表示装置、コンピュータプログラム、記録媒体及び温度推定方法
【課題】自装置の周辺の雰囲気温度を正確に推定することができる表示装置、コンピュータプログラム、記録媒体及び温度推定方法を提供する。
【解決手段】パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20は、表示装置100の異なる位置に設けてある。制御部30は、パネル温度センサ10で検出する温度Tpと雰囲気温度Teとの第1温度差ΔTp、及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tsと雰囲気温度Teとの第2温度差ΔTsの相関関係を示す相関関係情報を特定する。制御部30は、特定した相関関係情報、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出した温度Tp、Tsに基づいて、雰囲気温度Teを推定する。
【解決手段】パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20は、表示装置100の異なる位置に設けてある。制御部30は、パネル温度センサ10で検出する温度Tpと雰囲気温度Teとの第1温度差ΔTp、及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tsと雰囲気温度Teとの第2温度差ΔTsの相関関係を示す相関関係情報を特定する。制御部30は、特定した相関関係情報、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出した温度Tp、Tsに基づいて、雰囲気温度Teを推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置の周辺の雰囲気温度を推定することができる表示装置、表示装置の周辺の雰囲気温度を推定するためのコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを記録した記録媒体及び温度推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどの表示パネルを備える表示装置は、液晶パネルの画素毎に光透過率を変化させて、背面側に設けられたバックライトからの光の透過量を制御することで画像の階調表示を行なっている。また、液晶パネルのガンマ特性には個体差があるため、表示装置の製造工程において表示装置毎に固有の階調特性を補正し、所望の階調特性を実現することが行なわれている。
【0003】
しかし、液晶パネルのガンマ特性は、表示パネル温度に応じて変動する。表示パネル温度とは、装置自身の回路発熱に雰囲気温度を加えたものであるため、表示装置の製造工程時と実際にユーザが表示装置を使用する際の装置周辺の雰囲気温度が異なる場合には、表示パネルのガンマ特性が異なってしまい、所望の階調表現又は色味が再現されないおそれがある。いかなる表示パネル温度にあっても階調表現や色再現性を維持するため、階調特性等の温度補償が従来から行われている。ただし、表示パネル温度を厳密に測定するにはパネル内部に温度センサを設けるなどの表示パネルの加工が必要となり、大幅なコストアップを招く。このため従来は、表示パネル外で簡易的に測定することが可能な温度を用いて、階調特性等の温度補償が行われていた。
【0004】
そこで、液晶表示装置の外装部の外側の外気温度を検出する外気温検出部と、外装部の内側の内部温度を検出する内部温度検出部とを備え、それぞれの温度検出部で検出した外気温度と内部温度との温度差に応じた駆動電圧を出力する液晶駆動回路を備えた表示装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−253946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置にあっては、外装部の外側に温度検出部を設け、外気温を検出することを前提とするものの、実際には表示装置の内部で発生する熱(例えば、表示パネル用の光源であるバックライト等による発熱)の影響を受けるため、外気温を正確に検出することは困難である。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサなどの温度検出部を設けることは装置の設計上あるいは使用上現実的ではなく実際には実現することができない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、自装置の周辺の雰囲気温度を正確に推定することができる表示装置、表示装置の周辺の雰囲気温度を推定するためのコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを記録した記録媒体及び温度推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る表示装置は、筐体内に表示パネルを備える表示装置において、それぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサと、該温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定する特定手段と、該特定手段で特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定する推定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る表示装置は、第1発明において、前記表示パネル用のバックライトを備え、前記特定手段は、前記温度センサで検出する温度と所定の閾値温度との比較から異なる相関関係情報を特定し、前記推定手段は、前記特定手段で特定した各相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る表示装置は、第2発明において、前記バックライトの光量を設定する設定手段を備え、前記特定手段は、前記設定手段で設定した光量に対応する前記所定の閾値温度を用いて相関関係情報を特定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係るコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体は、前述の発明に係るコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る温度推定方法は、筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定する温度推定方法において、前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
第1発明、第4発明、第5発明及び第6発明にあっては、表示装置のそれぞれ異なる位置に2以上の温度センサを設ける。温度センサは、表示パネルの近傍に設置してもよく、あるいは表示パネルから離隔した位置に設置してもよい。温度センサはそれぞれ、熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なる位置に配置させることが好ましい。熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なるとは、例えば、同じ時間経過に対して温度上昇が異なるような場合をいう。温度センサは最低でも2個必要とする。
【0015】
特定手段は、温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定する。相関関係情報の特定は、例えば、相関関係情報を予め記憶手段に記憶しておく構成でもよく、あるいは、相関関係を表す式を用いて算出する構成でもよい。例えば、第1温度センサと第2温度センサの二つの温度センサを設け、第1温度センサで検出する温度Tpと雰囲気温度Teとの第1温度差ΔTpとし、第2温度センサで検出する温度Tsと雰囲気温度Teとの第2温度差ΔTsとした場合について説明する。相関関係は、時間経過とともに、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの間の関係を表すものであり、第2温度差ΔTsと(ΔTp−ΔTs)との関係式である。第2温度差ΔTsは、温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差であり、(ΔTp−ΔTs)は温度Tpと温度Tsとの温度差である。また、雰囲気温度とは、自装置の周辺の雰囲気温度であり、自装置の発熱による温度上昇等の影響を受けない温度である。すなわち、自装置が屋内にあれば室内温度とほぼ等しい温度となり、自装置が屋外にあれば室外温度とほぼ等しい温度となる。
【0016】
推定手段は、特定した相関関係情報、温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度Teを推定する。例えば、温度Tp及び温度Tsが検出することができれば、(ΔTp−ΔTs)を求めることができ、(ΔTp−ΔTs)及び温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差ΔTsの相関関係により、雰囲気温度Teを推定することができる。これにより、表示パネルの特性(ガンマ特性)に影響を及ぼす雰囲気温度を正確に推定することができる。また、相関関係は、時間経過と共に変化する雰囲気温度に対する温度上昇であるので、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、回路発熱及び対流熱のない表示装置において、電源をオンした直後から一定時間の状態(熱的に遷移状態)にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサを設ける必要もない。
【0017】
第2発明にあっては、表示パネル用のバックライトを備え、2以上の温度センサは、それぞれ異なる位置に設けてある。例えば、バックライトの近傍の異なる位置に設ける。バックライトの近傍は、バックライトと接触していてもよく、あるいはバックライトに近接していてもよく、バックライトの発熱(伝導熱又は輻射熱)の影響を受ける範囲内にあればよい。表示パネルが収容された筐体内の温度(表示パネルの特性に影響を与える温度)は、雰囲気温度、主要な発熱部品であるバックライトの発熱(例えば、熱伝導または熱輻射など)及び筐体内の対流に起因する。表示装置の動作開始時(例えば、電源をオンにした直後)は、筐体内の対流は微小であり、またバックライトにより発熱の影響も微小であるので、第1温度センサ及び第2温度センサで検出する温度Tp、Tsは同一と見なすことができる。
【0018】
その後、バックライトの発熱により、第1温度センサ及び第2温度センサで検出する温度Tp、Tsは上昇するが、第1温度センサ及び第2温度センサは、バックライトの近傍の異なる位置に設けてあるので、時間経過に伴う温度上昇(Tp−Te)、(Ts−Te)が異なり、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる。すなわち、回路発熱及び対流熱のない表示装置において、電源オン直後から第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる状態は、バックライトからの熱伝導または熱輻射による影響が大きく、筐体内の対流の影響は無視できる状態であり、いわゆる遷移状態の期間(第1段階とも称する)である。
【0019】
第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsがある程度上昇した状態以降は、バックライトからの熱伝導または熱輻射による影響だけでなく筐体内の対流による影響で熱的に安定した状態、いわゆる熱平衡状態(第2段階とも称する)となる。かかる熱平衡状態では、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの相関関係が第1段階の場合と異なり、筐体内の温度が安定状態となる結果、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等とみなすことができる。
【0020】
特定手段は、異なる相関関係情報からひとつを特定するものであって、例えば、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより小さい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる相関関係情報を特定し、差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより大きい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等の相関関係情報を特定する。所定の閾値温度ΔTthは、第2段階(熱平衡状態)が始まる温度を示す。推定手段は、特定された各相関関係情報を用いて雰囲気温度を推
