表示装置およびその画質調整方法
【課題】 画質だけが異なる同一の画像を同時に比較して見え方の違いを体感しながら使用者の好みの画質を設定する。
【解決手段】
本発明の表示装置は、一の画面を元に異なる画質で模擬した画面を示す画像を複数作成し、模擬画面画像を一画面に複数描画する手段を備え、また、描画した複数の模擬画面のうちから使用者が選択した模擬画面に適用した画質設定に従って表示装置の実際の表示画面の画質設定を変更する手段を備える。
【解決手段】
本発明の表示装置は、一の画面を元に異なる画質で模擬した画面を示す画像を複数作成し、模擬画面画像を一画面に複数描画する手段を備え、また、描画した複数の模擬画面のうちから使用者が選択した模擬画面に適用した画質設定に従って表示装置の実際の表示画面の画質設定を変更する手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画質設定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の表示装置は、表示する画質に関する設定を変更する機能が備えられている。しかし、その機能は、使用者が設定の数値を増減させる操作を終えたその後に表示画像が変更され、そこに至って初めて使用者が設定変更の結果を目で見ることができるようになる。このような技術は、特許文献1などに示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−270613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術では、使用者が設定値の変更作業を行っている間は、その設定値の変更がもたらす影響を視覚的に知ることができないために、設定値の変更と確認を何度も繰り返し、試行錯誤することになってしまい、わずらわしい場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、表示装置において、画質設定を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の表示装置は、一の画面を元に異なる画質で描画した画面イメージを一画面に複数描画する手段を備え、また、描画した複数の画面イメージのうちから使用者が選択した画面に適用した画質に従って元の画面の画質設定を変更する手段を備える。
【0007】
例えば、本発明の表示装置は、
前記表示装置の表示画質を変更する手段と、
前記表示装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記表示装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の表示画質を変更する手段と、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置に該当する。
【0009】
さらに、本発明の画質調整方法は、
車両に搭載されるナビゲーション装置の画質調整方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の表示画質を変更する手段と、
を備え、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成するステップと、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示するステップと、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付ステップと、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示ステップと、
を実行することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ部2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、テレビジョン放送受信装置9と、可搬記憶媒体読取装置10と、ディスプレイ11と、タッチ入力検出装置12と、を備えている。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ装置(車輪速センサ6やジャイロセンサ7、GPS受信装置8)から入力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ部2へ表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ11を用いてユーザを誘導する。
【0013】
ディスプレイ部2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットであり、ディスプレイ11と、タッチ入力検出装置12とを備える。ディスプレイ11は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。
【0014】
タッチ入力検出装置12は、ディスプレイ11の表示側面に搭載され、表示画面を透過するいわゆるタッチパネルである。タッチ入力検出装置12は、ディスプレイ11に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチ入力検出装置12は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0015】
記憶装置3は、HDDやICカードといった書き換え可能な記憶媒体で構成されている。
もしくは、CD-ROMやDVD-ROMなどの読み取り専用の記憶媒体と、書き換え可能なRAMなどの記憶媒体を組み合わせたものでもよい。この記憶媒体には、調整項目設定値330があらかじめ記憶されており、また、後述するように画質表示設定画面作成部103により実施されるステップS113の処理結果である結果調整後画面イメージ管理表440の内容を記憶するための記憶領域が割り当てられている。
【0016】
図2は、調整項目設定値330の構成を示す図である。調整項目設定値330は、調整項目331と、調整を行う画質要素の調整範囲の上限と下限を示すレベル範囲332と、を含んでいる。
【0017】
図3は、調整後画面イメージ管理表440の構成を示す図である。調整後画面イメージ管理表440は、後述する管理番号441と、調整後画面イメージデータを格納する調整後画面イメージ442と、該イメージに相応する実機の画質の設定値を示す実機画質設定値443と、を含んでいる。
