説明

表示装置、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】原稿画像の表示のときに画面の視野角を適宜に設定することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】原稿画像のプレビュー表示のときに、特徴画像部分が原稿画像に合成されているか否かを判定し、特徴画像部分が合成されていたならば、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、画面SCの視野角を最も狭くしているので、情報の漏洩を防止することができる。また、特徴画像部分が合成されていなかったならば、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、画面SCの視野角を最も広くしているので、複数の利用者により原稿画像を同時に視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を表示する表示装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では、スキャナにより読取った原稿画像や外部から入力した原稿画像を記録用紙に印刷したり、原稿画像をファクシミリで送信したり、あるいは原稿画像をファクシミリで受信して、受信した原稿画像を記録用紙に印刷したりする。また、画像形成装置としては、原稿画像をプレビュー表示する表示装置を備え、原稿画像の印刷前に、原稿画像の印刷レイアウト等を表示装置の画面上で確認できるようにしたものがある。
【0003】
ところで、画像形成装置が公共施設等に設置されている場合は、表示装置の画面に表示された原稿画像を、利用者だけではなく、画像形成装置周辺の他の人々によっても無断で見られる可能性があり、原稿画像が社内の機密情報や個人情報を示すものであれば、これらの情報の漏洩の可能性が高くなる。
【0004】
このため、特許文献1では、表示装置として画面の視野角を変更調節することが可能なものを適用し、画像形成装置の待機時には、表示装置の画面の視野角を広くして、広告等を画面に表示し、広告を広い範囲で視認できるようにし、また画像形成装置の利用時には、表示装置の画面の視野角を狭くして、利用者の原稿画像を画面に表示し、利用者にとっては画面上の原稿画像を見易く、かつ画像形成装置周辺の他の人々にとっては画面上の原稿画像を見難くして、情報の漏洩を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−83425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように画像形成装置の利用時に表示装置の画面の視野角を狭くすると、不便なこともある。例えば、複数の利用者が、表示装置の画面上の原稿画像を見ながら相談して、原稿画像の印刷レイアウト等を設定しようとする場合には、表示装置の画面の視野角を広くすべきであり、視野角が狭いと、各利用者が画面上の同一画像を同時に確認することができず、作業時間が長くなってしまう。
【0007】
また、画像形成装置の利用時には必用でなくても画面の視野角が狭くなるので、利用者にとっては違和感があり、使勝手が悪くなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、原稿画像の表示のときに画面の視野角を適宜に設定することが可能な表示装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、スキャナにより読取られた原稿画像、ファクシミリにより受信された原稿画像、又は外部から入力した原稿画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、予め設定された特徴画像部分を記憶した記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する判別部と、前記表示部の視野角を変更する視野角変更部と、前記視野角変更部を制御して、前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部とを備えている。
【0010】
このような本発明では、原稿画像における特徴画像部分を判別し、この判別結果に基づき表示部の視野角を調節している。例えば、特徴画像部分が含まれている原稿画像については、その表示のときに表示部の視野角が変更される。
【0011】
また、本発明の表示装置においては、前記制御部は、前記判別部により判別された前記特徴画像部分に基づき前記表示部の視野角を狭くしている。
【0012】
この場合は、特徴画像部分を原稿画像に含ませておくことにより、原稿画像の表示のときに表示部の視野角を狭くすることができる。
【0013】
更に、本発明の表示装置においては、前記特徴画像部分は、この特徴画像部分を含む前記原稿画像の重要レベル又は機密レベルを示し、前記制御部は、前記判別部により判別された前記特徴画像部分に基づき前記原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判定し、前記重要レベル又は機密レベルに応じた前記表示部の視野角を設定している。
【0014】
この場合は、原稿画像の重要レベル又は機密レベルに応じて表示部の視野角を設定することができる。例えば、原稿画像の重要レベル又は機密レベルが高くなる程、表示部の視野角を狭くすることができ、表示部に表示された原稿画像を見ることが可能な人数を少なくして、情報の漏洩を起こり難くすることができる。尚、原稿画像の重要レベル又は機密レベルに応じて表示部の視野角を段階的に変更してもあるいは連続的に変更しても構わない。
【0015】
