表示盤及びその製造方法
【課題】安価で、容易に金属等の光沢及び質感を表現できる表示盤及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂基板2と、この上に形成された有色の意匠層3と、この意匠層3上又は意匠層3が形成された意匠面21とは反対側の面に形成された、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる凹凸層4とを有する表示盤及びその製造方法である。凹凸層4は、凹部42の厚みよりも凸部41の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクをインクジェット印刷により印刷し硬化させてなる。凹凸層4の形成においては、インクジェット印刷装置のインク吐出部を保持部に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向Aに移動させながら紫外線硬化性インクを吐出し、紫外線を照射して印刷する動作と、インク吐出部に対して、インクジェット装置の保持部を一方向Aに対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返す。
【解決手段】樹脂基板2と、この上に形成された有色の意匠層3と、この意匠層3上又は意匠層3が形成された意匠面21とは反対側の面に形成された、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる凹凸層4とを有する表示盤及びその製造方法である。凹凸層4は、凹部42の厚みよりも凸部41の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクをインクジェット印刷により印刷し硬化させてなる。凹凸層4の形成においては、インクジェット印刷装置のインク吐出部を保持部に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向Aに移動させながら紫外線硬化性インクを吐出し、紫外線を照射して印刷する動作と、インク吐出部に対して、インクジェット装置の保持部を一方向Aに対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属調等の光沢及び質感を有する表示盤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車の速度メータ等の表示盤としては、金属調等の光沢及び質感を有するものが作製されていた。具体的には、例えば図18に示すごとく、樹脂基板80上に、金属色等の有色の意匠層89と、スクリーン印刷によって形成された傷模様層81とを有する表示盤8がある。傷模様層81は、周囲よりも厚みの大きな凸部811をスクリーン印刷により形成し、この凸部811よりも厚みの小さな凹部812と上記凸部811とが交互に配置するように、スクリーン印刷を行って形成されていた。このような表示盤8においては、傷模様層81によって、意匠層3の色及び模様に光沢感及び質感を付与することができる。例えば意匠層89として金属調や木目調等の色及び模様を施すことにより、上記表示盤8においては、金属や木目等の光沢感及び質感を表現できる。傷模様層81は、例えばスクリーン印刷によって複数のライン(凸部811)を印刷することにより形成されていた。
【0003】
従来のスクリーン印刷によってライン811を形成する方法においては、個々のライン幅の最小値が約0.2mm程度であり、ライン間隔の最小値が約0.3mm程度であった。これよりライン幅及びライン間隔を細かくするとライン811の掠れや隣り合うライン811同士の潰れが生じてしまうという問題があった。そのため、金属等の光沢感及び質感をより充分に表現するために要求される細かさを満たすことができなかった。
【0004】
スクリーン印刷以外の方法により金属調等の光沢感及び質感を表現する方法としては、例えば図19に示すごとく、金属板90に対し、例えば旭光目付状に溝92を形成する溝加工を行う方法がある(特許文献1及び特許文献2参照)。
このような方法によれば、干渉縞等を生じさせ、金属調の光沢感及び質感を充分に表現できるが、その反面、金属板90を用い、これに金属加工を施すため、材料及び加工のためのコストが非常に高くなるという問題があった。また、アルミニウム等のように比較的薄い色の金属板90においては、溝加工を行ってもあまり質感をだすことができないという問題があった。また、アルミニウム等の金属板90においては、平坦部91と溝部92が同色のため、溝92の深さを増してもあまり質感を強調できない。また、逆に干渉縞を抑制するために同一円周上の溝ピッチを変えることは、加工の原理上、非常に困難であった。
更に、通常、速度メータ等の表示盤においては、金属の質感を表現する部分と表現しない部分とが混在する。金属の質感を表現する部分を一つの金属板を用いて作製すると非常にコスト高となる。そのため、それぞれを別部品で構成すればある程度のコストを抑えることができる。しかし、その場合においても依然としてコストが高いという問題があった。
【0005】
また、上述のスクリーン印刷以外にも、印刷方式としてはインクジェット印刷等がある。しかし、通常のインクジェット印刷、即ち一般家庭に広く普及している水系のインクジェット印刷により基板上に印刷を施す場合には、基板上に水系インクを吸収させるための受理層が必要となる。インクジェット印刷後には、上記受理層に水系インクが染み込むため、平坦な印刷層しか形成できず、傷模様等の凹凸層を形成することができなかった。
また、溶剤系インクジェットでは、インクを吐出して乾燥させるまでに、長時間放置させる必要がある。この乾燥時に、基板上のインクが自重により平坦化するため、溶剤系のインクジェット印刷においても、立体的な傷模様を形成することは困難であった。このように、インクジェット印刷においては印刷層が平坦になるため、金属の溝加工等のような立体形状を形成することが困難であった。そのため、インクジェット印刷により、金属等の光沢感や質感を表現することが困難であった。さらに、他のデジタル印刷方法である、レーザ印刷や熱転写印刷法でも、同様に立体的な印刷層を得るのは困難であった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−4494号公報
【特許文献2】特開2003−4495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、安価で、容易に金属等の光沢感及び質感を表現できる表示盤及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤であって、
上記凹凸層は、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクをインクジェット印刷により印刷し硬化させてなることを特徴とする表示盤にある(請求項1)。
【0009】
上記第1の発明の表示盤においては、上記凹部と上記凸部とが交互に複数配されてなる上記凹凸層が、上記紫外線硬化性インクを用いた上記インクジェット印刷により形成されている。そのため、上記凹凸層の形成時においては、上記インクジェット印刷の上記紫外線硬化性インクが上記意匠層又は上記樹脂基板に着弾した直後に、紫外線を照射させて上記紫外線硬化性インクを硬化させることができる。それ故、上記紫外線硬化性インクが、着弾後に自重により平坦化してしまうことを防止することができ、硬化した紫外線硬化性インクを例えば積み重ねること等により上記凸部を簡単に形成することができる。そのため、厚みの大きな上記凸部を容易に形成することができ、立体的な上記凹凸層を形成することができる。
【0010】
また、上記表示盤には、上記意匠層と上記凹凸層とが形成されている。そのため、上記表示盤においては、立体的な上記凹凸層で例えば傷模様等を形成し、上記意匠層の色や模様に光沢感の変化や質感を付与することができる。例えば、上記意匠層として金属色や木目調の層を形成することにより、上記表示盤においては、金属や木目の光沢感や質感を得ることができる。即ち、金属等の立体的な溝加工を擬似的に再現することができる。さらに、インクジェット印刷においては、1つのインク粒を数十μm単位で形成することが可能であるため、スクリーン印刷等よりもピッチ幅、即ち上記凸部と上記凸部との間隔を微細にすることができる。そのため、上記表示盤においては、例えば金属等の光沢感及び質感をより充分に表現することができる。
また、上記表示盤においては、金属加工等を行わずに、上記インクジェット印刷により金属等の光沢感や質感を表現できるため、上記表示盤の製造コストを低減させることができる。
【0011】
以上のように、上記第1の発明によれば、安価で、容易に金属等の光沢感及び質感を表現できる表示盤を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤の製造方法であって、
上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷することにより上記意匠層を形成する意匠層形成工程と、
少なくとも紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部と、被印刷物としての上記樹脂基板を保持する保持部とを備えるインクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行うことにより、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように上記凹凸層を形成する凹凸層形成工程とを有し、
該凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部を上記保持部に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向に移動させながら上記紫外線硬化性インクを吐出し、上記紫外線を照射して印刷する動作と、上記インク吐出部に対して上記保持部を上記一方向に対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法にある(請求項21)。
【0013】
上記第2の発明においては、上記意匠層形成工程と、上記凹凸層形成工程とを行うことにより、上記樹脂基板と上記意匠層と上記凹凸層とを有する表示盤を製造する。
上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷する。これにより、例えば金属色等の有色の上記意匠層を形成する。
また、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出させる吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行う。このとき、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部を上記保持部に対して相対的に毎分20〜200mで一方向に移動させながら上記紫外線硬化性インクを吐出し硬化させる動作と、上記一方向に対して上記保持部を直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返す。
【0014】
そのため、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷の上記紫外線硬化性インクが上記意匠層又は上記樹脂基板に着弾した直後に紫外線により上記紫外線硬化性インクを硬化させることができる。即ち、上記紫外線硬化性インクが、着弾後に自重により平坦化して厚みが小さくなる前に、上記紫外線硬化性インクを硬化させることができる。そのため、紫外線硬化性インクを積み重ねること等により厚みの大きな上記凸部を容易に形成させることができ、立体的な上記凹凸層を形成することができる。
【0015】
さらに、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により上記凹凸層を形成している。そのため、1つのインク粒を数十μm単位で形成することができ、スクリーン印刷等よりもラインピッチを微細にすることができる。そのため、上記表示盤においては、例えば金属等の光沢感及び質感をより充分に表現することができる。
また、上記表示盤においては、金属加工等を行わずに、上記インクジェット印刷により金属等の光沢感や質感を表現できるため、上記表示盤の製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の好ましい実施の形態につき説明する。
上記表示盤は、例えば自動車用スピード表示盤、及びエアコンの表示盤等に用いることができる。
上記表示盤は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記意匠層が形成された意匠面21とは反対側の面に形成された凹凸層とを有する。
このような表示盤の一例を図3に示す。
この表示盤1においては、同図に示すごとく、凹凸層4は意匠面21と反対側の面22上に形成されている。この場合には、上記表示盤1を上記凹凸層4側から視認した際に、樹脂基板特有の光沢感を得ることができる。また、上記凹凸層4は、意匠層3上に形成することもできる(図4参照)。
【0017】
上記意匠層は、クリア(透明)、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、ライトシアン、及びライトマゼンタ等の着色インクを印刷することにより形成することができる。上記意匠層は、着色インクを1層又は複数層重ねて印刷することにより形成することができる。
また、上記意匠層においては、上記樹脂基板の上記凹凸層とは反対側の面から光を照射したときに、光を透過する透過部と光を透過しない不透過部とを形成することができる。上記不透過部は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック等の色を組み合わせたり、またこれら有色の意匠層を複数層積み重ねて印刷形成することにより形成できる。
【0018】
上記意匠層の少なくとも一部は、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有することが好ましい(請求項2)。
また、上記意匠層は、1層又は2層以上の着色層からなり、該着色層のうち少なくとも一層は、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層からなることが好ましい(請求項3)。
これらの場合には、上記意匠層の少なくとも一部に金属調の光沢感及び質感を付与することができる。そのためこの場合には、上記凹凸層4によって傷模様感を付与することにより、上記意匠層における金属調の光沢感及び質感を強調させることができる。
【0019】
また、上記金属色着色層は、上記樹脂基板の上記意匠面上に、JISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を介して形成されており、上記凹凸層は、上記意匠層上に形成されていることが好ましい(請求項4)。
このような表示盤の一例を図4に示す。
即ち、同図に示すごとく、表示盤1においては、樹脂基板2の意匠面21上に、JISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の上記下地印刷層35が形成されている。該下地印刷層35上に上記金属色着色層31が積層形成されている。さらに少なくとも金属着色層31を有する意匠層3上に、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる上記凹凸層4が形成されている。
この場合には、上記下地印刷層35の光沢性を活かして、上記金属色着色層31は、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を発揮することができる。さらに、上記凹凸層4が上記金属色着色層31を含む上記意匠層3上に形成されているため、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を得ることができる。
【0020】
上記下地印刷層の光沢度は、JISK5600に規定する方法、具体的にはJISK5600−4−7に規定する鏡面光沢度に準じた方法により測定することができる。表面60度−光沢度5以上の下地印刷層は、該下地印刷層の表面に60°の角度から光を照射したときの光沢度が5以上であることを示す。
下地印刷層の光沢度が5未満の場合には、下地印刷層の表面が粗い状態となるため、該下地印刷層上に形成される上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。なお、上記下地印刷層は有色であっても透明であってもよい。
【0021】
次に、上記樹脂基板としては、例えばポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂からなるものを用いることができる。
また、上記樹脂基板としては、透光性の樹脂基板を用いることが好ましい。
この場合には、例えば上記凹凸層が形成された面とは反対側の面に配置した光源から上記表示盤に光を照射することにより、バックライト式の表示盤として用いることができる。より好ましくは、上記樹脂基板は、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板からなることが好ましい(請求項5)。厚さが1mmを越える場合には、例えば上記意匠層を、上記表示盤の使用者が視認する面とは反対側の裏面に形成してある場合に、上記意匠層を鮮明に視認することが困難になるおそれがある。また、上記意匠層と上記凹凸層との距離が大きくなるため、視認者が斜めから見た際に、上記意匠層と上記凹凸層とがずれて見え、見栄えが悪くなるおそれがある。
【0022】
また、上述のごとく、上記樹脂基板が厚さ1mm以下の透明の樹脂基板からなる場合においては、上記樹脂基板は、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有し、該鏡面上には、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層が形成されていると共に、上記凹凸層は、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に形成されていることが好ましい(請求項6)。
その一例を図5に示す。
即ち、同図に示すごとく、表示盤1においては、樹脂基板2は、意匠面21側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面23を有し、該鏡面23上に上記金属着色層31が形成されている。さらに凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる上記凹凸層4は、樹脂基板2における意匠面21とは反対側の面22に形成されている。
この場合には、上記鏡面23の光沢性を活かして、上記金属色着色層31は、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を発揮することができる。さらに、上記凹凸層4が上記意匠面21とは反対側の面に形成されている。そのため、上記表示盤1を上記凹凸層4側から視認した場合に、上記のごとく優れた光沢感を有する上記金属色着色層23を視認することができると共に、上記凹凸層4により、上記金属色着色層23に立体感を生じさせることができる。それ故、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を得ることができる。
上記鏡面の光沢度は、上記下地印刷層と同様に、JISK5600に規定する方法により測定することができる。表面60度−光沢度5以上の鏡面は、該鏡面に60°の角度から光を照射したときの光沢度が5以上であることを示す。
この光沢度が5未満の場合には、上記鏡面が粗い状態となるため、該鏡面上に形成される上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。
【0023】
次に、上記凹凸層は、紫外線硬化性インクをインクジェット印刷することにより形成されている。上記紫外線硬化性インクとしては、例えばアクリル系ラジカル重合型、及びエポキシ系カチオン重合型等のインクを用いることができる。
【0024】
また、上記凹凸層は、透明の上記紫外線硬化性インクよりなることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記意匠層の色彩を変えることなく、該意匠層の意匠に上記凹凸層によって光沢感の変化や質感を与えることができる。
【0025】
