説明

表示装置および表示プログラム

【課題】 手書きオブジェクトの入力位置を効果的に案内することを可能にした上で、手書き入力されたオブジェクトを視認しやすくすることができる表示装置および表示プログラムを提供する。
【解決手段】 表示装置1では、格子画像表示部622は、基準オブジェクト92に対応する入力面21に対する入力操作終了後に、入力面21に対する入力操作の開始点931が指示された場合に、格子画像94を生成し、生成した格子画像94を表示面31に表示させる。そして、格子画像非表示部623は、計時部616により計時された待機時間が予め定める時間以上となった場合に、表示面31に表示されている格子画像94を非表示にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルと一体的に形成されたタッチパネルに手書きで入力されたオブジェクトを、表示パネルに表示することができる表示装置および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子黒板システム、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末、電子手帳などには、液晶ディスプレイなどの表示パネルと、この表示パネルと一体的に形成されたタッチパネルとを含んで構成される、手書きで入力されたオブジェクト(文字や図形など)を表示可能な表示装置が備えられている。表示装置では、タッチパネルに対する入力操作によりオブジェクトを手書き入力することによって、この手書き入力の入力座標データに基づく軌跡が表示パネルに表示される。
【0003】
このような表示装置において、手書きのオブジェクトを歪まず真っすぐに入力するのを案内するために、文字の入力位置の目安となるグリッド(格子状の罫線)、罫線、マス目などを表示パネルに表示させる技術が提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、手書き入力されたオブジェクトの位置に対応し、そのオブジェクトの大きさに対応した間隔で、表示パネルの全面に罫線を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−115379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、表示パネルの全面に表示された罫線は、手書き入力の軌跡とは無関係であり、視覚のノイズとなってしまうので、手書き入力されたオブジェクトを視認しにくくなってしまう。
【0007】
したがって本発明の目的は、手書きオブジェクトの入力位置を効果的に案内することを可能にした上で、手書き入力されたオブジェクトを視認しやすくすることができる表示装置、および表示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、X軸およびY軸を座標軸とする直交座標が設定された手書き入力するための入力面を有し、該入力面に対する入力操作によって指示された点の位置を表す座標データを出力する入力部と、
前記入力面に対向する表示面を有し、前記入力部から出力される座標データに基づいて、前記入力面に対する手書き入力の軌跡を前記表示面に表示する表示部と、
前記入力部から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、任意の形状のオブジェクトを抽出するオブジェクト抽出部と、
前記オブジェクト抽出部が抽出したオブジェクトの座標データに基づいて、予め定める条件を満たすオブジェクトを基準オブジェクトと判別する基準オブジェクト判別部と、
前記基準オブジェクトに対応する前記入力面に対する入力操作終了後に、前記入力面に対する入力操作の開始点が指示された場合に、X軸に平行で等間隔に配列する複数の第1罫線と、Y軸に平行で等間隔に配列する複数の第2罫線とが直交してなる格子状の格子画像を生成し、生成した格子画像を前記表示面に表示させる格子画像表示部と、
前記入力面に対する入力操作が行われているか否かを判定し、入力操作が行われていない期間を入力操作の待機時間として計時する計時部と、
前記格子画像が前記表示面に表示された状態で、前記計時部により計時された待機時間が予め定める時間以上となった場合に、前記表示面に表示されている格子画像を非表示にする格子画像非表示部と、を含むことを特徴とする表示装置である。
【0009】
また本発明の表示装置は、前記基準オブジェクトの座標データに基づいて、該基準オブジェクトにおけるX軸およびY軸の座標軸についての最大座標値と最小座標値とを算出する基準オブジェクト座標値算出部と、
前記基準オブジェクト座標値算出部による算出結果を用いて、前記基準オブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズを算出する基準オブジェクトサイズ算出部と、をさらに含み、
前記格子画像表示部は、隣接する前記第1罫線間の第1間隔と、隣接する前記第2罫線間の第2間隔とが、前記基準オブジェクトサイズ算出部による算出結果に基づいたサイズとなる格子画像を生成し、生成した格子画像を前記表示面に表示させることを特徴とする。
【0010】
