説明

表示装置、表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】透光性を有する表示画面を備え、該表示画面の表側の視認者が視認すべきオブジェクトを表示する表示装置において、前記表示画面を介して透けて見える裏側が前記オブジェクトの色と同一色又は同系色である場合でも、明確に該オブジェクトを視認することが出来る表示装置、表示方法、コンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムが記録される記録媒体を提供する。
【解決手段】表示部の表示画面の裏側を撮像し、撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較して、斯かる比較結果に基づき、所定の色を決定し、斯かる決定結果に基づき、オブジェクトの色を変更表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性を有する表示画面の表側に視認者が視認すべきオブジェクトを表示する表示装置、表示方法、コンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、その向こう側を視認できる、いわゆる透過型の液晶パネル、有機ELパネル等の普及が増えつつある。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2では、その一部が透過可能である表示手段の背面にキー配列が割付けられたタッチパネルを配置し、タッチパネルの押圧位置を含む周辺キーのキー配列を前面の前記表示手段を介して視認可能とした情報表示入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−216087号公報
【特許文献2】特開2007−164767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上述したような透過型の液晶パネル、有機ELパネルにおいては、向こう側(裏側)の視認が可能であるために、換言すれば、表示されるオブジェクトと共に、裏側が視認されることから、該オブジェクトの視認が難しくなるという問題があった。
【0006】
すなわち、前記透過型の液晶パネル、有機ELパネルを介して視認される裏側が、表示されるオブジェクトの色と同一色又は同系色である場合、オブジェクトの色が保護色となり、視認し難くなる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に係る情報表示入力装置では、このような問題を解決できない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透光性を有する表示画面の表側に視認者が視認すべきオブジェクトを表示するにおいて、該表示画面の裏側を撮像し、撮像された映像の色及び前記オブジェクトの色を比較して、斯かる比較結果に基づき、所定の色を決定し、この決定結果に基づき、前記オブジェクトの色を変更表示することにより、前記表示画面を介して透けて見える裏側が前記オブジェクトの色と同一色又は同系色である場合でも、明確に該オブジェクトを視認することが出来る表示装置、表示方法、コンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムが記録される記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、透光性を有する表示画面を備え、該表示画面の表側の視認者が視認すべきオブジェクトを表示する表示装置において、該表示画面の裏側を撮像する撮像手段と、撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較する比較手段と、該比較手段の比較結果に基づき、所定の色を決定する決定手段と、該決定手段の決定結果に基づき、前記オブジェクトの色を変更表示する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、前記撮像手段が前記表示画面の裏側を撮像し、前記比較手段は撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較する。前記決定手段は、前記比較手段の比較結果に基づき、所定の色を決定し、斯かる決定結果に基づき、前記変更手段が前記オブジェクトの色を変更表示する。
【0010】
本発明に係る表示装置は、色の選択を受け付ける選択受付手段を備え、前記比較手段は、前記選択受付手段が受け付けた選択に係る色と、前記オブジェクトの色とを比較するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、前記選択受付手段が色の選択を受け付けた場合、前記比較手段は、該選択受付手段が受け付けた選択に係る色と、前記オブジェクトの色とを比較し、前記決定手段は、前記比較手段の比較結果に基づき、所定の色を決定する。
【0012】
本発明に係る表示装置は、計時手段を備え、該計時手段の計時結果に基づき、前記比較手段による比較、又は前記決定手段による決定が行われるように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、前記計時手段の計時結果に基づき、例えば、所定時間の経過毎に、前記比較手段は、撮像された映像の色及び前記オブジェクトの色を比較し、前記決定手段は所定の色を決定する。
【0014】
本発明に係る表示装置は、前記変更手段は、経時的にオブジェクトの色を変えるように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記決定手段による決定結果に基づき、前記変更手段が前記オブジェクトの色を変更表示する際、経時的に徐々にオブジェクトの色を変える。
