説明

表示用前面板および表示装置

【課題】高い耐擦傷性を有する表示用前面板を提供する。
【解決手段】表示用前面板40は、透明基板20と、透明基板20の観察者側または表示部側に直接的に設けられた緩衝層60と、緩衝層60上に設けられた反射防止膜30と、を備えている。このうち反射防止膜30は、最外面に位置する低屈折率層31を有している。この低屈折率層31の光屈折率は、透明基板20の光屈折率よりも小さくなっている。また、緩衝層60の光屈折率は低屈折率層31の光屈折率よりも大きくなっており、かつ、緩衝層60の厚みは低屈折率層31の厚みよりも大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部に対して観察者側に配置される表示用前面板に関する。また本発明は、表示部と表示用前面板とを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイ(以下、LCDとも言う。)やプラズマディスプレイ(以下、PDPとも言う)などの表示部の観察者側に、表示部を保護するための表示用前面板を設けることが知られている。この表示用前面板の最外面をガラス基板などの透明基板とする場合、透明基板/空気界面の屈折率差により反射が起こる。
【0003】
このため、表示用前面板の最外面には反射防止フィルムや反射防止膜が設置されることがある(例えば、特許文献1の図6(B)(C)参照)。この反射防止フィルムは、TAC(セルローストリアセテートフレークスを主原料とし、溶剤にメチレンクロライド、可塑剤にトリフェニールフォスフェートなどを用いるもの)フィルムやPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの基材フィルムに反射防止材料を塗布したものからなっている。
【0004】
ここで、透明基板に反射防止フィルムが貼り付けられる態様について図54(a)−(e)を用いて説明する。まず、透明基板20が準備される(図54(a)参照)。他方、透明基板20が準備されるのとは別に、ロール状になった基材フィルム85が広げられ(図54(b)参照)、当該基材フィルム85の一面に反射防止材30’がコーティングされて(図54(c)参照)、反射防止材30’が乾燥された後で露光されることで、反射防止フィルムが準備される。
【0005】
そして、透明基板20に接着剤やテープなどの接着層を介して基材フィルム85が貼り付けられる(図54(d)参照。この図においては、上述接着剤やテープは記載していない)。その後、透明基板20からはみ出た反射防止フィルムが切断される(図54(e)参照)。
【0006】
反射防止フィルムや反射防止膜における外光の反射を少なくするため、一般に、反射防止フィルムや反射防止膜の最外面を構成する層としては、光屈折率の小さい層が用いられる。また、光の干渉を防止するため、一般に、反射防止フィルムや反射防止膜を構成する層の厚みは、可視光の波長の1/4よりも小さくなっている。例えば特許文献2において、反射防止膜の最外面を構成する層として、屈折率が1.20〜1.55の範囲内であり、かつ厚みが50〜200nmの範囲内である低屈折率層が用いられる例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−215056号公報
【特許文献2】特開2005−43749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示用前面板の反射防止膜の最外面に位置する低屈折率層には、光屈折率が低いことだけでなく、耐擦傷性が高いことも求められる。しかしながら一般に、層を構成する材料の光屈折率を低くすることと、層を構成する材料の耐擦傷性を高くすることはトレードオフの関係にある。
【0009】
また、特許文献1のように反射防止フィルムを用いた場合には、上記のように反射防止フィルムを透明基板20に貼る作業が発生し、反射防止フィルムを透明基板20に貼る際に異物や気泡の混入などのリスクが生じる。また、基材フィルム85によって、透過率が低下してしまう。また、このように反射防止フィルムを用いた場合には、透明基板20から面方向にはみ出た部分をカットする必要が生じ、無駄が生じてしまう。さらに、基材フィルム85にはうねりがあるため、このうねりによって見た目が不均一になってしまう。
【0010】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る表示用前面板および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表示部に対して観察者側に配置される表示用前面板において、少なくとも透明基板を含む支持部材と、前記支持部材の観察者側または表示部側に設けられた緩衝層と、前記緩衝層上に設けられた反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、最外面に位置する低屈折率層を有し、前記低屈折率層の光屈折率は前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さくなっており、前記緩衝層の光屈折率は前記低屈折率層の光屈折率よりも大きくなっており、かつ、前記緩衝層の厚みは前記低屈折率層の厚みよりも大きくなっていることを特徴とする表示用前面板である。
【0012】
本発明によれば、低屈折率層の耐擦傷性が低い場合であっても、緩衝層により、外部から低屈折率層に印加される応力を緩和することができる。これによって、反射防止膜および緩衝層からなる積層体全体としての耐擦傷性を高めることができ、このことにより、外部からの応力により反射防止膜が傷つくのを防ぐことができる。
【0013】
本発明による表示用前面板において、好ましくは、前記低屈折率層の厚みは90〜120nmの範囲内となっており、前記緩衝層の厚みは0.5μm以上となっており、前記緩衝層に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは50〜100の範囲内であり、かつ、その際の前記緩衝層の総変形量に対する前記緩衝層の弾性変形量の割合は0.55以上である。より好ましくは、前記緩衝層に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは60〜90の範囲内であり、かつ、その際の前記緩衝層の総変形量に対する前記緩衝層の弾性変形量の割合は0.60以上である。このような緩衝層を用いることにより、反射防止膜および緩衝層からなる積層体全体としての耐擦傷性をさらに高めることができる。
【0014】
本発明による表示用前面板において、前記緩衝層は、前記支持部材の前記透明基板の観察者側に直接的に設けられていてもよい。
【0015】
本発明による表示用前面板において、好ましくは、前記低屈折率層の光屈折率は、1.35よりも小さくなっている。
【0016】
本発明による表示用前面板において、前記低屈折率層は、バインダー樹脂部と、前記バインダー樹脂部内に分散された複数の中空フィラーと、を含んでいてもよい。
【0017】
本発明による表示用前面板において、前記支持部材の前記透明基板の観察者側に設けられた前記緩衝層上に設けられた前記反射防止膜は、前記低屈折率層の表示部側に設けられた高屈折率層をさらに有していてもよい。この場合、前記高屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも大きくなっている。
【0018】
本発明による表示用前面板において、好ましくは、前記緩衝層の光屈折率と前記支持部材の前記透明基板の光屈折率との差の絶対値が0.03以下になっている。
【0019】
本発明による表示用前面板は、前記支持部材の表示部側に設けられた追加緩衝層と、前記追加緩衝層の表示部側に設けられた追加反射防止膜と、をさらに備えていてもよい。この場合、前記追加反射防止膜は、表示部側の最外面に位置する追加低屈折率層を有し、前記追加低屈折率層の光屈折率は前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さく、かつ、前記追加低屈折率層の厚みは90〜120nmの範囲内となっており、前記追加緩衝層の厚みは0.5μm以上となっており、前記追加緩衝層に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは50〜100の範囲内であり、かつ、その際の前記追加緩衝層の総変形量に対する前記追加緩衝層の弾性変形量の割合は0.55以上である。
【0020】
本発明による表示用前面板は、前記支持部材の表示部側に設けられた追加反射防止膜をさらに備えていてもよい。この場合、前記追加反射防止膜は、表示部側の最外面に位置する追加低屈折率層を有し、前記追加低屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さく、かつ前記反射防止膜の前記低屈折率層の光屈折率よりも大きくなっており、前記追加低屈折率層の厚みは90〜120nmの範囲内となっている。
【0021】
本発明による表示用前面板において、前記追加反射防止膜は、前記追加低屈折率層の観察者側に設けられた追加高屈折率層をさらに有していてもよい。この場合、前記追加高屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも大きくなっている。
【0022】
本発明による表示用前面板において、前記緩衝層は、前記支持部材の前記透明基板の表示部側に直接的に設けられていてもよい。この際、前記緩衝層上に設けられた前記反射防止膜は、前記低屈折率層の観察者側に設けられた高屈折率層をさらに有していてもよい。この場合、前記高屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも大きくなっている。また、好ましくは、前記緩衝層の光屈折率と前記支持部材の前記透明基板の光屈折率との差の絶対値が0.03以下になっている。
【0023】
本発明による表示用前面板は、センサ部を含むタッチパネルセンサをさらに備えていてもよい。
【0024】
本発明による表示用前面板において、前記センサ部が前記支持部材の前記透明基板の観察者側の面上または表示部側の面上に形成されていてもよい。
【0025】
本発明による表示用前面板において、前記センサ部に信号処理部が接続されていてもよい。
【0026】
本発明による表示用前面板は、前記支持部材の前記透明基板よりも表示部側に位置する偏光板をさらに備えていてもよい。
【0027】
本発明による表示用前面板は、前記支持部材の前記透明基板よりも表示部側に位置するカラーフィルタをさらに備えていてもよい。
【0028】
本発明による表示用前面板は、前記反射防止膜の観察者側に設けられた観察者側接着層をさらに備えていてもよい。
【0029】
本発明による表示用前面板は、前記観察者側接着層の観察者側に設けられた保護層をさらに備えていてもよい。
【0030】
本発明による表示用前面板は、表示部側の最外面に位置する表示部側接着層をさらに備えていてもよい。
【0031】
本発明は、映像を表示するための光を観察者側に放射する表示部と、前記表示部に対して観察者側に配置された表示用前面板と、を備え、前記表示用前面板は、少なくとも透明基板を含む支持部材の観察者側または表示部側に設けられた緩衝層と、前記緩衝層上に設けられた反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、最外面に位置する低屈折率層を有し、前記低屈折率層の光屈折率は前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さくなっており、前記緩衝層の光屈折率は前記低屈折率層の光屈折率よりも大きくなっており、かつ、前記緩衝層の厚みは前記低屈折率層の厚みよりも大きくなっていることを特徴とする表示装置である。
【0032】
本発明による表示装置において、前記表示部が、センサ部を含むタッチパネルセンサを有していてもよい。
【0033】
本発明による表示装置において、前記表示部が、カラーフィルタをさらに有していてもよい。
【0034】
本発明による表示装置において、前記タッチパネルセンサが、前記カラーフィルタと一体に形成されていてもよい。
【0035】
本発明による表示装置において、前記表示用前面板が、センサ部を含むタッチパネルセンサを有していてもよい。
【0036】
本発明による表示装置において、前記センサ部が前記表示用前面板の前記支持部材の前記透明基板の観察者側の面上または表示部側の面上に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、高い耐擦傷性を有する表示用前面板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による表示装置を示す断面図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による表示用前面板の製造方法を示す図。
【図3】図3は、緩衝層の総変形量および弾性変形量を説明するための図。
【図4】図4(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態による表示用前面板に押圧体が押し込まれる様子を示す図。
【図5A】図5A(a)(b)は、第1の比較の形態による表示用前面板に押圧体が押し込まれる様子を示す図。
【図5B】図5B(a)(b)は、第2の比較の形態による表示用前面板に押圧体が押し込まれる様子を示す図。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態による表示用前面板において、反射防止膜の低屈折率層を拡大して示す図。
【図7】図7は、本発明の第3の実施の形態による表示装置を示す断面図。
【図8】図8は、本発明の第4の実施の形態による表示装置を示す断面図。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態の変形例による表示装置を示す断面図。
【図10】図10は、意匠部を備えた表示装置の例を示す断面図。
【図11】図11は、本発明の第5の実施の形態による表示用前面板を示す断面図。
【図12】図12は、図11に示す表示用前面板がさらに保護層を含む例を示す断面図。
【図13】図13は、本発明の第5の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す断面図。
【図14】図14は、本発明の第6の実施の形態による表示用前面板を示す断面図。
【図15】図15は、本発明の第6の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す断面図。
【図16】図16は、本発明の第7の実施の形態による表示装置を示す断面図。
【図17】図17は、図16に示す表示装置がさらに接着層を含む例を示す断面図。
【図18A】図18Aは、タッチパネルセンサの一例を示す平面図。
【図18B】図18Bは、図18AのタッチパネルセンサをXVIIIB−XVIIIB方向から見た断面図。
【図18C】図18Cは、図18AのタッチパネルセンサをXVIIIC−XVIIIC方向から見た断面図。
【図19】図19は、図16に示すタッチパネルセンサが信号処理部を有する例を示す断面図。
【図20】図20は、図17に示すタッチパネルセンサが信号処理部を有する例を示す断面図。
【図21】図21は、本発明の第8の実施の形態による表示装置を示す断面図。
【図22】図22は、表示部のLCDパネルを示す断面図。
【図23】図23は、図21に示す表示装置がさらに光学補償フィルムを含む例を示す断面図。
【図24】図24は、表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図25】図25は、表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図26】図26は、表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図27】図27は、図21に示す表示装置の変形例を示す断面図。
