説明

表示端末および表示内容を徹底させる方法

【課題】注意を要する箇所を確実に読ませることにより、表示内容を徹底させることができる表示端末および表示内容を徹底させる方法を得る。
【解決手段】表示部11およびタッチパネル13を備えた表示端末10であって、表示部11に表示されるテキストおよび図の少なくとも一方を、テキストまたは図において注意を要する確認箇所とともに記憶する記憶部16と、テキストまたは図を、記憶部16から読み出し、確認箇所を明示して表示部11に表示させるとともに、タッチパネル13により確認箇所が所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする主制御部15とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示部およびタッチパネルを備えた表示端末並びに表示端末の表示内容を徹底させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレベータのメンテナンス等においては、作業指示書やマニュアル、不具合情報、災害情報等(以下、「指示書等」と称する)を、メンテナンスコンピュータ(表示端末)の表示部(画面)に表示して、表示内容の徹底を図っている。
【0003】
ここで、画面上に表示される画像中の見落としやすい視覚情報について、当該箇所を強調表示等することにより、注意を喚起する注意喚起装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−134359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
すなわち、特許文献1に示した注意喚起装置を上述した指示書等に対して適用した場合であっても、注意を要する箇所(確認箇所、重要箇所)について注意を喚起することはできるものの、実際に当該箇所を読んだか(見たか)否かを判断することができないという問題がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、注意を要する箇所を確実に読ませることにより、表示内容を徹底させることができる表示端末および表示内容を徹底させる方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る表示端末は、表示部およびタッチパネルを備えた表示端末であって、表示部に表示されるテキストおよび図の少なくとも一方を、テキストまたは図において注意を要する確認箇所とともに記憶する記憶部と、テキストまたは図を、記憶部から読み出し、確認箇所を明示して表示部に表示させるとともに、タッチパネルにより確認箇所が所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする主制御部とを備えたものである。
【0008】
また、この発明に係る表示内容を徹底させる方法は、表示部およびタッチパネルを備えた表示端末の表示内容を徹底させる方法であって、表示部に表示されるテキストおよび図の少なくとも一方を、テキストまたは図において注意を要する確認箇所とともに記憶する記憶ステップと、テキストまたは図を、記憶部から読み出し、確認箇所を明示して表示部に表示させる表示ステップと、タッチパネルにより確認箇所が所定速度以下の速度でなぞられたか否かを判定する判定ステップと、確認箇所が所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする許可ステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る表示端末および表示内容を徹底させる方法によれば、表示部に表示されたテキストまたは図において注意を要する確認箇所が、タッチパネルにより所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする。
これにより、確認箇所を読み飛ばすことが困難になるので、指示書等を強制的に読ませることができる。
そのため、注意を要する箇所を確実に読ませることにより、表示内容を徹底させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る表示端末を示すブロック構成図である。
【図2】(a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係る表示端末の表示部を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る表示端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明に係る表示端末および表示内容を徹底させる方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る表示端末10を示すブロック構成図である。図1において、表示端末10は、表示部11、表示制御部12、タッチパネル13、タッチパネル入力処理部14、主制御部15および記憶部16を備えている。
【0013】
表示部11は、例えば液晶ディスプレイ等であり、表示制御部12の制御に応じて画面上にテキストや図を画像として表示する。タッチパネル13は、同時に複数の接触点を検出可能なマルチタッチタイプであり、表示部11の表面に設けられてユーザの操作入力を受け付ける。タッチパネル入力処理部14は、タッチパネル13で受け付けた操作入力の位置を検出して、位置情報を主制御部15に出力する。
【0014】
記憶部16には、表示部11に表示される指示書等が記憶されている。ここで、記憶された指示書等に含まれるテキストや図には、注意を要する確認箇所、および確認箇所よりも重要度の高い重要箇所があらかじめ指定されている。なお、確認箇所および重要箇所は、指示書等が記憶部16に記憶される際に指定されていてもよいし、記憶された後に例えば管理者権限を有するユーザによって指定されてもよい。
