表示素子の駆動用集積回路
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばアクティブマトリクス方式の液晶表示素子、EL(エレトクロルミネセンス)表示素子など、マトリクス型の表示素子の走査電極を駆動するための駆動用集積回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】このような表示素子は、液晶テレビ、各種表示装置などに広く利用することができる。
【0003】図7に従来の液晶表示素子の走査電極の駆動用集積回路の一例を示す。
【0004】同図において、コントロールゲート21は、図8に示すように、一定周期のクロック信号C0と、そのクロック信号の1周期の間ハイレベルとなるパルス信号a1を出力する。Dフリップフロップ22は、このコントロ−ルゲート21から信号a1を、クロック信号C0の立上りで取り込んで保持し、制御信号b1として出力する。シフトレジスタ24は、クロック信号C0をシフトクロックとして、シリアル信号である制御信号b1を取り込み、パラレル信号として出力する。ナンド回路25はシフトレジスタ24からのパラレル信号の夫々に、クロック信号C0を反転回路23によって反転させた信号cによりゲートをかける。レベルシフタ26はナンド回路25の各出力信号のレベルを必要なレベルに変換し、出力バッファ27はそれらを駆動パルスpとして出力端子28を構成する各端子から出力する。従って、制御信号b1がシフトレジスタ24に一度取り込まれると、それはシフトクロックに同期して順次、シフトレジスタ内を移動し、それに応じて出力端子28の各端子から順番に駆動パルスpが出力される。
【0005】図9はこのような駆動用集積回路によって液晶表示素子がどのように駆動されるかを示すものである。図9(a)に示すように、液晶表示素子は複数の走査電極D.LINE1〜D.LINEnを含んで構成されている。ここで図9(b)に示すように、各走査電極D.LINE1〜D.LINEnに図7の駆動用集積回路の出力端子28から順番に駆動パルスpが与えられることによって、各走査電極D.LINE1〜D.LINEnはこの順で順次駆動される。尚、走査電極D.LINE1が駆動されて走査電極D.LINEnが駆動されるまでの期間を1動作期間ということにする。即ち、一動作期間で液晶表示素子の画面全体が走査され、図示しない複数配列された信号電極に供給される映像信号に応じて液晶表示素子に一画面が形成される。かかる画面形成処理を順次繰り返すことにより、液晶表示素子に動画を形成することが可能となり、即ち液晶テレビを構成することもできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えばTFT内蔵液晶パネルを高速で駆動する場合には、その際生じるコントラストの低下を防止するため、表示素子の各走査電極を一動作期間中に複数回ずつ連続して選択する必要がある。しかし、上述した従来の駆動用集積回路では、1動作期間中に、各出力端子からは1つの駆動パルスしか出力できない。従って、各走査電極を例えば2回ずつ連続して選択する場合には、図10(a),(b)に示すように、出力する駆動パルスのタイミングがずれた2つの駆動用集積回路LSI1,LSI2を設け、それらの出力をパラレルに使用する必要がある。しかし、液晶表示素子に対して、このような駆動用集積回路を2つ、あるいはそれ以上実装し、即ちそれらの出力をパラレルに使用するように回路配置、電気的接続等することは実際上極めて困難である。
【0007】本発明は上述の問題点に鑑み成されたものであり、マトリクス型の表示素子に対して容易に実装することができ、該表示素子の各走査電極を一動作期間中に複数回選択して駆動することができる表示素子の駆動用集積回路を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の表示素子の駆動用集積回路は上述の課題を達成すべく、マトリクス型の表示素子の走査電極を駆動するための駆動用集積回路であって、一動作期間で表示素子の画面全体を走査すべく走査電極に夫々接続される複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力する駆動パルス発生手段と、選択信号のレベルに応じて、一動作期間中に出力端子の一つにつき駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生されるように駆動パルス発生手段に制御信号を与える制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の表示素子の駆動用集積回路を用いてマトリクス型の表示素子の走査電極を駆動する際には、駆動パルス発生手段の複数の出力端子が走査電極に夫々接続される。