説明

表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法およびそのシート

【課題】PETフィルム等の柔軟な素材であっても立体印刷画像を形成することのできる表示画面用保護シート用立体印刷画像の制作方法および表示画面保護用立体印刷シートを提供すること。
【解決手段】
[1]表示画面保護シートに対してスクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷により、立体印刷画像を形成する工程を有することを特徴とする、表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法。
[2]上記[1]に記載の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法により得られた、表示画面保護用立体印刷シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法および表示画面保護用立体印刷シートに関し、さらに詳しくは携帯電話等の液晶表示画面等に使用される表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法および表示画面保護用立体印刷シートに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の印刷技術では平面印刷技術が主流であるが、消費者ニーズの多様化により平面印刷技術では対応しきれない印刷技術が要求されている。この様な印刷技術の一例として近年立体印刷画像の制作方法が注目されてきている。
立体印刷画像により表現される画像は平面印刷画像と比較して実際の印影が観察する角度により変化することから平面印刷画像とは異なる印象を観る者に与えることができる。
このため従来の平面印刷画像よりも人の目を惹き付ける効果があることから、種々の情報を効率よく観る者に与えることができる。
しかしながら立体印刷画像は平面印刷画像に比較して量産が困難である。平面印刷画像の場合は平面基材に対してインク等を転写する等の方法により短時間に大量に製造できるが、立体印刷画像となると平面基材の上に実際に立体部分を形成する必要があることからこの点をどの様に解決するかが問題となる。
【0003】
立体印刷画像を有する平面基材を量産できる技術として、熱可塑性樹脂等を使用した金型成形が考えられる。
熱可塑性樹脂等を溶融させて金型内部に注入し、あらかじめ金型内部に設けられたキャビティの形状に成形することにより、一定形状の立体印刷画像を量産することは可能である。
しかしながら成形に金型を使用する場合、多種類の立体印刷画像を少量ずつ画像毎に量産する場合、それぞれの立体印刷画像に合わせた金型を準備する必要があるため、従来の印刷技術に比較して経済的に不利になるばかりか、消費者動向に対する即時対応性に劣る場合がある。
【0004】
この一方、立体印刷画像を有する平面基材を量産できる技術として、インクジェットプリンタを使用する技術が提案されている(特許文献1)。
このインクジェットプリンタを使用する技術であれば多種類の立体印刷画像を少量ずつ画像毎に量産する場合であっても、インクジェットプリンタを制御するプログラムを制御することにより対応することができる。これにより、金型成形等に見られる問題点は生じない。
しかしながらインクジェットプリンタを使用する技術の場合、平面基材の定められた位置に微細なインクを重ねて配置していくため、平面基材として柔らかい樹脂シートを使用した場合、肉眼では感知することが困難な程度の樹脂シートの膨張や歪みの影響により一定品質の立体印刷画像が得られにくいとの問題があった。
【0005】
また凹凸のある立体印刷画像を形成するために感光性樹脂を用いる方法も提案されているが、この方法では制作者が意図する凹凸が形成された立体画像を作成することが困難か不可能であるとされる(特許文献1)。
【0006】
この一方、携帯電話等の液晶表示画面等に使用される表示画面保護シートとしてPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)等のポリエステルフィルムが一般的に使用される。
かかるPETフィルム等にキャラクターやロゴマーク等を印刷する技術としてオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷等の平面印刷技術が知られている。これらの平面印刷技術により、精密な多色刷印刷を行い、写真の様なフルカラー印刷を行うことが可能である。
しかしながらこれらの従来技術により得られる印刷物は平面状のものであり、キャラクターやロゴマーク等を柔軟性のあるPETフィルム等の素材に立体的に表現することは困難である。
従来のスクリーン印刷やグラビア印刷のインクの厚膜加工等により立体印刷画像を形成することは不可能ではないが、スクリーン印刷やグラビア印刷のいずれの場合も製版を行う上での技術的制限があり、微細表現とインクの厚膜加工との両立が難しく、精密なフルカラー表現を立体的に表現することは極めて困難であり再現性に乏しいとの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2003−578148