定するものであって、例えば、差分温度(ΔTp−ΔTs)が閾値温度ΔTthより大であるか小であるかに応じて、特定された各相関関係情報を切り替えて雰囲気温度を推定する。
【0021】
これにより、例えば、回路発熱及び対流熱のない表示装置において、電源オン直後から一定時間の熱的に遷移状態にある場合でも、熱的に安定状態(熱平衡状態)にある場合でも、雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【0022】
第3発明にあっては、バックライトの光量を設定する設定手段を備える。設定手段は、例えば、光量を設定するための操作パネル又は操作スイッチ等であり、光量を設定することにより、バックライトへ出力される駆動信号を変更し、バックライトの駆動量を変更して、バックライトから発する光、すなわち、表示パネルの輝度を調整することができる。バックライトの駆動信号としては、例えば、パルス信号やDC信号などがあり、前者はパルスのデューティ比(PWM値)を、後者はDCレベルを変更することが駆動量の変更に相当する。
【0023】
特定手段は、設定した光量に対応する閾値温度と、当該閾値温度に対応する相関関係情報を特定する。例えば、設定した光量に対応する閾値温度ΔTthを求めるとともに、当該閾値温度ΔTthに対応する第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を求めるための算出回路を用いることができる。あるいは、バックライトの光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthと、閾値温度毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報を複数記憶しておくこともできる。閾値温度ΔTthは、第2段階が始まる温度であり、かかる温度は、バックライトの発熱量に依存する。バックライトの発熱量は、バックライトの駆動量、例えば、バックライトへ出力される駆動信号のデューティ比(PWM値)に対応するので、バックライトの光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthを予め対応付けて決めておき、さらに、閾値温度ΔTth毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報を予め定めておく。
【0024】
推定手段は、設定した光量に対応する相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。すなわち、設定した光量に対応する閾値温度ΔTthを決定し、決定した閾値温度ΔTthに対応する相関関係情報を決定し、決定した相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。これにより、バックライトの光量を変更した場合でも、雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、電源オン開始後の熱的に遷移状態にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態の表示装置の要部外観を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態の表示装置の要部外観を示す側面図である。
【図3】本実施の形態の表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態の表示装置内の温度変化の一例を示す説明図である。
【図5】本実施の形態の表示装置起因温度の相関関係の一例を示す説明図である。
【図6】相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する一例を示す概念図である。
【図7】相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する他の例を示す概念図である。
【図8】バックライトへ出力される駆動信号のデューティ比と閾値温度ΔTthとの関係の一例を示す説明図である。
【図9】スイッチ基板温度センサをバックライトの発熱の影響を直接受けない位置に設けた場合の表示装置内の温度変化の一例を示す説明図である。
【図10】表示パネルのガンマ特性の温度依存の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る表示装置、コンピュータプログラム、記録媒体及び温度推定方法を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の表示装置100の要部外観を示す斜視図であり、図2は本実施の形態の表示装置100の要部外観を示す側面図である。
【0028】
表示装置100は、合成樹脂製又は金属製の筐体1に、表示パネル2、バックライト3、回路基板等(不図示)などを収容する。バックライト3は、表示パネル2の背面側に配置され、例えば、CCFL(ColdCathode Fluorescent Lamp)又はLED(Light Emitting Diode)等の光源、光源からの光を反射又は拡散して表示パネル1の背面に照射するための光学部材などで構成される。筐体1の前面には、操作スイッチ4を設けてあり、操作スイッチ4にはスイッチ基板(不図示)を接続してある。筐体1の背面には、スタンド5が固定され、机上又は床上などに対して表示面が略垂直又は所望の角度で傾斜させた状態となるように支持される。
【0029】
表示パネル2の近傍には第1温度センサとしてのパネル温度センサ10を設けてある。パネル温度センサ10はパネル近傍に設けられるため、検出温度は表示パネル自身の温度ではなく、表示装置起因温度に雰囲気温度が加わった温度を検出する。また、操作スイッチ4に接続されたスイッチ基板には第2温度センサとしてのスイッチ基板温度センサ20を設けてある。すなわち、スイッチ基板温度センサ20は、パネル温度センサ10と異なる位置に設け、熱平衡状態に至るまでの温度変化がパネル温度センサ10で検出する温度変化と異なるようにしてある。
【0030】
表示パネル2の近傍とは、例えば、表示パネル2の温度(例えば、表示パネル2内部の温度)にできるだけ近い温度を検出することができるように表示パネル2から離隔しない範囲内の位置である。表示パネル2の近傍は、表示パネル2と接触していてもよく、あるいは表示パネル2に近接していてもよく、表示パネル2の発熱(伝導熱又は輻射熱)の影響を受ける範囲内にあればよい。なお、スイッチ基板温度センサ20は、表示パネル2の近傍に設置してもよく、表示パネル2から離隔した位置に設置してもよい。また、熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なるとは、例えば、同じ時間経過に対して温度上昇が異なるような場合をいう。温度センサは2個以上設けるようにしてもよい。
【0031】
図1及び図2の例では、より具体的には、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20は、バックライト3の近傍の異なる位置に設けてある。バックライト3の近傍とは、バックライト3と接触した状態でもよく、あるいはバックライト3に近接した状態でもよく、バックライト3の発熱(伝導熱又は輻射熱)の影響を受ける範囲内にあればよい。なお、図1及び図2では、筐体内に温度センサを設けるようにしてあるが、これに限定されず、表示パネル2の発熱の影響を受ける範囲であれば筐体外に設けるようにしてもよい。
【0032】
図3は本実施の形態の表示装置100の構成の一例を示すブロック図である。表示装置100は、制御部30、メモリ17、信号入力部11、前段LUT(ルックアップテーブル)12、色制御部13、ムラ補正部14、後段LUT(ルックアップテーブル)15、表示パネル駆動部16、バックライト3、バックライト駆動部18、表示パネル2、操作スイッチ4、第1温度センサとしてのパネル温度センサ10、第2温度センサとしてのスイッチ基板温度センサ20などを備えている。また、表示装置100は、信号線を介して外部のPC(パーソナルコンピュータ)200に接続されている。
【0033】
信号入力部11は、PC200などの外部機器にケーブルを介して接続される接続端子を有しており、PC200から入力されるビデオ信号を取得する。信号入力部11は、取得したビデオ信号を前段LUT12へ出力する。なお、PC200から信号入力部11へ入力されるビデオ信号は、アナログ信号又はデジタル信号のいずれであってもよい。以下の実施例では、カラービデオ信号を用いる構成であるが、これに限定されるものではなく、モノクロビデオ信号を用いる構成でもよい。この場合には、色制御部などカラービデオ信号のための構成は不要となる。
【0034】
前段LUT12は、例えば、R(赤)G(緑)B(青)それぞれに対応したLUTを備え、入力されたビデオ信号により表現される入力階調と、その入力階調に対応する表示パネル1(より正確には、後段LUT15)への入力レベル(出力値)とが関連付けられている。前段LUT12は、例えば、入力階調が8ビットで構成され、0〜255の256階調それぞれに対応する256個のエントリに、例えば、14ビットで表される出力階調(出力値)を格納してあり、ユーザにより階調特性が設定可能(例えば、ガンマ値の設定が可能)に構成してあり、所望の階調特性を実現することができる。
【0035】
色制御部13は、制御部30の制御により、前段LUT12から出力された出力値(出力階調)に対して、例えば、R、G、B成分に対応する変換係数で構成される3×3マトリクス(色変換マトリクスD)により、特定の色の成分を強めたり、あるいは弱めたりすることにより、色調整(色制御)を行う。
【0036】
ムラ補正部14は、制御部30の制御により、色制御部13から出力された出力階調(出力値)に対して、ムラ補正を行い、補正後の出力階調(出力値)を後段LUT15へ出力する。
【0037】
後段LUT15は、階調補正手段としての機能を有し、例えば、R(赤)G(緑)B(青)それぞれに対応したLUTを備え、表示パネル2に異なる階調特性を理想的なガンマ値(後段ガンマ、例えば、2.2)になるようにして滑らかな階調表現を実現するために出力階調を補正し、補正後の出力階調(補正信号)を表示パネル駆動部16へ出力する。
【0038】
表示パネル駆動部16は、ゲートドライバ、ソースドライバなどを備え、制御部30の制御の下に後段LUT15から入力された補正信号に基づいて、表示パネル2を駆動する。
【0039】
表示パネル2は、例えば、液晶パネルであって、一対のガラス基板が対向配置され、その間隙内に液晶物質である液晶層が形成された構造を有し、一方のガラス基板には複数の画素電極と、画素電極の夫々にドレインを接続したTFTとが、他方のガラス基板には共通電極が設けてある。TFTのゲート及びソースは、夫々ゲートドライバ及びソースドライバの各出力段に順次接続されている。
【0040】
表示パネル2は、ゲートドライバから入力されたゲート信号によって各画素のTFTのオン・オフが制御され、ソースドライバから入力される出力電圧(表示パネル2への入力レベル)をオン期間に各画素のTFTに印加することにより、液晶物質の電気光学特性によって決定される光透過率を制御して映像を階調表示する。表示パネル2は一対の偏光板で挟まれ、さらにその背面にバックライト3を配置してある。
【0041】
バックライト駆動部18は、制御部30の制御により、バックライト3がパルス駆動であれば所望のデューティ比(PWM値)の駆動信号をバックライト3へ出力する。これにより、バックライト3の駆動量を変更して、バックライト3から発する光、すなわち、表示パネル2の輝度を調整することができる。バックライト3はパルス駆動に限定されるものではなく、DC駆動などの駆動方法でもよく、その場合は所望のDCレベルに変更して輝度調整を行う。
【0042】
操作スイッチ4は、光量を含む表示装置100の各調整値を設定する設定手段としての機能を有する。操作スイッチ4でバックライト3の光量を設定することにより、バックライト駆動部18からバックライト3へ出力される駆動信号のデューティ比(PWM値)を変更し、バックライト3の駆動量を変更して、バックライト3から発する光、すなわち、表示パネルの輝度を調整することができる。なお、操作スイッチに代えて操作パネル等であってもよい。
【0043】
制御部30は、パネル温度センサ(第1温度センサ)10で検出する温度Tpと雰囲気温度Teとの第1温度差ΔTp、及びスイッチ基板温度センサ(第2温度センサ)20で検出する温度Tsと雰囲気温度Teとの第2温度差ΔTsの相関関係を示す相関関係情報(相関関係)を特定する特定手段としての機能を有する。
【0044】