【0015】
主制御部15は、記憶部16に記憶された指示書等を読み出し、表示制御部12に対して、指示書等に含まれるテキストや図と、次のページまたは次の手順に進むための「次へ」ボタンとを表示部11に表示させる指令を出力する。また、主制御部15は、表示するテキストや図に重要箇所が含まれている場合には、表示部11に「重要」ボタンを併せて表示させる指令を出力する。
【0016】
このとき、表示制御部12は、図2(a)に示されるように、確認箇所について、例えばテキストの当該箇所にアンダーラインが引かれた状態、または図の当該箇所が線で囲まれた状態で表示部11に表示させる。また、表示制御部12は、図2(b)に示されるように、重要箇所について、例えばテキストまたは図の当該箇所が赤線で囲まれた状態で表示部11に表示させる。
【0017】
また、主制御部15は、表示部11に表示されたテキストや図の確認箇所に対して、ユーザが当該箇所をなぞった場合に、当該箇所を読んだ(見た)としてハイライト表示させる。また、主制御部15は、表示部11に表示されたテキストや図の重要箇所に対して、ユーザが「重要」ボタンを押しながら当該箇所をなぞった場合に、当該箇所を読んだ(見た)としてハイライト表示させる。
【0018】
なお、主制御部15は、ユーザが当該箇所をなぞる速度が、所定速度よりも早い場合には、当該箇所を読んでいない(見ていない)と見なしてハイライト表示させない。ここで、所定速度は、例えば一般的なユーザが所定時間で読み取れる文字数等を参照して、あらかじめ設定されている。
【0019】
また、主制御部15は、表示部11に表示されたテキストや図の確認箇所および重要箇所がすべて所定速度以下でなぞられた(ハイライト表示された)場合に、「次へ」ボタンを有効にする。なお、主制御部15は、ユーザが当該箇所をなぞる速度が、所定速度よりも早い場合に、なぞる速度が速い旨を表示部11に表示させてもよい。
【0020】
このように、表示部11に表示されたテキストや図の確認箇所および重要箇所を、所定速度以下でなぞらせることにより、当該箇所を読み飛ばすことが困難になるので、指示書等を強制的に読ませることができる。また、確認箇所よりも重要度の高い重要箇所については、両手で操作する必要があるので、ユーザにより重要であることを認識させることができる。
【0021】
また、主制御部15は、例えば当該重要箇所の直前の箇所がなぞられた場合に、「重要」ボタンを表示部11に表示させてもよい。この場合には、その都度異なる位置に「重要」ボタンを表示することができるので、さらに当該重要箇所を読み飛ばすことが困難になり、指示書等を確実に読ませることができる。
【0022】
以下、図3のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1に係る表示端末10の動作について説明する。なお、ここでは、表示部11に表示されたテキストや図に対して、確認箇所および重要箇所が複数項目設定されている場合について説明する。
【0023】
まず、主制御部15は、記憶部16に記憶された指示書等を読み出し、指示書等に含まれるテキストや図と、「次へ」ボタンとを表示部11の画面上に表示させる(ステップS1)。
【0024】
続いて、主制御部15は、すべての項目を初期化する(ステップS2)。
次に、主制御部15は、すべての項目がなぞられたか(ハイライト表示されたか)否かを判定する(ステップS3)。
【0025】
ステップS3において、すべての項目がなぞられていない(すなわち、No)と判定された場合には、主制御部15は、ユーザがなぞり始めた項目が重要箇所であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0026】
ステップS4において、当該項目が重要箇所である(すなわち、Yes)と判定された場合には、主制御部15は、ユーザが「重要」ボタンを同時に押しているか否かを判定する(ステップS5)。
【0027】
ステップS5において、ユーザが「重要」ボタンを押していない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS4に移行して、再度ユーザがなぞり始めた項目が重要箇所であるか否かを判定する。
【0028】
一方、ステップS4において、当該項目が重要箇所でない(すなわち、No)と判定された場合、およびステップS5において、ユーザが「重要」ボタンを押している(すなわち、Yes)と判定された場合には、主制御部15は、ユーザが当該項目をなぞる速度が所定速度以下であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0029】
ステップS6において、ユーザが当該項目をなぞる速度が所定速度以下でない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS4に移行して、再度ユーザがなぞり始めた項目が重要箇所であるか否かを判定する。
【0030】
一方、ステップS6において、ユーザが当該項目をなぞる速度が所定速度以下である(すなわち、Yes)と判定された場合には、主制御部15は、当該項目をハイライト表示させる(ステップS7)。
【0031】
続いて、主制御部15は、当該項目がすべてなぞられたか否かを判定する(ステップS8)。
ステップS8において、当該項目がすべてなぞられていない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS4に移行して、再度ユーザがなぞり始めた項目が重要箇所であるか否かを判定する。
【0032】
一方、ステップS8において、当該項目がすべてなぞられた(すなわち、Yes)と判定された場合には、主制御部15は、判断の対象を次の項目へ移し(ステップS9)、ステップS3に移行して、すべての項目がなぞられたか(ハイライト表示されたか)否かを判定する。
