説明

表示素子

【課題】発光部からの光を効率良く出射でき、かつコントラストの低下を低減可能な表示素子を提供すること。
【解決手段】基準平面SS上に設けられ、光を供給する発光部120R、120G、120Bと、発光部120R、120G、120Bの周辺に反射面205を備え、反射面205に入射する発光部120R、120G、120Bからの光を出射側へ反射することで、発光部120R、120G、120Bからの光を角度変換する角度変換部110と、を有し、反射面205は、所定の一方向に長手方向を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子、特に、有機EL(Electroluminescence)素子の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL素子を用いる有機ELディスプレイが知られている。有機EL素子を構成する各層は極めて薄いことから、通常、有機ELディスプレイには、固定及び補強のための基板が設けられている。有機EL素子の発光部からの光は、有機ELディスプレイの出射側の基板を透過した後外部へ出射する。このとき発光部からの光のうちの一部の光は、出射側の基板の界面で全反射することで、有機ELディスプレイの内部に取り込まれてしまう場合がある。そこで、有機ELディスプレイでは、発光部からの光を、出射面に対して臨界角以下の角度で入射するように角度変換する技術が提案されている。出射面に対して臨界角以下の角度で発光部からの光を入射させることにより、有機ELディスプレイは、効率良く光を供給することが可能となる。有機ELディスプレイにおいて発光部からの光を角度変換する技術としては、例えば、特許文献1に提案されているものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平10−189251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術によると、反射面に外光が入射する環境下では、反射面に入射した外光が観賞者の方向へ反射することによって画像のコントラストが低下してしまう場合がある。このように、従来の技術では、発光部からの光を効率良く供給し、かつコントラストの低下を低減することが困難であるため問題である。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、発光部からの光を効率良く出射でき、かつコントラストの低下を低減可能な表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、基準平面上に設けられ、光を供給する発光部と、発光部の周辺に反射面を備え、反射面に入射する発光部からの光を出射側へ反射することで、発光部からの光を角度変換する角度変換部と、を有し、反射面は、所定の一方向に長手方向を有することを特徴とする表示素子を提供することができる。
【0006】
照明器具からの照明光や日射光等の外光は、表示装置に対して所定の向きで進行する場合が考えられる。所定の一方向に長手方向を有する反射面を表示素子に設けることで、表示装置は、反射面の長手方向と外光の進行方向とが合うように配置を決定する。反射面の長手方向を外光の進行方向に合わせると、反射面は、外光のうち所定の一方向の成分について入射角と略同一の反射角で外光を反射する。所定の一方向に長手方向を有する反射面を設けることで、所定の向きで進行する外光について、反射する方向をコントロールすることができる。このようにして、観賞者の方向とは異なる方向へ外光を反射し、画像のコントラストの低下を低減できる。また、角度変換部を設けることで、発光部からの光を、出射面に対して臨界角以下の角度で入射するように角度変換する。発光部からの光を角度変換することで、出射面での全反射によって発光部からの光が表示素子に取り込まれることを防ぎ、発光部からの光を効率良く出射できる。これにより、発光部からの光を効率良く出射でき、かつコントラストの低下を低減可能な表示素子を得られる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、反射面は、金属部材で構成され、角度変換部は、反射面における反射により発光部からの光を角度変換することが望ましい。反射面を金属部材で構成することにより、反射面は、発光部からの光を反射することができる。これにより、発光部からの光を出射側へ反射することで、発光部からの光を角度変換することができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、反射面は、内部に屈折率が約1である媒質、又は角度変換部を構成する部材の屈折率より小さい屈折率の媒質を有する構造体を形成し、角度変換部は、反射面における全反射により発光部からの光を角度変換することが望ましい。屈折率が約1である媒質、又は角度変換部を構成する部材の屈折率より小さい屈折率の媒質で構造体の内部を満たすことで、反射面には、角度変換部を構成する部材と、角度変換部の内部を構成する媒質との、屈折率が互いに異なる媒質同士による界面が形成される。反射面は、互いに屈折率が異なる層同士の界面を形成することで、発光部からの光を全反射することができる。