【0016】
本発明に係る表示装置は、前記撮像手段による撮像方向を可変にしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、前記撮像手段による撮像方向を可変にしてあるので、使用者は必要に応じて撮像方向を調整することができる。
【0018】
本発明に係る表示方法は、表側の視認者が視認すべきオブジェクトを表示する透光性の表示画面と、該表示画面の裏側を撮像する撮像手段とを備える表示装置にて、オブジェクトを表示する表示方法において、撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較する比較ステップと、該比較ステップでの比較結果に基づき、所定の色を決定する決定ステップと、該決定ステップでの決定結果に基づき、前記オブジェクトの色を変更表示する変更ステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明に係るコンピュータプログラムは、表側の視認者が視認すべきオブジェクトを表示する透光性の表示画面と、該表示画面の裏側を撮像する撮像手段とを備える表示装置を構成するコンピュータに、オブジェクトを表示させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較させる比較ステップと、コンピュータに、前記比較ステップでの比較結果に基づき、所定の色を決定させる決定ステップと、コンピュータに、前記決定ステップでの決定結果に基づき、前記オブジェクトの色を変更表示させる変更ステップとを実行させることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、該表示画面の裏側が撮像され、撮像された裏側の映像の色及び前記オブジェクトの色が比較される。斯かる比較結果に基づき、所定の色が決定され、斯かる決定結果に基づき、前記オブジェクトの色が変更表示される。
【0021】
本発明に係る記録媒体は、前述の発明のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、前記記録媒体に前述のコンピュータプログラムを記録する。コンピュータが前記記録媒体からコンピュータプログラムを読み出して、前述の表示装置及び表示方法がコンピュータにより実現される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、前記表示画面を介して透けて見える裏側が、該表示画面の表側の視認者が視認すべきオブジェクトオブジェクトの色と同一色又は同系色である場合であっても、視認者が明確に該オブジェクトを視認することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置における、カメラの構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置における、制御部の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置の一つの使用例を示す例示図である。
【図5】図4に示す使用例における、書籍データ表示装置でのオブジェクトの表示を示す図である。
【図6】図5に示す使用例における、本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置の処理を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置における、色の変更表示を示す例示図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置の一つの使用例を示す例示図である。
【図9】図8に示す使用例における、書籍データ表示装置でのオブジェクトの表示を示す図である。
【図10】図9に示す使用例における、本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置の処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置における、選択受付画面の一例を示す例示図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置における、色の変更表示を示す例示図である。
【図13】本発明の実施の形態3の書籍データ表示装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態に係る表示装置、表示方法及びコンピュータプログラムを、いわゆる電子ブックの機能を有する書籍データ表示装置に適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。
本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100は、タッチパネル2と、撮像部3と、表示部4と、計時部5と、記憶部6と、操作部8とを備えている。これらハードウェアはバスNを介して制御部1に接続されている。
【0027】
表示部4は、例えば、透過型液晶パネル、透明である有機EL(Electroluminescence)パネルからなる。詳しくは、該有機ELパネルは、電界発光層の上下を透明導電膜で挟むとともに、これらをガラス板などの透明基板でさらに上下から封止し、この透明導電膜を駆動する有機EL表示素子(TFT)などの駆動回路領域と電界発光層で生成された光が出光する表示領域とが重ならないように形成することで、電界発光層の上下方向に向けて出光可能としたデュアルエミッション型の有機ELパネルである。
