説明

表示装置、表示方法、およびこの表示方法のための記録媒体

【課題】 複数のスクリーンを用いながらかさばらず、したがって、携帯端末に好適に用いることができる表示装置を提供する。
【解決手段】 この表示装置は、表示平面に平行に配置された複数のスクリーン(4、6、8、10)であって、統合表示面を縮小するために、スクリーンのうちの少なくとも2つが重なり合っている引っ込み位置と、統合表示面を増加させるために、スクリーンの重なり合いが軽減または解除されている完全展開位置との間で、表示平面に平行に変位する複数のスクリーン(4、6、8、10)と、引っ込み位置と完全展開位置との両方において、統合表示面の全面にわたって全体画像を表示するように制御することができるコンピュータ(12)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、およびこの表示装置による表示方法に関する。本発明は、さらに、この表示方法を遂行するための情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ファイリングの関係者には、次のものを備えている表示装置は公知である。
− 同一の表示平面に平行に配置された複数のスクリーンであって、各スクリーンの個別表示面の総計から、個別表示面間で重なり合っている部分の面(それがあるとすれば)を引いた面と等しい画像の統合表示面を形成している複数のスクリーンと、
− 統合表示面の全面にわたって全体画像を表示するように、各スクリーンの上における部分画像の表示を制御することができるコンピュータ。
【0003】
公知のこのような表示装置においては、スクリーンは、なんらの自由度もないようにして、相互に固定されている。より詳細に述べると、スクリーンは、個別の表示面が重なり合わないように、互いに隣接して位置している。
【0004】
これらの表示装置は、いくつかの個別表示面を用いて、大きな総表示面を得るために利用される。しかしながら、このような表示装置は非常にかさばる。したがって、このような表示装置を携帯端末に用いることは非常に難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術のこのような欠点を克服することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、次のような表示装置を提供するものである。
− スクリーンは、統合表示面を縮小するために、スクリーンのうちの少なくとも2つが重なり合っている引っ込み位置と、統合表示面を増加させるために、スクリーンの重なり合いが軽減または解除されている完全展開位置との間で、表示平面と平行に変位することができ、
− コンピュータは、引っ込み位置と完全展開位置との両方において、統合表示面の全面にわたって、全体画像を表示するように制御することができる。
【0007】
引っ込み位置へのスクリーンの変位が可能であることによって、表示装置の要求空間は縮小される。これは、引っ込み位置への表示装置の変位の際に有用である。
【0008】
逆に、展開位置へのスクリーンの変位が可能であるため、表示装置の使用中、より大きな統合表示面を得ることができる。
【0009】
この表示装置の実施形態においては、次の特性のうちの1つ以上を備えていてもよい。
・ この表示装置は、スクリーンの位置を測定することができる少なくとも1つのセンサ、および測定されたスクリーンの位置に、画像の表示を自動的に適合させることができるコンピュータを備えている。
・ コンピュータは、引っ込み位置と完全展開位置との両方において、統合表示面の全面にわたって、同一の全体画像を表示するように制御することができる。
・ 表示装置は、互いに相対的に変位することができる、少なくとも3つのスクリーン、およびそれらのスクリーンの変位の間に相関を与えることができる同期メカニズムを備えている。
・ 表示装置は、引っ込み位置と完全展開位置との中間の少なくとも1つの中間位置に、スクリーンの位置をロックするためのメカニズムを備えている。
【0010】
さらに、表示装置のこれらの実施形態は、次の長所を有している。
− スクリーンの位置を検出するためのセンサを用いることによって、画像の表示をスクリーンの位置に自動的に適合させることができ、したがって、この表示装置の使用方法が簡単になる。
− 可変サイズの統合表示面の全面にわたって、同一の画像を表示することにより、統合表示面を拡大して、画像のサイズを拡大する新しい方法が、ユーザに提供される。
− 同期メカニズムを用いることによって、例えば統合表示面の幅と高さの比を、あらかじめ定められた値とすることができる。
− 中間位置をロックするためのメカニズムを用いることによって、統合表示面を、ユーザの希望に、より容易に適合させることができる。
【0011】
本発明は、さらに、上述の表示装置上に画像を表示するための、次のステップを含む方法を提供するものである。
