにするものである。尚、液晶表示面3外へはみ出た部分については前述と同様に除外領域Dとする。
【0056】
したがって、図7(b)に示した表示変更後要素群A1は、図7(c)に示すように1行目の要素群の液晶表示画素を表示状態とするという情報は他の座標位置に移ること無く同座標位置における情報とし、2行目の要素群の情報は液晶表示面3を正面から見て1列右の座標位置に移り、3行目は同座標位置に、4行目は左の座標位置に移るため、表示変更後に表示駆動される液晶表示画素の集合体は表示変更後要素群A2となる。
【0057】
この表示変更により、顔画像がしわくちゃになったような表示をさせることができるため、哀しみの感情表現を高めて演出することができる。又、表示ドットを左右交互にずらすようにしているため、第二の哀しみ状態の画像に対して、目、鼻、口を表示する画像の相対的位置は変わること無く維持されることとなる。
【0058】
そして、怒りの感情表現に対応する表示変更の規則については、図8(a)に示すように、表示されている描き込み画像の目の表示画像以外の「目」エリアEをタッチペン等で一度突くと第一の怒り状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図示しない第一の怒り状態に対応する画像を表示し、そして、同様に「目」エリアEを二度突くと第二の怒り状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図8(b)に示す第二の怒り状態に対応する画像を表示し、又、三度突くと第三の怒り状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図8(c)に示す第三の怒り状態に対応する画像を表示するものとする。
【0059】
そして、第一の怒り状態の表示変更パターンが選択されると、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に前述の第一の哀しみ状態への表示変更とは逆に両目の外側を上方にずらすように表示ドットを上下にずらす傾斜変更を行うこととすれば、図8(b)に示したようにキャラクタの目がつり上がったような表示をさせる傾けた表示変更となり、怒りの感情表現を演出することができる。
【0060】
尚、この表示ドットをずらす処理も、表示用メモリ51上に展開される画像情報の表示位置を指定する座標情報を変更することにより、迅速且つ容易に行うことができる。
【0061】
又、「口」エリアMに表示される画像については、図8(a)に示したように、第1エリアMa及び第2エリアMb及び第3エリアMcに口が描かれ、その描かれた部分の座標位置に対応する液晶表示画素が描き込み画像として表示されている。この場合、描かれた口は「大」と認識して、表示変更パターンを決定する。「大」と認識されたときの、第一の怒り状態を表す口は、予め備えた画像データから表示変更規則にしたがって選択され、図8(b)に示したように、描き込み画像の換わりに、大きな「へ」の字口の画像が差し換えられて表示される。
【0062】
このように、描き込み画像の座標情報に基づく表示変更を行わせることで、遊戯者の描き込み画像に対する額等を突くような操作により、その顔画像を基に表情を変化させて、怒りの感情表現を演出することができる。
【0063】
そして、第一の怒り状態に加えて、予め備えた浮き出た血管を表現する「怒りマーク」の画像を合せて追加表示させる表示変更により第二の怒り状態を表示し、更に「鼻息」の画像を追加表示する表示変更により第三の怒り状態を表示するなどして、怒りの表現をより豊かにすることができる。
【0064】
又、前述の第一の哀しみ状態への表示変更と同様に、「目」エリアEのセンターラインCLを中心に上下に表示ドットをずらしているため、目を表示する液晶表示画素は表示変更により表示態様が変わるも、目の中心位置は変わること無く、目を表示する画像の相対的位置を維持することができる。これにより、遊戯者の描いた描き込み画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが怒ったように演出することができる。
【0065】
そして、喜びの感情表現に対応する表示変更の規則については、図9(a)に示すように、「目」エリアEにおいてタッチペン等でなでるように直線或いは曲線を一度描くように操作すると第一の喜び状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図9(b)に示す第一の喜び状態に対応する画像を表示し、二度なでると、第二の喜び状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図示しない第二の喜び状態に対応する画像を表示し、三度なでると第三の喜び状態に対応する画像表示変更パターンが選択され図9(c)に示す第三の喜び状態を表示するものとする。
