説明

表示装置、認証システム

【課題】高い利便性を有する表示装置を提供する。
【解決手段】人体を介してグランドに接続される電極部61を備えた人体側通信機6と、人体側通信機6を装着した使用者の人体と接触したときに、前記人体側通信機6の電極部61と電気的に導通するタッチ電極105とを備え、人体側通信機6の前記電極部61、タッチ電極105及び人体を介して前記人体側通信機6に格納された認証用データを取り込み、この取り込んだ認証用データを用いて認証処理を実行するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器の入出力機器として機能する表示装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工場の生産設備やエレベータ或いは自動ドア等を制御する制御装置としてPLCが広く知られている。このPLCは、各種のセンサや機械的なスイッチ等の入力機器から信号を取り込み、リレー回路を記号化したプログラミング言語で記述されるソフトウェアとその取り込んだ入力信号とにしたがって、リレーやモータ等の出力機器を制御する。
【0003】
通常、このPLCには、出力機器の制御や使用者への報知等に係る情報のやり取りを使用者との間で行うためのマンマシンインターフェースが設けられる。このマンマシンインターフェースとして、機械的なボタンとライトとを用いたシステム等があるが、近年では、これらの他にプログラマブル表示器が広く利用されている。プログラマブル表示器は、工場の生産設備やエレベータ等の制御対象についての各種制御項目の設定値等の入力を受け付ける入力機能と、設定用画面や前記制御対象の状態等を示す画面を表示する出力機能とを併せ持つ。
【0004】
ところで、この種のプログラマブル表示器においては、通常、パスワードを用いたセキュリティ機能が搭載されている。具体的には、例えば図9(a)に示すように、制御対象の或る設定項目「設定1」〜「設定値3」の設定値を設定する設定画面G1がプログラマブル表示器の表示画面に表示されている場合、まず設定変更ボタンB1を操作する。これにより、プログラマブル表示器には、例えば図9(b)に示す認証画面G2が表示される。プログラマブル表示器は、この認証画面G2において矢印B2に示すテンキーと、該テンキーによるパスワードの入力状況を示す入力状況表示領域(矢印B3)とを表示し、テンキーによるパスワードの入力を受け付ける。そして、ユーザによるパスワードの入力が完了し「戻る」ボタンB4を操作すると、プログラマブル表示器は、図9(c)に示すような入力画面G3を表示し、該入力画面G3に表示されるテンキーB5を用いた「設定1」〜「設定値3」の各設定値入力を受け付ける。
【0005】
一方、下記特許文献1には、ユーザにより保持又は装着可能な携帯機器と、画像情報や地図情報等の情報を提供するサービス端末とを備え、携帯機器に備えられた接点にユーザの人体が接触するとともに、サービス端末に備えられた接点にユーザの指先が接触することにより、携帯機器とサービス端末との間で人体を介した通信が可能に構成されたシステムが開示されている。
【0006】
また、同特許文献1には、「サービス端末20が情報提供を行なう端末である場合、認証処理を経て提供する情報は、音楽情報、画像情報など様々である。また、情報提供の形態も様々であり、サービス端末20に設けたディスプレイ等の表示手段に表示してもよい。あるいは、携帯機器に付属して設けたディスプレイ等の出力手段に、上述の認証データと同様に人体を介してサービス端末20から画像情報等の提供情報を転送して、ユーザに提供する構成としてもよい」と記載されている。
【特許文献1】特開2001−195368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のプログラマブル表示器におけるセキュリティでは、パスワードの入力時に第三者に盗み見られて該パスワードが外部に漏洩する可能性があるとともに、認証を必要とする画面等が複数存在する場合、画面毎に前述のようなパスワードの入力を行う必要があり、使用者に面倒な作業を課すこととなっていた。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高い利便性を有する表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、人体を介してグランドと電気的に接続される通信機側電極と認証用データを予め記憶した記憶部とを有する人体側通信機との間で通信可能な表示装置であって、画像を表示する表示部と、予め定められた処理を実行する指示を入力するための複数の入力操作部品を備えた入力操作部と、当該表示装置の表面に設置され、該人体を介してグランドに接続された前記人体側通信機の通信機側電極と前記人体を介して電気的に導通する表示装置側電極と、前記グランド、人体側電極、表示装置側電極及び人体を介して、前記人体側通信機に予め格納されている認証用データを受信する受信部と、前記受信部で受信した認証用データを用いて認証処理を実行する認証部と、前記認証部で認証されると、前記入力操作部品からの入力を受付けて、該入力操作部品に対応する処理を実行する処理部とを備えた表示装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、人体を介してグランドと電気的に接続される通信機側電極と認証用データを予め記憶した記憶部とを有する人体側通信機と、請求項1ないし3のいずれかに記載の表示装置とを備えた認証システムである。
