説明

表示装置、配信サーバ、及び表示制御方法

【課題】レンダリング照明データの付加されていない絵画の表示データに対し、絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地の情報を含む絵画情報を用いてレンダリング照明データを特定し、色再現処理を行うこと。
【解決手段】絵画データ取り込み部102は、絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地の情報を含む絵画情報を取得する。美術館レンダリング照明データベース部107では絵画情報に対してレンダリング照明データを関連付けて管理する。レンダリング照明データ決定部106は、絵画の表示データにレンダリング照明データが付加されていない場合、絵画情報を用いて美術館レンダリング照明データベース部107で管理されるレンダリング照明データを検索し、絵画情報に対応するレンダリング照明データを特定する。色処理部108は、特定されたレンダリング照明データを用いて色再現処理を行って絵画の表示データを表示部109に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンダリング照明のデータを用いて、絵画の表示データに色再現処理を施す技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子美術館や家庭において、デジタル映像化した絵画をユーザがディスプレイで鑑賞するケースが増えてきている。絵画の画像データに対してレンダリング照明を適切に処理することで、所望の照明下で画像を見ているかのような色再現を行うことができる。レンダリング照明とは、被写体のスペクトルデータを生成する際に、撮影時の照明の影響を除去することで推定される被写体の分光反射率に乗算する、照明のスペクトル特性のことである。以下では、レンダリング照明のデータのことをレンダリング照明データ、または単に照明データという。
【0003】
ディスプレイ上での絵画鑑賞の場合、実物の絵画が展示されている美術館の照明を再現することで、実際に美術館で絵画鑑賞しているかの如き視覚効果が得られる。そのためには美術館のレンダリング照明データを提供することが想定され、高価な絵画データには、美術館の照明を再現するためのレンダリング照明データが付加されることが予想される。しかし、既存の絵画データや安価な絵画データ等の場合、絵画データの全てにレンダリング照明データが付加されないこともある。一方、絵画データには、作品名や作者名の他、美術館名や美術館所在地等の美術館情報が付加されることが予想される。レンダリング照明データが付加されない絵画データの場合、実物の絵画が展示されている美術館の照明を再現するためには、美術館情報から適切なレンダリング照明を特定する必要がある。照明データの特定方法として、特許文献1にはデータのカテゴリ(ニュース、交通、天気等)に関連付けられた照明データを検索し、実際の照明を制御することが開示されている。また、特許文献2には、撮影時の照明データと再生時点の照明データを用いて、撮影時の照明を色処理で再現することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−535676号公報
【特許文献2】特開平9−172649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1ではカテゴリによって照明効果を変えられるが、美術館名や美術館所在地等の美術館情報を用いて美術館の照明データを特定することで実際の場所の照明を再現するものではない。また、実際の照明光のデータが対象であり、色再現処理のためのレンダリング照明データは特定されない。
特許文献2では、画像に付加された撮影時の照明データを用いて、撮影時の照明を再現する。しかし、画像に照明データが付加されていない場合には撮影時の照明を色処理で再現できない。
そこで本発明は、レンダリング照明データの付加されていない絵画の表示データに対し、絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地情報を含む絵画情報を用いてレンダリング照明データを特定し、色再現処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る装置は、絵画の表示データと、該表示データの色再現処理に用いるレンダリング照明データを処理して画像を表示する表示装置であって、絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地の情報を含む絵画情報を取得する情報取得手段と、前記絵画情報に対してレンダリング照明データを関連付けて管理する管理手段と、前記絵画情報に対応するレンダリング照明データを特定する特定手段と、前記特定手段によって特定されたレンダリング照明データを用いて前記表示データの色再現処理を行う色処理手段と、を備える。前記特定手段は、絵画の表示データにレンダリング照明データが付加されていない場合、前記情報取得手段が取得した絵画情報を用いて、前記管理手段が管理するレンダリング照明データを検索することにより、前記絵画情報に対応するレンダリング照明データを特定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レンダリング照明データの付加されていない絵画の表示データに対し、絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地情報を含む絵画情報を用いてレンダリング照明データを特定し、色再現処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図2乃至6と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の絵画データ記憶部104で管理される絵画データを例示した図である。