【0028】
表示部4の後述する表示画面41には、該有機ELパネルの自発光によって、電子書籍のコンテンツ等のオブジェクトが表示される。従って、オブジェクトが表示されない場合は有機ELパネルの全体を介して、オブジェクトが表示されている場合はオブジェクトが表示されていない部分を介して、裏側が透過して見える。すなわち、表示画面41の表側に居る使用者は、表示画面41の裏側を視認することができる。また、表示部4の表示画面41を覆うようにタッチパネル2が設けられている。
【0029】
タッチパネル2は、透明であり、表示部4の表示画面41を覆うように設けられた板部材を備えている。タッチパネル2は、該板部材への使用者のタッチ操作により表示部4の表示画面41上における位置指定を受け付ける。詳しくは、タッチパネル2は使用者の指先のタッチ操作による圧力の変化を検知し、又は静電気による電気信号を検知して、使用者の指先の接触点に対応する表示部4の表示画面41上の座標を検出し、該座標を特定する信号を発生する。また、タッチパネル2は、これに限るものでなく、ポインティングデバイス(例えば、スタイラスペン)等を含む構成であっても良い。
【0030】
撮像部3は、表示画面41の裏側の映像(以下、裏側映像)を撮像する。詳しくは、撮像部3は、CCD(Charge Coupled Device )イメージセンサ等の撮像素子を備えるカメラを有しており、カメラを介して表示画面41の裏側を撮影した撮影データを取得して前記裏側映像を生成する。
【0031】
図2は本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100における、カメラ31の構成を説明する説明図である。カメラ31は、表示画面41(有機ELパネル)を取り囲む枠体42の上側に設けられている。カメラ31は、球体の形状をなす球体部33と、球体部33に突設された円柱状のレンズ部32を有する。カメラ31は球体部33が、球殻状の受部34に回転かつ傾動自在に内嵌されている。詳しくは、受部34は、球体部33に倣う形状の空洞を内側に有し、表示画面41の裏側に向けて円形の開口が形成されている。従って、レンズ部32を、前記開口を介して外側に露出させた状態にて球体部33が受部34の内側に嵌められ、該開口を半径に、レンズ部32が回転かつ傾動可能となる。すなわち、カメラ31が受部34と玉継手のように係合しているので、使用者はカメラ31による撮像方向を変えることが出来る。
【0032】
記憶部6は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM、HDD、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、又は、OUM等の不揮発性の記憶媒体により構成されている。また、記憶部6には書籍データが記憶されている。該書籍データは電子書籍の各ページに対応する画像データからなり、ページ毎に画像データが制御部1に送られ、該画像データに対する処理が適宜施される。該処理後の画像データに基づく画像(オブジェクト)が表示部4に表示される。
【0033】
操作部8には、使用者から各種指示を受け付けるために複数のボタンが設けられている。例えば、操作部8には、オン・オフボタン、使用者が表示画面41に表示すべき電子書籍のページを選ぶ際に用いられる+型ボタン、使用者の決定を受け付けるための決定ボタン等が設けられている。
【0034】
計時部5は現時刻及び所定時刻からの時間の経過を測り、斯かる計時結果を制御部1に渡す。制御部1は、計時部5の計時結果に基づき、色の比較、変更に係る色の決定等の処理を行う。
【0035】
図3は本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100における、制御部1の要部構成を示す機能ブロック図である。
制御部1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、バッファーメモリ14と、表示画像特徴量抽出部15と、撮像画像特徴量抽出部16と、変更部17と、比較部18と、決定部19と、選択受付部20と、表示制御部21とを備えている。
【0036】
ROM12には各種の制御プログラム、演算用のパラメータのうちの基本的に固定のデータ等が予め格納されており、RAM13はデータを一時的に記憶し、記憶順、記憶位置等に関係なく読み出すことが可能である。また、RAM13は、例えば、ROM12から読み出されたプログラム、該プログラムを実行することにより発生する各種データ、該実行の際適宜変化するパラメータ等を記憶する。更にRAM13には、記憶部6から送られる電子書籍の画像データが1ページずつ記憶される。
【0037】
CPU11は、ROM12に予め格納されている制御プログラムをRAM13上にロードして実行することによって、バスNを介して上記の各種ハードウェアの制御を行い、装置全体を本発明の書籍データ表示装置100として動作させる。
【0038】
バッファーメモリ14は、表示部4に表示すべき電子書籍の各ページの画像(以下、表示画像と言う。)に係る画像データを、RAM13から1ページずつ取得して一時的に記憶する。
【0039】
表示画像特徴量抽出部15は、バッファーメモリ14に記憶された表示画像の特徴量を抽出する。例えば、表示画像特徴量抽出部15は、該表示画像の色に係る特徴量(RGBの値)を抽出する。
【0040】
撮像画像特徴量抽出部16は、撮像部3から取得した撮像画像(裏側映像)の特徴量を抽出する。例えば、撮像画像特徴量抽出部16は、該撮像画像の色に係る特徴量(RGBの値)を抽出する。
