表示装置、表示制御方法、プログラム及び電子機器
【課題】 ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行う。
【解決手段】 表示部(27)の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラ(29)と第二のカメラ(30)を備えた表示装置(20)において、第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段(36a)と、第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段(36a)と、割り出された目線ずれ量に基づいて非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段(36a)と、目線が修正された目線修正済み画像を表示部(27)に表示する表示制御手段(36a)とを備える。
【解決手段】 表示部(27)の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラ(29)と第二のカメラ(30)を備えた表示装置(20)において、第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段(36a)と、第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段(36a)と、割り出された目線ずれ量に基づいて非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段(36a)と、目線が修正された目線修正済み画像を表示部(27)に表示する表示制御手段(36a)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示制御方法、プログラム及び電子機器に関し、詳細には、画面を見ている人の顔を表示することができる表示装置、表示制御方法、プログラム及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ付の電子機器、たとえば、カメラ付携帯電話機におけるカメラの位置は、一般的にデジタルカメラの構成に倣って表示装置の背面側とされている。すなわち、被写体にカメラを向けた状態で、その被写体の構図等を表示装置で確認できるようにされているが、昨今では、表示装置の表示面側にもカメラを搭載したタイプも一部で出回っている。本明細書におけるカメラは、表示装置の表示面側に設けられたものを指すこととし、さらに明確を期すために、このカメラを一般的な呼称に即して「内側カメラ」ということにする。
【0003】
さて、内側カメラを備えた携帯電話機等の電子機器は、その内側カメラを使用して画面(表示装置の表示画面)を見ている人の顔を撮像し、その画像を表示装置に映し出すことができることから、たとえば、当該電子機器をハンドミラー(手鏡)の代わりに使用することができ、便利である。
【0004】
しかしながら、実際のハンドミラー使用時の感覚とは違いがある。第一の違いは、画面の中央に顔が位置しないことにある。これは、内側カメラの位置が表示装置の画面外側に寄っているため、表示装置の画面に顔を正対させたとしても、内側カメラで撮影された顔の位置が構図の中央に寄らず、偏って映し出されてしまうからである。
【0005】
図9は、内側カメラの位置とその内側カメラで撮影された画像との対応関係を示す図である。この図において、表示装置1は額縁状の筐体2に収められており、その筐体2の額縁内・・・・図では表示装置1の左側であるが、これは一例である。上下左右のいずれの位置であってもよい。・・・・にカメラ3が設けられている。このカメラ3の撮影方向は、表示装置1の表示画面の前面側鉛直方向と平行な方向であり、且つ、その撮影画角(撮影範囲)は、表示装置1の表示画面を見ている人の顔を映し出すことができる適度な画角(たとえば、50度乃至それ以上の広角)である。したがって、このカメラ3は、表示装置の表示画面を見ている人の顔を撮像することができるから、前記の「内側カメラ」に相当する。
【0006】
今、表示装置1の画面前面に、被写体としての人物4が正対したと仮定すると、カメラ3に映し出される人物4の位置は、カメラ3の撮影構図の左寄りになる。これは、カメラ3の位置が(図示の例の場合)表示装置1の図面に向かって左側にずれているからであり、そのため、カメラ3の撮影画角の図面に向かって右側(カメラ3の側から見た場合は左側)にずれて人物4が映し出されてしまうからである。したがって、カメラ3の画像を表示装置1に表示した場合に、図示のように、人物4が画面の左に偏って表示されるという不都合(第一の違い)を生じる。
【0007】
かかる表示位置の偏りを修正する技術としては、たとえば、二つのカメラを用いた、いわゆるステレオ視の技術を応用するものが知られている(たとえば、下記の特許文献1、2参照)。
【0008】
図10は、ステレオ視の概念説明図である。この図において、互いの撮影画角内に被写体5を含むように適切に配置された一対のカメラ(以下、左カメラ6、右カメラ7)が示されており、これら一対のカメラの撮影画像(以下、左カメラ画像8、右カメラ画像9)に写し込まれた被写体5の位置は、先の図9に示した不都合と同様の理由で、それぞれ右方向と左方向に偏っている。
【0009】
ステレオ視の技術は、要するに、人間の視覚認識処理を応用したものであって、左目の視覚情報に相当する左カメラ画像8と、右目の視覚情報に相当する右カメラ画像9とを所定のエリア(画素単位または所定の画素群単位)ごとに比較して、類似度の高いエリア同士を合成することにより、被写体5の位置を構図の中央にずらして再生した左再生画像10と右再生画像11とを作り出すというものである。
【0010】
ちなみに、ここまでのステレオ視の技術は下記の特許文献1、2に記載されている。下記の特許文献2は、このようなステレオ視の技術に加えて、さらに、専用メガネを必要としない三次元表示デバイス(3D表示デバイス)との併用を開示する。すなわち、図示のように、三次元表示デバイス12は、上述のステレオ視の技術で作り出された左再生画像10と右再生画像11とを入力信号とし、左再生画像10が表示画面の斜め左方向から見えるように表示するとともに、右再生画像11が表示画面の斜め右方向から見えるように表示することにより、人物13の左目14に左再生画像10を視認させ、人物13の右目15に右再生画像11を視認させるようにしている。
【0011】
以上のとおり、特許文献1、2の技術を応用すれば、ハンドミラー動作時の先の不都合、つまり、表示装置の画面に顔を正対させたとしても、内側カメラで撮影された顔の位置が構図の中央に寄らず、偏って映し出されてしまうという不都合(第一の違い)を解消できる。
【0012】
しかしながら、特許文献1、2の技術は、単なるステレオ視の技術であるから、目線のずれを修正できないという欠点がある。たとえば、図10の例において、被写体5を人物の顔と仮定するとともに、その顔の目線が表示装置からずれているケースを考える。このようなケースの場合、ステレオ視の技術によって再生された左再生画像10と右再生画像11は、ともに、目線がずれたままの顔画像を含むこととなり、結局、ハンドミラー動作時の目線ずれの違和感(以下、第二の違い)を否めない。
【0013】
目線のずれを修正する技術は、たとえば、下記の特許文献3に記載のものが知られている。
図11は、目線のずれを修正する従来技術を示す図である。この図において、(a)はカメラ目線の顔画像16から目部分17を切り出す概念図、(b)はカメラ目線でない顔画像18を示す図、(c)は(b)の顔画像18からカメラ目線でない目部分19を消去する図、(d)は(c)のカメラ目線でない目部分19に(a)で切り出したカメラ目線の目部分17を貼り付けた図である。このように、あらかじめ切り出しておいたカメラ目線の目部分17を、カメラ目線でない顔画像18の目部分19に貼り付けることにより、目線のずれを修正した顔画像18を得ることができる。
【0014】
なお、カメラ目線であるか否かの判定技術としては、たとえば、下記の特許文献4、5などの技術を利用することができる。ちなみに、下記の特許文献4は白目内の黒目の位置から目線方向を判定し、または、下記の特許文献5は視線方向検出部によって運転者の視線方向を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−159061号公報
【特許文献2】特開2004−048644号公報
【特許文献3】特開2005−117106号公報
【特許文献4】特開2007−096440号公報
