説明

表示装置および画像形成装置

【課題】筐体とタッチパネルユニットとの隙間を適正な間隔にすることができる表示装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表示装置100は、開口111を有する筐体(樹脂フレーム110)と、開口111に第1面を臨ませて配置され、当該第1面の反応部への接触により入力操作が行われるタッチパネルユニット130とを備える。筐体には、タッチパネルユニット130の反応部とは異なる未反応部に接触する位置決め部(位置決めリブ114)が設けられる。そして、タッチパネルユニット130は、弾性部材(板バネ151)によって位置決め部に向けて付勢される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを用いた表示装置および当該表示装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家電製品、ファクシミリ装置、プリンタ、ポータブルコンピュータ等の操作を行うための表示装置として、反応部への接触により入力操作が行われるタッチパネルを用いたものが知られている。例えば、特許文献1の技術では、画像を表示する液晶パネルと、液晶パネルの表面側にある画面の周囲を覆うカバーと、液晶パネルの裏側を支持する樹脂フレームとを備え、液晶パネルの画面を透過させるタッチパネルがカバーの表面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−163742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した表示装置におけるタッチパネルの表面側に、タッチパネルの操作範囲の周囲を覆おう筐体を設けることが考えられる。しかしながら、この場合において、筐体に対して前述した樹脂フレームを取り付けると、樹脂フレーム、液晶パネル、液晶パネルのカバーおよびタッチパネルのそれぞれの寸法誤差によって、筐体とタッチパネルとの間の隙間が管理しにくいといった問題がある。
【0005】
すなわち、筐体とタッチパネル間の隙間が小さすぎる場合には、筐体を掴んだときに筐体が歪んでタッチパネルと接触してしまい、タッチパネルが誤って操作されるという問題が発生する。また、筐体とタッチパネル間の隙間が大きすぎる場合には、当該隙間から内部に塵埃が侵入するという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、筐体とタッチパネル(タッチパネルユニット)との隙間を適正な間隔にすることができる表示装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る表示装置は、開口を有する筐体と、前記開口に第1面を臨ませて配置され、当該第1面の反応部への接触により入力操作が行われるタッチパネルユニットとを備える。
前記筐体には、前記タッチパネルユニットの前記反応部とは異なる未反応部に接触する位置決め部が設けられる。
そして、前記タッチパネルユニットは、弾性部材によって前記位置決め部に向けて付勢されている。
【0008】
この構成によれば、弾性部材によって筐体の位置決め部にタッチパネルユニットの未反応部を付勢するので、筐体とタッチパネルユニットとの隙間を適正な間隔にすることができる。すなわち、隙間が広すぎることによって筐体とタッチパネルユニットとの間に塵埃が侵入する問題や、隙間が狭すぎることによって筐体とタッチパネルユニットの反応部とが誤って接触してしまう問題を抑えることができる。
【0009】
また、前記した構成において、前記位置決め部は、前記開口の縁から離れた位置に設けられているのが望ましい。
【0010】
これによれば、開口の外側まで第1面の反応部を設定することができるので、開口の縁までアイコンを表示させることができる。
【0011】
また、前記した構成において、前記位置決め部は、前記タッチパネルユニットに向けて突出しているのが望ましい。
【0012】
これによれば、位置決め部のタッチパネルユニットとの当接面の位置精度が向上するので、筐体に対するタッチパネルユニットの位置決め精度を向上させることができる。
【0013】
また、前記した構成において、前記位置決め部は、前記開口の縁に沿って延びるリブ状に形成されているのが望ましい。
【0014】
これによれば、開口の周囲を、リブ状の位置決め部で補強することができる。
【0015】
また、前記した構成において、前記タッチパネルユニットの第1面とは反対側の第2面に対向し、画像を表示する画像表示部と、前記画像表示部を保持する保持フレームと、を備え、前記弾性部材は、前記保持フレームを介して前記タッチパネルユニットを付勢するように構成されているのが望ましい。
【0016】
これによれば、タッチパネルユニットを直接弾性部材で付勢して、保持フレームをタッチパネルユニットとは別の部材に保持させる構造に比べ、保持フレームを介してタッチパネルユニットを付勢するので、画像表示部とタッチパネルユニットとを適正な位置関係にすることができる。
【0017】