【図3】図1の美術館レンダリング照明データベース部107で管理されるレンダリング照明データを例示した図である。
【図4】図1のレンダリング照明データ決定部106の構成例を示すブロック図である。
【図5】絵画表示処理例について説明するフローチャートである。
【図6】図1の美術館レンダリング照明データベース部107で管理されるレンダリング照明データの別例を示す図である。
【図7】図8とともに本発明の第2実施形態を説明するために、表示装置とレンダリング照明データの配信サーバの構成例を示すブロック図である。
【図8】絵画表示処理例について説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る表示装置とレンダリング照明データの配信サーバの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る各実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
[第1実施形態]
以下の第1実施形態では、表示装置内でレンダリング照明データを特定する場合について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置101の構成例を示したブロック図である。
絵画データ取り込み部102は、図示しない外部装置や記録媒体等から絵画データを取り込む情報取得手段である。絵画データは、画像の表示データ(描画データ)と、該データに付加されたメタデータ等を含む。取り込み方法については、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体から取り込む方法でもよいし、絵画データの配信サーバ等からネットワーク経由で取り込む方法でもよい。絵画データ解析部103は、絵画データ取り込み部102が取り込んだ絵画データに付加されたメタデータを解析し、所定の形式に変換したデータを絵画データ記憶部104に送信する。絵画データ記憶部104は取り込んだ絵画データを記憶する。絵画データ記憶部104で記憶される絵画データの一例を図2に示す。
【0012】
図2の例では、最上段に示す絵画と、その作品名や絵画が展示されている所在地情報等を含む絵画情報を示す。本例では絵画データを特定するための絵画データ固有の絵画ID(識別情報)と、作品名、作者名、制作年、作品が展示又は保管されている美術館名、美術館の所在地、美術館内の見取り図、作品の展示場所等の情報を示す。これらの情報は絵画データ毎に絵画データ記憶部104に記憶される。
表示制御部105は、図示しない操作手段を用いたユーザの操作指示、または予め設定された表示スケジュールに従って、表示する絵画データを決定して表示制御を行う。表示制御部105は色処理部108に対して、表示する絵画を特定する情報(例えば、図2の絵画IDであり、以下、絵画特定情報という)を通知し、絵画データの表示を指示する。また、表示制御部105は、レンダリング照明データ決定部(以下、単に照明データ決定部という)106に対して絵画特定情報を通知し、使用するレンダリング照明データの決定を指示する。照明データ決定部106は、表示制御部105からの指示に従って、指定された絵画に関する適切な照明データを決定して色処理部108に送信する。なお、照明データ決定部106の詳細については後述する。
【0013】
美術館レンダリング照明データベース部(以下、データベースをDBと略記する)107は、美術館毎のレンダリング照明データを管理する。美術館レンダリング照明DB部107で管理されるレンダリング照明データを図3に例示する。本例では、美術館およびその所在地の名称に対して照明データが関連付けられている。つまり、美術館名から照明データを特定できるように管理されており、美術館名と美術館の所在地が一緒に管理されている。
色処理部108は、表示制御部105の指示に従って、絵画データ記憶部104より、指定された絵画の描画データを取得する。色処理部108は照明データ決定部106から受信したレンダリング照明データを用いて、描画データの色再現処理を行う。色再現処理後の描画データは表示部109に出力されて画像表示される。表示部109には液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のディスプレイデバイスや、液晶プロジェクタ等の表示デバイスが使用される。
【0014】
次に照明データ決定部106の具体的な構成例について、図4を用いて説明する。