制御手段は、選択信号のレベルに応じて、一動作期間中に出力端子の一つにつき駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生させるように駆動パルス発生手段に制御信号を与え、これを受けて駆動パルス発生手段は、複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力する。このため、必要に応じて、一動作期間中に一つの走査電極を複数回あるいは1回のどちらか選択することができる。また、本発明にかかる出力端子についてはその数、形状等が従来と同様であるので、表示素子への実装も従来同様容易に行うことができる。
【0010】次に示す本発明の実施例から、本発明のこのような作用がより明らかにされ、更に本発明の他の作用が明らかにされよう。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1に本発明の一実施例である液晶表示素子の駆動用集積回路を示す。
【0012】同図において、駆動用集積回路100 は、制御手段の一例を構成するコントロールゲート1、Dフリップフロップ2、Dフリップフロップ3、反転回路4、5、ノア回路6、アンド回路7、8、ノア回路9、及び反転回路10、11を備えている。
【0013】コントロールゲート1は、図2に示すように、一定周期のクロック信号C0と、クロック信号C0の2周期分の期間、ハイレベルとなる信号aを出力する。Dフリップフロップ2は、このゲート1から信号aを、クロック信号C0の立上りで取り込んで保持する。Dフリップフロップ3は、さらにフリップフロップ2の出力信号をクロック信号C0の立上りで取り込み、それを反転させて信号bとして出力する。ノア回路6は、フリップフロップ2が取り込み、反転させて出力する信号cと、フリップフロップ3からの信号bとの論理和をとり、結果を反転させて信号dとして出力する。一方、反転回路5はフリップフロップ2からの信号cを反転させて信号eとして出力する。
【0014】反転回路4、アンド回路7,8、ノア回路9、ならびに反転回路10はセレクタ回路を構成している。即ち、選択信号MODEがハイレベルのときは、信号eが反転回路10から制御信号gとして出力され、一方、選択信号MODEがローレベルのときは、信号dが反転回路10から制御信号gとして出力される。
【0015】駆動用集積回路100 は更に、制御信号gを受けて駆動パルスpを発生する駆動パルス発生手段の一例を構成するシフトレジスタ12、複数のナンド回路13、レベルシフタ14、出力バッファ15及び複数の出力端子16を備えている。
【0016】シフトレジスタ12は、信号e又は信号dである制御信号gを反転回路10からシリアル信号として受け取り、受け取った信号をクロック信号C0をシフトクロックとして取り込んで保持し、そしてシフトクロックに同期してシフトする。シフトレジスタ12は取り込んだシリアル信号をパラレル信号として出力し、ナンド回路13はそのパラレル信号を構成する各信号を夫々受け取り、それらに対して、信号C0を反転回路11によって反転させた信号fによりゲートをかける。
【0017】レベルシフタ14はナンド回路13の各出力信号のレベルを必要なレベルに変換し、出力バッファ15はそれらを駆動パルスpとして複数の出力端子16から出力する。
【0018】次に以上のように構成された駆動用集積回路100 の動作について説明する。
【0019】選択信号MODEをローレベルとした場合には、従来の駆動用集積回路と同様、出力端子16の各端子から1度に1つの駆動パルスが出力される。即ち、この場合には反転回路4の出力がハイレベルとなるので、クロック信号C0の1周期分の期間、ハイレベルとなる信号dがセレクタ回路により制御信号gとして選択され、シリアル信号としてシフトレジスタ12に入力される。シフトレジスタ12はこの制御信号gを取り込み、シフトクロックが入力されるごとに移動させ、パラレル信号を各出力端子から順次出力する。そしてシフトレジスタ12が出力するパラレル信号は、ナンド回路13においてクロック信号C0を反転させた信号fによりゲートがかけられるので、信号fがハイレベルの期間のみハイレベルのパルスとなる。レベルシフタ14はナンド回路13の各出力信号のレベルを必要なレベルに変換し、出力バッファ15はそれらを駆動パルスp1として出力端子16を構成する各端子から出力する。
