説明

表示画面への画像表示方法

【課題】 表示画面に表示された画像において、目的位置での画像を効率的に表示する。
【解決手段】 表示画面に表示される画像上の目的位置での画像を表示させるための方法であって、目的位置が表示されていない画像を表示画面に表示するステップと、表示画面に表示された画像上で特定された第一の位置と、その表示画像の中心に対して点対称となる第二の位置を設定するステップと、第二の位置を中心として、表示画像の表示倍率を目的位置が確認できる程度の所定の倍率まで小さくしてその画像を表示するステップと、 倍率変更後の表示画像上で、目的位置またはその近傍の指定ポイントを中心として、その表示画像を所定の倍率まで大きくして表示するステップと、を含む方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には表示画面への画像表示方法に関する。本発明は、より詳細には、コンピュータ等の表示画面に表示される地図等の画像上で目的位置の画像を表示させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ技術の進歩およびインターネットの普及により、コンピュータの表示画面に詳細で鮮明な地図画像を表示できるようになった。コンピュータでは、通常各種の画像表示ソフトウエア(ビューワー)が実行されることにより画像が画面に表示される。地図画像は、コンピュータに限られず、カーナビーションシステム、携帯電話などの携帯端末においても同様に表示される。また、従来からCADシステムでは、半導体回路や機械の設計情報(配置、接続)などの画像が表示画面に表示される。さらに、光学式あるいは電子式の顕微鏡では、ミクロな物質の表面状態などが画像として表示画面に表示される。
【0003】
これらの表示画像は、使用される画像表示ソフトウエア(ビューワー)の実行下で、各機器のオペレータの操作により、拡大されたり縮小されたりしながら表示される。すなわち、表示画面に表示される画像の範囲は任意に変更される。今、表示画面に表示された地図画像を想定する。最初に表示された地図画像の表示倍率が大きいとする。すなわち、地図画像が所定の倍率で拡大されているとする。言い換えれば、表示画面に表示される地図の範囲(領域)が狭いとする。次に、その地図画像の現在地(スタート位置)から画面に表示されていない他の目的地を探しながら移動する場合を想定する。
【0004】
その場合、例えば次の2つの従来方法がある。第一の方法は、現状の拡大倍率を変えずに、目的地にたどりつくまで、表示画面に表示される地図画像を順次移動させる。第二の方法は、最初に目的地が表示画面に表示されるまで倍率を小さくして、その後目的地を表示画像の中心にした後、画像を所定の倍率まで拡大する。
【0005】
第一の方法の場合、目的地を見つけるまで何回も画像の移動を繰り返す必要がある。また、移動方向に沿った位置に必ずしも目的地があるとは限らないために、途中で移動方向を変えながら何度も移動を繰り返す必要がある。探す位置(目的地)が不慣れな場所である場合、特に繰り返し回数が増える傾向がある。
【0006】
第二の方法の場合、最初に表示倍率を小さくするので、縮小後の画像での目的地は見つけやすくなる。しかし、画像の倍率を小さく(大きく)する場合、通常ビューワーは、表示画像の中心を基準(仮想中心)として画像を縮小(拡大)する。したがって、縮小前の現在地が表示画像の中央部にある場合、縮小後において、目的地へ向かう方向と反対側の表示領域は、本来見る必要のない無駄な領域となってしまう。すなわち、現在地から目的地の間の領域だけ、あるいはその領域を大部分として、倍率縮小後の画像を表示させることができない。このことは、目的地の画像の倍率を大きくする場合も同様である。すなわち、目的地を表示画像の中央にもってきた場合、その拡大後の画像は最初の現在地(スタート地点)へ向かう方向と反対側の表示領域は本来見る必要のない無駄な領域となってしまう。こうした無駄な表示領域を少なくするためには、倍率変更の中心(仮想中心)の設定と倍率変更を交互に何度も繰り返す必要がある。この問題は、地図画像に限られず、CAD画像や顕微鏡の画像などにおいても同様に起こり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を改善し、表示画面に表示された画像において、目的位置での画像を効率的に表示することである。
【0008】