これにより、発光部からの光を出射側へ反射することで、発光部からの光を角度変換することができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、反射面は、発光部同士を仕切る仕切部の上に設けられることが望ましい。仕切部の上に反射面を設けることにより、反射面が発光部からの光を遮ることを防止する。これにより、光量の低下を防止することができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、所定の一方向は、鉛直方向であることが望ましい。照明器具からの照明光や日射光等の外光は、通常、上から下に向かって鉛直方向に進むことが考えられる。反射面の長手方向を鉛直方向とすることで、鉛直方向に進む外光を観賞者の方向とは異なる方向へ反射することができる。これにより、観賞者の方向とは異なる方向へ外光を反射し、コントラストの低下を低減することができる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、反射面と基準平面とがなす角度をθ(ラジアン)、角度変換部を構成する部材の屈折率をn、とすると、以下の式(1)を満足することが望ましい。
{asin(1/n)}/2+π/4<θ<π/2 (1)
【0012】
反射面の角度を式(1)により限定することで、出射側から反射面に入射した外光を発光部又は他の反射面に進行させる。反射面で反射した光のうち発光部へ進行する光について、例えば発光部に低反射電極を設けることで、出射側への進行を低減することができる。また、反射面から他の反射面へ進行し、次第に発光部側へ進行する光は、反射面間での反射を繰り返すうちに光量を減衰させることができる。このようにして、出射側から反射面に入射した外光が直接又は少ない反射回数で出射することを防ぐことができる。
【0013】
反射面で3回以上反射する外光については、反射面における反射を繰り返すことにより光量を減衰させる。また、出射側から発光部に直接入射する外光については、例えば発光部に低反射電極を設けることで、出射側へ進行する外光を減少させることができる。これにより、観賞者の方向へ進行する外光を減少させ、コントラストの低下を低減可能な表示素子を得られる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、発光部は、出射側から発光部の方向へ進行する光の反射率が所定値以下である低反射部を有することが望ましい。発光部に低反射部を設けることにより、発光部から観賞者の方向へ反射する外光を減少させる。これにより、コントラストの低下を低減することができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、角度変換部の出射側に、特定の振動方向の偏光光を選択的に透過する偏光板を有することが望ましい。偏光板を設けると、外光のうち特定の振動方向の偏光光のみが表示素子に入射する。例えば偏光板の発光部側に位相板を設けると、表示素子に入射した偏光光は、位相板で振動方向が変換される。位相板で特定の振動方向とは異なる他の振動方向に変換された偏光光は、偏光板を透過せず遮蔽される。偏光板を設けると、出射側へ進行する外光を減少させることができる。これにより、観賞者の方向へ進行する外光を減少させ、コントラストの低下を低減することができる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、角度変換部は、反射面の出射側の位置に、光を吸収する光吸収部を有することが望ましい。ある表示素子に設けられる反射面と、その表示素子に隣り合う表示素子に設けられる反射面とは、それぞれ出射側の位置で接することで稜線部が形成される。この稜線部の位置に光吸収部を設けることで、稜線部に入射する外光の反射を防止する。稜線部に入射する外光の反射を防ぐことにより、観賞者の方向へ反射する外光を減少させ、コントラストの低下を低減できる。また、反射面どうしが接する稜線部に光吸収部を設けるため、光吸収部による表示光の吸収を少なくすることもできる。これにより、外光のみを効率良く吸収可能な構成にでき、コントラストの低下を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1に係る表示装置100の要部斜視構成を示す。表示装置100は、本発明に係る表示素子である有機EL素子で構成される、有機ELディスプレイである。各色光用発光部120R、120G、120Bは、基板112面である基準平面SS上に設けられている。R光用発光部120Rは、赤色光(以下、「R光」という。)を供給する。G光用発光部120Gは、緑色光(以下、「G光」という。)を供給する。B光用発光部120Bは、青色光(以下、「B光」という。)を供給する。各色光用発光部120R、120G、120Bの間には、それぞれバンク109が設けられている。バンク109は、各色光用発光部120R、120G、120B同士を仕切る仕切部である。
【0019】
各色光用発光部120R、120G、120B及びバンク109の上には、角度変換部110が設けられている。角度変換部110は、屈折率nの透明部材で構成された平行平板である。角度変換部110のうちバンク109と接する部分には、構造体104が形成されている。構造体104は、所定の一方向であるY方向に長手方向を有する反射面によって形成されている。