【0018】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し演算処理部1にその内容を転送する処理を行う。
【0019】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティックなどで構成される。
【0020】
車輪速センサ6,ジャイロセンサ7およびGPS受信装置8は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車輪速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。
【0021】
テレビジョン放送受信装置9、および可搬記憶媒体読取装置10は、車載用ナビゲーション装置100で表示させる外部からの映像情報を入力するために使用されるものである。
【0022】
テレビジョン放送受信装置9は、一般のテレビジョン放送の電波などの搬送波を受信し、搬送波に乗せられた音声および映像信号を抽出する。つまり、テレビジョン放送受信装置9を備えたナビゲーション装置は、抽出した映像信号をディスプレイ11を通じて出力し、音声信号を音声入出力装置4を通じて出力することで、いわゆるテレビジョン機能を提供できる。
【0023】
可搬記憶媒体読取装置10は、例えばビデオDVD−ROMなどの映像や音声を記録した媒体から音声および映像信号を読み取る。つまり、可搬記憶媒体読取装置10を備えたナビゲーション装置は、読み取った映像信号をディスプレイ11を通じて出力し、音声信号を音声入出力装置4を通じて出力することで、いわゆるDVDプレーヤー機能を提供できる。
【0024】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0025】
図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、画質設定制御部102と、画質設定表示画面作成部103と、画質設定部104と、描画制御部105とを有する。
【0026】
画質設定制御部102は、入力装置5を介して受け付けた使用者からの要求に応じて要求内容の詳細の選択肢を表示し、入力装置5を介して使用者からの画質設定要求を受け付ける。例えば、使用者が変更を望む画質要素の選択肢を示し、使用者が指定した画質要素を制御対象として受け付ける。また、上記受け付けた内容によって使用者からの要求が明確になれば、それをもとに各処理部に処理を依頼する。
【0027】
画質設定表示画面作成部103は、使用者が指定した画質設定条件を元に、これを模擬する画質設定値を算出して表示画面を作成し、描画制御部105に対してディスプレイ11に表示するよう指示し、使用者により指定された画質設定値を受け付けて画質の設定値を特定する。
【0028】
例えば、ディスプレイ11で表示する画面の輝度を増減させるためには、本来はディスプレイ11のバックライトの光量を増減させる必要がある。画質設定表示画面作成部103は、この場合には表示画像の明度を増減させるなど、輝度の増減を模擬する際に必要となる画質設定値を算出する。
【0029】
画質設定部104は、画質設定表示画面作成部103により特定した設定値を受け取り、描画制御部105に対して設定を行う。
【0030】
描画制御部105は、図5に記載のように、画質設定部104から設定された画質設定値に基づき、ディスプレイ11の照明装置81や液晶表示パネル82などのディスプレイ11を構成する装置に対して画質に関する制御信号を送出し、画質を制御する。
【0031】
図6は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0032】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0033】
なお、上記の各構成要素および機能は、CPU21がRAM22やROM23にロードしたプログラムを実行することにより達成される。
【0034】
[動作の説明]次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0035】
図7は、画質設定処理の流れを示すフロー図である。
【0036】
主制御部101は、図7に示すように、使用者からタッチ入力検出装置12を介して、画質設定の要求を受け付けると、本フローを開始する。
【0037】
具体的には、本実施例においてはタッチ入力検出装置12あるいは音声入出力装置4あるいは入力装置5により選択指示された画面表示設定の要求を主制御部101が検知し、画質設定制御部102に通知することにより、画質設定制御部102が本フローを開始する。
【0038】
続いて、画質設定制御部102は、上記要求がなされた直前に表示していた画面表示内容を画面ショットとして記憶する(ステップS110)。
【0039】
具体的には、例えば図8に示すような現在地の表示画面50を表示中に上記画面表示設定要求を受け付けた場合、該画面50を画像ファイルとして記憶装置3またはRAM22に記憶させる。
【0040】
次に、画質設定制御部102は、設定を行う対象となる画質に関する項目を描画制御部105に依頼してディスプレイ11に表示させる(ステップS111)。
【0041】
具体的には、画質設定制御部102は、調整項目設定値330に記憶されている調整項目331を読み込み、例えば輝度、コントラスト、色相、色飽和度(カラー)、黒レベル、輪郭補正(シャープネス)、などの調整項目をタッチ入力またはダイアル入力により選択が可能な形式(ボタンアイコンなど)で表示させる。
【0042】
表示後、画質設定制御部102は、ステップS111で表示させた設定項目のうちから2つの異なる設定項目を選択する入力を受け付けて、画質表示設定画面作成部103に対して受け付けた2つの設定項目を引き渡す(ステップS112)。
【0043】
具体的には、画質設定制御部102は、ステップS111でディスプレイ11に表示させた調整項目331から2つの異なる項目の選択を受け付ける。例えば輝度、コントラスト、色相、色飽和度(カラー)、黒レベル、輪郭補正(シャープネス)、などの調整項目331のうち、タッチ入力検出装置12、音声入出力装置4、入力装置5、などの入力手段によって使用者が選択入力した2項目をそれぞれX軸調整項目、Y軸調整項目として受付ける。その後、受け付けた2項目を画質表示設定画面作成部103に引き渡す。
【0044】
たとえば、使用者が、タッチ入力検出装置12を用いて色相とコントラストを選択すると、色相をX軸調整項目、コントラストをY軸調整項目として受付けて、画質表示設定画面作成部103へ引数として引き渡す。