【0020】一方、選択信号MODEをハイレベルとした場合には、1度に2つの駆動パルスが続けて出力される。即ち、この場合にはハイレベルのMODE信号がアンド回路8に供給されるので、クロック信号C0の2周期分の期間、ハイレベルとなる信号eがセレクタ回路により制御信号gとして選択され、シフトレジスタ12に入力される。シフトレジスタ12はこの制御信号gを取り込み、クロック信号C0ごとにシフトさせるが、この場合には制御信号gのパルス幅はクロック信号C0の2周期分であるため、1つのパラレル信号の出力端子からはクロック信号C0の2周期分の期間、ハイレベルの信号が出力される。従って、各ナンド回路13は続けて2つのパルスを出力し、出力端子16の各端子からは図2に示すような駆動パルスp2が出力される。
【0021】図3に、以上のように動作する駆動用集積回路100 を液晶表示素子に接続して構成した液晶表示装置の概略的な構成を示す。
【0022】同図において、液晶表示素子101 は、駆動用集積回路100 の出力端子に夫々接続された走査電極D.LINE1〜D.LINEnと、映像信号ホ−ルド用回路102 の各出力端子に夫々接続された信号電極S.LINE1〜S.LINEmとを有しており、アクティブマトリクス方式の液晶表示素子として構成されている。映像信号ホ−ルド用回路102 は、映像信号制御装置103 からの映像信号を各信号電極S.LINE1〜S.LINEmに対応した映像信号として保持し、所定のタイミングで、各信号電極S.LINE1〜S.LINEmに出力する。他方、映像信号制御装置103 は、選択信号MODEを駆動用集積回路100 に与えて、セレクタ回路において信号d及び信号eのどちらを制御信号gとして選択するかを指示する。
【0023】図4は、このように構成されたな駆動用集積回路100 によって液晶表示素子101 がどのように駆動されるかを示すものである。
【0024】図4(a)に示す液晶表示素子101 の走査電極D.LINE1〜D.LINEnには、図4(b)に示すように、駆動用集積回路の出力端子16の各端子から順番に1回に2つのパルスが続けて与えられる。このため、各走査電極を1度に2回ずづ選択して駆動することができる。
【0025】尚、以上の実施例では出力端子16の各端子から一回に2つの駆動パルスを出力するようにしたが、一回に出力する駆動パルスの数を図5に示すように増やすことは容易であり、その場合には、シフトレジスタ12に制御信号gとして供給する信号eのパルス幅を変えればよい。また、図6に示すように走査電極ごとに駆動パルスの間隔を変えることも可能であり、その場合には、シフトレジスタ12に制御信号gとして供給する信号eのパルス幅、及びナンド回路13に供給する信号fの周期を走査電極ごとに変えればよい。
【0026】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明の表示素子の駆動用集積回路によれば、制御手段は、選択信号のレベルに応じて、一動作期間中に出力端子の一つにつき駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生させるように駆動パルス発生手段に制御信号を与え、これを受けて駆動パルス発生手段は、複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力するので、1つの駆動用集積回路により、必要に応じて、一動作期間中に一つの走査電極を複数回あるいは1回のどちらか選択することができ、表示素子への実装も従来同様に容易に行うことができる。この結果、比較的容易な構成にして、例えばTFT内蔵液晶パネルを高速で駆動する場合にその際に生じるコントラストの低下を効果的に防止することができる駆動用集積回路を他の表示素子の駆動用集積回路と互換性を持たせて実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である液晶表示素子の駆動用集積回路を示す回路図である。
【図2】図1の駆動用集積回路の各部における信号波形を示す図である。
【図3】図1の駆動用集積回路を液晶表示素子に接続して構成した液晶表示装置の概略的なブロック図である。
【図4】図1の駆動用集積回路によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図5】本発明の他の実施例によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図6】本発明の更に他の実施例によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図7】従来の液晶表示素子の駆動用集積回路の一例を示す回路図である。