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、PETフィルム等の柔軟な素材であっても立体印刷画像を形成することのできる表示画面用保護シート用立体印刷画像の制作方法および表示画面保護用立体印刷シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討したところ、表示画面保護シートに対してスクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷により印刷を行うことにより、PETフィルム等の柔軟な素材であっても立体印刷画像を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
[1]表示画面保護シートに対してスクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷により、立体印刷画像を形成する工程を有することを特徴とする、表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法を提供するものである。
【0011】
また本発明は、
[2]表示画面保護シートに対して印刷することにより平面印刷画像を形成する工程と、
スクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷により、前記表示画面保護シートに立体印刷画像を形成する工程と、
を有することを特徴とする、表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法を提供するものである。
【0012】
また本発明は、
[3]前記表示画面保護シートに対して印刷することにより平面印刷画像を形成する工程が、オフセット印刷および/または、スクリーンのメッシュ数の範囲が151〜800(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷を含む、上記[1]または[2]に記載の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法を提供するものである。
【0013】
また本発明は、
[4]前記表示画面保護シートが、透明の合成樹脂を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法を提供するものである。
【0014】
また本発明は、
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法により得られた、表示画面保護用立体印刷シートを提供するものである。
【0015】
また本発明は、
[6]立体印刷画像が形成された前記表示画面保護シートの面と反対側の面に粘着層が設けられた、上記[5]に記載の表示画面保護用立体印刷シートを提供するものである。
【0016】
また本発明は、
[7]表示画面保護シートが、携帯電話、携帯情報端末、携帯ゲーム機器、携帯音楽再生機器、携帯電子辞書、時計、車載モニターおよびノート型パーソナルコンピュータからなる群より選ばれる少なくとも一つの表示画面保護用である、上記[5]または[6]に記載の表示画面保護用立体印刷シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、携帯電話等の液晶表示画面等に使用される合成樹脂フィルム等の表示画面保護シートに比較的容易に立体印刷画像を形成することができる。
これにより携帯電話、携帯情報端末、携帯ゲーム機器、携帯音楽再生機器、携帯電子辞書、時計、車載モニター、ノート型パーソナルコンピュータ等の液晶表示画面に使用される表示画面保護用立体印刷シートを簡易かつ生産効率よく提供することができる。
特に本発明は、柔軟性のある合成樹脂フィルム等の表示画面保護シートに比較的容易に立体印刷画像を形成することができることから、携帯電話等の液晶表示画面等に容易にキャラクターや文字、図形、記号等を含むロゴマーク等を立体的に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1により得られた表示画面保護シート用立体印刷画像および表示画面保護用立体印刷シートを説明するための模式図である。
【図2】図1の表示画面保護用立体印刷シートを一点破線a‐aにより切断した断面を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず本発明に使用する表示画面保護シートについて説明する。
前記表示画面保護シートの基材としては、合成樹脂が好ましく使用される。かかる合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、フッ素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンビニルアルコール樹脂等のビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
前記合成樹脂は透明であることが好ましい。前記合成樹脂は有色透明であっても無色透明であってもよいが、無色透明であればさらに好ましい。
【0020】
前記表示画面保護シートの厚さは、10〜1000μmの範囲が好ましく、20〜500μmの範囲であればより好ましく、50〜300μmの範囲であればさらに好ましい。
前記表示画面保護シートの厚さが10μmに満たない場合や1000μmを超える場合には携帯電話等の液晶表示画面等に前記表示画面保護シートを設置することが困難となる場合がある。