【0045】
画質表示設定画面作成部103は、ステップS112で引き渡された2つの設定項目を受け取り、画質表示設定画面に表示させるための画面イメージを作成し、記憶装置3に記憶させる(ステップS113)。
【0046】
具体的には、画質表示設定画面作成部103は、まず、ステップS110で記憶装置3またはRAM22に記憶させた現在地の表示画面50をRAM22に読み出す。
【0047】
次に、画質表示設定画面作成部103は、図2に記載した調整項目設定値330に従い、ステップS112で引き渡されたX軸調整項目(例えば色相)に対応した増減レベル332(−30、30)の範囲内(つまり、下限レベル−30、上限レベル30)でX座標の増加方向に所定のレベルずつ色相を緑色寄りに増加させた画面50の縮小修正コピーを作成する。
【0048】
同様に、X座標の減少方向に所定のレベルずつ色相を赤色寄りに増加させた画面50の縮小コピーを作成することで、画質調整項目を増減させたイメージ画像を作成する。同様に、画面に表示させるX軸方向の類似画面数(例えば5枚)に合わせて段階的に所定のレベルを増減させ、類似画像を作成する。例えば、X軸方向に5画面表示させる場合には、マイナス2レベル、マイナス1レベル、修正なし、プラス1レベル、プラス2レベルの5画面をX軸方向に並べて表示させることができる。
【0049】
もしくは、これにかわり、変化のレベルを大きくしてマイナス4レベル、マイナス2レベル、修正なし、プラス2レベル、プラス4レベルの5画面を並べて表示させるなど、変化のレベル調整を使用者が行えるようにしてもよい。
【0050】
さらに同様に、画質表示設定画面作成部103は、今度はY軸調整項目(コントラスト)に応じて、同様に表示画面50の縮小修正コピーを複数行、例えば3行、作成し、さらにX軸調整項目に従って作成した表示画面50の縮小修正コピーごとにY軸調整項目に応じて縮小修正コピーを複数行、例えば3行、分作成する。
【0051】
これにより、例えば、図9の画面51に示すように、X軸方向に5列、Y軸方向に3行、縮小コピーを含めて15枚の縮小修正コピーを作成できたことになる。
【0052】
画質表示設定画面作成部103は、作成した縮小修正画像のそれぞれの画像にそれぞれの画質設定値に対応する実機画質設定値443を関連付けて、図3に示す調整後画面イメージ管理表440に記憶させる。例えば、上記のように15個作成した画像に順に1〜15と付番し、それを管理番号441に、また画像データをシリアライズして調整後画面イメージ442に、またその実機画質設定値を実機画質設定値443に、記憶させる。
【0053】
次に、画質設定表示画面作成部103は、ステップS113で作成した画面イメージを記憶装置3またはRAM22から読み込み、使用者に示す画質設定表示画面を作画し、描画制御部105がこれをディスプレイ11に表示させる(ステップS114)。
【0054】
図9に示すように、画質設定表示画面は、画面描画領域51、X軸設定説明領域52、Y軸設定説明領域53、縮小修正画像描画領域54とからなる。
【0055】
画質設定表示画面作成部103は、X軸設定説明領域52にX軸調整項目を、Y軸設定説明領域53にY軸調整項目を、また、縮小修正画像描画領域54にはステップS113で作成した縮小修正画像を、X軸方向、Y軸方向に表示させる領域のサイズと画面数に応じて縮小比率を変更した上で埋め込むことで、画質設定表示画面を作成する。
【0056】
描画制御部105は、画質設定表示画面作成部103が作成した画質設定表示画面をディスプレイ11に表示させる。
【0057】
次に、画質設定受付部104は、使用者がタッチ入力検出装置12または入力装置5を介して選択入力した画面イメージの選択情報を受け付けて、該イメージが持つ実機画質設定値を設定値443から取得する(ステップS115)。
【0058】
また次に、画質設定受付部104は、ステップS115で取得した実機画質設定値を元に、描画制御部105に対して、以降の描画時の画質設定として、表示する際に表示画像に対して設定値分の補正をかけるよう設定を行う(ステップS116)。
【0059】
具体的には、描画制御部105は、画質設定部104から設定された実機画質設定値に基づき、ディスプレイ11の照明装置81や液晶表示パネル82などのディスプレイ11を構成する装置に対して描画に関する制御信号を補正して描画動作を制御するように設定し、記憶が出来次第、画質設定処理を終了させる。そして、該画質設定処理を始める直前の状態から再度通常のナビゲーション機能の動作を再開し、描画制御部105はナビゲーション機能の画面を設定値に基づき補正して表示を再開する(ステップS117)。
【0060】
本フローによれば、このように、使用者が設定値を意識せずに、画質変更後の表示イメージ(模擬結果)から選択入力することにより画質を設定できる。
【0061】
なお、本実施形態では、現在地の表示画面50を表示中に上記画面表示設定を行った場合を例としたが、テレビジョン受信装置9または可搬記憶媒体読取装置10などから入力された表示画面を表示中に画面設定を行った場合にも、該表示画面を対象として同様の画質設定を行うことができる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0063】
上記実施形態によれば、使用者は画質のみ異なる同一の画像を同時に比較して、見え方の違いを体感しながら使用者の望みの画質を設定することができる画質設定機能を利用することができるようになる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0065】
例えば、画質設定を一律で変更する場合を例にとって説明したが、これに制限されない。つまり、車両周囲あるいは車両室内の明度に合わせて画面表示の設定を行うナビゲーション装置などで、その画面表示の設定単位で上記画質設定の変更を有効にするようにしてもよい。たとえば、記憶装置3上に描画制御部105に設定する画質の設定値を記憶する部分で、記憶する設定値に関連付けて該設定値が有効となる条件を追加して記憶する。描画制御部105は、有効となる条件を満たしている場合のみ描画制御部105への設定値を有効にして、条件を満たさない場合には、設定値を無視して表示するようにしてもよい。
【0066】
具体的には、夜間(例えば微灯点灯時又は前照灯点灯時)にディスプレイ11の照度を夜間用に切り替えるナビゲーション装置の場合などにおいては、昼間時の表示画質と夜間の表示画質を変えたい場合がある。
【0067】