− 引っ込み位置と完全展開位置との両方において、統合表示面の全面にわたって、全体画像を表示するように制御するステップ。
【0012】
この表示の方法の実施形態は、次の特性を備えていてもよい。
・ この方法は、次のステップを含んでいる。
− スクリーンの位置を測定するステップと、
− 測定されたスクリーンの位置から、スクリーンの変位を検出するステップと、
− それに応じて、各部分画像を表示するための新しい制御を自動的に開始するステップ。
・ この方法は、引っ込み位置と完全展開位置との両方において、統合表示面の全面にわたって、同一の全体画像を表示するように制御するステップを含んでいる。
【0013】
表示の方法のこれらの実施形態は、さらに次の長所を有している。
− スクリーンの変位を検出することによって、新しく得られた統合表示面に自動的に適合した画像が得られる。
【0014】
最後に、本発明は、電子的なコンピュータによって実行されたときに、上述の表示の方法を遂行する命令を備える情報記録媒体を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】引っ込み位置における、複数のスクリーンを装備した表示装置を示す図である。
【図2】中間位置における、図1の表示装置を示す図である。
【図3】完全展開位置における、図1の表示装置を示す図である。
【図4】図1の表示装置のスクリーンを変位させる変位メカニズム、および変位を同期させるための同期メカニズムの概略図である。
【図5】図1の表示装置のスクリーンの位置をロックする方法を示す概略図である。
【図6】図1の表示装置のスクリーン上に全体画像を表示する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、単に例示の目的で示す以下の説明を読むことによって、本発明を、より明瞭に理解しうると思う。
【0017】
図面において、同一の要素には、同一の符号を付してある。
【0018】
以下の記載において、当業者に周知の特性および機能については、詳細に説明しない。
【0019】
図1は、互いに対して相対的に、表示平面と平行に変位することができる4つのスクリーン4、6、8、10を装備した表示装置2を示す。表示平面は、水平方向であるX方向、およびX方向と直交する垂直方向であるY方向とを有している。図1においては、スクリーン4、6、8、10は、引っ込み位置の状態で示されている。この引っ込み位置においては、各スクリーンの表示面は、互いにほとんど完全に重なり合っている。例えばZ方向から見たとき、各スクリーン6、8、10の個別表示面の少なくとも90%は、覆い隠されている。スクリーンの個別表示面は、画像を表示することができる、スクリーンの最大表示面である。これらの個別表示面は、表示平面と平行に延在している。
【0020】
各スクリーン4、6、8、10は、平面スクリーンである。これらの平面スクリーンは、可能な限り薄いことが好ましい。例えばX方向およびY方向に直交するZ方向の各スクリーンの厚さは、そのスクリーンの対角線の長さの1/10未満である。各スクリーンの厚さは、5cm以下、または2cm以下であることが好ましく、さらには、5mm以下または3mm以下であることがより好ましい。このようにするために、スクリーン4、6、8、10は、例えばOLED(有機発光ダイオード)スクリーンである。
【0021】
統合表示面が、これらのスクリーン4、6、8、10の各々の個別表示面の総計から、個別表示面間で重なり合っている部分の面を引いた面と等しくなるように、これらのスクリーン4、6、8、10は、互いに対して相対的に配置されている。
【0022】
個別表示面が重なり合うことができるように、各スクリーン4、6、8、10は、表示平面と平行に変位することができるそれぞれの最大変位可能平面内に位置している。これらの最大変位可能平面は、Z方向に順に並んでいる。
【0023】
スクリーン4は、Z方向において、最も前面に位置するスクリーンである。このスクリーン4は、表示装置2のフレームに固定されている。
【0024】
スクリーン6、8、10のそれぞれの最大変位可能平面は、その一部分が、Z方向において、スクリーン4の背後に位置している。例えばスクリーン4、6、8、10は、スクリーン4、スクリーン6、スクリーン8、スクリーン10の順に、Z方向に沿って並んでいる。
【0025】
この実施形態においては、スクリーン6、8は、それぞれY方向、X方向に沿って、一方向に並進変位することができるだけである。スクリーン10は、X方向およびY方向に対して45°の角度をなすU方向に沿って、その最大変位可能平面内を並進変位することができるだけである。
【0026】
