表示装置、表示方法、およびプログラム
【課題】表示部との距離が適当でない場合でも、表示部の視認性を確保可能にした表示装置を提供する。
【解決手段】表示部と、基準面に対する表示部の角度を検出する角度検出部と、利用者との距離を計測する距離計測部と、距離および角度に基づいて表示部の表示状態を変更する制御部と、を有する。又、前記基準面が地面であり、前記距離について前記表示状態を変更するか否かの判定基準となる第1の閾値が前記制御部に予め格納され、前記角度が所定の範囲であり、かつ、前記距離が前記第1の閾値よりも大きい場合、前記制御部は、前記表示部の表示状態を標準状態から視認性を改善するための表示状態である視認性改善状態に変更する。
【解決手段】表示部と、基準面に対する表示部の角度を検出する角度検出部と、利用者との距離を計測する距離計測部と、距離および角度に基づいて表示部の表示状態を変更する制御部と、を有する。又、前記基準面が地面であり、前記距離について前記表示状態を変更するか否かの判定基準となる第1の閾値が前記制御部に予め格納され、前記角度が所定の範囲であり、かつ、前記距離が前記第1の閾値よりも大きい場合、前記制御部は、前記表示部の表示状態を標準状態から視認性を改善するための表示状態である視認性改善状態に変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯可能な表示装置、表示方法、およびコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介してウェブサイトに接続可能なコンピュータ、および電子ゲーム機などの情報処理端末の小型化および低消費電力化が進み、利用者は、これらの情報処理端末と同じ機能を備えた携帯機器を持ち運び可能となり、電車などの交通機関の中でも機器を使用できるようになった。
【0003】
利用者が移動中に携帯端末を使用する際、表示画面に表示される文字のサイズを制御する技術の一例が、特許文献1に開示されている。この文献に開示された携帯端末は、角速度センサを備え、角速度センサが所定値以上の値を検出すると、利用者が移動中であると判定し、表示画面の情報が他人に盗み見られないようにするために、文字のサイズを小さくする制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−12297号公報(第12図、第13図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用者が電車内で携帯端末の表示画面を見ようとしたとき、電車内が混雑していて、携帯端末を持った腕を縮めて表示画面を見なければならない状態など、携帯端末と自分との距離が適当でない場合、表示画面の視認性が悪くなる。このような場合、特許文献1に開示された携帯端末では、利用者が移動中と判断すると、表示画面の文字のサイズを小さくする制御を行うため、表示画面の視認性がかえって悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、表示部との距離が適当でない場合でも、表示部の視認性を確保可能にした表示装置、表示方法、およびコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の表示装置は、
表示部と、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出する角度検出部と、
利用者との距離を計測する距離計測部と、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する制御部と、
を有する構成である。
【0008】
また、本発明の表示方法は、表示装置が実行する表示方法であって、
基準面に対する、前記表示装置の角度を検出し、
前記表示装置と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示装置の表示状態を変更するものである。
【0009】
さらに、本発明のプログラムは、表示部を有するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出し、
前記表示部と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する処理を前記コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯した表示装置が遠すぎたりまたは近すぎたりしても、表示装置に表示された内容を認識しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の表示装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の表示装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図3】実施例1の携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【図4】実施例1の携帯電話機の一例を示す外観図である。
【図5】実施例1の携帯電話機において、図4に示す距離計測部の配置例を示す側面透視図である。
【図6】実施例1の携帯電話機において、距離計測部のセンサが2つの場合の配置例を示す平面図および側面透視図である。
【図7】実施例1の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。
【図8】実施例1の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。
【図9】実施例1の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。
【図10】表示部の標準状態における表示状態を示す画像の一例である。
【図11】図10に示した標準状態から文字のサイズを大きくした場合の表示状態を示す画像の一例である。
【図12】実施例1の携帯電話機において、利用者との距離と角度との組み合わせに関して、表示状態の制御方法をまとめた表である。
【図13】実施例1の携帯電話機の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の表示装置の構成を説明する。図1は本実施形態の表示装置の一構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、表示装置10は、表示部13と、角度検出部14と、距離計測部15と、制御部12とを有する。表示部13は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)である。角度検出部14は、地面に対する、表示部13の角度を検出し、その検出値を制御部12に送信する。角度を検出するセンサとして、例えば、角度センサおよび加速度センサがある。地面は角度を検出するための基準面の1つに相当し、基準面は地面に限らない。
【0014】
距離計測部15は、利用者との距離を計測し、その計測値を制御部12に送信する。距離を計測するセンサとして、例えば、超音波センサおよび近接センサがある。赤外線を用いた近接センサの原理を応用して、利用者と表示装置10との距離を計測することが可能である。また、表示装置10にカメラが設けられていれば、被写体の焦点距離を自動的に求めるオートフォーカス機能を実行することで、利用者と表示装置10との距離を計測してもよい。
【0015】
制御部12は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部12は、距離計測部15から受信する距離の情報および角度検出部14から受信する角度の情報に基づいて表示部13の表示状態を変更する。表示状態の変更とは、例えば、表示部13に表示される文字のサイズを変えたり、表示部13の画面の輝度を変えたりすることである。
【0016】
次に、本実施形態の表示装置10における基本的な動作を説明する。図2は本実施形態の表示装置の基本的な動作手順を示すフローチャートである。
【0017】
利用者が表示装置10を起動させると、表示装置10は、表示部13の地面に対する角度を検出し(ステップ1001)、利用者との距離を計測する(ステップ1002)。続いて、表示装置10は、距離計測部15で計測された距離と角度検出部14で検出された角度に基づいて表示部13の表示状態を変更する(ステップ1003)。なお、図2では、ステップ1001の後にステップ1002の処理が行われるように表しているが、ステップ1001、1002の処理の順番はいずれが先であってもよい。
