説明

表示装置、その機能制限解除方法、及びその機能制限解除プログラム

【課題】入力キーでパスワードを入力することなく迅速に機能制限を解除でき、充分なセキュリティ効果が得られる表示装置を提供する。
【解決手段】表示部11を備え、表示制限を解除できる解除用コンテンツ名称と、解除用コンテンツ名称と異なり制限を解除できない解除不能コンテンツ名称と、を列挙した制限解除用一覧を表示部11に表示させる表示制御部51と、表示部11に表示された制限解除用一覧から少なくとも一つのコンテンツ名称を選択する選択部55と、制限解除用一覧から解除用コンテンツ名称が選択された場合には、表示制限を解除し、解除不能コンテンツ名称が選択された場合には、表示制限を解除しない解除制御部56とを有する表示装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を備えた装置において制限された機能を解除する方法に関し、特に表示機能の制限を解除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示部を備えた装置(以下、表示装置と記載)で表示されるコンテンツにパスワードを設定しておき、コンテンツを開く前にパスワードの入力を要求することで、第三者によるコンテンツの閲覧を防止する機能が知られている。しかし、パスワードによる方法は文字及び/又は数字で入力されるため、一般的にキーボードを備えない表示装置では実施が困難である。又、パスワードは日常的に使用していないと忘却しやすく、長期間が経過した後に正当な使用者が表示装置で当該コンテンツを閲覧しようとしても、パスワードが思い出せないで閲覧できないことがある。
【0003】
又、表示装置の中には、表示部の画面上のカーソルを移動させる方向キーとカーソル位置の表示内容に決定する決定キーは備えるが、文字及び/又は数字の入力キーを備えていないものがある。そのような表示装置でパスワード等を入力する場合には、例えば、画面上に仮想キーボードを表示し、方向キーと決定キーで一文字ずつ入力することで文字入力は可能になる。しかし、仮想キーボードで入力する方法は、実際のキーボードによる入力方法と比較して入力時間が多く必要である。
【0004】
そのような表示装置として、例えば、表示部と方向キーと決定キーを有するデジタルカメラが知られている。そのようなデジタルカメラには、一般的にテンキー及び又は文字入力キーは設けられず、撮影された画像コンテンツが記憶される。記憶された画像コンテンツの中の一つが、予め表示制限を解除するために画像コンテンツとして設定される。その後、撮影した画像コンテンツを表示部に表示させる際には、当該デジタルカメラは、解除用を含む各画像コンテンツをサムネイル等に縮小して一覧表示し、その中から解除用の画像コンテンツが選択された場合に、画像コンテンツの表示制限を解除して閲覧を可能にするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−32542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたデジタルカメラでは、画像表示の処理時間は文字表示の処理時間よりも一般的に長いため、複数の画像コンテンツを縮小させて一覧表示させるための画像処理時間が必要である。そのためデジタルカメラでは、一覧表示に時間がかかるので表示制限を解除するまでに長い表示待ち時間が必要である。
【0007】
そこで本発明は、上記の課題を解決するために、テンキー及び/又は文字入力キー等でパスワード等の文字列を入力することなく、セキュリティ効果を高めることができ、迅速に機能制限を解除できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る表示装置は、表示部を備えた表示装置であって、表示装置の所定機能の制限を解除できる解除用固有文字列と、解除用固有文字列と異なり制限を解除できない解除不能固有文字列と、を列挙した制限解除用一覧を表示部に表示させる表示制御部と、表示部に表示された制限解除用一覧から少なくとも一つの固有文字列を選択する選択部と、制限解除用一覧から解除用固有文字列が選択された場合には、所定機能の制限を解除し、解除不能固有文字列が選択された場合には、所定機能の制限を解除しない解除制御部とを有する。
本実施態様では、表示部に多数の固有文字列が列挙された制限解除用一覧を画像コンテンツに比べて迅速に表示し、そこから解除用固有文字列を方向キーと決定キーで選択して機能制限を解除する。従って、表示装置がテンキー及び/又は文字入力キー等の数字/文字入力部でパスワード等の文字列を入力することなく、制限解除用一覧から固有文字列を選択するだけの簡単な操作で迅速に機能制限を解除でき、一覧表示された多数の固有文字列から解除用固有文字列を選択するので充分なセキュリティ効果を容易に得ることができる。本発明におけるセキュリティ効果は、第三者によるコンテンツの閲覧又は視聴等を防止する効果であり、本発明では第三者による制限解除用一覧からの解除用固有文字列の選択を困難にすることで効果を得ている。
【0009】
それに対して例えば特許文献1に記載されたデジタルカメラでは、一覧表示される各画像コンテンツは縮小される際に視認可能である必要があるので高縮小率にできない。従って、表示部に視認可能に一覧表示される画像コンテンツの数は限られる。また、一般的にデジタルカメラの表示部は比較的小さい寸法であるので、一覧表示できる画像コンテンツの数は少なく、増加させることは困難である。従って、特許文献1のデジタルカメラでは、充分なセキュリティ効果を得ることが容易ではない。
【0010】
本明細書で用いる「コンテンツ」とは、本発明の表示装置に表示される内容の総称を示す。表示される内容が画像である場合には画像コンテンツとなる。表示される内容が文字を含む文書である場合には文書コンテンツとなる。表示装置内の記憶部に、各コンテンツは個別に記憶される。
【0011】
各コンテンツには、各々を識別するために各コンテンツに対応する一文字以上の固有文字列が設定される。このコンテンツに対応する「固有文字列」は、例えば「名称」である。表示装置は、一つのコンテンツが固有文字列により指定されると、そのコンテンツを記憶部から読み出して表示する。表示装置においてコンテンツを指定する場合は、例えば、コンテンツ対応固有文字列を一覧表示させ、その中から指定する。
【0012】
フォルダは、例えば複数のコンテンツ又はコンテンツをまとめて入れて管理できる入れ物と考えることができる。尚、フォルダは、複数のコンテンツを格納できるが、コンテンツが1個や全く無い場合もある。表示装置でコンテンツを指定する場合、フォルダ内の各コンテンツの対応固有文字列が一覧表示される。その際にも、各コンテンツ対応固有文字列としてその各コンテンツの入れ物である各コンテンツ対応固有文字列を一覧表示してもよい。