また、上記凹凸層は、有色であり、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種又は2種以上の色の上記紫外線硬化性インクよりなることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記意匠層を視認する角度によって、有色の上記凹凸層の色彩が変化するため、上記意匠層の意匠に、より多彩な質感を与えることができる。また、従来の金属加工においては、上述のごとくアルミニウム板等の薄い色の金属板の光沢感及び質感を強調させることは困難であったが、本発明においては、上記のごとく有色の上記紫外線硬化性インクを用いて上記凹凸層を形成することにより、アルミニウム色からなる上記意匠層の光沢感及び質感を強調させることが可能になる。
【0026】
また、上記凹凸層における上記凹部42は、その厚みを0μmにすることができる。
即ち、例えば図6に示すごとく、凹部42と凸部42とが交互に複数配されてなる凹凸層4においては、凸部41だけを上記紫外線硬化性インクのインクジェット印刷により形成し、凹部42については紫外線硬化性インクの印刷を施さない非印刷部425を設けることによって形成することができる。
【0027】
次に、上記凹凸層は、解像度1200DPI×1200DPI以上のインクジェット印刷によって形成されていることが好ましい(請求項9)。
上記凹凸層の解像度が1200DPI×1200DPI未満の場合には、解像度不足により、例えば直径100mmより小さな円弧の曲線が滑らかに表現できなくなるおそれがある。
【0028】
また、上記凹部と上記凸部との厚み差は、1〜300μmであることが好ましい(請求項10)。
上記凹部と上記凸部との厚み差について、図6を用いて説明する。
同図に示すごとく、表示盤1において、凹凸層4は、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる。この凹部42と凹部41とに厚み差があることにより、凹凸層4は、立体的な傷模様等を表現することができる。
凹部42と凸部41との厚み差Tが1μm未満の場合には、凹凸層4の立体感が不十分になり、上記意匠層3の金属や木目調等の模様及び色に、充分な光沢感及び質感を付与することができなくなるおそれがある。一方、厚み差Tが300μmを越える場合には、上記凹凸層4の凹凸感が強調され過ぎてしまい、表示盤1の意匠層3が視認しづらくなってしまうおそれがある。より好ましくは、上記凹部と上記凸部との厚み差は5〜200μmがよい。
【0029】
また、上記凹凸層は、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成してなることが好ましい(請求項11)。
即ち、例えば図6に示すごとく、凹凸層4は、幅W=50〜200μmの多数の細線43を、間隔D=0〜200μmで形成してなることが好ましい。
上記細線43の幅Wが50μm未満の場合には、細線43が細くなり過ぎて、上記凹凸層4により形成される例えば金属の傷模様等が認識しづらくなるおそれがある。一方、幅Wが200μmを越える場合には、細線43が太くなりすぎて、上記凹凸層4により、例えば金属の傷模様等をリアルに表現することが困難になるおそれがある。また、細線43同士の間隔Dが200μmを超える場合には、間隔が広くなりすぎて、凹凸層4により例えば金属の傷模様等を表現することが困難になるおそれがある。より好ましくは、上記細線43同士の間隔Dは5μm以下がよい。
【0030】
また、上記細線の間隔Dは0であってもよい。
即ち、図7に示すごとく、隣り合う2つの細線43同士が接触していてもよい。この場合においても、細線43の頂上部に凸部41が形成されると共に、隣り合う2つの凸部41の間に凹部42が形成される。
上記細線43は、上記インクジェット印刷により形成されている。即ち、上記細線43は、上記インクジェット印刷により上記紫外線硬化性インクの液滴を上記樹脂基板2上に噴射し、該液滴を硬化させてなる。そのため、図7に示すごとく、細線43の断面は、略半円状である。したがって、上記のごとく、細線43同士の間隔Dを0にして隣り合う細線43同士を部分的に接触させても、細線43の頂上部に凸部41が形成されると共に、隣り合う2つの細線43の接触部分に凹部42が形成される。よって、この場合にも、凸部41と凹部42とが交互に配されてなる上記凹凸層4を形成することができる。
【0031】
なお、上記細線43の幅Wは、細線43の最大幅のことをいう(図6参照)。後述のごとく、幅の異なる複数の描線451、452、453を積み重ねて細線43を形成する場合(図9参照)においても、細線の幅Wは、最大幅のことをいう。
一方、上記細線43同士の間隔Dは、隣り合う細線43同士の間隔であって、その最小の間隔をいう(図6参照)。後述のごとく、幅の異なる複数の描線451、452、453を積み重ねて細線43を形成する場合(図9参照)においても、細線43の間隔Dは、その最小の間隔のことをいう。
【0032】
次に、上記細線は、上記インクジェット印刷により形成された上記紫外線硬化性インクからなる描線を厚み方向に2層以上積層してなることが好ましい(請求項12)。
積層状態の描線によって細線を形成した一例を図8に示す。
即ち、同図に示すごとく、表示盤1においては、描線457、458、459を積層形成することにより細線43を形成することができる。同図においては、この細線43からなる凸部41と凹部42とが複数配されてなる凹凸層4が樹脂基板2上に形成されている。
この場合には、上記凸部41と上記凹部42との厚み差を大きくすることができ、より立体的な上記凹凸層4を形成することができる。
【0033】
また、図9に示すごとく、上記細線43は、上記描線451、452、453の積層方向において、上記樹脂基板2から離れるにつれてその幅が小さくなるように上記描線451、452、453を積層してなることが好ましい(請求項13)。
即ち、同図に示すごとく、描線451、452、453を積層形成することにより細線43を形成する場合において、描線451、452、453の積層方向(樹脂基板2の厚み方向)において樹脂基板2から離れるにつれて描線451、452、453の幅が徐々に小さくなるように形成されていることが好ましい。図9に示した例においては、描線452は描線451よりも小さな幅で形成されており、さらに描線453は描線452よりもさらにより小さな幅で形成されている。
この場合には、凸部41の先端が鋭利になり、上記細線43の厚みに対する上記凹凸層4による立体感の付与効果をより強調することができる。幅を変えずに上記細線43の厚みを大きくしても、上記凸部41と上記凹部42との厚み差が大きくなり、凹凸層4を強調することができるが、その分、上記紫外線硬化性インクのインク量が多くなり、上記表示盤1の製造コストが増大してしまう(図8参照)。一方、図9に示すごとく、上記描線451、452、453の積層方向において、下層から上層に向けて徐々に幅が小さくなるように上記描線451、452、453を積層形成すると、上記細線の厚みをそれほど大きくしなくても、より立体的な上記凹凸層4を形成することができる(図9参照)。
【0034】
また、積層状態にある上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線は、互いに異なる色の上記紫外線硬化性インクからなることが好ましい(請求項14)。
即ち、例えば図8及び図9に示すごとく、積層形成された描線451(457)、452(458)、453(459)のうち、少なくとも2層以上の描線は、互いに異なる色の紫外線硬化性インクからなることが好ましい。図8及び図9においては、異なる色の描線451(457)、452(458)、453(459)を、異なるハッチングにて示してある。
この場合には、厚み方向に色が変化する上記凸部41を形成することができる。そのため、視認者に、見る角度によって多彩な光沢感及び質感を生じさせることができる。
【0035】
また、上記細線において最上層の上記描線は、黒色又は黒系色からなることが好ましい(請求項15)。
この場合には、上記凸部の山頂部(最上層)が強調され、上記凹凸層の立体感をより一層強調することができる。その結果、例えば金属の傷模様等をより強調することができる。
【0036】
また、上述のごとく、上記凹凸層4において、上記凹部42は、上記紫外線硬化性インクの印刷を施さない非印刷部425を設けることによって形成することができる(図6及び図8参照)が、例えば図10に示すごとく、上記凸部41よりも小さな厚みで上記紫外線硬化性インクからなる描線450を印刷することにより形成することもできる。
図10に示す例においては、凸部41は、3層の描線457、458、459を積層形成してなる。一方、凹部42は、一層の描線450からなる。このように、凹部42は、紫外線硬化性インクを印刷して形成することもできる。
【0037】
次に、上記凹凸層は、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様を形成していることが好ましい(請求項16)。
この場合には、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢及び質感をより強調することができる。
同心円模様の一例(自動車の速度メータ)を図1に示す。同図に示すごとく、同心円模様は、例えば多数の同心円を紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成することにより表現することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部よりも小さな厚みの上記凹部42が形成される。
【0038】
また、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることが好ましい(請求項17)。
中心位置が異なる二つの同心円からなる同心円模様の一例(自動車の速度メータ)を図11に示す。同図に示すごとく、凹凸層4は、中止位置が異なる二つの同心円48、49からなる。各同心円48、49における同心円模様は、例えば多数の同心円を紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部41よりも小さな厚みの上記凹部42が形成される。二つの同心円48、49はそれぞれ中心O1及びO2を有し、中心O1と中心O2との中心間距離dが10〜1000μmである。この場合には、2つの同心円により干渉縞をより強調させることができ、上述の光沢感及び質感をより一層強調することができる。
中心間距離dが10μm未満の場合には、干渉縞の強調効果が充分に得られなくなるおそれがある。一方、1000μmを越える場合には、干渉縞の強調効果が過剰になり、視認者に不快感を与えてしまうおそれがある。
【0039】
また、上記凹凸層は、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様を形成していることが好ましい(請求項18)。
この場合にも、上記同心円模様の場合と同様に、干渉縞を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感をより強調することができる。また、上記意匠層として、木目調の意匠層を形成してある場合には、上記ヘアライン模様の上記凹凸層によって、より自然な木目の素材感を上記意匠層に生じさせることができる。
へアライン模様の一例(自動車の速度メータ)を図12に示す。同図に示すごとく、ヘアライン模様は、例えば多数の平行な直線(細線)を、紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成することにより表現することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部41よりも小さな厚みの凹部42が形成される。このとき、凸部41を形成する多数の直線(細線43)においては、その長さ及び幅を適宜変更させることができる。
【0040】
また、上記凹凸層は、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様を形成していることが好ましい(請求項19)。
この場合にも、上記同心円模様及びヘアライン模様と同様に、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感をより強調することができる。また、上記意匠層の意匠に立体感与えることができる。
旭光目付模様の表示盤の一例(自動車の速度メータ)を図13に示す。同図に示すごとく、旭光目付模様は、例えば円の中心付近から外側に向かう放射線状の多数のラインを紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成すること等により表現することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部よりも小さな厚みの凹部42が形成される。
【0041】
また、上記凹凸層は、蜜柑房模様を形成していることが好ましい。
蜜柑房模様の一例を図14に示す。同図に示すごとく、蜜柑房模様は、扇状模様47を時計回り又は反時計回りに複数配置してなる。扇状模様47においては、円弧状曲線からなる上記凸部41と円弧状曲線からなる上記凹部42とが交互に配されいると共に、上記円弧状曲線はその長さが上記扇状模様47の中央から外方に向けて順次大きくなっている。
このような蜜柑房模様を形成することによっても、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感をより強調することができる。
【0042】
また、上記扇状模様において、上記円弧状曲線は、上記扇状模様の中央から外方に向けてその曲率が順次小さくなっていることが好ましい。即ち、例えば図14に示す蜜柑房模様において、扇状模様47を構成する上記凸部41の円弧状曲線は、扇状模様の中心P1に近づくほどから曲率が大きく、中心P1から遠ざかるほど曲率が小さくなっている。
この場合には、外光の乱反射を発生させることができ、更なる質感を付与することができる。
【0043】
また、図15に示すごとく、上記蜜柑房模様は、中心角θの異なる複数の上記扇状模様47を時計回り又は反時計回りに配置してなることが好ましい。
この場合には、表示盤1の意匠性を向上させることができる。さらに、各扇状模様47の各エリアで光の反射量が変化するため、例えば上記表示盤1を自動車の速度メータ等として用いた場合に、速度メータの指針が指すエリアに応じて盤面の見え方(反射ゾーン)が変化する。そのため、視認者(運転者)による速度メータの即読性を向上させることができる。図15においては、時計回りに中心角θが大きくなるように扇状模様47を配置してなる上記蜜柑房模様の例を示しており、θ1<θ2となっている。上記扇状模様の中心角θは、扇状模様の外形を扇形とみなしたときの扇形の中心角である。
【0044】
また、図16に示すごとく、上記蜜柑房模様においては、複数の上記扇状模様47をその中心位置Pをずらしながら時計回り又は反時計回りに配置させることができる。扇状模様47の中心位置Pは、扇状模様47の外形を扇形とみなしたときの中心である。同図に示すごとく、例えば扇状模様471の中心位置P1及び扇状模様472の中心位置P2は、一致していない。
この場合には、同心円模様等では表現できなかった表面のハレーション等が表現可能となる。即ち、一般に、反射率や屈折率は凹凸層の曲率に大きく影響される。しかし、一定の同心円では表示盤のサイズにより曲率がほぼ決まってしまうため、同心円模様等による質感は、線の間隔、太さ、及び高さ等によって制御するしかない。これに対し、上記蜜柑房模様においては、各扇状模様によって円の曲率を区切ることができるため、より多彩な質感の表現が可能となる。
【0045】
また、上記樹脂基板の少なくとも一部には、真空成形又は圧空成形により立体形状が施されていることが好ましい(請求項20)。
この場合には、上記表示盤に例えばゆるやかな曲面等の上記立体形状が形成されるため、外光の反射が顕著になり、一層質感を高めることができる。
【0046】
次に、上記表示盤を製造するにあたっては、上記意匠層形成工程と上記凹凸層形成工程とを行う。
上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷することにより上記意匠層を形成する。
上記凹凸層形成工程においては、少なくとも紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部と、被印刷物としての上記樹脂基板を保持する保持部とを備えるインクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行うことにより、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように上記凹凸層を形成する。
【0047】
上記インクジェット印刷装置としては、例えば図17に示すごとく、少なくとも、紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部51と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部52と、被印刷物(樹脂基板)2を保持する保持部53とを有するインクジェット印刷装置5を用いることができる。同図に示すインクジェット印刷装置5においては、インク吐出部51と紫外線照射部52とが第1の駆動部54により、一方向Aに直線往復移動する一方で、保持部53は、この一方向Aに対して直角方向Bに第2の駆動部55によって直線往復移動するように構成されている。
【0048】
上記凹凸層形成工程においては、インクジェット印刷装置5のインク吐出部51を保持部53に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向Aに移動させながら紫外線硬化性インクを吐出し、紫外線を照射して印刷する動作と、インク吐出部51に対して保持部53を一方向Aに対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより凹凸層4を形成する(図17参照)。
上記インク吐出部の移動速度が20m/分未満の場合には、上記インク吐出部から吐出される上記紫外線硬化性インクの液滴が潰れ易くなり、立体感のある上記凹凸層を形成することができなくなるおそれがある。一方、200m/分を越える場合には、上記インク吐出部51が移動することによって発生する空気の乱流により、上記インク吐出部から吐出されるインクが飛散し、インクの着弾精度が低下するおそれがある。そのため、上記凹凸層を所望の形状で形成することが困難になる場合がある。
【0049】
また、上記意匠層形成工程においては、上記意匠層の少なくとも一部を、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する上記着色インクによって形成することが好ましい(請求項22)。
また、上記意匠層形成工程においては、上記着色インクを1層又は2層以上積み重ねて印刷することにより、1層又は2層以上の着色層からなる上記意匠層を形成するとともに、上記着色層のうち少なくとも1層としては、メタリック顔料及び/又は金属粒子を含有する上記着色インクによって、金属色着色層を形成することが好ましい(請求項23)。
これらの場合には、金属調の上記意匠層を形成することができ、上記凹凸層によって例えば傷模様等を形成することにより、上記意匠層における金属調の光沢感及び質感を強調させることができる。
【0050】
上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記意匠面上にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を形成し、該下地印刷層上に上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記意匠層上に上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項24)。
この場合には、上記下地印刷層の光沢性を活かして、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を有する上記金属色着色層を形成することができる。さらに、上記凹凸層を上記金属色着色層を含む上記意匠層上に形成しているため、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を示す上記表示盤を製造することができる。上記下地印刷層の光沢度は、上述のごとく、JISK5600、具体的には、JISK5600−4−7に規定する方法により測定することができる。この光沢度が5未満の場合には、上記下地印刷層の表面が粗い状態となるため、該下地印刷層上に形成される上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。