【0021】
また前記表示画面保護シートの一方の面には粘着層を設けることが好ましい。
この様な粘着層を前記基材に設ける方法としては、例えば、粘着性のある樹脂シートと前記基材とを積層する方法、粘着剤を前記基材に塗布する方法等を挙げることができる。
前記基材に粘着層を設ける場合は、前記基材のうち粘着層が設けられていない面に平面印刷画像および立体印刷画像を形成した後に前記基材に粘着層を設ける操作を実施してもよいし、平面印刷画像および立体印刷画像を形成する前に前記基材に粘着層を設ける操作を実施してもよい。
【0022】
前記基材のうち粘着層が設けられていない面に平面印刷画像および立体印刷画像を形成する前に前記基材に粘着層を設ける操作を実施する場合には、前記粘着層の表面を粘着層保護シートにより覆っておくことが好ましい。
粘着層保護シートとしては、先に説明した基材と同様のものを使用することができる。
【0023】
本発明に使用する表示画面保護シートとしては、例えば、前記基材からなるもの、前記基材に粘着層が積層されてなるもの、前記基材に粘着層が積層され、さらにその粘着層に粘着層保護シートが貼着された三層構造のもの等を使用することができる。
【0024】
次に前記表示画面保護シートに平面印刷画像を形成する工程について説明する。
前記表示画面保護シートに平面印刷画像を形成する方法としては、例えば、活版印刷等の凸版印刷、オフセット印刷等の平版印刷、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷、インクジェット転写等の無版印刷等の方法を挙げることができる。
【0025】
前記表示画面保護シートに平面印刷画像を形成する方法は、オフセット印刷およびスクリーン印刷の少なくとも一方であれば好ましい。
オフセット印刷やスクリーン印刷は前記表示画面保護シートに対しても精密な印刷が可能である。
【0026】
オフセット印刷は印刷膜厚が薄く下地の隠蔽性に劣る面があるため、紙等の素材を中心にこれらの素材の平滑性や白度の高さを活かして、高速デジタル制御によるチラシ、包装紙、書籍等の制作に利用される。このオフセット印刷は安価であり、大量かつ精密に印刷できる技術であることから前記表示画面保護シートに平面印刷画像を形成する方法として優れている。
【0027】
一方、スクリーン印刷は広範な対象に対して印刷が可能であり、紙以外にも木材、皮革、布、ガラス、金属、陶器等の印刷に適しているが、特に前記表示画面保護シートに対する印刷方法として最適である。
【0028】
スクリーンを使用した場合、選択するインクの制限が少なく、印刷後の化学反応を利用したり印刷表面の凹凸があっても印刷可能であり、印刷時の圧力、すなわち印圧も少ないため、印刷物の形状を変化させない特徴も併せもっている。
【0029】
またスクリーン印刷を実施できる印刷機は手刷機からロータリー機まで市販されているため目的用途に応じて入手が容易である。
【0030】
本発明に使用するスクリーン印刷は、スクリーンのメッシュ数の範囲が151〜800(本/インチ)の範囲である、いわゆるハイメッシュのスクリーンを使用することが好ましい。
【0031】
スクリーンのメッシュ数は、200〜700(本/インチ)の範囲であれば好ましく、250〜600(本/インチ)の範囲であればさらに好ましい。
【0032】
オフセット印刷およびスクリーン印刷の少なくとも一方により、前記表示画面保護シートに対してグラフィック画像、イラスト画像、ロゴデザイン画像等を平面印刷画像として有色印刷を行う。
色の選択や配置は目的とする画像に応じて適宜選択する。
上記に説明した方法により、前記表示画面保護シートに対して濃淡や印影、色調等の描画性に優れた有色印刷を行うことができる。
【0033】
次に表示画面保護シートに立体印刷画像を形成する工程について説明する。
立体印刷画像を形成する際には、スクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷により印刷する。
スクリーンのメッシュ数の範囲は60〜140(本/インチ)の範囲であれば好ましく、80〜120(本/インチ)の範囲であればさらに好ましい。
特にスクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷は、印刷膜圧を制御しやすいという特徴がある。
【0034】
立体印刷画像を形成する際のスクリーン印刷に使用するスクリーンはナイロン、ポリエステル、金属線等の糸をメッシュ状に編みこんで得られるスクリーン紗であるため、糸の直径(紗径)および網目の粗さ(メッシュ数)によりスクリーン印刷時のインクの吐出量と形状を自由に制御することができる。
また立体印刷画像を形成する際に感光乳剤を使用する場合には、スクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であれば感光乳剤の膜厚を制御することが容易となることから好ましい。
【0035】
スクリーン印刷に使用するスクリーン上の感光乳剤の膜厚は50〜200μmの範囲であることが好ましく、80〜120μmの範囲であればさらに好ましい。
【0036】
次に例えば前記平面印刷画像が形成された表示画面保護シートに立体印刷画像を形成する際には、先の工程で制作されたグラフィック画像、イラスト画像、ロゴデザイン画像等に対して立体的に強調すべき箇所に立体印刷画像を形成する。
【0037】