【0018】
表示装置10の制御部12が行う、表示部13の制御方法の一例を説明する。
【0019】
表示部13の画面に垂直な方向と利用者の視線とのなす角度が大きいと、表示部13の視認性が悪くなる。この場合、表示部13の輝度を大きくしたり、表示部13に表示される文字のサイズを大きくすれば、表示部13の視認性が改善される。その反対に、表示部13の画面に垂直な方向と利用者の視線が一致していても、表示部13と利用者との距離が大きいと、表示部13の視認性が悪くなる。この場合、表示部13に表示される文字のサイズを大きくすれば、表示部13の視認性が改善される。
【0020】
本実施形態の表示装置を、携帯電話機および簡易型携帯電話(Personal Handy-phone System)を含む無線通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ならびに携帯型ゲーム機などに設けることが可能である。また、本実施形態の表示装置が電子ブックと呼ばれる携帯端末であってもよい。本実施形態の表示装置を携帯電話機に設けた場合の実施例を説明する。
【実施例1】
【0021】
本実施例は、本実施形態の表示装置を備えた携帯電話機に関するものである。図3は本実施例の携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、携帯電話機20は、電話帳およびアプリケーションソフトウェアプログラムを記憶する記憶部21と、制御部22と、LCD23と、角度検出部24と、距離計測部25と、通話のためのスピーカ26およびマイク27と、操作部28と、アンテナ30を介して基地局(不図示)と無線通信するための無線部29とを有する。本実施例では、携帯電話としての機能に関する構成および動作についての詳細な説明を省略し、本発明の表示方法に関連する構成および動作について詳細に説明する。
【0023】
本実施例では、角度検出部24が2軸の加速度センサであり、距離計測部25が超音波センサであるものとする。制御部22は、図1を参照して説明した制御部12の構成を備えている。制御部22のメモリ(不図示)に格納されたプログラムには、角度検出部24の出力から角度を求めるための計算式と、距離計測部25の出力から距離を求めるための計算式が記述されている。操作部28には、各種コマンドを入力するためのボタンと文字を入力するための複数のキーが設けられている。
【0024】
図4は、本実施例の携帯電話機20の一例を示す外観図である。図4に示す携帯電話機20は、筺体121および筺体122を有し、これらの筺体がヒンジで接続された折り畳み式の携帯端末の場合である。
【0025】
図4に示すように、筺体121には、スピーカ26およびLCD23が設けられている。また、図4に示していないが、筺体121には、図3に示した角度検出部24が設けられている。筺体122には、マイク27、操作部28および距離計測部25が設けられ、さらに、図4には示していないが、記憶部21、無線部29、アンテナ30および制御部22が筺体122に設けられている。
【0026】
図5は、図4に示した携帯電話機20の筺体122を側面(図4の左側)から見たときの、距離計測部25の配置例を示す透視図である。図5に示すように距離計測部25は音波の送出方向が筺体122の長手方向から約45度傾いた方向を向くように配置されている。距離計測部25として、筺体122の長手方向からマイク27の設けられた面に垂直な方向までの範囲を測定可能な範囲とするセンサを使用している。
【0027】
本実施形態では、図4に示すように、有効測定範囲の広い超音波センサを1つ用いる場合で説明するが、超音波センサが2つ以上設けられていてもよい。図6は距離計測部として2つの超音波センサが設けられた場合のセンサの配置例を示す平面図および側面透視図である。図6(a)は筺体122の下部を拡大した平面図である。図6(a)および図6(b)に示すように、距離計測部25aは音波の送出方向が筺体122のマイク27が設けられた面に対して垂直方向を向くように配置されている。距離計測部25bは、筺体122の下端に設けられ、音波の送出方向が筺体122の長手方向を向くように配置されている。この場合、地面に対するLCD23の角度θが0度≦θ≦45度のとき、制御部22が距離計測部25bを動作させて距離を測定し、角度θが45度<θ≦90度のとき、制御部22が距離計測部25aを動作させて距離を測定するようにしてもよい。
【0028】
次に、LCD23の視認性について、携帯電話機20および利用者間の距離の依存性を、図7から図9の模式図を用いて説明する。
【0029】
図7から図9は、本実施例の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機20および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。LCD23の表示面に垂直な方向をX軸方向とし、表示面に水平な方向をY軸とする。地面に対するY軸の傾き角をθで表し、利用者と携帯電話機20との距離をdで表す。ここでは、利用者が携帯電話機20を携帯してLCD23を視認可能な角度の範囲が、0度から90度の範囲であるものとする。
【0030】
図7は利用者が携帯電話機のLCDを一般的な方法で見る場合を示す模式図である。図7は、利用者が携帯電話機20を保持した腕を軽く曲げて、LCD23を見ている状態である。携帯電話機20の地面からの高さは、利用者のほぼ胸の高さである。重力加速度を1Gとすると、図5に示す状態では、加速度センサはX軸の負の方向に約0.7Gを検出し、Y軸の負の方向に約0.7Gを検出することで、制御部22は、角度θ1を約45度と検出する。
【0031】
超音波センサは、所定の周波数の音波を送信し、利用者に反射した音波である反射波を受信する。図7に示す場合、超音波センサから送信された音波が利用者の胸で反射し、その反射波が超音波センサで受信される。超音波センサが音波を送信してから反射波を受信するまでの時間をTとし、音波の速度をVとすると、利用者と携帯電話機20との距離dは、d=(1/2)×T×Vで算出される。以下では、この式を式1とする。
【0032】
図7に示す状態では、利用者にとって携帯電話機20との距離がLCD23を最も見やすい距離にある。この場合のLCD23の表示状態を標準状態とする。
【0033】
次に、利用者が携帯電話機20を自分に近づける場合を考えてみる。図8は利用者が携帯電話機を自分に近付けた場合を示す模式図である。
【0034】
図8に示すように、利用者が携帯電話機20の下端を胸の前まで近づけた場合、利用者は首を曲げて携帯電話機20を見下ろすようにして、LCD23を見る。図8を見ると、携帯電話機20が地面にほぼ平行になっている。
【0035】
図8に示す状態では、加速度センサはX軸の負の方向に約1.0Gを検出し、Y軸方向に0Gを検出することで、制御部22は、角度θ2を0度と検出する。図8に示す場合、超音波センサから送信された音波が利用者の胸で反射し、その反射波が超音波センサに受信される。超音波センサが測定する時間Tと式1に基づいて、図7に示した距離d1よりも小さい距離d2が求まる。
【0036】
図8に示すように、利用者が携帯電話機20を自分に近づけた場合、携帯電話機20と利用者との距離d2が図7の場合の距離d1よりも小さくなるが、LCD23に表示される文字や画像が大きく見える。そのため、LCD23の表示状態は標準状態のままでも、利用者にとってLCD23の視認性はよい。
【0037】
次に、利用者が携帯電話機20を自分から遠ざける場合を考えてみる。図9は利用者が携帯電話機を持って腕を伸ばした場合を示す模式図である。
【0038】
図9に示すように、利用者は、携帯電話機20を持つ腕を伸ばした場合、携帯電話機20を立てて、LCD23を見る。図9を見ると、携帯電話機20が地面にほぼ垂直になっている。
【0039】
図9に示す状態では、加速度センサはX軸方向に0Gを検出し、Y軸の負の方向に約1.0Gを検出することで、制御部22は、角度θ3を90度と検出する。図9に示す場合、超音波センサから送信された音波は利用者の肩で反射し、その反射波が超音波センサに受信される。超音波センサが測定する時間Tと式1に基づいて、図7に示した距離d1よりも大きい距離d3が求まる。
【0040】
