説明

表示装置およびその表示方法

【課題】 優位性の高い情報を運転者に瞬時に伝えることが可能な表示装置およびその表示方法を提供する。
【解決手段】 第1、第2表示部2、3を備えた表示装置1において、ヘッドアップディスプレイである第2の表示部3で優位性の高い情報を表示し、第2の表示部3で表示した情報を時間の経過とともに第2の表示部3から車両10のインストルメントパネル11に設けた第1の表示部3に切り替えて表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイに表示される文字や絵の視認性を向上させる表示装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、イグニッションスイッチのオンとともに、車載メータ表示装置の複数の表示部のうち、まずLCDのメッセージ表示およびLCD照明のみが所定時間Tの間作動するので、使用者の視点はこのLCDに集中し、表示内容に対する使用者の視認性を高めることができる。LCDが点灯したのち、所定時間T経過後にアナログメータの盤面照明および指針照明が点灯開始し、それらの輝度が漸増する。これにより、使用者の視点が点灯しているLCDから点灯を開始したアナログメータへと移動するとともに、アナログメータの照度が徐々に増加することにより、使用者に対して表示演出効果を高めることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−290284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の表示装置は、複数の表示部毎に動作するために統一性がなく、運転者に表示装置で表示した情報の優位性を瞬時に伝えることができず、この点で更なる改良の余地が残されていた。
【0005】
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、優位性の高い情報を運転者に瞬時に伝えることが可能な表示装置およびその表示方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、表示部を備えた表示装置において、前記表示部は、少なくとも第1、第2表示部を設け、前記第2の表示部で優位性の高い情報を表示し、前記第2の表示部で表示した情報を時間の経過とともに前記第2の表示部から前記第1の表示部に切り替えて表示するものである。
【0007】
また、前記第2表示部は、ヘッドアップディスプレイである。
【0008】
また、前記第2表示部のヘッドアップディスプレイは、車両のフロントガラスに画像を投影するものである。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために、表示部を備えた表示装置の表示方法において、前記表示部は、少なくとも第1、第2表示部を設け、前記第2の表示部で優位性の高い情報を表示し、前記第2の表示部で表示した情報を時間の経過とともに前記第2の表示部から前記第1の表示部に切り替えて表示するものである。
【0010】
また、前記第2表示部は、ヘッドアップディスプレイである。
【0011】
また、前記第2表示部のヘッドアップディスプレイは、車両のフロントガラスに画像を投影するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、優位性の高い情報を運転者に瞬時に伝えることが可能な表示装置およびその表示方法の提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態である表示装置の概略図。
【図2】同実施形態の表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態における表示例を示す図。
【図4】同実施形態における表示例を示す図。
【図5】同実施形態における表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図5に基づいて本発明の実施形態を車載用の表示装置1に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0015】
表示装置1は、車両10のインストルメントパネル11に載置されるものであり、車両10に乗車した運転者20に車両10等に関する情報を表示するものである。
【0016】
表示装置1は、第1表示部2と、第2表示部3と、制御手段4とから主に構成されている。なお、5は、車両側の制御手段である。
【0017】
第1表示部2は、各種情報を表示する受光型の液晶表示パネルや自発光型の有機ELパネル等からなり、例えば、車両10のインストルメントパネル11上に載置されている。運転者20は、第1表示部2を直接視認するものである。
【0018】
第1表示部2は、車両10等に関する情報として、例えば、図3に示すように、車両10の走行速度を速度計31で、車両10のエンジンの回転数をエンジン回転計32で、車両10の燃料残量を燃料計33で、車両10のエンジンの冷却水温をエンジン水温計34で、車両10の方向指示器の動作を方向指示表示35、36で、表示する。
【0019】
本実施形態では、速度計31、エンジン回転計32、燃料計33、エンジン水温計34を表示する画像は、指針を備えた画像であるが、本実施形態に限定されるものではなく、数字などの表示であっても良い。
【0020】
また、第1表示部2が表示する項目は、上記項目に限定されるものではなく、任意である。他に表示する項目としては、車両10の走行距離などがある。
【0021】
第2表示部3は、いわゆるヘッドアップディスプレイと呼ばれるものであり、第2表示部3に内蔵した液晶表示パネルなどの表示素子の画像を車両10のフロントガラス12に投影し、投影した画像を運転者20が視認するものである。
【0022】
第2表示部3は、車両10等に関する情報として、例えば、図3に示すように、車両10の走行距離に関する情報として、航続可能距離41を表示している。航続可能距離41は、文字情報として表示している。