さらに表示装置2は、スクリーン4、6、8、10の各々に接続された、プログラム可能な電子的なコンピュータ12を有している。このコンピュータ12は、表示されるべき全体画像を、いくつかの部分画像に分割し、かつこれらの部分画像の各々を、スクリーン4、6、8、10のいずれか1つ上に表示するように制御することができる。より詳細には、コンピュータ12は、図6の方法を遂行することができる。その遂行のために、コンピュータ12は、コンピュータ12によって実行されたときに、図6の方法を遂行する命令を記憶しているメモリ14に接続されている。
【0027】
コンピュータ12は、さらに、それぞれY方向、X方向、U方向に沿うスクリーン6、8、10の位置を検出するセンサ16に接続されている。
【0028】
図2は、スクリーン4、6、8、10が、図1に示されている引っ込み位置と、図3に示されている完全展開位置との中間の中間位置にある状態の表示装置2を示している。この中間位置においては、Z方向から見たときに、スクリーン4、6、8、10の個別表示面は、部分的に重なり合っている。しかしながら、この場合に重なり合っている面積は、スクリーン4、6、8、10が引っ込み位置にある場合に重なり合っている面積よりも小さい。
【0029】
図2において、スクリーン4の背後に位置しているスクリーン6の個別表示面の輪郭が、破線によって示されている。スクリーン4および6の背後に位置しているスクリーン8の個別表示面の輪郭は、一連の点からなる線によって示されている。最後に、スクリーン4、6および8の背後に位置しているスクリーン10の輪郭は、一連のX記号からなる線によって示されている。
【0030】
図3は、スクリーン4、6、8、10が完全展開位置にある状態の表示装置2を示している。この完全展開位置においては、Z方向から見たときに、スクリーン4、6、8、10の個別表示面は、互いに重なり合っておらず、互いに隣接している。
【0031】
この場合には、スクリーン4、6、8、10は、外部から全て同一に見える。
【0032】
図4は、スクリーン6、8、10を、それぞれY方向、X方向、U方向に沿って変位させるための変位メカニズム20の実行可能な例を示している。この実施形態においては、変位メカニズム20は、スライドレールおよびスライダで構成されている。より詳細に述べると、変位メカニズム20は、次のものを備えている。
− X方向に平行な軸26に沿って、内部をスライダ24がスライドするスライドレール22と、
− Y方向に平行な軸32に沿って、内部をスライダ30がスライドするスライドレール28と、
− U方向に平行な軸40に沿って、内部をスライダ38がスライドするスライドレール36。
【0033】
スライドレール22、28、36は、全く自由度なしに、表示装置2のフレームに取り付けられている。スライドレール22、28、36は、それぞれ、スクリーン8、6、10の最大変位可能平面内に位置している。
【0034】
スクリーン6、8、10は、全く自由度なしに、それぞれスライダ30、24、38の自由端42、43、44に取り付けられている。
【0035】
図4には、さらに、単に例示の目的だけで、表示装置2のフレームにスクリーン4を取り付けるための取り付け点45を示してある。
【0036】
図4は、さらに、スクリーン6、8、10の変位を、互いに同期させるための同期メカニズム50を示している。この同期メカニズム50によって、スクリーン6、8、10は、それぞれY方向、X方向、U方向に沿って、相互依存的に、すなわち互いに相関的に変位する。例えばスクリーン6、8、10の位置に関わりなく、統合表示面の高さに対する幅の比が一定になるように、同期メカニズム50は作られている。
【0037】
一例として、同期メカニズム50は、2つの自由端43と44との間で、Y方向に沿って延びる垂直のレール52を備えている。同期メカニズム50は、さらに、2つの自由端42と44との間で、X方向に沿って延びる水平のレール54を備えている。これらのレール52および54は、スクリーン6、8、10の、それぞれの最大変位可能平面内の変位を妨げないように、自由端42、43、44に固定されている。例えばレール52および54は、スクリーン6、8、10の外周上、または外周を越えて位置している。
【0038】
これらのレール52および54は、スライダ24および30を、それぞれX方向およびY方向に沿って変位させるために、自由端44をU方向に引っ張ったときに発生する張力に抗することができるような、十分な剛性を有している。これらのレール52および54は、それぞれ例えばスライドレールとスライダとによって構成されていてもよい。
【0039】
図5は、スクリーンの位置をロックするためのロッキングメカニズムを示している。このロッキングメカニズム60により、スクリーン6、8、10の並進運動をロックして、スクリーン6、8、10を、引っ込み位置、または完全展開位置、または図2に示されているようないくつかの中間位置に保持することができる。
【0040】