また、前記した構成において、前記タッチパネルユニットは、前記第1面を有するタッチパネルと、前記タッチパネルの外周縁を保持する金属枠と、を備え、前記金属枠が前記位置決め部に付勢されているのが望ましい。
【0018】
これによれば、タッチパネルに弾性部材からの付勢力がかかるのを抑えることができる。
【0019】
また、前記した構成において、前記金属枠と前記保持フレームが接触しているのが望ましい。
【0020】
これによれば、保持フレームがタッチパネルに接触する構造に比べ、タッチパネルに弾性部材からの付勢力がかかるのを抑えることができる。
【0021】
また、前記した構成において、前記弾性部材は、前記画像表示部の画面よりも外側を付勢するように複数設けられているのが望ましい。
【0022】
これによれば、画像表示部の画面に負荷がかかるのを抑えることができる。
【0023】
また、前記した構成において、前記複数の弾性部材は、前記保持フレームの両端部と当該両端部の間の中間部とに配置され、両端部に配置された弾性部材の付勢力が中間部に配置された弾性部材の付勢力よりも大きくなるように構成されているのが望ましい。
【0024】
これによれば、タッチパネルの端部を押しても大きな付勢力によってタッチパネルの端部の移動が規制されるので、タッチパネルと筐体との間に隙間が生じるのを抑えることができる。
【0025】
また、前記した構成において、前記タッチパネルユニット、前記保持フレームまたは前記弾性部材に当接して、前記弾性部材の変形量を規制する当止め部が設けられているのが望ましい。
【0026】
これによれば、ユーザの操作によりタッチパネルが沈み込むのを抑えることができる。
【0027】
また、前記した構成において、前記タッチパネルユニットの前記第1面の反対側には、当該タッチパネルユニットを覆う板金状のシールド部材が設けられ、前記シールド部材は、前記弾性部材を保持した状態で、前記筐体に固定されるのが望ましい。
【0028】
これによれば、タッチパネルユニットから発生するノイズをシールド部材で抑えることが可能になるとともに、ノイズ低減用のシールド部材で弾性部材を保持するので、弾性部材を保持するための専用の部材を設ける構造に比べ、部品点数を削減することができる。
【0029】
また、前記した構成において、前記位置決め部と前記開口の縁の間には、前記筐体と前記タッチパネルユニットの未反応部との隙間を埋めるシール部材が設けられているのが望ましい。
【0030】
これによれば、筐体とタッチパネルユニットの間に塵埃や水が侵入するのを抑えることができる。
【0031】
また、前記した表示装置は、画像形成装置に用いてもよい。この場合、前記筐体が、前記タッチパネルユニットよりも長尺状に形成される樹脂フレームであると、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0032】
つまり、歪み易い長尺状の樹脂フレームが歪んだ場合であっても、タッチパネルユニットを弾性部材によって移動可能に保持しているので、樹脂フレームとともにタッチパネルユニットが歪むのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、筐体とタッチパネルユニットとの隙間を適正な間隔にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタを示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図3】表示装置を分解して表側から見た分解斜視図である。
【図4】表示装置を分解して裏側から見た分解斜視図である。
【図5】樹脂フレームを裏側から見た斜視図である。
【図6】図2のI−I断面図(a)と、図2のII−II断面図(b)である。
【図7】保持フレームを裏側から見た斜視図である。
【図8】樹脂フレームに裏側カバーを固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
【0036】
以下の説明において、方向は、レーザプリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0037】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、用紙Pを装置本体2内に給紙するためのフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
【0038】
フィーダ部3は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32とを備えている。
【0039】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラTRと、定着装置7とを備えている。
【0040】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
【0041】