【0066】
そして、第一の喜び状態における「目」エリアEに表示される画像については、当該表示変更パターンが選択されると、「目」エリアEの描き込み画像の情報より目の中心点CPを判別し、中心点CPを中心に「目」エリアEの表示領域を上下に1.5倍、左右に1.2倍となるように拡大することにより、図9(b)に示したように、キャラクタの目が見開いたような表示をさせることとする。
【0067】
即ち、この拡大表示変更は、目の画像を表示する領域を、図10(a)に示す「目」エリアEから図10(b)に示す表示変更後「目」エリアE1となるように、拡大するものである。
【0068】
したがって、図10(a)に示す描き込み画像を構成する液晶表示画素の一部分である4行5列から成る要素群Aの表示領域Bに着目すれば、図10(b)に示すように要素群Aの表示領域Bを、中心点CPを中心に上下に1.5倍、左右に1.2倍に拡大した表示変更後表示領域B1が形成される。
【0069】
そして、図10(c)に示すように、この表示変更後表示領域B1内の要素群を表示変更後要素群A1として、この要素群A1の液晶表示画素を表示状態とする。これにより、描き込み画像が拡大したかのように見えることとなる。尚、拡大された表示領域が液晶表示面3外、及び「口」エリアMへはみ出る部分については前述と同様に除外領域Dとした。
【0070】
そして、「口」エリアMに表示される画像については、図9(a)に示したように、第1エリアMaの中にのみに口が描かれ、その描かれた部分の座標位置に対応する液晶表示画素が描き込み画像として表示されているため、描かれた口は「小」と認識して、第一の喜び状態を表す口が選択され、図9(b)に示したように、描き込み画像の換わりに、「小さな開いた口」の画像が差し換えられて表示される。
【0071】
このように、描き込み画像の座標情報に基づく表示変更を行わせることで、遊戯者の描き込み画像に対する額をなでるような操作により、その顔画像を基に表情を変化させて、喜びの感情表現を演出することができる。
【0072】
そして、「目」エリアEに書き込まれた目の中心点CPを判別し、中心点CPを中心に拡大させることにより、目の画像の位置を、表示変更が行われた際にも相対的に位置が変わることの無いようにすることができる。これにより、遊戯者の描いた描き込み画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが喜んだように演出することができる。
【0073】
尚、描き込み画像と拡大画像を交互に表示させて、驚きの感情表現を演出してもよい。このとき、中心点CPを中心に上下に2倍、左右に1.5倍となるように「目」エリアEを拡大させることが好ましい。又、中心点CPを中心に縮小の表示変更を行わせて、驚きあきれ返った表情を演出してもよい。
【0074】
そして、第二の喜び状態の表示変更については、第一の喜び状態の表示画像に「鼻息」画像を追加表示させ、第三の喜び状態の表示変更については、「目」エリアEに「ハートマーク」の画像を差し換えて表示することとして、喜びの強さを高める効果を持たせることとした。
【0075】
以上説明した本実施例に係る表示玩具1により、遊戯者は、表示玩具1のタッチセンサー面4に対し、自由に目、鼻、口等の図柄を描くことができ、その図柄の座標情報に基づき液晶表示画面3に表示された顔画像に対して感情的な動作を模した操作をすることにより、その顔画像を基に表情を変化させて喜び、怒り、哀しみ、驚き等の感情表現を演出することのできる表示玩具1であって、遊戯者に新鮮な驚きや知的興奮を与えることができるものである。更に、本実施例に係る表示玩具1に内蔵されるCPU55は、8bit或いは16bitのA/D4ch内臓タイプのような安価なもので実現可能であるため、制御系をシンプルな構成とすることができ、安価で子供でも扱い易い表示玩具1として提供することができるものである。
【0076】
尚、本実施例における入力操作パターン及び画像表示変更パターンは図4に示した10パターンとしたが、パターンの内容を様々に変更させる、パターン数を拡張するなどにより、感情表現をより豊かにしてもよく、又、より安価な表示玩具1を提供するために厳選した感情表現パターンのみ残してパターン数を減らしてもよい。
【0077】
そして、遊戯者の入力操作によって、各種の操作が行われた回数等により、各種ステータス値を変更すると共に記憶させて、所定のステータス値が一定の値に達した時に通常とは異なるゲームを行えるようなイベントを発生させるようにしてもよい。更に、表示玩具1に音源及び音源回路を備えて、画像表示変更や、遊戯者の入力操作に合わせて、拡声放音させてもよい。
【0078】