照明データ決定部106において、照明データ特定制御部401は、表示制御部105の指示に従って、指定された絵画に関する適切な照明データを特定する制御を行う。なお、本実施形態では、照明データ特定制御部401にて照明データを特定するための条件として、当該照明データが、表示する絵画の実物が展示されている美術館の照明データであることとする。この条件を満たす照明データがない場合には、美術館の所在地域または当該美術館の近隣地域に所在する別の美術館の照明データを使用するものとする。その理由は、美術館の所在地が近いほど、嗜好が似ていると想定されるためである。但し、この条件に限るものではなく、同一の作者による別の作品が展示されている美術館や、同系列の美術館の照明データを用いてもよい。あるいは、過去に使用した照明データの履歴情報をメモリに保存しておき、履歴情報を参照して使用すべき照明データを特定する方法を採用してもよいし、複数の候補からユーザが任意に選択できるように構成してもよい。
【0015】
照明データ特定制御部401は、表示制御部105から指定された絵画について、美術館名取得部402から美術館名の情報を取得し、また美術館所在地取得部403から美術館所在地の情報を取得する。美術館名取得部402は、絵画データ記憶部104にアクセスして、照明データ特定制御部401から指定された絵画の美術館名の情報を取得して照明データ特定制御部401に送信する。また、美術館所在地取得部403は、絵画データ記憶部104にアクセスして、照明データ特定制御部401から指定された絵画の美術館所在地の情報を取得して照明データ特定制御部401に送信する。
照明データ特定制御部401は照明データ検索部404に対し、美術館名取得部402や美術館所在地取得部403からそれぞれ取得した情報を送信するとともに、照明データの検索を指示する。照明データ検索部404は、照明データ特定制御部401から受信した情報に従って、美術館レンダリング照明DB部107の検索処理を行い、検索結果を照明データ特定制御部401に送信する。照明データ特定制御部401は、照明データ検索部404からの検索結果に基づいて、絵画データに関する適切な照明データを特定し、当該照明データを特定する情報を照明データ取得部405に通知する。照明データ取得部405は、照明データ特定制御部401が特定した照明データを示す情報を受け取り、美術館レンダリング照明DB部107から、対応する照明データを取得して色処理部108に送信する。
【0016】
次に表示装置101における絵画表示処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、表示制御部105は、ユーザの操作指示または予め設定された表示スケジュールに従って表示する絵画データを選択して照明データ特定制御部401に通知する(S501)。照明データ特定制御部401は、美術館名取得部402を介して、絵画データ記憶部104より、美術館名の情報を取得する(S502)。そして、取得した美術館名の情報を用いて照明データ検索部404は、美術館レンダリング照明DB部107から、対象の美術館の情報を検索する(S503)。
【0017】
照明データ特定制御部401は、照明データ検索部404より、S503での検索結果を受信し、美術館レンダリング照明DB部107において、対象の美術館に係る照明データがあるか否かを判定する(S504)。当該照明データがあると判定された場合(S504でYES)、S505に進む。照明データ特定制御部401は、検索された照明データを、指定された絵画データの照明データとして特定した後、S509に進む。一方、該当する照明データがないと判定された場合(S504でNO)、S506に進み、照明データ特定制御部401は、美術館所在地取得部403を介して、絵画データ記憶部104より、美術館所在地の情報を取得する。そして、取得した美術館所在地の情報を用いて照明データ検索部404は、美術館レンダリング照明DB部107から、対象の美術館の所在地域とその近隣地域にある美術館の情報を検索する(S507)。そして、照明データ特定制御部401は照明データ検索部404より、S507での検索結果を受信する。照明データ特定制御部401は美術館レンダリング照明DB部107で管理される照明データから、最も適切な(または最も近隣の)美術館に係る照明データを、指定された絵画の照明データとして特定する(S508)。ここでは、美術館の所在地域または当該美術館の近隣地域に所在する別の美術館が検索されたものとしてS509に進む。S509で照明データ取得部405は、S505又はS508で特定された美術館の照明データを、美術館レンダリング照明DB部107より取得する。取得された照明データは色処理部108に送信されて色再現処理が行われる(S510)。色処理部108は色再現処理後の描画データを表示部109に送信し、画像が表示される(S511)。
【0018】
本実施形態では、絵画に適した照明データを特定するための情報として、美術館名と美術館所在地の情報を用いたが、これに限るものではない。その他の例として、美術館レンダリング照明DB部107で管理されるデータ構造を図6に例示する。