本発明の目的は、オペレータによって表示倍率を任意に変えることができる表示画像において、現在位置から目的位置へできるだけ少ない作業で移動し、その目的位置での画像を迅速に表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、表示画面に表示される画像上の目的位置での画像を表示させるための方法であって、目的位置が表示されていない画像を表示画面に表示するステップと、表示画面に表示された画像上で特定された第一の位置と、その表示画像の中心に対して点対称となる第二の位置を設定するステップと、第二の位置を中心として、表示画像の表示倍率を目的位置が確認できる程度の所定の倍率まで小さくしてその画像を表示するステップと、 倍率変更後の表示画像上で、目的位置またはその近傍の指定ポイントを中心として、その表示画像を所定の倍率まで大きくして表示するステップと、を含む方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、コンピュータ、CADシステム、携帯端末および顕微鏡を含むグループから選択された一つの機器の表示画面に目的位置を含む画像を表示させるためのプログラムであって、その一つの機器に、目的位置が表示されていない画像を表示画面に表示するステップと、表示画面に表示された画像上で特定された第一の位置と、その表示画像の中心に対して点対称となる第二の位置を設定するステップと、第二の位置を中心として、表示画像の表示倍率を目的位置が確認できる程度の所定の倍率まで小さくしてその画像を表示するステップと、倍率変更後の表示画像上で、目的位置またはその近傍の指定ポイントを中心として、その表示画像を所定の倍率まで大きくして表示するステップと、を実行させることにより、表示画面に目的位置を含む画像を表示させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オペレータによって表示倍率を任意に変えることができる表示画像において、現在位置から目的位置へ移動する際に、きるだけ少ない作業で移動し、その目的位置での画像を迅速に表示することができる。また、その際に、現在位置から目的位置までの間の領域以外の画像をできるだけ表示させることなく目的位置へ移動をすることができる。その目的位置での画像を迅速に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明について図面を参照しながら以下に説明する。説明に際して、本発明の内容をより明確にするために、適時従来の方法の図も参照する。図1にコンピュータ(PC)に表示画面に表示された一つの画像を示す。図1の画像の表示倍率は小さい。ここで、図1の左端のA位置から右端のB位置まで、その途中を探索しながら移動する場合を想定する。
【0013】
図2は、上述した従来の第一の方法を示す図である。図2の表示画像の表示倍率は大きい。(a)ではA位置がほぼ画像の中央にある。(a)の拡大画像で、PCのスクロールバーやスパイダーボタンを操作して、表示画像を右方向に移動させる。その際、表示画像は(b)から(e)のように変わり、(f)まで来た時に目的位置であるB位置が表示される。図2では、(a)から(f)までの5回の移動(スクロール)でB位置に到着している。しかし、実際にはB地点はA地点から見て必ずしも水平方向にあるわけではない。したがって、(b)から(e)の移動の間で、表示倍率を小さくしたり、あるいは上下(垂直)方向で移動をしたりする必要がある。その結果、移動(スクロール)回数は図2の理想的な場合よりも多くなる。
【0014】
図3は、上述した従来の第二の方法を示す図である。(a)は図2の(a)と同様の拡大画像である。中央部にスタート位置であるA位置がある。(b)から(f)までは、順次表示倍率を小さくしていった場合を示す。倍率変更は、通常コンピュータのマウスポインタにより、画面上の倍率設定の選択を繰り返しながらおこなう。表示画像はその中心を基準(仮想中心)として画像を縮小(拡大)する。したがって、(b)から(f)までの画像において、A位置の左側の領域Xは、本来見る必要のない無駄な領域である。その領域Xが表示されてしまう分、目的位置であるB位置の表示が遅れる。すなわち、B位置が表示されるまでの倍率変更(縮小設定)の回数が増える。B位置が表示可能となる倍率が小さくなり、画像が小さくなって見難くなる。(f)でB位置が表示された後、B位置を中心にして画像を拡大する。(g)と(h)はそのB位置が表示された画像が拡大されていく様子を示す図である。
【0015】