プロセスカートリッジ6は、装置本体2の前壁に回動可能に設けられたフロントカバー23で開閉される開口22を通して、装置本体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、ドラムカートリッジ8と、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能となる現像カートリッジ9とを備えている。
【0042】
ドラムカートリッジ8は、静電潜像が形成される感光ドラム81を有する他、図示を省略する公知の帯電器などを有している。
【0043】
現像カートリッジ9は、内部に収容したトナー(現像剤)を感光ドラム81に供給する現像ローラ91や、図示を省略する公知の供給ローラ、層厚規制ブレード、アジテータなどを有している。
【0044】
このプロセスカートリッジ6では、回転する感光ドラム81の表面が、図示せぬ帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0045】
次いで、回転駆動される現像ローラ91によって現像カートリッジ9内のトナーが感光ドラム81の静電潜像に供給されて、感光ドラム81の表面上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム81と転写ローラTRの間で用紙Pが搬送されることで、感光ドラム81の表面に担持されているトナー像が用紙P上に転写される。
【0046】
定着装置7は、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向して配置され加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを備えている。そして、この定着装置7では、用紙P上に転写されたトナーを、用紙Pが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着している。
【0047】
なお、定着装置7で熱定着された用紙Pは、定着装置7の下流側に配設される排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に送り出される。
【0048】
<表示装置100の構成>
装置本体2の上壁部の前側には、ユーザによって操作されるアイコン等の画像を表示するための表示装置100が設けられている。表示装置100は、左右方向に長く形成されており、その短手方向が前後方向よりも若干傾くように配置されている。
【0049】
図2および図3に示すように、表示装置100は、主に、筐体の一例としての樹脂フレーム110と、シール部材120と、タッチパネルユニット130と、液晶ユニット140と、シールド部材150と、基板160とを備えている。
【0050】
樹脂フレーム110は、左右方向に延びる長尺状の板状部材であり、タッチパネルユニット130よりも左右方向に長く形成されている。樹脂フレーム110の左右方向中央部には、タッチパネルユニット130の第1面の一例としての表面130Aを外部に露出させるための左右方向に長い矩形の開口111が形成されている。
【0051】
また、樹脂フレーム110の開口111を挟んだ左右両側には、テンキーTKや複数のボタンスイッチBSを外部に露出させるための複数の孔112が形成されている。さらに、樹脂フレーム110の右側部分のテンキーTK用の孔112が形成される部位は、他の部位よりも一段下がった形状となっており、その上側には、カバー部材113が設けられている。
【0052】
また、図4および図5に示すように、樹脂フレーム110の裏側には、タッチパネルユニット130の後述する反応部A1(図3参照)とは異なる未反応部に接触する位置決め部の一例としての位置決めリブ114が設けられている。位置決めリブ114は、開口111の縁から離れた位置において、樹脂フレーム110からタッチパネルユニット130側に向けて突出し、開口111の縁に沿って延びるように形成されている。
【0053】
詳しくは、位置決めリブ114は、開口111の短手方向の両側に配置され、タッチパネルユニット130の長手方向の一端から他端に亘って、間隔を空けて複数設けられている。なお、開口111の後側で左右方向に並ぶ複数の位置決めリブ114の間には、タッチパネルユニット130を面方向(前後左右方向)に位置決めする一対の位置決め突起115が設けられている。
【0054】
そして、このように形成される位置決めリブ114に向けて、タッチパネルユニット130の未反応部が、後述する弾性部材の一例としての板バネ151の付勢力によって付勢されるようになっている。
【0055】
これにより、樹脂フレーム110に対してタッチパネルユニット130の表面130Aが正確に位置決めされるので、樹脂フレーム110とタッチパネルユニット130との隙間を適正な間隔にすることが可能となっている。すなわち、隙間が広すぎることによって樹脂フレーム110とタッチパネルユニット130との間に塵埃が侵入する問題や、隙間が狭すぎることによって樹脂フレーム110とタッチパネルユニット130の反応部A1とが誤って接触してしまう問題を抑えることが可能となっている。
【0056】