【特許文献5】特開2010−134608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のとおり、たとえば、特許文献1〜5に記載の技術を組み合わせることにより、ハンドミラー動作時の被写体の位置ずれ修正と目線ずれ修正とを行うことが一応可能であると認められるものの、特許文献3の技術(図11参照)は、単なる画像貼り付け(いわゆるコラージュ)に過ぎないため、たとえば、貼り付けられた画像(図11(d)の目部分17)の貼り付け境界に微妙な段差が生じたり、水平方向への微細な位置ずれが生じたりするという問題点がある。
【0017】
そこで、本発明の目的は、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の表示装置は、表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置において、前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段と、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段と、前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段と、前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】携帯電話機の外観図である。
【図2】携帯電話機20の構成図である。
【図3】制御プログラムの要部の動作フローを示す図である。
【図4】ハンドミラー画面を示す図及びハンドミラー画面の表示内容更新を示す図である。
【図5】カメラ目線画像登録処理(ステップS8)の動作フローを示す図である。
【図6】ハンドミラー表示処理(ステップS1)の動作フローを示す図である。
【図7】カメラ目線と非カメラ目線の説明図である。
【図8】目線修正画像生成の概念図である。
【図9】内側カメラの位置とその内側カメラで撮影された画像との対応関係を示す図である。
【図10】ステレオ視の概念説明図である。
【図11】目線のずれを修正する従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を、携帯電話機への適用を例にして図面を参照しながら説明する。
図1は、携帯電話機の外観図である。この図において、携帯電話機20は、手持ちに適した厚みと大きさを有する縦長箱型形状の本体部21と、その本体部21の上部一短辺端にヒンジ機構22を介して連結された、本体部21と略同型状かつ薄厚の蓋部23とを備えた、いわゆる「折り畳み式」の筐体24を有している。
【0022】
本体部21の一方面(蓋部23との対向面)には、多数の操作ボタンからなる操作ボタン群25や送話孔26が設けられ、また、蓋部23の一方面(本体部21との対向面)には、表示部27や、この表示部27の周囲を覆う額縁部28、二つのカメラ29、30及び受話孔31が設けられている。
【0023】
表示部27は、長方形状の所定サイズの表示面を有する二次元表示デバイス、典型的には、液晶ディスプレイパネルであり、表示部27の表示面には透明なタッチパネル37が貼り付けられている。なお、図では表示部27とタッチパネル37を面方向にずらして描いているが、これは説明上の便宜である。実際には、表示部27の表示面全体を覆うようにして、この表示面とほぼ同じ平面サイズのタッチパネル37が配置されている。
また、表示部27の両短辺(図では上短辺と下短辺)の各々に接近させて二つのカメラ29、30が配置されている。以下、表示部27の上短辺に接近させて配置されたカメラ29を「上カメラ」、表示部27の下短辺に接近させて配置されたカメラ30を「下カメラ」ということにする。
【0024】
上カメラ29と下カメラ30の撮影方向は、いずれも、表示部27の表示面の鉛直方向と平行な方向であり、且つ、その撮影画角(撮影範囲)は、表示部27の表示面を見ている人の顔を映し出すことができる適度な画角(たとえば、50度乃至それ以上の広角)である。したがって、これら二つのカメラ29、30は、どちらも、表示部27の表示面を見ている人の顔を撮像することができるから、冒頭で説明した「内側カメラ」に相当する。
【0025】
なお、図示の携帯電話機20は「折り畳み式」であるが、これに限定されない。非折り畳み式やスライド式などであってもよい。要は、表示部27の表示面を見ている人の顔を撮像することができる「内側カメラ」を少なくとも二つ備えたものであればよい。また、図示の「内側カメラ」は、表示部27の上下短辺側に各々設けられた上カメラ29と下カメラ30であるが、これにも限定されない。表示部27の対向する二辺の各々に接近して設けられていればよく、たとえば、左右辺側に各々接近して設けられていてもよい。この場合は、左カメラ29と右カメラ30と読み替えればよい。
【0026】
図2は、携帯電話機20の構成図である。この図において、携帯電話機20は、通信部32、撮像部33、送受話部34、操作部35、制御部36、表示部27、タッチパネル37、並びに、この携帯電話機20の動作に必要な電源を供給するためのバッテリ(一次電池または充電可能な二次電池)を含む電源部38などを備えている。
【0027】
通信部32は、制御部36からの制御により、アンテナ32aを介して最寄りの基地局(図示略)との間で無線によるアナログもしくはデジタルデータの送受信を行い、このデータには、電話の着呼や発呼の情報および音声通話の情報が含まれるほか、必要であれば、インターネット上のコンテンツを利用(ダウンロード)する際などのコンテンツ情報や電子メールの送受信情報などが含まれる。
【0028】
撮像部33は、上カメラ29と下カメラ30とを含み、制御部36からの制御により、これら二つのカメラ(上カメラ29と下カメラ30)で各々撮影した上カメラ画像と下カメラ画像を制御部36に出力する。
【0029】
送受話部34は、本体部21の送話孔26の下に配置されたマイク34aや蓋部23の受話孔31の下に配置されたスピーカ34bを含み、この送受話部34は、制御部36からの制御により、マイク34aからの音声信号をデジタルデータに変換して制御部36に出力したり、制御部36から出力されたデジタルの音声信号をアナログ信号に変換してスピーカ34bから出力したりする。
【0030】
操作部35は、制御部36に対して所要のユーザ入力を行うための各種操作ボタン(図1の操作ボタン群25)を備え、この操作ボタン群25には、特に、携帯電話機20をハンドミラーとして利用する際に押し下げ操作されるハンドミラーモードボタン35aが含まれている。
【0031】
制御部36は、マイクロコンピュータまたは単にコンピュータ(以下、CPU)36a、書き換え可能不揮発性半導体メモリ(以下、PROM)36bおよび高速半導体メモリ(以下、RAM)36cならびに不図示の周辺回路を含むプログラム制御方式の制御要素であり、この制御部36は、携帯電話機20の全体動作を統括制御するために、あらかじめPROM36bに格納されている制御プログラムをRAM36cにロードしてCPU36aで実行する。
【0032】
制御プログラムは、グラフィカルユーザインターフェース対応の、いわゆるオペレーティングシステム(OS)と称される基本プログラムを含むとともに、所要のドライバプログラム、詳細には、特定のハードウェアの動作に必要な専用プログラムであって、たとえば、タッチパネル37のドライバプログラムを含み、さらに、それらの基本プログラムやドライバプログラムなどとともに、特定の機能(図示の例では携帯電話機能)を実現するための専用アプリケーションプログラム(応用プログラム)を含む。
【0033】
図3は、制御プログラムの要部の動作フローを示す図である。この図において、図示の制御プログラムは所定のイベントが発生したとき、具体的には、操作部35のハンドミラーモードボタン35aが押し下げ操作されたときに実行されるイベント起動型のプロセスであり、この制御プログラムを起動すると、まず、ハンドミラー表示処理を実行する(ステップS1)。
【0034】
ハンドミラー表示処理の詳細は後で説明するが、端的に言えば、表示部27に所要の画面(ハンドミラー画面:図4(a)参照)を表示しつつ、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)でそのハンドミラー画面を見ている人物の顔を撮影して所要の画像処理を行い、処理後の画像をハンドミラー画面の所定エリアに表示するというものであり、要するに、携帯電話機20の表示部27をハンドミラーの代わりに使用できるようにするための一連の処理のことをいう。
【0035】