図9に示すように、利用者が携帯電話機20を自分から遠ざける場合、携帯電話機20と利用者との距離d3が図7の場合の距離d1よりも大きく、利用者にとって、LCD23の文字や画像は距離d3が大きいほど小さく見える。そのため、利用者にとってLCD23の視認性が悪くなる。
【0041】
ここで、表示状態について、標準状態から、視認性を改善するための表示状態である視認性改善状態への変更方法の具体例を説明する。
【0042】
視認性改善状態として、標準状態よりもLCD23に表示される文字のサイズを大きくする、その文字のフォントの種類を変更する、LCD23の輝度を大きくするなどの制御方法がある。フォントの種類のうち、太字や装飾を施した文字などは、斜め方向から見ると、読みにくくなるおそれがある。そのため、このようなフォントが標準状態で用いられている場合には、視認性改善状態では、例えば、通常のゴシック体の文字に変更する制御が考えられる。
【0043】
また、視認性改善状態が、LCD23のバックライトの輝度をグラデーション状に変化させて生成した陰影で擬似的な奥行きを持たせる方法などを用いて、表示される文字および絵などの画像を立体的に見せる制御でもよい。さらに、視認性改善状態は、これらの制御のうち、2つ以上組み合わせてもよい。
【0044】
図10はLCD23の標準状態における表示状態を示す画像の一例であり、図11は図10に示した標準状態から文字のサイズを大きくした場合の表示状態を示す画像の一例である。図11に示すAからKのアルファベットの文字のサイズが図10に示す文字よりも大きいことがわかる。図10に示すLCD23は図7に示した場合の一例であり、図11に示すLCD23は図9に示した場合の一例である。
【0045】
次に、図7から図9に示した状態で、制御部22がどのようにLCD23の表示状態を制御するかを簡単に説明する。
【0046】
図12は、携帯電話機の利用者との距離、および携帯電話機の角度の組み合わせに関して、表示状態の制御方法をまとめた表である。図12では、ケースAからケースCの3通りに分類している。図7および図8に示した状態がケースAに相当し、図9に示した状態がケースBまたはケースCに相当する。
【0047】
図12に示す表で、距離計測部25が計測する距離dについて、利用者がLCD23を見ながら操作部28を操作しやすい距離の最大値を閾値1とし、大人の人が腕を伸ばしたときの平均的な腕の長さを閾値2とする。閾値3は、携帯電話機20のLCD23に表示される文字または画像を視認可能な距離の最大値である。例えば、LCD23に表示させる文字のサイズを最大14ポイント(5mm)まで大きくする場合、閾値3を2mとする。閾値3を距離計測部25の測定限界値としてもよい。閾値1<閾値2<閾値3の関係にある。
【0048】
また、ここでは、利用者が座った状態または立った状態で携帯電話機20を携帯して、利用者にとってLCD23の視認性のよい角度の範囲が0度から90度の範囲であるものとする。
【0049】
ケースAの場合、距離dは閾値1以下であるため、LCD23の表示状態を標準状態にする。ケースBの場合、距離dは閾値1と閾値2の間の範囲にある。この場合、LCD23の表示状態を標準状態から視認性改善状態に変更する。具体的には、LCD23の表示状態を距離dに応じて変化させる。例えば、距離dが大きくなるほど、LCD23に表示する文字のサイズを大きくする制御が考えられる。
【0050】
ケースCの場合、携帯電話機20が利用者から閾値2よりも離れているため、制御部22は、ケースBの場合のLCD23の表示状態を、距離dだけでなく角度θに応じて変更する。図9に示した状態で、携帯電話機20を利用者の反対側に傾けていくと、LCD23の視認性が悪くなる。そのため、ケースCの場合では、例えば、距離dが大きいほど、角度θが小さいほど、LCD23に表示する文字のサイズを大きくしたり、LCD23の輝度を大きくする制御が考えられる。
【0051】
なお、図12に示す表には記載していないが、次のような制御を行ってもよい。
【0052】
携帯電話機20のLCD23が天井を向いた状態で机の上に置かれた場合、距離計測部25は携帯電話機20と天井との距離を測定しようとするため、距離dが閾値3よりも大きくなる。距離dが閾値3よりも大きい場合、制御部22は利用者がLCD23を見ていないものと判断し、LCD23の動作モードを、LCD23に電源供給を行う標準モードから、LCD23への電源供給を停止する省電力モードに切り替える制御を行う。一方、距離dが閾値3よりも大きい場合であっても、携帯電話機20を机の上に載せて、複数の人が携帯電話機20を囲むようにしてLCD23を見るようなケースも考えられる。そのため、距離dが閾値3よりも大きい場合、制御部22はLCD23の表示状態を標準状態にする制御を行ってもよい。
【0053】
また、利用者が寝転んだ状態で携帯電話機20のLCD23を見る場合も考えられる。この場合、LCD23の表示面が地面に水平であれば、加速度センサはX軸の正の方向に約1.0Gを検出し、Y軸方向に0Gを検出することで、制御部22は、角度θを180度と検出する。角度θが90度以上あると、利用者が座った状態または立った状態で視認性のよい角度の範囲から外れるが、利用者が寝転んだ状態でLCD23を見る場合、LCD23の視認性がよいので、制御部22はLCD23の表示状態が標準状態になるように制御してもよい。
【0054】
次に、図12に示した表に基づいて、本実施例の携帯電話機の動作を説明する。図13は本実施例の携帯電話機の動作手順を示すフローチャートである。図12に示した閾値1、閾値2および閾値3が、制御部22内のメモリ(不図示)に格納されたプログラムに予め記述されている。利用者が座った状態または立った状態でLCD23を見る場合にLCD23の視認性のよい角度θが0度から90度の範囲であるものとする。
【0055】
携帯電話機20が基地局(不図示)への位置登録通知および着信待ちなどの電話機能が動作している状態で、利用者が携帯電話機20のLCD23を起動させる。本実施例では、携帯電話機20が折り畳み式の端末であるため、利用者が携帯電話機20を折り畳まれた状態から開いた状態にすることが、LCD23を起動させる指示を携帯電話機20に入力したことに相当する。利用者が折り畳まれた状態の携帯電話機20を開くと、制御部22がLCD23を省電力モードから標準モードに切り替え、LCD23に電源供給を開始する。携帯電話機が折り畳み式以外の端末であれば、操作部に予め設けられたボタンを利用者が押すことで、表示部を起動させてもよい。
【0056】
LCD23への電源供給が開始されると、制御部22は、LCD23の表示状態を標準状態に制御する。その後、制御部22は、一定時間毎に角度検出部24および距離計測部25のそれぞれから出力値を受信すると、以下の処理を行う。
【0057】
制御部22は、角度検出値24からの出力値に基づいてLCD23の地面に対する角度θを算出する(ステップ1101)。制御部22は、角度θが0度から90度の範囲であるか否かを判定し(ステップ1102)、角度θが0度から90度の範囲であると、距離計測部25からの出力値に基づいて自端末と利用者との距離dを算出する(ステップ1104)。ステップ1101が図2に示したステップ1001に相当し、ステップ1102が図2に示したステップ1002に相当する。
【0058】
続いて、制御部22は、図2に示したステップ1003の処理を次のように行う。制御部22は、距離dが閾値1以下であるか否かを判定し(ステップ1105)、距離dが閾値1以下であると、LCD23の表示状態を標準状態に維持する(ステップ1106)。ステップ1105で距離dが閾値1以上であると、制御部22は、距離dが閾値2以下であるか否かを判定し(ステップ1107)、距離dが閾値2以下であると、LCD23の表示状態を標準状態から視認性改善状態に変化させる。具体的には、制御部22は、距離dに応じて表示状態を変更する(ステップ1108)。視認性改善状態が文字のサイズを大きくすることである場合、ステップ1108で、制御部22は、距離dが大きいほど、文字のサイズを大きくする制御を行う。
【0059】
ステップ1107で距離dが閾値2よりも大きいと、制御部22は、距離dが閾値3以下であるか否かを判定し(ステップ1109)、距離dが閾値3以下であると、LCD23の表示状態を標準状態から視認性改善状態に変化させ、距離dおよび角度θに応じて表示状態を変更する(ステップ1111)。視認性改善状態が文字のサイズを大きくすることである場合、ステップ1111で、制御部22は、距離dが大きいほど、角度θが小さいほど、文字のサイズを大きくする制御を行う。