また本発明の表示装置において、前記格子画像表示部は、前記第1および第2間隔が、前記基準オブジェクトサイズ算出部が算出した、前記基準オブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズのうち、大きい方のサイズと一致するような格子画像を生成し、生成した格子画像を、前記第1および第2罫線が前記基準オブジェクトと重ならないように前記表示面に表示させることを特徴とする。
【0011】
また本発明の表示装置において、前記オブジェクト抽出部は、前記入力面に対して入力操作が開始されてから予め定める時間内に手書き入力された軌跡に対応する座標データに基づいて、前記オブジェクトを抽出することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、入力部および表示部を備えるコンピュータを、前記表示装置として機能させることを特徴とする表示プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示装置は、入力部の入力面に対するユーザの入力操作により、文字や図形などのオブジェクトを手書き入力することによって、この手書き入力の座標データに基づくオブジェクトの軌跡を表示部の表示面に表示する装置である。さらに、表示装置は、オブジェクト抽出部と、基準オブジェクト判別部と、格子画像表示部と、計時部と、格子画像非表示部とを備える。
【0014】
オブジェクト抽出部は、入力部から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、任意の形状のオブジェクトを抽出する。基準オブジェクト判別部は、オブジェクト抽出部が抽出したオブジェクトの座標データに基づいて、予め定める条件を満たすオブジェクトを基準オブジェクトと判別する。格子画像表示部は、基準オブジェクトに対応する入力面に対する入力操作終了後に、入力面に対する入力操作の開始点が指示された場合に、格子画像を生成する。この格子画像は、X軸に平行で等間隔に配列する複数の第1罫線と、Y軸に平行で等間隔に配列する複数の第2罫線とが直交してなる格子状の画像である。そして、格子画像表示部は、生成した格子画像を表示面に表示させる。
【0015】
このように構成される表示装置では、ユーザが基準オブジェクトを入力面に手書き入力した後に、次のオブジェクトの手書き入力を開始すると、格子画像が表示面に表示されるので、その格子画像の第1罫線または第2罫線に沿って手書き入力することができる。このようにして、表示装置は、手書きオブジェクトの入力位置を効果的に案内することができる。
【0016】
さらに、本発明の表示装置では、計時部が、入力面に対する入力操作が行われているか否かを判定し、入力操作が行われていない期間を入力操作の待機時間として計時する。そして、格子画像非表示部は、格子画像が表示面に表示された状態で、計時部により計時された待機時間が予め定める時間以上となった場合に、表示面に表示されている格子画像を非表示にする。
【0017】
このように構成される表示装置では、予め定める時間以上の期間、入力面に対する入力操作が行われない場合に、格子画像非表示部が、現在表示面に表示されている格子画像を非表示にするので、ユーザが表示面に表示されているオブジェクトを視認するときに、格子画像が視覚のノイズとなってしまうのを防止することができ、手書き入力されたオブジェクトを視認しやすくすることができる。
【0018】
また本発明によれば、表示装置は、基準オブジェクト座標値算出部と、基準オブジェクトサイズ算出部とをさらに含んで構成される。基準オブジェクト座標値算出部は、基準オブジェクトの座標データに基づいて、該基準オブジェクトにおけるX軸およびY軸の座標軸についての最大座標値と最小座標値とを算出する。基準オブジェクトサイズ算出部は、基準オブジェクト座標値算出部による算出結果を用いて、基準オブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズを算出する。そして、格子画像表示部は、隣接する第1罫線間の第1間隔と、隣接する第2罫線間の第2間隔とが、基準オブジェクトサイズ算出部による算出結果に基づいたサイズとなる格子画像を生成し、生成した格子画像を表示面に表示させる。このようにして、表示装置は、第1間隔および第2間隔が、基準オブジェクトのサイズに応じて設定された格子画像を、表示面に表示させることができる。
【0019】
また本発明によれば、格子画像表示部は、第1間隔および第2間隔が、基準オブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズのうち、大きい方のサイズと一致するような格子画像を生成する。そして、格子画像表示部は、生成した格子画像を、第1罫線および第2罫線が基準オブジェクトに重ならないように表示面に表示させる。このように構成される表示装置では、ユーザが、格子画像における第1間隔および第2間隔を所望の値に設定するような操作を行わなくても、第1間隔および第2間隔が基準オブジェクトのサイズに基づいて設定された格子画像を、第1罫線および第2罫線が基準オブジェクトに重ならないように表示面に表示させることができる。
【0020】
また本発明によれば、オブジェクト抽出部は、入力面に対して入力操作が開始されてから予め定める時間内に手書き入力された軌跡に対応する座標データに基づいて、オブジェクトを抽出する。このようにして、表示装置は、文字や図形などの任意の形状のオブジェクトを抽出することができる。