図4(a)は、ハンドミラー画面を示す図である。ハンドミラー画面39は、その画面のほとんどを占める表示エリア40と、画面の残余部分(この図では下端部分)に設けられた操作エリア41とを備えるとともに、操作エリア41にカメラ目線画像登録ボタン42と終了ボタン43とを配置して構成されている。
【0036】
再び図3に戻り、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)すると、次に、ハンドミラー画面39のカメラ目線画像登録ボタン42が操作されたか否かを判定し(ステップS2)、操作されていなければ、ハンドミラー画面39の終了ボタン43が操作されたか否かを判定する(ステップS3)。そして、終了ボタン43が操作された場合にはハンドミラー画面39を閉じて(ステップS4)、プログラムを終了する一方、終了ボタン43が操作されていない場合には、再度、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)する。
【0037】
他方、ステップS2の判定結果がYESの場合、すなわち、ハンドミラー画面39のカメラ目線画像登録ボタン42が操作された場合には、まず、ハンドミラー画面39の操作エリア41の表示内容を更新する(ステップS5)。
【0038】
図4(b)は、ハンドミラー画面の表示内容更新を示す図である。この図に示すように、ステップS2の判定結果がYESの場合、すなわち、ハンドミラー画面39のカメラ目線画像登録ボタン42が操作された場合には、ハンドミラー画面39の操作エリア41に、所要の案内文字列(たとえば、“上部カメラに目線を向けてください”)を有するテキストオブジェクト44と、OKボタン45と、キャンセルボタン46とを表示する。
【0039】
再び図3に戻り、ハンドミラー画面39の操作エリア41の表示内容を更新(ステップS5)すると、次に、ハンドミラー画面39のOKボタン45が操作されたか否かを判定し(ステップS6)、操作されていなければ、ハンドミラー画面39のキャンセルボタン46が操作されたか否かを判定する(ステップS7)。そして、いずれのボタンも操作されていなければ、それらのステップS6とステップS7をループする一方、キャンセルボタン46が操作された場合は、再度、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)し、また、OKボタン45が操作された場合は、カメラ目線画像登録処理(ステップS8)を実行した後、再度、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)する。
【0040】
<カメラ目線画像登録処理>
図5は、カメラ目線画像登録処理(ステップS8)の動作フローを示す図である。このカメラ目線画像登録処理では、まず、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)のいずれか一方で撮影した画像を取り込み、その画像から人物の顔を抽出し、さらに、その顔から目の部分を切り出す(ステップS8a)。ここで、「二つの内側カメラのいずれか一方」とは、図4(b)のテキストオブジェクト44で指定されている方のカメラを指す。すなわち、図4(b)の例では、“上部カメラに目線を向けてください”となっているので、この場合の「二つの内側カメラのいずれか一方」は上カメラ29になる。
【0041】
ステップS8aで、顔から目の部分を切り出すと、その切り出し画像を「カメラ目線画像」としてシステム内に登録(ステップS8b)した後、再び、図3のステップS1を実行する。登録先は、たとえば、制御部36のPROM36bのユーザエリアとすることができる。なお、ステップS8aで、上カメラ29の画像から人物の顔が認識されなかった場合、または、上カメラ29の画像から人物の顔が認識された場合で且つその顔から目の部分を切り出せなかった場合は、カメラ目線画像の登録処理を完了できないので、この場合には、たとえば、ハンドミラー画面39の操作エリア41のテキストオブジェクト44に、所要の警告メッセージ(“登録を失敗しました。もう一度、上部カメラに目線を向けてください”など)を表示するとともに、再び、図3のステップS6、ステップS7をループさせることが望ましい。
【0042】
<ハンドミラー表示処理>
図6は、ハンドミラー表示処理(ステップS1)の動作フローを示す図である。このハンドミラー表示処理では、まず、表示部27に、図4(a)のハンドミラー画面39を表示し(ステップS1a)、次いで、カメラ目線画像が登録済みであるか否かを判定する(ステップS1b)。カメラ目線画像とは、先のカメラ目線画像登録処理(ステップS8)でシステム内(たとえば、制御部36のPROM36bのユーザエリア)に登録されている画像のことをいう。未登録であればそのまま、図3のステップS2に進む一方、登録済みであれば目線ずれ量の割り出し(ステップS1c)を行い、次いで、その目線ずれ量を基に、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)の撮影画像を投影・合成して目線を修正した画像(目線修正画像)を生成し、その目線修正画像を、図4(a)のハンドミラー画面39の表示エリア40に表示(ステップS1d)した後、図3のステップS2に進む。
【0043】
図7は、カメラ目線と非カメラ目線の説明図である。この図において、(a)に示すように、人物47の面前に透明な板48を立て、その板48の上に二つの点P1、P2をマークする。第一の点P1は人物47の目49よりも若干高い位置にあり、第二の点は人物47の目49とほぼ同じ高さに位置している。
【0044】
今、人物47が第一の点P1を直視したとすると、この第一の点P1からカメラ(上カメラ29)で人物47の目49を撮影した場合、その撮影画像は(b)のようになる。すなわち、(b)に示すように、白目50の中に上下バランスよく黒目(虹彩と瞳孔)51が位置した目画像52が得られる。一方、目線を下げて第二の点P2を直視した場合の撮影画像は(c)のようになる。すなわち、(c)に示すように、白目50の下寄りに黒目51が位置した目画像53が得られる。
【0045】
ここで、第一の点P1を直視したときと第二の点P2を直視したときのそれぞれの黒目51の高さ方向の中心位置を比較してみる。白目50の高さ方向幅をHとすると、第一の点P1を直視したときの黒目51の中心位置は白目50の高さ方向幅Hのほぼ1/2相当になるから、第一の点P1を直視したときの黒目51の中心位置は、白目50の上端から下方向にH1aだけ離れ且つ下端から上方向にH1bだけ離れた位置になり、結局、H1aとH1bはほぼ等しい関係(H1a≒H1b)になる。これに対して、第二の点P2を直視したときの黒目51の中心位置は白目50の高さ方向幅Hの1/2よりも下側になるから、第二の点P2を直視したときの黒目51の中心位置は、白目50の上端から下方向にH2aだけ離れ且つ下端から上方向にH2bだけ離れた位置になり、結局、H2aとH2bは前者が大きい関係(H2a>H2b)になる。
【0046】
したがって、第一の点P1を直視したときと第二の点P2を直視したときのそれぞれの目画像52、53から「H1a<H2a」の関係が得られる。そして、これら二つの値(H1aとH2a)の差は、(a)における二つの点P1、P2の距離Lに比例するから、結局のところ、上記二つの値(H1aとH2a)の差は、第一の点P1を直視したとき(カメラ目線のとき)と第二の点P2を直視したとき(非カメラ目線のとき)の目線ずれ量、つまり、目線のずれ角度θを表すことになる。
【0047】
先のカメラ目線画像登録処理(ステップS8)におけるカメラ目線画像は、第一の点P1を直視したときの目画像52のことであり、その登録処理とは、この目画像52をシステムに登録することをいう。また、先のハンドミラー表示処理(ステップS1)における目線修正画像の生成は、前記の目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を基に、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)の撮影画像を投影・合成して目線を修正した画像を生成することをいう。
【0048】
図8は、目線修正画像生成の概念図である。この図において、上カメラ29と下カメラ30の撮影画角内に人物47の顔が位置しており、この人物47の視線は、上カメラ29と下カメラ30の間に位置する不図示の画面(表示部27の表示画面)に向いており、非カメラ目線になっている。この視線状態(非カメラ目線)のとき、上カメラ29で撮影された上カメラ画像54には目線を下に向けた人物の顔55が写っており、且つ、その顔55の位置は画像の下に偏っている。また、下カメラ30で撮影された下カメラ画像56には目線を上に向けた人物の顔57が写っており、且つ、その顔57の位置は画像の上に偏っている。