例えば、図11(a)に示す描き込み画像が表示されている状態において、図11(b)に示すように、遊戯者が顔の額部分に「怒りマーク」を描くという入力操作を行うと、操作時に操作を認識したことを示す認識音を鳴らし、その後に図11(c)に示す怒り状態に対応する画像表示変更を行い、変更と共に「ぷんっ、ぷんっ」という音を鳴らすこととしてもよい。即ち、入力操作パターンを、単に画面上を突いたり、一曲線或いは一直線を描いたりする場合に限ることなく、予め複数の入力操作パターンを用意しておき、遊戯者の入力操作により記憶される座標情報群に最も近いパターンを選択して、画像表示変更を行わせてもよい。
【0079】
そして、目の下に「涙マーク」を描くと認識音が鳴って哀しみ状態の画像表示変更を行い、変更と共に「ぐすっ、ぐすっ」という音を鳴らすこととする。又、哀しみ状態のときに、顔の額部分をなでると、認識音を鳴らして泣きやむ状態の画像表示変更を行うというように、表示変更が行われた後に、更にその状態においてのみ認識される入力操作パターンを用意しておいてもよい。
【0080】
又、額に「ハートマーク」を描くと認識音が鳴って喜び状態に対応する画像表示変更を行わせることとし、先ず両目がハートの目になり、ハートの部分が左右交互に拡大及び縮小するものであり、徐々に変化が早くなり、所定の時間が経過すると、鼻から蒸気を噴出させ、更に所定の時間が経過すると、描き込み画像に移行させるなどして、時間と共に感情が移り変わっていくような画像表示変更を行わせてもよい。
【0081】
又、額に「星マーク」を描くと認識音が鳴って、その後の遊戯者の入力操作を敏感に反応する感激状態に移行させて、入力操作パターンを前述のものと異なるようにしてもよい。例えば、感激状態においては、額部分を軽く突いただけで怒り状態に移行したり、額部分を軽くなでただけで喜び状態に移行させるような画像表示変更を行わせてもよい。
【0082】
尚、前述した「怒りマーク」「ハートマーク」「星マーク」は、顔画像よりも薄い表示となるように液晶表示画素を駆動調整して所定の時間だけ遊戯者に薄く見えるように表示することにより、その操作が遊戯者の意図した入力操作であったかどうかを確認できるようにしてもよい。
【0083】
そして、図11に示した表示玩具1は、液晶表示面3及びタッチセンサー面4の縦幅及び横幅を約40mmとし、解像度を80ドット×80ドットとして形成したものであるため、表示される顔画像を滑らかに表現すると共に、液晶表示面3を手のひらサイズに形成することにより、筺体2も小型に形成することができるため、持ち運びに便利で様々な場所で操作をして楽しむことのできる表示玩具1として提供することができるものである。
【0084】
又、表示変更についても、前述の図8(b)に示した怒り状態における画像表示変更のように表示ドットを上下にずらす場合に限ることはなく、図11(c)に示したように、目のセンターラインCLを中心に左右にずらすこともある。これにより、前述と同様に遊戯者の描いた画像の特性を保つことができ、遊戯者の作成したキャラクタが怒ったように演出することができる。又、入力操作パターンによって、ずれる量が異なるような画像表示変更を行わせて、同一の感情表現を更に細分化して、同一の感情表現を様々に演出させることもできる。
【0085】
このように、入力操作パターンや画像表示変更パターンを様々に持たせることで、恰も表示玩具1が生きているかのように、感情を遊戯者の操作によって変化させることができるため、遊戯者が愛着を持って表示玩具1による遊戯や育成を楽しむことができる。
【0086】
そして、当該表示玩具1を、主制御手段50としたCPU55、ROM53、RAM52、及び、表示制御手段57と表示用メモリ51や入出力インターフェース56を取り付けた基板及び液晶表示面3と該液晶表示面3上に積層されるタッチセンサー面4を筺体2に組み込んだモジュールとして形成することもある。そして、このモジュールは、図12に示すように、筺体2の側面に付属品60を取り付け可能なモジュールとして形成され、筺体2の側面等に付属品60を取り付けることによって、人間、動物、物品等を模した形状に形成されるものである。
【0087】
図12(a)に示した表示玩具1は、前後面を平面とする略円柱形状として形成したモジュールであって、人間の胴体、腕、脚等を模した付属品60を筺体2の下側面に取り付けることで、人間であるヒーローのキャラクタを模した形状に形成したものである。又、図12(b)に示した表示玩具1は、前後面を平面とする略直方体形状として形成したモジュールであって、耳、胴体、腕、脚、尾等を模した付属品60を筺体2の下側面に取り付けることで、動物である猿のキャラクタを模した形状に形成したものである。更に、図12(c)に示した表示玩具1は、筺体2を略リング状に形成したモジュールであって、テーブル、引出、脚等を模した付属品60を筺体2の下側面に取り付けることで、物品である鏡台を模した形状に形成したものである。そして、それぞれの顔部分或いは鏡に対応する部分には、液晶表示面3及び透明のタッチセンサー面4が配置されている。