図6(A)に示す例では、作品毎に照明データが管理される場合、美術館名と作品名から照明データが特定される。検索時に所望の作品の照明データが見つからない場合には、対象作品を所蔵する同じ美術館における別の作品の照明データを用いてもよい。
また図6(B)に示す例では、作品が外光の影響を受けることを考慮して時刻毎の照明データが管理される場合、ユーザ操作による指定時刻または現在時刻等を用いて、美術館名と時刻情報から照明データが特定される。また、美術館毎のレンダリング照明データに併せて、別途にデフォルトの照明データを用意しておき、所望の照明データが検索されない場合に当該照明データを使用する形態でもよい。
本実施形態では、絵画データを表示するタイミングで、照明データを検索して特定する処理が行われるが、これに限らず、絵画データ取り込み部102が絵画データを取り込んだ時点で照明データの検索および特定が行われる構成にしてもよい。その場合には、特定された照明データまたは照明データへのリンク情報を、絵画データと併せて絵画データ記憶部104が管理し、あるいは色再現処理まで行った絵画データをメモリに保存する処理が行われるように構成してもよい。また、一度表示された絵画データについては、絵画に関する照明データが既に特定できているため、再利用可能である。よって特定された照明データまたは照明データへのリンク情報を、絵画データと併せて絵画データ記憶部104が保持し、あるいは色再現処理後の絵画データを保存することで、再度表示する際の重複した処理を省略できる。
【0019】
また、本実施形態で用いた美術館名や美術館所在地等の絵画に関連する情報については、描画データに付加されるものとして説明したが、ユーザ自身が付加情報を設定する形態でもよいし、作品名から美術館を特定する形態でもよい。なお、表示対象の絵画データについて、予め照明データが付加されているかの判定処理が行われ、当該照明データが付加されている場合、付加された照明データを用いて色再現処理が行われる。この場合、照明データを検索および特定は不要である。
本実施形態では、表示装置101が美術館レンダリング照明DB部107を管理し、絵画表示に適切なレンダリング照明データを特定したが、同様の処理を絵画データの配信サーバで行ってもよい。その場合、以下の形態がある。
・絵画データに関してレンダリング照明データによる色再現処理を施したデータを配信サーバが送信し、表示装置が受信する形態。
・絵画データに対してレンダリング照明データを付加した送信データを配信サーバが送信し、表示装置が受信する形態。
第1実施形態によれば、レンダリング照明データが付加されない絵画データの画像を鑑賞する際にも、適切なレンダリング照明データが特定されて色再現処理が行われるので、ユーザの利便性が高まる。
【0020】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、表示装置が外部のレンダリング照明データ配信サーバ(以下、単に配信サーバという)からレンダリング照明データを取得するシステム構成について説明する。
図7は、第2実施形態に係る表示装置701および配信サーバ705の構成例を示すブロック図である。なお、表示装置701の構成において図1の表示装置101と同様の構成部については、既に使用した符号と同一の符号を使用することによってそれらの詳細な説明を省略し、以下では第1実施形態との相違点のみを説明する。
照明データ決定部702は、表示制御部105の指示に従って、絵画データ記憶部104から絵画情報を取得し、美術館レンダリング照明DB部107から絵画データに適切な照明データを検索する。ここで、適切な照明データが見つからない場合、照明データ決定部702は絵画情報送信部703に絵画情報を送信する。絵画情報送信部703は、照明データ決定部702より、作品名や美術館名等を含む絵画情報を受信し、配信サーバ705の絵画情報受信部706に送信する。
【0021】
配信サーバ705は表示装置701の外部装置であり、インターネット等によるネットワーク通信で表示装置701と接続されている。配信サーバには、以下の実施形態が挙げられる。
・表示装置から絵画情報を取得した場合に、当該情報に関連付けられた照明データを検索により特定し、該照明データを絵画の表示データに付加して表示装置に送信する形態。
・表示装置から絵画情報を取得した場合に、当該情報に関連付けられた照明データを検索により特定し、該照明データを表示装置に送信する形態。
配信サーバ705は後者の形態であり、表示装置701から受信した絵画情報に応じて、適切なレンダリング照明データを配信する。絵画情報受信部706は、絵画情報送信部703から絵画の作品名や絵画が展示されている場所の所在地情報等の絵画情報を受信し、外部レンダリング照明データ決定部707に送信する。外部レンダリング照明データ決定部707は、絵画情報受信部706より受信した絵画情報に応じて、外部レンダリング照明DB部708より適切なレンダリング照明データを検索する。外部レンダリング照明DB部708は、表示装置101の美術館レンダリング照明DB部107と同様、絵画情報に対してレンダリング照明データを関連付けて管理する。外部レンダリング照明データ決定部707は、指定した照明データの検索結果を受けて、絵画情報に対応する照明データを特定して照明データ送信部709に出力する。照明データ送信部709は当該照明データを表示装置701の照明データ受信部704に送信する。照明データ受信部704は、配信サーバ705の照明データ送信部709から照明データを受信し、照明データ決定部702と美術館レンダリング照明DB部107に送信する。