【0049】
先のハンドミラー表示処理(ステップS1)では、まず、これら二つの画像(上カメラ画像54と下カメラ画像56)から被写体の偏りを修正した画像を生成する。つまり、上カメラ画像54の被写体は画像の下に偏り、且つ、下カメラ画像56の被写体は画像の上に偏っているので、たとえば、冒頭で説明したステレオ視の技術(たとえば、特許文献1、2など)を用い、表示位置の偏りを修正した画像(顔の位置がほぼ中央に位置するように修正した画像)を生成する。
【0050】
さて、冒頭の従来技術でも説明したとおり、ステレオ視の技術を適用しただけでは目線のずれを修正できないという不都合がある。このため、上記のように、表示位置の偏りを修正した画像を生成しただけでは、上カメラ画像54の下向き目線と下カメラ画像56の上向き目線の単純な合成となってしまう結果、違和感のある画像になる。これは、ステレオ視の技術においては、三角測量の原理で被写体各部の奥行きを認識し、同一撮影距離に位置する部分で且つ類似内容の部分同士を合成するという処理を行うからであり、単にステレオ視の技術を適用しただけでは、上カメラ画像54と下カメラ画像56に含まれる被写体の目の部分が単純合成されてしまうだけであるからである。
【0051】
そこで、本実施形態では、図8の下段に示すように、表示位置の偏りを修正した画像58に対して、さらに、前記の目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を基にした目線の修正処理を行う。具体的には、登録済みカメラ目線画像の黒目の中心と、表示位置の偏りを修正した画像58の黒目の中心とから、目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を割り出し、その目線ずれ量に基づいて、カメラ目線相当となるように目線を修正した画像を生成し、その画像を表示部27に表示する。
【0052】
このように、目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を基にした目線の修正処理を行うことにより、単にステレオ視の技術を適用しただけの場合の不都合(目線の違和感)をなくすことができる。その結果、非カメラ目線であっても、あたかもカメラ目線のように目線を修正した画像を表示部27に表示でき、携帯電話機20の表示部27をハンドミラーの代わりに不都合なく使用できるようになる。
【0053】
なお、以上の実施形態は携帯電話機への適用を例にしたが、これに限定されない。表示部と、その表示部の表示画面を見ている人の顔を撮影して当該表示部に表示できるカメラ(内側カメラ)とを備えた電子機器であればよく、たとえば、内側カメラ付のディスプレイを備えたパーソナルコンピュータ、または、内側カメラ付の携帯情報端末、携帯ゲーム機、電子辞書、電子ブック表示端末など多種多様なものに適用することができる。
【0054】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段と、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段と、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
付記1によれば、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる。
【0055】
(付記2)
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えたことを特徴とする付記1に記載の表示装置。
付記2によれば、ハンドミラー利用時の被写体の位置ずれ修正も行うことができる。
【0056】
(付記3)
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えるとともに、
前記修正手段は、前記カメラ目線画像に含まれる人物の黒目の中心と、当該被写体位置修正手段によって位置が修正された画像に含まれる人物の黒目の中心とから目線ずれ量を割り出し、その目線ずれ量に基づいて、カメラ目線相当となるように目線を修正した画像を生成することを特徴とする付記1に記載の表示装置。
付記3によれば、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うとともに、被写体の位置ずれ修正も同時に行うことができる。
【0057】
(付記4)
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置の制御方法において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録工程と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録工程で登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し工程と、
前記割り出し工程によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正工程と、
前記修正工程によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御工程と
を含むことを特徴とする表示制御方法。
付記4によれば、付記1と同様に、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる表示制御方法を提供することができる。
【0058】
(付記5)
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置のコンピュータを、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段、及び、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段
として機能させるためのプログラム。
付記5によれば、付記1の機能をソフトウェア(プログラム)の形で提供することができる。
【0059】
(付記6)
付記1に記載の表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
付記6によれば、内側カメラ付のディスプレイを備えたパーソナルコンピュータ、または、内側カメラ付の携帯電話機、携帯情報端末、携帯ゲーム機、電子辞書、電子ブック表示端末など多種多様な電子機器において、付記1と同様に、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる
【符号の説明】
【0060】
20 携帯電話機(表示装置、電子機器)
27 表示部
29 上カメラ(第一のカメラ)
30 下カメラ(第二のカメラ)
36a CPU(登録手段、割り出し手段、修正手段、表示制御手段、被写体位置修正手段)
52 目画像(カメラ目線画像)
53 目画像(非カメラ目線画像)
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示制御方法、プログラム及び電子機器に関し、詳細には、画面を見ている人の顔を表示することができる表示装置、表示制御方法、プログラム及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ付の電子機器、たとえば、カメラ付携帯電話機におけるカメラの位置は、一般的にデジタルカメラの構成に倣って表示装置の背面側とされている。すなわち、被写体にカメラを向けた状態で、その被写体の構図等を表示装置で確認できるようにされているが、昨今では、表示装置の表示面側にもカメラを搭載したタイプも一部で出回っている。本明細書におけるカメラは、表示装置の表示面側に設けられたものを指すこととし、さらに明確を期すために、このカメラを一般的な呼称に即して「内側カメラ」ということにする。
【0003】
さて、内側カメラを備えた携帯電話機等の電子機器は、その内側カメラを使用して画面(表示装置の表示画面)を見ている人の顔を撮像し、その画像を表示装置に映し出すことができることから、たとえば、当該電子機器をハンドミラー(手鏡)の代わりに使用することができ、便利である。
【0004】
しかしながら、実際のハンドミラー使用時の感覚とは違いがある。第一の違いは、画面の中央に顔が位置しないことにある。これは、内側カメラの位置が表示装置の画面外側に寄っているため、表示装置の画面に顔を正対させたとしても、内側カメラで撮影された顔の位置が構図の中央に寄らず、偏って映し出されてしまうからである。