また、本発明の表示装置においては、前記制御部による前記視野角変更部の制御を有効及び無効のいずれかに切換えるために操作される操作部を備えている。
【0016】
この場合は、利用者が入力部を操作して表示部の視野角を変更するか否かを決めることができる。
【0017】
更に、本発明の表示装置においては、前記表示部の視野角を指示するために操作される操作部を備え、前記制御部は、前記判別部による判別結果にかかわらず、前記操作部の操作により指示された視野角に前記表示部の視野角を設定している
これにより、利用者にとって好ましい視野角を設定することが可能になる。
【0018】
次に、本発明の画像形成装置は、上記本発明の表示装置を備えている。
【0019】
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の表示装置と同様の作用効果を奏する。
【0020】
また、本発明の画像形成装置においては、前記表示部は、前記画像形成装置で前記原稿画像が記録用紙に記録される前に、前記原稿画像をプレビュー表示している。
【0021】
この場合は、表示部に表示された原稿画像を確認してから、原稿画像を記録用紙に記録することができる。
【発明の効果】
【0022】
このような本発明では、原稿画像における特徴画像部分を判別し、この判別結果に基づき表示部の視野角を調節している。例えば、特徴画像部分が含まれている原稿画像については、その表示のときに表示部の視野角が変更される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の表示装置の一実施形態を適用した画像形成装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】画像形成装置を示す断面図である。
【図3】画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】画像形成装置における操作パネル示す平面図である。
【図5】画像形成装置における液晶表示ユニットを示す断面図である。
【図6】(a)、(b)、(c)は、液晶表示ユニットにおけるスイッチパネルの各配向膜間の印加電圧と画面の視野角との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の表示装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す斜視図である。この画像形成装置1は、複写機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能等を有する複合機であり、原稿読取り装置(スキャナ)2、原稿読取り装置2の手前側壁に設けられた操作パネル4、及び印刷部(プリンタ)5、及び給紙部6等を備えている。
【0026】
図2は、画像形成装置1を示す断面図である。この画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、印刷部5においては、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電器15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するためにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0027】
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電器15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11により感光体ドラム13表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0028】
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置25により中間転写ベルト21の残留トナーを除去及び回収した後、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
【0029】
中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間にはニップ域が形成されており、用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ31と加圧ローラ32との間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0030】
一方、給紙部6においては、ピックアップローラ33により給紙トレイ18から記録用紙を1枚ずつ逐次引出して、記録用紙をS字状の用紙搬送経路R1へと送り出す。
【0031】
この記録用紙は、2次転写装置26や定着装置17を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ39へと搬出される。この用紙搬送経路R1には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26a間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始する一組のレジストローラ34、記録用紙の搬送を促す複数組の搬送ローラ35、一組の排紙ローラ36等が配置されている。
【0032】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙を各排紙ローラ36から反転経路Rrへと逆方向に搬送して、記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙を各レジストローラ34へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を印刷して定着し、記録用紙を排紙トレイ39へと搬出する。