その場合には、夜間時の表示画質の設定値を記憶する際に、夜間時のみ有効であるという条件を追加して記憶し、描画制御部105は、夜間時のみ該設定値を設定する、などの構成としてもよい。
【0068】
また、別に、ステップS112にて、画質設定制御部102が、X軸調整項目とY軸調整項目について使用者の選択を受け付けて画質表示設定画面作成部103に受け渡すのではなく、画質表示設定画面作成部103がランダムに、あるいは固定的に、1または複数の調整項目331を選出して複数枚の画像を作成することとしてもよい。
【0069】
また、さらに、ステップS112にて、画質設定制御部102が、X軸調整項目とY軸調整項目について使用者の選択を受け付けて画質表示設定画面作成部103に受けわたすのではなく、画質設定制御部102が、使用者に対して「くっきり見やすく表示する」、「明るく表示する」、「温かみをつけて表示する」、「疲れにくくする」、など、効果・効用に関する選択肢を表示させて、使用者が画質に関する用語に対して造詣が深くない場合でも設定を指示できるようにしてもよい。この場合、予め、選択肢とそれに該当する調整項目を対応付けたテーブル(図示せず)を記憶部3に記憶しておくことで、画質設定制御部102は、使用者が選択した選択肢から調整項目を特定することが可能となる。
【0070】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置の表示装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用ナビゲーション装置以外の表示装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、記憶装置3に記憶されている調整項目設定値の構成例を示す図である。
【図3】図3は、記憶装置3に記憶されている調整後画面イメージ管理表の構成例を示す図である。
【図4】図4は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図5】図5は、ディスプレイ11が画像を表示する仕組みを示す図である。
【図6】図6は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図7】図7は、画質設定処理のフロー図である。
【図8】図8は、画質設定開始直前の画面表示例を示す図である。
【図9】図9は、画質設定表示画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
100…車載用ナビゲーション装置、1…演算処理部、2…ディスプレイ部、3…記憶装置、4…音声出入力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…ジャイロセンサ、8…GPS受信装置、9…テレビジョン放送受信装置、10…可搬記憶媒体読取装置、11…ディスプレイ、12…タッチ入力検出装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ、32…バス、50…画面ショット、81…照明装置、82…液晶表示パネル、101…主制御部、102…画質設定制御部、103…画質設定表示画面作成部、104…画質設定部、105…描画制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画質設定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の表示装置は、表示する画質に関する設定を変更する機能が備えられている。しかし、その機能は、使用者が設定の数値を増減させる操作を終えたその後に表示画像が変更され、そこに至って初めて使用者が設定変更の結果を目で見ることができるようになる。このような技術は、特許文献1などに示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−270613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術では、使用者が設定値の変更作業を行っている間は、その設定値の変更がもたらす影響を視覚的に知ることができないために、設定値の変更と確認を何度も繰り返し、試行錯誤することになってしまい、わずらわしい場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、表示装置において、画質設定を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の表示装置は、一の画面を元に異なる画質で描画した画面イメージを一画面に複数描画する手段を備え、また、描画した複数の画面イメージのうちから使用者が選択した画面に適用した画質に従って元の画面の画質設定を変更する手段を備える。
【0007】
例えば、本発明の表示装置は、
前記表示装置の表示画質を変更する手段と、
前記表示装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記表示装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の表示画質を変更する手段と、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置に該当する。
【0009】
さらに、本発明の画質調整方法は、
車両に搭載されるナビゲーション装置の画質調整方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の表示画質を変更する手段と、
を備え、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成するステップと、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示するステップと、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付ステップと、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示ステップと、