【0060】
一方、ステップ1102において、角度θが90度よりも大きく、座った状態または立った状態の利用者にとってLCD23の視認性が悪くても、利用者が寝転んでLCD23を見る場合も考慮して、制御部22は、LCD23の表示状態を標準状態にする制御を行う(ステップ1103)。また、ステップ1109において、距離dが閾値3よりも大きくても、利用者が携帯電話機20を机の上において携帯電話機20の横から斜め下方にLCD23を見下ろしている場合も考慮して、制御部22は、LCD23の表示状態を標準状態にする制御を行う(ステップ1110)。
【0061】
なお、本実施例では、角度検出部24が加速度センサであり、距離計測部25が超音波センサの場合で説明したが、角度検出部24が加速度センサとその出力値から角度θを算出する回路とを含むユニットで構成され、距離計測部25が超音波センサとその出力値から距離dを算出する回路とを含むユニットで構成されていてもよい。この場合、制御部22は、角度検出部24および距離計算部25のそれぞれから受信する角度θおよび距離dに基づいてLCD23の表示状態を制御すればよいので、各センサの出力値から角度θと距離dを算出するための演算処理の負担が軽減する。
【0062】
本実施例によれば、携帯電話機とその利用者との距離を計測し、地面に対する携帯電話機の角度を検出し、これらの情報を組み合わせて、視認性が改善するように表示部の表示状態が変更される。そのため、利用者は、携帯した携帯電話機が自分から遠すぎたりまたは近すぎたりしても、表示部に表示された内容を認識することができる。
【0063】
なお、LCD23の表示状態の変更方法として、次のような制御を行ってもよい。画面を上方向または下方向にスクロールするためのスクロールポインタが操作部28に設けられており、LCD23の視認性がよくない状態のとき、制御部22がスクロールポインタの動作速度を遅くする制御を行ってもよい。この場合、利用者がLCD23を斜め上または斜め下から見たときに、スクロールポインタの動作速度が速く感じられるという問題を解決し、操作性が改善する。
【0064】
また、利用者がLCD23を見ながら音声通話を行う場合、LCD23の視認性が悪い状態では、スピーカ26およびマイク27の向きも正面から傾いた状態になっている。この場合、相手の音声が聞こえにくくなったり、相手に自分の音声が聞き取りにくくなったりすることがある。この場合、制御部22は、スピーカ26の音量を大きくしたり、マイク27の感度を高くしたりする制御を行ってもよい。
【0065】
また、図3に示した距離計測部25が、レンズおよび撮像素子を含むカメラであってもよい。カメラのオートフォーカス機能を実行させることで、利用者との距離を計測することが可能である。また、制御部22が、撮影された画像を解析することで、利用者の目を検出し、携帯電話機20から目までの距離を算出するようにしてもよい。
【0066】
また、外光が携帯電話機20の横方向から強く照射している場合、利用者は、外光がLCD23に照射されないように携帯電話機20を傾け、LCD23が少々見づらくても、LCD23を見ようとする場合がある。この場合、距離計測部25としてカメラが設けられていると、制御部22は、撮影された、利用者の顔の画像を解析し、解析結果から外光の強度が大きいと判定すると、LCD23の輝度を大きくするなど、LCD23の表示状態を変更してもよい。外光の強度の判定方法の一例として、制御部22は、顔を表示している複数の画素の強度(輝度など)の最大値と予め設定された基準値とを比較し、その最大値が基準値よりも大きい場合、強い外光が利用者の顔に照射されていると判定する方法がある。さらに、制御部22は、利用者の顔の画像を解析して、解析結果から外光の方向を予測し、外光の方向に合わせて、LCD23の表示状態を変更してもよい。外光の方向の予測方法の一例を説明する。頭を球体にモデル化したとき、制御部22は、顔を表示している複数の画素の最大値となる位置(以下では、最大ポイントと称します)を特定すると、球体の中心に対して最大ポイントの方向を外光の方向と予測する。例えば、最大ポイントが顔の中央付近である場合、外光が顔の正面方向から利用者に照射していると予測できる。また、顔の画像で利用者の顔の中央から右耳の付け根を結ぶ線分において、顔の中央から約7割の位置に最大ポイントがあれば、0.7≒sin45°の計算結果に基づいて、利用者の正面から右45度の方向から外光が利用者に照射していると予測できる。
【0067】
また、携帯電話機20に撮影用のカメラが設けられていてもよい。この場合、利用者が撮影用のカメラを起動する旨の指示を入力すると、制御部22は、距離dおよび角度θに基づく、LCD23の表示状態の制御を行わない。利用者が、被写体をうまく撮影するために、携帯電話機20をいろいろな方向に傾けたりすることが考えられるからである。
【0068】
一方、携帯電話機20にメール送受信機能が設けられている場合、利用者は、新規メールの文書を作成したり、受信したメールを開封したりする際、利用者がLCD23を見ながら操作することは確実である。利用者が携帯電話機20を操作してメール機能の画面を起動させたとき、制御部22は、角度検出部24および距離計測部25を起動し、上述したLCD23の表示状態についての制御を行うようにしてもよい。この場合、利用者はメールの作成やメールの開封を行う際、上述した制御を行うことで効果を確実に得ることができる。
【0069】
実施例を用いて説明したように、本実施形態の表示装置では、表示装置と利用者との距離を計測し、基準面に対する、表示装置の角度を検出することで、表示状態の設定を変更することで、表示部の視認性を最適化できる。その結果、携帯した表示装置が目から遠すぎたりまたは近すぎたりしても、表示部の視認性が改善され、利用者は表示装置に表示された内容を認識しやすくなる。
【符号の説明】
【0070】
10 表示装置
12 制御部
13 表示部
14、24 角度検出部
15、25 距離計測部
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯可能な表示装置、表示方法、およびコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介してウェブサイトに接続可能なコンピュータ、および電子ゲーム機などの情報処理端末の小型化および低消費電力化が進み、利用者は、これらの情報処理端末と同じ機能を備えた携帯機器を持ち運び可能となり、電車などの交通機関の中でも機器を使用できるようになった。
【0003】
利用者が移動中に携帯端末を使用する際、表示画面に表示される文字のサイズを制御する技術の一例が、特許文献1に開示されている。この文献に開示された携帯端末は、角速度センサを備え、角速度センサが所定値以上の値を検出すると、利用者が移動中であると判定し、表示画面の情報が他人に盗み見られないようにするために、文字のサイズを小さくする制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−12297号公報(第12図、第13図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用者が電車内で携帯端末の表示画面を見ようとしたとき、電車内が混雑していて、携帯端末を持った腕を縮めて表示画面を見なければならない状態など、携帯端末と自分との距離が適当でない場合、表示画面の視認性が悪くなる。このような場合、特許文献1に開示された携帯端末では、利用者が移動中と判断すると、表示画面の文字のサイズを小さくする制御を行うため、表示画面の視認性がかえって悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、表示部との距離が適当でない場合でも、表示部の視認性を確保可能にした表示装置、表示方法、およびコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の表示装置は、
表示部と、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出する角度検出部と、
利用者との距離を計測する距離計測部と、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する制御部と、
を有する構成である。
【0008】