【図28】図28は、図23に示す表示装置の変形例を示す断面図。
【図29】図29は、図24に示す中間製品の変形例を示す断面図。
【図30】図30は、図25に示す中間製品の変形例を示す断面図。
【図31】図31は、図26に示す中間製品の変形例を示す断面図。
【図32】図32は、タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの一例を示す断面図。
【図33】図33は、図32に示すタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを含む表示装置を示す断面図。
【図34】図34は、本発明の第9の実施の形態による表示装置を示す断面図。
【図35】図35は、表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図36】図36は、本発明の第10の実施の形態による表示用前面板を示す断面図。
【図37】図37は、タッチパネルセンサを有する表示用前面板を備えた表示装置の一例を示す断面図。
【図38】図38は、本発明の第10の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す断面図。
【図39】図39は、本発明の第10の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す断面図。
【図40】図40は、本発明の第10の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す断面図。
【図41】図41は、図36に示す表示用前面板がさらに偏光板を有する例を示す断面図。
【図42】図42は、図41に示す表示用前面板がさらにカラーフィルタを有する例を示す断面図。
【図43】図43は、本発明の第11の実施の形態において、センサ部と一体に形成された表示用前面板を示す断面図。
【図44】図44は、図43に示す表示用前面板がさらに接着層を有する例を示す断面図。
【図45】図45は、図43に示す表示用前面板がさらに信号処理部を有する例を示す断面図。
【図46】図46は、図44に示す表示用前面板がさらに信号処理部を有する例を示す断面図。
【図47】図47は、図45に示す表示用前面板がさらに偏光板を有する例を示す断面図。
【図48】図48は、図47に示す表示用前面板がさらにカラーフィルタを有する例を示す断面図。
【図49】図49は、本発明の第1の実施の形態の変形例による表示装置を示す断面図。
【図50】図50は、本発明の第3の実施の形態の変形例による表示装置を示す断面図。
【図51A】図51Aは、本発明の第11の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す断面図。
【図51B】図51Bは、図51Aに示す表示用前面板のセンサ部および緩衝層の一形態例を示す断面図。
【図52A】図52Aは、支持部材が、透明基板上に設けられた不可視化層をさらに含む例を示す断面図。
【図52B】図52Bは、支持部材が、透明基板上に設けられたガード層をさらに含む例を示す断面図。
【図53】図53は、追加実施例における耐擦傷性の評価結果を示す図。
【図54】図54は、反射防止フィルムを用いた表示用前面板の製造方法を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る表示用前面板の第1の実施の形態について、図1および図2を参照して説明する。はじめに、表示用前面板40を備えた表示装置70全体について説明する。
【0040】
表示装置
図1に示すように、表示装置70は、LCD、PDP、有機ELなどの、映像を表示するための光を生成するとともに生成された光を観察者に向けて放射する表示部50と、表示部50に対して観察者側に配置された表示用前面板40と、を備えている。これら表示部50および表示用前面板40は、映像を表示させるための表示領域と、表示領域の周縁に位置する非表示領域とに区画されていてもよい。
【0041】
表示用前面板
表示用前面板40は、表示部50を保護するために設けられるものである。この表示用前面板40は、略矩形状からなる透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた緩衝層60と、緩衝層60の観察者側に設けられた反射防止膜30と、を備えている。透明基板20は、表示部50を保護する保護部材として機能するとともに、緩衝層60を支持する支持部材としても機能する。図1に示すように、表示用前面板40において、反射防止膜30が観察者側の最外面の層(膜)となっている。
【0042】
なお本明細書において、「層」、「膜」の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。従って、例えば「膜」は、層とも呼ばれ得るような部材や部分も含む概念となっている。
【0043】
以下、表示用前面板40を構成する各要素について詳細に説明する。
【0044】
(透明基板)
はじめに透明基板20について説明する。透明基板20の材料は、表示部50からの光を外部に取り出すことができる限り特に限定されるものではない。例えば、透明基板20の材料として、光透過性や耐久性等を考慮して、ガラスやポリマー等が用いられる。本実施の形態においては、透明基板20の材料としてガラスが用いられており、その光屈折率は例えば1.50となっている。透明基板20の厚みは、表示用前面板40に求められる強度や表示部50の寸法等に応じて適宜設定されるが、例えば0.1〜1.5mmの範囲内となっている。なお本明細書において、光屈折率は、波長550nmの光に対する屈折率となっている。屈折率の測定方法は特に限定されないが、分光反射スペクトルから算出する方法、エリプソメーターを用いて測定する方法及びアッベ法を挙げることができる。
エリプソメーターとしてはジョバンーイーボン社製UVSELが挙げられる。
なお、本件の屈折率はテクノ・シナジー社製DF1030Rにて測定した値である。
本明細書において規定される厚みは、一般的な測定方法によって得られる厚みとなっている。例えば、厚みの測定方法として、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚みを算出する光学式の方法等を挙げることができる。例えば後述する追加実施例においては、ケーエルエー・テンコール株式会社製の触針式膜厚計P−15を用いて厚みを測定した。なお、本明細書において規定される厚みとして、対象となる部材の複数個所における厚み測定結果の平均値が用いられてもよい。
【0045】
(反射防止膜)
次に反射防止膜30について説明する。反射防止膜30は、表示装置70の観察者側の最外面における外光の反射を低減するために設けられる膜である。この反射防止膜30は、図1に示すように、観察者側の最外面に位置する低屈折率層31を有している。
【0046】
低屈折率層31の光屈折率は、反射防止膜30における外光の反射を少なくするため、透明基板20の光屈折率よりも小さくなっている。本実施の形態においては、低屈折率層31の光屈折率は、ガラスからなる透明基板20の光屈折率である1.50よりも小さくなっており、好ましくは1.35よりも小さくなっている。これによって、反射防止膜30における外光の反射を低減することができる。
【0047】
このような低屈折率層31を構成する材料としては、光透過性を有するとともに所望の光屈折率が実現される限りにおいて特に限定されず、周知の材料が用いられる。例えば低屈折率層31の材料として、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂を用いることができる。また低屈折率層31として、特開2005−43749号公報に開示されているような、含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖にエチレン性不飽和基を有する重合単位を含む低屈折率層が用いられてもよい。
【0048】
また光の干渉が生じるのを防ぐため、低屈折率層31の厚みは、可視光の波長の1/4よりもほぼ小さくなっている。例えば、低屈折率層31の厚みは、90〜120nmの範囲内となっている。これによって、低屈折率層31において光の干渉が生じるのを防ぐことができる。
【0049】
(緩衝層)
次に緩衝層60について説明する。緩衝層60は、外部からの応力が反射防止膜30の低屈折率層31に印加された場合に、この応力を緩和するために設けられるものである。この緩衝層60は、所定の弾性変形特性および所定の硬度を有している。このため、低屈折率層31に応力が印加されている間、緩衝層60が弾性変形することにより低屈折率層31に印加される応力を適切に緩和することができ、また応力が取り除かれた後には、緩衝層60の形状が弾性的にほぼ元通りになることにより低屈折率層31の形状をほぼ元通りにすることができる。これによって、低屈折率層31が破断することや、低屈折率層31に凹みが形成されたままとなるのを防ぐことができる。
【0050】
上述の機能を緩衝層60に付与するため、緩衝層60の光屈折率は、反射防止膜30の低屈折率層31の光屈折率よりも大きくなるよう設定されている。上述のように、一般に、層を構成する材料の光屈折率を低くすることと、層を構成する材料の耐擦傷性を高くすることはトレードオフの関係にある。従って、緩衝層60の光屈折率が低屈折率層31の光屈折率よりも大きくなるよう緩衝層60を構成することによって、低屈折率層31よりも大きな耐擦傷性を緩衝層60に付与することができる。このことにより、低屈折率層31が破断することや、低屈折率層31に凹みが形成されたままとなるのを防ぐことができる。
【0051】
また上述の機能を緩衝層60に付与するため、緩衝層60の厚みは好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上となっている。このように、緩衝層60の厚みを、低屈折率層31の厚みに比べて十分に大きくすることにより、低屈折率層31に印加される応力を適切に緩和することができる。
【0052】
また、緩衝層60に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは好ましくは50〜100の範囲内となっており、より好ましくは60〜90の範囲内となっている。これによって、緩衝層60に適度な強度を付与することができる。なお本実施の形態において、ビッカース硬さとはJIS Z 2244に規定されるビッカース硬さであり、例えば以下のようにして測定される。
【0053】
はじめに、適切な基板、例えば1.1mmの厚みを有するガラス板の上に、2.5μmの厚みを有する緩衝層60を設ける。次に、緩衝層60に対してビッカース圧子を押し込み荷重5mNで押し込む。この際ビッカース圧子の荷重時間、保持時間および減重時間は例えばそれぞれ20秒、5秒および20秒となっている。その後、緩衝層60に形成された凹みの面積を計測する。このような計測を複数回、例えば3回行い、計測された凹みの面積の平均値に基づいて、緩衝層60のビッカース硬さを算出する。
【0054】
さらに、上述のように緩衝層60に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際の、緩衝層60の総変形量に対する緩衝層60の弾性変形量の割合は、0.55以上となっており、より好ましくは0.60以上となっている。これによって、低屈折率層31が破断することや、低屈折率層31に凹みが形成されたままとなるのを防ぐことができる。なお本実施の形態において、「弾性変形量の割合」は、以下のようにして算出される。
【0055】
緩衝層60に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際には、緩衝層60は、図3に示すようなヒステリシス曲線(押し込み荷重−変形量)を描いて変形する。図3に示すように、緩衝層60は、押し込み荷重が“0”の初期点Oから押し込み荷重が5mNの中間点Oまで変形した後、中間点Oから中間点Oまで所定の保持時間だけ5mNの押し込み荷重で保持され、その後、押し込み荷重が開放される。これにより、最終的に、緩衝層60の変形量は最終点Oに至る。このとき、緩衝層60が完全弾性体であれば最終点Oの変形量は“0”となるが、実際には緩衝層60が完全弾性体であることはなく、最終点Oでの変形量は正の量として残る。この量が塑性変形量であり、ビッカース圧子による押し込みを終了した時点(中間点O)での変形量を総変形量とすれば、この総変形量から前記の塑性変形量を差し引いた分が弾性変形量となる。このようにして定義される各変形量を用いて、「弾性変形量の割合」が、(弾性変形量)/(総変形量)として定義される。
【0056】
緩衝層60における上述のビッカース硬さ、総変形量および弾性変形量を測定する測定装置は特には限られないが、例えば、測定装置として微小硬度計(装置名:フィッシャースコープH−100 フィッシャーインスツルメンツ社製)が用いられる。測定装置に含まれるビッカース圧子、測定器および解析ソフトは、例えば以下のものとなっている。
圧子:ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度136°)
測定器:HU−100(株式会社 フィッシャーインストルメンツ)
解析ソフト:WIN−HCU(株式会社 フィッシャーインストルメンツ)
このような測定装置を用いて緩衝層60の物性を評価した結果に基づいて、弾性変形量の割合、ビッカース硬さが解析ソフトにより算出される。
【0057】
好ましくは、緩衝層60の光屈折率は、透明基板20の光屈折率との差の絶対値が0.03以下となるよう設定されている。例えば、透明基板20として1.50の光屈折率を有するガラスが用いられる場合、緩衝層60の光屈折率が1.47〜1.53の範囲内に設定される。これによって、緩衝層60と透明基板20との間の界面で光が反射するのを防ぐことができる。
【0058】
緩衝層60の材料は、所定の光透過性を有するとともに、上述の特性を満たすよう選択される。例えば緩衝層60の材料として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂等が用いられる。このうちアクリル樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレートなどが挙げられる。
【0059】
緩衝層60の材料となる樹脂を得る方法は特には限られないが、例えば、樹脂を形成しうるモノマー、オリゴマー、ポリマーなどの有機材料に光重合開始剤を配合することにより得られる。例えば、ウレタンアクリレート樹脂は、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、あるいはプレポリマーを反応させ、得られた生成物に、水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレート系のモノマーを反応させることによって得られる。また、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などが単独で、あるいは併用して用いられる。
【0060】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。はじめに、表示用前面板40および表示装置70の製造方法について説明する。
【0061】
表示用前面板の製造方法
まず、透明基板20が準備される(図2(a)参照)。
【0062】
次に、透明基板20の観察者側(図2(b)の上方側)に緩衝層60が形成される。この際、緩衝層60を形成するための具体的な方法が特に限られることはない。
例えば、緩衝層60用の材料を含む塗布液を透明基板20上に塗布することにより、緩衝層60を形成することができる。このとき、塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウェット法で透明基板20の全域にわたって塗布されてもよく、若しくは、インクジェット法により透明基板20上に点状に塗布されてもよい。また塗布方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法が用いられてもよい。なお塗布液とは、上述の緩衝層60用の材料からなる固形分と、適切な溶媒とを混合することにより構成されるものである。塗布液全体に対する固形分の比率は、塗布方法に応じて適宜設定されるが、好ましくは5〜30重量%の範囲内となっており、より好ましくは約20%重量となっている。