相関関係情報の特定は、例えば、相関関係情報を予めメモリ17に記憶しておく構成でもよく、あるいは、相関関係を表す式を用いて制御部30で算出する構成でもよい。相関関係は、時間経過とともに、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの間の関係を表すものであり、例えば、第2温度差ΔTsと(ΔTp−ΔTs)との関係式である。第2温度差ΔTsは温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差であり、(ΔTp−ΔTs)は温度Tpと温度Tsとの温度差である。また、雰囲気温度とは、表示装置100の周辺の雰囲気温度であり、表示装置100の発熱による温度上昇等の影響を受けない温度である。
【0045】
図4は本実施の形態の表示装置100内の温度変化の一例を示す説明図である。図4において、横軸は経過時間を示し、縦軸は上昇温度を示し、時間経過に伴う第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)の変化(上昇温度)を示す。上述のとおり、第1温度差ΔTp(t)はパネル温度センサ10で検出した温度Tp(t)から雰囲気温度Teを差し引いた温度であり、パネル上昇温度である。また、第2温度差ΔTs(t)はスイッチ基板温度センサ20で検出した温度Ts(t)から雰囲気温度Teを差し引いた温度であり、スイッチ基板上昇温度である。本実施の形態の説明では、簡略化のため、Tp(t)、Ts(t)、ΔTp(t)及びΔTs(t)は、それぞれTp、Ts、ΔTp及びΔTsと同意とする。
【0046】
表示パネル2が収容された筐体1内の温度(表示パネル2の特性に影響を与える温度)は、雰囲気温度Te、主要な発熱部品であるバックライト3の発熱(例えば、熱伝導または熱輻射など)及び筐体1内の対流に起因する。また図示しないが、電源回路を内蔵する表示装置であれば、これも主要な発熱部品となる。これらの発熱及び筐体1内の対流熱がなく冷え切った状態にある表示装置100の電源をオンにした直後は、バックライト3により発熱の影響は微小であり、また、これに伴う筐体1内の対流も微小であるので、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは同一と見なすことができる。すなわち、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとは同一視することができる。
【0047】
その後、バックライト3の発熱により、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは上昇するが、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20は、バックライト3の近傍の異なる位置に設けてあるので、時間経過に伴う温度上昇(Tp−Te)、(Ts−Te)が異なり、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる。すなわち、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇は、傾きが異なる直線に近似することができる。すなわち、電源オン直後から第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる状態は、バックライト3からの熱伝導または熱輻射による影響が大きく、いわゆる遷移状態の期間(第1段階または直線近似領域とも称する)である。
【0048】
第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsがある程度上昇した状態以降(図4では、時点t1以降)は、バックライト3からの熱伝導または熱輻射による影響だけでなく筐体1内の対流による影響で熱的に安定した状態、いわゆる熱平衡状態(第2段階とも称する)となる。かかる熱平衡状態では、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの相関関係が第1段階の場合と異なり、筐体内の温度が安定状態となる結果、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等とみなすことができる。
【0049】
バックライト3からの熱伝導または熱輻射起因の温度と筐体内の対流に起因する温度との合計を表示装置起因温度と称すると、本発明は、パネル温度センサ10で検出される温度に含まれる表示装置起因温度と、スイッチ基板温度センサ20で検出される温度に含まれる表示装置起因温度との間に相関関係があることに着目したものである。以下、相関関係について詳しく説明する。なお、以下に説明する相関関係は、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20が、バックライト3の近傍に設けられ、バックライト3からの熱伝導または熱輻射による影響を受ける場合の相関関係である。
【0050】
【数1】
【0051】
図4に示すように、直線近似領域では、第1温度差ΔTp(t)は、式(1)のように近似することができ、第2温度差ΔTs(t)は、式(2)のように近似することができる。ここで、a、bは直線近似した場合の傾きを表す。式(1)の両辺から式(2)の両辺を引くと式(3)が得られる。したがって、ΔTs(t)は、式(4)のように表すことができる。ここで、係数Aは、式(5)で表すことができる。すなわち、直線近似領域(第1段階、遷移状態)では、第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)との間に、より具体的には、第2温度差ΔTs(t)と、{ΔTp(t)−ΔTs(t)}との間に式(4)で表す相関関係がある。
【0052】
図4に示すように、直線近似領域と熱平衡領域との境界でのパネル上昇温度をTthpとし、スイッチ基板上昇温度をTthsとする。熱平衡領域では、時間の経過に対する上昇温度の割合が小さいため、パネル温度センサ10の温度変化の時定数τpとスイッチ基板温度センサ20の温度変化の時定数τsを同じ値τとみなすことができる。すなわち、熱平衡状態では、第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)の時間経過に伴う温度上昇割合が同等とみなすことができる。
【0053】
【数2】
【0054】
したがって、図4に示す熱平衡領域では、パネル上昇温度である第1温度差ΔTp(t)は、式(6)で表すことができ、スイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTs(t)は、式(7)で表すことができる。式(6)において、Tmaxpは、パネル上昇温度の最大値(最高値)であり、例えば、3℃、4℃、5℃などの値を取り得る。なお、パネル上昇温度の最大値(最高値)は、パネル温度センサ10の取付位置によっても変わり得る。また、式(7)において、Tmasxは、スイッチ基板上昇温度の最大値(最高値)であり、スイッチ基板温度センサ20の取付位置に依存する。式(6)の両辺を式(7)の両辺で差し引くことにより、式(8)を得る。式(7)から、式(9)を求めることができるので、式(9)を式(8)に代入することにより、式(10)を得ることができる。ここで、ΔTmaxは式(11)で表すことができ、ΔTthは式(12)で表すことができる。式(10)から、式(13)を得ることができる。ここで、係数B、Cはそれぞれ式(14)、式(15)で表すことができる。すなわち、熱平衡領域(第2段階、安定状態)では、第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)との間に、より具体的には、第2温度差ΔTs(t)と、{ΔTp(t)−ΔTs(t)}との間に式(13)で表す相関関係がある。
【0055】
図5は本実施の形態の表示装置100起因温度の相関関係の一例を示す説明図である。図5に示すように、パネル上昇温度である第1温度差ΔTp(t)とスイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTs(t)との差分(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより小さい場合には、選択される相関関係は、図4、式(1)、式(2)に示すように、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる関係であり、ΔTs(t)=A×{ΔTp(t)−ΔTs(t)}となる。かかる相関関係の特徴は、例えば、上昇温度を直線近似可能な領域で用いることができる相関関係であり、バックライト3の発熱のみ考慮すればよい段階であり、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20での温度上昇の割合が異なる。所定の閾値温度ΔTthは、第2段階(熱平衡状態)が始まる温度を示す。所定の閾値温度ΔTthは、例えば、1.5℃、2℃、2.5℃等の値とすることができる。
【0056】
また、パネル上昇温度である第1温度差ΔTp(t)とスイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTs(t)との差分(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより大きい場合には、選択される相関関係は、図4、式(6)、式(7)に示すように、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等の関係であり、ΔTs(t)=B×{ΔTp(t)−ΔTs(t)−ΔTth}+C×ΔTthとなる。かかる相関関係の特徴は、例えば、熱平衡領域で用いることができる相関関係であり、バックライト3の発熱のみならす筐体1内の対流も考慮すべき段階であり、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20での温度上昇の割合が同等である。
【0057】
制御部30は、雰囲気温度の推定手段としての機能を有する。制御部30は、特定した相関関係情報(相関関係)、第1温度センサ及び第2温度センサで検出した温度Tp、Tsに基づいて、雰囲気温度Teを推定する。
【0058】
また、制御部30は、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより小さい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる相関関係(相関関係情報)を用い、差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより大きい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等の相関関係(相関関係情報)を用いて雰囲気温度を推定する。所定の閾値温度ΔTthは、第2段階(熱平衡状態)が始まる温度を示す。
【0059】
図6は相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する一例を示す概念図である。図6において、棒グラフは、それぞれパネル温度Tp、スイッチ基板温度Tsであり、温度0℃からの値を示す。便宜上パネル温度Tpと表現するが、パネル自身の温度ではなく、正確には表示装置起因温度と雰囲気温度の合計である。図6に示すように、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsを検出しただけでは、雰囲気温度Teは判らない。
【0060】
しかし、パネル上昇温度である第1温度差ΔTpに含まれる表示装置100起因温度(バックライト3の発熱起因の温度と筐体1内の対流起因の温度の合計)と、スイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTsに含まれる表示装置100起因温度との相関関係を用いることにより、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsから雰囲気温度Teを求めることができる。
【0061】
すなわち、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsを検出することができれば、(ΔTp−ΔTs)を求めることができ、(ΔTp−ΔTs)及び温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差ΔTsの相関関係により、雰囲気温度Teを推定することができる。
【0062】
図7は相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する他の例を示す概念図である。図7は図6の場合と本質的に同じであるが表現形式が異なる。図7に示すように、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsを検出することができれば、(Tp−Ts)は、(ΔTp−ΔTs)と同じである。求めた(ΔTp−ΔTs)と、ΔTp及びΔTsの相関関係を示すグラフ上の(ΔTp−ΔTs)とが一致するように相関関係のグラフを移動させたとき、相関関係の横軸の位置が雰囲気温度Teを示すことになる。
【0063】