また、本発明の表示方法は、表示装置が実行する表示方法であって、
基準面に対する、前記表示装置の角度を検出し、
前記表示装置と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示装置の表示状態を変更するものである。
【0009】
さらに、本発明のプログラムは、表示部を有するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出し、
前記表示部と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する処理を前記コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯した表示装置が遠すぎたりまたは近すぎたりしても、表示装置に表示された内容を認識しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の表示装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の表示装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図3】実施例1の携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【図4】実施例1の携帯電話機の一例を示す外観図である。
【図5】実施例1の携帯電話機において、図4に示す距離計測部の配置例を示す側面透視図である。
【図6】実施例1の携帯電話機において、距離計測部のセンサが2つの場合の配置例を示す平面図および側面透視図である。
【図7】実施例1の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。
【図8】実施例1の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。
【図9】実施例1の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。
【図10】表示部の標準状態における表示状態を示す画像の一例である。
【図11】図10に示した標準状態から文字のサイズを大きくした場合の表示状態を示す画像の一例である。
【図12】実施例1の携帯電話機において、利用者との距離と角度との組み合わせに関して、表示状態の制御方法をまとめた表である。
【図13】実施例1の携帯電話機の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の表示装置の構成を説明する。図1は本実施形態の表示装置の一構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、表示装置10は、表示部13と、角度検出部14と、距離計測部15と、制御部12とを有する。表示部13は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)である。角度検出部14は、地面に対する、表示部13の角度を検出し、その検出値を制御部12に送信する。角度を検出するセンサとして、例えば、角度センサおよび加速度センサがある。地面は角度を検出するための基準面の1つに相当し、基準面は地面に限らない。
【0014】
距離計測部15は、利用者との距離を計測し、その計測値を制御部12に送信する。距離を計測するセンサとして、例えば、超音波センサおよび近接センサがある。赤外線を用いた近接センサの原理を応用して、利用者と表示装置10との距離を計測することが可能である。また、表示装置10にカメラが設けられていれば、被写体の焦点距離を自動的に求めるオートフォーカス機能を実行することで、利用者と表示装置10との距離を計測してもよい。
【0015】
制御部12は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部12は、距離計測部15から受信する距離の情報および角度検出部14から受信する角度の情報に基づいて表示部13の表示状態を変更する。表示状態の変更とは、例えば、表示部13に表示される文字のサイズを変えたり、表示部13の画面の輝度を変えたりすることである。
【0016】
次に、本実施形態の表示装置10における基本的な動作を説明する。図2は本実施形態の表示装置の基本的な動作手順を示すフローチャートである。
【0017】
利用者が表示装置10を起動させると、表示装置10は、表示部13の地面に対する角度を検出し(ステップ1001)、利用者との距離を計測する(ステップ1002)。続いて、表示装置10は、距離計測部15で計測された距離と角度検出部14で検出された角度に基づいて表示部13の表示状態を変更する(ステップ1003)。なお、図2では、ステップ1001の後にステップ1002の処理が行われるように表しているが、ステップ1001、1002の処理の順番はいずれが先であってもよい。
【0018】
表示装置10の制御部12が行う、表示部13の制御方法の一例を説明する。
【0019】
表示部13の画面に垂直な方向と利用者の視線とのなす角度が大きいと、表示部13の視認性が悪くなる。この場合、表示部13の輝度を大きくしたり、表示部13に表示される文字のサイズを大きくすれば、表示部13の視認性が改善される。その反対に、表示部13の画面に垂直な方向と利用者の視線が一致していても、表示部13と利用者との距離が大きいと、表示部13の視認性が悪くなる。この場合、表示部13に表示される文字のサイズを大きくすれば、表示部13の視認性が改善される。
【0020】
本実施形態の表示装置を、携帯電話機および簡易型携帯電話(Personal Handy-phone System)を含む無線通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ならびに携帯型ゲーム機などに設けることが可能である。また、本実施形態の表示装置が電子ブックと呼ばれる携帯端末であってもよい。本実施形態の表示装置を携帯電話機に設けた場合の実施例を説明する。
【実施例1】
【0021】
本実施例は、本実施形態の表示装置を備えた携帯電話機に関するものである。図3は本実施例の携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、携帯電話機20は、電話帳およびアプリケーションソフトウェアプログラムを記憶する記憶部21と、制御部22と、LCD23と、角度検出部24と、距離計測部25と、通話のためのスピーカ26およびマイク27と、操作部28と、アンテナ30を介して基地局(不図示)と無線通信するための無線部29とを有する。本実施例では、携帯電話としての機能に関する構成および動作についての詳細な説明を省略し、本発明の表示方法に関連する構成および動作について詳細に説明する。
【0023】
本実施例では、角度検出部24が2軸の加速度センサであり、距離計測部25が超音波センサであるものとする。制御部22は、図1を参照して説明した制御部12の構成を備えている。制御部22のメモリ(不図示)に格納されたプログラムには、角度検出部24の出力から角度を求めるための計算式と、距離計測部25の出力から距離を求めるための計算式が記述されている。操作部28には、各種コマンドを入力するためのボタンと文字を入力するための複数のキーが設けられている。
【0024】
図4は、本実施例の携帯電話機20の一例を示す外観図である。図4に示す携帯電話機20は、筺体121および筺体122を有し、これらの筺体がヒンジで接続された折り畳み式の携帯端末の場合である。
【0025】
図4に示すように、筺体121には、スピーカ26およびLCD23が設けられている。また、図4に示していないが、筺体121には、図3に示した角度検出部24が設けられている。筺体122には、マイク27、操作部28および距離計測部25が設けられ、さらに、図4には示していないが、記憶部21、無線部29、アンテナ30および制御部22が筺体122に設けられている。
【0026】
図5は、図4に示した携帯電話機20の筺体122を側面(図4の左側)から見たときの、距離計測部25の配置例を示す透視図である。図5に示すように距離計測部25は音波の送出方向が筺体122の長手方向から約45度傾いた方向を向くように配置されている。距離計測部25として、筺体122の長手方向からマイク27の設けられた面に垂直な方向までの範囲を測定可能な範囲とするセンサを使用している。