【0020】
図2は、表示装置100の要部上面構成を示す。構造体104は、所定の一方向であるY方向に長手方向を有する。構造体104は、ある有機EL素子に対して設けられる反射面と、隣り合う有機EL素子に対して設けられる反射面とが、それぞれ出射側の位置で接することで形成される構造体である。角度変換部110は、所定の一方向であるY方向に長手方向を有する反射面を有する。
【0021】
図1に戻って、角度変換部110は、基板112とは反対側の一面全体に、出射面107を有する。出射面107は、基準平面SSに略平行な平面である。ここで、有機EL素子の一単位は、各色光用発光部120R、120G、120Bと、その発光部に対応する部分の角度変換部110とで構成される。表示装置100は、画素に対応して配列する複数の有機EL素子から構成されている。
【0022】
各色光用発光部120R、120G、120Bは、詳細には、互いに対向する2つの電極層と、電極層間に設けられた機能層とを有する。機能層は、外部電源を用いて2つの電極層の間に電圧を印加することにより光を供給する。2つの電極層のうちの一方は、有機EL素子ごとに設けられた不図示のTFT回路に接続されている。表示装置100は、各種配線により各TFT回路に電気的にアクセスすることで各有機EL素子を駆動する、いわゆるアクティブマトリクス方式によって画像を表示する。
【0023】
図3は、表示装置100の要部断面構成を示す。各色光発光部120R、120G、120Bは、基板112と接する部分に低反射電極121を備える。低反射電極121は、出射面107側から発光部120R、120G、120Bの方向へ進行する光の反射率が所定値以下である低反射部である。低反射電極121は、例えば、チタンの上にITOを積層して構成することができる。低反射電極121は、各発光部120R、120G、120Bから観賞者の方向へ反射する外光を減少させるために設けられている。
【0024】
反射面205は、各発光部120R、120G、120Bの周辺に設けられた面であって、基準平面SSに対して所定の角度をなす略平面状の傾斜面である。例えば、R光用発光部120Rの周辺に設けられた反射面205と、G光用発光部120Gの周辺に設けられた反射面205とは、出射面107側の位置で接している。このように、互いに隣接する反射面205同士が出射面107側の位置で接することにより、構造体104が形成されている。
【0025】
また、構造体104を構成する2つの反射面205は、バンク109の上に設けられている。このように、構造体104は、2つの反射面205及びバンク109により構成される。反射面205は、金属部材で構成されている。反射面205は、例えば、金属薄膜の成膜や蒸着によって形成できる。反射面205は、例えばアルミニウムや銀等の高反射性の金属部材で構成することができる。構造体104の内部は、空隙としても良く、接着剤を充填することとしても良い。反射面205は、金属部材で構成することで、各発光部120R、120G、120Bからの光を反射することができる。
【0026】
例えば、R光用発光部120Rから、基準平面SSに対して垂直に近い向きで供給されたR光は、そのままの進行方向で進行した後、出射面107から出射する。また、R光用発光部120Rから斜めに供給されたR光は、反射面205で反射した後、出射面107から出射する。角度変換部110は、反射面205へ入射する各発光部120R、120G、120Bからの光を出射面107の方向へ反射することで角度変換する。
【0027】
各発光部120R、120G、120Bから斜めに進行する光は、出射面107に対する光の入射角度が臨界角以下となるような角度変換を受ける。角度変換部110は、各発光部120R、120G、120Bからの光を角度変換することで、出射面107での全反射の発生を低減する。表示装置100は、角度変換部110を設けることにより、各発光部120R、120G、120Bからの光を効率良く外部へ取り出すことができる。
【0028】
図4は、外光環境下における表示装置100の使用例を示す。例えば室内の天井に設けられた照明器具401は、鉛直下方向へ照明光を供給している。表示装置100には、照明器具401からの照明光である外光Lが、鉛直上方向から照射している。表示装置100は、各有機EL素子の出射面107(図1参照)を観賞者側に向けて、壁面やスタンド等に設置されている。表示装置100は、反射面205の長手方向を示す軸Xyが、鉛直方向、即ちY軸に略平行となるように設置されている。
【0029】
図5は、表示装置100に入射した外光Lが入射する方向と反射する方向とを説明するものである。軸Xxは、XY平面上にて軸Xyに直交する軸である。軸Xxは、水平方向、即ちX軸に略平行な方向である。ここでは、表示装置100へ入射する外光Lを、軸Xy方向の成分Lyと、軸Xx方向の成分Lxとに分けて説明を行うものとする。表示装置100で反射した外光L’についても外光Lの場合と同様に、軸Xy方向の成分Ly’と、軸Xx方向の成分Lx’とに分けることができる。
【0030】