これにより、表示パネルの特性(例えば、ガンマ特性)に影響を及ぼす雰囲気温度を正確に推定することができる。また、相関関係は、時間経過と共に変化する雰囲気温度に対する温度上昇であるので、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、回路発熱及び対流熱のない表示装置の電源オン直後から一定時間熱的に遷移状態にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサを設ける必要もない。
【0064】
制御部30は、操作スイッチ4で設定した光量に対応する閾値温度と、当該閾値温度に対応する第1温度差及び第2温度差の相関関係情報を特定する。相関関係情報の特定は、例えば、設定された光量に対応する閾値温度ΔTthを求めるとともに、当該閾値温度ΔTthに対応する第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を制御部30で算出する構成でもよい。あるいは、バックライト3の光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthと、閾値温度毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報をメモリ17に複数記憶しておき、制御部30が参照することもできる。
【0065】
図8はバックライト3へ出力される駆動信号のデューティ比と閾値温度ΔTthとの関係の一例を示す説明図である。閾値温度ΔTthは、第2段階が始まる温度であり、かかる温度は、バックライト3の発熱量に依存する。バックライト3の発熱量は、バックライト3の駆動量、すなわち、バックライト3へ出力される駆動信号のデューティ比(PWM値)に対応するので、バックライト3の光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthを予め対応付けて決めておき、さらに、閾値温度ΔTth毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報を予め定めておく。
【0066】
なお、図8の符号丸で示すように、デューティ比のうちのいくつかの代表値(例えば、3〜5個)に対応する閾値温度ΔTthを定めておき、代表値の間の値は線形補間により求めることもできる。
【0067】
制御部30は、設定した光量に対応する相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。すなわち、設定した光量に対応する閾値温度ΔTthを決定し、決定した閾値温度ΔTthに対応する相関関係情報を決定し、決定した相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。これにより、バックライト3の光量を変更した場合でも、雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【0068】
上述の例で第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を示す式において、係数としてのA、B、Cは、表示装置100の形状又は大きさ、表示パネルとバックライトとの位置関係、温度センサ10、20の取付位置等によって変わり得る値であるので、パラメータとして予め求めておけばよい。
【0069】
また、本実施の形態の表示装置の周辺の雰囲気温度の推定は、表示パネル2の近傍に設けられたパネル温度センサ10で検出する温度と雰囲気温度との第1温度差、及び熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なるようにパネル温度センサ10と異なる位置に設けられたスイッチ基板温度センサ20で検出する温度と雰囲気温度との第2温度差の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップ、特定した相関関係情報、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出した温度に基づいて雰囲気温度を推定するステップ等の処理手順を示すコンピュータプログラムをコンピュータでの読取が可能な記録媒体に記録しておき、当該記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを、記録媒体読取装置、CPU及びRAM等を備えるパーソナルコンピュータの記録媒体読取装置で読み取り、RAMにロードしてCPUに実行させることにより実現することもできる。
【0070】
なお、上述の特定するステップは、より具体的には、所定の閾値温度を特定するステップ、第1温度差と第2温度差との差分温度が所定の閾値温度より小さい場合、第1温度差及び第2温度差の時間経過に伴う温度上昇割合が異なる相関関係情報を特定するステップ、当該差分温度が所定の閾値温度より大きい場合、第1温度差及び第2温度差の時間経過に伴う温度上昇割合が同等の相関関係情報を特定するステップを含めることができる。
【0071】
上述の例では、スイッチ基板温度センサ20をバックライト3の近傍に設けた構成であったが、スイッチ基板温度センサ20をバックライト3からさらに離隔させて設けることにより、バックライト3からの発熱(熱伝導又は熱輻射)の影響を直接受けないようにすることもできる。ただし、かかる場合には、図4に例示したような相関関係を2段階に分ける必要はない。
【0072】
図9はスイッチ基板温度センサ20をバックライト3の発熱の影響を直接受けない位置に設けた場合の表示装置100内の温度変化の一例を示す説明図である。表示パネル2が収容された筐体1内の温度は、雰囲気温度Te、バックライト3の発熱(例えば、熱伝導または熱輻射など)及び筐体1内の対流に起因する。表示装置100の電源をオンにした直後は、バックライト3により発熱の影響は微小であり、またこれに伴う筐体1内の対流も微小であるので、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは同一と見なすことができる。すなわち、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとは同一視することができる。
【0073】
その後、バックライト3の発熱により、パネル温度センサ10で検出する温度Tpは上昇する。スイッチ基板温度センサ20は、バックライト3から離れた位置に設けられているので、バックライト3の発熱の影響を直接受けない。このため、パネル温度センサ10検出する温度Tpはパネル温度センサ10で検出する温度Tpのように急激には上昇しない。
【0074】
さらにその後、バックライト3の発熱により、筐体1内の対流による影響を現れることにより、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは、それぞれ固有の時定数τp、τs(τpはτsと異なる値を有する)で上昇する。
【0075】
制御部30は、図9で示すようなグラフで表される相関関係、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出した温度Tp、Tsに基づいて、雰囲気温度Teを推定することができる。すなわち、温度Tp及び温度Tsが検出することができれば、(ΔTp−ΔTs)を求めることができ、(ΔTp−ΔTs)及び温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差ΔTsの相関関係により、雰囲気温度Teを推定することができる。これにより、表示パネルの特性(ガンマ特性)に影響を及ぼす雰囲気温度を正確に推定することができる。また、相関関係は、時間経過と共に変化する雰囲気温度に対する温度上昇であるので、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、電源オン開始後の熱的に遷移状態にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサを設ける必要もない。
【0076】
制御部30は、推定した雰囲気温度に基づいて表示パネル2の階調特性を補正するために、後段LUT15のデータを書き換える。
【0077】
図10は表示パネルのガンマ特性の温度依存の一例を示す説明図である。図10の例では、表示パネルの温度が高くなるほど、入力階調に対する表示パネルの出力階調が小さくなっている。なお、表示パネルによっては、図10の例と逆の温度依存性(すなわち、表示パネルの温度が高くなるほど、入力階調に対する表示パネルの出力階調が大きくなる)を有するものもある。
【0078】
制御部30は、温度に対応させて、後段LUT15の入力階調に対する出力階調の値を書き換えることにより、温度変動に対する階調特性の変動を相殺して理想的な階調特性に補正する。理想的には表示パネル自身の温度を測定し、これに対応させて階調特性を補正すべきところ、表示パネル自身の温度を測定するにはパネルに温度センサを内蔵させる必要があるため、簡易に測定可能な雰囲気温度と表示装置起因温度を用いて階調特性の補正を行う。雰囲気温度は上述の方法で推定されたものを用いればよく、表示装置起因温度はパネル温度センサ10で検出されるパネル温度Tpから雰囲気温度を差し引いたものを用いる。階調特性の補正は、例えば、後段LUT15を書き込んだ時(工場調整時)の雰囲気温度と表示装置起因温度を記憶させておき、その時点から現時点の温度変動に対応する階調補償量を求め、後段LUT15を書き換えることで、書き込み時点の階調特性や色再現性を維持する。これにより、表示装置100の状態が熱的に遷移状態にある場合だけでなく、安定な状態(熱平衡状態)にある場合でも表示特性(階調特性)の温度補償が可能となり、理想的な又は所望の階調特性、色味を再現することができる。
【0079】
上述の実施の形態において、表示装置100のコールドスタート時にパネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20のキャリブレーションを行うことができる。キャリブレーションは、例えば、電源オン直後において、パネル温度Tpとスイッチ基板温度Tsが同一になるように、パネル温度Tpからスイッチ基板温度Tsを差し引けばよい。
【0080】
上述の実施の形態では、第1温度センサとしてのパネル温度センサ10を設けた位置と異なる位置として、スイッチ基板に第2温度センサを設ける構成であったが、第2温度センサの設置位置は、スイッチ基板に限定されるものでなく、熱平衡に到るまでの温度変化が異なるようにできれば、筐体の他の位置に設けることができる。
【0081】
筐体2内に、三次元加速度センサなどを備え、表示装置100の筐体の縦横の配置変更、表示画面の傾き等の違いにより、第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を変更することもできる。これにより、表示装置100の筐体の縦横の配置変更、表示画面の傾き等により、筐体の温度変化状態が変わるときでも、適切な相関関係を特定して、精度よく雰囲気温度を求めることができる。
【0082】
温度センサは2個以上設けてもよく、その場合、相関関係は少なくとも温度センサ1対あたり、あるいは全ての組合せ毎に用意しておく。推定手段は、求められる複数の雰囲気温度から平均を求め、これを雰囲気温度として決定してもよく、あるいは最頻値を雰囲気温度として決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
100 液晶表示装置
1 筐体
2 表示パネル
3 バックライト
4 操作スイッチ
10 パネル温度センサ
20 スイッチ基板温度センサ
11 信号入力部
12 前段LUT
13 色制御部
14 ムラ補正部
15 後段LUT
16 表示パネル駆動部
17 メモリ
18 バックライト駆動部
30 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置の周辺の雰囲気温度を推定することができる表示装置、表示装置の周辺の雰囲気温度を推定するためのコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを記録した記録媒体及び温度推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどの表示パネルを備える表示装置は、液晶パネルの画素毎に光透過率を変化させて、背面側に設けられたバックライトからの光の透過量を制御することで画像の階調表示を行なっている。また、液晶パネルのガンマ特性には個体差があるため、表示装置の製造工程において表示装置毎に固有の階調特性を補正し、所望の階調特性を実現することが行なわれている。
【0003】