【0027】
本実施形態では、図4に示すように、有効測定範囲の広い超音波センサを1つ用いる場合で説明するが、超音波センサが2つ以上設けられていてもよい。図6は距離計測部として2つの超音波センサが設けられた場合のセンサの配置例を示す平面図および側面透視図である。図6(a)は筺体122の下部を拡大した平面図である。図6(a)および図6(b)に示すように、距離計測部25aは音波の送出方向が筺体122のマイク27が設けられた面に対して垂直方向を向くように配置されている。距離計測部25bは、筺体122の下端に設けられ、音波の送出方向が筺体122の長手方向を向くように配置されている。この場合、地面に対するLCD23の角度θが0度≦θ≦45度のとき、制御部22が距離計測部25bを動作させて距離を測定し、角度θが45度<θ≦90度のとき、制御部22が距離計測部25aを動作させて距離を測定するようにしてもよい。
【0028】
次に、LCD23の視認性について、携帯電話機20および利用者間の距離の依存性を、図7から図9の模式図を用いて説明する。
【0029】
図7から図9は、本実施例の携帯電話機のLCDの視認性について、携帯電話機20および利用者間の距離の依存性を説明するための模式図である。LCD23の表示面に垂直な方向をX軸方向とし、表示面に水平な方向をY軸とする。地面に対するY軸の傾き角をθで表し、利用者と携帯電話機20との距離をdで表す。ここでは、利用者が携帯電話機20を携帯してLCD23を視認可能な角度の範囲が、0度から90度の範囲であるものとする。
【0030】
図7は利用者が携帯電話機のLCDを一般的な方法で見る場合を示す模式図である。図7は、利用者が携帯電話機20を保持した腕を軽く曲げて、LCD23を見ている状態である。携帯電話機20の地面からの高さは、利用者のほぼ胸の高さである。重力加速度を1Gとすると、図5に示す状態では、加速度センサはX軸の負の方向に約0.7Gを検出し、Y軸の負の方向に約0.7Gを検出することで、制御部22は、角度θ1を約45度と検出する。
【0031】
超音波センサは、所定の周波数の音波を送信し、利用者に反射した音波である反射波を受信する。図7に示す場合、超音波センサから送信された音波が利用者の胸で反射し、その反射波が超音波センサで受信される。超音波センサが音波を送信してから反射波を受信するまでの時間をTとし、音波の速度をVとすると、利用者と携帯電話機20との距離dは、d=(1/2)×T×Vで算出される。以下では、この式を式1とする。
【0032】
図7に示す状態では、利用者にとって携帯電話機20との距離がLCD23を最も見やすい距離にある。この場合のLCD23の表示状態を標準状態とする。
【0033】
次に、利用者が携帯電話機20を自分に近づける場合を考えてみる。図8は利用者が携帯電話機を自分に近付けた場合を示す模式図である。
【0034】
図8に示すように、利用者が携帯電話機20の下端を胸の前まで近づけた場合、利用者は首を曲げて携帯電話機20を見下ろすようにして、LCD23を見る。図8を見ると、携帯電話機20が地面にほぼ平行になっている。
【0035】
図8に示す状態では、加速度センサはX軸の負の方向に約1.0Gを検出し、Y軸方向に0Gを検出することで、制御部22は、角度θ2を0度と検出する。図8に示す場合、超音波センサから送信された音波が利用者の胸で反射し、その反射波が超音波センサに受信される。超音波センサが測定する時間Tと式1に基づいて、図7に示した距離d1よりも小さい距離d2が求まる。
【0036】
図8に示すように、利用者が携帯電話機20を自分に近づけた場合、携帯電話機20と利用者との距離d2が図7の場合の距離d1よりも小さくなるが、LCD23に表示される文字や画像が大きく見える。そのため、LCD23の表示状態は標準状態のままでも、利用者にとってLCD23の視認性はよい。
【0037】
次に、利用者が携帯電話機20を自分から遠ざける場合を考えてみる。図9は利用者が携帯電話機を持って腕を伸ばした場合を示す模式図である。
【0038】
図9に示すように、利用者は、携帯電話機20を持つ腕を伸ばした場合、携帯電話機20を立てて、LCD23を見る。図9を見ると、携帯電話機20が地面にほぼ垂直になっている。
【0039】
図9に示す状態では、加速度センサはX軸方向に0Gを検出し、Y軸の負の方向に約1.0Gを検出することで、制御部22は、角度θ3を90度と検出する。図9に示す場合、超音波センサから送信された音波は利用者の肩で反射し、その反射波が超音波センサに受信される。超音波センサが測定する時間Tと式1に基づいて、図7に示した距離d1よりも大きい距離d3が求まる。
【0040】
図9に示すように、利用者が携帯電話機20を自分から遠ざける場合、携帯電話機20と利用者との距離d3が図7の場合の距離d1よりも大きく、利用者にとって、LCD23の文字や画像は距離d3が大きいほど小さく見える。そのため、利用者にとってLCD23の視認性が悪くなる。
【0041】
ここで、表示状態について、標準状態から、視認性を改善するための表示状態である視認性改善状態への変更方法の具体例を説明する。
【0042】
視認性改善状態として、標準状態よりもLCD23に表示される文字のサイズを大きくする、その文字のフォントの種類を変更する、LCD23の輝度を大きくするなどの制御方法がある。フォントの種類のうち、太字や装飾を施した文字などは、斜め方向から見ると、読みにくくなるおそれがある。そのため、このようなフォントが標準状態で用いられている場合には、視認性改善状態では、例えば、通常のゴシック体の文字に変更する制御が考えられる。
【0043】
また、視認性改善状態が、LCD23のバックライトの輝度をグラデーション状に変化させて生成した陰影で擬似的な奥行きを持たせる方法などを用いて、表示される文字および絵などの画像を立体的に見せる制御でもよい。さらに、視認性改善状態は、これらの制御のうち、2つ以上組み合わせてもよい。
【0044】
図10はLCD23の標準状態における表示状態を示す画像の一例であり、図11は図10に示した標準状態から文字のサイズを大きくした場合の表示状態を示す画像の一例である。図11に示すAからKのアルファベットの文字のサイズが図10に示す文字よりも大きいことがわかる。図10に示すLCD23は図7に示した場合の一例であり、図11に示すLCD23は図9に示した場合の一例である。
【0045】
次に、図7から図9に示した状態で、制御部22がどのようにLCD23の表示状態を制御するかを簡単に説明する。
【0046】
図12は、携帯電話機の利用者との距離、および携帯電話機の角度の組み合わせに関して、表示状態の制御方法をまとめた表である。図12では、ケースAからケースCの3通りに分類している。図7および図8に示した状態がケースAに相当し、図9に示した状態がケースBまたはケースCに相当する。
【0047】
図12に示す表で、距離計測部25が計測する距離dについて、利用者がLCD23を見ながら操作部28を操作しやすい距離の最大値を閾値1とし、大人の人が腕を伸ばしたときの平均的な腕の長さを閾値2とする。閾値3は、携帯電話機20のLCD23に表示される文字または画像を視認可能な距離の最大値である。例えば、LCD23に表示させる文字のサイズを最大14ポイント(5mm)まで大きくする場合、閾値3を2mとする。閾値3を距離計測部25の測定限界値としてもよい。閾値1<閾値2<閾値3の関係にある。
【0048】
また、ここでは、利用者が座った状態または立った状態で携帯電話機20を携帯して、利用者にとってLCD23の視認性のよい角度の範囲が0度から90度の範囲であるものとする。
【0049】
ケースAの場合、距離dは閾値1以下であるため、LCD23の表示状態を標準状態にする。ケースBの場合、距離dは閾値1と閾値2の間の範囲にある。この場合、LCD23の表示状態を標準状態から視認性改善状態に変更する。具体的には、LCD23の表示状態を距離dに応じて変化させる。例えば、距離dが大きくなるほど、LCD23に表示する文字のサイズを大きくする制御が考えられる。
【0050】
ケースCの場合、携帯電話機20が利用者から閾値2よりも離れているため、制御部22は、ケースBの場合のLCD23の表示状態を、距離dだけでなく角度θに応じて変更する。図9に示した状態で、携帯電話機20を利用者の反対側に傾けていくと、LCD23の視認性が悪くなる。そのため、ケースCの場合では、例えば、距離dが大きいほど、角度θが小さいほど、LCD23に表示する文字のサイズを大きくしたり、LCD23の輝度を大きくする制御が考えられる。