【0005】
図9は、内側カメラの位置とその内側カメラで撮影された画像との対応関係を示す図である。この図において、表示装置1は額縁状の筐体2に収められており、その筐体2の額縁内・・・・図では表示装置1の左側であるが、これは一例である。上下左右のいずれの位置であってもよい。・・・・にカメラ3が設けられている。このカメラ3の撮影方向は、表示装置1の表示画面の前面側鉛直方向と平行な方向であり、且つ、その撮影画角(撮影範囲)は、表示装置1の表示画面を見ている人の顔を映し出すことができる適度な画角(たとえば、50度乃至それ以上の広角)である。したがって、このカメラ3は、表示装置の表示画面を見ている人の顔を撮像することができるから、前記の「内側カメラ」に相当する。
【0006】
今、表示装置1の画面前面に、被写体としての人物4が正対したと仮定すると、カメラ3に映し出される人物4の位置は、カメラ3の撮影構図の左寄りになる。これは、カメラ3の位置が(図示の例の場合)表示装置1の図面に向かって左側にずれているからであり、そのため、カメラ3の撮影画角の図面に向かって右側(カメラ3の側から見た場合は左側)にずれて人物4が映し出されてしまうからである。したがって、カメラ3の画像を表示装置1に表示した場合に、図示のように、人物4が画面の左に偏って表示されるという不都合(第一の違い)を生じる。
【0007】
かかる表示位置の偏りを修正する技術としては、たとえば、二つのカメラを用いた、いわゆるステレオ視の技術を応用するものが知られている(たとえば、下記の特許文献1、2参照)。
【0008】
図10は、ステレオ視の概念説明図である。この図において、互いの撮影画角内に被写体5を含むように適切に配置された一対のカメラ(以下、左カメラ6、右カメラ7)が示されており、これら一対のカメラの撮影画像(以下、左カメラ画像8、右カメラ画像9)に写し込まれた被写体5の位置は、先の図9に示した不都合と同様の理由で、それぞれ右方向と左方向に偏っている。
【0009】
ステレオ視の技術は、要するに、人間の視覚認識処理を応用したものであって、左目の視覚情報に相当する左カメラ画像8と、右目の視覚情報に相当する右カメラ画像9とを所定のエリア(画素単位または所定の画素群単位)ごとに比較して、類似度の高いエリア同士を合成することにより、被写体5の位置を構図の中央にずらして再生した左再生画像10と右再生画像11とを作り出すというものである。
【0010】
ちなみに、ここまでのステレオ視の技術は下記の特許文献1、2に記載されている。下記の特許文献2は、このようなステレオ視の技術に加えて、さらに、専用メガネを必要としない三次元表示デバイス(3D表示デバイス)との併用を開示する。すなわち、図示のように、三次元表示デバイス12は、上述のステレオ視の技術で作り出された左再生画像10と右再生画像11とを入力信号とし、左再生画像10が表示画面の斜め左方向から見えるように表示するとともに、右再生画像11が表示画面の斜め右方向から見えるように表示することにより、人物13の左目14に左再生画像10を視認させ、人物13の右目15に右再生画像11を視認させるようにしている。
【0011】
以上のとおり、特許文献1、2の技術を応用すれば、ハンドミラー動作時の先の不都合、つまり、表示装置の画面に顔を正対させたとしても、内側カメラで撮影された顔の位置が構図の中央に寄らず、偏って映し出されてしまうという不都合(第一の違い)を解消できる。
【0012】
しかしながら、特許文献1、2の技術は、単なるステレオ視の技術であるから、目線のずれを修正できないという欠点がある。たとえば、図10の例において、被写体5を人物の顔と仮定するとともに、その顔の目線が表示装置からずれているケースを考える。このようなケースの場合、ステレオ視の技術によって再生された左再生画像10と右再生画像11は、ともに、目線がずれたままの顔画像を含むこととなり、結局、ハンドミラー動作時の目線ずれの違和感(以下、第二の違い)を否めない。
【0013】
目線のずれを修正する技術は、たとえば、下記の特許文献3に記載のものが知られている。
図11は、目線のずれを修正する従来技術を示す図である。この図において、(a)はカメラ目線の顔画像16から目部分17を切り出す概念図、(b)はカメラ目線でない顔画像18を示す図、(c)は(b)の顔画像18からカメラ目線でない目部分19を消去する図、(d)は(c)のカメラ目線でない目部分19に(a)で切り出したカメラ目線の目部分17を貼り付けた図である。このように、あらかじめ切り出しておいたカメラ目線の目部分17を、カメラ目線でない顔画像18の目部分19に貼り付けることにより、目線のずれを修正した顔画像18を得ることができる。
【0014】
なお、カメラ目線であるか否かの判定技術としては、たとえば、下記の特許文献4、5などの技術を利用することができる。ちなみに、下記の特許文献4は白目内の黒目の位置から目線方向を判定し、または、下記の特許文献5は視線方向検出部によって運転者の視線方向を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−159061号公報
【特許文献2】特開2004−048644号公報
【特許文献3】特開2005−117106号公報
【特許文献4】特開2007−096440号公報
【特許文献5】特開2010−134608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のとおり、たとえば、特許文献1〜5に記載の技術を組み合わせることにより、ハンドミラー動作時の被写体の位置ずれ修正と目線ずれ修正とを行うことが一応可能であると認められるものの、特許文献3の技術(図11参照)は、単なる画像貼り付け(いわゆるコラージュ)に過ぎないため、たとえば、貼り付けられた画像(図11(d)の目部分17)の貼り付け境界に微妙な段差が生じたり、水平方向への微細な位置ずれが生じたりするという問題点がある。
【0017】
そこで、本発明の目的は、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の表示装置は、表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置において、前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段と、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段と、前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段と、前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】携帯電話機の外観図である。
【図2】携帯電話機20の構成図である。
【図3】制御プログラムの要部の動作フローを示す図である。
【図4】ハンドミラー画面を示す図及びハンドミラー画面の表示内容更新を示す図である。
【図5】カメラ目線画像登録処理(ステップS8)の動作フローを示す図である。
【図6】ハンドミラー表示処理(ステップS1)の動作フローを示す図である。
【図7】カメラ目線と非カメラ目線の説明図である。
【図8】目線修正画像生成の概念図である。
【図9】内側カメラの位置とその内側カメラで撮影された画像との対応関係を示す図である。
【図10】ステレオ視の概念説明図である。
【図11】目線のずれを修正する従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を、携帯電話機への適用を例にして図面を参照しながら説明する。
図1は、携帯電話機の外観図である。この図において、携帯電話機20は、手持ちに適した厚みと大きさを有する縦長箱型形状の本体部21と、その本体部21の上部一短辺端にヒンジ機構22を介して連結された、本体部21と略同型状かつ薄厚の蓋部23とを備えた、いわゆる「折り畳み式」の筐体24を有している。
【0022】
本体部21の一方面(蓋部23との対向面)には、多数の操作ボタンからなる操作ボタン群25や送話孔26が設けられ、また、蓋部23の一方面(本体部21との対向面)には、表示部27や、この表示部27の周囲を覆う額縁部28、二つのカメラ29、30及び受話孔31が設けられている。
【0023】
表示部27は、長方形状の所定サイズの表示面を有する二次元表示デバイス、典型的には、液晶ディスプレイパネルであり、表示部27の表示面には透明なタッチパネル37が貼り付けられている。なお、図では表示部27とタッチパネル37を面方向にずらして描いているが、これは説明上の便宜である。実際には、表示部27の表示面全体を覆うようにして、この表示面とほぼ同じ平面サイズのタッチパネル37が配置されている。