上記下地印刷層は、インクジェット印刷やグラビア印刷等により形成することができる。また、上記下地印刷層は、有色であっても無色(透明)であってもよい。上記下地印刷層は、上記意匠層の一部として形成することができるが、上記意匠層とは別の印刷層として形成することもできる。
【0051】
次に、上記樹脂基板としては、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板を用いることが好ましい(請求項25)。
この場合には、上記凹凸層と上記意匠層とをそれぞれ上記樹脂基板の反対側の面に形成しても、上記凹凸層側から上記表示盤を観察した視認者が反対側の上記意匠層を鮮明に視認することができる。
【0052】
また、上記樹脂基板としては、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有する樹脂基板を用い、上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記鏡面上に少なくとも上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項26)。
この場合には、上記鏡面の光沢性を活かして、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を発揮できる上記表示盤を製造することができる。さらに、上記凹凸層を上記意匠面とは反対側の面、即ち、上記意匠層が形成された面とは反対側に形成している。そのため、上記表示盤を上記凹凸層側から視認した場合に、上記のごとく優れた光沢感を有する上記金属色着色層を視認することができると共に、上記凹凸層により、上記金属色着色層に立体感を生じさせることができる。その結果、上記表示盤は、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を示すことができる。
上記鏡面の光沢度は、JISK5600に規定する方法により測定することができる。この光沢度が5未満の場合には、上記鏡面が粗い状態となるため、該鏡面上に形成する上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。
【0053】
上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクの液滴を、該液滴1個あたりの容積20pL以下で吐出させることが好ましい(請求項27)。
液滴1個あたりの容積が20pLを越える場合には、上記インク吐出部から吐出される上記紫外線硬化性インクの液滴が潰れ易くなり、立体感のある上記凹凸層を形成することが困難になるおそれがある。より好ましくは、液滴1個あたりの容積は10pL以下がよい。
【0054】
上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層を透明の紫外線硬化性インクによって形成することが好ましい(請求項28)。
この場合には、上記意匠層の色彩を変えることなく、該意匠層の意匠に光沢感の変化や質感を与える上記凹凸層を形成することができる。
【0055】
上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層をブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種、又は2種以上の色の紫外線硬化性インクによって形成することが好ましい(請求項29)。
この場合には、上記意匠層を視認する角度によって、有色の上記凹凸層の色彩が変化するため、上記意匠層の意匠により多彩な質感を与えることができる。また、従来の金属加工においては、上述のごとくアルミニウム板等の薄い色の金属板の光沢感及び質感を強調させることは困難であったが、本発明においては、上記のごとく、有色の上記紫外線硬化性インクを用いて上記凹凸層を形成することにより、アルミニウム色からなる上記意匠層の光沢感及び質感を強調させることが可能になる。
【0056】
上記凹凸層形成工程においては、上記凹部と上記凸部との厚み差が1〜300μmとなるように上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項30)。
上記凹部と上記凸部との厚み差が1μm未満の場合には、上記凹凸層の立体感が不十分になり、上記意匠層の金属や木目調等の模様及び色に、充分な光沢感及び質感を付与することができなくなるおそれがある。一方、300μmを越える場合には、上記凹凸層の凹凸感が強調され過ぎてしまい、上記表示盤の上記意匠層が視認しづらくなってしまうおそれがある。より好ましくは、上記凹部と上記凸部との厚み差は5〜200μmがよい。
【0057】
上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成することにより上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項31)。
上記細線の幅が50μm未満の場合には、細線が細くなり過ぎて、上記凹凸層により形成される例えば金属の傷模様等が認識しづらくなるおそれがある。。一方、幅が200μmを越える場合には、上記細線が太くなりすぎて、上記凹凸層により、例えば金属の傷模様等をリアルに表現することが困難になるおそれがある。また、上記細線の間隔が200μmを超える場合には、間隔が広すぎて、上記凹凸層により例えば金属の傷模様等を表現することが困難になるおそれがある。より好ましくは、上記細線の間隔は5μm以下がよい。
【0058】
上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、上記紫外線硬化性インクからなる描線を形成すると共に、該描線をその厚み方向に2層以上積み重ねて印刷することにより上記細線を形成することが好ましい(請求項32)。
この場合には、上記凸部と上記凹部との差を大きくすることができ、より立体的な上記凹凸層を形成することができる。
【0059】
また、上記描線を積み重ねて形成する際には、その積層方向において、上記樹脂基板から離れるにつれてより小さな幅の上記描線を積み重ねることが好ましい(請求項33)。
この場合には、積層方向(樹脂基板の厚み方向)における樹脂基板から離れる向きに幅が徐々に小さくなる細線を形成することができる。そのためこの場合には、先端が鋭利な上記凸部を形成することができる。それ故、上記細線の厚みに対する上記凹凸層による立体感の付与効果をより強調することができる。
このような上記細線は、上記凹凸層形成工程において、上記描線を積み重ねて印刷する際に、下層の描線の幅よりも上層の描線の幅を小さくしながら描線を積層印刷することにより形成することができる。例えば上述の図9においては、三層の描線451、452、453を積み重ねて形成した細線の断面図が示されており、同図において、描線452は、その下層の描線451よりも小さな幅で積層形成されている。さらに描線453は、その下層の描線452よりも小さな幅で積層形成されている。
【0060】
また、積層状態で形成する上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線を異なる色の上記紫外線硬化性インクで形成することが好ましい(請求項34)。
この場合には、厚み方向に色が変化する上記凸部を形成することができる。そのため、視認者に、見る角度によって多彩な光沢感及び質感を生じさせる上記表示盤を製造することができる。
【0061】
積層状態で形成する上記描線の内、最上層の上記描線を、黒色又は黒系色からなる上記紫外線硬化性インクによって形成することが好ましい(請求項35)。
この場合には、最上層が黒色又は黒系色からなる上記細線を形成することができる。そしてこの場合には、上記凹凸層における上記凸部の山頂部(最上層)が強調され、上記凹凸層の立体感をより一層強調することができる。その結果、例えば金属の傷模様等をより強調することができる。
【0062】
また、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様の上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項36)。
この場合には、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる(上述の図1参照)。
【0063】
次に、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることが好ましい(請求項37)。
この場合には、2つの同心円により干渉縞(モアレ)をより一層強調することができる上記凹凸層を形成することができる。そのため、上述の光沢感及び質感がより一層強調された上記表示盤を製造することができる(上述の図11参照)。
【0064】
また、上記凹凸層形成工程においては、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様の上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項38)。
この場合にも、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる。また、上記意匠層として、木目調の意匠層を形成してある場合には、上記ヘアライン模様の上記凹凸層を形成することによって、より自然な木目の素材感を有する上記表示盤を製造することができる(上述の図12参照)。また、直線状の上記凸部を形成するに際しては、その線幅や間隔を適宜変更して形成することができる。
【0065】
また、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様の上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項39)。
この場合にも、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる(上述の図13参照)。また、この場合には、上記意匠層の意匠性に立体感を付与することができる。
【0066】
また、上記凹凸層形成工程においては、上述の扇状模様を時計回り又は反時計回りに複数配置してなる蜜柑房模様を形成することが好ましい。上記扇状模様は、上述のごとく、円弧状曲線からなる上記凸部と円弧状曲線からなる上記凹部とが交互に配されなると共に、上記円弧状曲線の長さが上記扇状模様の中心から外方に向けて順次大きくなるように上記円弧状曲線を配置して形成されている(上述の図14参照)。
この場合にも、干渉縞を生じさせることができ、光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる。
【0067】
また、上記凹凸層形成工程において、上記蜜柑房模様の上記凹凸層を形成する場合には、上記扇状模様の上記円弧状曲線を、その曲率が上記扇状模様の中央から外方に向けて順次小さくなるように形成することがことが好ましい(図14参照)。
この場合には、上記凹凸層において外光の乱反射を発生させることができ、更なる質感を付与することができる。
【0068】
また、上記凹凸層形成工程において、上記蜜柑房模様の上記凹凸層を形成する場合には、中心角θの異なる複数の上記扇状模様を時計回り又は反時計回りに配置させることにより形成することが好ましい(上述の図15参照)。
この場合には、扇状模様の各エリアでの光の反射量が変化する上記凹凸層を形成することができ、上述のごとく自動車の速度メータ等に適した表示盤を製造することができる。
図15においては、時計回りに中心角θが大きくなるように扇状模様48を配置してなる上記蜜柑房模様の例を示しており、同図中θ1<θ2となっている。
【0069】
また、上記蜜柑房模様の上記凹凸層を形成する場合には、複数の上記扇状模様をその中心位置Pをずらしながら時計回り又は反時計回りに配置させることができる(上述の図16参照)。
この場合には、線の曲率以外に、扇状模様の幅、および中心点からの扇状模様の半径距離を変化させることができる。そのため、例えば自動車の速度メータ等の用途において、指針から表示盤面に光を落とした際に、表面でハレーションの量を変化させることができる。具体的には、安全走行速度の指針領域ではハレーションを抑え、高速度になった場合は運転者に注意を促す意味でハレーションエリアを大きくするといった機能も付与することができる。
【0070】
また、一般に、上記表示盤を例えば自動車の速度メータ等に用いる際には、搭載する自動車の種類に上記表示盤の搭載位置が変化する。本発明においては、上記のごとく、上記凹凸層形成工程において、運転者等の視認者からの視認角度に合わせて、例えば解像度等を変えて上記インクジェット印刷を行うことができる。そのため、最適な干渉縞の発生パターンを容易に形成させることができる。
【0071】
上記凹凸層形成工程における印刷は、解像度1200DPI×1200DPI以上で行うことが好ましい(請求項40)。
解像度が1200DPI×1200DPI未満の場合には、解像度不足により、例えば直径100mmより小さな円弧の曲線が滑らかに表現できなくなるおそれがある。
【0072】
また、上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部の移動方向と上記保持部の移動方向とで、異なる解像度で上記インクジェット印刷を行うことが好ましい(請求項41)。
この場合には、干渉縞の発生パターンを変化させることができる。
具体的には、上記表示盤を例えば自動車用文字盤等に用いた場合には、自動車の種類によってその搭載位置が変わり、運転者からの視認角度が変化するおそれがある。上記のごとく異なる解像度でインクジェット印刷を行うと干渉縞の発生パターンを変化させることができるため、最適な干渉縞の発生パターンを調整することができる。
【0073】
また、上記表示盤の製造方法においては、上記意匠層形成工程及び上記凹凸層形成工程の他に、上記樹脂基板の少なくとも一部に、真空成形・圧空成形によって、立体形状を施す成形工程を行うことが好ましい(請求項42)。
この場合には、上記表示盤に例えばゆるやかな曲面等の上記立体形状を形成することができる。そのため、外光の反射が顕著で、より一層質感に優れた上記表示盤を製造することができる。
上記成形工程は、上記意匠層形成工程及び上記凹凸層形成工程を行う前又は行った後に行うことができる。また、上記意匠層形成工程と上記凹凸層形成工程との間や、これら工程の途中に行うこともできる。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
次に、本発明の表示盤の実施例につき、図1、図2、及び図17を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の表示盤1は、樹脂基板2と、この上に形成された有色の意匠層3と、樹脂基板2における意匠層3が形成された意匠面21とは反対側の面22に形成された、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる凹凸層4とを有する。凹凸層4は、凹部42の厚みよりも凸部41の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクの液滴をインクジェット印刷により印刷し硬化させてなる。
【0075】
本例の表示盤1は、自動車用の速度メータである。図1に本例の表示盤1の正面図を示し、図2に表示盤1の部分断面拡大図を示す。
図2に示すごとく、本例の表示盤においては、意匠層3と凹凸層4とは、ポリカーボネート樹脂からなる透明の樹脂基板2における対向する二つの別々の面21、22にそれぞれ形成されている。
意匠層3を形成した意匠面21側には、LED等の光源15を配置することができる。また、本例において、意匠層3は、アルミニウム粉等を含有するメタリック顔料からなる金属色の着色インクで形成された金属色着色層31と、黒色の着色インクで形成された黒色着色層32と、透光性の白色の着色インクで形成された白色着色層33とから形成されている。なお、金属着色層31は、金属微粒子を含有する水系インクと、該水系インクを保護する透明インクとによって形成することもできる。
【0076】
上記のように、3種類の着色層31、32、33を形成することにより、本例の表示盤1においては、可視光を透過する透光部18及び可視光を透過しない不透光部19が形成される。透過部18は光源15から発生する光を透過できるため、表示盤1はバックライト方式の表示盤として用いることができる。また、黒色着色層によって構成された不透過部19は、光源15の光をほとんど透過せず、表示盤1における目盛りや文字の輪郭を表現する(図1参照)。
【0077】
図2に示すごとく、金属色着色層31が形成された部分には、その金属色着色層31が形成された意匠面21側とは反対側の面22に、透明の凹凸層4が形成されている。凹凸層4は、複数の凹部42と複数の凸部41とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様からなる。この凹凸層4の同心円模様によって干渉縞が生じ、金属色着色層31を視認する運転者等に金属の光沢及び質感を表現させることができる。
【0078】
また、凹凸層4は、複数の凹部42と複数の凸部41とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様を形成している(図1参照)。図2に示すごとく、凹凸層4においては、凸部41が透明性の紫外線硬化性インク(以下、適宜「UVインク」という)により形成されており、凹部42についてはUVインクの印刷を施さない非印刷部425を設けることによって形成されている。本例において、凸部41は、厚さ50μm、印刷線幅100μmで形成されており、凸部41と凸部41との印刷線間距離が200μmの同心円模様が形成されている。
【0079】
次に、本例の表示盤の製造方法につき、説明する。
本例の表示盤1の製造方法においては、意匠層形成工程と凹凸層形成工程とを行う。
意匠層形成工程においては、樹脂基板2上に、有色の着色インクを印刷することにより意匠層3を形成する。また、凹凸層形成工程においては、インクジェット印刷装置を用いて、樹脂基板2における意匠層3を形成する意匠面21とは反対側の面22に紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された紫外線硬化性インクに紫外線を照射し、紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行う。これにより、凹部42の厚みよりも凸部41の厚みが大きくなるように凹凸層4を形成する。
【0080】
本例においては、図17に示すごとく、少なくとも、紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部51と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部52と、被印刷物としての樹脂基板2を保持する保持部53とを備えるインクジェット印刷装置5を用いてインクジェット印刷を行う。同図に示すインクジェット印刷装置5においては、インク吐出部51と紫外線照射部52とが第1の駆動部54により、一方向Aに直線往復移動する一方で、保持部53は、この一方向Aに対して直角方向Bに第2の駆動部55によって直線往復移動するように構成されている。
【0081】
凹凸層形成工程においては、インクジェット印刷装置5のインク吐出部51を保持部53に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向Aに移動させながら紫外線硬化性インクを吐出し、紫外線を照射して印刷する動作と、インク吐出部51に対して保持部53を一方向Aに対して略直角の方向Bに1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより凹凸層を形成する。
【0082】