を実行することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ部2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、テレビジョン放送受信装置9と、可搬記憶媒体読取装置10と、ディスプレイ11と、タッチ入力検出装置12と、を備えている。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ装置(車輪速センサ6やジャイロセンサ7、GPS受信装置8)から入力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ部2へ表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ11を用いてユーザを誘導する。
【0013】
ディスプレイ部2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットであり、ディスプレイ11と、タッチ入力検出装置12とを備える。ディスプレイ11は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。
【0014】
タッチ入力検出装置12は、ディスプレイ11の表示側面に搭載され、表示画面を透過するいわゆるタッチパネルである。タッチ入力検出装置12は、ディスプレイ11に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチ入力検出装置12は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0015】
記憶装置3は、HDDやICカードといった書き換え可能な記憶媒体で構成されている。
もしくは、CD-ROMやDVD-ROMなどの読み取り専用の記憶媒体と、書き換え可能なRAMなどの記憶媒体を組み合わせたものでもよい。この記憶媒体には、調整項目設定値330があらかじめ記憶されており、また、後述するように画質表示設定画面作成部103により実施されるステップS113の処理結果である結果調整後画面イメージ管理表440の内容を記憶するための記憶領域が割り当てられている。
【0016】
図2は、調整項目設定値330の構成を示す図である。調整項目設定値330は、調整項目331と、調整を行う画質要素の調整範囲の上限と下限を示すレベル範囲332と、を含んでいる。
【0017】
図3は、調整後画面イメージ管理表440の構成を示す図である。調整後画面イメージ管理表440は、後述する管理番号441と、調整後画面イメージデータを格納する調整後画面イメージ442と、該イメージに相応する実機の画質の設定値を示す実機画質設定値443と、を含んでいる。
【0018】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し演算処理部1にその内容を転送する処理を行う。
【0019】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティックなどで構成される。
【0020】
車輪速センサ6,ジャイロセンサ7およびGPS受信装置8は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車輪速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。
【0021】
テレビジョン放送受信装置9、および可搬記憶媒体読取装置10は、車載用ナビゲーション装置100で表示させる外部からの映像情報を入力するために使用されるものである。
【0022】
テレビジョン放送受信装置9は、一般のテレビジョン放送の電波などの搬送波を受信し、搬送波に乗せられた音声および映像信号を抽出する。つまり、テレビジョン放送受信装置9を備えたナビゲーション装置は、抽出した映像信号をディスプレイ11を通じて出力し、音声信号を音声入出力装置4を通じて出力することで、いわゆるテレビジョン機能を提供できる。
【0023】
可搬記憶媒体読取装置10は、例えばビデオDVD−ROMなどの映像や音声を記録した媒体から音声および映像信号を読み取る。つまり、可搬記憶媒体読取装置10を備えたナビゲーション装置は、読み取った映像信号をディスプレイ11を通じて出力し、音声信号を音声入出力装置4を通じて出力することで、いわゆるDVDプレーヤー機能を提供できる。
【0024】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0025】
図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、画質設定制御部102と、画質設定表示画面作成部103と、画質設定部104と、描画制御部105とを有する。
【0026】
画質設定制御部102は、入力装置5を介して受け付けた使用者からの要求に応じて要求内容の詳細の選択肢を表示し、入力装置5を介して使用者からの画質設定要求を受け付ける。例えば、使用者が変更を望む画質要素の選択肢を示し、使用者が指定した画質要素を制御対象として受け付ける。また、上記受け付けた内容によって使用者からの要求が明確になれば、それをもとに各処理部に処理を依頼する。
【0027】
画質設定表示画面作成部103は、使用者が指定した画質設定条件を元に、これを模擬する画質設定値を算出して表示画面を作成し、描画制御部105に対してディスプレイ11に表示するよう指示し、使用者により指定された画質設定値を受け付けて画質の設定値を特定する。
【0028】
例えば、ディスプレイ11で表示する画面の輝度を増減させるためには、本来はディスプレイ11のバックライトの光量を増減させる必要がある。画質設定表示画面作成部103は、この場合には表示画像の明度を増減させるなど、輝度の増減を模擬する際に必要となる画質設定値を算出する。
【0029】
画質設定部104は、画質設定表示画面作成部103により特定した設定値を受け取り、描画制御部105に対して設定を行う。
【0030】
描画制御部105は、図5に記載のように、画質設定部104から設定された画質設定値に基づき、ディスプレイ11の照明装置81や液晶表示パネル82などのディスプレイ11を構成する装置に対して画質に関する制御信号を送出し、画質を制御する。
【0031】
図6は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0032】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0033】
なお、上記の各構成要素および機能は、CPU21がRAM22やROM23にロードしたプログラムを実行することにより達成される。
【0034】
[動作の説明]次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0035】