反射面205が軸Xyに沿って長手方向を有することから、外光Lは、軸Xy方向の成分Ly−Ly’については、入射角と略同一の反射角で反射する。これに対して、軸Xx方向の成分Lx−Lx’については、入射角に対して反射角が大きく変化する。また、表示装置100に入射する外光Lは、表示装置100の上側から下側へ向かうことから、成分Lxに比べて成分Lyが多いといえる。従って、表示装置100は、外光Lの多くを観賞者の方向とは異なる鉛直下方向へ反射する。
【0031】
このように、所定の一方向に長手方向を有する反射面205を表示素子に設けることで、所定の向きで進行する外光について、反射する方向をコントロールすることができる。このようにして、観賞者の方向とは異なる方向へ外光を反射し、画像のコントラストの低下を低減できる。また、角度変換部110により各発光部120R、120G、120Bからの光を角度変換することで、出射面107での全反射によって各発光部120R、120G、120Bからの光が表示素子に取り込まれることを防ぎ、光を効率良く出射できる。
【0032】
照明器具401からの照明光Lや日射光等の外光は、通常、上から下に向かって鉛直方向に進むことが考えられる。反射面205の長手方向を鉛直方向とすることで、鉛直方向に進む外光を観賞者の方向とは異なる方向へ反射することができる。さらに、低反射電極121を設けることで、外部から直接各発光層120R、120G、120Bへ入射した後観賞者の方向へ進行する外光Lを減少させることができる。これにより、発光部からの光を効率良く出射でき、かつコントラストの低下を低減できるという効果を奏する。本発明の有機EL素子は、特に、明室環境下において画像のコントラストの低下を低減することができる。
【0033】
角度変換部110は、金属部材で構成された反射面205を用いる場合に限られない。例えば、反射面205として、角度変換部110を構成する透明部材と、前記透明部材の屈折率より小さい屈折率の媒質との界面を用いることとしても良い。角度変換部110を構成する透明部材の屈折率より小さい屈折率の媒質により構造体104の内部を満たすことで、反射面205には、屈折率が互いに異なる媒質同士による界面が形成される。この場合、角度変換部110は、反射面205における全反射により各発光部120R、120G、120Bからの光を角度変換する。
【0034】
構造体104の内部を満たす媒質としては、例えば、窒素やアルゴン等の、屈折率が略1である気体を用いることができる。反射面205は、互いに屈折率が異なる層同士の界面を形成することで、各発光部120R、120G、120Bからの光を全反射することができる。これにより、発光部からの光を出射側へ反射することで、発光部からの光を角度変換することができる。
【実施例2】
【0035】
図6は、本発明の実施例2に係る表示装置600の要部断面構成を示す。上記実施例1の表示装置100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本発明の有機EL素子は、式(1)を満足するように構成されていることを特徴とする。
{asin(1/n)}/2+π/4<θ<π/2 (1)
【0036】
θは、反射面205と基準平面SSとがなす角度(ラジアン)である。nは、角度変換部110を構成する部材の屈折率である。図6では、角度θは、反射面205と、基準平面SSに平行な面との間の角度として示している。例えば、角度変換部110の屈折率nが1.5であるとすると、反射面205は、式(1)により、基準平面SSに対して65.9°より大きく90°より小さい角度θで設けることができる。
【0037】
表示装置600の有機EL素子は、基準平面SSに対する反射面205の角度を式(1)により限定することで、出射面107から反射面205に入射した外光L1を出射面107側へ反射させず、例えばR光用発光部120Rの方向へ進行させる。R光用発光部120Rの方向へ進行した外光L1は、R光用発光部120Rの低反射電極121に入射することで、出射側への進行を低減できる。
【0038】
外光L1のほか、出射側から発光部120R、120G、120Bに入射する外光については、低反射電極121を設けることにより、出射側への進行を低減できる。外光L1より大きい入射角で表示装置600に入射した外光L2は、反射面205に入射した後、その反射面205に対向する他の反射面205に入射する。反射面205に対して下向きに入射する外光L2は、反射面205間における反射を繰り返すうちに光量が減衰する。
【0039】
なお、反射面205から他の反射面205へ進行した光のうち一部の光は、反射面205に対して下向きに進行せず出射側へ進行する場合がある。反射面205において2回反射した後出射側へ進行する光については、出射面107で全反射することにより、再び発光部側へ進行する。反射面205で2回反射した後発光部側へ進行する光は、再び反射面205等で反射することにより光量を減衰させることができる。
【0040】
このように、表示装置600の有機EL素子は、出射側から反射面205に入射した外光が、直接又は少ない反射回数で出射することを防ぐことができる。反射面205で3回以上反射する外光については、反射面205における反射を繰り返すことにより光量を減衰させる。これにより、観賞者の方向へ進行する外光を減少させ、コントラストの低下を低減することができるという効果を奏する。