以下、本例の表示盤の製造方法につき、図1、図2及び図17を用いて詳細に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂からなる透明の樹脂基板2を準備した(図2参照)。この樹脂基板2の意匠面21に、スクリーン印刷により、メタリック顔料からなる着色インクを用いて金属色着色層31を印刷形成した。同様に、スクリーン印刷により、黒色の着色インクを用いて黒色着色層32を形成し、さらに白色の着色インクを用いて半透明の白色着色層33を順次積層形成した。このようにして、金属色着色層31、黒尾色着色層32、及び白色着色層33の3種類の層からなる意匠層3を形成した。意匠層3において、目盛りや文字の輪郭を表す不透過部19には、黒色着色層7を印刷した(図1及び図2参照)。また、黒色インク層7上から、樹脂基板2の意匠面21の全面を覆うように、透光性の白色着色層33を印刷した。なお、本例においては、金属色着色層31は、上記のごとくメタリック顔料からなる着色インクを印刷することにより形成したが、金属微粒子を含有する水系インクを印刷し、この印刷層上にこれを保護する透明インクを積層印刷することにより形成することもできる。
【0083】
次に、樹脂基板2における意匠面21とは反対側の面22に凹凸層4を形成する。
凹凸層4の印刷は、模様(同心円模様)をコンピュータにより作成し、この作成した画像に基づいて、UVインクを用いたインクジェット法により、樹脂基板2に画像を印刷する。
本例の画像の作成においては、例えばAdobe社製画像処理用ソフトウェアを用いた。また、インクジェット印刷装置5として、具体的には、UV硬化型インクジェット装置(東芝テック製インクジェットヘッド、UV照射光源同時駆動型ミマキエンジニアリング製UJF605C、最高解像度:2400DPI、搭載ヘッド数:8ヘッド)を用いた(図17参照)。この印刷機5は、インク吐出部(インクジェットヘッド)51の真横に、紫外線照射を行う光源を内蔵する紫外線照射部52が搭載されており、インク吐出部51のノズルからインク滴を射出した後、射出したインク滴に対して直ちに紫外線を照射できるものである。
本例においては、インク吐出部51のノズルからインク液滴が射出されてから紫外線を照射するまでの時間を例えば1秒以内とし、インク吐出部51の移動速度は20m/分以上とした。
【0084】
また、インク吐出部51は、例えば一度のインクの吐出で目標の解像度の画像を印刷するのではなく、ヘッドが往復等して同一部位にインクを複数回射出することで、目標の解像度の画像を印刷するようになっている。例えば、ヘッドの解像度が150DPIの場合、ヘッドが8回(8puss)インクを射出することで、1200DPIの画像が得られるようになっている。
なお、本明細書では、目標の解像度の画像を得るまでを1回の印刷としている。すなわち、1200DPIの画像を印刷する場合、ヘッドの解像度が、例えば150DPIであれば、8回インクを射出したときが1回の印刷であり、ヘッドの解像度が1200DPIであれば、1回インクを射出したときが1回の印刷である。
【0085】
具体的には、まず、画像をコンピュータで作成した後、この画像データをインクジェット印刷装置5に入力した。このとき、印刷解像度、インクの液適量、単位面積あたりの印刷密度(インク滴吐出密度)を指定する。本例においては、解像度を1200dpi、インクの液適量を6pl(ピコリットル)、印刷密度を100%と指定した。
次いで、この画像データが入力されたインクジェット印刷装置5を用いて、樹脂基板2の面22上における意匠面21側に形成された金属色着色層31の領域に対し、凹凸層4の凸部41を印刷する(図1、図2、及び図17参照)。本例においては、単体ヘッドを用いて1回の印刷で、インク厚み3〜10μmの印刷層(凸部41)が形成されるため、印刷を複数回行うことにより、厚みが50μmの凸部41を形成した。他に、例えば、複数のヘッドを同時に用いて印刷を行うことにより、厚みの大きな凸部41を短時間で形成することができる。また、ヘッドの移動速度を40〜100m/分まで上げ、樹脂基板2に着弾したインク滴を瞬時に硬化させインク厚みを大きくすることにより、凸部41の形成の短時間化を図ることもできる。
【0086】
このようにして、複数の凸部41を同心円状に印刷した。これにより、隣合う2つの凸部41の間には、印刷が施されていない凹部42が形成され、凹部と凸部とを交互に配してなる凹凸層4を形成し、意匠層3と凹凸層4とを有する表示盤1を作製した。
なお、製造された表示盤1を、図示しない指針、回動内機、光源等と共に、ケーシングおよび見返し板からなるハウジングに収納することで、車両用計器を完成することができる。
【0087】
上記した実施形態では、表示盤1として、車両用計器の計器板を製造する場合を例として説明したが、他の分野における金属調を有する表示板の製造にも、本発明を適用することができる。例えば、家電製品の分野において、タッチパネル等の発光ダイオードの光を透過させて表示する表示盤にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1にかかる、表示盤の正面図。
【図2】実施例1にかかる、表示盤の部分断面拡大図(図1の部分断面拡大図)。
【図3】意匠層と凹凸層とを樹脂基板の対向する2つの面にそれぞれ有する表示盤を示す説明図。
【図4】下地印刷層上に形成された意匠層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図5】樹脂基板の鏡面上に形成された意匠層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図6】非印刷部を形成することにより凹部を形成した凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図7】インクジェット印刷により複数の細線同士を接触させて形成した凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図8】複数の描線を積層してなる細線によって凸部を形成した凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図9】積層方向において樹脂基板から離れるにつれて描線の幅が小さくなるように複数の描線を積層してなる細線によって凸部を形成してなる凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図10】凸部より小さな厚みで紫外線硬化性インクを印刷することにより凹部を形成した凹凸層を有する部分断面拡大図。
【図11】中心の異なる2つの同心円模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図12】ヘアライン模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図13】旭光目付模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図14】蜜柑房模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図15】中心角が異なる複数の扇状模様からなる蜜柑房模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図16】中心位置をずらして複数の扇状模様を配置してなる蜜柑房模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図17】UV硬化型のインクジェット装置の概略の全体構成を示す斜視図。
【図18】スクリーン印刷により形成した傷模様層を有する表示盤を示す説明図。
【図19】金属板に形成した溝部を有する表示盤を示す説明図。
【符号の説明】
【0089】
1 表示盤
2 樹脂基板
21 意匠面
3 意匠層
4 凹凸層
41 凸部
42 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属調等の光沢及び質感を有する表示盤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車の速度メータ等の表示盤としては、金属調等の光沢及び質感を有するものが作製されていた。具体的には、例えば図18に示すごとく、樹脂基板80上に、金属色等の有色の意匠層89と、スクリーン印刷によって形成された傷模様層81とを有する表示盤8がある。傷模様層81は、周囲よりも厚みの大きな凸部811をスクリーン印刷により形成し、この凸部811よりも厚みの小さな凹部812と上記凸部811とが交互に配置するように、スクリーン印刷を行って形成されていた。このような表示盤8においては、傷模様層81によって、意匠層3の色及び模様に光沢感及び質感を付与することができる。例えば意匠層89として金属調や木目調等の色及び模様を施すことにより、上記表示盤8においては、金属や木目等の光沢感及び質感を表現できる。傷模様層81は、例えばスクリーン印刷によって複数のライン(凸部811)を印刷することにより形成されていた。
【0003】
従来のスクリーン印刷によってライン811を形成する方法においては、個々のライン幅の最小値が約0.2mm程度であり、ライン間隔の最小値が約0.3mm程度であった。これよりライン幅及びライン間隔を細かくするとライン811の掠れや隣り合うライン811同士の潰れが生じてしまうという問題があった。そのため、金属等の光沢感及び質感をより充分に表現するために要求される細かさを満たすことができなかった。
【0004】
スクリーン印刷以外の方法により金属調等の光沢感及び質感を表現する方法としては、例えば図19に示すごとく、金属板90に対し、例えば旭光目付状に溝92を形成する溝加工を行う方法がある(特許文献1及び特許文献2参照)。
このような方法によれば、干渉縞等を生じさせ、金属調の光沢感及び質感を充分に表現できるが、その反面、金属板90を用い、これに金属加工を施すため、材料及び加工のためのコストが非常に高くなるという問題があった。また、アルミニウム等のように比較的薄い色の金属板90においては、溝加工を行ってもあまり質感をだすことができないという問題があった。また、アルミニウム等の金属板90においては、平坦部91と溝部92が同色のため、溝92の深さを増してもあまり質感を強調できない。また、逆に干渉縞を抑制するために同一円周上の溝ピッチを変えることは、加工の原理上、非常に困難であった。
更に、通常、速度メータ等の表示盤においては、金属の質感を表現する部分と表現しない部分とが混在する。金属の質感を表現する部分を一つの金属板を用いて作製すると非常にコスト高となる。そのため、それぞれを別部品で構成すればある程度のコストを抑えることができる。しかし、その場合においても依然としてコストが高いという問題があった。
【0005】
また、上述のスクリーン印刷以外にも、印刷方式としてはインクジェット印刷等がある。しかし、通常のインクジェット印刷、即ち一般家庭に広く普及している水系のインクジェット印刷により基板上に印刷を施す場合には、基板上に水系インクを吸収させるための受理層が必要となる。インクジェット印刷後には、上記受理層に水系インクが染み込むため、平坦な印刷層しか形成できず、傷模様等の凹凸層を形成することができなかった。
また、溶剤系インクジェットでは、インクを吐出して乾燥させるまでに、長時間放置させる必要がある。この乾燥時に、基板上のインクが自重により平坦化するため、溶剤系のインクジェット印刷においても、立体的な傷模様を形成することは困難であった。このように、インクジェット印刷においては印刷層が平坦になるため、金属の溝加工等のような立体形状を形成することが困難であった。そのため、インクジェット印刷により、金属等の光沢感や質感を表現することが困難であった。さらに、他のデジタル印刷方法である、レーザ印刷や熱転写印刷法でも、同様に立体的な印刷層を得るのは困難であった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−4494号公報
【特許文献2】特開2003−4495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、安価で、容易に金属等の光沢感及び質感を表現できる表示盤及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤であって、
上記凹凸層は、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクをインクジェット印刷により印刷し硬化させてなることを特徴とする表示盤にある(請求項1)。
【0009】
上記第1の発明の表示盤においては、上記凹部と上記凸部とが交互に複数配されてなる上記凹凸層が、上記紫外線硬化性インクを用いた上記インクジェット印刷により形成されている。そのため、上記凹凸層の形成時においては、上記インクジェット印刷の上記紫外線硬化性インクが上記意匠層又は上記樹脂基板に着弾した直後に、紫外線を照射させて上記紫外線硬化性インクを硬化させることができる。それ故、上記紫外線硬化性インクが、着弾後に自重により平坦化してしまうことを防止することができ、硬化した紫外線硬化性インクを例えば積み重ねること等により上記凸部を簡単に形成することができる。そのため、厚みの大きな上記凸部を容易に形成することができ、立体的な上記凹凸層を形成することができる。
【0010】
また、上記表示盤には、上記意匠層と上記凹凸層とが形成されている。そのため、上記表示盤においては、立体的な上記凹凸層で例えば傷模様等を形成し、上記意匠層の色や模様に光沢感の変化や質感を付与することができる。例えば、上記意匠層として金属色や木目調の層を形成することにより、上記表示盤においては、金属や木目の光沢感や質感を得ることができる。即ち、金属等の立体的な溝加工を擬似的に再現することができる。さらに、インクジェット印刷においては、1つのインク粒を数十μm単位で形成することが可能であるため、スクリーン印刷等よりもピッチ幅、即ち上記凸部と上記凸部との間隔を微細にすることができる。そのため、上記表示盤においては、例えば金属等の光沢感及び質感をより充分に表現することができる。
また、上記表示盤においては、金属加工等を行わずに、上記インクジェット印刷により金属等の光沢感や質感を表現できるため、上記表示盤の製造コストを低減させることができる。
【0011】
以上のように、上記第1の発明によれば、安価で、容易に金属等の光沢感及び質感を表現できる表示盤を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤の製造方法であって、
上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷することにより上記意匠層を形成する意匠層形成工程と、
少なくとも紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部と、被印刷物としての上記樹脂基板を保持する保持部とを備えるインクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行うことにより、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように上記凹凸層を形成する凹凸層形成工程とを有し、
該凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部を上記保持部に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向に移動させながら上記紫外線硬化性インクを吐出し、上記紫外線を照射して印刷する動作と、上記インク吐出部に対して上記保持部を上記一方向に対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法にある(請求項21)。
【0013】
上記第2の発明においては、上記意匠層形成工程と、上記凹凸層形成工程とを行うことにより、上記樹脂基板と上記意匠層と上記凹凸層とを有する表示盤を製造する。
上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷する。これにより、例えば金属色等の有色の上記意匠層を形成する。
また、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出させる吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行う。このとき、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部を上記保持部に対して相対的に毎分20〜200mで一方向に移動させながら上記紫外線硬化性インクを吐出し硬化させる動作と、上記一方向に対して上記保持部を直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返す。
【0014】
そのため、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷の上記紫外線硬化性インクが上記意匠層又は上記樹脂基板に着弾した直後に紫外線により上記紫外線硬化性インクを硬化させることができる。即ち、上記紫外線硬化性インクが、着弾後に自重により平坦化して厚みが小さくなる前に、上記紫外線硬化性インクを硬化させることができる。そのため、紫外線硬化性インクを積み重ねること等により厚みの大きな上記凸部を容易に形成させることができ、立体的な上記凹凸層を形成することができる。
【0015】
さらに、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により上記凹凸層を形成している。そのため、1つのインク粒を数十μm単位で形成することができ、スクリーン印刷等よりもラインピッチを微細にすることができる。そのため、上記表示盤においては、例えば金属等の光沢感及び質感をより充分に表現することができる。
また、上記表示盤においては、金属加工等を行わずに、上記インクジェット印刷により金属等の光沢感や質感を表現できるため、上記表示盤の製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の好ましい実施の形態につき説明する。
上記表示盤は、例えば自動車用スピード表示盤、及びエアコンの表示盤等に用いることができる。
上記表示盤は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記意匠層が形成された意匠面21とは反対側の面に形成された凹凸層とを有する。
このような表示盤の一例を図3に示す。
この表示盤1においては、同図に示すごとく、凹凸層4は意匠面21と反対側の面22上に形成されている。この場合には、上記表示盤1を上記凹凸層4側から視認した際に、樹脂基板特有の光沢感を得ることができる。また、上記凹凸層4は、意匠層3上に形成することもできる(図4参照)。
【0017】
上記意匠層は、クリア(透明)、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、ライトシアン、及びライトマゼンタ等の着色インクを印刷することにより形成することができる。上記意匠層は、着色インクを1層又は複数層重ねて印刷することにより形成することができる。
また、上記意匠層においては、上記樹脂基板の上記凹凸層とは反対側の面から光を照射したときに、光を透過する透過部と光を透過しない不透過部とを形成することができる。上記不透過部は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック等の色を組み合わせたり、またこれら有色の意匠層を複数層積み重ねて印刷形成することにより形成できる。
【0018】
上記意匠層の少なくとも一部は、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有することが好ましい(請求項2)。
また、上記意匠層は、1層又は2層以上の着色層からなり、該着色層のうち少なくとも一層は、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層からなることが好ましい(請求項3)。
これらの場合には、上記意匠層の少なくとも一部に金属調の光沢感及び質感を付与することができる。そのためこの場合には、上記凹凸層4によって傷模様感を付与することにより、上記意匠層における金属調の光沢感及び質感を強調させることができる。
【0019】
また、上記金属色着色層は、上記樹脂基板の上記意匠面上に、JISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を介して形成されており、上記凹凸層は、上記意匠層上に形成されていることが好ましい(請求項4)。
このような表示盤の一例を図4に示す。
即ち、同図に示すごとく、表示盤1においては、樹脂基板2の意匠面21上に、JISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の上記下地印刷層35が形成されている。該下地印刷層35上に上記金属色着色層31が積層形成されている。さらに少なくとも金属着色層31を有する意匠層3上に、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる上記凹凸層4が形成されている。