若しくは、シート状またはフィルム状の緩衝層60を準備し、これを接着剤やテープなどの接着層を介して透明基板20に貼り付けてもよい。この場合、透明基板20からはみ出た緩衝層60が適切に切断されてもよい。
なお、緩衝層60用の材料を含む塗布液を透明基板20上に塗布することにより緩衝層60が形成される場合、透明基板20の観察者側の面上に直接的に緩衝層60が設けられることになる。ここで「直接的」とは、緩衝層60が透明基板20の面に少なくとも部分的に接触していることを意味している。
【0063】
その後、緩衝層60の観察者側に低屈折率層31が形成される(図2(c)参照)。これによって、低屈折率層31からなる反射防止膜30が緩衝層60の観察者側に形成される。この際、低屈折率層31を形成するための具体的な方法が特に限られることはない。
例えば、低屈折率層31用の材料を含む塗布液を緩衝層60上に塗布することにより、低屈折率層31を形成することができる。このとき、塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウェット法で緩衝層60の全域にわたって塗布されてもよく、若しくは、インクジェット法により緩衝層60上に点状に塗布されてもよい。また塗布方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法が用いられてもよい。塗布液は、緩衝層60の場合と同様に、上述の低屈折率層31用の材料からなる固形分と、適切な溶媒とを混合することにより構成されている。塗布液全体に対する固形分の比率は、塗布方法に応じて適宜設定されるが、好ましくは0.5〜10重量%の範囲内となっており、より好ましくは1〜5重量%の範囲内となっている。
若しくは、シート状またはフィルム状の低屈折率層31を準備し、これを接着剤やテープなどの接着層を介して緩衝層60に貼り付けてもよい。この場合、透明基板20からはみ出た低屈折率層31が適切に切断されてもよい。
なお、低屈折率層31用の材料を含む塗布液を緩衝層60上に塗布することにより低屈折率層31が形成される場合、緩衝層60上に直接的に低屈折率層31が設けられることになる。ここで「直接的」とは、低屈折率層31が緩衝層60の面に少なくとも部分的に接触していることを意味している。
【0064】
なお、緩衝層60または低屈折率層31がウェット法により形成される場合、緩衝層60または低屈折率層31は、乾燥された後で露光されたり、乾燥された後で加熱されたり、乾燥された後で露光および加熱されたり、乾燥のみされたりすることで硬化される。
なお一般に、緩衝層60用材料または低屈折率層31用材料に紫外線硬化樹脂が含まれている場合には、緩衝層60または低屈折率層31を露光することで硬化が達成される。なお露光の際に所定のパターンを有するフォトマスクを用いることにより、露光、現像に基づくパターニング性が実現されてもよい。これによって、緩衝層60または低屈折率層31に所定のパターンを付与することが可能となる。
また、緩衝層60用材料または低屈折率層31用材料に熱硬化樹脂が含まれている場合には、緩衝層60または低屈折率層31を加熱することにより硬化が達成される。
【0065】
以上のようにして、透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた緩衝層60と、緩衝層60の観察者側に設けられた反射防止膜30と、を備えた表示用前面板40が製造される。
【0066】
表示装置の製造方法
そして、このように製造された表示用前面板40を表示部50の観察者側に配置して取り付けることで表示装置70が製造される(図1参照)。
【0067】
次に、本実施の形態の効果を、比較の形態と比較して説明する。図4(a)(b)は、本実施の形態の効果を説明するための図であり、本実施の形態による表示用前面板40に押圧体80が押し込まれる様子を示す図である。図5A(a)(b)は、第1の比較の形態による表示用前面板90に押圧体80が押し込まれる様子を示す図であり、図5B(a)(b)は、第2の比較の形態による表示用前面板95に押圧体80が押し込まれる様子を示す図である。
【0068】
第1の比較の形態
はじめに図5A(a)(b)を参照して、第1の比較の形態による表示用前面板90について説明する。第1の比較の形態による表示用前面板90は、緩衝層60が設けられていない点が異なるのみであり、他の構成は、図1および図2に示す本実施の形態による表示用前面板40と略同一である。
【0069】
図5A(a)は、押圧体80が押し込まれている状態の表示用前面板90を示す図であり、図5A(b)は、押圧体80が取り除かれた後の表示用前面板90を示す図である。図5A(a)(b)に示すように、表示用前面板90には緩衝層60が設けられていない。また一般に、透明基板20はガラスなどの硬質な材料から構成されている。このため、押圧体80から低屈折率層31に印加される応力は緩和されず、従って図5A(a)(b)に示すように、低屈折率層31に破断部91が形成されることが考えられる。
【0070】
第2の比較の形態
次に図5B(a)(b)を参照して、第2の比較の形態による表示用前面板95について説明する。第2の比較の形態による表示用前面板95においては、表示用前面板95の緩衝層97のビッカース硬さおよび弾性変形量の割合が、本実施の形態による表示用前面板40の緩衝層60のビッカース硬さおよび弾性変形量の割合よりも小さくなっている。
【0071】
図5B(a)は、押圧体80が押し込まれている状態の表示用前面板95を示す図であり、図5B(b)は、押圧体80が取り除かれた後の表示用前面板95を示す図である。図5B(a)に示すように、表示用前面板95には緩衝層97が設けられており、このため、押圧体80から低屈折率層31に印加される応力が緩和され得る。しかしながら、緩衝層97のビッカース硬さおよび弾性変形量の割合は、本実施の形態による表示用前面板40の緩衝層60のビッカース硬さおよび弾性変形量の割合よりも小さくなっている。このため、押圧体80が取り除かれた後、緩衝層97の形状は元通りにはならず、図5B(b)に示すように緩衝層97および低屈折率層31に凹部96が形成されたままとなっている。
【0072】
本実施の形態の効果
これに対して本実施の形態によれば、上述のように、反射防止膜30の低屈折率層31と透明基板20との間には緩衝層60が介在されている。この緩衝層60の厚みは0.5μm以上となっている。また、緩衝層60に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは50〜100の範囲内となっており、かつ、その際の緩衝層60の総変形量に対する緩衝層60の弾性変形量の割合は0.55以上となっている。このため、図4(a)に示すように、押圧体80から低屈折率層31に印加される応力を緩衝層60により適切に緩和することができる。また図4(b)に示すように、押圧体80が取り除かれた後、緩衝層60の形状は、弾性的にほぼ元通りになる。このことにより、押圧体80が取り除かれた後に低屈折率層31に形成される凹部41の寸法を最小限に抑えることができる。
【0073】
また本実施の形態によれば、緩衝層60の光屈折率は、透明基板20の光屈折率との差の絶対値が0.03以下となるよう設定されている。これによって、反射防止膜30の低屈折率層31と透明基板20との間に緩衝層60を設けることに起因して光の反射が増加するのを抑制することができる。
【0074】
変形例
なお本実施の形態による表示用前面板40において、緩衝層60が透明基板20の観察者側に設けられ、反射防止膜30が緩衝層60の観察者側に設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図49に示すように、緩衝層60が透明基板20の表示部側に設けられ、反射防止膜30が緩衝層60の表示部50側に設けられていてもよい。この場合、図49に示すように、反射防止膜30の低屈折率層31は、反射防止膜30の表示部50側の最外面に位置している。なお「観察者側」とは、表示用前面板40を表示部50に対して配置する際に、観察者に向ける面を意味する。また「表示部側」とは、表示用前面板40を表示部50に対して配置する際に、表示部50に向ける面を意味する。
【0075】
本変形例によれば、表示用前面板40の反射防止膜30により、表示部50からの光が表示用前面板40の表示部50側で反射するのを防ぐことができ、この結果、表示用前面板40における光透過率を向上させることができる。また、表示装置70の製造工程の際などに反射防止膜30の低屈折率層31に印加される応力を、緩衝層60によって適切に緩和することができる。これによって、反射防止膜30が傷つくことを防ぐことができる。
【0076】
第2の実施の形態
次に図6を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図6は、本発明の第2の実施の形態による表示用前面板40において、反射防止膜30の低屈折率層31を拡大して示す図である。
【0077】
図6に示すように、本実施の形態において、低屈折率層31は、バインダー樹脂部31aと、バインダー樹脂部31a内に分散された複数の中空フィラー31bと、を含んでいる。中空フィラー31bの内部には空気などが充填されており、このため、低屈折率層31をバインダー樹脂部31aのみで構成する場合に比べて、低屈折率層31全体としての光屈折率が低くなっている。
【0078】
バインダー樹脂部31aの材料は特には限られないが、例えば、上述の第1の実施の形態において低屈折率層31の材料として挙げられているフッ素樹脂などが適宜用いられる。また中空フィラー31bとしては、中空になっているガラスビーズなどが用いられる。
【0079】
好ましくは、低屈折率層31におけるバインダー樹脂部31aおよび中空フィラー31bそれぞれの体積率は、低屈折率層31全体としての光屈折率が1.35よりも小さくなるよう適宜設定される。ここで、低屈折率層31全体としての光屈折率は、バインダー樹脂部31aの光屈折率にバインダー樹脂部31aの体積率を掛けることにより算出される値と、中空フィラー31bの光屈折率に中空フィラー31bの体積率を掛けることにより算出される値と、を足し合わさることにより導かれる。
【0080】
本実施の形態によれば、低屈折率層31は、バインダー樹脂部31aと、バインダー樹脂部31a内に分散された複数の中空フィラー31bと、を含んでいる。このため、低屈折率層31全体としての光屈折率をより低くすることができる。このことにより、反射防止膜30が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。
【0081】
また本実施の形態によれば、反射防止膜30の低屈折率層31と透明基板20との間には緩衝層60が介在されている。このため、中空フィラー31bを含むような、耐擦傷性が低い低屈折率層31が用いられる場合であっても、緩衝層60により、外部から低屈折率層31に印加される応力を緩和することができる。これによって、外部からの応力により反射防止膜30が傷つくのを防ぐことができる。
【0082】
第3の実施の形態
次に図7を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図7は、本発明の第3の実施の形態による表示装置を示す断面図である。
【0083】
図7に示す第3の実施の形態は、反射防止膜が、低屈折率層の表示部側に設けられた高屈折率層をさらに有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。図7に示す第3の実施の形態において、図1乃至4(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0084】
図7に示すように、反射防止膜30は、観察者側の最外面に位置する低屈折率層31と、低屈折率層31の表示部50側に設けられた高屈折率層32と、を含んでいる。この高屈折率層32の光屈折率は、透明基板20および低屈折率層31の光屈折率よりも大きくなっている。このような高屈折率層32を設けることにより、反射防止膜30が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。
【0085】
高屈折率層32の光屈折率は、透明基板20および低屈折率層31の光屈折率よりも大きい限りにおいて特には限定されないが、例えば1.55〜2.20の範囲内となっている。高屈折率層32を構成する材料としては、高い光屈折率を有する周知の材料を用いることができ、例えば特開2005−43749号公報に開示されているような材料を用いることができる。高屈折率層32の厚みは、例えば20〜300nmの範囲内となっている。
【0086】
なお本実施の形態において、反射防止膜30が低屈折率層31と高屈折率層32とからなる例を示したが、これに限られることはない。反射防止膜30の観察者側の最外面に低屈折率層31が位置する限りにおいて、反射防止膜30はその他の様々な層を含んでいてもよい。例えば、低屈折率層31の光屈折率よりも大きく、かつ高屈折率層32の光屈折率よりも小さい光屈折率を有する中屈折率層(図示せず)が、高屈折率層32の表示部50側に設けられていてもよい。さらに、アンダーコート層やハードコート層などが反射防止膜30の表示部50側の最外面に設けられていてもよい。
【0087】
変形例
なお本実施の形態による表示用前面板40においても、図49に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、緩衝層60が透明基板20の表示部側に設けられ、反射防止膜30が緩衝層60の表示部50側に設けられていてもよい。この場合、図50に示すように、反射防止膜30の高屈折率層32は、低屈折率層31の観察者側に設けられている。このような高屈折率層32を設けることにより、反射防止膜30が表示部50からの光の反射を防止する効果をより高くすることができる。
【0088】
第4の実施の形態
次に図8を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。ここで図8は、本発明の第4の実施の形態による表示装置を示す断面図である。
【0089】
図8に示す第4の実施の形態は、表示用前面板が、透明基板の表示部側に設けられた追加緩衝層と、追加緩衝層の表示部側に設けられた追加反射防止膜と、をさらに備えた点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。図8に示す第4の実施の形態において、図1乃至4(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0090】
図8に示すように、表示用前面板40は、透明基板20の観察者側に設けられた緩衝層60と、緩衝層60の観察者側に設けられた反射防止膜30と、透明基板20の表示部50側に設けられた追加緩衝層65と、追加緩衝層65の表示部50側に設けられた追加反射防止膜35と、を備えている。このうち追加反射防止膜35は、表示部50側の最外面に位置する追加低屈折率層36を有している。追加緩衝層65、追加反射防止膜35および追加低屈折率層36は、第1の実施の形態における緩衝層60、反射防止膜30および低屈折率層31と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0091】
このように本実施の形態においては、透明基板20の観察者側だけでなく表示部50側にも追加反射防止膜35が設けられている。このため、表示用前面板40は、外光が表示用前面板40の観察者側で反射するのを防ぐだけでなく、表示部50からの光が表示用前面板40の表示部50側で反射するのを防ぐことができる。また、透明基板20と追加反射防止膜35との間に追加緩衝層65を介在させることにより、追加反射防止膜35が傷つくのを防ぐことができる。