【0013】
所定機能の制限とは、例えば表示装置において選択されたコンテンツの内容を表示させる機能の制限である。この制限を解除することにより、表示装置は、選択されたコンテンツを表示することができる。尚、制限される所定機能としては、表示機能に限らず、一覧表示機能とその一覧表示から選択入力する機能が制限されなければ、他の表示機能、他の入力機能、音声出力機能等を制限してもよい。
【0014】
好ましくは、請求項2に係る本発明のように、少なくとも表示部に表示させるコンテンツの内容及びコンテンツに対応するコンテンツ対応固有文字列を記憶する記憶部を有し、表示制御部は、記憶部のコンテンツ対応固有文字列を、制限解除用一覧における少なくとも解除用固有文字列として用いるようにしてもよい。
本実施態様では、解除用固有文字列として、実際に使用されているコンテンツに固有の名称等であるコンテンツ対応固有文字列を用いる。従って、表示装置の使用者は解除用固有文字列を容易に記憶できる。
【0015】
好ましくは、請求項3に係る本発明のように、記憶部は、コンテンツ対応固有文字列とは異なる仮想固有文字列を記憶し、表示制御部は、仮想固有文字列を、制限解除用一覧における解除用固有文字列及び/又は解除不能固有文字列として用いるようにしてもよい。
本実施態様では、制限解除用一覧に仮想固有文字列を用いる。従って、実際に蓄積されているコンテンツ対応固有文字列の数に影響されず、制限解除用一覧に表示される固有文字列の所定数を満足でき、それにより充分なセキュリティ効果を得ることができる。
【0016】
それに対して例えば特許文献1のデジタルカメラでは、使用開始時のような画像コンテンツの格納数が少ない場合に、一覧表示される画像コンテンツが少数になり、その少数の画像コンテンツ中から解除用固有文字列が選択される。従って、特許文献1のデジタルカメラは、第三者が偶然に解除用固有文字列を選択する確率が高くなり、充分なセキュリティ効果を得られない可能性が高くなるという問題を有している。
また、制限解除用一覧に表示する文字列を全て仮想固有文字列にすることで、仮想固有文字列とコンテンツ対応固有文字列との間の記載傾向の相違が解除用固有文字列を選択する場合のヒントにならないようにできるので、第三者が解除用固有文字列を判別できる可能性を減らし、セキュリティ効果の低下を抑制することができる。尚、仮想固有文字列は、制限解除用一覧の表示数より多く予め記憶しておく。
【0017】
好ましくは、請求項4に係る本発明のように、記憶部に記憶されているコンテンツ対応固有文字列の数が、制限解除用一覧に用いる固有文字列の数よりも少ない場合、表示制御部は、仮想固有文字列を、制限解除用一覧における解除用固有文字列、及び/又は、解除不能固有文字列として用いるようにしてもよい。
本実施態様では、表示装置が使用初期等の場合のように、実際に蓄積されているコンテンツ対応固有文字列の数が少ない場合に、制限解除用一覧における所定数の固有文字列の不足分として仮想固有文字列を用いる。仮想固有文字列は、制限解除用一覧の表示数より多く予め記憶しておく。これにより本実施態様では、実際のコンテンツ対応固有文字列数が一覧表示数よりも多くなった時と同様に、第三者による解除用固有文字列の選択を困難にでき、充分なセキュリティ効果を得ることができる。
【0018】
好ましくは、請求項5に係る本発明のように、記憶部は、所定機能の制限が設定されていないコンテンツ対応固有文字列、及び、所定機能の制限が設定されたコンテンツ対応固有文字列を記憶し、表示制御部は、記憶部のコンテンツ対応固有文字列を、制限解除用一覧における解除不能固有文字列として用い、解除制御部は、選択部により解除不能固有文字列が選択され、当該解除不能固有文字列が所定機能の制限が設定されていないコンテンツ対応固有文字列である場合、コンテンツ対応固有文字列が対応するコンテンツについての所定機能の制限を解除し、表示制御部は、当該コンテンツの内容を表示するようにしてもよい。
本実施態様では、所定機能の制限が設定されていないコンテンツ対応文字列が選択された場合、追加作業を必要としないでそのコンテンツを素早く表示することができる。
【0019】
好ましくは、請求項6に係る本発明のように、解除制御部は、選択部により解除不能固有文字列が選択され、当該解除不能固有文字列が所定機能の制限が設定されたコンテンツ対応固有文字列である場合、更に選択部により解除用固有文字列が選択されることで、コンテンツ対応固有文字列が対応するコンテンツについての所定機能の制限を解除し、表示制御部は、当該コンテンツの内容を表示するようにしてもよい。
本実施態様では、所定機能の制限が設定されたコンテンツ対応文字列が選択された場合、解除用固有文字列を追加選択することで、新たなコンテンツ対応文字列一覧画面を表示させることなくそのコンテンツを表示することができる。
【0020】
好ましくは、請求項7に係る本発明のように、解除不能固有文字列が複数のコンテンツの入れ物を示す固有文字列であって、選択部により解除用固有文字列が選択された場合、表示制御部は、入れ物に含まれるコンテンツの各対応固有文字列を一覧表示し、解除制御部は、一覧表示から選択部により選択されたコンテンツ対応固有文字列が対応するコンテンツについての所定機能の制限を解除し、表示制御部は、当該コンテンツの内容を表示するようにしてもよい。
本実施態様では、解除不能固有文字列が複数コンテンツを含む入れ物を示す例えばフォルダ等の固有文字列である場合、そのフォルダ内のコンテンツ対応固有文字列を一覧表示させて選択させることで、フォルダ等の入れ物に対して、その中のコンテンツの表示制限を解除することができる。
【0021】
好ましくは、請求項8に係る本発明のように、解除制御部は、選択部により解除不能固有文字列が選択され、当該解除不能固有文字列が所定機能の制限が設定されたコンテンツ対応固有文字列である場合、更に選択部により解除用固有文字列が選択されることで、制限解除用一覧におけるコンテンツ対応固有文字列と異なる仮想固有文字列を消去するようにしてもよい。
本実施態様では、所定機能の制限が設定されたコンテンツ対応文字列が選択された場合、解除用固有文字列を追加選択することで、制限解除用一覧画面から仮想固有文字列を消去し、そのコンテンツの選択と表示を容易にすることができる。
【0022】
好ましくは、請求項9に係る本発明のように、選択部で解除不能固有文字列が選択されて所定機能の制限を維持した回数をカウントするカウント部と、パスワード入力画面を表示部へ表示し、入力されたパスワードが予め記憶されている解除用のパスワードに一致した場合に機能制限を解除するパスワード制御部とを有し、解除制御部は、カウント部によるカウント値が所定値を超えた場合、パスワード制御部による制限の解除に変更するようにしてもよい。