図3または図4に示すように、シール部材120は、樹脂フレーム110とタッチパネルユニット130の未反応部との隙間を埋めるためのゴム等からなる部材であり、開口111を囲う矩形の枠状に形成されている。詳しくは、シール部材120は、位置決めリブ114と開口111の縁の間に設けられている。これにより、樹脂フレーム110とタッチパネルユニット130の間に塵埃や水が侵入するのを抑えることが可能となっている(図6参照)。
【0057】
タッチパネルユニット130は、表面130Aの反応部A1への接触により入力操作が行われるものであり、樹脂フレーム110の開口111に表面130Aを臨ませて配置されている。具体的に、タッチパネルユニット130は、左右方向に長い矩形のタッチパネル131と、タッチパネル131の外周縁を保持する金属枠132と、を備えている。
【0058】
タッチパネル131は、左右方向に長い矩形の反応部材131Aと、反応部材131Aの外縁部を支持する支持枠131Bと、反応部材131Aの表面を覆う保護シート131Cとを備えている。
【0059】
反応部材131Aは、当該反応部材131Aに物体が接触した位置を検出する部材であり、樹脂フレーム110の開口111よりも面方向で大きく形成されている。なお、反応部材131Aとしては、抵抗膜方式や表面弾性波方式などの様々な方式のものを採用することができる。
【0060】
支持枠131Bは、矩形の枠状の部材であり、その内側で反応部材131Aを支持している。保護シート131Cは、反応部材131Aよりも面方向に大きく形成されており、反応部材131Aと支持枠131Bとに跨るように貼り付けられている。すなわち、保護シート131Cのうち反応部材131Aの範囲が反応部A1となっている。
【0061】
そして、反応部材131Aと保護シート131Cは、裏側に配置される液晶ユニット140の画面141Aを透過させるように構成されている。これにより、ユーザが裏側の液晶ユニット140の画面141Aに映し出されるアイコンを見ながら、アイコンに従ってタッチパネルユニット130を操作することが可能となっている。
【0062】
反応部A1は、樹脂フレーム110の開口111よりも面方向で大きく形成されている。これにより、ユーザの操作領域を開口111の縁まで目一杯広げることができ、操作性を向上させることが可能となっている。
【0063】
金属枠132は、矩形の枠状の金属部材であり、支持枠131Bの外縁部に固定されている。金属枠132の後部には、樹脂フレーム110の一対の位置決め突起115に係合する2つの位置決め孔132A,132Bが形成されている。なお、2つの位置決め孔132A,132Bのうち一方の位置決め孔132Aは、金属枠132の長手方向の線膨張を吸収するための長孔となっている。そして、この金属枠132(反応部A1ではない未反応部)は、位置決めリブ114に接触するように配置されている(図6参照)。
【0064】
金属枠132の左後方には、下側に延び、下端部にネジ穴132C(図4参照)を有する延出部132Dが備えられている。この延出部132Dは、シールド部材150と一緒に樹脂フレーム110に固定される。シールド部材150と延出部132Dとを接触させることで、開口111の外側から侵入してくる静電気がタッチパネル131や液晶パネル141に伝達しないようにアースを取ることができる。
【0065】
液晶ユニット140は、画像表示部の一例としての液晶パネル141と、液晶パネル141を保持する保持フレーム142とを備えている。
【0066】
液晶パネル141は、左右方向に長い矩形の部材であり、画像を表示する画面141Aを有し、当該画面141Aがタッチパネルユニット130の第2面の一例としての裏面130Bに対向するように配置されている。液晶パネル141は、タッチパネル131の反応部A1(金属枠132の内縁)と面方向において略同じ大きさで形成されている。
【0067】
このように液晶パネル141を反応部A1と略同じ大きさに形成することで、画面141Aに表示するアイコンを、樹脂フレーム110の開口111の縁まで表示させることが可能となるので、アイコンを大きくして見やすくすることが可能となっている。
【0068】
保持フレーム142は、樹脂で形成される左右方向に長い矩形の板状部材であり、液晶パネル141よりも面方向に大きく形成されている。保持フレーム142は、図6(a)に示すように、その表面側で液晶パネル141を保持し、その表面のうち液晶パネル141よりも外側の部位が金属枠132に接触している。
【0069】
保持フレーム142は、図5に示す樹脂フレーム110に設けられたリブ117,118によって、樹脂フレーム110に対して位置決めされる。リブ117は、開口111の左側に2つと右側に2つ備えられており、リブ118は、開口111の前側に2つと後側に2つ備えられている。保持フレーム142は前後左右の端部をリブ117,118に接触させることで位置決めされている。
【0070】
そして、保持フレーム142は、図6(a)に示すように、その裏面側が板バネ151に接触して当該板バネ151によって樹脂フレーム110側に付勢されるようになっている。これにより、板バネ151の付勢力が、保持フレーム142および金属枠132を介して位置決めリブ114に伝達されるので、タッチパネル131や液晶パネル141に付勢力がかかるのを抑えることが可能となっている。