【0022】
次に、表示装置701および配信サーバ705における、レンダリング照明データの配信処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図5のフローチャートと相違するS801乃至803の処理のみ説明し、図5の各処理と同様の処理については、既に用いたステップ番号を使用することで詳細な説明を省略する。
S504にて、対象となる美術館の照明データがないと判定された場合(S504でNO)、S801に進む。照明データ決定部702は、絵画情報送信部703、絵画情報受信部706を介して、外部レンダリング照明データ決定部707に絵画情報を送信する。外部レンダリング照明データ決定部707は、受信した絵画情報に基づいて、外部レンダリング照明DB部708から照明データを検索する。そして、外部レンダリング照明データ決定部707は、S801での検索結果に基づき、外部レンダリング照明DB部708から照明データを取得し、照明データ送信部709に出力する。照明データ受信部704は、照明データ送信部709から照明データを取得し、照明データ決定部702に送信する(S802)。照明データ受信部704は、受信した照明データを美術館レンダリング照明DB部107に送り、美術館情報と併せてメモリに保存する(S803)。こうして、表示装置701が配信サーバ705から新たな照明データを取得する度に、美術館レンダリング照明DB部が更新されていくので、より多くの照明データが使用できるようになる。
【0023】
なお、美術館名に対応するレンダリング照明データが外部レンダリング照明DB部708で管理されていない場合には、第1実施形態の場合と同様の特定処理が行われる。すなわち、外部レンダリング照明データ決定部707は所在地情報の示す地域又はその近隣地域にある美術館名を検索してレンダリング照明データを特定する。また、外部レンダリング照明データ決定部707は絵画情報に加えて現在時刻又はユーザの設定時刻を示す時刻情報を用いて、レンダリング照明データを特定することもできる。
第2実施形態に係る表示装置701は配信サーバ705から、表示する絵画に関する適切な照明データを取得して色再現処理を行える。
【0024】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、配信サーバ705から取得した照明データによるDBの更新処理について説明する。
図9は、第3実施形態に係る表示装置901と配信サーバ705の構成例を示すブロック図である。第2実施形態との相違点であるDB更新部902のみを説明する。
DB更新部902は絵画情報を絵画情報送信部703に送信し、また配信サーバ705から照明データ受信部704を介して照明データを取得し、美術館レンダリング照明DB部107の更新処理を行う。DB更新部902は、美術館レンダリング照明DB部107で管理される美術館の照明データについて、外部レンダリング照明DB部708で照明データが更新されているかをチェックする。照明データの更新が検出された場合、DB更新部902は更新後の照明データを配信サーバ705から取得し、取得した照明データで美術館レンダリング照明DB部107を更新する。
【0025】
DB更新部902における更新チェックについては、絵画情報に対応する照明データを特定するタイミングで行うか、または定期的に行うことも、ユーザの操作指示に従って行うことも可能である。外部レンダリング照明DB部708の照明データが更新されていた場合には、更新された照明データが取得され、美術館レンダリング照明DB部107の更新処理が行われる。この場合、美術館レンダリング照明DB部107が更新された旨の情報をメモリに記録しておき、ユーザに提示する構成にしてもよい。また、DB更新部902が更新前の照明データと更新後の照明データの両方を管理するとともに更新履歴を作成し、これらの照明データをユーザに提示して選択を促す構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
101,701,901 表示装置
102 絵画データ取り込み部
105 表示制御部
106,702 レンダリング照明データ決定部
107 美術館レンダリング照明DB部
108 色処理部
703 絵画情報送信部
704 照明データ受信部
705 配信サーバ
706 絵画情報受信部
707 外部レンダリング照明データ決定部
708 外部レンダリング照明DB部
709 照明データ送信部
902 DB更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絵画の表示データと、該表示データの色再現処理に用いるレンダリング照明データを処理して画像を表示する表示装置であって、
絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地の情報を含む絵画情報を取得する情報取得手段と、