本実施態様では、選択部による解除用固有文字列の選択回数をカウントし、上限が規定された複数回の選択を可能とする。そして、選択回数を所定回以上になったらパスワード入力に切り替えることで、操作ミス等や忘却で正当な使用者が選択できなくなる事態を救済すると共に、選択の上限を設けることでセキュリティ効果が低下しすぎる事態を抑制することができる。
【0023】
好ましくは、請求項10に係る本発明のように、所定機能の制限は、記憶部に記憶されたコンテンツを表示する機能を制限するようにしてもよい。
本実施態様では、コンテンツデータの内容は表示により出力される比率が高いことから、機能制限部で記憶されたコンテンツの表示機能を制限することにより、充分なセキュリティ効果を得ることができる。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項11に係る表示装置の機能制限解除方法は、表示部を備えた表示装置の機能を制限する機能制限方法であって、表示装置の所定機能の制限を解除できる解除用固有文字列と、解除用固有文字列と異なり制限を解除できない解除不能固有文字列と、を列挙した制限解除用一覧を表示部に表示させる表示制御工程と、表示部に表示された制限解除用一覧から少なくとも一つの固有文字列を選択する選択工程と、制限解除用一覧から解除用固有文字列が選択された場合には、所定機能の制限を解除し、解除不能固有文字列が選択された場合には、所定機能の制限を解除しない解除制御工程とを有する。
本実施態様の機能制限解除方法は、本発明の請求項1と同様な効果が得られる。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項12に係る表示装置の機能制限プログラムは、表示部を備えた表示装置の機能を制限する機能制限プログラムであって、表示装置の所定機能の制限を解除できる解除用固有文字列と、解除用固有文字列と異なり制限を解除できない解除不能固有文字列と、を列挙した制限解除用一覧を表示部に表示させる表示制御プログラムと、表示部に表示された制限解除用一覧から少なくとも一つの固有文字列を選択する選択プログラムと、制限解除用一覧から解除用固有文字列が選択された場合には、所定機能の制限を解除し、解除不能固有文字列が選択された場合には、所定機能の制限を解除しない解除制御プログラムとを含む。
本実施態様の機能制限解除プログラムは、本発明の請求項1と同様な効果が得られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の表示装置によれば、表示部に多数の固有文字列の一覧を迅速に表示し、そこから解除用固有文字列を選択させることで機能制限を解除するので、表示装置がテンキー及び/又は文字入力キー等でパスワード等の文字列を入力することなく迅速に機能制限を解除でき、第三者に対して充分なセキュリティ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の表示装置の外観及び表示部の画面を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態の表示装置の概略のハードウエア構成と記憶部内の機能ブロックの一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態の表示装置における主制御部内の概略の機能ブロック構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施形態の表示装置1の全体的な動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4のステップS4のコンテンツを選択する処理の詳細フローチャートである。
【図6】図6は、図5のフローチャートの一部のステップにおける表示画面の一例を示す図である。
【図7】図7は、図4のステップS6において選択されたコンテンツに解除用コンテンツ名称を設定する処理をより詳しく示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の表示装置の実施の形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態の表示装置の外観及び表示部の画面を示す図である。以下、本実施形態は、固有文字列が名称の場合であり、コンテンツを指定するために表示部の画面上のコンテンツ名称一覧からコンテンツ名称が選択される場合について説明する。
【0030】
表示装置1は、少なくとも表示装置1で実行する内容のメニュー画面、コンテンツ名称一覧及びコンテンツの内容を画面に表示できる表示部11と、表示部11上の表示から選択した内容を入力できる入力部12を備えている。
【0031】
表示部11は、コンテンツ名称一覧を表示する際には、例えば、装置内部に記憶された複数のコンテンツの名称を表示する。記憶されているコンテンツ名称が一覧に表示される数よりも多い場合は、表示部11は、コンテンツ名称を選択して一覧表示する。コンテンツ名称一覧としては、コンテンツの通常の選択に用いられる通常選択用コンテンツ名称一覧と、表示装置の機能制限を解除する際に用いられる制限解除用コンテンツ名称一覧が用いられる。
【0032】
通常選択用コンテンツ名称一覧は、一つのフォルダ内に記憶されている複数のコンテンツ名称を一覧表示する。制限解除用コンテンツ名称一覧は、一つの解除用コンテンツ名称と、複数の解除不能コンテンツ名称を一覧表示する。表示元のコンテンツ名称は一つのフォルダ内に記憶されているとは限らない。解除用コンテンツ名称及び解除不能コンテンツ名称は、表示装置内に記憶されているコンテンツ名称から選択されるか、又は仮想コンテンツ名称から選択される。仮想コンテンツ名称は、表示装置内に記憶されている実際のコンテンツ名称とは異なる名称である。
【0033】
表示部11としては、例えば電気泳動式の表示パネル等の不揮発性の表示パネル、又は液晶等の揮発性の表示パネルを用いることができる。不揮発性の表示パネルの場合は、電源供給が遮断されても最後の表示が維持されるが、揮発性の表示パネルの場合は、電源供給が遮断されると表示が消失する。
【0034】
入力部12は、少なくとも表示部11の画面上に表示されたカーソルを上下左右方向に移動させる方向キー15〜18と、カーソル位置の表示内容を入力する決定キー19を有している。上方向キー15はカーソルを上方向に移動させ、右方向キー16はカーソルを右方向に移動させ、下方向キー17はカーソルを下方向に移動させ、左方向キー18はカーソルを左方向に移動させる。例えば、表示部11の画面上に制限解除用コンテンツ名称一覧が表示されている場合には、方向キー15〜18によりカーソルを解除用コンテンツ名称に合わせてから決定キー19を押すことにより、解除用コンテンツ名称を選択することができる。
【0035】