【0071】
図3または図4に示すように、基板160は、タッチパネル制御基板161と、テンキー用基板162と、ボタンスイッチ用基板163とを備えている。
タッチパネル制御基板161は、その上部にASICなどの電子部品が備えられており、シールド部材150の裏側にネジ止めされる。タッチパネル制御基板161は、タッチパネル131と液晶パネル141にフレキシブルケーブル165で接続されており、タッチパネル131が操作された信号はフレキシブルケーブル165によってタッチパネル制御基板161に伝達される。
テンキー用基板162と、ボタンスイッチ用基板163は、テンキーTKとボタンスイッチBSの下にそれぞれ備えられ、フレキシブルケーブル166によってタッチパネル制御基板161に接続されている。
【0072】
シールド部材150は、タッチパネルユニット130とタッチパネル制御基板161とから発生するノイズを抑えるための板金状の部材であり、タッチパネルユニット130および液晶ユニット140を裏側(タッチパネルユニット130の表面130Aの反対側)から覆い、タッチパネル制御基板161のASICが配置されている側の面に対向するように配置されている。シールド部材150は、左右方向に長く形成されており、6つの板バネ151を保持した状態で、樹脂フレーム110の複数の取付ボス116に複数のネジSによって固定されている。
【0073】
これにより、タッチパネルユニット130から発生するノイズとタッチパネル制御基盤161上のASICなどから発生する放射ノイズをシールド部材150で抑えることが可能になるとともに、ノイズ低減用のシールド部材150で板バネ151を保持するので、板バネ151を保持するための専用の部材を設ける構造に比べ、部品点数を削減することが可能となっている。
【0074】
6つの板バネ151は、シールド部材150の左右方向の両端部と当該両端部の間の中間部において、シールド部材150の短手方向(略前後方向)に間隔を空けて並ぶように一対ずつ設けられている。言い換えると、略前後方向に間隔を空けて並ぶ各一対の板バネ151は、保持フレーム142の左右方向の両端部と当該両端部の間の中間部に対向するように配置され、保持フレーム142の両端部と中間部とを押圧するように構成されている。
【0075】
そして、各板バネ151は、図6(a)に示すように、シールド部材150の短手方向に延びる基部151Aと、基部151Aから保持フレーム142に向けて延びる変形部151Bとを有している。そして、各板バネ151は、基部151Aがシールド部材150に係合して固定され、変形部151Bの先端部151Cが保持フレーム142に接触している。詳しくは、各板バネ151の先端部151Cは、保持フレーム142のうち液晶パネル141の画面141Aよりも外側の部位に接触している。
【0076】
これにより、各板バネ151が、保持フレーム142のうち液晶パネル141の画面141Aよりも外側の部位を付勢するので、画面141Aに負荷がかかるのを抑えることが可能となっている。
【0077】
より詳しくは、各板バネ151の先端部151Cは、断面視U字状に折り曲げられており、その屈曲部分が、保持フレーム142の裏面の短手方向の両端部に形成される溝142A内に入り込んでいる。各溝142Aは、図7に示すように、保持フレーム142の左右方向の一端側から他端側に亘って形成され、その底面の適所には、左右方向において間隔を空けて設けられる4つの突起142Bが形成されている。
【0078】
そして、図6(a)に示すように、シールド部材150の中間部に配置された一対の板バネ151の先端部151Cは、各溝142Aの突起142Bが形成されていない底面に接触している。また、シールド部材150の両端部に配置された各一対の板バネ151の先端部151Cは、図6(b)に示すように、それぞれ突起142Bに接触している。
【0079】
これにより、シールド部材150を樹脂フレーム110に固定させると、両端部と中間部とで板バネ151の変形量が変わり、両端部に配置された各一対の板バネ151の付勢力が、中間部に配置された一対の板バネ151の付勢力よりも大きくなるようになっている。したがって、タッチパネル131の左右方向の端部を押しても大きな付勢力によってタッチパネル131の端部の移動が規制されるので、タッチパネル131の端部の沈み込みが抑えられ、タッチパネル131と樹脂フレーム110との間に隙間が生じるのを抑えることが可能となっている。
【0080】
すなわち、タッチパネル131の端部を押す場合には、当該端部に対応した一対の板バネ151の付勢力だけが働き、その他の板バネ151の付勢力が働き難いので、当該一方の一対の板バネ151の付勢力が弱いと、沈み込みが発生してしまうが、本実施形態では、この問題を解決することが可能となっている。なお、タッチパネル131の中間部を押す場合には、中間部に配置された一対の板バネ151の付勢力に加え、両端部に配置された板バネ151の付勢力が働くため、タッチパネル131の中間部の沈み込みは抑えられる。