【図8】図7の駆動用集積回路の各部における信号波形を示す図である。
【図9】図7の駆動用集積回路によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図10】図7の駆動用集積回路によって液晶表示素子の各走査電極を夫々連続して2回駆動する場合の駆動パルスを示す図である。
【符号の説明】
1 コントロールゲート
2,3 Dフリップフロップ
4,5,10,11 反転回路
6,9 ノア回路
7,8 アンド回路
12 シフトレジスタ
13 ナンド回路
14 レベルシフタ
15 出力バッファ
16 出力端子
100 駆動用集積回路
101 液晶表示素子
102 映像信号ホ−ルド用回路
103 映像信号制御装置
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばアクティブマトリクス方式の液晶表示素子、EL(エレトクロルミネセンス)表示素子など、マトリクス型の表示素子の走査電極を駆動するための駆動用集積回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】このような表示素子は、液晶テレビ、各種表示装置などに広く利用することができる。
【0003】図7に従来の液晶表示素子の走査電極の駆動用集積回路の一例を示す。
【0004】同図において、コントロールゲート21は、図8に示すように、一定周期のクロック信号C0と、そのクロック信号の1周期の間ハイレベルとなるパルス信号a1を出力する。Dフリップフロップ22は、このコントロ−ルゲート21から信号a1を、クロック信号C0の立上りで取り込んで保持し、制御信号b1として出力する。シフトレジスタ24は、クロック信号C0をシフトクロックとして、シリアル信号である制御信号b1を取り込み、パラレル信号として出力する。ナンド回路25はシフトレジスタ24からのパラレル信号の夫々に、クロック信号C0を反転回路23によって反転させた信号cによりゲートをかける。レベルシフタ26はナンド回路25の各出力信号のレベルを必要なレベルに変換し、出力バッファ27はそれらを駆動パルスpとして出力端子28を構成する各端子から出力する。従って、制御信号b1がシフトレジスタ24に一度取り込まれると、それはシフトクロックに同期して順次、シフトレジスタ内を移動し、それに応じて出力端子28の各端子から順番に駆動パルスpが出力される。
【0005】図9はこのような駆動用集積回路によって液晶表示素子がどのように駆動されるかを示すものである。図9(a)に示すように、液晶表示素子は複数の走査電極D.LINE1〜D.LINEnを含んで構成されている。ここで図9(b)に示すように、各走査電極D.LINE1〜D.LINEnに図7の駆動用集積回路の出力端子28から順番に駆動パルスpが与えられることによって、各走査電極D.LINE1〜D.LINEnはこの順で順次駆動される。尚、走査電極D.LINE1が駆動されて走査電極D.LINEnが駆動されるまでの期間を1動作期間ということにする。即ち、一動作期間で液晶表示素子の画面全体が走査され、図示しない複数配列された信号電極に供給される映像信号に応じて液晶表示素子に一画面が形成される。かかる画面形成処理を順次繰り返すことにより、液晶表示素子に動画を形成することが可能となり、即ち液晶テレビを構成することもできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えばTFT内蔵液晶パネルを高速で駆動する場合には、その際生じるコントラストの低下を防止するため、表示素子の各走査電極を一動作期間中に複数回ずつ連続して選択する必要がある。しかし、上述した従来の駆動用集積回路では、1動作期間中に、各出力端子からは1つの駆動パルスしか出力できない。従って、各走査電極を例えば2回ずつ連続して選択する場合には、図10(a),(b)に示すように、出力する駆動パルスのタイミングがずれた2つの駆動用集積回路LSI1,LSI2を設け、それらの出力をパラレルに使用する必要がある。しかし、液晶表示素子に対して、このような駆動用集積回路を2つ、あるいはそれ以上実装し、即ちそれらの出力をパラレルに使用するように回路配置、電気的接続等することは実際上極めて困難である。