【0092】
変形例
なお本実施の形態において、反射防止膜30が低屈折率層31のみからなり、追加反射防止膜35が追加低屈折率層36のみからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第3の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30または追加反射防止膜35がその他の様々な層を含んでいてもよい。例えば図9に示すように、低屈折率層31の表示部50側に、低屈折率層31の光屈折率よりも大きい光屈折率を有する高屈折率層32が設けられていてもよい。また、追加低屈折率層36の観察者側に、追加低屈折率層36の光屈折率よりも大きい光屈折率を有する追加高屈折率層37が設けられていてもよい。
【0093】
その他の変形例
また上述の各実施の形態において、デザイン性を高めるための意匠層が適宜形成されていてもよい。例えば図10に示すように、表示用前面板40の観察者側の非表示領域内に意匠層10が形成されていてもよい。
【0094】
また上述の各実施の形態において、図示はしないが、透明基板20または緩衝層60を保護するためのハードコート層やアンダーコート層が透明基板20と緩衝層60との間に設けられていてもよい。
【0095】
第5の実施の形態
次に図11乃至図13を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。図11乃至図13に示す本実施の形態は、表示用前面板が接着層をさらに有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。図11乃至図13に示す第5の実施の形態において、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0096】
表示用前面板
本実施の形態による表示用前面板40は、一の製造業者または製造場所において製造された表示用前面板40が、その他の製造業者または製造場所において表示部や後述するタッチパネルセンサまたは保護層などと組み合わされるという場合を想定して構成されたものである。
【0097】
図11に示すように、表示用前面板40は、透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた緩衝層60と、緩衝層60の観察者側に設けられ、低屈折率層31からなる反射防止膜30と、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層(観察者側接着層)100と、を備えている。このうち反射防止膜30は、観察者側の最外面に位置する低屈折率層31を有している。なお「観察者側の最外面に位置する低屈折率層31」という文言は、反射防止膜30が複数の層から構成される場合に、それら各層のうち観察者側の最外面に位置する層が低屈折率層31からなっていることを意味している。すなわち「観察者側の最外面に位置する低屈折率層31」という文言は、表示用前面板40において、反射防止膜30の観察者側にさらに接着層100などのその他の層が設けられる形態を除外するものではない。
【0098】
(接着層)
透明基板20の観察者側に設けられた接着層100は、保護層など表示用前面板40の観察者側に配置され得る部材に表示用前面板40を密着させるために設けられる層である。表示用前面板40がこのような接着層100を予め備えることにより、表示用前面板40と保護層などとを組み合わせる作業を容易化することができる。
【0099】
接着層100を構成する材料は、表示用前面板40と組み合わされる部材や表示用前面板40の使用環境に応じて適宜選択される。例えば、所望の可塑度を有するポリオルガノシロキサン組成物(例えば特開2004−212521号公報に記載のポリオルガノシロキサン組成物)からなる粘着剤(シリコーン系粘着剤)や、アクリル系粘着剤(例えば特開2002−348546号公報に記載のアクリル系粘着剤)からなる透明粘着シートが、接着層100として用いられる。このような透明粘着シートは、例えば、アクリル酸エステル共重合体をエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系あるいは金属化合物系の架橋剤で架橋させたものや紫外線硬化型のアクリル系粘着剤などをシート状に加工することにより得られる。
【0100】
接着層100の厚みは、用いられる材料、表示用前面板40と組み合わされる部材や表示用前面板40の使用環境などに応じて適宜選択されるが、例えば1〜200μmの範囲内となっている。
【0101】
なお図示はしないが、表示用前面板40の接着層100がPETなどからなるフィルムによって覆われていてもよい。これによって、接着層100の粘着力が劣化するのを防ぐことができ、また、表示用前面板40の取り回し性を向上させることができる。
【0102】
(変形例)
なお図12に示すように、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層100の観察者側に、さらに保護層105が予め設けられていてもよい。この保護層105は、仮に表示用前面板40の透明基板20が破損してしまった場合であっても、透明基板20の破片が飛散することを防ぐことなどを意図して設けられる層である。このような保護層105の材料として、例えば光硬化樹脂タイプ、熱硬化樹脂タイプ、2液混合反応液タイプ、両面粘着シールタイプの材料等が挙げられる。このうち光硬化樹脂タイプにおいては、ラジカル系硬化系やカチオン系硬化系の材料が用いられる。ラジカル系硬化系の材料には、アクリル系、エン/チオール系、ビニルエーテル系の材料などが含まれ、カチオン系硬化系の材料には、エポキシ系、オキセタン系、ビニルエーテル系の材料などが含まれる。また、熱硬化樹脂タイプの材料には、エポキシ系、フェノール系、ポリエステル系の材料などが含まれる。
【0103】
(その他の変形例)
また上述の図11および図12に示す形態において、接着層100が表示用前面板40の観察者側に位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、接着層100が表示用前面板40の表示部側に位置していてもよい。例えば図13に示すように、表示用前面板40が、表示部側の最外面に位置する接着層(表示部側接着層)100を有していてもよい。これによって、表示用前面板40の表示部側に設けられ得る部材、例えば表示部や後述するタッチパネルセンサと表示用前面板40とを組み合わせる作業を容易化することができる。
【0104】
また図11乃至図13に示す形態において、反射防止膜30が低屈折率層31のみからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第3の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30が高屈折率層32をさらに有していてもよい。また、上述の第4の実施の形態の場合と同様に、表示用前面板40が追加緩衝層65と追加反射防止膜35とをさらに備えていてもよい。この場合、追加反射防止膜35の表示部側に接着層100が設けられていてもよい。
【0105】
第6の実施の形態
次に図14および図15を参照して、本発明の第6の実施の形態について説明する。図14および図15に示す本実施の形態は、追加反射防止膜の追加低屈折率層の高硬度化が図られている点が異なるのみであり、他の構成は、図8に示す第4の実施の形態と略同一である。図14および図15に示す第6の実施の形態において、図8に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
表示用前面板
図14に示すように、表示用前面板40は、透明基板20の観察者側に設けられた緩衝層60と、緩衝層60の観察者側に設けられた反射防止膜30と、透明基板20の表示部50側に設けられた追加緩衝層65と、追加緩衝層65の表示部50側に設けられた追加反射防止膜35と、を備えている。このうち反射防止膜30は、反射防止膜30の観察者側の最外面に位置する低屈折率層31を有しており、また追加反射防止膜35は、追加反射防止膜35の表示部側の最外面に位置する追加低屈折率層36Aを有している。本実施の形態は、追加反射防止膜35の追加低屈折率層36Aの耐擦傷性が、反射防止膜30の低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くなっていることを特徴としている。このように、低屈折率層31の耐擦傷性と追加低屈折率層36Aの耐擦傷性に差を設けることにより、後述するように、表示用前面板40の製造工程や表示用前面板40が他の部材と組み合わされる工程において低屈折率層31および追加低屈折率層36Aが損傷することを防ぐことが可能となる。
【0107】
一般に、透明基板20の両側に層が形成される場合、はじめに透明基板20を準備し、次に透明基板20の上側(一側)に第1の層を形成する。その後、第1の層が形成された透明基板20を上下反転させ、次に、透明基板20の上側(他側)に第2の層を形成する。従って、第2の層が形成される際、第1の層は透明基板20の下側に位置していることになる。このため、第2の層が形成される間、第1の層は、搬送台などの製造設備と接触することになり、この間に第1の層が損傷してしまうことが考えられる。
【0108】
一方、本実施の形態によれば、透明基板20に反射防止膜30、追加反射防止膜35、緩衝層60および追加緩衝層65を形成する場合、はじめに透明基板20の上側(表示部側)に追加緩衝層65および追加反射防止膜35を形成し、次に透明基板20を上下反転させ、その後に透明基板20の上側(観察者側)に反射防止膜30および緩衝層60を形成する。ここで上述のように、追加反射防止膜35の追加低屈折率層36Aの耐擦傷性は、反射防止膜30の低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くなっている。従って、反射防止膜30および緩衝層60が形成される間に追加反射防止膜35の追加低屈折率層36Aが搬送台などの製造設備と接触するとしても、追加低屈折率層36が損傷するのを防ぐことができる。
【0109】
(追加低屈折率層)
次にこのような追加低屈折率層36Aを構成するための具体的な方法について説明する。上述のように、一般に、層を構成する材料の光屈折率を低くすることと、層を構成する材料の耐擦傷性を高くすることはトレードオフの関係にある。従って一般に、追加低屈折率層36Aの光屈折率を低屈折率層31の光屈折率よりも高くすることにより、追加低屈折率層36Aの耐擦傷性を低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くすることが可能となる。例えば、低屈折率層31の光屈折率が透明基板20の光屈折率よりも十分に小さい値、例えば1.35となっている場合、追加低屈折率層36Aの光屈折率は、低屈折率層31の光屈折率よりも大きくかつ透明基板20の光屈折率よりも小さい値、例えば1.45に設定される。これによって、追加低屈折率層36Aに、低屈折率層31よりも高い耐擦傷性を付与することができる。このような追加低屈折率層36Aは、好ましくは、600gの荷重をかけたスチールウール(No.0000)を追加低屈折率層36A上で掃引させる(往復10回、ストローク100mm)場合であっても掃引後の追加低屈折率層36Aに擦傷痕が視認されない程度の耐擦傷性を有している。
【0110】
また一般に、光屈折率と反射率との間には、光屈折率が小さいほど反射率が低くなるという対応関係があることが知られている。従って、追加低屈折率層36Aの反射率が低屈折率層31の反射率よりも高くなるよう追加低屈折率層36Aを構成することにより、追加低屈折率層36Aの耐擦傷性を低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くすることもできる。例えば、低屈折率層31の反射率が1%以下であり、追加低屈折率層36Aの反射率が1〜2%の範囲内となるよう、低屈折率層31および追加低屈折率層36Aが構成されていてもよい。
【0111】
(変形例)
上述のように耐擦傷性が高められた追加低屈折率層36Aを有する追加反射防止膜35が用いられる場合、表示部側における表示用前面板40の耐擦傷性が追加低屈折率層36Aによって十分に確保される。従って、追加低屈折率層36Aを有する追加反射防止膜35が用いられる場合、図15に示すように、透明基板20と追加反射防止膜35との間に追加緩衝層65が設けられていなくてもよい。これによって、表示用前面板40の製造工程において追加緩衝層65の形成工程を削減することができる。このことにより、表示部側における表示用前面板40の耐擦傷性を確保しながら、表示用前面板40の生産性を向上させることができる。
【0112】
なお本実施の形態およびその変形例において、追加反射防止膜35が追加低屈折率層36Aのみからなる形態を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第4の実施の形態の変形例の場合と同様に、追加反射防止膜35が追加高屈折率層37をさらに有していてもよい。同様に、反射防止膜30が高屈折率層32をさらに有していてもよい。これによって、反射防止膜30および追加反射防止膜35が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。
また上述の第5の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側または追加反射防止膜35の表示部側に接着層100が設けられていてもよい。これによって、表示用前面板40とその他の部材とを組み合わせる作業を容易化することができる。また上述の第5の実施の形態の変形例の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層100の観察者側に保護層105が設けられていてもよい。
【0113】
第7の実施の形態
次に図16乃至図20を参照して、本発明の第7の実施の形態について説明する。図16乃至図20に示す本実施の形態は、表示装置の表示部がタッチパネルセンサを有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。図16乃至図20に示す第7の実施の形態において、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0114】
表示装置
図16に示すように、表示装置70は、表示部50と、表示部50に対して観察者側に配置された表示用前面板40と、を備えている。表示用前面板40としては、上述の第1乃至第6の実施の形態において示される表示用前面板40のいずれかが適宜用いられる。また表示部50は、図16に示すように、映像を表示するための光を観察者側に放射する表示ユニット151と、表示ユニット151の観察者側に設けられ、表示装置70が観察者側からタッチされる際のタッチ箇所を検出するタッチパネルセンサ110と、を有している。表示ユニット151としては、上述の各実施の形態の場合と同様に、LCD、PDP、有機EL、無機ELまたは電界放射型などの様々なタイプのものが用いられ得る。
【0115】
なお、表示用前面板40と表示部50とを強固に密着させることが望まれる場合、好ましくは、表示部側の最外面に位置する接着層100を有する表示用前面板40が用いられる。これによって、表示用前面板40と表示部50とを強固に密着させ、このことにより、表示用前面板40と表示部50との間にエアギャップが生じるのを防ぐことができる。
【0116】
若しくは、図17に示すように、表示部50が、タッチパネルセンサ110の観察者側に設けられた接着層101をさらに有していてもよい。表示部50がこのような接着層101を予め有することにより、表示部50と表示用前面板40とを強固に密着させることができ、かつ、表示部50と表示用前面板40とを組み合わせる作業を容易化することができる。
【0117】
タッチパネルセンサ