前記平面印刷画像に使用するスクリーンに比較して紗径が太く、かつスクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーンに対して、従来の平面印刷時のインク量と比較して増量した感光乳剤を配置し、紫外線硬化型インク、二液硬化型インクを用いることにより立体印刷画像を形成することができる。
【0038】
なお、表示画面保護シートに形成する画像がデザイン上繊細ではなく大まかな処理のみで構成されている場合等には、平面印刷画像の形成を省略してスクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷のみにより印刷することによっても立体印刷画像を形成することができる。
【0039】
上記説明では表示画面保護シートに平面印刷画像を形成してから立体印刷画像を形成する方法について説明したが、この逆に、先に立体印刷画像を形成してから平面印刷画像を形成することもできる。
また、表示画面保護シートに対して立体印刷画像のみを形成することもできる。
【0040】
本発明の表示画面保護用立体印刷シートは、携帯電話、携帯情報端末、携帯ゲーム機器、携帯音楽再生機器、携帯電子辞書、時計、車載モニターおよびノート型パーソナルコンピュータ等の液晶表示画面、プラズマ表示画面、EL表示画面等の保護用途に使用される。
【0041】
携帯電話等の表示画面に直接表示画面保護用立体印刷シートを貼着することにより携帯電話等の表示画面を保護することができる。
また携帯電話等の表示画面の周囲に表示画面保護用立体印刷シートを装着したはめ込み部品等を取り付けたり、携帯電話等の表示画面の周囲に設けられた差し込み溝に表示画面保護用立体印刷シートの外周部を差し込んだりすることにより、間接的に携帯電話等の表示画面に直接表示画面保護用立体印刷シートを装着することもできる。
【0042】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0043】
膜厚が100μmの市販のPETフィルム上に、UVオフセット印刷機を用いて、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのレギュラー四色ならびに白のフルカラー分解色を使用してアニメキャラクターのイラストを印刷した。
次に前記アニメキャラクターの外郭線やベタ面上の立体的に強調したい部分に対して市販の透明なUVインク(紫外線硬化型インク)を使用して感光乳剤膜厚100μmを塗布した100メッシュスクリーン板を用いて立体的厚盛りUV印刷を実施した。なお、メッシュ数の表示単位は[本/インチ]である。以下同様である。
これにより表示画面保護シート用立体印刷画像を形成した。前記立体印刷画像部分の厚みは120μmであった。
次に印刷されたPETフィルムに対し、携帯電話機用液晶画面の形のトムソン抜型を用いることにより抜加工して、携帯電話機の液晶画面を保護するための表示画面保護用立体印刷シートを製造した。
【0044】
図1は実施例1により得られた表示画面保護シート用立体印刷画像および表示画面保護用立体印刷シートを説明するための模式図である。
図1に示されるように、表示画面保護用立体印刷シート1にはUVオフセット印刷機を用いて、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのレギュラー四色ならびに白のフルカラー分解色を使用してアニメキャラクター3のイラストおよび観葉植物6〜8が植木鉢9に配置されている様子を表現した平面印刷画像2が表示画面保護用立体印刷シート1の表面に形成されている。
【0045】
図2は図1の表示画面保護用立体印刷シートを一点破線a‐aにより切断した断面を示す模式断面図である。
このアニメキャラクター3および植木鉢9のイラストの輪郭線、アニメキャラクター3の目4や腕5、観葉植物6〜8等に立体的厚盛りUV印刷が施されていて、アニメキャラクター3や観葉植物6〜8を立体的に形成することができる。
【実施例2】
【0046】
一方の面に粘着層が形成され、再剥離処理が可能である膜厚が100μmの市販のPETフィルムを使用して実施例1の場合と全く同様の操作を行い、表示画面保護シート用立体印刷画像を形成してから携帯電話機の液晶画面を保護するための表示画面保護用立体印刷シートを製造した。
実施例2の前記立体印刷画像部分の厚みは実施例1の場合と同様120μmであった。
【実施例3】
【0047】
一方の面に粘着層が形成され、再剥離処理が可能である膜厚が100μmの市販のPETフィルムを使用した。
このPETフィルムに対し、感光乳剤膜厚100μmを塗布した100メッシュスクリーン板を用いて透明なUVインク(紫外線硬化型インク)により立体的厚盛りUV印刷を実施した。
次に350メッシュスクリーン版にてシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのレギュラー四色のフルカラー印刷を実施し、表示画面保護シート用立体印刷画像を形成した。
また実施例1の場合と同様の操作により、携帯電話機の液晶画面を保護するための立体印刷画像含有表示画面保護シートを製造した。
【実施例4】
【0048】
一方の面に粘着層が形成され、再剥離処理が可能である膜厚が100μmの市販のPETフィルムを使用した。
このPETフィルムに対し、感光乳剤膜厚100μmを塗布した100メッシュスクリーン板を用いて透明な二液硬化型エポキシインクで白印刷により立体的厚盛り印刷を実施した。