図4は本発明の方法を説明するための図である。(a)は図2(a)と図3(a)と同様な図である。スタート位置であるA位置が拡大された画像の中央部にある。(b)から(d)までは、(a)の画像の倍率を小さくしていった場合の画像である。図2の従来例と異なる点は、(b)から(d)までの各画像において、A位置が画像の左端にあることである。このように画像を縮小することにより、A位置の左側の領域(図3のX)の表示ができるだけされないようにする。
【0016】
図5は、図4の(b)から(d)までの画像変更の詳細を示す図である。図5(a)において、例えばコンピュータのオペレータは、マウスポインタ10により、画像の右端部分のCを選択する。すると、画像の中心に対してC点と対称な点Dが倍率変更のための仮想中心として自動的に設定される。図5(a)の十字記号12がその仮想中心Dを示す。ただし、実際にはその十字記号12は画面には表示されない。なお、仮想中心Dは、必ずしも画像の中心に対してC点と対称な点として定める必要はない。要はC点に対して、画像の中心にからみて反対側(図5では画像の左半分の領域)に位置する点であればよい。したがって、仮想中心Dは、画像の中心を基準として定めるのではなく、例えば、C点からA位置へ結ぶ線上の画像の端に近い(C点から遠い)任意の点として定めることもできる。その際、仮想中心Dはできるだけ画像の端に近い(C点から遠い)ことが望ましい。
【0017】
オペレータがマウスポインタ10で点Cを指示している間(クリックし続けている間)、仮想中心Dを中心として画像の倍率が小さくなる。画像は図4の(b)から(d)に示されるように移動(変化)する。見た目には、仮想中心Dが固定され、指示した点Cが画像の右方向へ移動するように見える。図5(b)はその途中の様子を示す一図である。この場合、A位置と仮想中心Dの間の間隔は、倍率が小さくなるにつれて、短く(狭く)表示される。その結果、A位置の左側の領域(図3のX)の表示を少なくすることができる。また、画面上の指示点であるC点をクリックしたまま移動させると、それに応じて(自動的に)仮想中心DもC点の対称位置に移動し、倍率変化の方向を変えることができる。その結果、さらに目的地を効率よく探すことが出来る。
【0018】
目的地であるB位置が現れてきたら、マウスポインタ10での指示点をCからB位置に
移動し、マウスボタンを離す。ただし、実際にはその十字記号14は画面には表示されない。マウスボタンを離した後は、仮想中心Bを画像の中心に移動され、画像の倍率が大きくなる。そして、図4(f)のようにB位置での拡大画像が得られる。図4(e)はその拡大の途中の様子を示す図である。画像は、元画像である図4(a)と同じ倍率まで拡大される。なお、拡大の倍率は画像の状態に応じて任意に変更(設定)してもよい。
【0019】
図3と図4の比較から明らかなように、本発明によれば、A位置からB位置への移動過程において、本来的に無駄な領域であるA位置の左側の領域(図3のX)の表示を最小限に抑えることができる。本発明によれば、移動のための作業(マウスポインタのクリックなど)を軽減することができる。本発明によれば、目的位置を見つけるまでの画像の倍率変更(縮小)回数を減らすことができる。
【0020】
本発明の方法は、パーソナル・コンピュータ(PC)、カーナビゲーション・システムなどの表示画面を有する機器で利用できる。例えば、PCで動作する地図画像表示用のソフトウエアにより実現できる。本発明は、表示画面を有する携帯電話などの携帯端末で動作する地図画像表示用のソフトウエアによっても実現できる。本発明は、地図画像に限られず、CADシステムの設計情報(回路配置、半導体のレイアウト)の表示画像においても利用できる。すなわち、本発明は、拡大された回路配置画像のA位置から離れたB位置までの配線などの回路配置をたどる場合にも利用できる。本発明は、光学顕微鏡、電子顕微鏡などの検査機器において、拡大した物質の表面画像を調べる場合にも適用できる。すなわち、例えば拡大した細胞組織の画像のA位置から同じ細胞組織の他のB位置までの様子を探る場合にも適用できる。その際に必要となるのは、表示画面とその画像の表示位置、その表示倍率を任意に変更できることである。機器におけるオペレータの作業は、PCの場合はマウスポインタなどにより、携帯端末ではキー、ペン型のポインタなどにより実行される。その作業は、各機器固有の方法でおこなわれる。
【0021】
本発明について、図1−図5を引用しながら説明した。しかし、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲でいかなる変形も可能であることは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】表示画面上のA位置(出発点)とB位置(目的位置)を示す図である。