例えばロッキングメカニズム60は、スライダ24の、スライドレール22内に位置する端部に形成されたボス62を備えている。このボス62は、スライドレール22に形成されたトラフ64と協働して、スクリーン8の位置をロックする。ボス62は、板ばね66によって、トラフ64の内部に押し付けられている。一連のトラフが、X方向に沿って設けられており、引っ込み位置と完全展開位置との中間のいくつかの中間位置に、スクリーン8をロックすることができる。
【0041】
スクリーン10および6の位置をロックするために、ロッキングメカニズム60のようなロッキングメカニズムを、それぞれU方向およびY方向に沿って設けることもできる。しかしながら、本発明の場合においては、変位を同期させるための同期メカニズム50を用いることによって、スクリーン8の位置をロックすると、スクリーン6および10の位置もロックされるから、そのような必要はない。
【0042】
次に、図6に示す方法を参照して、表示装置2の動作を、より詳細に説明する。
【0043】
スクリーンは、初期状態において、図1に示されている引っ込み位置にあると仮定する。
【0044】
これらのスクリーンは、ユーザによって、引っ込み位置から完全展開位置まで変位可能である。これを可能にするために、ユーザは、例えばスクリーン10をU方向に引っ張ることによって、Y方向、X方向、U方向に沿う、それぞれのスクリーン6、8、10の変位を同期させることができる。
【0045】
ステップ70において、センサ16は、スクリーン6、8、10のうちの少なくとも1つの、各時刻における位置を測定する。この位置は、リアルタイムに、コンピュータ12に伝達される。
【0046】
同時に、ステップ72において、コンピュータ12は、表示されるべき全体画像を、存在するスクリーン数と同数の部分画像に分割する。この分割は、部分画像の各々が、対応するそれぞれのスクリーン上に表示されたときに、全体画像が統合表示面の全面にわたって、すなわち統合表示面の90%を超過し、かつ最大100%までの面上に表示されるように行われる。ステップ72において、全体画像の、部分画像への分割は、スクリーンの測定された位置、および各スクリーンの個別表示面の既知サイズに基づいて行われる。
【0047】
一例として、全体画像の分割のために、最初に、スクリーンの位置に基づいて、X方向およびY方向において利用可能なピクセル数が特定される。利用可能なピクセルとは、Z方向から見たときに、前面に位置しているスクリーンによって覆い隠されないピクセルである。スクリーンが、完全展開位置に向かって変位するにつれて、利用可能なピクセルの総数は増加する。利用可能なピクセルの総数は、1(全てのスクリーンが最大に重ね合わされている時)〜4(最大拡張時)の比率で変化する。各位置において、コンピュータは、その位置において利用可能なピクセル数に応じて、表示されるべき全体画像の最良の分割を決定する。ソース画像の同一点を表示するために、スクリーンの利用可能な2つ以上のピクセルを用いることもある。この際に遂行される演算は、与えられたソース画像を、可変規模のスクリーン(すなわち、X方向および/またはY方向に沿ったピクセル数が可変であるスクリーン)上に表示しなければならないか、そうでなければ、可変解像度のソース画像を、与えられた解像度のスクリーン上に表示しなければならない当業者によって遂行される演算に準ずる。
【0048】
分割が行われると、ステップ72において、コンピュータ12は、統合表示面の全面にわたって全体画像を表示するために、分割された各部分画像を、対応するスクリーン上に表示するように制御する。
【0049】
ステップ72は、新しい画像が表示されるたびに反復される。
【0050】
ステップ74において、コンピュータ12は、スクリーン6、8、10の変位を検出するために、これらのスクリーンの測定された位置を用いる。例えばコンピュータ12は、新しく測定された位置と、前に測定された位置とを比較する。変位が検出されなかった場合には、この方法はステップ70に戻る。
【0051】
変位が検出された場合には、ステップ72において、コンピュータは、現在表示されている画像のサイズを、スクリーンの変位が検出された後に得られた新しい統合表示面に自動的に適応させる。
【0052】
したがって、コンピュータ12が、表示されている画像を、常に、現在利用可能な統合表示面の全面を占めるように画像処理するから、ユーザが統合表示面を拡げると同時に、表示されている画像のサイズが拡大される。したがって、ユーザにとっては、全体画像の一要素または一部分を拡大表示する必要なく、画像のサイズを拡大することができる新しい方法が得られる。
【0053】
コンピュータ12は、さらに、スクリーンがどのような位置にあろうとも、統合表示面上に全体画像を表示させる。
【0054】
多くの別の実施形態が可能である。特に、スクリーンを変位させるための変位メカニズムに関して、多くの別の実施形態が可能である。例えばこの変位メカニズムに、必ずしも、スライドレールおよび/またはスライダを組み込む必要はない。
【0055】