【0033】
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2において、原稿搬送部(ADF)42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支されており、その手前部分を上下させることにより原稿搬送部42を開いて、第1読取り部41のプラテンガラス44上に原稿用紙を載置することができる。
【0034】
第1読取り部41において、第1走査ユニット45は、副走査方向に移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射する。この反射光は、結像レンズ47によりCCD48(Charge Coupled Device)に集光されて、CCD48により原稿画像が読取られる。
【0035】
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取る場合は、図2に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めする。この状態で、ピックアップローラ56により原稿トレイ57上の原稿用紙を引出して、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、CCD48により用紙表面の原稿画像を読取り、原稿用紙を原稿排紙ローラ61から原稿排紙トレイ62へと排出する。
【0036】
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43(密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))は、第2読取り部(CIS)43の下を通過して原稿排紙トレイ62へと排出される原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙裏面からの反射光を受光して、用紙裏面の原稿画像を読取る。
【0037】
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿画像は、画像形成装置1の光走査装置11に入力され、画像形成装置1において原稿画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0038】
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。図3は、画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。図3において、主制御部81は、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなり、原稿読取り装置(スキャナ)2、操作パネル4、印刷部(プリンタ)5、給紙部6、ファクシミリ通信部82、及び画像処理部83等を統括して制御する。
【0039】
ファクシミリ通信部82は、ネットワークNに接続され、ネットワークNを通じて相手側端末との間でファクシミリ通信のプロトコルを実行し、原稿画像を示す画像データを送受する。
【0040】
特徴画像記憶部86は、予め設定された特徴画像部分を示す特徴画像データを記憶したメモリである。原稿読取り装置2のCCD48、CIS43により記録用紙に記録された特徴画像部分が読取られて、特徴画像部分を示す特徴画像データが特徴画像記憶部86に記憶されたり、特徴画像部分を示す特徴画像データが入出力部84を通じて特徴画像記憶部86に記憶されたりする。特徴画像部分は、例えば「重要」、「機密」、「マル秘」、「社外秘」、「FAX」などの文字、印章、電子透かし等である。
【0041】
入出力部84は、各種のデータ、原稿画像、特徴画像部分等を外部装置に対して入出力する。メモリ85は、RAM、ROM、ハードディスク装置(HDD)等であり、種々のデータ、プログラム等を記憶する。また、メモリ85は、原稿読取り装置2のCCD48、CIS43により読取られたり、ファクシミリ通信部82で受信されたり、外部から入出力部84を通じて入力しされたりした原稿画像を示す画像データを記憶する。
【0042】
画像処理部83は、メモリ85内の原稿画像を示す画像データに対して種々の画像処理を施す。また、画像処理部83は、特徴画像記憶部86内の特徴画像データに基づきメモリ85内の画像データを解析し、原稿画像に合成されている特徴画像部分を認識することができる。特徴画像部分が「重要」、「機密」、「マル秘」、「社外秘」、「FAX」等の文字であれば、文字認識を行い、また特徴画像部分が印章等であれば、パターン認識を行い、更に特徴画像部分が電子透かし等であれば、電子透かし等の解析を行って、特徴画像部分を認識する。
【0043】
液晶表示ユニット71は、バックライト74、液晶表示パネル73、スイッチパネル75、及びタッチパネル76を重ね合わせたものである。
【0044】
表示制御部87は、液晶表示パネル73、バックライト74、スイッチパネル75を駆動制御したり、タッチパネル76の検出出力を入力したりする。例えば、表示制御部87は、バックライト74を点灯させ、またメモリ85内の画像データを主制御部81を通じて入力し、画像データに基づき液晶表示パネル73を駆動制御して、画像データによって示される原稿画像を液晶表示パネル73の画面SC(図1に示す)に表示したり、あるいは表示ボタン等を画面SCに表示したりする。また、表示制御部87は、タッチパネル76の検出出力を入力すると、画面SC上の指の接触位置を検出して、この接触位置に基づき指が接触した画面SC上の表示ボタンを識別し、この表示ボタンを主制御部81に通知する。