図1に示された制限解除用コンテンツ名称一覧61は、表示装置1の制限を解除するために表示部11に表示されるコンテンツ名称一覧の一例である。本実施形態で制限される機能は、選択されたコンテンツ名称でコンテンツの内容を表示する機能である。制限解除用コンテンツ名称一覧61では、例えば、1個のコンテンツ名称が表示制限を解除できる解除用コンテンツ名称であり、残りのコンテンツ名称が表示制限を解除できないダミーコンテンツ名称である。尚、解除用コンテンツ名称は1個に限らず、複数のコンテンツ名称を解除用コンテンツ名称として用いてもよい。
【0036】
制限解除用コンテンツ名称一覧61におけるコンテンツ名称の表示数Pは、第三者が偶然に解除用コンテンツ名称を選択する確率が低くなる数に設定される。表示数Pが多くなれば第三者による選択確率は低下するのでセキュリティ効果のレベルは上がり、逆に表示数Pが少なくなればセキュリティ効果のレベルは下がる。
【0037】
図1に示したように制限解除用コンテンツ名称一覧61中のコンテンツ名称の表示数Pが30個である場合、解除用コンテンツ名称を第三者が偶然に選択する確率は1/30(約3.3%)である。セキュリティ効果のレベルを向上させるために表示数Pを100にした場合、解除用コンテンツ名称を第三者が偶然に選択する確率は1/100(1%)である。要求されるセキュリティ効果のレベルは、表示装置が使用される状況等により個々に異なるが、例えば要求されるセキュリティのレベルが高くなく簡易的なセキュリティでよい等の場合には、偶然の選択確率が1/30、及び、1/100というレベルは、実用的に充分なセキュリティ効果が得られるレベルと考えられる。逆に、表示数Pを5にした場合の、偶然の選択確率が1/5(20%)というレベルは、充分なセキュリティ効果を得るには難しいレベルと考えられる。
【0038】
図2は、本実施形態の表示装置の概略のハードウエア構成と記憶部内の機能ブロックの一例を示すブロック図である。
表示装置1の中には、ハードウエア構成として上記した表示部11及び入力部12の他に、主制御部21、外部記憶部22、外部記憶インターフェース(I/F)23、タイマ25、電源部26を有している。
【0039】
主制御部21は、外部記憶部22へのコンテンツのデータを格納を制御し、外部記憶部22に格納されたコンテンツの表示部11への出力を制御する。主制御部21は、例えば、内部バスにより接続されたCPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33を有する。
【0040】
CPU31は、表示装置1で用いられる各種処理プログラムに基づいて演算処理等を実行する演算素子である。ROM32は、表示装置1で用いられる各種処理プログラム等のソフトウエア及び処理に用いられるデータ等を記憶する記憶素子である。RAM33は、表示装置1で用いられる各種処理プログラムの作業領域であると共に、各種処理に用いられるデータ等を一時的に保持する記憶素子である。尚、主制御部21としては、上記したCPU等に限られるものではなく、本実施形態の処理を実行可能である他の集積回路を用いてもよい。
【0041】
外部記憶部22は、例えばメモリーカードのように書き換え可能である不揮発性のフラッシュメモリ等を内蔵する記憶装置であり、表示装置1に表示されるコンテンツのデータ及び名称、及び、表示装置1のセキュリティに関係するデータ等を記憶する。外部記憶I/F23は、表示装置1に外部記憶部22を機械的及び電気的に接続するインターフェースであり、外部記憶部22に記憶されたコンテンツのデータを表示装置1への読み出し等を可能にする。
【0042】
タイマ25は、表示部11に一つの画面が表示されてからの表示時間を計測し、計測した時間を主制御部21に出力する。タイマ25は、例えば、タイマ計時に連動して表示部11の画面を変更又は非表示にする機能を有している場合、又は、画面表示されてから所定時間をタイマ計時しても次の入力が無く初期画面に戻す機能を有している場合等に用いられる。
【0043】
電源部26は、例えば、電池、充電池、商用電源等からの電圧を表示装置1内の各部に適した電圧に変換して供給する。尚、電源部26に充電池を用いる場合には、充電効率を上げると共に充電池の寿命を延ばすために充電電流を制御する充電コントローラを設けてもよい。
【0044】
図3は、本実施形態の表示装置における主制御部内の概略の機能ブロック構成の一例を示すブロック図である。
図3の外部記憶部22の中には、内部の記憶ブロックとしてコンテンツ記憶部42と、解除用コンテンツ名称記憶部43と、仮想コンテンツ名称記憶部44と、パスワード記憶部45を有している。
【0045】
コンテンツ記憶部42は、外部から入力されたコンテンツのデータを記憶する。コンテンツ記憶部42に格納されるコンテンツのデータには、少なくともコンテンツの内容とコンテンツ名称が含まれる。コンテンツ記憶部42の各コンテンツのデータ中には、表示制限の有無のデータ又は解除用コンテンツ名称記憶部43を参照するか否かのデータを含ませても良い。
【0046】
解除用コンテンツ名称記憶部43は、後述する解除用コンテンツ名称設定部54によりコンテンツの表示制限を解除する解除用コンテンツ名称として設定されたコンテンツ名称を、表示制限されたコンテンツと対応させて記憶する。
【0047】
仮想コンテンツ名称記憶部44は、一つ以上の仮想コンテンツ名称を記憶する。仮想コンテンツ名称は、表示制限を解除する時に表示される制限解除用コンテンツ名称一覧61、解除用コンテンツ名称を選択する時に表示される制限解除用コンテンツ名称一覧に用いることができる。
【0048】
例えば、使用開始時の表示装置1は、通常は記憶されている実際のコンテンツ名称数が少ないと考えられる。その場合に、仮想コンテンツ名称を表示制限を解除するための制限解除用コンテンツ名称一覧に用いることができる。又、仮想コンテンツ名称は、上記した制限解除用コンテンツ名称一覧に不足分の補充用として用いられるのみでなく一覧中の全てのコンテンツ名称として用いられてもよい。更に仮想コンテンツ名称は、制限解除不能なダミーのコンテンツ名称として用いられるだけでなく、制限解除可能な解除用コンテンツ名称として用いてもよい。
【0049】
パスワード記憶部45は、表示制限の解除方法がパスワード入力に切り替わった場合のパスワードを記憶する。
【0050】
図3の主制御部21内の各機能ブロックは、例えば、図2に示した主制御部21で各種の処理プログラムが実行されることにより達成される機能を示すブロックである。
【0051】
表示制御部51は、表示部11に表示する内容を制御し、例えば表示制限を解除する前には制限解除用コンテンツ名称一覧61を表示し、表示制限が解除された後にはコンテンツの内容又は通常選択用コンテンツ名称一覧を表示する。尚、何れのコンテンツ名称一覧も、文字の表示であるので画像の表示と比較して迅速に表示することができる。