また、表示部27の両短辺(図では上短辺と下短辺)の各々に接近させて二つのカメラ29、30が配置されている。以下、表示部27の上短辺に接近させて配置されたカメラ29を「上カメラ」、表示部27の下短辺に接近させて配置されたカメラ30を「下カメラ」ということにする。
【0024】
上カメラ29と下カメラ30の撮影方向は、いずれも、表示部27の表示面の鉛直方向と平行な方向であり、且つ、その撮影画角(撮影範囲)は、表示部27の表示面を見ている人の顔を映し出すことができる適度な画角(たとえば、50度乃至それ以上の広角)である。したがって、これら二つのカメラ29、30は、どちらも、表示部27の表示面を見ている人の顔を撮像することができるから、冒頭で説明した「内側カメラ」に相当する。
【0025】
なお、図示の携帯電話機20は「折り畳み式」であるが、これに限定されない。非折り畳み式やスライド式などであってもよい。要は、表示部27の表示面を見ている人の顔を撮像することができる「内側カメラ」を少なくとも二つ備えたものであればよい。また、図示の「内側カメラ」は、表示部27の上下短辺側に各々設けられた上カメラ29と下カメラ30であるが、これにも限定されない。表示部27の対向する二辺の各々に接近して設けられていればよく、たとえば、左右辺側に各々接近して設けられていてもよい。この場合は、左カメラ29と右カメラ30と読み替えればよい。
【0026】
図2は、携帯電話機20の構成図である。この図において、携帯電話機20は、通信部32、撮像部33、送受話部34、操作部35、制御部36、表示部27、タッチパネル37、並びに、この携帯電話機20の動作に必要な電源を供給するためのバッテリ(一次電池または充電可能な二次電池)を含む電源部38などを備えている。
【0027】
通信部32は、制御部36からの制御により、アンテナ32aを介して最寄りの基地局(図示略)との間で無線によるアナログもしくはデジタルデータの送受信を行い、このデータには、電話の着呼や発呼の情報および音声通話の情報が含まれるほか、必要であれば、インターネット上のコンテンツを利用(ダウンロード)する際などのコンテンツ情報や電子メールの送受信情報などが含まれる。
【0028】
撮像部33は、上カメラ29と下カメラ30とを含み、制御部36からの制御により、これら二つのカメラ(上カメラ29と下カメラ30)で各々撮影した上カメラ画像と下カメラ画像を制御部36に出力する。
【0029】
送受話部34は、本体部21の送話孔26の下に配置されたマイク34aや蓋部23の受話孔31の下に配置されたスピーカ34bを含み、この送受話部34は、制御部36からの制御により、マイク34aからの音声信号をデジタルデータに変換して制御部36に出力したり、制御部36から出力されたデジタルの音声信号をアナログ信号に変換してスピーカ34bから出力したりする。
【0030】
操作部35は、制御部36に対して所要のユーザ入力を行うための各種操作ボタン(図1の操作ボタン群25)を備え、この操作ボタン群25には、特に、携帯電話機20をハンドミラーとして利用する際に押し下げ操作されるハンドミラーモードボタン35aが含まれている。
【0031】
制御部36は、マイクロコンピュータまたは単にコンピュータ(以下、CPU)36a、書き換え可能不揮発性半導体メモリ(以下、PROM)36bおよび高速半導体メモリ(以下、RAM)36cならびに不図示の周辺回路を含むプログラム制御方式の制御要素であり、この制御部36は、携帯電話機20の全体動作を統括制御するために、あらかじめPROM36bに格納されている制御プログラムをRAM36cにロードしてCPU36aで実行する。
【0032】
制御プログラムは、グラフィカルユーザインターフェース対応の、いわゆるオペレーティングシステム(OS)と称される基本プログラムを含むとともに、所要のドライバプログラム、詳細には、特定のハードウェアの動作に必要な専用プログラムであって、たとえば、タッチパネル37のドライバプログラムを含み、さらに、それらの基本プログラムやドライバプログラムなどとともに、特定の機能(図示の例では携帯電話機能)を実現するための専用アプリケーションプログラム(応用プログラム)を含む。
【0033】
図3は、制御プログラムの要部の動作フローを示す図である。この図において、図示の制御プログラムは所定のイベントが発生したとき、具体的には、操作部35のハンドミラーモードボタン35aが押し下げ操作されたときに実行されるイベント起動型のプロセスであり、この制御プログラムを起動すると、まず、ハンドミラー表示処理を実行する(ステップS1)。
【0034】
ハンドミラー表示処理の詳細は後で説明するが、端的に言えば、表示部27に所要の画面(ハンドミラー画面:図4(a)参照)を表示しつつ、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)でそのハンドミラー画面を見ている人物の顔を撮影して所要の画像処理を行い、処理後の画像をハンドミラー画面の所定エリアに表示するというものであり、要するに、携帯電話機20の表示部27をハンドミラーの代わりに使用できるようにするための一連の処理のことをいう。
【0035】
図4(a)は、ハンドミラー画面を示す図である。ハンドミラー画面39は、その画面のほとんどを占める表示エリア40と、画面の残余部分(この図では下端部分)に設けられた操作エリア41とを備えるとともに、操作エリア41にカメラ目線画像登録ボタン42と終了ボタン43とを配置して構成されている。
【0036】
再び図3に戻り、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)すると、次に、ハンドミラー画面39のカメラ目線画像登録ボタン42が操作されたか否かを判定し(ステップS2)、操作されていなければ、ハンドミラー画面39の終了ボタン43が操作されたか否かを判定する(ステップS3)。そして、終了ボタン43が操作された場合にはハンドミラー画面39を閉じて(ステップS4)、プログラムを終了する一方、終了ボタン43が操作されていない場合には、再度、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)する。
【0037】
他方、ステップS2の判定結果がYESの場合、すなわち、ハンドミラー画面39のカメラ目線画像登録ボタン42が操作された場合には、まず、ハンドミラー画面39の操作エリア41の表示内容を更新する(ステップS5)。
【0038】
図4(b)は、ハンドミラー画面の表示内容更新を示す図である。この図に示すように、ステップS2の判定結果がYESの場合、すなわち、ハンドミラー画面39のカメラ目線画像登録ボタン42が操作された場合には、ハンドミラー画面39の操作エリア41に、所要の案内文字列(たとえば、“上部カメラに目線を向けてください”)を有するテキストオブジェクト44と、OKボタン45と、キャンセルボタン46とを表示する。
【0039】
再び図3に戻り、ハンドミラー画面39の操作エリア41の表示内容を更新(ステップS5)すると、次に、ハンドミラー画面39のOKボタン45が操作されたか否かを判定し(ステップS6)、操作されていなければ、ハンドミラー画面39のキャンセルボタン46が操作されたか否かを判定する(ステップS7)。そして、いずれのボタンも操作されていなければ、それらのステップS6とステップS7をループする一方、キャンセルボタン46が操作された場合は、再度、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)し、また、OKボタン45が操作された場合は、カメラ目線画像登録処理(ステップS8)を実行した後、再度、ハンドミラー表示処理を実行(ステップS1)する。
【0040】
<カメラ目線画像登録処理>
図5は、カメラ目線画像登録処理(ステップS8)の動作フローを示す図である。このカメラ目線画像登録処理では、まず、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)のいずれか一方で撮影した画像を取り込み、その画像から人物の顔を抽出し、さらに、その顔から目の部分を切り出す(ステップS8a)。ここで、「二つの内側カメラのいずれか一方」とは、図4(b)のテキストオブジェクト44で指定されている方のカメラを指す。すなわち、図4(b)の例では、“上部カメラに目線を向けてください”となっているので、この場合の「二つの内側カメラのいずれか一方」は上カメラ29になる。