【0007】本発明は上述の問題点に鑑み成されたものであり、マトリクス型の表示素子に対して容易に実装することができ、該表示素子の各走査電極を一動作期間中に複数回選択して駆動することができる表示素子の駆動用集積回路を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の表示素子の駆動用集積回路は上述の課題を達成すべく、マトリクス型の表示素子の走査電極を駆動するための駆動用集積回路であって、一動作期間で表示素子の画面全体を走査すべく走査電極に夫々接続される複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力する駆動パルス発生手段と、選択信号のレベルに応じて、一動作期間中に出力端子の一つにつき駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生されるように駆動パルス発生手段に制御信号を与える制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の表示素子の駆動用集積回路を用いてマトリクス型の表示素子の走査電極を駆動する際には、駆動パルス発生手段の複数の出力端子が走査電極に夫々接続される。制御手段は、選択信号のレベルに応じて、一動作期間中に出力端子の一つにつき駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生させるように駆動パルス発生手段に制御信号を与え、これを受けて駆動パルス発生手段は、複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力する。このため、必要に応じて、一動作期間中に一つの走査電極を複数回あるいは1回のどちらか選択することができる。また、本発明にかかる出力端子についてはその数、形状等が従来と同様であるので、表示素子への実装も従来同様容易に行うことができる。
【0010】次に示す本発明の実施例から、本発明のこのような作用がより明らかにされ、更に本発明の他の作用が明らかにされよう。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1に本発明の一実施例である液晶表示素子の駆動用集積回路を示す。
【0012】同図において、駆動用集積回路100 は、制御手段の一例を構成するコントロールゲート1、Dフリップフロップ2、Dフリップフロップ3、反転回路4、5、ノア回路6、アンド回路7、8、ノア回路9、及び反転回路10、11を備えている。
【0013】コントロールゲート1は、図2に示すように、一定周期のクロック信号C0と、クロック信号C0の2周期分の期間、ハイレベルとなる信号aを出力する。Dフリップフロップ2は、このゲート1から信号aを、クロック信号C0の立上りで取り込んで保持する。Dフリップフロップ3は、さらにフリップフロップ2の出力信号をクロック信号C0の立上りで取り込み、それを反転させて信号bとして出力する。ノア回路6は、フリップフロップ2が取り込み、反転させて出力する信号cと、フリップフロップ3からの信号bとの論理和をとり、結果を反転させて信号dとして出力する。一方、反転回路5はフリップフロップ2からの信号cを反転させて信号eとして出力する。
【0014】反転回路4、アンド回路7,8、ノア回路9、ならびに反転回路10はセレクタ回路を構成している。即ち、選択信号MODEがハイレベルのときは、信号eが反転回路10から制御信号gとして出力され、一方、選択信号MODEがローレベルのときは、信号dが反転回路10から制御信号gとして出力される。
【0015】駆動用集積回路100 は更に、制御信号gを受けて駆動パルスpを発生する駆動パルス発生手段の一例を構成するシフトレジスタ12、複数のナンド回路13、レベルシフタ14、出力バッファ15及び複数の出力端子16を備えている。
【0016】シフトレジスタ12は、信号e又は信号dである制御信号gを反転回路10からシリアル信号として受け取り、受け取った信号をクロック信号C0をシフトクロックとして取り込んで保持し、そしてシフトクロックに同期してシフトする。シフトレジスタ12は取り込んだシリアル信号をパラレル信号として出力し、ナンド回路13はそのパラレル信号を構成する各信号を夫々受け取り、それらに対して、信号C0を反転回路11によって反転させた信号fによりゲートをかける。
【0017】レベルシフタ14はナンド回路13の各出力信号のレベルを必要なレベルに変換し、出力バッファ15はそれらを駆動パルスpとして複数の出力端子16から出力する。
【0018】次に以上のように構成された駆動用集積回路100 の動作について説明する。