図7は、画質設定処理の流れを示すフロー図である。
【0036】
主制御部101は、図7に示すように、使用者からタッチ入力検出装置12を介して、画質設定の要求を受け付けると、本フローを開始する。
【0037】
具体的には、本実施例においてはタッチ入力検出装置12あるいは音声入出力装置4あるいは入力装置5により選択指示された画面表示設定の要求を主制御部101が検知し、画質設定制御部102に通知することにより、画質設定制御部102が本フローを開始する。
【0038】
続いて、画質設定制御部102は、上記要求がなされた直前に表示していた画面表示内容を画面ショットとして記憶する(ステップS110)。
【0039】
具体的には、例えば図8に示すような現在地の表示画面50を表示中に上記画面表示設定要求を受け付けた場合、該画面50を画像ファイルとして記憶装置3またはRAM22に記憶させる。
【0040】
次に、画質設定制御部102は、設定を行う対象となる画質に関する項目を描画制御部105に依頼してディスプレイ11に表示させる(ステップS111)。
【0041】
具体的には、画質設定制御部102は、調整項目設定値330に記憶されている調整項目331を読み込み、例えば輝度、コントラスト、色相、色飽和度(カラー)、黒レベル、輪郭補正(シャープネス)、などの調整項目をタッチ入力またはダイアル入力により選択が可能な形式(ボタンアイコンなど)で表示させる。
【0042】
表示後、画質設定制御部102は、ステップS111で表示させた設定項目のうちから2つの異なる設定項目を選択する入力を受け付けて、画質表示設定画面作成部103に対して受け付けた2つの設定項目を引き渡す(ステップS112)。
【0043】
具体的には、画質設定制御部102は、ステップS111でディスプレイ11に表示させた調整項目331から2つの異なる項目の選択を受け付ける。例えば輝度、コントラスト、色相、色飽和度(カラー)、黒レベル、輪郭補正(シャープネス)、などの調整項目331のうち、タッチ入力検出装置12、音声入出力装置4、入力装置5、などの入力手段によって使用者が選択入力した2項目をそれぞれX軸調整項目、Y軸調整項目として受付ける。その後、受け付けた2項目を画質表示設定画面作成部103に引き渡す。
【0044】
たとえば、使用者が、タッチ入力検出装置12を用いて色相とコントラストを選択すると、色相をX軸調整項目、コントラストをY軸調整項目として受付けて、画質表示設定画面作成部103へ引数として引き渡す。
【0045】
画質表示設定画面作成部103は、ステップS112で引き渡された2つの設定項目を受け取り、画質表示設定画面に表示させるための画面イメージを作成し、記憶装置3に記憶させる(ステップS113)。
【0046】
具体的には、画質表示設定画面作成部103は、まず、ステップS110で記憶装置3またはRAM22に記憶させた現在地の表示画面50をRAM22に読み出す。
【0047】
次に、画質表示設定画面作成部103は、図2に記載した調整項目設定値330に従い、ステップS112で引き渡されたX軸調整項目(例えば色相)に対応した増減レベル332(−30、30)の範囲内(つまり、下限レベル−30、上限レベル30)でX座標の増加方向に所定のレベルずつ色相を緑色寄りに増加させた画面50の縮小修正コピーを作成する。
【0048】
同様に、X座標の減少方向に所定のレベルずつ色相を赤色寄りに増加させた画面50の縮小コピーを作成することで、画質調整項目を増減させたイメージ画像を作成する。同様に、画面に表示させるX軸方向の類似画面数(例えば5枚)に合わせて段階的に所定のレベルを増減させ、類似画像を作成する。例えば、X軸方向に5画面表示させる場合には、マイナス2レベル、マイナス1レベル、修正なし、プラス1レベル、プラス2レベルの5画面をX軸方向に並べて表示させることができる。
【0049】
もしくは、これにかわり、変化のレベルを大きくしてマイナス4レベル、マイナス2レベル、修正なし、プラス2レベル、プラス4レベルの5画面を並べて表示させるなど、変化のレベル調整を使用者が行えるようにしてもよい。
【0050】
さらに同様に、画質表示設定画面作成部103は、今度はY軸調整項目(コントラスト)に応じて、同様に表示画面50の縮小修正コピーを複数行、例えば3行、作成し、さらにX軸調整項目に従って作成した表示画面50の縮小修正コピーごとにY軸調整項目に応じて縮小修正コピーを複数行、例えば3行、分作成する。
【0051】
これにより、例えば、図9の画面51に示すように、X軸方向に5列、Y軸方向に3行、縮小コピーを含めて15枚の縮小修正コピーを作成できたことになる。
【0052】
画質表示設定画面作成部103は、作成した縮小修正画像のそれぞれの画像にそれぞれの画質設定値に対応する実機画質設定値443を関連付けて、図3に示す調整後画面イメージ管理表440に記憶させる。例えば、上記のように15個作成した画像に順に1〜15と付番し、それを管理番号441に、また画像データをシリアライズして調整後画面イメージ442に、またその実機画質設定値を実機画質設定値443に、記憶させる。
【0053】
次に、画質設定表示画面作成部103は、ステップS113で作成した画面イメージを記憶装置3またはRAM22から読み込み、使用者に示す画質設定表示画面を作画し、描画制御部105がこれをディスプレイ11に表示させる(ステップS114)。
【0054】
図9に示すように、画質設定表示画面は、画面描画領域51、X軸設定説明領域52、Y軸設定説明領域53、縮小修正画像描画領域54とからなる。
【0055】
画質設定表示画面作成部103は、X軸設定説明領域52にX軸調整項目を、Y軸設定説明領域53にY軸調整項目を、また、縮小修正画像描画領域54にはステップS113で作成した縮小修正画像を、X軸方向、Y軸方向に表示させる領域のサイズと画面数に応じて縮小比率を変更した上で埋め込むことで、画質設定表示画面を作成する。
【0056】
描画制御部105は、画質設定表示画面作成部103が作成した画質設定表示画面をディスプレイ11に表示させる。
【0057】
次に、画質設定受付部104は、使用者がタッチ入力検出装置12または入力装置5を介して選択入力した画面イメージの選択情報を受け付けて、該イメージが持つ実機画質設定値を設定値443から取得する(ステップS115)。
【0058】
また次に、画質設定受付部104は、ステップS115で取得した実機画質設定値を元に、描画制御部105に対して、以降の描画時の画質設定として、表示する際に表示画像に対して設定値分の補正をかけるよう設定を行う(ステップS116)。