【0041】
比較部18は、バッファーメモリ14に記憶された表示画像と、撮像部3からの撮像画像(裏側映像)との比較を行う。例えば、比較部18は、前記表示画像及び裏側映像の色の類似度を求める。該色の類似度の求めには、表示画像特徴量抽出部15によって抽出された表示対象のRGB値と、撮像画像特徴量抽出部16によって抽出された撮像画像のRGB値とに基づいてこれらの色の類似度を算出する公知の技術が用いられる。例えば、表示画像のRGB値と、撮像画像のRGB値と内積を求め、斯かる内積に係る数字を色の類似度とする。
【0042】
なお、以下の説明においては、比較部18が色の類似度を求め、前記表示画像及び裏側映像の比較を行う場合を例として説明するが、本発明はこれに限るものでない。例えば、斯かる類似度は、前記表示画像及び裏側映像の色に限るものでなく、彩度、明度における類似度を求めるように構成しても良い。
【0043】
決定部19は、比較部18による比較の結果、すなわち、前記表示画像及び裏側映像の色の類似度の計算結果に基づき、所定の色を決定する。換言すれば、既にバッファーメモリ14に記憶されている画像データに基づく表示画像の色を変えて表示するための色(以下、変更色と言う。)を特定する。例えば、該表示画像及び裏側映像の色の類似度が所定の閾値以上である場合、決定部19は、該裏側映像のRGB値から特定される色に対する補色を前記変更色として決定する。
【0044】
変更部17は、バッファーメモリ14に記憶された画像データに係る表示画像の色が決定部19によって決定された変更色になるように、該画像データを変更する。従って、該表示画像に文字、図形等のオブジェクトが含まれている場合、該オブジェクトの色は原の色から前記変更色に変更されて表示部4に表示される。
【0045】
選択受付部20は、比較部18による色の類似度の計算における前記裏側映像の色の選択を使用者から受け付ける。詳しくは、選択受付部20は、後述する選択受付画面に表示される裏側映像上での所定の画像領域に係る色を、選択された色として受け付け、該画像領域の色の特徴量を抽出するように撮像画像特徴量抽出部16に指示する。撮像画像特徴量抽出部16は、該指示に応じて、該画像領域の色のRGB値を抽出する。
【0046】
なお、本発明はこれに限るものでない。例えば、選択受付部20が該画像領域の彩度、明度の選択を受け付けるように構成しても良い。
【0047】
表示制御部21は、DSP(Digital Signal Processor)のようなプロセッサにより構成され、バッファーメモリ14に記憶されている画像データに基づく画像を表示部4へ表示する。また、表示制御部21は、変更部17によって色が変更された画像データに基づく画像を表示部4に表示する。
【0048】
以下、本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100の作用について詳しく説明する。
【0049】
図4は本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100の一つの使用例を示す例示図であり、図5は図4に示す使用例における、書籍データ表示装置100でのオブジェクトの表示を示す図である。説明の便宜上、同系色である部分については同一方向の斜線を付している。
【0050】
本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100の使用例の一つとして、図4に示すように、表示画面41に表示された文字の色と、表示画面41の裏側であって、表示画面41を介して視認される部分の色が同一である場合が想定される。
【0051】
すなわち、図5に示すように、表示画面41に表示された「ABCD」文字と、表示画面41を介して視認される単色のカーテンが重なっており、かつ、該「ABCD」文字の色と、該カーテンの色が同系色である場合には、文字の背景が該文字と同一の色であるので、該文字の視認が難しくなる。このような場合、本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100は、斯かる文字の色を変更して、文字を背景から浮き出させる。
【0052】
図6は図5に示す使用例における、本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100の処理を説明するフローチャートである。説明の便宜上、総10ページである電子書籍の表示を、使用者が書籍データ表示装置100に指示した場合を例として、図4に基づいて、説明する。
【0053】
上述したように、使用者から前記電子書籍を表示する指示を受け付けた場合、先ず、記憶部6に記憶されている該電子書籍の画像データの中、1ページに該当する画像データがRAM13に送られ、CPU11は該1ページに該当する画像データをバッファーメモリ14に伝送させ、記憶する(ステップS101)。
【0054】
次いで、CPU11は、撮像部3によって撮像された裏側映像を取得する(ステップS102)。
【0055】
比較部18は、取得した裏側映像と、バッファーメモリ14に記憶された画像データに基づく表示画像との類似度を計算する(ステップS103)。詳しくは、上述したように、表示画像特徴量抽出部15が該表示対象のRGB値を抽出し、撮像画像特徴量抽出部16が該裏側映像のRGB値を抽出し、比較部18はこれらに基づき、該表示画像及び裏側映像における色の類似度を算出する。
【0056】
また、CPU11は、比較部18によって計算された色の類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS104)。CPU11によって該類似度が所定の閾値以上でないと判定された場合(ステップS104:NO)、処理はステップS107に進む。