【0045】
このような構成において、主制御部81は、操作パネル4のキーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿の複写処理が指示されると、この指示に応答して原稿読取り装置2、印刷部5、給紙部6、画像処理部83等を制御し、原稿読取り装置2により原稿画像を読取らせ、原稿画像を示す画像データをメモリ85に一旦記憶し、画像処理部83により画像データの処理を行わせて、画像データを印刷部5に出力し、給紙部6から印刷部5へと記録用紙を給紙させ、印刷部5により原稿画像を記録用紙に記録させる。
【0046】
また、主制御部81は、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿のファクシミリ送信が指示されると、この指示に応答して原稿読取り装置2、ファクシミリ通信部82、画像処理部83等を制御し、原稿読取り装置2により原稿画像を読取らせ、原稿画像を示す画像データをメモリ85に一旦記憶し、画像処理部83により画像データの処理を行わせて、画像データをファクシミリ通信部82に出力し、ファクシミリ通信部82からネットワークNを通じて相手側端末へと画像データを送信する。
【0047】
更に、主制御部81は、ファクシミリ通信部82により相手側端末からの原稿画像を示す画像データが受信されると、印刷部5、給紙部6、画像処理部83等を制御し、画像データをメモリ85に一旦記憶し、画像処理部83により画像データの処理を行わせて、画像データを印刷部5に出力し、給紙部6から印刷部5へと記録用紙を給紙させ、印刷部5により原稿画像を記録用紙に記録させる。
【0048】
次に、操作パネル4について詳しく説明する。操作パネル4では、図4に示すようにその約左半分に液晶表示ユニット71が配置され、その約右半分にキーボード72が配置されている。
【0049】
液晶表示ユニット71は、左右に細長い長方形状の画面SCを有している。この画面SCには、画像形成装置1の操作を支援するためのイラスト、メッセージ、表示ボタン等が表示されたり、あるいは原稿読取り装置2により読取られた原稿画像やファクシミリ通信部82で受信された原稿画像が表示されたりする。
【0050】
図5は、液晶表示ユニット71を示す断面図である。図5に示すように液晶表示ユニット71では、液晶表示パネル(TFT液晶表示パネル等)73の裏面側にバックライト74を配置し、液晶表示パネル73の表面にスイッチパネル75を重ねて配置し、更にスイッチパネル75の表面に透明なタッチパネル76を重ね合わせて配置している。
【0051】
スイッチパネル75は、2枚の配向膜75aの間に液晶層75bを挟み込んで封止したものである。図6(a)に示すようにスイッチパネル75の各配向膜75aの間に電圧を印加しない場合は、各配向膜75aにより液晶層75bの液晶分子が特定方向に整列して、液晶表示ユニット71の画面SCの視野角が広くなり、画面SCの正面方向及び斜め方向から該画面SCの表示内容を視認することができる。
【0052】
また、図6(b)、(c)に示すようにスイッチパネル75の各配向膜75aの間に電圧を印加した場合は、液晶層75bの液晶分子の配列状態が変化して、液晶表示ユニット71の画面SCの視野角が狭くなり、また各配向膜75aの間に印加される電圧のレベルを変更することにより液晶表示ユニット71の画面SCの視野角を調節することができる。そして、図6(c)に示すように画面SCの視野角が最も狭くなると、画面SCの正面方向のみで該画面SCの表示内容を視認することができ、斜め方向からの該画面SCの表示内容の視認が困難もしくは不可能になる。
【0053】
このため、各配向膜75aの間の印加電圧を制御することにより、液晶表示ユニット71の画面SCの表示内容を広い範囲の複数の利用者に見せたり、画面SCの表示内容を見ることが可能な利用者の数を制限したり、画面SCの表示内容を該画面SCの正面の単一の利用者だけに見せたりすることが可能である。各配向膜75aの印加電圧の制御は、図3の表示制御部87により行われる。
【0054】
ここで、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により印刷レイアウトの設定が指示されている場合は、原稿読取り装置2により読取られたり、ファクシミリ通信部82で受信されたり、入出力部84を通じて入力されたりした原稿画像をメモリ85に一旦記憶した後、メモリ85内の原稿画像を液晶表示ユニット71の画面SCにプレビュー表示する。
【0055】
また、原稿画像のプレビュー表示のときに、図6(a)、(c)に示すような画面SCの視野角の制御を行って、原稿画像を視認することが可能な利用者の数を増やしたり減らしたりする。この状態で、画面SCにプレビュー表示された原稿画像を見ながら、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿画像の印刷レイアウトを調節もしくは設定する。
【0056】
この後、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿画像の複写や送信が指示されると、メモリ85内の原稿画像を印刷部5で記録用紙に記録したりファクシミリ通信部82から送信したりする。
【0057】
次に、そのような液晶表示ユニット71の画面SCの視野角の制御手順について詳しく説明する。まず、本実施形態では、重要レベル又は機密レベルが高く、情報の漏洩を防止すべき原稿画像に対しては特徴画像記憶部86に記憶されている特徴画像部分を予め合成しておく必要がある。例えば、「重要」という文字が特徴画像記憶部86に記憶されているならば、「重要」という文字を原稿画像に合成しておく。同様に、他の文字、印章、電子透かし等が特徴画像記憶部86に記憶されているならば、他の文字、印章、電子透かし等を原稿画像に合成しておく。