【0011】
これらの発明によれば、人体側通信機を装着した使用者が表示装置側電極に触れると、該使用者の人体を介してグランドに接続された前記人体側通信機内の通信機側電極と前記表示装置側電極とが電気的に導通し、受信部により、前記人体側電極、表示装置側電極及び人体を介して前記人体側通信機に予め格納されている認証用データが取得される。
【0012】
そして、認証部により、前記受信部で受信した認証用データを用いて認証処理が実行され、前記認証部により認証されると、前記処理部により、前記入力操作部品に対応する処理が実行される。
【0013】
このように、使用者が表示装置側電極に触れるだけで認証処理が行われるから、従来のパスワード入力のような面倒な作業が不要となる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記表示装置側電極を、透明電極としたものである。
【0015】
この発明によれば、表示装置側電極を透明電極としたので、外観上、当該表示装置にセキュリティ機能が搭載されているか否かを認識することができない。これにより、例えば或る製造ラインに本発明に係る表示装置と認証機能を持たない表示装置との両方が混在して設置されている場合に、認証機能を持たない表示装置も認証機能を有するかのように第三者(部外者)に対してカモフラージュすることができ、製造ラインに設置する表示装置を、全て認証機能を有する表示装置で統一する必要性が低くなる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表示装置において、前記入力操作部は、前記表示部の表示画面に表示される部品画像と前記表示画面に重ねて設置されたタッチパネルとを用いて構成され、前記表示装置側電極は、前記タッチパネルのタッチ面以上の面積を有しており、前記タッチ面を覆うように設置されているものである。
【0017】
この発明によれば、前記表示装置側電極を、前記タッチパネルのタッチ面以上の面積を有する電極とし、前記タッチ面を覆うように設置したので、使用者による入力操作部品に対する操作と同時に認証用データを取り込んで認証処理を実行することができる。したがって、認証に係る使用者の作業工数をより削減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使用者は表示装置側電極に触れるだけで認証処理が行われ、従来のパスワード入力のような面倒な作業が不要となるから、利便性の高い表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る表示装置の実施形態を説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明に係る表示装置を含む制御システムの構成を示す図である。
【0020】
図1に示すように、制御システムは、プログラマブル表示器1と、前記外部機器の一例としてのPLC(Programmable Logic Controller)2と、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)5と、人体側通信機6(図4参照)とを含み、プログラマブル表示器1とPLC2とは、例えばシリアルケーブルなどの通信ケーブルC1を介し通信可能に接続され、また、プログラマブル表示器1とPC5とは、USBケーブルなどからなる通信ケーブルC2を介して通信可能に接続されている。
【0021】
図2は、PLC2の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、PLC2は、プログラマブル表示器1の動作を制御するものであり、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、ユーザにより作成されたシーケンスプログラムを含む各種プログラムが記憶された不揮発性のROM(Read Only Memory)及びデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を備えて構成される制御部21と、プログラマブル表示器1及び後述する入出力機器3,4(図1参照)との間で通信を行うための通信I/F部22とを備える。
【0022】
PLC2には、温度センサや光センサ等の各種のセンサや押しボタン或いは機械スイッチ(リミットスイッチや圧力スイッチ等)などの入力機器3と、アクチュエータ、リレー、モータ、電磁弁、シリンダー或いはソレノイド等の出力機器4とが接続されており、所定の周期で、前記入力機器3から出力される信号を取り込み、該信号に基づいて前記出力機器4に制御信号を出力する。
【0023】