【0052】
又、表示制御部51は、コンテンツ記憶部42に記憶されたコンテンツの内、表示制限の設定されているコンテンツについては、当該コンテンツが選択されても、解除用コンテンツ名称の選択入力を受けるまでは表示を制限し、制限が解除されているコンテンツについては、コンテンツ記憶部42から当該コンテンツを読み出して、表示部11に表示する。
【0053】
又、表示制御部51は、例えば表示部11が不揮発性の場合で直前に表示されていたコンテンツを再表示させる場合の表示機能の制限をする前に、表示部11の画面からコンテンツ名称を削除する。これにより、不揮発性の表示部11の画面上にコンテンツ名称が残存することから解除用コンテンツ名称が第三者に判別しやすくなる事態を避けることができる。
【0054】
一覧生成部52は、外部記憶部22に記憶されたコンテンツ等のデータからコンテンツ名称の一覧を生成し、例えば表示制限を解除する時に制限解除用コンテンツ名称一覧61を生成し、表示制限が解除された後に通常選択用コンテンツ名称一覧を生成する。制限解除用コンテンツ名称一覧を生成する時には、一覧生成部52は、コンテンツ記憶部42に記憶されている実際のコンテンツ名称と、仮想コンテンツ名称記憶部44に記憶されている仮想コンテンツ名称とから選択するが、その際に仮想コンテンツ名称を少なくとも一つ含むようにする。又、制限解除用コンテンツ名称を選択する際には、一覧生成部52は、基本的に実際のコンテンツ名称を優先し、一覧表示に不足する分を仮想コンテンツ名称とするが、実際のコンテンツ名称と仮想コンテンツ名称とを混在させた場合に仮想コンテンツ名称が判別しやすくなる場合には、一覧表示の全てに仮想コンテンツ名称を選択しても良い。
【0055】
解除用コンテンツ名称設定部54は、制限解除用コンテンツ名称一覧からいずれか一つを表示制限の解除用コンテンツ名称として設定し、解除用コンテンツ名称記憶部43に格納する。
この場合の表示制限の解除用コンテンツ名称は、通常選択用コンテンツ名称一覧から設定してもよいが、その解除用コンテンツ名称を制限解除用コンテンツ名称一覧61に組入れる必要がある。解除用コンテンツ名称は、表示制限の設定されたコンテンツと対応させて解除用コンテンツ名称記憶部43に記憶される。その際に解除用コンテンツ名称設定部54は、コンテンツ記憶部42内の各コンテンツのデータ中に、表示制限の有無のデータ又は解除用コンテンツ名称記憶部43を参照するデータを含ませるようにしてもよい。
【0056】
選択部55は、入力部12により、表示部11に表示された制限解除用コンテンツ名称一覧61から一つのコンテンツ名称を選択する。又、選択部55は、制限解除用コンテンツ名称一覧61から上限が定められた複数回、コンテンツ名称を選択できるようにしてもよい。
【0057】
解除制御部56は、表示制御部51と一覧生成部52により制限解除用コンテンツ名称一覧61を表示させ、その中から選択部55により選択されたコンテンツ名称が解除用コンテンツ名称か否かを判断する。選択されたコンテンツ名称が解除用コンテンツ名称である場合、解除制御部56は、表示制限が設定されたコンテンツの制限を解除する。選択されたコンテンツ名称が解除用コンテンツ名称以外である場合、解除制御部56は、コンテンツの表示制限を維持する。解除制御部56は、この解除処理を後述するカウント部58で計数された回数が所定値N(Nは正の整数で例えば「3」等)に達するまで繰り返すことができる。さらに解除制御部56は、カウント部58で計数された回数が所定値Nに達した場合、解除方法を後述するパスワード制御部111によるパスワード入力で解除する方法に変更する。
【0058】
処理プログラム記憶部57は、表示装置1の各種の処理プログラムを記憶し、少なくとも上記した表示制御部51、一覧生成部52、解除用コンテンツ名称設定部54、選択部55、及び、解除制御部56の処理を主制御部21で実行させるプログラムと、表示装置1にコンテンツの内容を表示させるプログラムを格納している。
【0059】
カウント部58は、制限解除用コンテンツ名称一覧61から選択部55で解除用コンテンツ名称の選択に失敗した回数を計数する。カウント部58が計数した選択回数を通知することで、解除制御部56では、制限解除用コンテンツ名称一覧から選択する回数を所定値Nに達するまでに上限を制限できる。これにより表示装置1では、セキュリティ効果が必要以上に低減することを抑制でき、所定値Nに達した場合のパスワード入力による解除方法への変更を可能にできる。
【0060】
パスワード制御部111は、表示制御部51により表示部11へパスワード入力画面を表示させて、入力部12からパスワードを入力させ、入力されたパスワードとパスワード記憶部45に予め記憶されている解除用のパスワードとを照合し、一致した場合に機能制限を解除する。これにより表示装置1では、正当な使用者が忘却又は選択ミスにより選択回数が所定値N以上になった場合に、パスワード入力により救済することができる。パスワード解除制御部111は、カウント部58でパスワード入力回数を計数するようにしてもよい。その場合のパスワード解除制御部111は、カウント部で計数された回数が所定値M(Mは正の整数:例えば「3」等である)を超えた場合には制限を維持して解除処理を終了する。又、パスワード解除制御部111は、解除制御部56内に設けられても良い。その場合の表示装置1では、所定値M回まで再入力できることで、正当な使用者のパスワードの単純な入力エラーを救済することができる。
【0061】
このように本実施形態の表示装置1では、表示制限を解除する場合に制限解除用コンテンツ名称一覧61を表示部11に表示し、解除用コンテンツ名称が選択された場合のみ制限を解除できるので、パスワード等の文字列を入力させるよりも迅速に制限を解除できる。そして、本実施形態の表示装置1では、制限解除用コンテンツ名称一覧に仮想コンテンツ名称を含ませることができるので、実際に蓄積されているコンテンツ数が少ない状態でも第三者に対する充分なセキュリティ効果を得ることができる。
【0062】
図4は、本実施形態の表示装置1の全体的な動作を示すフローチャートである。
表示装置1は、不図示の電源スイッチを使用者によりオンされると、各部に異常があるか否かの自己診断を行い、異常がなければ起動させ(S1)、最初のメニュー画面を表示部11に表示する(S2)。メニュー画面には、選択可能な項目として「1.コンテンツ選択」、「2.解除用コンテンツ名称の設定」、「3.その他」の3項目が表示される。入力部12によりメニュー画面から一項目が選択され(S3)、選択された処理が実行される。以下、上述した3つの項目に対応する処理を、各項目に分けて説明する。
【0063】