【0057】
一方、図4に示すように、表示画面41に示した文字(オブジェクト)及び裏側映像の色が同系色である場合、CPU11は前記類似度が所定の閾値以上であると判定する(ステップS104:YES)。この際、決定部19は変更色を決定する(ステップS105)。決定部19による変更色の決定については既に上述しており、詳しい説明を省略する。
【0058】
次いで、変更部17は、バッファーメモリ14に記憶された1ページの画像データに係る表示画像の色が、決定部19によって決定された変更色になるように、該画像データを変更する(ステップS106)。
【0059】
表示制御部21は、変更部17によって変更された画像データに基づき、1ページの画像を表示部4に表示する(ステップS107)。
【0060】
図7は本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100における、色の変更表示を示す例示図である。上述したように、変更色としては、裏側映像の色の補色が決定されるので、表示部4(表示画面41)には、文字「ABCD」の色が裏側のカーテンの色の補色(図7中、カーテンと反対方向の斜線にて表示)にて表示される。
【0061】
次いで、CPU11は、RAM13を確認することにより、画像データの更新があったか否かを判定する(ステップS108)。すなわち、1ページを読み終わった使用者が、操作部8の前記+型ボタンを操作することにより、次のページ(2ページ)の表示を指示した場合、2ページの画像データが記憶部6からRAM13に送られるので、CPU11はRAM13に他のページの画像データが記憶されているか否かを確認することにより、該判定を行う。
【0062】
CPU11は、画像データの更新があったと判定した場合(ステップS108:YES)、処理をステップS101に戻す。一方、CPU11は、画像データの更新がなかったと判定した場合(ステップS108:NO)、操作部8のオン・オフボタンを監視することによって、終了の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。
【0063】
CPU11は終了の指示を受け付けたと判定した場合(ステップS109:YES)、処理を終了する。一方、CPU11は終了の指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS109:NO)、計時部5に計時の開始を指示する。
【0064】
この後、CPU11は、計時部5から計時結果を取得し、該計時結果に基づき、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS110)。
【0065】
CPU11は、所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS110:NO)、処理をステップS108に戻す。一方、CPU11は、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS110:YES)、処理をステップS102に戻す。
【0066】
本発明の実施の形態1に係る書籍データ表示装置100は、以上のような構成を有するので、表示部4(表示画面41)に表示されるオブジェクトの色と、該オブジェクトの背景の色とが同系色である場合に該オブジェクトが視認しにくくなることを防止できる。
【0067】
なお、該オブジェクトの色を変更して表示する際、上述したように、所定の時間間隔をおいて行うことにより、色の変化が頻繁に起きることを未然に防ぎ、使用者の目の疲れを抑制することができる。
【0068】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置100の一つの使用例を示す例示図であり、図9は図8に示す使用例における、書籍データ表示装置100でのオブジェクトの表示を示す図である。説明の便宜上、同系色である部分については同一方向の斜線を付している。
【0069】
本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置100の使用例の一つとして、図8に示すように、表示画面41の裏側であって、表示画面41を介して視認される部分の色が複数混在しており、該複数の色の中、何れかと表示画面41に表示された文字の色とが同一又は同系色である場合が想定される。
【0070】
すなわち、図9に示すように、表示画面41に表示された「ABCD」文字の一部が、表示画面41を介して視認されるカーテンと重なっており、かつ、該「ABCD」文字の色と、背景の一部たる該カーテンの色が同系色である場合には、該文字の一部の視認が難しくなる。このような場合、本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置100は、使用者から所定の色の選択を受け付け、この色に基づいて前記文字の色を変更して、文字を視認し易くする。
【0071】
図10は図9に示す使用例における、本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置100の処理を説明するフローチャートである。説明の便宜上、総10ページである電子書籍の表示を、使用者が書籍データ表示装置100に指示した場合を例として、図9に基づいて、説明する。
【0072】
上述したように、使用者から前記電子書籍を表示する指示を受け付けた場合、先ず、記憶部6に記憶されている該電子書籍の画像データの中、1ページに該当する画像データがRAM13に送られ、CPU11は該1ページに該当する画像データをバッファーメモリ14に伝送させ、記憶する(ステップS201)。