なお、プログラマブル表示器1は、後述するように、PLC2からの指示に従い、PLC2に接続された入力機器3及び出力機器4の稼働状況を表示したり、出力機器4への制御指示を与えるための入力操作を受け付けて、その操作信号をPLC2に出力したりする機能を備えている。したがって、プログラマブル表示器1も入力機器の1つであり、出力機器の1つでもある。以上のような入力機器3及び出力機器4は、製造ラインなどのシステムの適所に配置されている。
【0024】
制御部21は、前記入力機器3から通信I/F部22を介して受信した入力信号に基づいて、前記出力機器4の動作を制御する制御信号を通信I/F部22を介して前記出力機器4に出力する出力機器動作制御部211として機能するものであり、特にプログラマブル表示器1との関連においては、PLC2に対してプログラマブル表示器1がその処理内容を参照しに行くことで、該当するオブジェクトに割り当てられている処理を特定し、該処理を前記出力機器4に実行させる。
【0025】
図3は、PC5の電気的な構成を示すブロック図である。図1、図3に示すように、PC5は、表示部51と、入力操作部52と、装置本体53とを備える。
【0026】
表示部51は、CRT(Cathode-Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)或いは有機EL等からなり、後述する制御部56からの指示に基づいてデータや各種情報等を含む画像を表示するものである。入力操作部52は、制御部56等に所望の処理・動作を行わせる指示や各種情報を入力するためのものであり、キーボード54やマウス55を備えて構成されている。
【0027】
装置本体53には、プログラマブル表示器1との間で通信を行うための通信I/F部58及び制御部56が搭載されているとともに、各種のプログラムやデータを記憶する例えばハードディスク等からなる記憶部57が備えられている。
【0028】
記憶部57には、例えばCD−ROM等の記録媒体からインストールした、PLC2やプログラマブル表示器1に各種の動作を行わせるためのシーケンスプログラムや、プログラマブル表示器1に表示させる画面の画面データを生成するための画面作成プログラムが格納されている。
【0029】
制御部56は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラムが記憶された不揮発性のROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を備えて構成されており、前記記憶部57に格納された前記プログラムにしたがって、プログラマブル表示器1に表示させる画面の画面データを生成する処理等行う。
【0030】
なお、図1においては、説明の便宜上、PLC2とPC5とが同時にプログラマブル表示器1に接続されるように図示しているが、PC5は、当該PC5において作成した画面データを始めとする各種データを転送するときに前記通信ケーブルC2を介してプログラマブル表示器1と通信可能に接続される。
【0031】
図4は、人体側通信機6及びプログラマブル表示器1の電気的な構成を示す図である。図4に示すように、人体側通信機6は、電極部61と、通信I/F部62と、記憶部63と、制御部64とを備えて構成されている。
【0032】
電極部61は、図5に示すように、当該人体側通信機6が使用者の人体に装着されているときに該人体に接触し、前記人体を介して基準電位となるグランドと電気的に接続される接地側電極と、当該人体側通信機6が使用者の人体に装着された状態で、該使用者がプログラマブル表示器1の後述するタッチ電極105に触れたときに、前記使用者の人体を介して前記タッチ電極105と電気的に接続される通信用電極とを含むものである。
【0033】
記憶部63は、プログラマブル表示器1で実行する認証処理に用いる認証用データ(例えばIDなど)を記憶するものである。通信I/F部63は、前記設置側電極とグランドとが電気的に接続され、且つ、前記通信用電極と前記タッチ電極105とが電気的に接続されているときにプログラマブル表示器1との間で通信を行うものであり、特に、本実施形態では、記憶部63に格納されている認証用データをプログラマブル表示器1に送信する。
【0034】
制御部64は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラムが記憶された不揮発性のROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を備えて構成されており、前記ROM等に格納されたプログラムにしたがって、主にプログラマブル表示器1との間で認証用データに係る通信を通信I/F部63に行わせるものとして機能する。
【0035】
プログラマブル表示器1は、例えば製造ラインにおけるシステムの操作端末として機能するものであり、表示部101と、入力操作部102と、外部I/F部103と、外部メモリ104と、タッチ電極105と、制御部106とを備えて構成されている。
【0036】