しかし、液晶パネルのガンマ特性は、表示パネル温度に応じて変動する。表示パネル温度とは、装置自身の回路発熱に雰囲気温度を加えたものであるため、表示装置の製造工程時と実際にユーザが表示装置を使用する際の装置周辺の雰囲気温度が異なる場合には、表示パネルのガンマ特性が異なってしまい、所望の階調表現又は色味が再現されないおそれがある。いかなる表示パネル温度にあっても階調表現や色再現性を維持するため、階調特性等の温度補償が従来から行われている。ただし、表示パネル温度を厳密に測定するにはパネル内部に温度センサを設けるなどの表示パネルの加工が必要となり、大幅なコストアップを招く。このため従来は、表示パネル外で簡易的に測定することが可能な温度を用いて、階調特性等の温度補償が行われていた。
【0004】
そこで、液晶表示装置の外装部の外側の外気温度を検出する外気温検出部と、外装部の内側の内部温度を検出する内部温度検出部とを備え、それぞれの温度検出部で検出した外気温度と内部温度との温度差に応じた駆動電圧を出力する液晶駆動回路を備えた表示装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−253946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置にあっては、外装部の外側に温度検出部を設け、外気温を検出することを前提とするものの、実際には表示装置の内部で発生する熱(例えば、表示パネル用の光源であるバックライト等による発熱)の影響を受けるため、外気温を正確に検出することは困難である。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサなどの温度検出部を設けることは装置の設計上あるいは使用上現実的ではなく実際には実現することができない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、自装置の周辺の雰囲気温度を正確に推定することができる表示装置、表示装置の周辺の雰囲気温度を推定するためのコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを記録した記録媒体及び温度推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る表示装置は、筐体内に表示パネルを備える表示装置において、それぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサと、該温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定する特定手段と、該特定手段で特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定する推定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る表示装置は、第1発明において、前記表示パネル用のバックライトを備え、前記特定手段は、前記温度センサで検出する温度と所定の閾値温度との比較から異なる相関関係情報を特定し、前記推定手段は、前記特定手段で特定した各相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る表示装置は、第2発明において、前記バックライトの光量を設定する設定手段を備え、前記特定手段は、前記設定手段で設定した光量に対応する前記所定の閾値温度を用いて相関関係情報を特定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係るコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体は、前述の発明に係るコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る温度推定方法は、筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定する温度推定方法において、前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
第1発明、第4発明、第5発明及び第6発明にあっては、表示装置のそれぞれ異なる位置に2以上の温度センサを設ける。温度センサは、表示パネルの近傍に設置してもよく、あるいは表示パネルから離隔した位置に設置してもよい。温度センサはそれぞれ、熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なる位置に配置させることが好ましい。熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なるとは、例えば、同じ時間経過に対して温度上昇が異なるような場合をいう。温度センサは最低でも2個必要とする。
【0015】
特定手段は、温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定する。相関関係情報の特定は、例えば、相関関係情報を予め記憶手段に記憶しておく構成でもよく、あるいは、相関関係を表す式を用いて算出する構成でもよい。例えば、第1温度センサと第2温度センサの二つの温度センサを設け、第1温度センサで検出する温度Tpと雰囲気温度Teとの第1温度差ΔTpとし、第2温度センサで検出する温度Tsと雰囲気温度Teとの第2温度差ΔTsとした場合について説明する。相関関係は、時間経過とともに、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの間の関係を表すものであり、第2温度差ΔTsと(ΔTp−ΔTs)との関係式である。第2温度差ΔTsは、温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差であり、(ΔTp−ΔTs)は温度Tpと温度Tsとの温度差である。また、雰囲気温度とは、自装置の周辺の雰囲気温度であり、自装置の発熱による温度上昇等の影響を受けない温度である。すなわち、自装置が屋内にあれば室内温度とほぼ等しい温度となり、自装置が屋外にあれば室外温度とほぼ等しい温度となる。
【0016】
推定手段は、特定した相関関係情報、温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度Teを推定する。例えば、温度Tp及び温度Tsが検出することができれば、(ΔTp−ΔTs)を求めることができ、(ΔTp−ΔTs)及び温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差ΔTsの相関関係により、雰囲気温度Teを推定することができる。これにより、表示パネルの特性(ガンマ特性)に影響を及ぼす雰囲気温度を正確に推定することができる。また、相関関係は、時間経過と共に変化する雰囲気温度に対する温度上昇であるので、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、回路発熱及び対流熱のない表示装置において、電源をオンした直後から一定時間の状態(熱的に遷移状態)にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサを設ける必要もない。
【0017】
第2発明にあっては、表示パネル用のバックライトを備え、2以上の温度センサは、それぞれ異なる位置に設けてある。例えば、バックライトの近傍の異なる位置に設ける。バックライトの近傍は、バックライトと接触していてもよく、あるいはバックライトに近接していてもよく、バックライトの発熱(伝導熱又は輻射熱)の影響を受ける範囲内にあればよい。表示パネルが収容された筐体内の温度(表示パネルの特性に影響を与える温度)は、雰囲気温度、主要な発熱部品であるバックライトの発熱(例えば、熱伝導または熱輻射など)及び筐体内の対流に起因する。表示装置の動作開始時(例えば、電源をオンにした直後)は、筐体内の対流は微小であり、またバックライトにより発熱の影響も微小であるので、第1温度センサ及び第2温度センサで検出する温度Tp、Tsは同一と見なすことができる。
【0018】
その後、バックライトの発熱により、第1温度センサ及び第2温度センサで検出する温度Tp、Tsは上昇するが、第1温度センサ及び第2温度センサは、バックライトの近傍の異なる位置に設けてあるので、時間経過に伴う温度上昇(Tp−Te)、(Ts−Te)が異なり、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる。すなわち、回路発熱及び対流熱のない表示装置において、電源オン直後から第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる状態は、バックライトからの熱伝導または熱輻射による影響が大きく、筐体内の対流の影響は無視できる状態であり、いわゆる遷移状態の期間(第1段階とも称する)である。
【0019】
第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsがある程度上昇した状態以降は、バックライトからの熱伝導または熱輻射による影響だけでなく筐体内の対流による影響で熱的に安定した状態、いわゆる熱平衡状態(第2段階とも称する)となる。かかる熱平衡状態では、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの相関関係が第1段階の場合と異なり、筐体内の温度が安定状態となる結果、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等とみなすことができる。
【0020】
特定手段は、異なる相関関係情報からひとつを特定するものであって、例えば、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより小さい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる相関関係情報を特定し、差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより大きい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等の相関関係情報を特定する。所定の閾値温度ΔTthは、第2段階(熱平衡状態)が始まる温度を示す。推定手段は、特定された各相関関係情報を用いて雰囲気温度を推
定するものであって、例えば、差分温度(ΔTp−ΔTs)が閾値温度ΔTthより大であるか小であるかに応じて、特定された各相関関係情報を切り替えて雰囲気温度を推定する。
【0021】
これにより、例えば、回路発熱及び対流熱のない表示装置において、電源オン直後から一定時間の熱的に遷移状態にある場合でも、熱的に安定状態(熱平衡状態)にある場合でも、雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【0022】
第3発明にあっては、バックライトの光量を設定する設定手段を備える。設定手段は、例えば、光量を設定するための操作パネル又は操作スイッチ等であり、光量を設定することにより、バックライトへ出力される駆動信号を変更し、バックライトの駆動量を変更して、バックライトから発する光、すなわち、表示パネルの輝度を調整することができる。バックライトの駆動信号としては、例えば、パルス信号やDC信号などがあり、前者はパルスのデューティ比(PWM値)を、後者はDCレベルを変更することが駆動量の変更に相当する。
【0023】
特定手段は、設定した光量に対応する閾値温度と、当該閾値温度に対応する相関関係情報を特定する。例えば、設定した光量に対応する閾値温度ΔTthを求めるとともに、当該閾値温度ΔTthに対応する第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を求めるための算出回路を用いることができる。あるいは、バックライトの光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthと、閾値温度毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報を複数記憶しておくこともできる。閾値温度ΔTthは、第2段階が始まる温度であり、かかる温度は、バックライトの発熱量に依存する。バックライトの発熱量は、バックライトの駆動量、例えば、バックライトへ出力される駆動信号のデューティ比(PWM値)に対応するので、バックライトの光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthを予め対応付けて決めておき、さらに、閾値温度ΔTth毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報を予め定めておく。
【0024】
推定手段は、設定した光量に対応する相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。すなわち、設定した光量に対応する閾値温度ΔTthを決定し、決定した閾値温度ΔTthに対応する相関関係情報を決定し、決定した相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。これにより、バックライトの光量を変更した場合でも、雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、電源オン開始後の熱的に遷移状態にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態の表示装置の要部外観を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態の表示装置の要部外観を示す側面図である。