次に、表示部50のタッチパネルセンサ110について詳細に説明する。表示部50に包含されるタッチパネルセンサ110のタイプが特に限られることはなく、様々なタイプのタッチパネルセンサ110が適宜用いられ得る。例えば、被検出体からの圧力に基づいてタッチ箇所を検出する抵抗膜方式のタッチパネルセンサや、人体などの被検出体からの静電気に基づいてタッチ箇所を検出する静電容量方式のタッチパネルセンサが用いられ得る。
【0118】
その他にも、光センサ方式、マトリクス・スイッチ方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式など、様々な方式のタッチパネルセンサが用いられ得る。このうち光センサ方式のタッチパネルセンサは、光を受光して光電変換する光センサと、光センサよりも観察者側に光センサと対向するよう設けられ、特定波長域の光を選択的に透過させる選択透過層と、を有している。この場合、光センサは主として、選択透過層を透過した特定波長域の光を受光する。そして、指などの被検出体からの反射光を光センサが検出することにより、被検出体が表示装置70に観察者側からタッチしたことが検知される。なお、このような光センサ方式のタッチパネルセンサにおいては、被検出体からの反射光に基づいてタッチ箇所が検出されるため、被検出体が指などの人体に限られることはなく、様々な物体のタッチ箇所を検出することが可能となる。このような光センサ方式のタッチパネルセンサのさらなる詳細は、例えば特開2009−151039号公報、特開2007−192713号公報などに記載されている。
【0119】
(静電容量方式のタッチパネルセンサ)
次に図18A乃至図18Cを参照して、タッチパネルセンサ110が静電容量方式のものである場合の、タッチパネルセンサ110の構成の一例について説明する。図18Aは、静電容量方式のタッチパネルセンサ110を示す平面図であり、図18Bは,図18Aのタッチパネルセンサ110をXVIIIB−XVIIIB方向から見た断面図であり、図18Cは,図18Aのタッチパネルセンサ110をXVIIIC−XVIIIC方向から見た断面図である。
【0120】
図18A乃至図18Cに示すように、静電容量方式のタッチパネルセンサ110は、タッチパネルセンサ用基板116と、タッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に所定のパターンで設けられた複数のx透明導電パターン111およびy透明導電パターン112とを有している。図18Aに示すように、x透明導電パターン111はx方向に延びており、またy透明導電パターン112はx方向に直交するy方向に延びている。
【0121】
各x透明導電パターン111は、略正方形の形状を有する複数のx電極単位111aと、隣接するx電極単位111a間をx方向において接続するx接続部111bと、を有している。このようなx透明導電パターン111により、被検出体のタッチ箇所のy方向における位置が検出される。また、各y透明導電パターン112は、略正方形の形状を有する複数のy電極単位112aと、隣接するy電極単位112a間をy方向において接続するy接続部112bと、を有している。このようなy透明導電パターン112により、被検出体のタッチ箇所のx方向における位置が検出される。
【0122】
またタッチパネルセンサ用基板116上には、所定のパターンで設けられ、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112にそれぞれ電気的に接続された取出配線113および取出配線114と、取出配線113および取出配線114に接続され、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112からの信号を外部へ取り出すための端子部115と、が設けられている。
【0123】
タッチパネルセンサ110においては、上述の各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115の組合体により、タッチ位置を検出するとともに検出信号を外部へ取り出すというタッチパネル機能を実現するセンサ部120が構成されている。
【0124】
次に、タッチパネルセンサ110の各構成要素の材料について説明する。各x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112は、映像を表示させるための表示領域に配置される。このため各x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112は、導電性および透明性を有する材料、例えばITOなどから構成される。一方、取出配線113、取出配線114および端子部115は、表示領域の周縁に位置する非表示領域に配置される。このため、取出配線113、取出配線114および端子部115を構成する材料が透明性を有する必要はない。従って取出配線113、取出配線114および端子部115は一般に、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112の材料よりも高い電気伝導率を有する金属材料から構成される。
【0125】
タッチパネルセンサ用基板116の材料は、各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115を支持するとともに、透明性を有する限り特に限定されない。例えばタッチパネルセンサ用基板116の材料として、透明性を有するガラスやポリマーなどが用いられる。
【0126】
図18Bおよび図18Cに示すように、各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115を含むセンサ部120は、タッチパネルセンサ用基板116上にITOや金属材料などを積層させることにより形成される。なお図18Bおよび図18Cに示すように、x接続部111bとy接続部112bとが電気的に接続されることを防ぐため、x接続部111bとy接続部112bとの間に絶縁層117が介在されていてもよい。また、図18Bおよび図18Cにおいて一点鎖線で示されているように、各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115を保護するための保護層119が設けられていてもよい。保護層119としては、透明性および絶縁性を有する樹脂材料などが適宜用いられる。
【0127】
本実施の形態によれば、表示装置70の表示部50がタッチパネルセンサ110を有している。このため、表示装置70にタッチパネル機能を付与することができる。また表示部50のタッチパネルセンサ110の観察者側には、上述の第1乃至第6の形態による表示用前面板40が設けられている。このため、表示用前面板40によってタッチパネルセンサ110を適切に保護することができ、かつ、表示装置70の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0128】
なお上述の例においては、センサ部120がタッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、センサ部120がタッチパネルセンサ用基板116の表示部側の面上に設けられていてもよい。
また、センサ部120の各構成要素の一部分がタッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に設けられ、センサ部120の各構成要素のその他の部分がタッチパネルセンサ用基板116の表示部側の面上に設けられていてもよい。例えば、x透明導電パターン111がタッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に設けられ、y透明導電パターン112がタッチパネルセンサ用基板116の表示部側の面上に設けられていてもよい。
【0129】
(変形例)
図19に示すように、タッチパネルセンサ110は、タッチパネルセンサ用基板116およびセンサ部120に加えて、センサ部120により検出された信号を処理するための信号処理部125をさらに有していてもよい。信号処理部125は、例えば、プリント基板と、プリント基板上に設けられ、センサ部120からの信号に基づいてタッチ箇所を解析する処理用ICとを含んでいる。また、電気信号を外部に取り出すため配線が信号処理部125に含まれていてもよい。このような配線は、例えばフレキシブル基板から構成されていてもよい。
信号処理部125は、例えば図18Aにおいて一点鎖線で示されているように、センサ部120の端子部115に接続される。
【0130】
また図20に示すように、タッチパネルセンサ110が信号処理部125をさらに有し、かつ、タッチパネルセンサ110と表示用前面板40との間に接着層101が設けられていてもよい。
【0131】
第8の実施の形態
次に図21乃至図33を参照して、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、上述の各実施の形態における表示装置の表示部がLCDタイプのものである場合の具体的な構成例について説明する。図21乃至図34に示す第8の実施の形態において、上述の各実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0132】
図21は、LCDタイプの表示部50を備えた表示装置70の一例を示す図である。図21に示すように、表示部50は、LCDタイプの表示ユニット151と、表示ユニット151の観察者側に設けられたタッチパネルセンサ110とを有している。
【0133】
(表示ユニット)
表示ユニット151は、バックライトユニット158と、バックライトユニット158の観察者側に設けられた光源側偏光板156と、光源側偏光板156の観察者側に設けられたLCDパネル155と、LCDパネル155の観察者側に設けられた観察者側偏光板154と、を有している。バックライトユニット158としては、蛍光管やLEDなど様々なタイプの光源が用いられ得る。また、蛍光管やLEDなどの外側(観察者側と反対の側)に、蛍光管やLEDなどからの光を反射する反射板がさらに包含されていてもよい。観察者側偏光板154および光源側偏光板156としては、LCDタイプの表示部において周知の偏光板が適宜用いられ得る。なお図示はしないが、表示装置70の各構成要素間には接着層が介在されていてもよい。
【0134】
(LCDパネル)
LCDパネル155は、図22に示すように、TFT基板210と、TFT基板210の観察者側に設けられたカラーフィルタ200と、TFT基板210とカラーフィルタ200との間に充填された液晶層215と、を含んでいる。TFT基板210は、図示はしないが、各々が表示装置70の単位画素に対応し、液晶215に所定の電圧を印加して液晶層215の状態を制御する複数の液晶駆動部を含んでいる。またカラーフィルタ200は、カラーフィルタ用基板201と、カラーフィルタ用基板201上に所定パターンで設けられたブラックマトリクス層202と、ブラックマトリクス層202間に設けられた複数色の着色層203と、を含んでいる。
【0135】
カラーフィルタ用基板201の材料は、ブラックマトリクス層202および着色層203を適切に支持するとともに、透明性を有する限り特に限定されない。例えばカラーフィルタ用基板201の材料として、透明性を有するガラスやポリマーなどが用いられる。
【0136】
本実施の形態によれば、LCDタイプの表示装置70は、表示部50と、表示部50の観察者側に設けられた表示用前面板40とを備えている。このため、LCDタイプの表示装置70の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0137】
また本実施の形態によれば、表示部50はタッチパネルセンサ110を有している。このため、LCDタイプの表示装置70にタッチパネル機能を付与することができる。
【0138】
(変形例)
なお本実施の形態において、図23に示すように、表示ユニット151が、光源側偏光板156とバックライトユニット158との間に設けられた光学補償フィルム157をさらに含んでいてもよい。光学補償フィルム157は、例えば、位相差フィルム、輝度向上フィルムまたは導光板などからなっている。このような光学補償フィルム157をさらに設けることにより、バックライトユニット158から光源側偏光板156に入射される光の品質をより高くすることができる。なお光学補償フィルム157は、バックライトユニット158とは別途の構成要素となっていてもよく、または、バックライトユニット158に含まれる構成要素となっていてもよい。
【0139】
(中間製品)
なお上述の本実施の形態およびその変形例において、バックライトユニット158を含む表示ユニット151がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、表示ユニット151が形成されるよりも前の段階で、表示ユニット151の各構成要素、例えば観察者側偏光板154やLCDパネル155がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされてもよい。
【0140】
例えば図24に示すように、観察者側偏光板154およびLCDパネル155がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
また図25に示すように、観察者側偏光板154,LCDパネル155および光源側偏光板156がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
また図26に示すように、観察者側偏光板154,LCDパネル155,光源側偏光板156および光学補償フィルム157がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
【0141】
(タッチパネルセンサの配置の変形例)
また上述の本実施の形態およびその変形例において、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151とは別個の構成要素となっており、かつ、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151のLCDパネル155の観察者側に設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151に包含され、かつ、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154とLCDパネル155との間に設けられていてもよい。
【0142】
図27乃至図31は、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154とLCDパネル155との間に設けられる形態の例を示す図である。図27乃至図31に示す形態はそれぞれ、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154とLCDパネル155との間に設けられている点が異なるのみであり、他の構成は、図21,図23乃至図26に示す形態と略同一である。
【0143】
なお「タッチパネルセンサ110が表示ユニット151とは別個の構成要素となっている」とは、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151とは別個に取引、搬送などされることを意味している。また、「タッチパネルセンサ110が表示ユニット151に包含されている」とは、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151と同時に取引、搬送などされることを意味している。
【0144】
(タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの例)
また上述の本実施の形態およびその変形例において、タッチパネルセンサ110がLCDパネル155のカラーフィルタ200とは別個の構成要素となっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネルセンサがカラーフィルタ200と一体に形成されていてもよい。なお「タッチパネルセンサがカラーフィルタと一体に形成される」とは、以下に図32を参照して説明するように、タッチパネルセンサ用の基板とカラーフィルタ用の基板とが共通になっていることを意味している。