【0019】選択信号MODEをローレベルとした場合には、従来の駆動用集積回路と同様、出力端子16の各端子から1度に1つの駆動パルスが出力される。即ち、この場合には反転回路4の出力がハイレベルとなるので、クロック信号C0の1周期分の期間、ハイレベルとなる信号dがセレクタ回路により制御信号gとして選択され、シリアル信号としてシフトレジスタ12に入力される。シフトレジスタ12はこの制御信号gを取り込み、シフトクロックが入力されるごとに移動させ、パラレル信号を各出力端子から順次出力する。そしてシフトレジスタ12が出力するパラレル信号は、ナンド回路13においてクロック信号C0を反転させた信号fによりゲートがかけられるので、信号fがハイレベルの期間のみハイレベルのパルスとなる。レベルシフタ14はナンド回路13の各出力信号のレベルを必要なレベルに変換し、出力バッファ15はそれらを駆動パルスp1として出力端子16を構成する各端子から出力する。
【0020】一方、選択信号MODEをハイレベルとした場合には、1度に2つの駆動パルスが続けて出力される。即ち、この場合にはハイレベルのMODE信号がアンド回路8に供給されるので、クロック信号C0の2周期分の期間、ハイレベルとなる信号eがセレクタ回路により制御信号gとして選択され、シフトレジスタ12に入力される。シフトレジスタ12はこの制御信号gを取り込み、クロック信号C0ごとにシフトさせるが、この場合には制御信号gのパルス幅はクロック信号C0の2周期分であるため、1つのパラレル信号の出力端子からはクロック信号C0の2周期分の期間、ハイレベルの信号が出力される。従って、各ナンド回路13は続けて2つのパルスを出力し、出力端子16の各端子からは図2に示すような駆動パルスp2が出力される。
【0021】図3に、以上のように動作する駆動用集積回路100 を液晶表示素子に接続して構成した液晶表示装置の概略的な構成を示す。
【0022】同図において、液晶表示素子101 は、駆動用集積回路100 の出力端子に夫々接続された走査電極D.LINE1〜D.LINEnと、映像信号ホ−ルド用回路102 の各出力端子に夫々接続された信号電極S.LINE1〜S.LINEmとを有しており、アクティブマトリクス方式の液晶表示素子として構成されている。映像信号ホ−ルド用回路102 は、映像信号制御装置103 からの映像信号を各信号電極S.LINE1〜S.LINEmに対応した映像信号として保持し、所定のタイミングで、各信号電極S.LINE1〜S.LINEmに出力する。他方、映像信号制御装置103 は、選択信号MODEを駆動用集積回路100 に与えて、セレクタ回路において信号d及び信号eのどちらを制御信号gとして選択するかを指示する。
【0023】図4は、このように構成されたな駆動用集積回路100 によって液晶表示素子101 がどのように駆動されるかを示すものである。
【0024】図4(a)に示す液晶表示素子101 の走査電極D.LINE1〜D.LINEnには、図4(b)に示すように、駆動用集積回路の出力端子16の各端子から順番に1回に2つのパルスが続けて与えられる。このため、各走査電極を1度に2回ずづ選択して駆動することができる。
【0025】尚、以上の実施例では出力端子16の各端子から一回に2つの駆動パルスを出力するようにしたが、一回に出力する駆動パルスの数を図5に示すように増やすことは容易であり、その場合には、シフトレジスタ12に制御信号gとして供給する信号eのパルス幅を変えればよい。また、図6に示すように走査電極ごとに駆動パルスの間隔を変えることも可能であり、その場合には、シフトレジスタ12に制御信号gとして供給する信号eのパルス幅、及びナンド回路13に供給する信号fの周期を走査電極ごとに変えればよい。
【0026】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明の表示素子の駆動用集積回路によれば、制御手段は、選択信号のレベルに応じて、一動作期間中に出力端子の一つにつき駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生させるように駆動パルス発生手段に制御信号を与え、これを受けて駆動パルス発生手段は、複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力するので、1つの駆動用集積回路により、必要に応じて、一動作期間中に一つの走査電極を複数回あるいは1回のどちらか選択することができ、表示素子への実装も従来同様に容易に行うことができる。この結果、比較的容易な構成にして、例えばTFT内蔵液晶パネルを高速で駆動する場合にその際に生じるコントラストの低下を効果的に防止することができる駆動用集積回路を他の表示素子の駆動用集積回路と互換性を持たせて実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である液晶表示素子の駆動用集積回路を示す回路図である。