次に先の白印刷上の一部にブロンズ系金粉印刷を250メッシュスクリーン版により重ねて印刷した。
次に残った白の立体的厚盛り印刷面上と未印刷当面部分上に350メッシュスクリーン版にてシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのレギュラー四色のフルカラー印刷を実施して表示画面保護シート用立体印刷画像を形成した。
また実施例1の場合と同様の操作により、携帯電話機の液晶画面を保護するための立体印刷画像含有表示画面保護シートを製造した。
【実施例5】
【0049】
一方の面に粘着層が形成され、再剥離処理が可能である膜厚が100μmの市販のPETフィルムを使用した。
次に赤色の二液硬化型ウレタンインク(市販品)を使用して感光乳剤膜厚100μmを塗布した100メッシュスクリーン板を用いて立体的厚盛り印刷を実施した。
これにより表示画面保護シート用立体印刷画像を形成した。前記立体印刷画像部分の厚みは120μmであった。
また実施例1の場合と同様の操作により、携帯電話機の液晶画面を保護するための立体印刷画像含有表示画面保護シートを製造した。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法および表示画面保護用立体印刷シートは、近年急速に発達しつつある携帯電話、携帯情報端末、携帯ゲーム機器、携帯音楽再生機器、携帯電子辞書、時計、車載モニターおよびノート型パーソナルコンピュータ等の液晶表示画面、プラズマ表示画面、EL表示画面等に好適に使用することができる。
これらの表示画面に対して埃、汚れ、傷等により視認性が低下するのを防止するため、上記の機器の利用者は表示画面を常に透明で清潔な状態に保つために、上記の機器購入直後に好みの保護シートを貼り付け、保護シートが古くなったり劣化したりすればまた新たな保護シートに交換することが多い。
上記の機器の利用者は保護カバーを単に保護目的により使用するのではなく、より装飾的で好みの保護シートを貼り、自己の満足感や他者へアピールできる商品としての価値を求めている。
このため保護シートの供給者としての企業はこれらの利用者の要求に対応するためマンガ、アニメ、企業のPR、流行のデザイン等を効果的かつ目立つ方法で提供しようと努める。
本発明はこれらの事情を考慮してなされたものであり、若者の好奇心や満足感を充足させるだけでなく、供給者の価値の創造にもつながるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 表示画面保護用立体印刷シート
2 平面印刷画像
3 アニメキャラクター
4 アニメキャラクターの目
5 アニメキャラクター3の腕
6、7、8 観葉植物
9 植木鉢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面保護シートに対してスクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷により、立体印刷画像を形成する工程を有することを特徴とする、表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法。
【請求項2】
表示画面保護シートに対して印刷することにより平面印刷画像を形成する工程と、
スクリーンのメッシュ数の範囲が50〜150(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷により、前記表示画面保護シートに立体印刷画像を形成する工程と、
を有することを特徴とする、表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法。
【請求項3】
前記表示画面保護シートに対して印刷することにより平面印刷画像を形成する工程が、オフセット印刷および/または、スクリーンのメッシュ数の範囲が151〜800(本/インチ)の範囲であるスクリーン印刷を含む、請求項1または2に記載の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法。
【請求項4】
前記表示画面保護シートが、透明の合成樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の表示画面保護シート用立体印刷画像の制作方法により得られた、表示画面保護用立体印刷シート。
【請求項6】
立体印刷画像が形成された前記表示画面保護シートの面と反対側の面に粘着層が設けられた、請求項5に記載の表示画面保護用立体印刷シート。
【請求項7】
表示画面保護シートが、携帯電話、携帯情報端末、携帯ゲーム機器、携帯音楽再生機器、携帯電子辞書、時計、車載モニターおよびノート型パーソナルコンピュータからなる群より選ばれる少なくとも一つの表示画面保護用である、請求項5または6に記載の表示画面保護用立体印刷シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−167990(P2011−167990A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35470(P2010−35470)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(510048082)株式会社キャリバー (2)
【Fターム(参考)】