この場合には、上記下地印刷層35の光沢性を活かして、上記金属色着色層31は、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を発揮することができる。さらに、上記凹凸層4が上記金属色着色層31を含む上記意匠層3上に形成されているため、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を得ることができる。
【0020】
上記下地印刷層の光沢度は、JISK5600に規定する方法、具体的にはJISK5600−4−7に規定する鏡面光沢度に準じた方法により測定することができる。表面60度−光沢度5以上の下地印刷層は、該下地印刷層の表面に60°の角度から光を照射したときの光沢度が5以上であることを示す。
下地印刷層の光沢度が5未満の場合には、下地印刷層の表面が粗い状態となるため、該下地印刷層上に形成される上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。なお、上記下地印刷層は有色であっても透明であってもよい。
【0021】
次に、上記樹脂基板としては、例えばポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂からなるものを用いることができる。
また、上記樹脂基板としては、透光性の樹脂基板を用いることが好ましい。
この場合には、例えば上記凹凸層が形成された面とは反対側の面に配置した光源から上記表示盤に光を照射することにより、バックライト式の表示盤として用いることができる。より好ましくは、上記樹脂基板は、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板からなることが好ましい(請求項5)。厚さが1mmを越える場合には、例えば上記意匠層を、上記表示盤の使用者が視認する面とは反対側の裏面に形成してある場合に、上記意匠層を鮮明に視認することが困難になるおそれがある。また、上記意匠層と上記凹凸層との距離が大きくなるため、視認者が斜めから見た際に、上記意匠層と上記凹凸層とがずれて見え、見栄えが悪くなるおそれがある。
【0022】
また、上述のごとく、上記樹脂基板が厚さ1mm以下の透明の樹脂基板からなる場合においては、上記樹脂基板は、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有し、該鏡面上には、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層が形成されていると共に、上記凹凸層は、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に形成されていることが好ましい(請求項6)。
その一例を図5に示す。
即ち、同図に示すごとく、表示盤1においては、樹脂基板2は、意匠面21側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面23を有し、該鏡面23上に上記金属着色層31が形成されている。さらに凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる上記凹凸層4は、樹脂基板2における意匠面21とは反対側の面22に形成されている。
この場合には、上記鏡面23の光沢性を活かして、上記金属色着色層31は、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を発揮することができる。さらに、上記凹凸層4が上記意匠面21とは反対側の面に形成されている。そのため、上記表示盤1を上記凹凸層4側から視認した場合に、上記のごとく優れた光沢感を有する上記金属色着色層23を視認することができると共に、上記凹凸層4により、上記金属色着色層23に立体感を生じさせることができる。それ故、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を得ることができる。
上記鏡面の光沢度は、上記下地印刷層と同様に、JISK5600に規定する方法により測定することができる。表面60度−光沢度5以上の鏡面は、該鏡面に60°の角度から光を照射したときの光沢度が5以上であることを示す。
この光沢度が5未満の場合には、上記鏡面が粗い状態となるため、該鏡面上に形成される上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。
【0023】
次に、上記凹凸層は、紫外線硬化性インクをインクジェット印刷することにより形成されている。上記紫外線硬化性インクとしては、例えばアクリル系ラジカル重合型、及びエポキシ系カチオン重合型等のインクを用いることができる。
【0024】
また、上記凹凸層は、透明の上記紫外線硬化性インクよりなることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記意匠層の色彩を変えることなく、該意匠層の意匠に上記凹凸層によって光沢感の変化や質感を与えることができる。
【0025】
また、上記凹凸層は、有色であり、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種又は2種以上の色の上記紫外線硬化性インクよりなることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記意匠層を視認する角度によって、有色の上記凹凸層の色彩が変化するため、上記意匠層の意匠に、より多彩な質感を与えることができる。また、従来の金属加工においては、上述のごとくアルミニウム板等の薄い色の金属板の光沢感及び質感を強調させることは困難であったが、本発明においては、上記のごとく有色の上記紫外線硬化性インクを用いて上記凹凸層を形成することにより、アルミニウム色からなる上記意匠層の光沢感及び質感を強調させることが可能になる。
【0026】
また、上記凹凸層における上記凹部42は、その厚みを0μmにすることができる。
即ち、例えば図6に示すごとく、凹部42と凸部42とが交互に複数配されてなる凹凸層4においては、凸部41だけを上記紫外線硬化性インクのインクジェット印刷により形成し、凹部42については紫外線硬化性インクの印刷を施さない非印刷部425を設けることによって形成することができる。
【0027】
次に、上記凹凸層は、解像度1200DPI×1200DPI以上のインクジェット印刷によって形成されていることが好ましい(請求項9)。
上記凹凸層の解像度が1200DPI×1200DPI未満の場合には、解像度不足により、例えば直径100mmより小さな円弧の曲線が滑らかに表現できなくなるおそれがある。
【0028】
また、上記凹部と上記凸部との厚み差は、1〜300μmであることが好ましい(請求項10)。
上記凹部と上記凸部との厚み差について、図6を用いて説明する。
同図に示すごとく、表示盤1において、凹凸層4は、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる。この凹部42と凹部41とに厚み差があることにより、凹凸層4は、立体的な傷模様等を表現することができる。
凹部42と凸部41との厚み差Tが1μm未満の場合には、凹凸層4の立体感が不十分になり、上記意匠層3の金属や木目調等の模様及び色に、充分な光沢感及び質感を付与することができなくなるおそれがある。一方、厚み差Tが300μmを越える場合には、上記凹凸層4の凹凸感が強調され過ぎてしまい、表示盤1の意匠層3が視認しづらくなってしまうおそれがある。より好ましくは、上記凹部と上記凸部との厚み差は5〜200μmがよい。
【0029】
また、上記凹凸層は、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成してなることが好ましい(請求項11)。
即ち、例えば図6に示すごとく、凹凸層4は、幅W=50〜200μmの多数の細線43を、間隔D=0〜200μmで形成してなることが好ましい。
上記細線43の幅Wが50μm未満の場合には、細線43が細くなり過ぎて、上記凹凸層4により形成される例えば金属の傷模様等が認識しづらくなるおそれがある。一方、幅Wが200μmを越える場合には、細線43が太くなりすぎて、上記凹凸層4により、例えば金属の傷模様等をリアルに表現することが困難になるおそれがある。また、細線43同士の間隔Dが200μmを超える場合には、間隔が広くなりすぎて、凹凸層4により例えば金属の傷模様等を表現することが困難になるおそれがある。より好ましくは、上記細線43同士の間隔Dは5μm以下がよい。
【0030】
また、上記細線の間隔Dは0であってもよい。
即ち、図7に示すごとく、隣り合う2つの細線43同士が接触していてもよい。この場合においても、細線43の頂上部に凸部41が形成されると共に、隣り合う2つの凸部41の間に凹部42が形成される。
上記細線43は、上記インクジェット印刷により形成されている。即ち、上記細線43は、上記インクジェット印刷により上記紫外線硬化性インクの液滴を上記樹脂基板2上に噴射し、該液滴を硬化させてなる。そのため、図7に示すごとく、細線43の断面は、略半円状である。したがって、上記のごとく、細線43同士の間隔Dを0にして隣り合う細線43同士を部分的に接触させても、細線43の頂上部に凸部41が形成されると共に、隣り合う2つの細線43の接触部分に凹部42が形成される。よって、この場合にも、凸部41と凹部42とが交互に配されてなる上記凹凸層4を形成することができる。
【0031】
なお、上記細線43の幅Wは、細線43の最大幅のことをいう(図6参照)。後述のごとく、幅の異なる複数の描線451、452、453を積み重ねて細線43を形成する場合(図9参照)においても、細線の幅Wは、最大幅のことをいう。
一方、上記細線43同士の間隔Dは、隣り合う細線43同士の間隔であって、その最小の間隔をいう(図6参照)。後述のごとく、幅の異なる複数の描線451、452、453を積み重ねて細線43を形成する場合(図9参照)においても、細線43の間隔Dは、その最小の間隔のことをいう。
【0032】
次に、上記細線は、上記インクジェット印刷により形成された上記紫外線硬化性インクからなる描線を厚み方向に2層以上積層してなることが好ましい(請求項12)。
積層状態の描線によって細線を形成した一例を図8に示す。
即ち、同図に示すごとく、表示盤1においては、描線457、458、459を積層形成することにより細線43を形成することができる。同図においては、この細線43からなる凸部41と凹部42とが複数配されてなる凹凸層4が樹脂基板2上に形成されている。
この場合には、上記凸部41と上記凹部42との厚み差を大きくすることができ、より立体的な上記凹凸層4を形成することができる。
【0033】
また、図9に示すごとく、上記細線43は、上記描線451、452、453の積層方向において、上記樹脂基板2から離れるにつれてその幅が小さくなるように上記描線451、452、453を積層してなることが好ましい(請求項13)。
即ち、同図に示すごとく、描線451、452、453を積層形成することにより細線43を形成する場合において、描線451、452、453の積層方向(樹脂基板2の厚み方向)において樹脂基板2から離れるにつれて描線451、452、453の幅が徐々に小さくなるように形成されていることが好ましい。図9に示した例においては、描線452は描線451よりも小さな幅で形成されており、さらに描線453は描線452よりもさらにより小さな幅で形成されている。
この場合には、凸部41の先端が鋭利になり、上記細線43の厚みに対する上記凹凸層4による立体感の付与効果をより強調することができる。幅を変えずに上記細線43の厚みを大きくしても、上記凸部41と上記凹部42との厚み差が大きくなり、凹凸層4を強調することができるが、その分、上記紫外線硬化性インクのインク量が多くなり、上記表示盤1の製造コストが増大してしまう(図8参照)。一方、図9に示すごとく、上記描線451、452、453の積層方向において、下層から上層に向けて徐々に幅が小さくなるように上記描線451、452、453を積層形成すると、上記細線の厚みをそれほど大きくしなくても、より立体的な上記凹凸層4を形成することができる(図9参照)。
【0034】
また、積層状態にある上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線は、互いに異なる色の上記紫外線硬化性インクからなることが好ましい(請求項14)。
即ち、例えば図8及び図9に示すごとく、積層形成された描線451(457)、452(458)、453(459)のうち、少なくとも2層以上の描線は、互いに異なる色の紫外線硬化性インクからなることが好ましい。図8及び図9においては、異なる色の描線451(457)、452(458)、453(459)を、異なるハッチングにて示してある。
この場合には、厚み方向に色が変化する上記凸部41を形成することができる。そのため、視認者に、見る角度によって多彩な光沢感及び質感を生じさせることができる。
【0035】
また、上記細線において最上層の上記描線は、黒色又は黒系色からなることが好ましい(請求項15)。
この場合には、上記凸部の山頂部(最上層)が強調され、上記凹凸層の立体感をより一層強調することができる。その結果、例えば金属の傷模様等をより強調することができる。
【0036】
また、上述のごとく、上記凹凸層4において、上記凹部42は、上記紫外線硬化性インクの印刷を施さない非印刷部425を設けることによって形成することができる(図6及び図8参照)が、例えば図10に示すごとく、上記凸部41よりも小さな厚みで上記紫外線硬化性インクからなる描線450を印刷することにより形成することもできる。
図10に示す例においては、凸部41は、3層の描線457、458、459を積層形成してなる。一方、凹部42は、一層の描線450からなる。このように、凹部42は、紫外線硬化性インクを印刷して形成することもできる。
【0037】
次に、上記凹凸層は、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様を形成していることが好ましい(請求項16)。
この場合には、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢及び質感をより強調することができる。
同心円模様の一例(自動車の速度メータ)を図1に示す。同図に示すごとく、同心円模様は、例えば多数の同心円を紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成することにより表現することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部よりも小さな厚みの上記凹部42が形成される。
【0038】
また、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることが好ましい(請求項17)。
中心位置が異なる二つの同心円からなる同心円模様の一例(自動車の速度メータ)を図11に示す。同図に示すごとく、凹凸層4は、中止位置が異なる二つの同心円48、49からなる。各同心円48、49における同心円模様は、例えば多数の同心円を紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部41よりも小さな厚みの上記凹部42が形成される。二つの同心円48、49はそれぞれ中心O1及びO2を有し、中心O1と中心O2との中心間距離dが10〜1000μmである。この場合には、2つの同心円により干渉縞をより強調させることができ、上述の光沢感及び質感をより一層強調することができる。
中心間距離dが10μm未満の場合には、干渉縞の強調効果が充分に得られなくなるおそれがある。一方、1000μmを越える場合には、干渉縞の強調効果が過剰になり、視認者に不快感を与えてしまうおそれがある。
【0039】
また、上記凹凸層は、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様を形成していることが好ましい(請求項18)。
この場合にも、上記同心円模様の場合と同様に、干渉縞を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感をより強調することができる。また、上記意匠層として、木目調の意匠層を形成してある場合には、上記ヘアライン模様の上記凹凸層によって、より自然な木目の素材感を上記意匠層に生じさせることができる。
へアライン模様の一例(自動車の速度メータ)を図12に示す。同図に示すごとく、ヘアライン模様は、例えば多数の平行な直線(細線)を、紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成することにより表現することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部41よりも小さな厚みの凹部42が形成される。このとき、凸部41を形成する多数の直線(細線43)においては、その長さ及び幅を適宜変更させることができる。
【0040】
また、上記凹凸層は、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様を形成していることが好ましい(請求項19)。
この場合にも、上記同心円模様及びヘアライン模様と同様に、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感をより強調することができる。また、上記意匠層の意匠に立体感与えることができる。
旭光目付模様の表示盤の一例(自動車の速度メータ)を図13に示す。同図に示すごとく、旭光目付模様は、例えば円の中心付近から外側に向かう放射線状の多数のラインを紫外線硬化性インクからなる凸部41によって形成すること等により表現することができる。隣り合う2つの凸部41の間には、該凸部よりも小さな厚みの凹部42が形成される。
【0041】
また、上記凹凸層は、蜜柑房模様を形成していることが好ましい。
蜜柑房模様の一例を図14に示す。同図に示すごとく、蜜柑房模様は、扇状模様47を時計回り又は反時計回りに複数配置してなる。扇状模様47においては、円弧状曲線からなる上記凸部41と円弧状曲線からなる上記凹部42とが交互に配されいると共に、上記円弧状曲線はその長さが上記扇状模様47の中央から外方に向けて順次大きくなっている。
このような蜜柑房模様を形成することによっても、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感をより強調することができる。
【0042】
また、上記扇状模様において、上記円弧状曲線は、上記扇状模様の中央から外方に向けてその曲率が順次小さくなっていることが好ましい。即ち、例えば図14に示す蜜柑房模様において、扇状模様47を構成する上記凸部41の円弧状曲線は、扇状模様の中心P1に近づくほどから曲率が大きく、中心P1から遠ざかるほど曲率が小さくなっている。
この場合には、外光の乱反射を発生させることができ、更なる質感を付与することができる。
【0043】
また、図15に示すごとく、上記蜜柑房模様は、中心角θの異なる複数の上記扇状模様47を時計回り又は反時計回りに配置してなることが好ましい。
この場合には、表示盤1の意匠性を向上させることができる。さらに、各扇状模様47の各エリアで光の反射量が変化するため、例えば上記表示盤1を自動車の速度メータ等として用いた場合に、速度メータの指針が指すエリアに応じて盤面の見え方(反射ゾーン)が変化する。そのため、視認者(運転者)による速度メータの即読性を向上させることができる。図15においては、時計回りに中心角θが大きくなるように扇状模様47を配置してなる上記蜜柑房模様の例を示しており、θ1<θ2となっている。上記扇状模様の中心角θは、扇状模様の外形を扇形とみなしたときの扇形の中心角である。
【0044】
また、図16に示すごとく、上記蜜柑房模様においては、複数の上記扇状模様47をその中心位置Pをずらしながら時計回り又は反時計回りに配置させることができる。扇状模様47の中心位置Pは、扇状模様47の外形を扇形とみなしたときの中心である。同図に示すごとく、例えば扇状模様471の中心位置P1及び扇状模様472の中心位置P2は、一致していない。
この場合には、同心円模様等では表現できなかった表面のハレーション等が表現可能となる。即ち、一般に、反射率や屈折率は凹凸層の曲率に大きく影響される。しかし、一定の同心円では表示盤のサイズにより曲率がほぼ決まってしまうため、同心円模様等による質感は、線の間隔、太さ、及び高さ等によって制御するしかない。これに対し、上記蜜柑房模様においては、各扇状模様によって円の曲率を区切ることができるため、より多彩な質感の表現が可能となる。