表示部101は、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)或いは有機EL等からなり、例えば工場の生産設備やエレベータ等の制御対象についての各種制御項目の設定用画面や前記制御対象の状態を示す画面を表示するものである。
【0037】
入力操作部102は、前記制御項目の設定等を行うためのものであり、表示部101の画面に表示されたボタンやスイッチの画像と、該表示部101の表示面に設置された、ガラス板、感圧材及び偏光材等を貼り合わせてなるタッチパネルとを用いて構成された擬似的なスイッチを含む。なお、前記入力操作部102には、前記擬似的なスイッチの他に機械的なスイッチやボタンを含む形態も想定されるが、本実施形態では、操作対象が前記擬似的なスイッチである場合に限定し、以下の説明において登場するスイッチは前記擬似的なスイッチをいうものとする。前記擬似的なスイッチは前記入力操作部品に相当する。入力操作部102は、前記タッチパネル上の或る位置に対する押圧操作が行われると、その操作を示す操作信号を制御部106に出力する。
【0038】
外部I/F部103は、PLC2やPC5との通信を行うためのインターフェースである。外部メモリ104は、PC5で作成された各種画面の画面データを記憶するものである。
【0039】
タッチ電極(前記表示装置側電極に相当)105は、当該人体側通信機6を装着した使用者に触れられる電極であり、該使用者が当該タッチ電極105に触れたときに、前記人体側通信機6の通信用電極と前記使用者の人体を介して電気的に接続される。
【0040】
制御部106は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラムが記憶された不揮発性のROM(Read Only Memory)、プログラミング可能なLSI(Large Scale Integration)であるFPGA(Field Programmable Gate Alley)等を備えて構成されており、PLC2から出力された指示を受けると、外部メモリ部9に格納されている画面データに基づく画面表示を表示部6に行わせたり、ユーザにより入力操作部7が操作された場合に、その操作内容を示す操作情報を生成し、該操作情報をPLC2に出力したりする。
【0041】
制御部106は、記憶部1061と、スイッチ情報検出部1062と、認証用データ取込部1063と、認証要否判断部1064と、認証部1065と、処理部1066とを機能的に備えている。
【0042】
記憶部1061は、表示部101に表示され得る表示画面ごとに、表示画面上の位置と処理内容及び認証処理の要否との関係を対応付けたテーブルを記憶するとともに、認証処理に用いる認証用データを記憶するものである。スイッチ情報検出部1062は、タッチパネルに対する操作が行われると、その操作位置を検出するものである。
【0043】
認証用データ取込部1063は、人体側通信機6が装着された使用者の人体が当該プログラマブル表示器1のタッチ電極105に接触することにより該タッチ電極105の電位変化を検出すると、認証用データを出力する指示を示す指示情報を人体側通信機6に送信し、人体側通信機6から認証用データが出力されると該認証用データを取り込むものである。
【0044】
認証要否判断部1064は、タッチパネルに対する操作が行われると認証処理の要否を判断するものである。本実施形態では、前記入力操作部102のうち表示部101に表示されたスイッチには、認証処理を行って認証された場合にのみ当該スイッチに対応する処理が実行されるスイッチと、認証処理を行うことなく当該スイッチに対応する処理が実行されるスイッチとが設けられている。認証要否判断部1064は、表示画面に表示されたスイッチに対して操作が行われると、記憶部1061を参照し、その操作されたスイッチについて認証処理が必要であるか否かを判断する。
【0045】
認証部1065は、認証要否判断部1064により認証処理が必要であると判断された場合に認証処理を行うものである。認証部1065は、認証用データ取込部1063により取り込まれた認証用データが前記記憶部1061に格納されているか否かを判断し、格納されている場合には、当該スイッチに対応する処理の実行を処理部1066に許可し、格納されていない場合には、当該スイッチに対応する処理の実行を処理部1066に許可しない(禁止する)。
【0046】
図6は、制御部106による認証処理を示すフローチャートである。
【0047】
図6に示すように、制御部106は、表示部101に表示される各スイッチのうちいずれかのスイッチに対して操作されると(ステップ♯1でYES)、認証処理が必要であるか否かを判断する(ステップ♯2)。制御部106は、認証処理が不要であると判断した場合には(ステップ♯2でNO)、操作対象のスイッチに対応する処理を実行する一方(ステップ♯3)、認証処理が必要であると判断した場合には(ステップ♯2でYES)、タッチ電極105の電位変化があるか否かを判断する(ステップ♯4)。
【0048】