【0081】
また、シールド部材150には、図6(a)および図3に示すように、保持フレーム142に当接して、各板バネ151の変形量を規制する4つの当止め部152が設けられている。当止め部152は、シールド部材150の左側に前後に離れるように2つ設けられ、右側に1つ設けられており、保持フレーム142側に向けて切り起こされ、先端が保持フレーム142に近接するように形成されている。
【0082】
これにより、ユーザの操作によりタッチパネル131が沈み込むのをより抑えることが可能となっている。
【0083】
以上によれば、本実施形態において、前述した効果に加え以下に示す効果を得ることができる。
位置決めリブ114を開口111の縁から離れた位置に設けることで、反応部A1を開口111よりも大きくすることができるので、開口111の縁までアイコンを表示させることができる。
【0084】
位置決めリブ114が樹脂フレーム110から突出するように形成されているので、位置決め部を突出させない構造に比べ、位置決めリブ114の先端面(タッチパネルユニット130との当接面)の位置精度を向上させることができ、樹脂フレーム110に対するタッチパネルユニット130の位置決め精度を向上させることができる。
【0085】
位置決めリブ114を開口111の縁に沿って延びるように形成したので、当該位置決めリブ114によって開口111の周囲を補強することができる。
【0086】
歪み易い長尺状の樹脂フレーム110が歪んだ場合であっても、タッチパネルユニット130を板バネ151によって移動可能に保持しているので、樹脂フレーム110とともにタッチパネルユニット130が歪むのを抑えることができる。
【0087】
位置決めリブ114が、開口111の短手方向の両側に配置され、タッチパネルユニット130の長手方向の一端から他端に亘って、間隔を空けて複数設けられることで、位置決めリブ114によってタッチパネルユニット130を長手方向でバランスよく支えることができるので、板バネ151からの付勢力によるタッチパネルユニット130の変形を抑えることができる。
【0088】
両端部と中間部にある各一対の板バネ151を保持フレーム142の形状の異なる部位(溝142Aの底面または突起142B)に選択的に接触させることで、両端部と中間部とで付勢力を異なるようにしたので、すべての板バネ151を同一部品(同一形状・材質)で構成することができ、コストを低減することができる。
【0089】
支持枠131Bの外周縁を金属枠132で保持しているため、ユーザがタッチパネル131を操作するときに、開口111から樹脂フレーム110内に侵入してくる静電気を金属枠132によってシールド部材150に逃がすことができる。これにより、液晶パネル141やタッチパネル131が静電気によって故障してしまうことを抑制できる。
【0090】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、板バネ151が保持フレーム142を介してタッチパネルユニット130(金属枠132)を位置決めリブ114に向けて付勢するように構成したが、本発明はこれに限定されず、弾性部材によってタッチパネルユニットを直接付勢するように構成してもよい。
【0091】
ただし、タッチパネルユニットを直接弾性部材で付勢する構造では、保持フレームをタッチパネルユニットとは別の部材に保持させる必要があり、画像表示部とタッチパネルユニットの位置関係が適正にならない場合があるが、前記実施形態の構造では、画像表示部とタッチパネルユニットとを適正な位置関係にすることができる。
【0092】
なお、保持フレームを介してタッチパネルユニットを付勢する構造としては、前記実施形態のように金属枠132と保持フレーム142とを接触させる構造に限らず、例えば、保持フレームとタッチパネルを接触させる構造であってもよい。なお、この場合、金属枠を設けずに、タッチパネルの非反応部を位置決め部に当接させてもよい。
【0093】
前記実施形態では、当止め部152を保持フレーム142に当接させたが、本発明はこれに限定されず、例えば、当止め部をタッチパネルユニットや弾性部材に当接させてもよい。
【0094】
前記実施形態では、当止め部152や板バネ151をシールド部材150に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば、前記実施形態におけるタッチパネル制御基板に当止め部等を設けてもよいし、筐体が保持フレームの裏側まで回り込む形状の場合には、当該筐体に当止め部等を設けてもよい。
【0095】
前記実施形態では、位置決め部として位置決めリブ114を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばピン状の突起などであってもよい。
【0096】
前記実施形態では、弾性部材として板バネ151を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば線バネ、トーションバネ、コイルバネなどであってもよい。