【0145】
図32は、タッチパネル機能を有するタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aを示す図である。図32に示すように、カラーフィルタ200Aは、カラーフィルタ用基板201と、カラーフィルタ用基板201の観察側に設けられたセンサ部120と、カラーフィルタ用基板201の表示部側に設けられたブラックマトリクス層202および着色層203と、を有している。ここでセンサ部120は、図16乃至図20に示す第7の実施の形態におけるセンサ部120と略同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0146】
本変形例においては、LCDパネル155Aがタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aを有することにより、LCDパネル155Aにタッチパネル機能が付与されている。図33は、タッチパネル機能を有するLCDパネル155Aを備えた表示装置70を示す図である。
【0147】
本変形例によれば、上述のように、タッチパネルセンサがカラーフィルタと一体に形成される。これによって、表示装置70により簡易にタッチパネル機能を付与することができる。また、カラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とが別体で構成される場合に比べて、タッチパネルセンサ用の基板を不要にすることができる。従って、タッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aを用いてタッチパネル機能付きの表示装置70を構成する場合、タッチパネルセンサ用の基板の分だけ表示装置70の厚みおよび重量を低減することができる。
なお、カラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とが別体で構成される場合、カラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とが接着層などにより貼り合わされることが考えられる。このため、接着層の分だけタッチパネルセンサ110における光の透過率が低下することが考えらえる。一方、本変形例によれば、タッチパネルセンサとカラーフィルタとを一体に形成することにより、貼り合わせのための接着層が不要となっている。これによって、光の透過率を向上させることができる。また、接着層を用いてカラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とを貼り合わせる工程が不要となる。これによって、製造の工数を削減するとともに、貼り合わせの際に生じうる不具合を回避することができる。例えば、貼り合わせの際に気泡などが混入し、これによって歩留りが低下するというような懸念をなくすことができる。
【0148】
なお本明細書において、「表示装置70/表示部50/表示ユニット151がタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む」とは、表示装置70/表示部50/表示ユニット151が、独立して取引、搬送などされ得るタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む場合だけでなく、カラーフィルタなどの表示装置70/表示部50/表示ユニット151の所定の構成要素にセンサ部120が包含されている場合も含む概念となっている。
【0149】
第9の実施の形態
次に図34および図35を参照して、本発明の第9の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、上述の第1乃至第7の実施の形態における表示装置の表示部が有機ELまたは無機ELタイプのものである場合の具体的な構成例について説明する。図34および図35に示す第9の実施の形態において、上述の各実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0150】
図34は、有機ELまたは無機ELタイプの表示部50を備えた表示装置70の一例を示す図である。図34に示すように、表示部50は、有機ELまたは無機ELタイプの表示ユニット151と、表示ユニット151の観察者側に設けられたタッチパネルセンサ110とを有している。
【0151】
(表示ユニット)
表示ユニット151は、反射電極層164と、反射電極層164の観察者側に設けられ、有機発光材料または無機発光材料からなる発光層163と、発光層163の観察者側に設けられたカラーフィルタ200と、カラーフィルタ200の観察者側に設けられた観察者側偏光板154と、を有している。なお図示はしないが、表示装置70の各構成要素間には接着層が介在されていてもよい。
【0152】
本実施の形態によれば、有機ELまたは無機ELタイプの表示装置70は、表示部50と、表示部50の観察者側に設けられた表示用前面板40とを備えている。このため、有機ELまたは無機ELタイプの表示装置70の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0153】
また本実施の形態によれば、表示部50はタッチパネルセンサ110を有している。このため、有機ELまたは無機ELタイプの表示装置70にタッチパネル機能を付与することができる。
【0154】
(中間製品)
なお上述の本実施の形態において、反射電極層164を含む表示ユニット151がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、表示ユニット151が形成されるよりも前の段階で、表示ユニット151の各構成要素、例えば観察者側偏光板154やカラーフィルタ200がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされてもよい。
【0155】
例えば図35に示すように、観察者側偏光板154,カラーフィルタ200および発光層163がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
【0156】
また本実施の形態においても、図32および図33に示す形態の場合と同様に、タッチパネル機能を有するタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aが用いられてもよい。これによって、表示装置70により簡易にタッチパネル機能を付与することができる。
【0157】
また本実施の形態においても、図27乃至図31に示す形態の場合と同様に、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154の表示部側に設けられていてもよい。
【0158】
第10の実施の形態
次に図36乃至図40を参照して、本発明の第10の実施の形態について説明する。図36乃至図40に示す本実施の形態は、表示用前面板がタッチパネルセンサを有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。図36乃至図40に示す第10の実施の形態において、図1乃至図4(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0159】
表示用前面板
図36に示すように、表示用前面板40Aは、透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた緩衝層60と、緩衝層60の観察者側に設けられた反射防止膜30と、透明基板20の表示部側に設けられたタッチパネルセンサ110と、を有している。このように本実施の形態においては、表示用前面板40Aがタッチパネルセンサ110を有することにより、表示用前面板40Aにタッチパネル機能が付与されている。
【0160】
図37は、表示部50と、表示部50の観察者側に設けられ、タッチパネルセンサ110を有する表示用前面板40Aと、を備えた表示装置70を示す図である。本実施の形態によれば、タッチパネル機能付きの表示用前面板40Aを用いることにより、表示装置70にタッチパネル機能をより簡易に付与することができ、かつ、表示装置70の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0161】
ところで、図36に示す表示用前面板40Aにおいては、透明基板20に直接的にタッチパネルセンサ110が接している。この場合、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間にエアギャップが生じることが考えられ、このエアギャップに起因して透明基板20の表示部側で光の反射が生じることが考えられる。以下、このような光の反射を防ぐための変形例について説明する。
【0162】
(第1の変形例)
図38は、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間に接着層100が設けられる例を示す図である。このような接着層100を設けることにより、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間にエアギャップが生じるのを防ぐことができ、これによって、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0163】
(第2の変形例)
図39は、透明基板20の表示部側に追加緩衝層65および追加反射防止膜35が設けられる例を示す図である。図39に示す形態においては、追加低屈折率層36からなる追加反射防止膜35を設けることにより、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐことができる。また追加緩衝層65を設けることにより、追加反射防止膜35が損傷するのを防ぐことができる。
【0164】
(第3の変形例)
図40は、透明基板20の表示部側に追加低屈折率層36Aからなる追加反射防止膜35が設けられる例を示す図である。追加低屈折率層36Aは、上述の第6の実施の形態の場合と同様に、耐擦傷性が高められた追加低屈折率層となっている。このような追加低屈折率層36Aを設けることにより、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐことができ、かつ追加緩衝層65を不要とすることができる。
【0165】
(その他の変形例)
なお本実施の形態およびその変形例において、反射防止膜30または追加反射防止膜35が低屈折率層31または追加低屈折率層36,36Aのみからなる形態を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第3および第4の実施の形態の変形例の場合と同様に、反射防止膜30または追加反射防止膜35が高屈折率層32または追加高屈折率層37をさらに有していてもよい。これによって、反射防止膜30および追加反射防止膜35が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。
また上述の第5の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に接着層100が設けられていてもよい。これによって、表示用前面板40Aとその他の部材とを組み合わせる作業を容易化することができる。また上述の第5の実施の形態の変形例の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層100の観察者側に保護層105が設けられていてもよい。
【0166】
また本実施の形態及び変形例において、表示用前面板40Aが、観察者側偏光板154やカラーフィルタ200などをさらに有していてもよい。例えば図41に示すように、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間に観察者側偏光板154が設けられていてもよく、また図42に示すように、タッチパネルセンサ110の表示部側にカラーフィルタ200が設けられていてもよい。また、図示はしないが、図41および図42に示すタッチパネルセンサ110の配置と観察者側偏光板154の配置とが入れ替えられてもよい。
【0167】
第11の実施の形態
次に図43乃至図48を参照して、本発明の第11の実施の形態について説明する。図43乃至図48に示す本実施の形態は、タッチパネルセンサが表示用前面板と一体に形成されている点が異なるのみであり、他の構成は、図36乃至図42に示す第10の実施の形態と略同一である。図43乃至図48に示す第11の実施の形態において、図36乃至図42に示す第10の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0168】
図43は、タッチパネルセンサと一体に形成された表示用前面板40Aを示す図である。図43に示すように、表示用前面板40Aは、透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた緩衝層60と、緩衝層60の観察者側に設けられた反射防止膜30と、透明基板20の表示部側の面上に設けられたセンサ部120と、を有している。ここでセンサ部120は、上述の第7の実施の形態において示したセンサ部120と略同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0169】
ここで「タッチパネルセンサが表示用前面板40Aと一体に形成される」とは、図43に示されているように、タッチパネルセンサ用の基板と表示用前面板用の透明基板とが共通になっていることを意味している。
【0170】
このように本実施の形態によれば、タッチパネルセンサが表示用前面板40Aに一体化されている。これによって、より簡易に表示用前面板40Aにタッチパネル機能を付与することができる。また、タッチパネルセンサ110と表示用前面板40とが別体で構成される場合に比べて、タッチパネルセンサ用の基板を不要にすることができる。従って、表示用前面板40Aを用いてタッチパネル機能付きの表示装置70を構成する場合、タッチパネルセンサ用の基板の分だけ表示装置70の厚みおよび重量を低減することができる。
【0171】
また本実施の形態によれば、透明基板20の表示部側の面がセンサ部120によって覆われている。従って、透明基板20の表示部側の面にエアギャップが形成されることはない。このため、上述の第10の実施の形態の場合のように透明基板20の表示部側に接着層100などを設けることなく、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐことができる。すなわち本実施の形態によれば、表示用前面板40Aにタッチパネル機能を付与するだけでなく、同時に、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐこともできる。
また、センサ部120と透明基板20との間に接着層100が介在されないようにすることにより、センサ部120の感度を向上させるとともに、光の透過率を向上させることができる。また、接着層100を介して透明基板20とタッチパネルセンサ110とを貼り合わせる工程が不要となり、これによって、製造の工数を削減するとともに、貼り合わせの際に生じうる不具合を回避することができる。例えば、貼り合わせの際に気泡などが混入し、これによって歩留りが低下するというような懸念をなくすことができる。
【0172】
なお本明細書において、「表示用前面板40Aがタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む」とは、表示用前面板40Aが、独立して取引、搬送などされ得るタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む場合だけでなく、表示用前面板40Aの透明基板20上にセンサ部120が形成されている場合も含む概念となっている。