【図3】本実施の形態の表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態の表示装置内の温度変化の一例を示す説明図である。
【図5】本実施の形態の表示装置起因温度の相関関係の一例を示す説明図である。
【図6】相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する一例を示す概念図である。
【図7】相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する他の例を示す概念図である。
【図8】バックライトへ出力される駆動信号のデューティ比と閾値温度ΔTthとの関係の一例を示す説明図である。
【図9】スイッチ基板温度センサをバックライトの発熱の影響を直接受けない位置に設けた場合の表示装置内の温度変化の一例を示す説明図である。
【図10】表示パネルのガンマ特性の温度依存の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る表示装置、コンピュータプログラム、記録媒体及び温度推定方法を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の表示装置100の要部外観を示す斜視図であり、図2は本実施の形態の表示装置100の要部外観を示す側面図である。
【0028】
表示装置100は、合成樹脂製又は金属製の筐体1に、表示パネル2、バックライト3、回路基板等(不図示)などを収容する。バックライト3は、表示パネル2の背面側に配置され、例えば、CCFL(ColdCathode Fluorescent Lamp)又はLED(Light Emitting Diode)等の光源、光源からの光を反射又は拡散して表示パネル1の背面に照射するための光学部材などで構成される。筐体1の前面には、操作スイッチ4を設けてあり、操作スイッチ4にはスイッチ基板(不図示)を接続してある。筐体1の背面には、スタンド5が固定され、机上又は床上などに対して表示面が略垂直又は所望の角度で傾斜させた状態となるように支持される。
【0029】
表示パネル2の近傍には第1温度センサとしてのパネル温度センサ10を設けてある。パネル温度センサ10はパネル近傍に設けられるため、検出温度は表示パネル自身の温度ではなく、表示装置起因温度に雰囲気温度が加わった温度を検出する。また、操作スイッチ4に接続されたスイッチ基板には第2温度センサとしてのスイッチ基板温度センサ20を設けてある。すなわち、スイッチ基板温度センサ20は、パネル温度センサ10と異なる位置に設け、熱平衡状態に至るまでの温度変化がパネル温度センサ10で検出する温度変化と異なるようにしてある。
【0030】
表示パネル2の近傍とは、例えば、表示パネル2の温度(例えば、表示パネル2内部の温度)にできるだけ近い温度を検出することができるように表示パネル2から離隔しない範囲内の位置である。表示パネル2の近傍は、表示パネル2と接触していてもよく、あるいは表示パネル2に近接していてもよく、表示パネル2の発熱(伝導熱又は輻射熱)の影響を受ける範囲内にあればよい。なお、スイッチ基板温度センサ20は、表示パネル2の近傍に設置してもよく、表示パネル2から離隔した位置に設置してもよい。また、熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なるとは、例えば、同じ時間経過に対して温度上昇が異なるような場合をいう。温度センサは2個以上設けるようにしてもよい。
【0031】
図1及び図2の例では、より具体的には、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20は、バックライト3の近傍の異なる位置に設けてある。バックライト3の近傍とは、バックライト3と接触した状態でもよく、あるいはバックライト3に近接した状態でもよく、バックライト3の発熱(伝導熱又は輻射熱)の影響を受ける範囲内にあればよい。なお、図1及び図2では、筐体内に温度センサを設けるようにしてあるが、これに限定されず、表示パネル2の発熱の影響を受ける範囲であれば筐体外に設けるようにしてもよい。
【0032】
図3は本実施の形態の表示装置100の構成の一例を示すブロック図である。表示装置100は、制御部30、メモリ17、信号入力部11、前段LUT(ルックアップテーブル)12、色制御部13、ムラ補正部14、後段LUT(ルックアップテーブル)15、表示パネル駆動部16、バックライト3、バックライト駆動部18、表示パネル2、操作スイッチ4、第1温度センサとしてのパネル温度センサ10、第2温度センサとしてのスイッチ基板温度センサ20などを備えている。また、表示装置100は、信号線を介して外部のPC(パーソナルコンピュータ)200に接続されている。
【0033】
信号入力部11は、PC200などの外部機器にケーブルを介して接続される接続端子を有しており、PC200から入力されるビデオ信号を取得する。信号入力部11は、取得したビデオ信号を前段LUT12へ出力する。なお、PC200から信号入力部11へ入力されるビデオ信号は、アナログ信号又はデジタル信号のいずれであってもよい。以下の実施例では、カラービデオ信号を用いる構成であるが、これに限定されるものではなく、モノクロビデオ信号を用いる構成でもよい。この場合には、色制御部などカラービデオ信号のための構成は不要となる。
【0034】
前段LUT12は、例えば、R(赤)G(緑)B(青)それぞれに対応したLUTを備え、入力されたビデオ信号により表現される入力階調と、その入力階調に対応する表示パネル1(より正確には、後段LUT15)への入力レベル(出力値)とが関連付けられている。前段LUT12は、例えば、入力階調が8ビットで構成され、0〜255の256階調それぞれに対応する256個のエントリに、例えば、14ビットで表される出力階調(出力値)を格納してあり、ユーザにより階調特性が設定可能(例えば、ガンマ値の設定が可能)に構成してあり、所望の階調特性を実現することができる。
【0035】
色制御部13は、制御部30の制御により、前段LUT12から出力された出力値(出力階調)に対して、例えば、R、G、B成分に対応する変換係数で構成される3×3マトリクス(色変換マトリクスD)により、特定の色の成分を強めたり、あるいは弱めたりすることにより、色調整(色制御)を行う。
【0036】
ムラ補正部14は、制御部30の制御により、色制御部13から出力された出力階調(出力値)に対して、ムラ補正を行い、補正後の出力階調(出力値)を後段LUT15へ出力する。
【0037】
後段LUT15は、階調補正手段としての機能を有し、例えば、R(赤)G(緑)B(青)それぞれに対応したLUTを備え、表示パネル2に異なる階調特性を理想的なガンマ値(後段ガンマ、例えば、2.2)になるようにして滑らかな階調表現を実現するために出力階調を補正し、補正後の出力階調(補正信号)を表示パネル駆動部16へ出力する。
【0038】
表示パネル駆動部16は、ゲートドライバ、ソースドライバなどを備え、制御部30の制御の下に後段LUT15から入力された補正信号に基づいて、表示パネル2を駆動する。
【0039】
表示パネル2は、例えば、液晶パネルであって、一対のガラス基板が対向配置され、その間隙内に液晶物質である液晶層が形成された構造を有し、一方のガラス基板には複数の画素電極と、画素電極の夫々にドレインを接続したTFTとが、他方のガラス基板には共通電極が設けてある。TFTのゲート及びソースは、夫々ゲートドライバ及びソースドライバの各出力段に順次接続されている。
【0040】
表示パネル2は、ゲートドライバから入力されたゲート信号によって各画素のTFTのオン・オフが制御され、ソースドライバから入力される出力電圧(表示パネル2への入力レベル)をオン期間に各画素のTFTに印加することにより、液晶物質の電気光学特性によって決定される光透過率を制御して映像を階調表示する。表示パネル2は一対の偏光板で挟まれ、さらにその背面にバックライト3を配置してある。
【0041】
バックライト駆動部18は、制御部30の制御により、バックライト3がパルス駆動であれば所望のデューティ比(PWM値)の駆動信号をバックライト3へ出力する。これにより、バックライト3の駆動量を変更して、バックライト3から発する光、すなわち、表示パネル2の輝度を調整することができる。バックライト3はパルス駆動に限定されるものではなく、DC駆動などの駆動方法でもよく、その場合は所望のDCレベルに変更して輝度調整を行う。
【0042】
操作スイッチ4は、光量を含む表示装置100の各調整値を設定する設定手段としての機能を有する。操作スイッチ4でバックライト3の光量を設定することにより、バックライト駆動部18からバックライト3へ出力される駆動信号のデューティ比(PWM値)を変更し、バックライト3の駆動量を変更して、バックライト3から発する光、すなわち、表示パネルの輝度を調整することができる。なお、操作スイッチに代えて操作パネル等であってもよい。
【0043】
制御部30は、パネル温度センサ(第1温度センサ)10で検出する温度Tpと雰囲気温度Teとの第1温度差ΔTp、及びスイッチ基板温度センサ(第2温度センサ)20で検出する温度Tsと雰囲気温度Teとの第2温度差ΔTsの相関関係を示す相関関係情報(相関関係)を特定する特定手段としての機能を有する。
【0044】
相関関係情報の特定は、例えば、相関関係情報を予めメモリ17に記憶しておく構成でもよく、あるいは、相関関係を表す式を用いて制御部30で算出する構成でもよい。相関関係は、時間経過とともに、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの間の関係を表すものであり、例えば、第2温度差ΔTsと(ΔTp−ΔTs)との関係式である。第2温度差ΔTsは温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差であり、(ΔTp−ΔTs)は温度Tpと温度Tsとの温度差である。また、雰囲気温度とは、表示装置100の周辺の雰囲気温度であり、表示装置100の発熱による温度上昇等の影響を受けない温度である。
【0045】
図4は本実施の形態の表示装置100内の温度変化の一例を示す説明図である。図4において、横軸は経過時間を示し、縦軸は上昇温度を示し、時間経過に伴う第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)の変化(上昇温度)を示す。上述のとおり、第1温度差ΔTp(t)はパネル温度センサ10で検出した温度Tp(t)から雰囲気温度Teを差し引いた温度であり、パネル上昇温度である。また、第2温度差ΔTs(t)はスイッチ基板温度センサ20で検出した温度Ts(t)から雰囲気温度Teを差し引いた温度であり、スイッチ基板上昇温度である。本実施の形態の説明では、簡略化のため、Tp(t)、Ts(t)、ΔTp(t)及びΔTs(t)は、それぞれTp、Ts、ΔTp及びΔTsと同意とする。
【0046】
表示パネル2が収容された筐体1内の温度(表示パネル2の特性に影響を与える温度)は、雰囲気温度Te、主要な発熱部品であるバックライト3の発熱(例えば、熱伝導または熱輻射など)及び筐体1内の対流に起因する。また図示しないが、電源回路を内蔵する表示装置であれば、これも主要な発熱部品となる。これらの発熱及び筐体1内の対流熱がなく冷え切った状態にある表示装置100の電源をオンにした直後は、バックライト3により発熱の影響は微小であり、また、これに伴う筐体1内の対流も微小であるので、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは同一と見なすことができる。すなわち、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとは同一視することができる。
【0047】
その後、バックライト3の発熱により、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは上昇するが、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20は、バックライト3の近傍の異なる位置に設けてあるので、時間経過に伴う温度上昇(Tp−Te)、(Ts−Te)が異なり、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる。すなわち、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇は、傾きが異なる直線に近似することができる。すなわち、電源オン直後から第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる状態は、バックライト3からの熱伝導または熱輻射による影響が大きく、いわゆる遷移状態の期間(第1段階または直線近似領域とも称する)である。