【0073】
次いで、CPU11は、撮像部3によって撮像された裏側映像を取得する(ステップS202)。
【0074】
表示制御部21は、取得された裏側映像を用いて、表示部4に選択受付画面を表示する(ステップS203)。図11は本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置100における、選択受付画面の一例を示す例示図である。
【0075】
前記選択受付画面は、撮像部3によって撮像された裏側映像と、該裏側画像の上に重畳して表示される領域指定用枠(図11中、点線して表示)とからなる。該領域指定用枠は、いわゆる使用者からのドラッグアンドドロップの操作によって、又は前記+型ボタンの操作によって、その大きさを変え、また所定の位置に移動させることが出来る。
【0076】
例えば、使用者がドラッグアンドドロップの操作にて前記領域指定用枠をカーテンの画像上(図11中の矢印方法)に移動させた後、操作部8の前記決定ボタンを押圧する操作を行った場合、移動後の領域指定用枠の座標を特定する信号がタッチパネル2から制御部1に送られる。
【0077】
制御部1の選択受付部20は、前記信号に基づき、前記裏側映像上の領域指定用枠に対応する画像領域の色を、すなわち、カーテンの色を選択された色として受け付ける(ステップS204)。
【0078】
比較部18は、取得した裏側映像と、バッファーメモリ14に記憶された表示画像との類似度を計算する(ステップS205)。詳しくは、表示画像特徴量抽出部15が前記表示対象のRGB値を抽出し、撮像画像特徴量抽出部16は前記選択受付画面の領域指定用枠に対応する画像領域の色のRGB値を抽出する。比較部18はこれらに基づき、前記表示画像及び裏側映像における色の類似度を算出する。
【0079】
また、CPU11は、比較部18によって計算された色の類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS206)。CPU11によって該類似度が所定の閾値以上でないと判定された場合(ステップS206:NO)、処理はステップS209に進む。
【0080】
一方、前記選択受付画面の領域指定用枠に対応する画像領域の色と、表示画面41に示した文字(オブジェクト)とが同系色である場合、CPU11によって前記類似度が所定の閾値以上であると判定される(ステップS206:YES)。この際、決定部19は変更色を決定する(ステップS207)。決定部19による変更色の決定については既に上述しており、詳しい説明を省略する。
【0081】
次いで、変更部17は、バッファーメモリ14に記憶された1ページの画像データに係る表示画像の色が、決定部19によって決定された変更色になるように、該画像データを変更する(ステップS208)。
【0082】
表示制御部21は、変更部17によって変更された画像データに基づき、1ページの画像を表示部4に表示する(ステップS209)。
【0083】
図12は本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置100における、色の変更表示を示す例示図である。上述したように、変更色としては、裏側映像の色の補色が決定されるので、表示部4(表示画面41)には、文字「ABCD」の色が裏側のカーテンの色の補色(図12中、カーテンと反対方向の斜線にて表示)にて表示される。
【0084】
以降における、ステップS210からステップS212までの処理は、図6における、ステップS108からステップS110までの処理と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0085】
本発明の実施の形態2に係る書籍データ表示装置100は、以上のような構成を有するので、表示制御部21に表示されるオブジェクトの色と、該オブジェクトの背景の一部の色とが同一色又は同系色である場合において、使用者が選択的に、該オブジェクトの色を変え、その視認性を高めることが出来る。
【0086】
なお、本発明は以上の構成に限るものでない。オブジェクトの色を変更して表示する際、経時的に色を変更させるように構成しても良い。例えば、色相環上の色順に沿って、当該変更色まで順次色を変えて表示することにより、色の変更表示が行われるように構成しても良い。これによって、色の急変が起きることを未然に防ぎ、使用者の目の疲れを抑制することができる。
【0087】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
一方、表示画面41を介して使用者が視認する裏側の様子(背景)と、撮像部3によって撮像された裏側映像が異なる場合が想定される。
【0089】
すなわち、表示画面41を介して視認される裏側の様子は、使用者によって、又は使い方(持ち方)によって変わる。例えば、表示画面41が使用者の目の前に位置する場合、目より上に位置する場合、又は目より下に位置する場合、表示画面41を介して視認される裏側の様子は夫々異なる。更には、使用者が書籍データ表示装置100を傾けた状態にて使用する場合もある。従って、表示画面41を介して使用者が視認する裏側の様子(背景)と、撮像部3によって撮像された裏側映像が異なる場合が生じ得る。このような場合には、上述したように、オブジェクトの色を変更して表示することによる効果が期待できなくなる。
【0090】
しかし、本発明の書籍データ表示装置100においては、上述したように、使用者がカメラ31による撮像方向を変えることができるように構成されているので、表示画面41を介して視認される背景と、撮像部3によって撮像された裏側映像とが異なる場合であっても、使用者が撮像方向を調整して、該背景及び裏側画像を一致させることができる。