【0173】
(変形例)
なおタッチパネルセンサと一体に形成された表示用前面板40Aの形態が図43に示す形態に限られることはなく、その他の様々な形態が考えられ得る。例えば図44に示すように、センサ部120の表示部側に接着層100が設けられていてもよい。また図45および図46に示すように、センサ部120に信号処理部125が取り付けられていてもよい。また図47に示すように、センサ部120の表示部側に観察者側偏光板154が設けられていてもよい。また図48に示すように、観察者側偏光板154の表示部側にカラーフィルタ200がさらに設けられていてもよい。またセンサ部120が透明基板20の表示部側の面上に形成されている例を示したが、これに限られることはなく、センサ部120が透明基板20の観察者側の面上に形成されていてもよい。
【0174】
(その他の変形例)
また本実施の形態およびその変形例において、反射防止膜30が低屈折率層31のみからなる形態を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第3の実施の形態の変形例の場合と同様に、反射防止膜30が高屈折率層32をさらに有していてもよい。これによって、反射防止膜30が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。また、上述の第4の実施の形態の場合と同様に、表示用前面板40Aが追加緩衝層65と追加反射防止膜35とをさらに備えていてもよい。また上述の第6の実施の形態の場合と同様に、耐擦傷性が高められた追加低屈折率層36Aが追加反射防止膜35に包含される場合、追加緩衝層65が設けられていなくてもよい。
また上述の第5の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に接着層100が設けられていてもよい。これによって、表示用前面板40Aとその他の部材とを組み合わせる作業を容易化することができる。また上述の第5の実施の形態の変形例の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層100の観察者側に保護層105が設けられていてもよい。
【0175】
また本実施の形態の変形例において、タッチパネル機能付きの表示用前面板40Aが観察者側偏光板154やカラーフィルタ200をさらに有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネル機能を有さない表示用前面板40が観察者側偏光板154やカラーフィルタ200をさらに有していてもよい。
【0176】
また本実施の形態およびその変形例において、緩衝層60が透明基板20の観察者側に設けられ、センサ部120が透明基板20の表示部側に設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図51Aに示すように、緩衝層60およびセンサ部120がいずれも透明基板20の一方の側に設けられていてもよい。例えば、緩衝層60およびセンサ部120がいずれも透明基板20の観察者側に設けられていてもよく、若しくは、緩衝層60およびセンサ部120がいずれも透明基板20の表示部50側に設けられていてもよい。
【0177】
図51Aに示す表示用前面板40の緩衝層60およびセンサ部120の一形態例について、図51Bを参照して説明する。図51Bに示すように、透明基板20の一方の側には、透明基板20の一方の側の面上に形成されたx透明導電パターン111を含むセンサ部120と、センサ部120を覆うよう配置された緩衝層60と、が設けられている。ここで緩衝層60は、図51Bに示すように、透明基板20の一方の側の面に部分的に接触している。すなわち本変形例においても、緩衝層60は、透明基板20の面上に直接的に設けられている。
【0178】
また上記第5乃至第11の実施の形態においても、図10に示される形態のように、表示用前面板40,40Aの観察者側の非表示領域内に意匠層10が形成されていてもよい。
また、上記各実施の形態による表示用前面板40,40Aの観察者側の非表示領域内に形成される意匠層10が、各種のセンサとしての機能を有していてもよい。例えば、意匠層10が光センサとしての機能を有していてもよい。意匠層10が光センサとしての機能を有している場合、意匠層10が、タッチパネルセンサや近接センサなどとして用いられ得るようになる。
近接センサとは、物体が近づいたことを、物体と接触することなく感知することができるセンサである。このような近接センサがスイッチとして用いられる場合、スイッチがあるということが第3者に認識されることなくスイッチとしてのオンオフ切替機能を発揮することが可能となる。例えばタッチパネルセンサ付き携帯電話機等では、人が通話をしようとして耳を携帯電話機等に近づけると、近接センサは、携帯電話機等に耳が近づいたことを感知する。これによって、自動的にタッチパネルディスプレイのオンオフを切り替えることができ、このような仕組みにより、消費電力を節約することができる。また、仮に耳が近づいているときに顔がタッチパネルセンサに接触したとしても、その接触がタッチパネルセンサを用いた操作を目的とするものではないという判断をすることが可能となり、これによって誤動作を防ぐことができる。
近接センサは、近くに物体が存在するかどうかだけでなく、物体までの距離を確認することもできる。このため、例えばデジタルサイネージ用ディスプレイで近接センサが用いられる場合、人が所定の距離まで近づいた場合にのみ電源をオンすることが可能となる。さらに、年齢や性別などを判断するソフトと組み合わせることで、最適な情報を提供することが可能となる。
【0179】
(透明基板の変形例)
また上記各実施の形態において、透明基板20としてガラスが用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、透明基板20として、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリルなどのプラスチック基板を用いてもよい。
また、透明基板20としてガラスが用いられる場合、様々なタイプのガラスが用いられ得る。例えば、ソーダガラスやホウケイ酸ガラスなどのアルカリガラスを用いてもよく、または無アルカリガラスを用いてもよい。また、ガラスの表面に化学強化層が設けられた化学強化ガラスが用いられてもよい。ここで化学強化層とは、ガラス中のナトリウムをカリウムに置換することにより形成される層である。このような化学強化層をガラスの表面に形成することにより、透明基板20に何らかの衝撃が加えられた場合に透明基板20が割れてしまうことを抑制することができる。なお、このような化学強化層の厚みが特に限られることはなく、求められる特性に応じて化学強化層の厚みが適宜設定される。例えば、ガラスにある程度の強度を付与しながら、ガラスの切断性および生産性も確保される必要がある場合、化学強化層の厚みが約5〜10μmの範囲内に設定される。また、ガラスにさらに高い強度を付与することが求められる場合、化学強化層の厚みは、約10〜35μmの範囲内に設定されてもよく、35μm以上に設定されてもよい。なお、化学強化層の厚みが約10〜35μmの範囲内となっている場合は、ガラスはある程度の切断性を有している。一方、化学強化層の厚みが35μm以上となっている場合は、仮にダイヤモンドカッターなどの高性能の切断手段が用いられる場合であっても、ガラスを切断することが困難になる。従って、化学強化層の厚みを35μm以上にすることが求められる場合、好ましくは、所望の形状に切り出された後のガラスにイオン交換処理を施すことにより、ガラスの表面に化学強化層が形成される。
このように表面に化学強化層が形成されたガラスの例としては、例えば、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)などが挙げられる。
【0180】
(低屈折率層の材料の変形例)
また上記各実施の形態において、表示用前面板40のうち観察者側の最外面に位置する層、例えば低屈折率層31や保護層105が、汚れの付着を防止する防汚層としての機能をさらに有していてもよい。防汚層としての機能とは、例えば、人の手が触れることにより付着する油脂成分である指紋に対する耐指紋性、雨水に対する撥水性、汚れの拭取り性に対する滑り性、さらにはマジックを用いた落書きに対する耐マジック性などである。低屈折率層31や保護層105に防汚層としての機能を付与する方法としては、例えば、低屈折率層31や保護層105に所定の割合でケイ素元素、炭素元素およびフッ素元素を含有させることが挙げられる。
【0181】
(緩衝層および低屈折率層のより好ましい形成方法)
また上記各実施の形態において、緩衝層60が、緩衝層60の材料を含む塗布液を透明基板20上に塗布することにより形成される例、および、シート状またはフィルム状の緩衝層60を準備し、これを接着剤やテープなどの接着層を介して透明基板20上に貼り付けることにより形成される例を示した。これら2種類の方法のうち、好ましくは、緩衝層60の材料を含む塗布液を透明基板20上に塗布することにより緩衝層60を形成する方法が用いられる。理由は以下のとおりである。
緩衝層60が接着層を介して透明基板20に貼り合わされる場合、はじめに、基材となるシートまたはフィルムを準備し、次に、緩衝層60の材料を含む塗布液をシートまたはフィルム上に塗布し、これによってシート状またはフィルム状の緩衝層60を作製する。この場合、表示用前面板の製造工程において、シート状またはフィルム状の緩衝層60を透明基板20に貼る作業が発生することになる。この場合、シート状またはフィルム状の緩衝層60を透明基板20に貼る際に異物や気泡などが混入し、これによって歩留りが低下するということが考えられる。さらに、緩衝層60を支持するシートまたはフィルム、および、シート状またはフィルム状の緩衝層60と透明基板20とを貼り合わせるための接着層の分だけ、表示用前面板の重量および厚みが増加することや、表示用前面板における光の透過率が低下することも考えられる。また、シート状またはフィルム状の緩衝層60には一般にうねりがあるため、このうねりにより表示用前面板の見た目が不均一になってしまうことも考えられる。
これに対して、緩衝層60の材料を含む塗布液を透明基板20上に塗布することにより緩衝層60を形成する場合、シート状またはフィルム状の緩衝層60を透明基板20上に貼り付ける工程を削減することができる。これによって、製造の工数を削減するとともに、貼り合わせの際に生じうる上述の不具合を回避することができる。また、緩衝層60を支持するシートまたはフィルム、および、貼り合わせのための接着層を不要にすることにより、シートまたはフィルムおよび接着層の分だけ表示用前面板の重量および厚みが増加することや、シートまたはフィルムおよび接着層の分だけ表示用前面板における光の透過率が低下することを防ぐことができる。すなわち、緩衝層60を透明基板20に直接的に設けることにより、シート状またはフィルム状の緩衝層60が用いられる場合に比べて、表示用前面板の光の透過率を高くすることができる。また、シート状またはフィルム状の緩衝層60のうねりに起因して表示用前面板の見た目が不均一になることを防ぐことができる。
【0182】
また上記各実施の形態において、低屈折率層31が、低屈折率層31の材料を含む塗布液を緩衝層60上に塗布することにより形成される例、および、シート状またはフィルム状の低屈折率層31を準備し、これを接着剤やテープなどの接着層を介して緩衝層60上に貼り付けることにより形成される例を示した。これら2種類の方法のうち、好ましくは、緩衝層60の場合と同様に、低屈折率層31の材料を含む塗布液を緩衝層60上に塗布することにより低屈折率層31を形成する方法が用いられる。これによって、緩衝層60の場合と同様に、基材となるシートまたはフィルムに低屈折率層31の材料を含む塗布液を塗布することによって作製されたシート状またはフィルム状の低屈折率層31を透明基板20上に貼り付ける工程を削減することができる。これによって、製造の工数を削減するとともに、貼り合わせの際に生じうる上述の不具合を回避することができる。また、低屈折率層31を支持するシートまたはフィルム、および、貼り合わせのための接着層を不要にすることにより、シートまたはフィルムおよび接着層の分だけ表示用前面板の重量および厚みが増加することや、シートまたはフィルムおよび接着層の分だけ表示用前面板における光の透過率が低下することを防ぐことができる。すなわち、低屈折率層31を緩衝層60に直接的に設けることにより、シート状またはフィルム状の低屈折率層31が用いられる場合に比べて、表示用前面板の光の透過率を高くすることができる。また、シート状またはフィルム状の低屈折率層31のうねりに起因して表示用前面板の見た目が不均一になることを防ぐことができる。
【0183】
また上記各実施の形態において、緩衝層60を支持する支持部材が透明基板20によって構成される例を示した。特に、緩衝層60が透明基板20の面上に直接的に設けられる例について重点的に説明した。しかしながら、これに限られることはなく、緩衝層60を支持する支持部材が、透明基板20以外の部材または層をさらに含み、また、当該部材または層の上に緩衝層60が設けられていてもよい。例えば、図52Aに示すように、透明基板20を含む支持部材20Aが、透明基板20上に設けられた不可視化層21をさらに有し、この不可視化層21上に緩衝層60およびセンサ部120が設けられていてもよい。
【0184】
一般に、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112は、透明基板20に比べて高い光屈折率を有するITOなどから構成されており、この場合、透明基板20とx透明導電パターン111およびy透明導電パターン112との間の光屈折率の差に起因して、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112の存在が観察者から視認されやすくなる。ここで図52Aに示す例によれば、透明基板20とx透明導電パターン111との間に不可視化層21を介在させることにより、x透明導電パターン111が設けられている領域と、x透明導電パターン111が設けられていない領域との間での光の透過率および反射率の差を小さくすることができる。このことにより、x透明導電パターン111の存在が観察者から視認されることを防ぐことができる。このような不可視化層21は、例えば、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112を構成するITOなどの材料よりも高い光屈折率を有する材料を用いることによって構成され得る。
【0185】
また図52Bに示すように、透明基板20を含む支持部材20Aが、透明基板20上に設けられたガード層22をさらに有し、このガード層22上に緩衝層60が設けられていてもよい。ここでガード層22は、表示用前面板40を製造する際に発生し得る静電気を適切に逃がすための層であり、例えば、導電性および透明性を有するITOなどから構成されている。
【0186】
なお上述のように支持部材20Aが透明基板20以外の層や部材をさらに含む場合であっても、好ましくは、緩衝層60は、支持部材20Aの観察者側または表示部側の面上に直接的に設けられる。この目的のため、例えば緩衝層60は、緩衝層60の材料を含む塗布液を支持部材20A上に塗布することにより形成される。これによって、支持部材20Aと緩衝層60との間にシートまたはフィルムを介在させることなく、支持部材20A上に設けられた緩衝層60を得ることができる。
低屈折率層31が破断することや、低屈折率層31に凹みが形成されたままとなるのを防ぐことができる。
【0187】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0188】
(実施例)
以下、4種類の反射防止膜30を準備し、各反射防止膜30に対して耐擦傷性の試験を行った結果について説明する。
【0189】