【0041】
ステップS8aで、顔から目の部分を切り出すと、その切り出し画像を「カメラ目線画像」としてシステム内に登録(ステップS8b)した後、再び、図3のステップS1を実行する。登録先は、たとえば、制御部36のPROM36bのユーザエリアとすることができる。なお、ステップS8aで、上カメラ29の画像から人物の顔が認識されなかった場合、または、上カメラ29の画像から人物の顔が認識された場合で且つその顔から目の部分を切り出せなかった場合は、カメラ目線画像の登録処理を完了できないので、この場合には、たとえば、ハンドミラー画面39の操作エリア41のテキストオブジェクト44に、所要の警告メッセージ(“登録を失敗しました。もう一度、上部カメラに目線を向けてください”など)を表示するとともに、再び、図3のステップS6、ステップS7をループさせることが望ましい。
【0042】
<ハンドミラー表示処理>
図6は、ハンドミラー表示処理(ステップS1)の動作フローを示す図である。このハンドミラー表示処理では、まず、表示部27に、図4(a)のハンドミラー画面39を表示し(ステップS1a)、次いで、カメラ目線画像が登録済みであるか否かを判定する(ステップS1b)。カメラ目線画像とは、先のカメラ目線画像登録処理(ステップS8)でシステム内(たとえば、制御部36のPROM36bのユーザエリア)に登録されている画像のことをいう。未登録であればそのまま、図3のステップS2に進む一方、登録済みであれば目線ずれ量の割り出し(ステップS1c)を行い、次いで、その目線ずれ量を基に、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)の撮影画像を投影・合成して目線を修正した画像(目線修正画像)を生成し、その目線修正画像を、図4(a)のハンドミラー画面39の表示エリア40に表示(ステップS1d)した後、図3のステップS2に進む。
【0043】
図7は、カメラ目線と非カメラ目線の説明図である。この図において、(a)に示すように、人物47の面前に透明な板48を立て、その板48の上に二つの点P1、P2をマークする。第一の点P1は人物47の目49よりも若干高い位置にあり、第二の点は人物47の目49とほぼ同じ高さに位置している。
【0044】
今、人物47が第一の点P1を直視したとすると、この第一の点P1からカメラ(上カメラ29)で人物47の目49を撮影した場合、その撮影画像は(b)のようになる。すなわち、(b)に示すように、白目50の中に上下バランスよく黒目(虹彩と瞳孔)51が位置した目画像52が得られる。一方、目線を下げて第二の点P2を直視した場合の撮影画像は(c)のようになる。すなわち、(c)に示すように、白目50の下寄りに黒目51が位置した目画像53が得られる。
【0045】
ここで、第一の点P1を直視したときと第二の点P2を直視したときのそれぞれの黒目51の高さ方向の中心位置を比較してみる。白目50の高さ方向幅をHとすると、第一の点P1を直視したときの黒目51の中心位置は白目50の高さ方向幅Hのほぼ1/2相当になるから、第一の点P1を直視したときの黒目51の中心位置は、白目50の上端から下方向にH1aだけ離れ且つ下端から上方向にH1bだけ離れた位置になり、結局、H1aとH1bはほぼ等しい関係(H1a≒H1b)になる。これに対して、第二の点P2を直視したときの黒目51の中心位置は白目50の高さ方向幅Hの1/2よりも下側になるから、第二の点P2を直視したときの黒目51の中心位置は、白目50の上端から下方向にH2aだけ離れ且つ下端から上方向にH2bだけ離れた位置になり、結局、H2aとH2bは前者が大きい関係(H2a>H2b)になる。
【0046】
したがって、第一の点P1を直視したときと第二の点P2を直視したときのそれぞれの目画像52、53から「H1a<H2a」の関係が得られる。そして、これら二つの値(H1aとH2a)の差は、(a)における二つの点P1、P2の距離Lに比例するから、結局のところ、上記二つの値(H1aとH2a)の差は、第一の点P1を直視したとき(カメラ目線のとき)と第二の点P2を直視したとき(非カメラ目線のとき)の目線ずれ量、つまり、目線のずれ角度θを表すことになる。
【0047】
先のカメラ目線画像登録処理(ステップS8)におけるカメラ目線画像は、第一の点P1を直視したときの目画像52のことであり、その登録処理とは、この目画像52をシステムに登録することをいう。また、先のハンドミラー表示処理(ステップS1)における目線修正画像の生成は、前記の目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を基に、二つの内側カメラ(上カメラ29と下カメラ30)の撮影画像を投影・合成して目線を修正した画像を生成することをいう。
【0048】
図8は、目線修正画像生成の概念図である。この図において、上カメラ29と下カメラ30の撮影画角内に人物47の顔が位置しており、この人物47の視線は、上カメラ29と下カメラ30の間に位置する不図示の画面(表示部27の表示画面)に向いており、非カメラ目線になっている。この視線状態(非カメラ目線)のとき、上カメラ29で撮影された上カメラ画像54には目線を下に向けた人物の顔55が写っており、且つ、その顔55の位置は画像の下に偏っている。また、下カメラ30で撮影された下カメラ画像56には目線を上に向けた人物の顔57が写っており、且つ、その顔57の位置は画像の上に偏っている。
【0049】
先のハンドミラー表示処理(ステップS1)では、まず、これら二つの画像(上カメラ画像54と下カメラ画像56)から被写体の偏りを修正した画像を生成する。つまり、上カメラ画像54の被写体は画像の下に偏り、且つ、下カメラ画像56の被写体は画像の上に偏っているので、たとえば、冒頭で説明したステレオ視の技術(たとえば、特許文献1、2など)を用い、表示位置の偏りを修正した画像(顔の位置がほぼ中央に位置するように修正した画像)を生成する。
【0050】
さて、冒頭の従来技術でも説明したとおり、ステレオ視の技術を適用しただけでは目線のずれを修正できないという不都合がある。このため、上記のように、表示位置の偏りを修正した画像を生成しただけでは、上カメラ画像54の下向き目線と下カメラ画像56の上向き目線の単純な合成となってしまう結果、違和感のある画像になる。これは、ステレオ視の技術においては、三角測量の原理で被写体各部の奥行きを認識し、同一撮影距離に位置する部分で且つ類似内容の部分同士を合成するという処理を行うからであり、単にステレオ視の技術を適用しただけでは、上カメラ画像54と下カメラ画像56に含まれる被写体の目の部分が単純合成されてしまうだけであるからである。
【0051】
そこで、本実施形態では、図8の下段に示すように、表示位置の偏りを修正した画像58に対して、さらに、前記の目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を基にした目線の修正処理を行う。具体的には、登録済みカメラ目線画像の黒目の中心と、表示位置の偏りを修正した画像58の黒目の中心とから、目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を割り出し、その目線ずれ量に基づいて、カメラ目線相当となるように目線を修正した画像を生成し、その画像を表示部27に表示する。
【0052】
このように、目線ずれ量(目線のずれ角度θ)を基にした目線の修正処理を行うことにより、単にステレオ視の技術を適用しただけの場合の不都合(目線の違和感)をなくすことができる。その結果、非カメラ目線であっても、あたかもカメラ目線のように目線を修正した画像を表示部27に表示でき、携帯電話機20の表示部27をハンドミラーの代わりに不都合なく使用できるようになる。
【0053】
なお、以上の実施形態は携帯電話機への適用を例にしたが、これに限定されない。表示部と、その表示部の表示画面を見ている人の顔を撮影して当該表示部に表示できるカメラ(内側カメラ)とを備えた電子機器であればよく、たとえば、内側カメラ付のディスプレイを備えたパーソナルコンピュータ、または、内側カメラ付の携帯情報端末、携帯ゲーム機、電子辞書、電子ブック表示端末など多種多様なものに適用することができる。
【0054】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段と、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段と、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