【0051】
なお、図12に示す表には記載していないが、次のような制御を行ってもよい。
【0052】
携帯電話機20のLCD23が天井を向いた状態で机の上に置かれた場合、距離計測部25は携帯電話機20と天井との距離を測定しようとするため、距離dが閾値3よりも大きくなる。距離dが閾値3よりも大きい場合、制御部22は利用者がLCD23を見ていないものと判断し、LCD23の動作モードを、LCD23に電源供給を行う標準モードから、LCD23への電源供給を停止する省電力モードに切り替える制御を行う。一方、距離dが閾値3よりも大きい場合であっても、携帯電話機20を机の上に載せて、複数の人が携帯電話機20を囲むようにしてLCD23を見るようなケースも考えられる。そのため、距離dが閾値3よりも大きい場合、制御部22はLCD23の表示状態を標準状態にする制御を行ってもよい。
【0053】
また、利用者が寝転んだ状態で携帯電話機20のLCD23を見る場合も考えられる。この場合、LCD23の表示面が地面に水平であれば、加速度センサはX軸の正の方向に約1.0Gを検出し、Y軸方向に0Gを検出することで、制御部22は、角度θを180度と検出する。角度θが90度以上あると、利用者が座った状態または立った状態で視認性のよい角度の範囲から外れるが、利用者が寝転んだ状態でLCD23を見る場合、LCD23の視認性がよいので、制御部22はLCD23の表示状態が標準状態になるように制御してもよい。
【0054】
次に、図12に示した表に基づいて、本実施例の携帯電話機の動作を説明する。図13は本実施例の携帯電話機の動作手順を示すフローチャートである。図12に示した閾値1、閾値2および閾値3が、制御部22内のメモリ(不図示)に格納されたプログラムに予め記述されている。利用者が座った状態または立った状態でLCD23を見る場合にLCD23の視認性のよい角度θが0度から90度の範囲であるものとする。
【0055】
携帯電話機20が基地局(不図示)への位置登録通知および着信待ちなどの電話機能が動作している状態で、利用者が携帯電話機20のLCD23を起動させる。本実施例では、携帯電話機20が折り畳み式の端末であるため、利用者が携帯電話機20を折り畳まれた状態から開いた状態にすることが、LCD23を起動させる指示を携帯電話機20に入力したことに相当する。利用者が折り畳まれた状態の携帯電話機20を開くと、制御部22がLCD23を省電力モードから標準モードに切り替え、LCD23に電源供給を開始する。携帯電話機が折り畳み式以外の端末であれば、操作部に予め設けられたボタンを利用者が押すことで、表示部を起動させてもよい。
【0056】
LCD23への電源供給が開始されると、制御部22は、LCD23の表示状態を標準状態に制御する。その後、制御部22は、一定時間毎に角度検出部24および距離計測部25のそれぞれから出力値を受信すると、以下の処理を行う。
【0057】
制御部22は、角度検出値24からの出力値に基づいてLCD23の地面に対する角度θを算出する(ステップ1101)。制御部22は、角度θが0度から90度の範囲であるか否かを判定し(ステップ1102)、角度θが0度から90度の範囲であると、距離計測部25からの出力値に基づいて自端末と利用者との距離dを算出する(ステップ1104)。ステップ1101が図2に示したステップ1001に相当し、ステップ1102が図2に示したステップ1002に相当する。
【0058】
続いて、制御部22は、図2に示したステップ1003の処理を次のように行う。制御部22は、距離dが閾値1以下であるか否かを判定し(ステップ1105)、距離dが閾値1以下であると、LCD23の表示状態を標準状態に維持する(ステップ1106)。ステップ1105で距離dが閾値1以上であると、制御部22は、距離dが閾値2以下であるか否かを判定し(ステップ1107)、距離dが閾値2以下であると、LCD23の表示状態を標準状態から視認性改善状態に変化させる。具体的には、制御部22は、距離dに応じて表示状態を変更する(ステップ1108)。視認性改善状態が文字のサイズを大きくすることである場合、ステップ1108で、制御部22は、距離dが大きいほど、文字のサイズを大きくする制御を行う。
【0059】
ステップ1107で距離dが閾値2よりも大きいと、制御部22は、距離dが閾値3以下であるか否かを判定し(ステップ1109)、距離dが閾値3以下であると、LCD23の表示状態を標準状態から視認性改善状態に変化させ、距離dおよび角度θに応じて表示状態を変更する(ステップ1111)。視認性改善状態が文字のサイズを大きくすることである場合、ステップ1111で、制御部22は、距離dが大きいほど、角度θが小さいほど、文字のサイズを大きくする制御を行う。
【0060】
一方、ステップ1102において、角度θが90度よりも大きく、座った状態または立った状態の利用者にとってLCD23の視認性が悪くても、利用者が寝転んでLCD23を見る場合も考慮して、制御部22は、LCD23の表示状態を標準状態にする制御を行う(ステップ1103)。また、ステップ1109において、距離dが閾値3よりも大きくても、利用者が携帯電話機20を机の上において携帯電話機20の横から斜め下方にLCD23を見下ろしている場合も考慮して、制御部22は、LCD23の表示状態を標準状態にする制御を行う(ステップ1110)。
【0061】
なお、本実施例では、角度検出部24が加速度センサであり、距離計測部25が超音波センサの場合で説明したが、角度検出部24が加速度センサとその出力値から角度θを算出する回路とを含むユニットで構成され、距離計測部25が超音波センサとその出力値から距離dを算出する回路とを含むユニットで構成されていてもよい。この場合、制御部22は、角度検出部24および距離計算部25のそれぞれから受信する角度θおよび距離dに基づいてLCD23の表示状態を制御すればよいので、各センサの出力値から角度θと距離dを算出するための演算処理の負担が軽減する。
【0062】
本実施例によれば、携帯電話機とその利用者との距離を計測し、地面に対する携帯電話機の角度を検出し、これらの情報を組み合わせて、視認性が改善するように表示部の表示状態が変更される。そのため、利用者は、携帯した携帯電話機が自分から遠すぎたりまたは近すぎたりしても、表示部に表示された内容を認識することができる。
【0063】
なお、LCD23の表示状態の変更方法として、次のような制御を行ってもよい。画面を上方向または下方向にスクロールするためのスクロールポインタが操作部28に設けられており、LCD23の視認性がよくない状態のとき、制御部22がスクロールポインタの動作速度を遅くする制御を行ってもよい。この場合、利用者がLCD23を斜め上または斜め下から見たときに、スクロールポインタの動作速度が速く感じられるという問題を解決し、操作性が改善する。
【0064】
また、利用者がLCD23を見ながら音声通話を行う場合、LCD23の視認性が悪い状態では、スピーカ26およびマイク27の向きも正面から傾いた状態になっている。この場合、相手の音声が聞こえにくくなったり、相手に自分の音声が聞き取りにくくなったりすることがある。この場合、制御部22は、スピーカ26の音量を大きくしたり、マイク27の感度を高くしたりする制御を行ってもよい。
【0065】
また、図3に示した距離計測部25が、レンズおよび撮像素子を含むカメラであってもよい。カメラのオートフォーカス機能を実行させることで、利用者との距離を計測することが可能である。また、制御部22が、撮影された画像を解析することで、利用者の目を検出し、携帯電話機20から目までの距離を算出するようにしてもよい。
【0066】
また、外光が携帯電話機20の横方向から強く照射している場合、利用者は、外光がLCD23に照射されないように携帯電話機20を傾け、LCD23が少々見づらくても、LCD23を見ようとする場合がある。この場合、距離計測部25としてカメラが設けられていると、制御部22は、撮影された、利用者の顔の画像を解析し、解析結果から外光の強度が大きいと判定すると、LCD23の輝度を大きくするなど、LCD23の表示状態を変更してもよい。外光の強度の判定方法の一例として、制御部22は、顔を表示している複数の画素の強度(輝度など)の最大値と予め設定された基準値とを比較し、その最大値が基準値よりも大きい場合、強い外光が利用者の顔に照射されていると判定する方法がある。さらに、制御部22は、利用者の顔の画像を解析して、解析結果から外光の方向を予測し、外光の方向に合わせて、LCD23の表示状態を変更してもよい。外光の方向の予測方法の一例を説明する。頭を球体にモデル化したとき、制御部22は、顔を表示している複数の画素の最大値となる位置(以下では、最大ポイントと称します)を特定すると、球体の中心に対して最大ポイントの方向を外光の方向と予測する。例えば、最大ポイントが顔の中央付近である場合、外光が顔の正面方向から利用者に照射していると予測できる。また、顔の画像で利用者の顔の中央から右耳の付け根を結ぶ線分において、顔の中央から約7割の位置に最大ポイントがあれば、0.7≒sin45°の計算結果に基づいて、利用者の正面から右45度の方向から外光が利用者に照射していると予測できる。