(1)「1.コンテンツ選択」が選択された場合には、コンテンツの選択処理が実行されて表示部11にコンテンツ選択用の一覧画面が表示され、その中から表示させるコンテンツが選択される(S4)。しかし、選択されたコンテンツに表示制限が設定されている場合には、先に制限解除用コンテンツ名称一覧画面が表示され、解除用コンテンツ名称が選択されることにより制限が解除されてコンテンツの内容を表示することができる(S5)。この解除用コンテンツ名称の設定処理については図6を用いて後述する。コンテンツの表示が終了すると、再度、そのコンテンツに対する表示が制限され、ステップS2に戻ってメニュー画面が表示される。
【0064】
(2)「2.解除用コンテンツ名称設定」が選択された場合には、解除用コンテンツ名称の選択用の一覧画面が表示部11に表示され、その中から制限を解除するためのコンテンツ名称が選択されることで、そのコンテンツに対して解除用コンテンツ名称が設定される(S6)。この解除用コンテンツ名称を設定する処理については図7を用いて詳しく後述する。尚、本実施形態ではコンテンツ記憶部42に記憶されたコンテンツに表示制限を設定する場合に、同様な一覧画面を表示して選択したコンテンツに表示制限を設定することができる。
【0065】
(3)「3.その他」が選択された場合には、データ転送等のその他の処理が実施される(S7)。外部機器からコンテンツのデータを表示装置1に転送する場合、表示装置1は、外部機器に対してコンテンツの転送を要求し、コンテンツが転送されてきたら受信して外部記憶部22に格納する。
【0066】
図5は、図4のステップS4のコンテンツを選択する処理の詳細フローチャートである。図6は、図5のフローチャートの一部のステップにおける表示画面の一例を示す図である。
表示制御部51は、通常選択用コンテンツ名称一覧を生成して表示部11に表示する(S11)。その後、解除制御部56では、表示された通常選択用コンテンツ名称一覧から一つのコンテンツ名称が選択部55で選択された(S12)ことを受けて、その選択されたコンテンツ名称のコンテンツに表示制限が設定されているか否かを判断する(S13)。選択されたコンテンツに表示制限が設定されていない場合(S13:NO)には、表示制御部51は、ステップ(S5)に進んで、選択されたコンテンツの内容をコンテンツ内容記憶部93から読み出して表示部11に表示する。
【0067】
選択されたコンテンツに表示制限が設定されている場合(S13:YES)には、表示制御部51は、コンテンツ名称記憶部91から蓄積されているコンテンツ名称数Q1を検出する(S14)と共に、更に表示装置11に表示される制限解除用コンテンツ名称一覧画面61の表示コンテンツ名称数P1を検出する(S15)。表示制御部51は、蓄積されたコンテンツ名称数Q1が表示コンテンツ名称数P1よりも多いか否かを判断し(S16)、コンテンツ名称数Q1が表示コンテンツ名称数P1よりも多い場合(S16:YES)には、解除用コンテンツ名称を含むP1個のコンテンツ名称をコンテンツ名称記憶部91から読み出す(S17)。
【0068】
コンテンツ名称数Q1が表示コンテンツ名称数P1よりも多くない場合(S16:NO)には、表示制御部51は、解除用コンテンツ名称を含むコンテンツ名称数Q1個のコンテンツ名称をコンテンツ名称記憶部91から読み出すと共に(S18)、仮想コンテンツ名称記憶部44から(表示コンテンツ名称数P1−コンテンツ名称数Q1)個の仮想コンテンツ名称を読み出す(S19)。
【0069】
表示制御部51は、解除用コンテンツ名称を含むP1個のコンテンツ名称を用いて、制限解除用コンテンツ名称一覧61を作成して、表示部11に表示する(S20)(図1及び図6の最上図:S20の画面参照)。その後、解除制御部56では、表示された制限解除用コンテンツ名称一覧から一つのコンテンツ名称が選択部55で選択された(S21)ことを受けて、その選択されたコンテンツ名称が解除用コンテンツ名称であるか否かを判断する(S22)。
【0070】
選択されたコンテンツ名称が解除用コンテンツと一致する場合(S22:YES)には、表示制御部51は、通常選択用コンテンツ名称一覧から選択されたコンテンツの表示制限を解除し(S26)、内容をコンテンツ内容記憶部93から読み出して表示部11に選択されたコンテンツの内容画面81(図6最下図:S5の画面参照)を表示する(S5)。
【0071】
選択されたコンテンツ名称が解除用コンテンツと一致しない場合(S22:NO)には、解除制御部56は、ステップS21で制限解除用コンテンツ名称一覧から一つのコンテンツ名称が選択部55で選択された回数が所定回数Nに達したか否かを判断する(S23)。
【0072】
解除用コンテンツ名称の選択回数が所定値Nに達しない場合(S23:YES)には、解除制御部56は、再度、ステップS15以降の処理を繰り返し、制限解除用コンテンツ名称一覧画面61の表示とそこからの選択が行われる。その際には、ステップ15では、選択毎に表示させるコンテンツ名称数P1を変更したり、ステップS20では、選択毎に解除用コンテンツ名称以外のコンテンツ名称について、一部入れ替え又は並び替え等を実施してもよい。並び替えは、例えば、表示数P1より多く読み出したコンテンツ名称から予め定めた所定ルールに基づくか、又は、乱数表等を用いて実施すればよい。このように選択毎に表示内容を変化させることで、セキュリティレベルの低下を抑制することができる。
【0073】
選択されたコンテンツ名称が解除用コンテンツ名称と一致しない回数が所定値Nに達した場合(S23:NO)には、解除制御部56は、表示制御部51によりパスワード入力画面71を表示させる(S24)(図6の中央図:S24の画面参照)。
【0074】
パスワード入力画面71においては、中央のパスワード入力枠72内に、下側のソフトウエアキーボード73と選択部55とによりパスワードの入力が可能である。パスワード制御部111は、入力されたパスワードが予めパスワード記憶部45に記憶されているパスワードと一致するか否かを判断する(S25)。
【0075】
入力されたパスワードが予め記憶されているパスワードと一致する場合(S25:YES)には、パスワード制御部111は、ステップ(S26)に進んで選択されたコンテンツの表示制限を解除し、表示制御部51は、選択されたコンテンツの内容をコンテンツ記憶部42から読み出して表示部11に表示する(S5)。
【0076】
入力されたパスワードが予め記憶されているパスワードと一致しない場合(S25:NO)には、パスワード制御部111は、選択されたコンテンツの表示制限を解除しないで処理を終了する。その際に、実際の使用者であっても、パスワード入力にエラーが発生する可能性があるので、パスワードの入力回数を、ステップS23と同様に制限することで複数回の入力を可能としてもよい。
【0077】
図7は、図4のステップS6において選択されたコンテンツに解除用コンテンツ名称を設定する処理をより詳しく示すフローチャートである。尚、表示装置1の仮想コンテンツ名称記憶部44には、予め制限解除用コンテンツ名称一覧に必要な数より多い仮想コンテンツ名称が入力されていることとする。