【0091】
(実施の形態3)
図13は本発明の実施の形態3の書籍データ表示装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。実施の形態3の書籍データ表示装置100は、動作を行うためのコンピュータプログラムが、I/F7を介してCD−ROM等の可搬型記録媒体Aで提供することも可能であるように構成されている。さらに、実施の形態3の書籍データ表示装置100は、前記コンピュータプログラムを、図示しない外部装置から通信部9を介してダウンロードすることも可能であるように構成されている。以下に、その内容を説明する。
【0092】
実施の形態3の書籍データ表示装置100は外装(又は内装)の記録媒体読み取り装置(図示せず)を備えており、該記録媒体読み取り装置に、撮像された映像(裏側映像)の色、及びオブジェクト(表示画像)の色を比較させ、比較結果に基づき、所定の色(変更色)を決定させ、決定結果に基づき、オブジェクトの色を変更表示させるプログラム等が記録された可搬型記録媒体Aを挿入して、例えば、CPU11がROM12にこのプログラムをインストールする。かかるプログラムはRAM13にロードして実行される。これにより、実施の形態1及び実施の形態2に係る本発明の書籍データ表示装置100として機能する。
【0093】
前記記録媒体としては、いわゆるプログラムメディアであっても良く、磁気テープ及びカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク及びハードディスク等の磁気ディスク並びにCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0094】
通信部9を介してネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0095】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0096】
1 制御部
2 タッチパネル
3 撮像部
4 表示部
5 計時部
11 CPU
17 変更部
18 比較部
19 決定部
20 選択受付部
21 表示制御部
41 表示画面
100 書籍データ表示装置
A 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する表示画面を備え、該表示画面の表側の視認者が視認すべきオブジェクトを表示する表示装置において、
該表示画面の裏側を撮像する撮像手段と、
撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較する比較手段と、
該比較手段の比較結果に基づき、所定の色を決定する決定手段と、
該決定手段の決定結果に基づき、前記オブジェクトの色を変更表示する変更手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
色の選択を受け付ける選択受付手段を備え、
前記比較手段は、
前記選択受付手段が受け付けた選択に係る色と、前記オブジェクトの色とを比較するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
計時手段を備え、
該計時手段の計時結果に基づき、前記比較手段による比較、又は前記決定手段による決定が行われるように構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記変更手段は、経時的にオブジェクトの色を変えるように構成してあることを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記撮像手段による撮像方向を可変にしてあることを特徴とする請求項1から4の何れか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
表側の視認者が視認すべきオブジェクトを表示する透光性の表示画面と、該表示画面の裏側を撮像する撮像手段とを備える表示装置にて、オブジェクトを表示する表示方法において、
撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較する比較ステップと、
該比較ステップでの比較結果に基づき、所定の色を決定する決定ステップと、
該決定ステップでの決定結果に基づき、前記オブジェクトの色を変更表示する変更ステップと
を含むことを特徴とする表示方法。
【請求項7】
表側の視認者が視認すべきオブジェクトを表示する透光性の表示画面と、該表示画面の裏側を撮像する撮像手段とを備える表示装置を構成するコンピュータに、オブジェクトを表示させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、撮像された映像の色、及び前記オブジェクトの色を比較させる比較ステップと、
コンピュータに、前記比較ステップでの比較結果に基づき、所定の色を決定させる決定ステップと、
コンピュータに、前記決定ステップでの決定結果に基づき、前記オブジェクトの色を変更表示させる変更ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−221228(P2012−221228A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86494(P2011−86494)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】