【0033】
ステップS3において、すべての項目がなぞられた(すなわち、Yes)と判定された場合には、主制御部15は、「次へ」ボタンを有効にし(ステップS10)、「次へ」ボタンが押されたか否かを判定する(ステップS11)。
【0034】
ステップS11において、「次へ」ボタンが押されていない(すなわち、No)と判定された場合には、主制御部15は、ステップS11において、再度「次へ」ボタンが押されたか否かを判定する。
【0035】
一方、ステップS11において、「次へ」ボタンが押された(すなわち、Yes)と判定された場合には、主制御部15は、次のページまたは次の手順に進み(ステップS12)、図3の処理を終了する。
【0036】
以上のように、実施の形態1によれば、表示部に表示されたテキストまたは図において注意を要する確認箇所が、タッチパネルにより所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする。
これにより、確認箇所を読み飛ばすことが困難になるので、指示書等を強制的に読ませることができる。
そのため、注意を要する箇所を確実に読ませることにより、表示内容を徹底させることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態1では、タッチパネルがマルチタッチタイプであるとした。しかしながら、これに限定されず、表示端末は、マルチタッチタイプのタッチパネルに代えて、キーボードを備えていてもよい。このとき、主制御部は、表示部に表示されたテキストや図の重要箇所に対して、ユーザが所定のキーを押しながら当該箇所をなぞった場合に、当該箇所を読んだ(見た)としてハイライト表示させる。
【0038】
なお、所定のキーは、あらかじめ設定されていてもよいし、主制御部がその都度異なるキーを指定し、主制御部が、ユーザが押すべき当該キーを表示部に表示させてもよい。この場合にも、さらに当該重要箇所を読み飛ばすことが困難になり、指示書等を確実に読ませることができる。
【0039】
また、表示端末が受信したメール等の外部からの文章についても、当該文章に確認箇所や重要箇所が指定されている場合には、上記と同様にして、表示部に表示されたテキストや図の確認箇所および重要箇所がすべて所定速度以下でなぞられたときに、「次へ」ボタンを有効にしてもよい。この場合も、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
10 表示端末、11 表示部、12 表示制御部、13 タッチパネル、14 タッチパネル入力処理部、15 主制御部、16 記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部およびタッチパネルを備えた表示端末であって、
前記表示部に表示されるテキストおよび図の少なくとも一方を、前記テキストまたは図において注意を要する確認箇所とともに記憶する記憶部と、
前記テキストまたは図を、前記記憶部から読み出し、前記確認箇所を明示して前記表示部に表示させるとともに、前記タッチパネルにより前記確認箇所が所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする主制御部と、
を備えたことを特徴とする表示端末。
【請求項2】
前記タッチパネルは、同時に複数の接触点を検出可能なマルチタッチタイプであり、
前記記憶部は、前記テキストおよび図の少なくとも一方を、前記テキストまたは図において、前記確認箇所よりも重要度の高い重要箇所とともに記憶し、
前記主制御部は、前記テキストまたは図を、前記記憶部から読み出し、前記重要箇所を明示して前記表示部に表示させ、かつ前記表示部に重要ボタンを併せて表示させるとともに、前記タッチパネルにより前記重要ボタンが押された状態で、前記重要箇所が所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする
ことを特徴とする請求項1に記載の表示端末。
【請求項3】
前記主制御部は、前記表示部において前記重要ボタンを表示させる位置を、表示の度に変化させる
ことを特徴とする請求項2に記載の表示端末。
【請求項4】
キーボードをさらに備え、
前記記憶部は、前記テキストおよび図の少なくとも一方を、前記テキストまたは図において、前記確認箇所よりも重要度の高い重要箇所とともに記憶し、
前記主制御部は、前記テキストまたは図を、前記記憶部から読み出し、前記重要箇所を明示して前記表示部に表示させるとともに、前記キーボードの所定のキーが押された状態で、前記タッチパネルにより前記重要箇所が所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする
ことを特徴とする請求項1に記載の表示端末。
【請求項5】
前記主制御部は、前記キーボードの所定のキーを、その都度変化させる
ことを特徴とする請求項4に記載の表示端末。
【請求項6】
表示部およびタッチパネルを備えた表示端末の表示内容を徹底させる方法であって、
前記表示部に表示されるテキストおよび図の少なくとも一方を、前記テキストまたは図において注意を要する確認箇所とともに記憶する記憶ステップと、
前記テキストまたは図を、前記記憶部から読み出し、前記確認箇所を明示して前記表示部に表示させる表示ステップと、
前記タッチパネルにより前記確認箇所が所定速度以下の速度でなぞられたか否かを判定する判定ステップと、
前記確認箇所が所定速度以下の速度でなぞられた場合に、次のページまたは次の手順に進むことを可能とする許可ステップと、
を備えたことを特徴とする表示内容を徹底させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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