【0058】
また、重要レベル又は機密レベルが低く、情報の漏洩を防止する必要がない原稿画像に対しては、特徴画像部分を合成しない。
【0059】
さて、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により印刷レイアウトの設定が指示されている場合は、原稿読取り装置2により読取られた原稿画像、ファクシミリ通信部82で受信された原稿画像、入出力部84を通じて入力した原稿画像がメモリ85に記憶されると、表示制御部87は、メモリ85内の原稿画像を液晶表示ユニット71の画面SCにプレビュー表示する。
【0060】
このとき、画像処理部83は、特徴画像記憶部86内の特徴画像部分を参照し、メモリ85内の原稿画像を解析して、原稿画像に特徴画像部分が合成されているか否かを判定し、この判定結果を主制御部81を通じて表示制御部87に通知する。表示制御部87は、特徴画像部分が合成されているという判定結果のときに、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、図6(c)に示すように画面SCの視野角を最も狭くする。この場合は、画面SC上の原稿画像を画面SCの正面の単一の利用者だけが見ることが可能となり、斜め方向からの画面SC上の原稿画像の視認が困難もしくは不可能になり、情報の漏洩が防止される。
【0061】
単一の利用者は、画面SC上の原稿画像を確認して、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿画像の印刷レイアウトを調節もしくは設定する。これに応答して画像処理部83は、メモリ85内の原稿画像の印刷レイアウトを変更したり設定したりする。この後、画像形成装置1では、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿画像の複写や送信が指示されると、メモリ85内の原稿画像を印刷部5で記録用紙に記録したりファクシミリ通信部82から送信したりする。
【0062】
また、表示制御部87は、特徴画像部分が合成されていないという判定結果のときに、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、図6(a)に示すように画面SCの視野角を最も広くする。これにより、画面SC上の原稿画像を複数の利用者が同時に見ることが可能になる。
【0063】
この場合も、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿画像の印刷レイアウトを調節もしくは設定して、メモリ85内の原稿画像の印刷レイアウトを変更したり設定したりし、この後にキーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により原稿画像の複写や送信が指示されると、メモリ85内の原稿画像が印刷部5で記録用紙に記録されたりファクシミリ通信部82から送信されたりする。
【0064】
このように本実施形態では、原稿画像のプレビュー表示のときに、特徴画像部分が原稿画像に合成されているか否かを判定し、特徴画像部分が合成されていたならば、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、図6(c)に示すように画面SCの視野角を最も狭くしているので、情報の漏洩を防止することができる。また、特徴画像部分が合成されてなかったならば、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、図6(a)に示すように画面SCの視野角を最も広くしているので、複数の利用者により原稿画像を同時に視認することができる。
【0065】
尚、原稿画像のプレビュー表示に際しては、特徴画像部分が原稿画像に合成されているか否かの判定結果にかかわらず、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により画面SCの視野角の制御の無効を表示制御部87に指示して、図6(a)に示すように画面SCの視野角が最も広くなるようにしても構わない。
【0066】
また、原稿画像のプレビュー表示に際しては、特徴画像部分が原稿画像に合成されているか否かの判定結果にかかわらず、キーボード72や画面SC上の表示ボタンの操作により画面SCの視野角を表示制御部87に指示して、画面SCの視野角を変更することができるようにしてもよい。
【0067】
更に、上記実施形態においては、画面SCの視野角を最も狭く又は最も広くという2段階で変更しているが、視野角を3段階以上で変更しても構わない。例えば、画面SCの視野角を図6(a)、(b)、(c)に示すように3段階で変更してもよい。この場合は、例えば重要レベル又は機密レベルが最も高いことを示す「重要1」という文字、重要レベル又は機密レベルが中程度にあることを示す「重要2」という文字、重要レベル又は機密レベルが最も低いことを示す「重要3」という文字を特徴画像部分として特徴画像記憶部86に予め記憶しておく。また、原稿画像に対しては、特徴画像部分を合成しないか、あるいは原稿画像の重要レベル又は機密レベルに応じて「重要1」、「重要2」、「重要3」のいずれかを合成しておく。そして、原稿読取り装置2により読取られたり、ファクシミリ通信部82で受信されたり、入出力部84を通じて入力されたりした原稿画像をメモリ85に一旦記憶して、メモリ85内の原稿画像を液晶表示ユニット71の画面SCにプレビュー表示するときに、画像処理部83は、メモリ85内の原稿画像に特徴画像部分が合成されているか否かを判定し、更に特徴画像部分が合成されているならば、特徴画像部分に基づき原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判定し、これらの判定結果を主制御部81に通知する。主制御部81は、それらの判定結果に応じて画面SCの視野角を3段階で制御する。