前記絵画情報に対してレンダリング照明データを関連付けて管理する管理手段と、
前記絵画情報に対応するレンダリング照明データを特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定されたレンダリング照明データを用いて前記表示データの色再現処理を行う色処理手段と、を備え、
前記特定手段は、絵画の表示データにレンダリング照明データが付加されていない場合、前記情報取得手段が取得した絵画情報を用いて、前記管理手段が管理するレンダリング照明データを検索することにより、前記絵画情報に対応するレンダリング照明データを特定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
外部の配信サーバに対して前記絵画情報を送信する送信手段と、
前記配信サーバが前記絵画情報から特定したレンダリング照明データを当該配信サーバから取得する受信手段を更に備え、
前記特定手段は、前記絵画情報に対応するレンダリング照明データが前記管理手段にて管理されていない場合、当該絵画情報を前記送信手段によって前記配信サーバに送信し、前記受信手段が前記配信サーバから取得したレンダリング照明データを、前記絵画情報に対応したレンダリング照明データとして特定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記所在地の情報の示す美術館名に対応するレンダリング照明データが前記管理手段にて管理されていない場合、前記所在地の情報の示す地域又はその近隣地域にある美術館の情報を検索してレンダリング照明データを特定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記絵画情報に加えて現在時刻又はユーザの設定時刻を示す時刻情報を用いて、レンダリング照明データを特定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記管理手段が管理するレンダリング照明データベースの更新処理を行う更新手段を更に備え、
前記更新手段は、前記配信サーバが管理するレンダリング照明データベースが更新されたことを検出した場合、前記配信サーバから前記受信手段を介して取得したレンダリング照明データを用いて前記レンダリング照明データベースを更新することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
絵画の表示データの色再現処理に用いるレンダリング照明データを配信する配信サーバであって、
絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地の情報を含む絵画情報を取得する受信手段と、
前記絵画情報に対してレンダリング照明データを関連付けて管理する管理手段と、
前記絵画の表示データに対応するレンダリング照明データを特定する特定手段と、
前記特定手段が特定したレンダリング照明データを送信し又は該レンダリング照明データを絵画の表示データに付加して送信する送信手段と、を備え、
前記特定手段は、前記受信手段が取得した絵画情報を用いて、前記管理手段が管理するレンダリング照明データを検索することにより、前記絵画情報に対応するレンダリング照明データを特定することを特徴とする配信サーバ。
【請求項7】
前記特定手段は、前記所在地の情報の示す美術館名に対応するレンダリング照明データが前記管理手段にて管理されていない場合、前記所在地の情報の示す地域又はその近隣地域にある美術館の情報を検索してレンダリング照明データを特定することを特徴とする請求項6に記載の配信サーバ。
【請求項8】
前記特定手段は、前記絵画情報に加えて現在時刻又はユーザの設定時刻を示す時刻情報を用いて、レンダリング照明データを特定することを特徴とする請求項6または7に記載の配信サーバ。
【請求項9】
絵画の表示データと、該表示データの色再現処理に用いるレンダリング照明データを処理して画像を表示する表示制御方法であって、
絵画の作品名又は絵画が展示されている所在地の情報を含む絵画情報を取得する情報取得ステップと、
前記絵画情報に対してレンダリング照明データを関連付けて管理する管理ステップと、
絵画の表示データにレンダリング照明データが付加されていない場合、前記情報取得ステップで取得した絵画情報を用いて、前記管理ステップで管理されるレンダリング照明データを検索することにより、前記絵画情報に対応するレンダリング照明データを特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定されたレンダリング照明データを用いて前記表示データの色再現処理を行う色処理ステップと、を有することを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−159945(P2012−159945A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18096(P2011−18096)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】