【0097】
前記実施形態では、レーザプリンタ1の操作を行うための表示装置100に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、レーザプリンタ1以外の画像形成装置(複写機や複合機等)、家電製品、ファクシミリ装置、ポータブルコンピュータ等の表示装置に本発明を適用してもよい。
【0098】
前記実施形態では、画像表示部として液晶パネル141を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば有機ELディスプレイなどであってもよい。
【0099】
前記実施形態では、すべての板バネ151を同一部品で構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば両端部の板バネと中間部の板バネの材質を変更することで付勢力が異なるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
100 表示装置
110 樹脂フレーム
111 開口
114 位置決めリブ
130 タッチパネルユニット
130A 表面
131 タッチパネル
132 金属枠
140 液晶ユニット
150 シールド部材
151 板バネ
A1 反応部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
前記開口に第1面を臨ませて配置され、当該第1面の反応部への接触により入力操作が行われるタッチパネルユニットと、
前記筐体に設けられ、前記タッチパネルユニットの前記反応部とは異なる未反応部に接触する位置決め部と、
前記タッチパネルユニットを前記位置決め部に向けて付勢する弾性部材とを備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記開口の縁から離れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記タッチパネルユニットに向けて突出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記開口の縁に沿って延びるリブ状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記タッチパネルユニットの第1面とは反対側の第2面に対向し、画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部を保持する保持フレームと、を備え、
前記弾性部材は、前記保持フレームを介して前記タッチパネルユニットを付勢するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記タッチパネルユニットは、
前記第1面を有するタッチパネルと、
前記タッチパネルの外周縁を保持する金属枠と、を備え、
前記金属枠が前記位置決め部に付勢されていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記金属枠と前記保持フレームが接触していることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記弾性部材は、前記画像表示部の画面よりも外側を付勢するように複数設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の弾性部材は、前記保持フレームの両端部と当該両端部の間の中間部とに配置され、
両端部に配置された弾性部材の付勢力が中間部に配置された弾性部材の付勢力よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記タッチパネルユニット、前記保持フレームまたは前記弾性部材に当接して、前記弾性部材の変形量を規制する当止め部が設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記タッチパネルユニットの前記第1面の反対側には、当該タッチパネルユニットを覆う板金状のシールド部材が設けられ、
前記シールド部材は、前記弾性部材を保持した状態で、前記筐体に固定されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記位置決め部と前記開口の縁の間には、前記筐体と前記タッチパネルユニットの未反応部との隙間を埋めるシール部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の表示装置を備えた画像形成装置であって、
前記筐体が、前記タッチパネルユニットよりも長尺状に形成される樹脂フレームであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−77185(P2013−77185A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216847(P2011−216847)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】