【0067】
また、携帯電話機20に撮影用のカメラが設けられていてもよい。この場合、利用者が撮影用のカメラを起動する旨の指示を入力すると、制御部22は、距離dおよび角度θに基づく、LCD23の表示状態の制御を行わない。利用者が、被写体をうまく撮影するために、携帯電話機20をいろいろな方向に傾けたりすることが考えられるからである。
【0068】
一方、携帯電話機20にメール送受信機能が設けられている場合、利用者は、新規メールの文書を作成したり、受信したメールを開封したりする際、利用者がLCD23を見ながら操作することは確実である。利用者が携帯電話機20を操作してメール機能の画面を起動させたとき、制御部22は、角度検出部24および距離計測部25を起動し、上述したLCD23の表示状態についての制御を行うようにしてもよい。この場合、利用者はメールの作成やメールの開封を行う際、上述した制御を行うことで効果を確実に得ることができる。
【0069】
実施例を用いて説明したように、本実施形態の表示装置では、表示装置と利用者との距離を計測し、基準面に対する、表示装置の角度を検出することで、表示状態の設定を変更することで、表示部の視認性を最適化できる。その結果、携帯した表示装置が目から遠すぎたりまたは近すぎたりしても、表示部の視認性が改善され、利用者は表示装置に表示された内容を認識しやすくなる。
【符号の説明】
【0070】
10 表示装置
12 制御部
13 表示部
14、24 角度検出部
15、25 距離計測部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出する角度検出部と、
利用者との距離を計測する距離計測部と、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する制御部と、
を有する表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記基準面が地面であり、
前記距離について前記表示状態を変更するか否かの判定基準となる第1の閾値が前記制御部に予め格納され、
前記角度が所定の範囲であり、かつ、前記距離が前記第1の閾値よりも大きい場合、前記制御部は、前記表示部の表示状態を標準状態から視認性を改善するための表示状態である視認性改善状態に変更する、表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の表示装置において、
前記制御部は、前記距離に対応して前記視認性改善状態を変更する、表示装置。
【請求項4】
請求項2記載の表示装置において、
前記距離について前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値が前記制御部に予め格納され、
前記角度が所定の範囲であり、かつ、前記距離が前記第2の閾値よりも大きい場合、前記制御部は、前記距離および前記角度に対応して前記視認性改善状態を変更する、表示装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項記載の表示装置において、
前記視認性改善状態は、前記標準状態に比べて、前記表示部に表示される文字のサイズを大きくすること、文字のフォントの種類を変更すること、および、前記表示部の輝度を大きくすること、ならびに、前記表示部に表示される文字および絵を含む画像を立体的に表示することのうち、少なくともいずれかである、表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の表示装置において、
前記距離計測部は、オートフォーカス機能を実行することで利用者の焦点距離を測定するカメラである、表示装置。
【請求項7】
表示装置が実行する表示方法であって、
基準面に対する、前記表示装置の角度を検出し、
前記表示装置と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示装置の表示状態を変更する、表示方法。
【請求項8】
表示部を有するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出し、
前記表示部と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
表示部と、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出する角度検出部と、
利用者との距離を計測する距離計測部と、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する制御部と、
を有する表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記基準面が地面であり、
前記距離について前記表示状態を変更するか否かの判定基準となる第1の閾値が前記制御部に予め格納され、
前記角度が所定の範囲であり、かつ、前記距離が前記第1の閾値よりも大きい場合、前記制御部は、前記表示部の表示状態を標準状態から視認性を改善するための表示状態である視認性改善状態に変更する、表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の表示装置において、
前記制御部は、前記距離に対応して前記視認性改善状態を変更する、表示装置。
【請求項4】
請求項2記載の表示装置において、
前記距離について前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値が前記制御部に予め格納され、
前記角度が所定の範囲であり、かつ、前記距離が前記第2の閾値よりも大きい場合、前記制御部は、前記距離および前記角度に対応して前記視認性改善状態を変更する、表示装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項記載の表示装置において、
前記視認性改善状態は、前記標準状態に比べて、前記表示部に表示される文字のサイズを大きくすること、文字のフォントの種類を変更すること、および、前記表示部の輝度を大きくすること、ならびに、前記表示部に表示される文字および絵を含む画像を立体的に表示することのうち、少なくともいずれかである、表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の表示装置において、
前記距離計測部は、オートフォーカス機能を実行することで利用者の焦点距離を測定するカメラである、表示装置。
【請求項7】
表示装置が実行する表示方法であって、
基準面に対する、前記表示装置の角度を検出し、
前記表示装置と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示装置の表示状態を変更する、表示方法。
【請求項8】
表示部を有するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
基準面に対する、前記表示部の角度を検出し、
前記表示部と利用者との距離を計測し、
前記距離および前記角度に基づいて前記表示部の表示状態を変更する処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−185223(P2012−185223A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46693(P2011−46693)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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