【0045】
また、上記樹脂基板の少なくとも一部には、真空成形又は圧空成形により立体形状が施されていることが好ましい(請求項20)。
この場合には、上記表示盤に例えばゆるやかな曲面等の上記立体形状が形成されるため、外光の反射が顕著になり、一層質感を高めることができる。
【0046】
次に、上記表示盤を製造するにあたっては、上記意匠層形成工程と上記凹凸層形成工程とを行う。
上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷することにより上記意匠層を形成する。
上記凹凸層形成工程においては、少なくとも紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部と、被印刷物としての上記樹脂基板を保持する保持部とを備えるインクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行うことにより、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように上記凹凸層を形成する。
【0047】
上記インクジェット印刷装置としては、例えば図17に示すごとく、少なくとも、紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部51と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部52と、被印刷物(樹脂基板)2を保持する保持部53とを有するインクジェット印刷装置5を用いることができる。同図に示すインクジェット印刷装置5においては、インク吐出部51と紫外線照射部52とが第1の駆動部54により、一方向Aに直線往復移動する一方で、保持部53は、この一方向Aに対して直角方向Bに第2の駆動部55によって直線往復移動するように構成されている。
【0048】
上記凹凸層形成工程においては、インクジェット印刷装置5のインク吐出部51を保持部53に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向Aに移動させながら紫外線硬化性インクを吐出し、紫外線を照射して印刷する動作と、インク吐出部51に対して保持部53を一方向Aに対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより凹凸層4を形成する(図17参照)。
上記インク吐出部の移動速度が20m/分未満の場合には、上記インク吐出部から吐出される上記紫外線硬化性インクの液滴が潰れ易くなり、立体感のある上記凹凸層を形成することができなくなるおそれがある。一方、200m/分を越える場合には、上記インク吐出部51が移動することによって発生する空気の乱流により、上記インク吐出部から吐出されるインクが飛散し、インクの着弾精度が低下するおそれがある。そのため、上記凹凸層を所望の形状で形成することが困難になる場合がある。
【0049】
また、上記意匠層形成工程においては、上記意匠層の少なくとも一部を、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する上記着色インクによって形成することが好ましい(請求項22)。
また、上記意匠層形成工程においては、上記着色インクを1層又は2層以上積み重ねて印刷することにより、1層又は2層以上の着色層からなる上記意匠層を形成するとともに、上記着色層のうち少なくとも1層としては、メタリック顔料及び/又は金属粒子を含有する上記着色インクによって、金属色着色層を形成することが好ましい(請求項23)。
これらの場合には、金属調の上記意匠層を形成することができ、上記凹凸層によって例えば傷模様等を形成することにより、上記意匠層における金属調の光沢感及び質感を強調させることができる。
【0050】
上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記意匠面上にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を形成し、該下地印刷層上に上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記意匠層上に上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項24)。
この場合には、上記下地印刷層の光沢性を活かして、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を有する上記金属色着色層を形成することができる。さらに、上記凹凸層を上記金属色着色層を含む上記意匠層上に形成しているため、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を示す上記表示盤を製造することができる。上記下地印刷層の光沢度は、上述のごとく、JISK5600、具体的には、JISK5600−4−7に規定する方法により測定することができる。この光沢度が5未満の場合には、上記下地印刷層の表面が粗い状態となるため、該下地印刷層上に形成される上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。
上記下地印刷層は、インクジェット印刷やグラビア印刷等により形成することができる。また、上記下地印刷層は、有色であっても無色(透明)であってもよい。上記下地印刷層は、上記意匠層の一部として形成することができるが、上記意匠層とは別の印刷層として形成することもできる。
【0051】
次に、上記樹脂基板としては、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板を用いることが好ましい(請求項25)。
この場合には、上記凹凸層と上記意匠層とをそれぞれ上記樹脂基板の反対側の面に形成しても、上記凹凸層側から上記表示盤を観察した視認者が反対側の上記意匠層を鮮明に視認することができる。
【0052】
また、上記樹脂基板としては、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有する樹脂基板を用い、上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記鏡面上に少なくとも上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項26)。
この場合には、上記鏡面の光沢性を活かして、本物の金属から得られる光沢感に近い光沢感を発揮できる上記表示盤を製造することができる。さらに、上記凹凸層を上記意匠面とは反対側の面、即ち、上記意匠層が形成された面とは反対側に形成している。そのため、上記表示盤を上記凹凸層側から視認した場合に、上記のごとく優れた光沢感を有する上記金属色着色層を視認することができると共に、上記凹凸層により、上記金属色着色層に立体感を生じさせることができる。その結果、上記表示盤は、擬似的に本物の金属に対して傷模様を加工して得られるような光沢感及び質感を示すことができる。
上記鏡面の光沢度は、JISK5600に規定する方法により測定することができる。この光沢度が5未満の場合には、上記鏡面が粗い状態となるため、該鏡面上に形成する上記金属色着色層の光沢感が低減してしまうおそれがある。
【0053】
上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクの液滴を、該液滴1個あたりの容積20pL以下で吐出させることが好ましい(請求項27)。
液滴1個あたりの容積が20pLを越える場合には、上記インク吐出部から吐出される上記紫外線硬化性インクの液滴が潰れ易くなり、立体感のある上記凹凸層を形成することが困難になるおそれがある。より好ましくは、液滴1個あたりの容積は10pL以下がよい。
【0054】
上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層を透明の紫外線硬化性インクによって形成することが好ましい(請求項28)。
この場合には、上記意匠層の色彩を変えることなく、該意匠層の意匠に光沢感の変化や質感を与える上記凹凸層を形成することができる。
【0055】
上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層をブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種、又は2種以上の色の紫外線硬化性インクによって形成することが好ましい(請求項29)。
この場合には、上記意匠層を視認する角度によって、有色の上記凹凸層の色彩が変化するため、上記意匠層の意匠により多彩な質感を与えることができる。また、従来の金属加工においては、上述のごとくアルミニウム板等の薄い色の金属板の光沢感及び質感を強調させることは困難であったが、本発明においては、上記のごとく、有色の上記紫外線硬化性インクを用いて上記凹凸層を形成することにより、アルミニウム色からなる上記意匠層の光沢感及び質感を強調させることが可能になる。
【0056】
上記凹凸層形成工程においては、上記凹部と上記凸部との厚み差が1〜300μmとなるように上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項30)。
上記凹部と上記凸部との厚み差が1μm未満の場合には、上記凹凸層の立体感が不十分になり、上記意匠層の金属や木目調等の模様及び色に、充分な光沢感及び質感を付与することができなくなるおそれがある。一方、300μmを越える場合には、上記凹凸層の凹凸感が強調され過ぎてしまい、上記表示盤の上記意匠層が視認しづらくなってしまうおそれがある。より好ましくは、上記凹部と上記凸部との厚み差は5〜200μmがよい。
【0057】
上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成することにより上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項31)。
上記細線の幅が50μm未満の場合には、細線が細くなり過ぎて、上記凹凸層により形成される例えば金属の傷模様等が認識しづらくなるおそれがある。。一方、幅が200μmを越える場合には、上記細線が太くなりすぎて、上記凹凸層により、例えば金属の傷模様等をリアルに表現することが困難になるおそれがある。また、上記細線の間隔が200μmを超える場合には、間隔が広すぎて、上記凹凸層により例えば金属の傷模様等を表現することが困難になるおそれがある。より好ましくは、上記細線の間隔は5μm以下がよい。
【0058】
上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、上記紫外線硬化性インクからなる描線を形成すると共に、該描線をその厚み方向に2層以上積み重ねて印刷することにより上記細線を形成することが好ましい(請求項32)。
この場合には、上記凸部と上記凹部との差を大きくすることができ、より立体的な上記凹凸層を形成することができる。
【0059】
また、上記描線を積み重ねて形成する際には、その積層方向において、上記樹脂基板から離れるにつれてより小さな幅の上記描線を積み重ねることが好ましい(請求項33)。
この場合には、積層方向(樹脂基板の厚み方向)における樹脂基板から離れる向きに幅が徐々に小さくなる細線を形成することができる。そのためこの場合には、先端が鋭利な上記凸部を形成することができる。それ故、上記細線の厚みに対する上記凹凸層による立体感の付与効果をより強調することができる。
このような上記細線は、上記凹凸層形成工程において、上記描線を積み重ねて印刷する際に、下層の描線の幅よりも上層の描線の幅を小さくしながら描線を積層印刷することにより形成することができる。例えば上述の図9においては、三層の描線451、452、453を積み重ねて形成した細線の断面図が示されており、同図において、描線452は、その下層の描線451よりも小さな幅で積層形成されている。さらに描線453は、その下層の描線452よりも小さな幅で積層形成されている。
【0060】
また、積層状態で形成する上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線を異なる色の上記紫外線硬化性インクで形成することが好ましい(請求項34)。
この場合には、厚み方向に色が変化する上記凸部を形成することができる。そのため、視認者に、見る角度によって多彩な光沢感及び質感を生じさせる上記表示盤を製造することができる。
【0061】
積層状態で形成する上記描線の内、最上層の上記描線を、黒色又は黒系色からなる上記紫外線硬化性インクによって形成することが好ましい(請求項35)。
この場合には、最上層が黒色又は黒系色からなる上記細線を形成することができる。そしてこの場合には、上記凹凸層における上記凸部の山頂部(最上層)が強調され、上記凹凸層の立体感をより一層強調することができる。その結果、例えば金属の傷模様等をより強調することができる。
【0062】
また、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様の上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項36)。
この場合には、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる(上述の図1参照)。
【0063】
次に、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることが好ましい(請求項37)。
この場合には、2つの同心円により干渉縞(モアレ)をより一層強調することができる上記凹凸層を形成することができる。そのため、上述の光沢感及び質感がより一層強調された上記表示盤を製造することができる(上述の図11参照)。
【0064】
また、上記凹凸層形成工程においては、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様の上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項38)。
この場合にも、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる。また、上記意匠層として、木目調の意匠層を形成してある場合には、上記ヘアライン模様の上記凹凸層を形成することによって、より自然な木目の素材感を有する上記表示盤を製造することができる(上述の図12参照)。また、直線状の上記凸部を形成するに際しては、その線幅や間隔を適宜変更して形成することができる。
【0065】
また、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様の上記凹凸層を形成することが好ましい(請求項39)。
この場合にも、干渉縞(モアレ)を生じさせることができ、上述の光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる(上述の図13参照)。また、この場合には、上記意匠層の意匠性に立体感を付与することができる。
【0066】
また、上記凹凸層形成工程においては、上述の扇状模様を時計回り又は反時計回りに複数配置してなる蜜柑房模様を形成することが好ましい。上記扇状模様は、上述のごとく、円弧状曲線からなる上記凸部と円弧状曲線からなる上記凹部とが交互に配されなると共に、上記円弧状曲線の長さが上記扇状模様の中心から外方に向けて順次大きくなるように上記円弧状曲線を配置して形成されている(上述の図14参照)。
この場合にも、干渉縞を生じさせることができ、光沢感及び質感がより強調された上記表示盤を製造することができる。
【0067】
また、上記凹凸層形成工程において、上記蜜柑房模様の上記凹凸層を形成する場合には、上記扇状模様の上記円弧状曲線を、その曲率が上記扇状模様の中央から外方に向けて順次小さくなるように形成することがことが好ましい(図14参照)。
この場合には、上記凹凸層において外光の乱反射を発生させることができ、更なる質感を付与することができる。
【0068】
また、上記凹凸層形成工程において、上記蜜柑房模様の上記凹凸層を形成する場合には、中心角θの異なる複数の上記扇状模様を時計回り又は反時計回りに配置させることにより形成することが好ましい(上述の図15参照)。
この場合には、扇状模様の各エリアでの光の反射量が変化する上記凹凸層を形成することができ、上述のごとく自動車の速度メータ等に適した表示盤を製造することができる。
図15においては、時計回りに中心角θが大きくなるように扇状模様48を配置してなる上記蜜柑房模様の例を示しており、同図中θ1<θ2となっている。
【0069】
また、上記蜜柑房模様の上記凹凸層を形成する場合には、複数の上記扇状模様をその中心位置Pをずらしながら時計回り又は反時計回りに配置させることができる(上述の図16参照)。
この場合には、線の曲率以外に、扇状模様の幅、および中心点からの扇状模様の半径距離を変化させることができる。そのため、例えば自動車の速度メータ等の用途において、指針から表示盤面に光を落とした際に、表面でハレーションの量を変化させることができる。具体的には、安全走行速度の指針領域ではハレーションを抑え、高速度になった場合は運転者に注意を促す意味でハレーションエリアを大きくするといった機能も付与することができる。
【0070】
また、一般に、上記表示盤を例えば自動車の速度メータ等に用いる際には、搭載する自動車の種類に上記表示盤の搭載位置が変化する。本発明においては、上記のごとく、上記凹凸層形成工程において、運転者等の視認者からの視認角度に合わせて、例えば解像度等を変えて上記インクジェット印刷を行うことができる。そのため、最適な干渉縞の発生パターンを容易に形成させることができる。
【0071】
上記凹凸層形成工程における印刷は、解像度1200DPI×1200DPI以上で行うことが好ましい(請求項40)。
解像度が1200DPI×1200DPI未満の場合には、解像度不足により、例えば直径100mmより小さな円弧の曲線が滑らかに表現できなくなるおそれがある。
【0072】
また、上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部の移動方向と上記保持部の移動方向とで、異なる解像度で上記インクジェット印刷を行うことが好ましい(請求項41)。
この場合には、干渉縞の発生パターンを変化させることができる。
具体的には、上記表示盤を例えば自動車用文字盤等に用いた場合には、自動車の種類によってその搭載位置が変わり、運転者からの視認角度が変化するおそれがある。上記のごとく異なる解像度でインクジェット印刷を行うと干渉縞の発生パターンを変化させることができるため、最適な干渉縞の発生パターンを調整することができる。
【0073】
また、上記表示盤の製造方法においては、上記意匠層形成工程及び上記凹凸層形成工程の他に、上記樹脂基板の少なくとも一部に、真空成形・圧空成形によって、立体形状を施す成形工程を行うことが好ましい(請求項42)。
この場合には、上記表示盤に例えばゆるやかな曲面等の上記立体形状を形成することができる。そのため、外光の反射が顕著で、より一層質感に優れた上記表示盤を製造することができる。
上記成形工程は、上記意匠層形成工程及び上記凹凸層形成工程を行う前又は行った後に行うことができる。また、上記意匠層形成工程と上記凹凸層形成工程との間や、これら工程の途中に行うこともできる。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
次に、本発明の表示盤の実施例につき、図1、図2、及び図17を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の表示盤1は、樹脂基板2と、この上に形成された有色の意匠層3と、樹脂基板2における意匠層3が形成された意匠面21とは反対側の面22に形成された、凹部42と凸部41とが交互に複数配されてなる凹凸層4とを有する。凹凸層4は、凹部42の厚みよりも凸部41の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクの液滴をインクジェット印刷により印刷し硬化させてなる。
【0075】
本例の表示盤1は、自動車用の速度メータである。図1に本例の表示盤1の正面図を示し、図2に表示盤1の部分断面拡大図を示す。
図2に示すごとく、本例の表示盤においては、意匠層3と凹凸層4とは、ポリカーボネート樹脂からなる透明の樹脂基板2における対向する二つの別々の面21、22にそれぞれ形成されている。