【0059】
具体的には、描画制御部105は、画質設定部104から設定された実機画質設定値に基づき、ディスプレイ11の照明装置81や液晶表示パネル82などのディスプレイ11を構成する装置に対して描画に関する制御信号を補正して描画動作を制御するように設定し、記憶が出来次第、画質設定処理を終了させる。そして、該画質設定処理を始める直前の状態から再度通常のナビゲーション機能の動作を再開し、描画制御部105はナビゲーション機能の画面を設定値に基づき補正して表示を再開する(ステップS117)。
【0060】
本フローによれば、このように、使用者が設定値を意識せずに、画質変更後の表示イメージ(模擬結果)から選択入力することにより画質を設定できる。
【0061】
なお、本実施形態では、現在地の表示画面50を表示中に上記画面表示設定を行った場合を例としたが、テレビジョン受信装置9または可搬記憶媒体読取装置10などから入力された表示画面を表示中に画面設定を行った場合にも、該表示画面を対象として同様の画質設定を行うことができる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0063】
上記実施形態によれば、使用者は画質のみ異なる同一の画像を同時に比較して、見え方の違いを体感しながら使用者の望みの画質を設定することができる画質設定機能を利用することができるようになる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0065】
例えば、画質設定を一律で変更する場合を例にとって説明したが、これに制限されない。つまり、車両周囲あるいは車両室内の明度に合わせて画面表示の設定を行うナビゲーション装置などで、その画面表示の設定単位で上記画質設定の変更を有効にするようにしてもよい。たとえば、記憶装置3上に描画制御部105に設定する画質の設定値を記憶する部分で、記憶する設定値に関連付けて該設定値が有効となる条件を追加して記憶する。描画制御部105は、有効となる条件を満たしている場合のみ描画制御部105への設定値を有効にして、条件を満たさない場合には、設定値を無視して表示するようにしてもよい。
【0066】
具体的には、夜間(例えば微灯点灯時又は前照灯点灯時)にディスプレイ11の照度を夜間用に切り替えるナビゲーション装置の場合などにおいては、昼間時の表示画質と夜間の表示画質を変えたい場合がある。
【0067】
その場合には、夜間時の表示画質の設定値を記憶する際に、夜間時のみ有効であるという条件を追加して記憶し、描画制御部105は、夜間時のみ該設定値を設定する、などの構成としてもよい。
【0068】
また、別に、ステップS112にて、画質設定制御部102が、X軸調整項目とY軸調整項目について使用者の選択を受け付けて画質表示設定画面作成部103に受け渡すのではなく、画質表示設定画面作成部103がランダムに、あるいは固定的に、1または複数の調整項目331を選出して複数枚の画像を作成することとしてもよい。
【0069】
また、さらに、ステップS112にて、画質設定制御部102が、X軸調整項目とY軸調整項目について使用者の選択を受け付けて画質表示設定画面作成部103に受けわたすのではなく、画質設定制御部102が、使用者に対して「くっきり見やすく表示する」、「明るく表示する」、「温かみをつけて表示する」、「疲れにくくする」、など、効果・効用に関する選択肢を表示させて、使用者が画質に関する用語に対して造詣が深くない場合でも設定を指示できるようにしてもよい。この場合、予め、選択肢とそれに該当する調整項目を対応付けたテーブル(図示せず)を記憶部3に記憶しておくことで、画質設定制御部102は、使用者が選択した選択肢から調整項目を特定することが可能となる。
【0070】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置の表示装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用ナビゲーション装置以外の表示装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、記憶装置3に記憶されている調整項目設定値の構成例を示す図である。
【図3】図3は、記憶装置3に記憶されている調整後画面イメージ管理表の構成例を示す図である。
【図4】図4は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図5】図5は、ディスプレイ11が画像を表示する仕組みを示す図である。
【図6】図6は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図7】図7は、画質設定処理のフロー図である。
【図8】図8は、画質設定開始直前の画面表示例を示す図である。
【図9】図9は、画質設定表示画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
100…車載用ナビゲーション装置、1…演算処理部、2…ディスプレイ部、3…記憶装置、4…音声出入力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…ジャイロセンサ、8…GPS受信装置、9…テレビジョン放送受信装置、10…可搬記憶媒体読取装置、11…ディスプレイ、12…タッチ入力検出装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ、32…バス、50…画面ショット、81…照明装置、82…液晶表示パネル、101…主制御部、102…画質設定制御部、103…画質設定表示画面作成部、104…画質設定部、105…描画制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
前記表示装置の表示画質を変更する手段と、
前記表示装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記表示装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
さらに、前記模擬画像を作成する手段が模擬することが可能な画質項目を予め記憶した記憶装置を備え、
前記模擬画像を作成する手段が模擬する画質項目は、前記記憶装置に記憶された前記画質項目のうちの2項目である、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記模擬画像を複数表示する手段は、前記2つの画質項目を、表示させる一の模擬画像ごとに組み合わせて作成した模擬画像を表示する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記記憶装置に記憶された前記画質項目は、