【0023】
また、第2表示部3が表示する項目は、上記項目に限定されるものではなく、任意であり、他に表示する項目としては、車両10の走行速度、車両10のエンジンの回転数、車両10のエンジンの冷却水温、車両10の方向指示器の動作および車両10の走行距離などがある。
【0024】
制御手段4は、CPU、ROM、RAMおよび入出力インターフェイス等を備えたマイクロコンピュータから構成される。本実施形態の場合、詳細図示は省略するが、表示装置1に備えられる回路基板に実装され、第1、第2表示部2、3と車両側制御手段5と接続されており、制御手段4は、車両側制御手段5から車両10などに関する情報を取得し、前記情報に基づいて、車両10などに関する計測データを所定の演算処理によって求め、前記計測データに応じた駆動信号を所定周期で第1、第2表示部3、4へ出力して表示駆動させるものである。
【0025】
車両側制御手段5は、車両10の走行速度、エンジンの回転数、燃料残量、エンジンの冷却水温などの各種センサによって検出された情報を取得するものであり、この取得した情報を制御手段4が取得する。なお、本実施形態では、車両10などに関する情報を車両側制御手段5が、まとめて取得し、制御手段4へ提供していたが、本実施形態に限定されるものではなく、制御手段4が車両10に関する情報を直接取得するものであってもよい。
【0026】
以上の各部によって表示装置1が構成されている。次に、表示装置1における表示について、燃料残量の表示を例にとって説明する。
【0027】
航続可能距離41を第2表示部3で表示していた状態で、燃料残量が少なくなり、航続可能距離41が予め定めた所定の距離を下回ったときに、燃料残量に関する情報の優位性が高まり、運転者20に燃料補給を促すために、大きさ、色を変える。例えば、図4で示すように、文字の大きさを大きくする。あるいは、文字の大きさを、大、小、大、小と、一定時間毎に変えても良い。また、図示していないが、文字の色を黒から赤に変える。あるいは、文字の色を、赤、黒、赤、黒と、一定時間毎に変えても良い。
【0028】
運転者20に、注意を与える表示動作を実行した後、すなわち、所定の時間が経過した後に、燃料残量の表示を第2表示部3から第1表示部2の燃料計33を表示位置に移動させる。この場合、図5に示すように、燃料残量の警告記号37を同時に表示しても良い。
【0029】
このとき、燃料残量に関する一連の表示は、第2表示部3と第1表示部2とで、連動した表示となり、運転者20は、あたかも燃料計表示が、第2表示部3の下方に位置する第1表示部2に落ちていったかのように感じる演出効果を与えることができる。この表示による利点は、まず燃料残量が少ないという注意を運転者20の視線の移動を抑えつつ迅速に、かつ確実に伝えることができる。このような演出効果により、商品性やデザイン性を向上させることが可能である。
【0030】
また、ヘッドアップディスプレイである第2表示部3で、注意喚起を促す表示の後、インストルメントパネル11に設けた第1表示部2に表示位置を下げることで、運転者20の視界の妨げとならない。さらに、第1表示部2に燃料残量の表示が移動した後も、常時表示することで、その後の燃料残量の状態を確認することが可能となる。
【0031】
なお、この表示は、燃料残量に限らず、他の警告や注意喚起にも使用可能である。注意喚起としては、例えば、音響機器に関連する表示なども含まれ、音響機器に関する表示としては、ラジオの選局変更時の選局した放送局や周波数の表示、あるいは、楽曲の切り替わり時に曲名の表示などにも使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、少なくとも2つ以上の表示部を備えた表示装置およびその表示方法に好適である。
【符号の説明】
【0033】
1 表示装置
2 第1表示部
3 第2表示部
4 制御手段
5 車両側制御手段
10 車両
11 インストルメントパネル
12 フロントガラス
20 運転者
31 速度計
32 エンジン回転計
33 燃料計
34 エンジン水温計
35、36 方向指示表示
37 警告記号
41 航続可能距離



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備えた表示装置において、
前記表示部は、少なくとも第1、第2表示部を設け、
前記第2の表示部で優位性の高い情報を表示し、
前記第2の表示部で表示した情報を時間の経過とともに前記第2の表示部から前記第1の表示部に切り替えて表示する
ことを特徴する表示装置。
【請求項2】
前記第2表示部は、ヘッドアップディスプレイである
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2表示部のヘッドアップディスプレイは、車両のフロントガラスに画像を投影することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
表示部を備えた表示装置の表示方法において、
前記表示部は、少なくとも第1、第2表示部を設け、
前記第2の表示部で優位性の高い情報を表示し、
前記第2の表示部で表示した情報を時間の経過とともに前記第2の表示部から前記第1の表示部に切り替えて表示する
ことを特徴する表示装置の表示方法。
【請求項5】
前記第2表示部は、ヘッドアップディスプレイである
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置の表示方法。
【請求項6】
前記第2表示部のヘッドアップディスプレイは、車両のフロントガラスに画像を投影することを特徴とする請求項5に記載の表示装置の表示方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71601(P2013−71601A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212272(P2011−212272)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】