X方向およびY方向に沿う変位が、互いに独立して行われるように、変位メカニズムを作ることができる。このようにするために、例えばスライドレール36の端部が、Z方向に平行な回転軸を有する第1の枢動リンクによって、表示装置2のフレームに固定される。例えばこの回転軸は、図2に示されている取り付け点45を通る。次に、スライダ38が、やはりZ方向に平行な回転軸を有する第2の枢動リンクによって、スクリーン10および同期メカニズム50に固定される。
【0056】
同様に、スクリーンの位置をロックするために、別のロッキングメカニズムとすることも可能である。例えばスタッドまたはロックスクリューを用いて、スクリーンの位置をロックすることができる。ロッキングメカニズムは、必ずしも、引っ込み位置と完全展開位置との中間位置をロックすることができる必要はないが、できることが望ましい。
【0057】
多くの平面スクリーンを用いることができる。例えばOLEDスクリーンではなく、電気泳動スクリーンを用いることができる。この電気泳動スクリーンは、上部透明層と下部層との間に詰め込まれた黒ビーズ−白ビーズの混合物をベースとするものであってもよい。黒ビーズは、例えば正極性を有しており、白ビーズは、例えば負極性を有している。下部層の下に、電極が配置されている。電極に電圧が印加されると、電極は、例えば正極性のビーズを引き付け、負極性のビーズを遠ざける。したがって、これによって、内側層の近傍に黒ビーズが集中し、上部透明層の近傍に白ビーズが集中する。したがって、この方法により、黒ピクセルと白ピクセルとから成る色を調整し、画像を明確に示すことができる。このような電気泳動スクリーンは、双安定性であり、したがって、電力を消費することなく、画像を表示し続ける。
【0058】
必要に応じて、LCD(液晶ディスプレイ)スクリーンを用いることができる。
【0059】
スクリーンとして、タッチスクリーンを用いることもできる。
【0060】
表示装置を作るために、全てのスクリーンが同じサイズを有する必要はない。相異なるサイズのスクリーンを用いてもよい。さらに、各スクリーンはそれぞれに、図示されているような矩形の個別表示面を有する必要は必ずしもない。個別表示面は、例えばダイヤモンド形状であっても、三角形形状であっても、または、鋭角または鈍角を有する他の形状であってもよい。
【0061】
複数のスクリーンは、一方向にのみ変位しうるものでもよいし、またそれと対照的に、同一直線状にないいくつかの方向に沿って変位することができるものでもよい。さらに、同一のスクリーンが、例えばいくつの方向に引っ張られるかにより、いくつかの相異なる方向に移動するものであってもよい。
【0062】
スクリーンの変位を同期させる手段は、省略してもよい。
【0063】
スクリーンの数は変更してもよい。スクリーンの数は、2以上でなければならないが、5以上、例えば9以上であってもよい。
【0064】
スクリーン間pの互いに相対的な変位を、モータ駆動で行ってもよい。この場合には、スクリーンの変位を同期させるための同期メカニズムは、アクチュエータを用いて、スクリーンの変位を適切に制御することによって得られる。
【0065】
センサ16は省略してもよい。その場合には、画像のサイズを手動で調整するためのモジュールを、表示装置2内に設ける。
【0066】
さらに、一変形例として、表示されている全体画像の内容を、センサによって測定されたスクリーンの位置に応じて変更することもある。例えば、引っ込み位置においては、画像を、単に、統一表示面の全面を占める初期説明によって構成する。完全展開位置においては、表示されている全体画像は、補足説明で補った同じ初期説明を有している。例えば補足説明は、統合表示面のうちの、完全展開位置に変位することによって現れる補足部分に配置される。統合表示面上に表示される初期説明の大きさは、引っ込み位置と完全展開位置とで同じであることが望ましい。そのようにすると、完全展開位置へのスクリーンの変位によって、補足説明へのアクセスが得られる。これを、街の中心部および郊外の地図の参照に適用することができる。初期説明は、街の中心部のみの地図である。補足説明は、郊外の地図である。この適用においては、スクリーンを、その引っ込み位置から完全展開位置に変位させることによって、ユーザは、より多くの情報、すなわち郊外の地図にアクセスすることができる。
【0067】
表示されている全体画像を、スクリーンの位置に応じて変更する別の1つの手法は、スクリーンの位置がどうであれ、初期説明が統合表示面の90%を超過する面積を占めるように、スクリーンの変位の方向(1つ以上の)に、初期説明のサイズを拡げることである。
【0068】
携帯電話またはラップトップコンピューターなどの携帯端末に、表示装置2を用いることができる。さらに、テレビジョンセットなどの固定端末を得るために、表示装置2を実装することもできる。
【符号の説明】
【0069】
2 表示装置
4、6、8、10 スクリーン