【0088】
このように、表示玩具1を、付属品60を取り付け可能なモジュールとして形成することで、同じ形状の表示玩具1であっても、様々な付属品60を取り付けることにより、人間や動物を模したものであれば当該キャラクタに様々なポーズをさせることができる。又、物品を模したものであって、例えば物品が鏡台であれば、表示玩具1に様々な形状のテーブル等を選択して様々な鏡台として形成することもできる。
【0089】
更に、時には人間を模したキャラクタとして、そして、付属品60を取り換えることにより、時には動物を模したキャラクタとして、或いは、物品を模した形状として、形成することが可能であるため、遊戯者が様々な態様を自ら創意工夫して楽しむこともできる。
【0090】
尚、付属品60を取り付けることなく、表示玩具1の筺体2自体を人間、動物、物品等を模した形状に形成することもある。
【0091】
このように、表示玩具1を付属品60を用いて、或いは用いずに、人間、動物、物品等を模した形状に形成することで、表示玩具1に特徴及び個性という付加価値を持たせることができると共に、遊戯者に当該表示玩具1が人間、或いは、動物であるというような認識を持たせることができる。これにより、好みの形状の表示玩具1を遊戯者が選ぶことができるため、より愛着を持って遊戯を楽しむことのできる表示玩具1として提供することができる。
【0092】
尚、液晶表示面3及びタッチセンサー面4は図12(a)、(b)に示したように、矩形状の場合のみに限らず、図12(c)に示したように、楕円形状に形成するなど様々な形状に形成することができるものである。
【0093】
そして、図13に示すように、当該表示玩具1を玩具70の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成することもある。本実施例においては、表示玩具1の筺体2を、製造及び組み込みの容易な直方体形状とし、当該表示玩具1を組み込む玩具70は、犬を模したプラスチック製の玩具であって、犬の顔部分に表示玩具1を着脱自在とする直方体空間が形成されているものである。
【0094】
このように、表示玩具1をモジュールとして、人形等の玩具70の顔部分に組み込むことができるように形成すれば、表示玩具1に対して比較的大きなぬいぐるみやプラスチック玩具などの様々な玩具に適用させることにより、その使用形態を拡張することのでき、幼児から大人まで楽しむことのできる表示玩具1として提供することもできる。
【0095】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施例に係る表示玩具の外観斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る表示玩具の機能回路ブロックを示す図。
【図3】本発明の実施例に係る表示玩具の主制御手段の処理の概略を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施例に係る表示玩具の表示変更規則の表を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る表示玩具の入力前後の状態を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示玩具の哀しみ状態における画像を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示玩具の哀しみ状態に対する表示領域を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る表示玩具の怒り状態における画像を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る表示玩具の喜び状態における画像を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る表示玩具の喜び状態に対する表示領域を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る表示玩具の怒り状態における画像を示す図。
【図12】本発明の実施例に係る表示玩具をモジュールとして付属品を取り付けた状態を示す図。
【図13】本発明の実施例に係る表示玩具をモジュールとして玩具に組み込んだ状態を示す図。
【符号の説明】
【0097】
1 表示玩具 2 筺体
3 液晶表示面 4 タッチセンサー面
E 「目」エリア E1 表示変更後「目」エリア
E2 表示変更後「目」エリア
N 「鼻」エリア N2 表示変更後「鼻」エリア
M 「口」エリア M2 表示変更後「口」エリア