はじめに透明基板20を準備した。次に、緩衝層60用の材料として、組成の異なる4種類の材料(材料1〜4)を準備した。各材料は、緩衝層60の材料として上述したウレタンアクリレートなどのポリマーに、所定のモノマーを配合することにより得られたものである。なお、得られる4種類の緩衝層60のビッカース硬さまたは弾性変形量の割合がそれぞれ異なるよう、各材料の組成が適宜調整されている。
【0190】
次に、上述の材料1〜4を含む塗布液を作成し、その後、各塗布液を透明基板20上にそれぞれ塗布した。その後、超高圧水銀ランプを用いて露光量300mJで塗布液を露光し、次に230度で30分間焼成した。これによって、4種類の緩衝層60(第1〜第4の緩衝層60)が形成された。
【0191】
得られた第1〜第4の緩衝層60それぞれに対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込み、上述のビッカース硬さおよび弾性変形量の割合を測定した。結果、第1の緩衝層60においては、ビッカース硬さが70であり、弾性変形量の割合が0.63であった。また第2の緩衝層60においては、ビッカース硬さが58であり、弾性変形量の割合が0.56であった。また第3の緩衝層60においては、ビッカース硬さが64であり、弾性変形量の割合が0.58であった。また第4の緩衝層60においては、ビッカース硬さが64であり、弾性変形量の割合が0.67であった。
【0192】
次に、第1〜第4の緩衝層60それぞれの上に、低屈折率層31用の材料を含む塗布液を塗布した。その後、減圧乾燥を施し、次に、低圧水銀ランプを用いて露光量600mJで塗布液を露光した。これによって、各緩衝層60上に、低屈折率層31からなる反射防止膜30が形成された。
【0193】
得られた4種類の反射防止膜30(第1〜第4の反射防止膜30)に対して、耐擦傷性の試験を行った。具体的には、100gの荷重をかけたスチールウール(No.0000)を、各反射防止膜30上で掃引させた(往復10回、ストローク100mm)。その後、各反射防止膜30に擦傷痕が視認されるか否かについて目視で確認した。結果、擦傷痕は視認されなかった。
【0194】
(比較例)
はじめに透明基板20を準備した。次に、低屈折率層31用の材料を含む塗布液を透明基板20上に塗布した。その後、減圧乾燥を施し、次に、低圧水銀ランプを用いて露光量600mJで塗布液を露光した。これによって、透明基板20上に、低屈折率層31からなる反射防止膜30が形成された。
【0195】
得られた反射防止膜30に対して、上述の実施例の場合と同様にして、耐擦傷性の試験を行った。結果、擦傷痕が視認された。比較例においては、反射防止膜30と透明基板20との間に緩衝層60が設けられていないため、反射防止膜30に印加される応力を緩和することができなかったと考えられる。
【0196】
(追加実施例)
図53に示すように、No.1〜13の13種類の表示用前面板40をさらに準備し、各表示用前面板40の反射防止膜30に対して耐擦傷性の試験を行った結果について説明する。
【0197】
はじめに、その光屈折率が1.51であるガラスからなる透明基板20を準備した。次に、緩衝層60用の材料として、透明基板20の光屈折率との差の絶対値が0.03以下になっている材料を準備した。例えば、その光屈折率が1.52〜1.53である材料を準備した。次に、緩衝層60用の材料を含む塗布液を作製し、その後、塗布液を透明基板20上に塗布した。これによって、透明基板20上に直接的に緩衝層60が設けられた。No.1〜13の各表示用前面板40における、緩衝層60の厚みと、緩衝層60に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さと、その際の緩衝層60の総変形量に対する緩衝層60の弾性変形量の割合と、が図53に示されている。
【0198】
次に、緩衝層60上に、低屈折率層31用の材料を含む塗布液を塗布した。これによって、緩衝層60に直接的に低屈折率層31が設けられた。低屈折率層31としては、図6に示す上述の第2の実施の形態の場合と同様に、バインダー樹脂部31aと、バインダー樹脂部31a内に分散された複数の中空フィラー31bとを含む低屈折率層31を採用した。バインダー樹脂部31aと中空フィラー31bとを含む低屈折率層31全体としての光屈折率は、1.33〜1.34の範囲内となっていた。No.1〜13の各表示用前面板40における低屈折率層31の厚みが、図53に示されている。
【0199】
また比較のため、図53に示すように、No.14の表示用前面板として、緩衝層60を含まない表示用前面板を準備した。
【0200】
No.1〜14の表示用前面板の低屈折率層31に対して、耐擦傷性の試験を行った。具体的には、100gの荷重をかけたスチールウール(No.0000)を、各低屈折率層31上で掃引させた(往復10回、ストローク100mm)。掃引方向に平行する方向および掃引方向に直交する方向におけるスチールウールの寸法はそれぞれ10mmであった。その後、各低屈折率層31に擦傷痕が視認されるか否かについて目視で確認した。結果を図53に示す。なお図53に示す評価結果において、「S」は、擦傷痕が視認されなかったことを意味しており、「A」,「B」および「C」は、それぞれ1〜10本、11〜20本および21〜30本の擦傷痕が視認されたことを意味している。また「D」は、31本以上の擦傷痕が視認されたが、低屈折率層31が剥がれてしまうことはなかったことを意味している。一方「NG」は、低屈折率層31が剥がれてしまったことを意味している。
【0201】
No.1〜13の表示用前面板40における評価結果と、No.14の表示用前面板における評価結果との比較から分かるように、低屈折率層31の光屈折率および厚みよりも大きな光屈折率および厚みを有する緩衝層60を透明基板20と低屈折率層31との間に設けることにより、低屈折率層31が剥がれてしまうことを防ぐことができた。さらに、No.1〜4,6,8〜13の表示用前面板40における評価結果と、No.5,7の表示用前面板40における評価結果との比較から分かるように、緩衝層60の厚みを0.5μm以上とし、かつ、低屈折率層31の厚みを120nm以下、例えば100nm以下とすることにより、形成される擦傷痕の本数を30本以下に抑制することができた。また、No.1〜4,11〜13の表示用前面板40における評価結果と、No.6,8〜10の表示用前面板40における評価結果との比較から分かるように、低屈折率層31の厚みを90〜120nmの範囲内とし、緩衝層60のビッカース硬さを50〜100の範囲内とし、かつ、緩衝層60における総変形量に対する弾性変形量の割合を0.55以上とすることにより、形成される擦傷痕の本数を20本以下に抑制することができた。さらに、No.1〜4,12の表示用前面板40における評価結果と、No.13,14の表示用前面板40における評価結果との比較から分かるように、緩衝層60の厚みを1μm以上とすることにより、形成される擦傷痕の本数を10本以下に抑制することができた。加えて、No.1,4の表示用前面板40における評価結果と、No.2,3,11の表示用前面板40における評価結果との比較から分かるように、緩衝層60のビッカース硬さを60〜90の範囲内とし、かつ、緩衝層60における総変形量に対する弾性変形量の割合を0.60以上とすることにより、擦傷痕が全く形成されないようにすることができた。
【符号の説明】
【0202】
10 意匠層
20 透明基板
30 反射防止膜
31 低屈折率層
31a バインダー樹脂部
31b 中空フィラー
32 高屈折率層
35 追加反射防止膜
36 追加低屈折率層
36A 追加低屈折率層
37 追加高屈折率層
40 表示用前面板
40A タッチパネル機能付き表示用前面板
41 凹部
50 表示部
60 緩衝層
65 追加緩衝層
70 表示装置
80 押圧体
90 表示用前面板
91 破断部
95 表示用前面板
96 凹部
97 緩衝層
100 接着層
101 接着層
105 保護層
110 タッチパネルセンサ
111 x透明導電パターン
111a x電極単位
111b x接続部
112 y透明導電パターン
112a x電極単位
112b x接続部
113 取出配線
114 取出配線
115 端子部
116 タッチパネルセンサ用基板
117 絶縁層
119 保護層
120 センサ部
125 信号処理部
151 表示ユニット
152 液晶ユニット
154 観察者側偏光板
155 LCDパネル
155A タッチパネル機能付きLCDパネル
156 光源側偏光板
157 光学補償フィルム
158 バックライトユニット
163 発光層
164 反射電極層
200 カラーフィルタ
200A タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタ
201 カラーフィルタ用基板
202 ブラックマトリクス層
203 着色層
210 TFT基板
215 液晶層
220 中間製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に対して観察者側に配置される表示用前面板において、
少なくとも透明基板を含む支持部材と、
前記支持部材の観察者側または表示部側に設けられた緩衝層と、
前記緩衝層上に設けられた反射防止膜と、を備え、
前記反射防止膜は、最外面に位置する低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の光屈折率は前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さくなっており、
前記緩衝層の光屈折率は前記低屈折率層の光屈折率よりも大きくなっており、かつ、前記緩衝層の厚みは前記低屈折率層の厚みよりも大きくなっている
ことを特徴とする表示用前面板。
【請求項2】
前記低屈折率層の厚みは90〜120nmの範囲内となっており、
前記緩衝層の厚みは0.5μm以上となっており、
前記緩衝層に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは50〜100の範囲内であり、かつ、その際の前記緩衝層の総変形量に対する前記緩衝層の弾性変形量の割合は0.55以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示用前面板。
【請求項3】
前記緩衝層に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは60〜90の範囲内であり、かつ、その際の前記緩衝層の総変形量に対する前記緩衝層の弾性変形量の割合は0.60以上であることを特徴とする請求項2に記載の表示用前面板。
【請求項4】
前記緩衝層は、前記支持部材の前記透明基板の観察者側に直接的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示用前面板。
【請求項5】
前記反射防止膜は、前記低屈折率層の表示部側に設けられた高屈折率層をさらに有し、
前記高屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも大きくなっていることを特徴とする請求項4に記載の表示用前面板。
【請求項6】
前記緩衝層の光屈折率と前記支持部材の前記透明基板の光屈折率との差の絶対値が0.03以下になっていることを特徴とする請求項4または5に記載の表示用前面板。
【請求項7】
前記支持部材の表示部側に設けられた追加緩衝層と、
前記追加緩衝層の表示部側に設けられた追加反射防止膜と、をさらに備え、
前記追加反射防止膜は、表示部側の最外面に位置する追加低屈折率層を有し、
前記追加低屈折率層の光屈折率は前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さく、かつ、前記追加低屈折率層の厚みは90〜120nmの範囲内となっており、
前記追加緩衝層の厚みは0.5μm以上となっており、
前記追加緩衝層に対して5mNの荷重でビッカース圧子を押し込んだ際のビッカース硬さは50〜100の範囲内であり、かつ、その際の前記追加緩衝層の総変形量に対する前記追加緩衝層の弾性変形量の割合は0.55以上であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の表示用前面板。
【請求項8】
前記前記支持部材の表示部側に設けられた追加反射防止膜をさらに備え、
前記追加反射防止膜は、表示部側の最外面に位置する追加低屈折率層を有し、
前記追加低屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さく、かつ前記反射防止膜の前記低屈折率層の光屈折率よりも大きくなっており、
前記追加低屈折率層の厚みは90〜120nmの範囲内となっていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の表示用前面板。
【請求項9】
前記追加反射防止膜は、前記追加低屈折率層の観察者側に設けられた追加高屈折率層をさらに有し、
前記追加高屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも大きくなっていることを特徴とする請求項7または8に記載の表示用前面板。
【請求項10】
前記緩衝層は、前記支持部材の前記透明基板の表示部側に直接的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示用前面板。
【請求項11】
前記反射防止膜は、前記低屈折率層の観察者側に設けられた高屈折率層をさらに有し、
前記高屈折率層の光屈折率は、前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも大きくなっていることを特徴とする請求項10に記載の表示用前面板。
【請求項12】
前記緩衝層の光屈折率と前記支持部材の前記透明基板の光屈折率との差の絶対値が0.03以下になっていることを特徴とする請求項10または11に記載の表示用前面板。
【請求項13】
センサ部を含むタッチパネルセンサをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の表示用前面板。
【請求項14】
前記センサ部が前記支持部材の前記透明基板の観察者側の面上または表示部側の面上に形成されていることを特徴とする請求項13に記載の表示用前面板。
【請求項15】
映像を表示するための光を観察者側に放射する表示部と、
前記表示部に対して観察者側に配置された表示用前面板と、を備え、
前記表示用前面板は、
少なくとも透明基板を含む支持部材の観察者側または表示部側に設けられた緩衝層と、
前記緩衝層上に設けられた反射防止膜と、を備え、
前記反射防止膜は、最外面に位置する低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の光屈折率は前記支持部材の前記透明基板の光屈折率よりも小さくなっており、
前記緩衝層の光屈折率は前記低屈折率層の光屈折率よりも大きくなっており、かつ、前記緩衝層の厚みは前記低屈折率層の厚みよりも大きくなっている
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51A】
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【図51B】
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【図52A】
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【図52B】
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【図53】
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【図54】
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【公開番号】特開2012−189986(P2012−189986A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274741(P2011−274741)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】