【0078】
解除制御部56は、表示制御部51により通常選択用コンテンツ名称一覧を生成して表示部11に表示させる(S31)。その後、解除制御部56では、表示された通常選択用コンテンツ名称一覧から一つのコンテンツ名称が選択部55で選択された(S32)ことを受けて、そのコンテンツを解除用コンテンツ名称として決定するか否かを判断する(S33)。解除用コンテンツ名称が決定しない場合(S33:NO)には、S31に戻って再度一覧を表示させる。
【0079】
解除制御部56は、解除用コンテンツ名称が決定した場合(S33:YES)には、制限解除用コンテンツ名称設定用コンテンツ名称一覧(以降、設定用一覧と表示)に表示させる全てのコンテンツ名称を仮想コンテンツ名称にするか否かを判断する(S34)。設定用一覧に表示させる全コンテンツ名称を仮想コンテンツ名称にする場合(S34:YES)には、解除制御部56は、表示制御部51により表示させる数の仮想コンテンツ名称を仮想コンテンツ名称記憶部44から読み出して(S35)、設定用一覧を作成して表示する(S42)。
【0080】
設定用一覧に表示させる全コンテンツ名称を仮想コンテンツ名称にしない場合(S34:NO)には、解除制御部56は、表示制御部51により、コンテンツ名称記憶部91から蓄積されているコンテンツ名称数Q2を検出する(S36)と共に、更に表示装置11に表示される設定用一覧の表示コンテンツ名称数P2を検出する(S37)。表示制御部51は、蓄積されたコンテンツ名称数Q2が表示コンテンツ名称数P2よりも多いか否かを判断し(S38)、コンテンツ名称数Q2が表示コンテンツ名称数P2よりも多い場合(S38:YES)には、P2個のコンテンツ名称をコンテンツ名称記憶部91から読み出す(S39)。
【0081】
コンテンツ名称数Q2が表示コンテンツ名称数P2よりも多くない場合(S38:NO)には、表示制御部51は、コンテンツ名称数Q2個のコンテンツ名称をコンテンツ名称記憶部91から読み出すと共に(S40)、仮想コンテンツ名称記憶部44から(表示コンテンツ名称数P2−コンテンツ名称数Q2)個の仮想コンテンツ名称を読み出す(S41)。
【0082】
表示制御部51は、P2個のコンテンツ名称を用いて、設定用一覧を作成して、表示部11に表示する(S42)。その後、解除用コンテンツ名称設定部54では、表示された設定用一覧から一つのコンテンツ名称が選択された(S43)ことを受けて、その選択されたコンテンツ名称をステップS32で選択されたコンテンツ名称と関連付けて解除用コンテンツ名称記憶部43に格納する(S44)。このステップS44の処理は、ステップS32で選択されたコンテンツ名称に対して、そのコンテンツ名称を記憶する記憶部にフラグ等の何らかの情報を追加して解除用であることがわかるようにしてもよい。
【0083】
尚、本実施形態では、コンテンツ記憶部42から読み出されるコンテンツは、既に表示制限が設定されているものとしているが、表示制限が設定されていないコンテンツに表示制限を設定する場合にも、上記と同様に一覧画面から選択したコンテンツに対して表示制限を設定することができる。
【0084】
又、外部記憶部22へのコンテンツ及びコンテンツ名称の入力方法は、例えば、外部記憶装置2をパーソナルコンピュータ等に接続して入力した後、表示装置1の外部記憶I/F23に接続すればよい。あるいは、不図示の通信インターフェースに接続して外部機器から入力させてもよい。
【0085】
このように本実施形態の表示装置1によれば、表示部に多数の固有文字列の一覧を迅速に表示し、そこから解除用固有文字列を選択させることで機能制限を解除するので、表示装置がテンキー及び/又は文字入力キー等でパスワード等の文字列を入力することなく迅速に機能制限を解除でき、第三者に対して充分なセキュリティ効果を得ることができる。
【0086】
又、本実施形態の表示装置1によれば、制限解除用コンテンツ名称一覧に仮想コンテンツ名称を必要に応じた数だけ含ませることができるので、表示装置の使用初期等のように、実際に蓄積されているコンテンツ格納数の少ない状態でも充分なセキュリティ効果が得ることができる。
【0087】
又、本実施形態の表示装置1では、選択回数を記憶して所定値N以内に制限できるので、制限解除用コンテンツ名称一覧からの選択回数制限によるセキュリティ効果を得ることができ、正当な使用者が忘却又は選択ミスにより選択回数が所定値N以上になった場合に、パスワードで救済することができる。
【0088】
又、本実施形態の表示装置1では、電源遮断時に表示が維持される不揮発性の表示装置であっても、コンテンツの表示部11の画面からコンテンツ名称を削除するので、本発明のセキュリティ効果を得ることができる。
【0089】
又、本実施形態では、本発明を選択されたコンテンツの内容表示についての制限とその解除に用いているが、パスワード画面が適用可能な用途であれば、他の用途にも適用することができる。例えば、電源オン時の初期画面から次の表示部11の画面に変わる場合、パーソナルコンピュータ等の外部の装置と通信接続する画面を表示させる場合、メモリーカード等の外部記憶装置にコンテンツを転送する画面を表示させる場合等である。
【0090】
又、本実施形態は、本発明を電気泳動式の表示パネル等を備える不揮発性の表示装置に適用できるが、その他にも通常選択用コンテンツ名称一覧を表示可能な装置であれば、他の表示方式の表示装置、あるいは、表示画面を備える他の装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 表示装置、
2 外部記憶装置、
3 外部機器、
11 表示部、
12 入力部、
15 上方向キー、
16 右方向キー、
17 下方向キー、
18 左方向キー、
19 決定キー、
21 主制御部、
22 外部記憶部、
23 外部記憶インターフェース(I/F)、
24 通信インターフェース(I/F)、
25 タイマ、
26 電源部、
31 中央演算素子(CPU)、
32 読み出し専用メモリ(ROM)、
33 ランダムアクセスメモリ(RAM)、
42 コンテンツ記憶部、
43 解除用コンテンツ名称記憶部、
44 仮想コンテンツ名称記憶部、
45 パスワード記憶部、
51 表示制御部、
52 一覧生成部、
54 解除用コンテンツ名称設定部、
55 選択部、
56 解除制御部、
57 処理プログラム記憶部、
58 カウント部、
61 制限解除用コンテンツ名称一覧、
71 パスワード入力画面、
72 パスワード入力枠、
73 ソフトウエアキーボード、
81 選択されたコンテンツの内容画面、
111 パスワード制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備えた表示装置であって、