意匠層3を形成した意匠面21側には、LED等の光源15を配置することができる。また、本例において、意匠層3は、アルミニウム粉等を含有するメタリック顔料からなる金属色の着色インクで形成された金属色着色層31と、黒色の着色インクで形成された黒色着色層32と、透光性の白色の着色インクで形成された白色着色層33とから形成されている。なお、金属着色層31は、金属微粒子を含有する水系インクと、該水系インクを保護する透明インクとによって形成することもできる。
【0076】
上記のように、3種類の着色層31、32、33を形成することにより、本例の表示盤1においては、可視光を透過する透光部18及び可視光を透過しない不透光部19が形成される。透過部18は光源15から発生する光を透過できるため、表示盤1はバックライト方式の表示盤として用いることができる。また、黒色着色層によって構成された不透過部19は、光源15の光をほとんど透過せず、表示盤1における目盛りや文字の輪郭を表現する(図1参照)。
【0077】
図2に示すごとく、金属色着色層31が形成された部分には、その金属色着色層31が形成された意匠面21側とは反対側の面22に、透明の凹凸層4が形成されている。凹凸層4は、複数の凹部42と複数の凸部41とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様からなる。この凹凸層4の同心円模様によって干渉縞が生じ、金属色着色層31を視認する運転者等に金属の光沢及び質感を表現させることができる。
【0078】
また、凹凸層4は、複数の凹部42と複数の凸部41とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様を形成している(図1参照)。図2に示すごとく、凹凸層4においては、凸部41が透明性の紫外線硬化性インク(以下、適宜「UVインク」という)により形成されており、凹部42についてはUVインクの印刷を施さない非印刷部425を設けることによって形成されている。本例において、凸部41は、厚さ50μm、印刷線幅100μmで形成されており、凸部41と凸部41との印刷線間距離が200μmの同心円模様が形成されている。
【0079】
次に、本例の表示盤の製造方法につき、説明する。
本例の表示盤1の製造方法においては、意匠層形成工程と凹凸層形成工程とを行う。
意匠層形成工程においては、樹脂基板2上に、有色の着色インクを印刷することにより意匠層3を形成する。また、凹凸層形成工程においては、インクジェット印刷装置を用いて、樹脂基板2における意匠層3を形成する意匠面21とは反対側の面22に紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された紫外線硬化性インクに紫外線を照射し、紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行う。これにより、凹部42の厚みよりも凸部41の厚みが大きくなるように凹凸層4を形成する。
【0080】
本例においては、図17に示すごとく、少なくとも、紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部51と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部52と、被印刷物としての樹脂基板2を保持する保持部53とを備えるインクジェット印刷装置5を用いてインクジェット印刷を行う。同図に示すインクジェット印刷装置5においては、インク吐出部51と紫外線照射部52とが第1の駆動部54により、一方向Aに直線往復移動する一方で、保持部53は、この一方向Aに対して直角方向Bに第2の駆動部55によって直線往復移動するように構成されている。
【0081】
凹凸層形成工程においては、インクジェット印刷装置5のインク吐出部51を保持部53に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向Aに移動させながら紫外線硬化性インクを吐出し、紫外線を照射して印刷する動作と、インク吐出部51に対して保持部53を一方向Aに対して略直角の方向Bに1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより凹凸層を形成する。
【0082】
以下、本例の表示盤の製造方法につき、図1、図2及び図17を用いて詳細に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂からなる透明の樹脂基板2を準備した(図2参照)。この樹脂基板2の意匠面21に、スクリーン印刷により、メタリック顔料からなる着色インクを用いて金属色着色層31を印刷形成した。同様に、スクリーン印刷により、黒色の着色インクを用いて黒色着色層32を形成し、さらに白色の着色インクを用いて半透明の白色着色層33を順次積層形成した。このようにして、金属色着色層31、黒尾色着色層32、及び白色着色層33の3種類の層からなる意匠層3を形成した。意匠層3において、目盛りや文字の輪郭を表す不透過部19には、黒色着色層7を印刷した(図1及び図2参照)。また、黒色インク層7上から、樹脂基板2の意匠面21の全面を覆うように、透光性の白色着色層33を印刷した。なお、本例においては、金属色着色層31は、上記のごとくメタリック顔料からなる着色インクを印刷することにより形成したが、金属微粒子を含有する水系インクを印刷し、この印刷層上にこれを保護する透明インクを積層印刷することにより形成することもできる。
【0083】
次に、樹脂基板2における意匠面21とは反対側の面22に凹凸層4を形成する。
凹凸層4の印刷は、模様(同心円模様)をコンピュータにより作成し、この作成した画像に基づいて、UVインクを用いたインクジェット法により、樹脂基板2に画像を印刷する。
本例の画像の作成においては、例えばAdobe社製画像処理用ソフトウェアを用いた。また、インクジェット印刷装置5として、具体的には、UV硬化型インクジェット装置(東芝テック製インクジェットヘッド、UV照射光源同時駆動型ミマキエンジニアリング製UJF605C、最高解像度:2400DPI、搭載ヘッド数:8ヘッド)を用いた(図17参照)。この印刷機5は、インク吐出部(インクジェットヘッド)51の真横に、紫外線照射を行う光源を内蔵する紫外線照射部52が搭載されており、インク吐出部51のノズルからインク滴を射出した後、射出したインク滴に対して直ちに紫外線を照射できるものである。
本例においては、インク吐出部51のノズルからインク液滴が射出されてから紫外線を照射するまでの時間を例えば1秒以内とし、インク吐出部51の移動速度は20m/分以上とした。
【0084】
また、インク吐出部51は、例えば一度のインクの吐出で目標の解像度の画像を印刷するのではなく、ヘッドが往復等して同一部位にインクを複数回射出することで、目標の解像度の画像を印刷するようになっている。例えば、ヘッドの解像度が150DPIの場合、ヘッドが8回(8puss)インクを射出することで、1200DPIの画像が得られるようになっている。
なお、本明細書では、目標の解像度の画像を得るまでを1回の印刷としている。すなわち、1200DPIの画像を印刷する場合、ヘッドの解像度が、例えば150DPIであれば、8回インクを射出したときが1回の印刷であり、ヘッドの解像度が1200DPIであれば、1回インクを射出したときが1回の印刷である。
【0085】
具体的には、まず、画像をコンピュータで作成した後、この画像データをインクジェット印刷装置5に入力した。このとき、印刷解像度、インクの液適量、単位面積あたりの印刷密度(インク滴吐出密度)を指定する。本例においては、解像度を1200dpi、インクの液適量を6pl(ピコリットル)、印刷密度を100%と指定した。
次いで、この画像データが入力されたインクジェット印刷装置5を用いて、樹脂基板2の面22上における意匠面21側に形成された金属色着色層31の領域に対し、凹凸層4の凸部41を印刷する(図1、図2、及び図17参照)。本例においては、単体ヘッドを用いて1回の印刷で、インク厚み3〜10μmの印刷層(凸部41)が形成されるため、印刷を複数回行うことにより、厚みが50μmの凸部41を形成した。他に、例えば、複数のヘッドを同時に用いて印刷を行うことにより、厚みの大きな凸部41を短時間で形成することができる。また、ヘッドの移動速度を40〜100m/分まで上げ、樹脂基板2に着弾したインク滴を瞬時に硬化させインク厚みを大きくすることにより、凸部41の形成の短時間化を図ることもできる。
【0086】
このようにして、複数の凸部41を同心円状に印刷した。これにより、隣合う2つの凸部41の間には、印刷が施されていない凹部42が形成され、凹部と凸部とを交互に配してなる凹凸層4を形成し、意匠層3と凹凸層4とを有する表示盤1を作製した。
なお、製造された表示盤1を、図示しない指針、回動内機、光源等と共に、ケーシングおよび見返し板からなるハウジングに収納することで、車両用計器を完成することができる。
【0087】
上記した実施形態では、表示盤1として、車両用計器の計器板を製造する場合を例として説明したが、他の分野における金属調を有する表示板の製造にも、本発明を適用することができる。例えば、家電製品の分野において、タッチパネル等の発光ダイオードの光を透過させて表示する表示盤にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1にかかる、表示盤の正面図。
【図2】実施例1にかかる、表示盤の部分断面拡大図(図1の部分断面拡大図)。
【図3】意匠層と凹凸層とを樹脂基板の対向する2つの面にそれぞれ有する表示盤を示す説明図。
【図4】下地印刷層上に形成された意匠層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図5】樹脂基板の鏡面上に形成された意匠層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図6】非印刷部を形成することにより凹部を形成した凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図7】インクジェット印刷により複数の細線同士を接触させて形成した凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図8】複数の描線を積層してなる細線によって凸部を形成した凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図9】積層方向において樹脂基板から離れるにつれて描線の幅が小さくなるように複数の描線を積層してなる細線によって凸部を形成してなる凹凸層を有する表示盤の部分断面拡大図。
【図10】凸部より小さな厚みで紫外線硬化性インクを印刷することにより凹部を形成した凹凸層を有する部分断面拡大図。
【図11】中心の異なる2つの同心円模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図12】ヘアライン模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図13】旭光目付模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図14】蜜柑房模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図15】中心角が異なる複数の扇状模様からなる蜜柑房模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図16】中心位置をずらして複数の扇状模様を配置してなる蜜柑房模様の凹凸層が形成された表示盤の正面図。
【図17】UV硬化型のインクジェット装置の概略の全体構成を示す斜視図。
【図18】スクリーン印刷により形成した傷模様層を有する表示盤を示す説明図。
【図19】金属板に形成した溝部を有する表示盤を示す説明図。
【符号の説明】
【0089】
1 表示盤
2 樹脂基板
21 意匠面
3 意匠層
4 凹凸層
41 凸部
42 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤であって、
上記凹凸層は、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクをインクジェット印刷により印刷し硬化させてなることを特徴とする表示盤。
【請求項2】
請求項1において、上記意匠層の少なくとも一部は、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする表示盤。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記意匠層は、1層又は2層以上の着色層からなり、該着色層のうち少なくとも一層は、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層からなることを特徴とする表示盤。
【請求項4】
請求項3において、上記金属色着色層は、上記樹脂基板の上記意匠面上に、JISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を介して形成されており、上記凹凸層は、上記意匠層上に形成されていることを特徴とする表示盤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記樹脂基板は、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板からなることを特徴とする表示盤。
【請求項6】
請求項5において、上記樹脂基板は、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有し、該鏡面上には、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層が形成されていると共に、上記凹凸層は、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に形成されていることを特徴とする表示盤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記凹凸層は、透明の上記紫外線硬化性インクよりなることを特徴とする表示盤。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記凹凸層は、有色であり、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種又は2種以上の色の上記紫外線硬化性インクよりなることを特徴とする表示盤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、上記凹凸層は、解像度1200DPI×1200DPI以上のインクジェット印刷によって形成されていることを特徴とする表示盤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、上記凹部と上記凸部との厚み差は、1〜300μmであることを特徴とする表示盤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、上記凹凸層は、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成してなることを特徴とする表示盤。
【請求項12】
請求項11において、上記細線は、上記インクジェット印刷により形成された上記紫外線硬化性インクからなる描線をその厚み方向に2層以上積層してなることを特徴とする表示盤。
【請求項13】
請求項12において、上記細線は、上記描線の積層方向において、上記樹脂基板から離れるにつれてその幅が小さくなるように上記描線を積層してなることを特徴とする表示盤。
【請求項14】
請求項12又は13において、積層状態にある上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線は、互いに異なる色の上記紫外線硬化性インクからなることを特徴とする表示盤。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項において、積層状態にある上記描線の最上層は、黒色又は黒系色からなることを特徴とする表示盤。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項において、上記凹凸層は、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様を形成していることを特徴とする表示盤。
【請求項17】
請求項16において、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることを特徴とする表示盤。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項において、上記凹凸層は、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様を形成していることを特徴とする表示盤。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか一項において、上記凹凸層は、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様を形成していることを特徴とする表示盤。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項において、上記表示盤の少なくとも一部には、真空成形又は圧空成形により立体形状が施されていることを特徴とする表示盤。
【請求項21】
樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤の製造方法であって、
上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷することにより上記意匠層を形成する意匠層形成工程と、
少なくとも紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部と、被印刷物としての上記樹脂基板を保持する保持部とを備えるインクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行うことにより、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように上記凹凸層を形成する凹凸層形成工程とを有し、
該凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部を上記保持部に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向に移動させながら上記紫外線硬化性インクを吐出し、上記紫外線を照射して印刷する動作と、上記インク吐出部に対して上記保持部を上記一方向に対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項22】
請求項21において、上記意匠層形成工程においては、上記意匠層の少なくとも一部を、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する上記着色インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項23】
請求項21又は22において、上記意匠層形成工程においては、上記着色インクを1層又は2層以上積み重ねて印刷することにより、1層又は2層以上の着色層からなる上記意匠層を形成するとともに、上記着色層のうち少なくとも1層としては、メタリック顔料及び/又は金属粒子を含有する上記着色インクによって、金属色着色層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項24】
請求項23において、上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記意匠面上にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を形成し、該下地印刷層上に上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記意匠層上に上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか一項において、上記樹脂基板としては、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板を用いることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項26】