制御部106は、前記タッチ電極105の電位変化が無い場合には(ステップ♯4でNO)、入力(前記スイッチに対する操作)の取消し操作が行われたか否かを判断し(ステップ♯5)、取消し操作が行われていない場合には(ステップ♯5でNO)、ステップ♯4の処理に戻る一方、前記取消し操作が行われた場合には(ステップ♯5でYES)、ステップ♯1で行われたスイッチの操作についての一連の処理を終了する。
【0049】
ステップ♯4において、制御部106は、前記タッチ電極105の電位変化を検出した場合には(ステップ♯4でYES)、認証用データをタッチ電極105を介して人体側通信機6から取り込み、この取り込んだ認証用データが前記当該プログラマブル表示器1に登録されているものであるか否かの認証処理を実行し(ステップ♯6)、前記認証用データが当該プログラマブル表示器1に登録されているもので無い場合には(ステップ♯7でNO)、表示部101に当該操作が受け付けられない旨を示す警告表示を行った上で(ステップ♯8)、ステップ♯4の処理に戻る。
【0050】
一方、前記認証用データが当該プログラマブル表示器1に登録されているものである場合(ステップ♯7でYES)、制御部106は、操作対象のスイッチに対応する処理を実行する(ステップ♯3)。
【0051】
以上のように、本実施形態では、人体を介してグランドに接続される電極部61を備えた人体側通信機6と、人体側通信機6を装着した使用者の人体と接触したときに、前記人体側通信機6の電極部61と電気的に導通するタッチ電極105とを備え、人体側通信機6の前記電極部61、タッチ電極105及び人体を介して前記人体側通信機6に格納された認証用データを取り込み、この取り込んだ認証用データを用いて認証処理を実行するように構成したので、使用者がタッチ電極105に触れるだけで認証処理が実行される構成が実現される。これにより、従来のパスワード入力のような面倒な作業が不要となり、プログラマブル表示器1の利便性を向上することができる。
【0052】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
【0053】
[1]前記タッチ電極105を、透明の導電性シートを用いて構成した透明電極としてもよい。これにより、例えば或る製造ラインに本実施形態のプログラマブル表示器1と認証機能を持たないプログラマブル表示器との両方が混在して設置されている場合に、認証機能を持たないプログラマブル表示器も認証機能を有するかのように第三者に対してカモフラージュすることができる。その結果、製造ラインに設置する表示器を、全て認証機能を有する表示器で統一する必要性を低めることができる。
【0054】
[2]前記変形形態[1]の技術思想を応用して、前記タッチ電極105を、前記タッチパネルや表示部101の表示画面の表面面積より大きな面積を有する導電性シートを用いて構成した透明電極とし、該電極105を、前記タッチパネルの表面全域を覆うように設置する態様も採用可能である。
【0055】
この場合、プログラマブル表示器1は、使用者による各スイッチに対する操作と同時に認証用データを取り込んで認証処理を実行することができる。これにより、認証に係る使用者の作業工数をより削減することができる。
【0056】
図7は、本実施形態における制御部106による認証処理を示すフローチャートである。
【0057】
図7に示すように、制御部106は、表示部101に表示される各スイッチのうちいずれかのスイッチに対して操作されると(ステップ♯11でYES)、該スイッチについて認証処理が必要であるか否かを判断する(ステップ♯12)。制御部106は、前記スイッチについての認証処理が不要であると判断した場合には(ステップ♯12でNO)、操作対象のスイッチに対応する処理を実行する一方(ステップ♯13)、前記スイッチについての認証処理が必要であると判断した場合には(ステップ♯12でYES)、ステップ♯11のスイッチの操作時に人体側通信機6から取得した認証用データを用いて認証処理を実行する(ステップ♯14)。
【0058】
制御部106は、人体側通信機6から取得した認証用データが当該プログラマブル表示器1に登録されているもので無い場合には(ステップ♯15でNO)、表示部101に当該操作が受け付けられない旨を示す警告表示を行った上で(ステップ♯16)、ステップ♯11で行われたスイッチに対する操作についての一連の処理を終了する一方、人体側通信機6から取得した認証用データが登録されているものである場合には(ステップ♯15でYES)、制御部106は、操作対象のスイッチに対応する処理を実行する(ステップ♯13)。
【0059】
このように、前記タッチパネルの表面面積より大きな面積を有する導電性シートを用いて構成したタッチ電極105を、前記タッチパネルの表面全域を覆うように設置することで、プログラマブル表示器1は、使用者による各スイッチに対する操作と同時に認証用データを取り込んで認証処理を実行することができ、認証に係る使用者の作業工数をより削減することができるため、より利便性の高いプログラマブル表示器1を実現することができる。
【0060】
[3]例えば製造ラインにおいて、重要性が高いスイッチについては限定された使用者のみ利用可能とし、重要性が低いスイッチについては非関係者のみを排除できればよく比較的多くの使用者(関係者)が利用できるようにしたい場合がある。