【0048】
第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsがある程度上昇した状態以降(図4では、時点t1以降)は、バックライト3からの熱伝導または熱輻射による影響だけでなく筐体1内の対流による影響で熱的に安定した状態、いわゆる熱平衡状態(第2段階とも称する)となる。かかる熱平衡状態では、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの相関関係が第1段階の場合と異なり、筐体内の温度が安定状態となる結果、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等とみなすことができる。
【0049】
バックライト3からの熱伝導または熱輻射起因の温度と筐体内の対流に起因する温度との合計を表示装置起因温度と称すると、本発明は、パネル温度センサ10で検出される温度に含まれる表示装置起因温度と、スイッチ基板温度センサ20で検出される温度に含まれる表示装置起因温度との間に相関関係があることに着目したものである。以下、相関関係について詳しく説明する。なお、以下に説明する相関関係は、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20が、バックライト3の近傍に設けられ、バックライト3からの熱伝導または熱輻射による影響を受ける場合の相関関係である。
【0050】
【数1】
【0051】
図4に示すように、直線近似領域では、第1温度差ΔTp(t)は、式(1)のように近似することができ、第2温度差ΔTs(t)は、式(2)のように近似することができる。ここで、a、bは直線近似した場合の傾きを表す。式(1)の両辺から式(2)の両辺を引くと式(3)が得られる。したがって、ΔTs(t)は、式(4)のように表すことができる。ここで、係数Aは、式(5)で表すことができる。すなわち、直線近似領域(第1段階、遷移状態)では、第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)との間に、より具体的には、第2温度差ΔTs(t)と、{ΔTp(t)−ΔTs(t)}との間に式(4)で表す相関関係がある。
【0052】
図4に示すように、直線近似領域と熱平衡領域との境界でのパネル上昇温度をTthpとし、スイッチ基板上昇温度をTthsとする。熱平衡領域では、時間の経過に対する上昇温度の割合が小さいため、パネル温度センサ10の温度変化の時定数τpとスイッチ基板温度センサ20の温度変化の時定数τsを同じ値τとみなすことができる。すなわち、熱平衡状態では、第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)の時間経過に伴う温度上昇割合が同等とみなすことができる。
【0053】
【数2】
【0054】
したがって、図4に示す熱平衡領域では、パネル上昇温度である第1温度差ΔTp(t)は、式(6)で表すことができ、スイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTs(t)は、式(7)で表すことができる。式(6)において、Tmaxpは、パネル上昇温度の最大値(最高値)であり、例えば、3℃、4℃、5℃などの値を取り得る。なお、パネル上昇温度の最大値(最高値)は、パネル温度センサ10の取付位置によっても変わり得る。また、式(7)において、Tmasxは、スイッチ基板上昇温度の最大値(最高値)であり、スイッチ基板温度センサ20の取付位置に依存する。式(6)の両辺を式(7)の両辺で差し引くことにより、式(8)を得る。式(7)から、式(9)を求めることができるので、式(9)を式(8)に代入することにより、式(10)を得ることができる。ここで、ΔTmaxは式(11)で表すことができ、ΔTthは式(12)で表すことができる。式(10)から、式(13)を得ることができる。ここで、係数B、Cはそれぞれ式(14)、式(15)で表すことができる。すなわち、熱平衡領域(第2段階、安定状態)では、第1温度差ΔTp(t)及び第2温度差ΔTs(t)との間に、より具体的には、第2温度差ΔTs(t)と、{ΔTp(t)−ΔTs(t)}との間に式(13)で表す相関関係がある。
【0055】
図5は本実施の形態の表示装置100起因温度の相関関係の一例を示す説明図である。図5に示すように、パネル上昇温度である第1温度差ΔTp(t)とスイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTs(t)との差分(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより小さい場合には、選択される相関関係は、図4、式(1)、式(2)に示すように、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる関係であり、ΔTs(t)=A×{ΔTp(t)−ΔTs(t)}となる。かかる相関関係の特徴は、例えば、上昇温度を直線近似可能な領域で用いることができる相関関係であり、バックライト3の発熱のみ考慮すればよい段階であり、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20での温度上昇の割合が異なる。所定の閾値温度ΔTthは、第2段階(熱平衡状態)が始まる温度を示す。所定の閾値温度ΔTthは、例えば、1.5℃、2℃、2.5℃等の値とすることができる。
【0056】
また、パネル上昇温度である第1温度差ΔTp(t)とスイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTs(t)との差分(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより大きい場合には、選択される相関関係は、図4、式(6)、式(7)に示すように、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等の関係であり、ΔTs(t)=B×{ΔTp(t)−ΔTs(t)−ΔTth}+C×ΔTthとなる。かかる相関関係の特徴は、例えば、熱平衡領域で用いることができる相関関係であり、バックライト3の発熱のみならす筐体1内の対流も考慮すべき段階であり、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20での温度上昇の割合が同等である。
【0057】
制御部30は、雰囲気温度の推定手段としての機能を有する。制御部30は、特定した相関関係情報(相関関係)、第1温度センサ及び第2温度センサで検出した温度Tp、Tsに基づいて、雰囲気温度Teを推定する。
【0058】
また、制御部30は、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとの差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより小さい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が異なる相関関係(相関関係情報)を用い、差分温度(ΔTp−ΔTs)が所定の閾値温度ΔTthより大きい場合、第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの時間経過に伴う温度上昇割合が同等の相関関係(相関関係情報)を用いて雰囲気温度を推定する。所定の閾値温度ΔTthは、第2段階(熱平衡状態)が始まる温度を示す。
【0059】
図6は相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する一例を示す概念図である。図6において、棒グラフは、それぞれパネル温度Tp、スイッチ基板温度Tsであり、温度0℃からの値を示す。便宜上パネル温度Tpと表現するが、パネル自身の温度ではなく、正確には表示装置起因温度と雰囲気温度の合計である。図6に示すように、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsを検出しただけでは、雰囲気温度Teは判らない。
【0060】
しかし、パネル上昇温度である第1温度差ΔTpに含まれる表示装置100起因温度(バックライト3の発熱起因の温度と筐体1内の対流起因の温度の合計)と、スイッチ基板上昇温度である第2温度差ΔTsに含まれる表示装置100起因温度との相関関係を用いることにより、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsから雰囲気温度Teを求めることができる。
【0061】
すなわち、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsを検出することができれば、(ΔTp−ΔTs)を求めることができ、(ΔTp−ΔTs)及び温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差ΔTsの相関関係により、雰囲気温度Teを推定することができる。
【0062】
図7は相関関係に基づいて雰囲気温度を推定する他の例を示す概念図である。図7は図6の場合と本質的に同じであるが表現形式が異なる。図7に示すように、パネル温度Tp及びスイッチ基板温度Tsを検出することができれば、(Tp−Ts)は、(ΔTp−ΔTs)と同じである。求めた(ΔTp−ΔTs)と、ΔTp及びΔTsの相関関係を示すグラフ上の(ΔTp−ΔTs)とが一致するように相関関係のグラフを移動させたとき、相関関係の横軸の位置が雰囲気温度Teを示すことになる。
【0063】
これにより、表示パネルの特性(例えば、ガンマ特性)に影響を及ぼす雰囲気温度を正確に推定することができる。また、相関関係は、時間経過と共に変化する雰囲気温度に対する温度上昇であるので、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、回路発熱及び対流熱のない表示装置の電源オン直後から一定時間熱的に遷移状態にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサを設ける必要もない。
【0064】
制御部30は、操作スイッチ4で設定した光量に対応する閾値温度と、当該閾値温度に対応する第1温度差及び第2温度差の相関関係情報を特定する。相関関係情報の特定は、例えば、設定された光量に対応する閾値温度ΔTthを求めるとともに、当該閾値温度ΔTthに対応する第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を制御部30で算出する構成でもよい。あるいは、バックライト3の光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthと、閾値温度毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報をメモリ17に複数記憶しておき、制御部30が参照することもできる。
【0065】
図8はバックライト3へ出力される駆動信号のデューティ比と閾値温度ΔTthとの関係の一例を示す説明図である。閾値温度ΔTthは、第2段階が始まる温度であり、かかる温度は、バックライト3の発熱量に依存する。バックライト3の発熱量は、バックライト3の駆動量、すなわち、バックライト3へ出力される駆動信号のデューティ比(PWM値)に対応するので、バックライト3の光量に関連付けた複数の異なる閾値温度ΔTthを予め対応付けて決めておき、さらに、閾値温度ΔTth毎に異なる第1温度差ΔTp及び第2温度差ΔTsの相関関係情報を予め定めておく。
【0066】
なお、図8の符号丸で示すように、デューティ比のうちのいくつかの代表値(例えば、3〜5個)に対応する閾値温度ΔTthを定めておき、代表値の間の値は線形補間により求めることもできる。
【0067】
制御部30は、設定した光量に対応する相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。すなわち、設定した光量に対応する閾値温度ΔTthを決定し、決定した閾値温度ΔTthに対応する相関関係情報を決定し、決定した相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定する。これにより、バックライト3の光量を変更した場合でも、雰囲気温度を精度よく推定することができる。
【0068】
上述の例で第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を示す式において、係数としてのA、B、Cは、表示装置100の形状又は大きさ、表示パネルとバックライトとの位置関係、温度センサ10、20の取付位置等によって変わり得る値であるので、パラメータとして予め求めておけばよい。