【実施例3】
【0041】
図7は、本発明の実施例3に係る表示装置700の要部斜視構成を示す。本発明の有機EL素子は、光吸収部707を有することを特徴とする。上記実施例1の表示素子と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。構造体704は、上記実施例1と同様に、Y方向に長手方向を有する。構造体704は、1つの有機EL素子に対して設けられる反射面205と、その有機EL素子に隣り合う有機EL素子に設けられる反射面205とが出射側の位置で接することで構成されている。構造体704は、2つの反射面205が接する出射側の位置に稜線部を有する。光吸収部707は、構造体704の稜線部に設けられている。図7に示す断面構成において、光吸収部707は、二等辺三角形形状の構造体704の先端部に設けられている。
【0042】
光吸収部707は、黒色の樹脂部材等、可視光を吸収する性質の部材により構成することができる。出射面107から光吸収部707に入射した外光L4は、光吸収部707において吸収される。光吸収部707を設けることにより、出射側から構造体704の稜線部に入射した光が再び出射側へ反射することを防ぐことができる。稜線部に入射する外光の反射を防ぐことにより、外光が出射側へ進行することを低減し、コントラストの低下を低減できる。また、反射面205同士が接する稜線部に光吸収部707を設けるため、光吸収部707による表示光の吸収を少なくすることもできる。これにより、外光のみを吸収可能な構成にでき、コントラストの低下を低減できるという効果を奏する。
【0043】
なお、光吸収部707における表示光の吸収をさらに少なくするためには、光吸収部707は、表示光の出射方向、即ちZ方向への長さをできるだけ短くして設けることが望ましい。光吸収部707のZ方向への長さをできるだけ短くすることにより、各発光部120R、120G、120Bからの光が光吸収部707に入射することを防ぎ、光吸収部707における表示光の吸収をさらに少なくすることができる。
【実施例4】
【0044】
図8は、本発明の実施例4に係る表示装置800の要部断面構成を示す。本発明の表示素子である有機EL素子は、偏光板801を有することを特徴とする。上記実施例1の表示装置100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。角度変換部110の出射面107に、λ/4位相板802が設けられている。偏光板801は、λ/4位相板802の出射側に設けられている。偏光板801は、特定の振動方向の偏光光、例えばp偏光光を選択的に透過し、特定の振動方向とは異なる他の振動方向の偏光光を吸収する偏光板である。
【0045】
R光用発光部820Rは、R光を供給する。G光用発光部820Gは、G光を供給する。B光用発光部820Bは、B光を供給する。本実施例の各発光部820R、820G、820Bは、上記各実施例とは異なり、高反射性部材により形成された反射電極を備える。出射側から表示装置800に外光が入射する場合、偏光板801は、外光のうちp偏光成分の光のみを透過する。偏光板801を透過したp偏光成分の光は、λ/4位相板802で直線偏光から円偏光に変換される。そして、円偏光に変換された光は、反射面205や各発光部820R、820G、820Bの反射電極で反射してλ/4位相板802に入射する。
【0046】
λ/4位相板802に入射する光のうち円偏光のままの光は、今度はs偏光光に変換される。s偏光光に変換されλ/4位相板802から出射した光は、偏光板801で遮蔽される。表示装置800は、偏光板801を設けることにより、出射側へ進行する外光を減少させることができる。これにより、観賞者の方向へ進行する外光を減少させ、コントラストの低下を低減することができるという効果を奏する。
【0047】
角度変換部110を進行する円偏光は、各発光部820R、820G、820Bの反射電極や反射面205での反射により位相の変化を起こす場合がある。反射電極や反射面205での反射により位相が約π/2変化した光は、特定の振動方向の偏光光となって偏光板801に入射することが考えられる。特定の振動方向の偏光光となった光は、偏光板801を透過して出射側へ進行することでコントラストの低下の原因となる場合が考えられる。
【0048】
そこで、本実施例の表示装置800は、上記実施例2の表示装置600と同様に、基準平面SSに対して所定の角度で反射面205を設けることとしても良い。金属薄膜で反射面205を構成する場合、反射面205で反射する光は、入射角に応じて位相が変化する。反射面205から他の反射面205へ進行した光は、上記実施例2の説明と同様に、角度変換部110の出射面で全反射して発光部側へ進行する。反射面205で2回反射した後発光部側へ進行する光は、再び反射面205等で反射することにより光量を減衰させることができる。以上から、偏光板801で外光を十分除去できない場合であっても、反射面205で2回反射して偏光板801に入射する光を減少させることができる。
【0049】