【0061】
このような場合、まず、プログラマブル表示器1の記憶部1061に、スイッチと認証用データとを対応付けたテーブルを予め格納しておく。例えば図8に示すように、或る入力画面においてスイッチA,B,Cが操作可能に表示される場合に、スイッチAには認証用データa,c,d,f,gが対応付けられ、スイッチBには認証用データb,c,d,eが対応付けられ、スイッチCには認証用データhが対応付けられている。このような対応関係を示すテーブルが入力画面ごとに予め設定されており、前記記憶部1061は、これらのテーブルを予め記憶する。
【0062】
そして、制御部106は、或るスイッチが操作されたとき、その操作対象のスイッチに対応付けられた認証用データが人体側通信機6から取得できた場合のみ、該操作が受け付けられる。例えば、操作対象がスイッチAである場合において、制御部106が、人体側通信機から認証用データa,c,d,f,gのうちいずれかの認証用データを取得できたときのみ該スイッチAに対応する処理を実行し、人体側通信機6から取得した認証用データが例えば認証用データhであった場合は、該スイッチAに対する操作を受け付けず、スイッチAに対応する処理を実行しない。このような構成により、スイッチごとに利用できる使用者を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る表示装置を含む制御システムの構成を示す図である。
【図2】PLCの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】PCの電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】人体側通信機及びプログラマブル表示器の電気的な構成を示す図である。
【図5】人体側通信機を装着した使用者がプログラマブル表示器のタッチ電極に触れている状態を示した図である。
【図6】第1の実施形態における制御部の認証処理を示すフローチャートである。
【図7】変形形態における制御部の認証処理を示すフローチャートである。
【図8】スイッチごとに利用できる使用者を設定する場合にプログラマブル表示器の記憶部に予め格納される、スイッチと認証用データとを対応付けたテーブルを示す図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1 プログラマブル表示器
2 PLC
6 人体側通信機
61 電極部
62 通信I/F部
63 記憶部
64 制御部
101 表示部
102 入力操作部
103 外部I/F部
104 外部メモリ
105 タッチ電極
106 制御部
1061 記憶部
1062 スイッチ情報検出部
1063 認証用データ取込部
1064 認証要否判断部
1065 認証部
1066 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を介してグランドと電気的に接続される通信機側電極と認証用データを予め記憶した記憶部とを有する人体側通信機との間で通信可能な表示装置であって、
画像を表示する表示部と、
予め定められた処理を実行する指示を入力するための複数の入力操作部品を備えた入力操作部と、
当該表示装置の表面に設置され、該人体を介してグランドに接続された前記人体側通信機の通信機側電極と前記人体を介して電気的に導通する表示装置側電極と、
前記グランド、人体側電極、表示装置側電極及び人体を介して、前記人体側通信機に予め格納されている認証用データを受信する受信部と、
前記受信部で受信した認証用データを用いて認証処理を実行する認証部と、
前記認証部で認証されると、前記入力操作部品からの入力を受付けて、該入力操作部品に対応する処理を実行する処理部と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記表示装置側電極は、透明電極である請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記入力操作部は、前記表示部の表示画面に表示される部品画像と前記表示画面に重ねて設置されたタッチパネルとを用いて構成され、
前記表示装置側電極は、前記タッチパネルのタッチ面以上の面積を有しており、前記タッチ面を覆うように設置されている請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
人体を介してグランドと電気的に接続される通信機側電極と認証用データを予め記憶した記憶部とを有する人体側通信機と、
請求項1ないし3のいずれかに記載の表示装置とを備えた認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−181540(P2009−181540A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22696(P2008−22696)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】