12 コンピュータ
14 メモリ
16 センサ
20 変位メカニズム
22、28、36 スライドレール
24、30、38 スライダ
26、32、40 軸
42、43、44 自由端
45 取り付け点
50 同期メカニズム
52、54 レール
60 ロッキングメカニズム
62 ボス
64 トラフ
66 板ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 同一の表示平面に平行に配置された複数のスクリーン(4、6、8、10)であって、各スクリーンの個別表示面の総計から、個別表示面間で重なり合っている部分がある場合には、かかる部分の面を引いた面に等しい、画像の統合表示面を形成している複数のスクリーン(4、6、8、10)と、
− 前記統合表示面の全面にわたって全体画像を表示するように、前記スクリーンの各々上への部分画像の表示を制御することができるコンピュータ(12)
とを備えている表示装置であって、
− 前記表示装置は、前記統合表示面を縮小するために、前記スクリーンのうちの少なくとも2つが重なり合っている引っ込み位置と、前記統合表示面を増加させるために、前記スクリーンの重なり合いが軽減または解除されている完全展開位置との間で、前記表示平面に平行に前記スクリーンを変位させるための変位メカニズム(20)を、さらに備えていること、並びに
− 前記コンピュータは、前記引っ込み位置と前記完全展開位置との両方において、前記統合表示面の全面にわたって全体画像を表示するように制御することができること
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記スクリーンの位置を測定することができる少なくとも1つのセンサ(16)、および該測定されたスクリーンの位置に、画像の表示を自動的に適合させることができるコンピュータ(12)を備えている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記コンピュータ(12)は、前記引っ込み位置と前記完全展開位置との両方において、前記統合表示面の全面にわたって、同一の全体画像を表示するように制御することができる、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
互いに相対的に変位することができる、少なくとも3つのスクリーン(4、6、8、10)、およびそれらのスクリーンの変位の間に相関を与えることができる同期メカニズム(50)を備えている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記引っ込み位置と前記完全展開位置との中間の少なくとも1つの中間位置に、前記スクリーンの位置をロックするためのメカニズム(60)を備えている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
− 統合表示面を縮小するために、少なくとも2つのスクリーンが重なり合っている引っ込み位置と、前記統合表示面を増加させるために、前記スクリーンの重なり合いが軽減または解除されている完全展開位置との間で、表示平面に平行に前記スクリーンを変位させるステップと、
− 前記引っ込み位置と前記完全展開位置との両方において、前記統合表示面の全面にわたって全体画像を表示するように制御するステップ(72)
とを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示装置上に画像を表示する方法。
【請求項7】
− 前記スクリーンの位置を測定するステップ(70)と、
− 該測定されたスクリーンの位置から、前記スクリーンの変位を検出するステップ(74)と、
− それに応じて、各部分画像を表示するための新しい制御を自動的に開始するステップ
とを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記引っ込み位置と前記完全展開位置との両方において、前記統合表示面の全面にわたって、同一の全体画像を表示するように制御するステップを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
電子的なコンピュータによって実行されたときに、請求項6〜8のいずれか1つに記載の方法を遂行する命令を備えていることを特徴とする情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−8255(P2011−8255A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−141139(P2010−141139)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【出願人】(504462489)エレクトリシテ・ドゥ・フランス (25)
【Fターム(参考)】