【図2】従来の方法(第一の方法)を説明するための図である。
【図3】従来の方法(第二の方法)を説明するための図である。
【図4】本発明の方法を説明するための図である。
【図5】図4の本発明の方法をさらに説明するための図である。
【符号の説明】
【0023】
10 マウスポインタ
12、14 倍率変更のための仮想中心


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に表示される画像上の目的位置での画像を表示させるための方法であって、
目的位置が表示されていない画像を表示画面に表示するステップと、
表示画面に表示された前記画像上で特定された第一の位置と、当該表示画像の中心に対して点対称となる第二の位置を設定するステップと、
前記第二の位置を中心として、前記表示画像の表示倍率を前記目的位置が確認できる程度の所定の倍率まで小さくして当該画像を表示するステップと、
前記倍率変更後の表示画像上で、前記目的位置またはその近傍の指定ポイントを中心として、当該表示画像を所定の倍率まで大きくして表示するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記第一の位置は、前記表示画像の中心から前記目的位置に向かう方向に位置する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記画像は地図情報およびCAD情報のいずれか一方の情報を含む、請求項2の方法。
【請求項4】
前記表示画面は、コンピュータ、CADシステム、カーナビゲーション・システム、携帯端末および顕微鏡を含むグループから選択された一つの機器によって表示され、
前記第一の位置、前記目的位置、前記指定ポイントおよび前記2つの所定の倍率は、いずれも当該機器へのオペレータによる操作に起因して設定される、請求項1の方法。
【請求項5】
前記第一の位置、前記目的位置および前記指定ポイントは、表示画面に表示されるポインタの位置に応じて設定される、請求項4の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法によって画像を表示できる表示画面を有するコンピュータ、CADシステム、カーナビゲーション・システム、携帯端末および顕微鏡を含むグループから選択された一つの機器。
【請求項7】
表示画面に表示される画像上で目的位置を探索する方法であって、
目的位置が表示されていない画像を表示画面に表示するステップと、
表示画面に表示された前記画像上で特定された第一の位置と、当該表示画像の中心に対して点対称となる第二の位置を設定するステップと、
前記第二の位置を中心として、前記表示画像の表示倍率を前記目的位置が確認できる程度の所定の倍率まで小さくして当該画像を表示するステップと、
前記倍率変更後の表示画像上で、特定された第三の位置を中心として、当該画像を所定の倍率まで大きくして表示するステップであって、前記第三の位置は、前記第一の位置から前記第二の位置へ向かう方向にあり、かつ前記目的位置の少なくとも近くにあるステップと、を含む方法。
【請求項8】
コンピュータ、CADシステム、カーナビゲーション・システム、携帯端末および顕微鏡を含むグループから選択された一つの機器の表示画面に目的位置を含む画像を表示させるためのプログラムであって、前記一つの機器に、
目的位置が表示されていない画像を表示画面に表示するステップと、
表示画面に表示された前記画像上で特定された第一の位置と、当該表示画像の中心に対して点対称となる第二の位置を設定するステップと、
前記第二の位置を中心として、前記表示画像の表示倍率を前記目的位置が確認できる程度の所定の倍率まで小さくして当該画像を表示するステップと、
前記倍率変更後の表示画像上で、前記目的位置またはその近傍の指定ポイントを中心として、当該表示画像を所定の倍率まで大きくして表示するステップと、
を実行させることにより、表示画面に目的位置を含む画像を表示させるプログラム。
【請求項9】
前記第一の位置は前記表示画像の中心から前記目的位置に向かう方向に位置する、請求項8のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−129036(P2008−129036A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309984(P2006−309984)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】