付記1によれば、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる。
【0055】
(付記2)
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えたことを特徴とする付記1に記載の表示装置。
付記2によれば、ハンドミラー利用時の被写体の位置ずれ修正も行うことができる。
【0056】
(付記3)
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えるとともに、
前記修正手段は、前記カメラ目線画像に含まれる人物の黒目の中心と、当該被写体位置修正手段によって位置が修正された画像に含まれる人物の黒目の中心とから目線ずれ量を割り出し、その目線ずれ量に基づいて、カメラ目線相当となるように目線を修正した画像を生成することを特徴とする付記1に記載の表示装置。
付記3によれば、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うとともに、被写体の位置ずれ修正も同時に行うことができる。
【0057】
(付記4)
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置の制御方法において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録工程と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録工程で登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し工程と、
前記割り出し工程によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正工程と、
前記修正工程によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御工程と
を含むことを特徴とする表示制御方法。
付記4によれば、付記1と同様に、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる表示制御方法を提供することができる。
【0058】
(付記5)
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置のコンピュータを、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段、及び、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段
として機能させるためのプログラム。
付記5によれば、付記1の機能をソフトウェア(プログラム)の形で提供することができる。
【0059】
(付記6)
付記1に記載の表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
付記6によれば、内側カメラ付のディスプレイを備えたパーソナルコンピュータ、または、内側カメラ付の携帯電話機、携帯情報端末、携帯ゲーム機、電子辞書、電子ブック表示端末など多種多様な電子機器において、付記1と同様に、ハンドミラー利用時の被写体の目線ずれの修正をより違和感なく行うことができる
【符号の説明】
【0060】
20 携帯電話機(表示装置、電子機器)
27 表示部
29 上カメラ(第一のカメラ)
30 下カメラ(第二のカメラ)
36a CPU(登録手段、割り出し手段、修正手段、表示制御手段、被写体位置修正手段)
52 目画像(カメラ目線画像)
53 目画像(非カメラ目線画像)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段と、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段と、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えるとともに、
前記修正手段は、前記カメラ目線画像に含まれる人物の黒目の中心と、当該被写体位置修正手段によって位置が修正された画像に含まれる人物の黒目の中心とから目線ずれ量を割り出し、その目線ずれ量に基づいて、カメラ目線相当となるように目線を修正した画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置の制御方法において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録工程と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録工程で登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し工程と、
前記割り出し工程によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正工程と、
前記修正工程によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御工程と
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項5】
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置のコンピュータを、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段、及び、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段と、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段と、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
さらに、前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像に含まれる被写体の位置をステレオ視の原理で構図の中央方向にずらして修正する被写体位置修正手段を備えるとともに、
前記修正手段は、前記カメラ目線画像に含まれる人物の黒目の中心と、当該被写体位置修正手段によって位置が修正された画像に含まれる人物の黒目の中心とから目線ずれ量を割り出し、その目線ずれ量に基づいて、カメラ目線相当となるように目線を修正した画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置の制御方法において、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録工程と、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録工程で登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し工程と、
前記割り出し工程によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正工程と、
前記修正工程によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御工程と
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項5】
表示部の表示画面の対向二辺に接近して配置され且ついずれも前記表示画面を見ている人物の顔を撮影可能な第一のカメラと第二のカメラを備えた表示装置のコンピュータを、
前記第一のカメラで撮影したカメラ目線画像を登録する登録手段、
前記第一のカメラ及び第二のカメラで撮影した非カメラ目線画像と前記登録手段に登録済みのカメラ目線画像とに基づいて目線ずれ量を割り出す割り出し手段、
前記割り出し手段によって割り出された目線ずれ量に基づいて前記非カメラ目線画像の目線を修正する修正手段、及び、
前記修正手段によって目線が修正された目線修正済み画像を前記表示部に表示する表示制御手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−114557(P2012−114557A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259954(P2010−259954)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
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