【0069】
また、本実施の形態の表示装置の周辺の雰囲気温度の推定は、表示パネル2の近傍に設けられたパネル温度センサ10で検出する温度と雰囲気温度との第1温度差、及び熱平衡状態に至るまでの温度変化が異なるようにパネル温度センサ10と異なる位置に設けられたスイッチ基板温度センサ20で検出する温度と雰囲気温度との第2温度差の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップ、特定した相関関係情報、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出した温度に基づいて雰囲気温度を推定するステップ等の処理手順を示すコンピュータプログラムをコンピュータでの読取が可能な記録媒体に記録しておき、当該記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを、記録媒体読取装置、CPU及びRAM等を備えるパーソナルコンピュータの記録媒体読取装置で読み取り、RAMにロードしてCPUに実行させることにより実現することもできる。
【0070】
なお、上述の特定するステップは、より具体的には、所定の閾値温度を特定するステップ、第1温度差と第2温度差との差分温度が所定の閾値温度より小さい場合、第1温度差及び第2温度差の時間経過に伴う温度上昇割合が異なる相関関係情報を特定するステップ、当該差分温度が所定の閾値温度より大きい場合、第1温度差及び第2温度差の時間経過に伴う温度上昇割合が同等の相関関係情報を特定するステップを含めることができる。
【0071】
上述の例では、スイッチ基板温度センサ20をバックライト3の近傍に設けた構成であったが、スイッチ基板温度センサ20をバックライト3からさらに離隔させて設けることにより、バックライト3からの発熱(熱伝導又は熱輻射)の影響を直接受けないようにすることもできる。ただし、かかる場合には、図4に例示したような相関関係を2段階に分ける必要はない。
【0072】
図9はスイッチ基板温度センサ20をバックライト3の発熱の影響を直接受けない位置に設けた場合の表示装置100内の温度変化の一例を示す説明図である。表示パネル2が収容された筐体1内の温度は、雰囲気温度Te、バックライト3の発熱(例えば、熱伝導または熱輻射など)及び筐体1内の対流に起因する。表示装置100の電源をオンにした直後は、バックライト3により発熱の影響は微小であり、またこれに伴う筐体1内の対流も微小であるので、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは同一と見なすことができる。すなわち、第1温度差ΔTpと第2温度差ΔTsとは同一視することができる。
【0073】
その後、バックライト3の発熱により、パネル温度センサ10で検出する温度Tpは上昇する。スイッチ基板温度センサ20は、バックライト3から離れた位置に設けられているので、バックライト3の発熱の影響を直接受けない。このため、パネル温度センサ10検出する温度Tpはパネル温度センサ10で検出する温度Tpのように急激には上昇しない。
【0074】
さらにその後、バックライト3の発熱により、筐体1内の対流による影響を現れることにより、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出する温度Tp、Tsは、それぞれ固有の時定数τp、τs(τpはτsと異なる値を有する)で上昇する。
【0075】
制御部30は、図9で示すようなグラフで表される相関関係、パネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20で検出した温度Tp、Tsに基づいて、雰囲気温度Teを推定することができる。すなわち、温度Tp及び温度Tsが検出することができれば、(ΔTp−ΔTs)を求めることができ、(ΔTp−ΔTs)及び温度Tsと雰囲気温度Teとの温度差ΔTsの相関関係により、雰囲気温度Teを推定することができる。これにより、表示パネルの特性(ガンマ特性)に影響を及ぼす雰囲気温度を正確に推定することができる。また、相関関係は、時間経過と共に変化する雰囲気温度に対する温度上昇であるので、表示装置が熱的に安定状態にある場合だけでなく、例えば、電源オン開始後の熱的に遷移状態にある場合でも雰囲気温度を精度よく推定することができる。また、自装置の発熱の影響を受けない位置に温度センサを設ける必要もない。
【0076】
制御部30は、推定した雰囲気温度に基づいて表示パネル2の階調特性を補正するために、後段LUT15のデータを書き換える。
【0077】
図10は表示パネルのガンマ特性の温度依存の一例を示す説明図である。図10の例では、表示パネルの温度が高くなるほど、入力階調に対する表示パネルの出力階調が小さくなっている。なお、表示パネルによっては、図10の例と逆の温度依存性(すなわち、表示パネルの温度が高くなるほど、入力階調に対する表示パネルの出力階調が大きくなる)を有するものもある。
【0078】
制御部30は、温度に対応させて、後段LUT15の入力階調に対する出力階調の値を書き換えることにより、温度変動に対する階調特性の変動を相殺して理想的な階調特性に補正する。理想的には表示パネル自身の温度を測定し、これに対応させて階調特性を補正すべきところ、表示パネル自身の温度を測定するにはパネルに温度センサを内蔵させる必要があるため、簡易に測定可能な雰囲気温度と表示装置起因温度を用いて階調特性の補正を行う。雰囲気温度は上述の方法で推定されたものを用いればよく、表示装置起因温度はパネル温度センサ10で検出されるパネル温度Tpから雰囲気温度を差し引いたものを用いる。階調特性の補正は、例えば、後段LUT15を書き込んだ時(工場調整時)の雰囲気温度と表示装置起因温度を記憶させておき、その時点から現時点の温度変動に対応する階調補償量を求め、後段LUT15を書き換えることで、書き込み時点の階調特性や色再現性を維持する。これにより、表示装置100の状態が熱的に遷移状態にある場合だけでなく、安定な状態(熱平衡状態)にある場合でも表示特性(階調特性)の温度補償が可能となり、理想的な又は所望の階調特性、色味を再現することができる。
【0079】
上述の実施の形態において、表示装置100のコールドスタート時にパネル温度センサ10及びスイッチ基板温度センサ20のキャリブレーションを行うことができる。キャリブレーションは、例えば、電源オン直後において、パネル温度Tpとスイッチ基板温度Tsが同一になるように、パネル温度Tpからスイッチ基板温度Tsを差し引けばよい。
【0080】
上述の実施の形態では、第1温度センサとしてのパネル温度センサ10を設けた位置と異なる位置として、スイッチ基板に第2温度センサを設ける構成であったが、第2温度センサの設置位置は、スイッチ基板に限定されるものでなく、熱平衡に到るまでの温度変化が異なるようにできれば、筐体の他の位置に設けることができる。
【0081】
筐体2内に、三次元加速度センサなどを備え、表示装置100の筐体の縦横の配置変更、表示画面の傾き等の違いにより、第1温度差ΔTth及び第2温度差ΔTsの相関関係を変更することもできる。これにより、表示装置100の筐体の縦横の配置変更、表示画面の傾き等により、筐体の温度変化状態が変わるときでも、適切な相関関係を特定して、精度よく雰囲気温度を求めることができる。
【0082】
温度センサは2個以上設けてもよく、その場合、相関関係は少なくとも温度センサ1対あたり、あるいは全ての組合せ毎に用意しておく。推定手段は、求められる複数の雰囲気温度から平均を求め、これを雰囲気温度として決定してもよく、あるいは最頻値を雰囲気温度として決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
100 液晶表示装置
1 筐体
2 表示パネル
3 バックライト
4 操作スイッチ
10 パネル温度センサ
20 スイッチ基板温度センサ
11 信号入力部
12 前段LUT
13 色制御部
14 ムラ補正部
15 後段LUT
16 表示パネル駆動部
17 メモリ
18 バックライト駆動部
30 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に表示パネルを備える表示装置において、
それぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサと、
該温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定する特定手段と、
該特定手段で特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定する推定手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネル用のバックライトを備え、
前記特定手段は、
前記温度センサで検出する温度と所定の閾値温度との比較から異なる相関関係情報を特定し、
前記推定手段は、
前記特定手段で特定した各相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記バックライトの光量を設定する設定手段を備え、
前記特定手段は、
前記設定手段で設定した光量に対応する前記所定の閾値温度を用いて相関関係情報を特定するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
コンピュータに、筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、
特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
【請求項6】
筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定する温度推定方法において、
前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、
特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップと
を含むことを特徴とする温度推定方法。
【請求項1】
筐体内に表示パネルを備える表示装置において、
それぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサと、
該温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定する特定手段と、
該特定手段で特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定する推定手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネル用のバックライトを備え、
前記特定手段は、
前記温度センサで検出する温度と所定の閾値温度との比較から異なる相関関係情報を特定し、
前記推定手段は、
前記特定手段で特定した各相関関係情報を用いて雰囲気温度を推定するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記バックライトの光量を設定する設定手段を備え、
前記特定手段は、
前記設定手段で設定した光量に対応する前記所定の閾値温度を用いて相関関係情報を特定するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
コンピュータに、筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、
特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
【請求項6】
筐体内に表示パネルを備える表示装置の周辺の雰囲気温度を推定する温度推定方法において、
前記表示装置のそれぞれ異なる位置に設けられた2以上の温度センサで検出する温度同士の相関関係を示す相関関係情報を特定するステップと、
特定した相関関係情報、前記温度センサで検出した温度に基づいて、雰囲気温度を推定するステップと
を含むことを特徴とする温度推定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−108801(P2013−108801A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253006(P2011−253006)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【特許番号】特許第5080681号(P5080681)
【特許公報発行日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【特許番号】特許第5080681号(P5080681)
【特許公報発行日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】
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