Ma 第1エリア Mb 第2エリア
Mc 第3エリア
50 主制御手段 51 表示用メモリ(VRAM)
52 RAM 53 ROM
54 タイマ 55 CPU
56 入出力インターフェース 57 表示制御手段
60 付属品
70 玩具
A 要素群 A1 表示変更後要素群
A2 表示変更後要素群 B 表示領域
B1 表示変更後表示領域
CL センターライン CP 中心点
D 除外領域 X 境界線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示面と、
前記液晶表示面上に配置された透明タッチセンサー面と、
少なくとも液晶表示面を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリと、
表示制御手段と、を備え、
前記タッチセンサー面に対し、遊戯初期画面において、左右の目を描く領域と、鼻を描く領域と、口を描く領域と、が設定されており、前記領域のそれぞれに目、鼻、口を手書きしたとき、手書きされた位置におけるタッチセンサー面の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する前記液晶表示面を構成する液晶表示画素を前記表示制御手段により駆動して、前記手書きに対応する目、鼻、口の画像を表示し、
前記手書きに対応する目、鼻、口の画像が表示されているときに前記透明タッチセンサー面に対し所定の入力操作を行ったとき、前記遊戯初期画面で前記手書きに対応して表示された目、鼻、口のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、前記領域の少なくとも一つに対し、当該領域全体を拡大し、縮小し、或いは傾ける等の表示変更を行う主制御手段を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出することを特徴とする表示玩具。
【請求項2】
前記液晶表示面は手のひらサイズで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示玩具。
【請求項3】
表示玩具が、付属品を取り付け可能なモジュールとして形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示玩具。
【請求項4】
表示玩具が、玩具の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の表示玩具。
【請求項1】
液晶表示面と、
前記液晶表示面上に配置された透明タッチセンサー面と、
少なくとも液晶表示面を構成する画素数に対応するセル要素数の表示用メモリと、
表示制御手段と、を備え、
前記タッチセンサー面に対し、遊戯初期画面において、左右の目を描く領域と、鼻を描く領域と、口を描く領域と、が設定されており、前記領域のそれぞれに目、鼻、口を手書きしたとき、手書きされた位置におけるタッチセンサー面の座標に対応するメモリセル要素に、描画されたことを表す情報が記録されるとともに、対応する前記液晶表示面を構成する液晶表示画素を前記表示制御手段により駆動して、前記手書きに対応する目、鼻、口の画像を表示し、
前記手書きに対応する目、鼻、口の画像が表示されているときに前記透明タッチセンサー面に対し所定の入力操作を行ったとき、前記遊戯初期画面で前記手書きに対応して表示された目、鼻、口のそれぞれを表示する画像の相対的位置を維持した状態で、前記領域の少なくとも一つに対し、当該領域全体を拡大し、縮小し、或いは傾ける等の表示変更を行う主制御手段を備え、喜び、怒り、哀しみ、驚き等の顔表情を演出することを特徴とする表示玩具。
【請求項2】
前記液晶表示面は手のひらサイズで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示玩具。
【請求項3】
表示玩具が、付属品を取り付け可能なモジュールとして形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示玩具。
【請求項4】
表示玩具が、玩具の顔部分に組み込み可能なモジュールとして形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の表示玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−207730(P2009−207730A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54737(P2008−54737)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
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