請求項25において、上記樹脂基板としては、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有する樹脂基板を用い、上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記鏡面上に少なくとも上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクの液滴を、該液滴1個あたりの容積20pL以下で吐出させることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項28】
請求項21〜27のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層を透明の紫外線硬化性インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項29】
請求項21〜27のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層をブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種、又は2種以上の色の紫外線硬化性インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項30】
請求項21〜29のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記凹部と上記凸部との厚み差が1〜300μmとなるように上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項31】
請求項21〜29のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成することにより上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項32】
請求項31において、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、上記紫外線硬化性インクからなる描線を形成すると共に、該描線をその厚み方向に2層以上積み重ねて印刷することにより上記細線を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項33】
請求項32において、上記描線を積み重ねて形成する際には、その積層方向において、上記樹脂基板から離れるにつれてより小さな幅の上記描線を積み重ねることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項34】
請求項32又は33において、積層状態で形成する上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線を異なる色の上記紫外線硬化性インクで形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項35】
請求項32〜34のいずれか一項において、積層状態で形成する上記描線の内、最上層の上記描線を、黒色又は黒系色からなる上記紫外線硬化性インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項36】
請求項21〜35のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様の上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項37】
請求項36において、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項38】
請求項21〜35のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様の上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項39】
請求項21〜35のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様の上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項40】
請求項21〜39のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程における印刷は、解像度1200DPI×1200DPI以上で行うことを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項41】
請求項21〜40のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部の移動方向と上記保持部の移動方向とで、異なる解像度で上記インクジェット印刷を行うことを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項42】
請求項21〜41のいずれか一項において、上記樹脂基板の少なくとも一部に、真空成形・圧空成形によって、立体形状を施す成形工程を有することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項1】
樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤であって、
上記凹凸層は、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように紫外線硬化性インクをインクジェット印刷により印刷し硬化させてなることを特徴とする表示盤。
【請求項2】
請求項1において、上記意匠層の少なくとも一部は、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする表示盤。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記意匠層は、1層又は2層以上の着色層からなり、該着色層のうち少なくとも一層は、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層からなることを特徴とする表示盤。
【請求項4】
請求項3において、上記金属色着色層は、上記樹脂基板の上記意匠面上に、JISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を介して形成されており、上記凹凸層は、上記意匠層上に形成されていることを特徴とする表示盤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記樹脂基板は、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板からなることを特徴とする表示盤。
【請求項6】
請求項5において、上記樹脂基板は、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有し、該鏡面上には、メタリック顔料、金属粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する金属色着色層が形成されていると共に、上記凹凸層は、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に形成されていることを特徴とする表示盤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記凹凸層は、透明の上記紫外線硬化性インクよりなることを特徴とする表示盤。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記凹凸層は、有色であり、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種又は2種以上の色の上記紫外線硬化性インクよりなることを特徴とする表示盤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、上記凹凸層は、解像度1200DPI×1200DPI以上のインクジェット印刷によって形成されていることを特徴とする表示盤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、上記凹部と上記凸部との厚み差は、1〜300μmであることを特徴とする表示盤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、上記凹凸層は、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成してなることを特徴とする表示盤。
【請求項12】
請求項11において、上記細線は、上記インクジェット印刷により形成された上記紫外線硬化性インクからなる描線をその厚み方向に2層以上積層してなることを特徴とする表示盤。
【請求項13】
請求項12において、上記細線は、上記描線の積層方向において、上記樹脂基板から離れるにつれてその幅が小さくなるように上記描線を積層してなることを特徴とする表示盤。
【請求項14】
請求項12又は13において、積層状態にある上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線は、互いに異なる色の上記紫外線硬化性インクからなることを特徴とする表示盤。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項において、積層状態にある上記描線の最上層は、黒色又は黒系色からなることを特徴とする表示盤。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項において、上記凹凸層は、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様を形成していることを特徴とする表示盤。
【請求項17】
請求項16において、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることを特徴とする表示盤。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項において、上記凹凸層は、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様を形成していることを特徴とする表示盤。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか一項において、上記凹凸層は、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様を形成していることを特徴とする表示盤。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項において、上記表示盤の少なくとも一部には、真空成形又は圧空成形により立体形状が施されていることを特徴とする表示盤。
【請求項21】
樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された有色の意匠層と、該意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層が形成された意匠面とは反対側の面に形成された、凹部と凸部とが交互に複数配されてなる凹凸層とを有する表示盤の製造方法であって、
上記樹脂基板上に、有色の着色インクを印刷することにより上記意匠層を形成する意匠層形成工程と、
少なくとも紫外線硬化性インクを吐出するインク吐出部と、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射部と、被印刷物としての上記樹脂基板を保持する保持部とを備えるインクジェット印刷装置を用いて、上記意匠層上又は上記樹脂基板における上記意匠層を形成する上記意匠面とは反対側の面に上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクを吐出する吐出動作と、吐出された上記紫外線硬化性インクに上記紫外線照射部から紫外線を照射し、上記紫外線硬化性インクを硬化させる硬化動作とを繰り返し行うことにより、上記凹部の厚みよりも上記凸部の厚みが大きくなるように上記凹凸層を形成する凹凸層形成工程とを有し、
該凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷装置の上記インク吐出部を上記保持部に対して相対的に毎分20〜200mで、一方向に移動させながら上記紫外線硬化性インクを吐出し、上記紫外線を照射して印刷する動作と、上記インク吐出部に対して上記保持部を上記一方向に対して直角に1ピッチ移動させる動作とを繰り返すことにより上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項22】
請求項21において、上記意匠層形成工程においては、上記意匠層の少なくとも一部を、メタリック顔料、金属微粒子、及び金属箔から選ばれる1種以上を含有する上記着色インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項23】
請求項21又は22において、上記意匠層形成工程においては、上記着色インクを1層又は2層以上積み重ねて印刷することにより、1層又は2層以上の着色層からなる上記意匠層を形成するとともに、上記着色層のうち少なくとも1層としては、メタリック顔料及び/又は金属粒子を含有する上記着色インクによって、金属色着色層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項24】
請求項23において、上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記意匠面上にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の下地印刷層を形成し、該下地印刷層上に上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記意匠層上に上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか一項において、上記樹脂基板としては、厚さ1mm以下の透明の樹脂基板を用いることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項26】
請求項25において、上記樹脂基板としては、上記意匠面側の表面にJISK5600に規定する表面60度−光沢度5以上の鏡面を有する樹脂基板を用い、上記意匠層形成工程においては、上記樹脂基板の上記鏡面上に少なくとも上記金属色着色層を形成し、上記凹凸層形成工程においては、上記樹脂基板における上記意匠面とは反対側の面に上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部から上記紫外線硬化性インクの液滴を、該液滴1個あたりの容積20pL以下で吐出させることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項28】
請求項21〜27のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層を透明の紫外線硬化性インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項29】
請求項21〜27のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記凹凸層をブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトブラック、ライトシアン、ライトマゼンダ、ライトイエロー、及びホワイトから選ばれる1種、又は2種以上の色の紫外線硬化性インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項30】
請求項21〜29のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記凹部と上記凸部との厚み差が1〜300μmとなるように上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項31】
請求項21〜29のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、50〜200μm幅の多数の細線を0〜200μm間隔で形成することにより上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項32】
請求項31において、上記凹凸層形成工程においては、上記インクジェット印刷により、上記紫外線硬化性インクからなる描線を形成すると共に、該描線をその厚み方向に2層以上積み重ねて印刷することにより上記細線を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項33】
請求項32において、上記描線を積み重ねて形成する際には、その積層方向において、上記樹脂基板から離れるにつれてより小さな幅の上記描線を積み重ねることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項34】
請求項32又は33において、積層状態で形成する上記描線の内、少なくとも2つ以上の上記描線を異なる色の上記紫外線硬化性インクで形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項35】
請求項32〜34のいずれか一項において、積層状態で形成する上記描線の内、最上層の上記描線を、黒色又は黒系色からなる上記紫外線硬化性インクによって形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項36】
請求項21〜35のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凹部と複数の上記凸部とが交互に同心円状に配されてなる同心円模様の上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項37】
請求項36において、上記同心円模様は中心位置が異なる二つ同心円からなり、その中心間距離は10〜1000μmであることを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項38】
請求項21〜35のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、複数の直線状の上記凹部と複数の直線状の上記凸部とが交互に配されてなるヘアライン模様の上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項39】
請求項21〜35のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、複数の上記凸部が略同一の中心部又は該中心部付近から放射線状に配されてなる旭光目付模様の上記凹凸層を形成することを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項40】
請求項21〜39のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程における印刷は、解像度1200DPI×1200DPI以上で行うことを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項41】
請求項21〜40のいずれか一項において、上記凹凸層形成工程においては、上記インク吐出部の移動方向と上記保持部の移動方向とで、異なる解像度で上記インクジェット印刷を行うことを特徴とする表示盤の製造方法。
【請求項42】
請求項21〜41のいずれか一項において、上記樹脂基板の少なくとも一部に、真空成形・圧空成形によって、立体形状を施す成形工程を有することを特徴とする表示盤の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−249028(P2007−249028A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75142(P2006−75142)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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