輝度と、コントラストと、を含んで構成される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置は、
車両に搭載されるナビゲーション装置を構成するディスプレイ装置である、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の表示画質を変更する手段と、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置であって、
さらに、前記模擬画像を作成する手段が模擬することが可能な画質項目を予め記憶した記憶装置を備え、
前記模擬画像を作成する手段が模擬する画質項目は、前記記憶装置に記憶された前記画質項目のうちの2項目である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置であって、
前記模擬画像を複数表示する手段は、前記2つの画質項目を、表示させる一の模擬画像ごとに組み合わせて作成した模擬画像を表示する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項8に記載のナビゲーション装置であって、
前記記憶装置に記憶された前記画質項目は、
輝度と、コントラストと、を含んで構成される、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
車両に搭載されるナビゲーション装置の画質調整方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記表示装置の表示画質を変更する手段と、
を備え、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成するステップと、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示するステップと、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付ステップと、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示ステップと、
を実行することを特徴とする画質調整方法。
【請求項1】
表示装置であって、
前記表示装置の表示画質を変更する手段と、
前記表示装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記表示装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
さらに、前記模擬画像を作成する手段が模擬することが可能な画質項目を予め記憶した記憶装置を備え、
前記模擬画像を作成する手段が模擬する画質項目は、前記記憶装置に記憶された前記画質項目のうちの2項目である、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記模擬画像を複数表示する手段は、前記2つの画質項目を、表示させる一の模擬画像ごとに組み合わせて作成した模擬画像を表示する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記記憶装置に記憶された前記画質項目は、
輝度と、コントラストと、を含んで構成される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置は、
車両に搭載されるナビゲーション装置を構成するディスプレイ装置である、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の表示画質を変更する手段と、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成する手段と、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示する手段と、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置であって、
さらに、前記模擬画像を作成する手段が模擬することが可能な画質項目を予め記憶した記憶装置を備え、
前記模擬画像を作成する手段が模擬する画質項目は、前記記憶装置に記憶された前記画質項目のうちの2項目である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置であって、
前記模擬画像を複数表示する手段は、前記2つの画質項目を、表示させる一の模擬画像ごとに組み合わせて作成した模擬画像を表示する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項8に記載のナビゲーション装置であって、
前記記憶装置に記憶された前記画質項目は、
輝度と、コントラストと、を含んで構成される、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
車両に搭載されるナビゲーション装置の画質調整方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
前記車両内に取り付けられ、画像を表示するディスプレイ装置と、
前記表示装置の表示画質を変更する手段と、
を備え、
前記ディスプレイ装置の表示画質の変更を実施した模擬画像を作成するステップと、
前記ディスプレイ装置に前記模擬画像を複数表示するステップと、
前記複数表示した模擬画像のうちの一の画像の選択を受け付ける選択受付ステップと、
選択された模擬画像の画質変更内容をもとに前記表示画質を変更する手段に対して画質を変更するよう指示する画質変更指示ステップと、
を実行することを特徴とする画質調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−176103(P2008−176103A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10067(P2007−10067)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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