前記表示装置の所定機能の制限を解除できる解除用固有文字列と、前記解除用固有文字列と異なり前記制限を解除できない解除不能固有文字列と、を列挙した制限解除用一覧を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示された前記制限解除用一覧から少なくとも一つの固有文字列を選択する選択部と、
前記制限解除用一覧から前記解除用固有文字列が選択された場合には、前記所定機能の制限を解除し、前記解除不能固有文字列が選択された場合には、前記所定機能の制限を解除しない解除制御部と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
少なくとも前記表示部に表示させるコンテンツの内容及び前記コンテンツに対応するコンテンツ対応固有文字列を記憶する記憶部を有し、
前記表示制御部は、前記記憶部の前記コンテンツ対応固有文字列を、前記制限解除用一覧における少なくとも前記解除用固有文字列として用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記コンテンツ対応固有文字列とは異なる仮想固有文字列を記憶し、
前記表示制御部は、前記仮想固有文字列を、前記制限解除用一覧における前記解除用固有文字列及び/又は解除不能固有文字列として用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記記憶部に記憶されている前記コンテンツ対応固有文字列の数が、前記制限解除用一覧に用いる固有文字列の数よりも少ない場合、
前記表示制御部は、前記仮想固有文字列を、前記制限解除用一覧における前記解除用固有文字列、及び/又は、解除不能固有文字列として用いる
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記所定機能の制限が設定されていない前記コンテンツ対応固有文字列、及び、前記所定機能の制限が設定された前記コンテンツ対応固有文字列を記憶し、
前記表示制御部は、前記記憶部の前記コンテンツ対応固有文字列を、前記制限解除用一覧における前記解除不能固有文字列として用い、
前記解除制御部は、
前記選択部により前記解除不能固有文字列が選択され、当該解除不能固有文字列が前記所定機能の制限が設定されていない前記コンテンツ対応固有文字列である場合、前記コンテンツ対応固有文字列が対応するコンテンツについての所定機能の制限を解除し、
前記表示制御部は、当該コンテンツの内容を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記解除制御部は、
前記選択部により前記解除不能固有文字列が選択され、当該解除不能固有文字列が前記所定機能の制限が設定された前記コンテンツ対応固有文字列である場合、
更に前記選択部により前記解除用固有文字列が選択されることで、前記コンテンツ対応固有文字列が対応するコンテンツについての所定機能の制限を解除し、
前記表示制御部は、当該コンテンツの内容を表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記解除不能固有文字列が複数のコンテンツの入れ物を示す固有文字列であって、前記選択部により前記解除用固有文字列が選択された場合、
前記表示制御部は、前記入れ物に含まれる前記コンテンツの各対応固有文字列を一覧表示し、
前記解除制御部は、前記一覧表示から前記選択部により選択された前記コンテンツ対応固有文字列が対応するコンテンツについての前記所定機能の制限を解除し、
前記表示制御部は、当該コンテンツの内容を表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記解除制御部は、
前記選択部により前記解除不能固有文字列が選択され、当該解除不能固有文字列が前記所定機能の制限が設定された前記コンテンツ対応固有文字列である場合、
更に前記選択部により前記解除用固有文字列が選択されることで、制限解除用一覧における前記コンテンツ対応固有文字列と異なる仮想固有文字列を消去する
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
前記選択部で前記解除不能固有文字列が選択されて前記所定機能の制限を維持した回数をカウントするカウント部と、
パスワード入力画面を前記表示部へ表示し、入力されたパスワードが予め記憶されている解除用のパスワードに一致した場合に前記機能制限を解除するパスワード制御部と
を有し、
前記解除制御部は、前記カウント部によるカウント値が所定値を超えた場合、前記パスワード制御部による制限の解除に変更する
ことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記所定機能の制限は、前記記憶部に記憶されたコンテンツを表示する機能を制限する
ことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の表示装置。
【請求項11】
表示部を備えた表示装置の機能を制限する機能制限方法であって、
前記表示装置の所定機能の制限を解除できる解除用固有文字列と、前記解除用固有文字列と異なり前記制限を解除できない解除不能固有文字列と、を列挙した制限解除用一覧を前記表示部に表示させる表示制御工程と、
前記表示部に表示された前記制限解除用一覧から少なくとも一つの固有文字列を選択する選択工程と、
前記制限解除用一覧から前記解除用固有文字列が選択された場合には、前記所定機能の制限を解除し、前記解除不能固有文字列が選択された場合には、前記所定機能の制限を解除しない解除制御工程と
を有することを特徴とする表示装置の機能制限方法。
【請求項12】
表示部を備えた表示装置の機能を制限する機能制限プログラムであって、
前記表示装置の所定機能の制限を解除できる解除用固有文字列と、前記解除用固有文字列と異なり前記制限を解除できない解除不能固有文字列と、を列挙した制限解除用一覧を前記表示部に表示させる表示制御プログラムと、
前記表示部に表示された前記制限解除用一覧から少なくとも一つの固有文字列を選択する選択プログラムと、
前記制限解除用一覧から前記解除用固有文字列が選択された場合には、前記所定機能の制限を解除し、前記解除不能固有文字列が選択された場合には、前記所定機能の制限を解除しない解除制御プログラムと
を含むことを特徴とする表示装置の機能制限プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−161604(P2010−161604A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2134(P2009−2134)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】