さらに、表示装置800の有機EL素子は、反射電極に代えて、各発光部820R、820G、820Bに低反射電極を設ける構成としても良い。外光は、出射側から直接又は反射面205で反射した後各発光部820R、820G、820Bへ入射する場合が考えられる。低反射電極を設ける構成により、各発光部820R、820G、820Bから偏光板801の方向へ反射する外光を減少させる。これにより、さらに、偏光板801を透過して観賞者の方向へ進行する外光を減少させることができる。
【0050】
なお、上記各実施例の表示装置は、表示素子として有機EL素子を用いているが、これに限られない。例えば、表示素子としては、無機EL素子や、発光ダイオード素子(LED)等の固体発光素子を用いても良い。本発明に係る表示素子を用いる表示装置は、電子機器の表示パネルに適用することができる。本発明に係る表示素子を備える表示パネルは、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、携帯型情報機器であるPDA、テレビ、カーナビゲーション等の電子機器に広く適用することができる。さらに、本発明に係る表示素子は、表示パネル以外に照明装置、電子ペーパー等に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明に係る表示素子は、明室環境において映像情報を表示する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例1に係る表示装置の要部斜視構成図。
【図2】表示装置の要部上面構成図。
【図3】表示装置の要部断面構成図。
【図4】表示装置の使用例を説明する図。
【図5】表示装置に入射した外光が入射する方向と反射する方向との説明図。
【図6】本発明の実施例2に係る表示装置の要部断面構成図。
【図7】本発明の実施例3に係る表示装置の要部断面構成図。
【図8】本発明の実施例4に係る表示装置の要部断面構成図。
【符号の説明】
【0053】
100 表示装置、104 構造体、107 出射面、109 バンク、110 角度変換部、112 基板、120R R光用発光部、120G G光用発光部、120B B光用発光部、SS 基準平面、121 低反射電極、205 反射面、401 照明器具、600 表示装置、700 表示装置、704 構造体、707 光吸収部、800 表示装置、801 偏光板、802 λ/4位相板、820R R光用発光部、820G G光用発光部、820B B光用発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準平面上に設けられ、光を供給する発光部と、
前記発光部の周辺に反射面を備え、前記反射面に入射する前記発光部からの光を出射側へ反射することで、前記発光部からの光を角度変換する角度変換部と、を有し、
前記反射面は、所定の一方向に長手方向を有することを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記反射面は、金属部材で構成され、
前記角度変換部は、前記反射面における反射により前記発光部からの光を角度変換することを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
【請求項3】
前記反射面は、内部に屈折率が約1である媒質、又は前記角度変換部を構成する部材の屈折率より小さい屈折率の媒質を有する構造体を形成し、
前記角度変換部は、前記反射面における全反射により前記発光部からの光を角度変換することを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
【請求項4】
前記反射面は、前記発光部同士を仕切る仕切部の上に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示素子。
【請求項5】
前記所定の一方向は、鉛直方向であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示素子。
【請求項6】
前記反射面と前記基準平面とがなす角度をθ(ラジアン)、前記角度変換部を構成する部材の屈折率をn、とすると、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示素子。
{asin(1/n)}/2+π/4<θ<π/2
【請求項7】
前記発光部は、前記出射側から前記発光部の方向へ進行する光の反射率が所定値以下である低反射部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示素子。
【請求項8】
前記角度変換部の前記出射側に、特定の振動方向の偏光光を選択的に透過する偏光板を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の表示素子。
【請求項9】
前記角度変換部は、前記反射面の前記出射側の位置に、光を吸収する光吸収部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−126311(P2006−126311A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311858(P2004−311858)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】