【0068】
例えば、原稿画像から特徴画像部分を抽出することができなかったか、あるいは抽出した特徴画像部分の重要レベル又は機密レベルが最も低いことを示す「重要3」という文字であれば、主制御部81は、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、図6(a)に示すように画面SCの視野角を最も広くする。これにより、画面SC上の原稿画像を複数の利用者が同時に見ることが可能になる。
【0069】
また、原稿画像から抽出した特徴画像部分の重要レベル又は機密レベルが中程度に有ることを示す「重要2」という文字であれば、主制御部81は、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、図6(b)に示すように画面SCの視野角を中程度に調節設定する。これにより、図6(a)に示すような画面SCの視野角を設定したときよりも画面SCの視野角が狭くなり、画面SC上の原稿画像を同時に見ることが可能な利用者の数が制限される。
【0070】
更に、原稿画像から抽出した特徴画像部分の重要レベル又は機密レベルが最も高いことを示す「重要1」という文字であれば、主制御部81は、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧を制御して、図6(c)に示すように画面SCの視野角を最も狭くする。これにより、画面SC上の原稿画像を画面SCの正面の単一の利用者だけが見ることが可能となり、斜め方向からの画面SC上の原稿画像の視認が困難もしくは不可能になり、情報の漏洩が防止される。
【0071】
尚、スイッチパネル75の各配向膜75aの間の印加電圧レベルを調節することにより、画面SCの視野角を多段階又は連続的に変更することができるので、特徴画像部分の重要レベル又は機密レベルを4段階以上に設定して、画面SCの視野角をより細やかに変更することが可能である。
【0072】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置
2 原稿読取り装置(スキャナ)
4 操作パネル(操作部)
5 印刷部(プリンタ)
6 給紙部
11 光走査装置
12 現像装置
13 感光体ドラム
14 ドラムクリーニング装置
15 帯電器
17 定着装置
21 中間転写ベルト
26 2次転写装置
71 液晶表示ユニット
73 液晶表示パネル
74 バックライト
75 スイッチパネル(視野角変更部)
81 主制御部(制御部)
82 ファクシミリ通信部
83 画像処理部(判別部)
84 入出力部
85 メモリ
86 特徴画像記憶部(記憶部)
87 表示制御部
SC 画面(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナにより読取られた原稿画像、ファクシミリにより受信された原稿画像、又は外部から入力した原稿画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、
予め設定された特徴画像部分を記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する判別部と、
前記表示部の視野角を変更する視野角変更部と、
前記視野角変更部を制御して、前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、前記判別部により判別された前記特徴画像部分に基づき前記表示部の視野角を狭くすることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記特徴画像部分は、この特徴画像部分を含む前記原稿画像の重要レベル又は機密レベルを示し、
前記制御部は、前記判別部により判別された前記特徴画像部分に基づき前記原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判定し、前記重要レベル又は機密レベルに応じた前記表示部の視野角を設定することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記制御部による前記視野角変更部の制御を有効及び無効のいずれかに切換えるために操作される操作部を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記表示部の視野角を指示するために操作される操作部を備え、
前記制御部は、前記判別部による判別結果にかかわらず、前記操作部の操作により指示された視野角に前記表示部の視野角を設定することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示装置を備える画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置であって、
前記表示部は、前記画像形成装置で前記原稿画像が記録用紙に記録される前に、前記原稿画像をプレビュー表示することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113912(P2013−113912A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257759(P2011−257759)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】