【図2】図1の駆動用集積回路の各部における信号波形を示す図である。
【図3】図1の駆動用集積回路を液晶表示素子に接続して構成した液晶表示装置の概略的なブロック図である。
【図4】図1の駆動用集積回路によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図5】本発明の他の実施例によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図6】本発明の更に他の実施例によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図7】従来の液晶表示素子の駆動用集積回路の一例を示す回路図である。
【図8】図7の駆動用集積回路の各部における信号波形を示す図である。
【図9】図7の駆動用集積回路によって液晶表示素子の各走査電極に供給される駆動パルスを示す図である。
【図10】図7の駆動用集積回路によって液晶表示素子の各走査電極を夫々連続して2回駆動する場合の駆動パルスを示す図である。
【符号の説明】
1 コントロールゲート
2,3 Dフリップフロップ
4,5,10,11 反転回路
6,9 ノア回路
7,8 アンド回路
12 シフトレジスタ
13 ナンド回路
14 レベルシフタ
15 出力バッファ
16 出力端子
100 駆動用集積回路
101 液晶表示素子
102 映像信号ホ−ルド用回路
103 映像信号制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マトリクス型の表示素子の走査電極を駆動するための駆動用集積回路であって、一動作期間で前記表示素子の画面全体を走査すべく前記走査電極に夫々接続される複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力する駆動パルス発生手段と、選択信号のレベルに応じて、前記一動作期間中に前記出力端子の一つにつき前記駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生されるように前記駆動パルス発生手段に制御信号を与える制御手段とを備えたことを特徴とする表示素子の駆動用集積回路。
【請求項1】 マトリクス型の表示素子の走査電極を駆動するための駆動用集積回路であって、一動作期間で前記表示素子の画面全体を走査すべく前記走査電極に夫々接続される複数の出力端子から駆動パルスを所定のクロック信号に基づいて順番に出力する駆動パルス発生手段と、選択信号のレベルに応じて、前記一動作期間中に前記出力端子の一つにつき前記駆動パルスを複数あるいは一つのどちらか一方を選択して発生されるように前記駆動パルス発生手段に制御信号を与える制御手段とを備えたことを特徴とする表示素子の駆動用集積回路。
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図1】
【図4】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【図6】
【図2】
【図3】
【図1】
【図4】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【特許番号】第2760670号
【登録日】平成10年(1998)3月20日
【発行日】平成10年(1998)6月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−126044
【出願日】平成3年(1991)5月29日
【公開番号】特開平4−350894
【公開日】平成4年(1992)12月4日
【審査請求日】平成7年(1995)1月30日
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【参考文献】
【文献】特開 平4−180014(JP,A)
【登録日】平成10年(1998)3月20日
【発行日】平成10年(1998)6月4日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)5月29日
【公開番号】特開平4−350894
【公開日】平成4年(1992)12月4日
【審査請求日】平成7年(1995)1月30日
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【参考文献】
【文献】特開 平4−180014(JP,A)
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