【0021】
また本発明によれば、表示プログラムは、入力部および表示部を備えるコンピュータを、前記表示装置として機能させるためのプログラムである。このような表示プログラムは、手書きオブジェクトの入力位置を効果的に案内することを可能にした上で、手書き入力されたオブジェクトを視認しやすくすることができる表示処理を、ソフトウェアで制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態である表示装置1の外観を模式的に示す図である。
【図2】表示装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】表示装置1の動作を示すフローチャートである。
【図4】表示装置1における描画処理の手順を示すフローチャートである。
【図5A】表示装置1の動作を説明するための図である。
【図5B】表示装置1の動作を説明するための図である。
【図5C】表示装置1の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態である表示装置1の外観を模式的に示す図である。図2は、表示装置1の構成を示すブロック図である。表示装置1は、入力部である透明なタッチパネル2と、表示部であるディスプレイ3と、タッチパネルデータ処理部4と、表示データ処理部5と、入力制御部61および表示制御部62を含む制御手段であるCPU6と、演算部7と、記憶部8とを含んで構成される。表示装置1は、タッチパネル2に対する入力操作により、文字や図形などのオブジェクトを手書き入力することによって、この手書き入力の座標データに基づく軌跡がディスプレイ3に表示される装置である。
【0024】
ディスプレイ3は、たとえば液晶ディスプレイによって構成され、表示面31を有する。ディスプレイ3は、後述する表示制御部62から受け取る情報を表示面31に表示する。
【0025】
タッチパネル2は、X軸およびY軸を座標軸とする直交座標が設定された入力面21を有し、ディスプレイ3の表示面31上に積層されて、ディスプレイ3と一体的に形成されている。ディスプレイ3の表示面31は、タッチパネル2の入力面21と対向し、入力面21と同様の直交座標が設定される。本実施形態では、ディスプレイ3の表示面31およびタッチパネル2の入力面21に設定される直交座標は、表示面31および入力面21に向かって左上の頂点を原点とし、右方向をX軸の正方向、下方向をY軸の正方向とするXY直交座標である。
【0026】
タッチパネルデータ処理部4は、タッチパネルドライバによって実現され、表示データ処理部5は、表示ドライバによって実現される。
【0027】
CPU6は、入力制御部61と表示制御部62とを含んで構成される。入力制御部61は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作を検出する。入力制御部61は、位置検出部611、コマンド検出部612、接触検出部613、オブジェクト抽出部614、基準オブジェクト判別部615、および計時部616を含んで構成される。
【0028】
位置検出部611は、タッチパネル2の入力面21のうち、タッチペン91などが接触した位置を検出する。そして、位置検出部611は、入力面21に対するタッチペン91などによる入力操作によって指示された点の位置を表す座標データであって、タッチパネル2から出力される座標データを取得する。
【0029】
コマンド検出部612は、ディスプレイ3の表示面31に表示されている操作パネル311における複数のコマンド制御アイコンの中から、タッチペン91などによって選択されたコマンド制御アイコンに対応するコマンドを検出する。本実施形態では、操作パネル311は、表示面31のX軸方向左端部の領域に設けられる。操作パネル311には、文字や図形のオブジェクトを描画するための「ペン」としての機能を発揮させるときに選択されるペンアイコン、「消しゴム」としての機能を発揮させるときに選択される消しゴムアイコン、およびグリッド設定アイコン3111などのコマンド制御アイコンが配置されている。グリッド設定アイコン3111は、後述する格子画像94を表示面31に表示させるときに選択されるコマンド制御アイコンである。
【0030】
また、表示面31のY軸方向下端部には、シート一覧表示領域312が形成されている。本実施形態では、タッチパネル2の入力面21における描画エリアに対応する、ディスプレイ3の表示面31における表示エリアに、複数の画像を切替えて表示可能になっている。シート一覧表示領域312には、複数のシート選択キー3123が整列配置されており、任意のシート選択キー3123を操作することによって、そのシート選択キー3123に対応した画像を切替えて表示することができる。
【0031】
なお、シート一覧表示領域312には、矢印キー3121と非表示選択キー3122とが配置されており、矢印キー3121を操作することによって、シート選択キー3123の表示をスクロールすることができ、非表示選択キー3122を操作することによって、シート一覧表示領域312を非表示にすることができる。
【0032】
また、表示面31に向かって右上の端部には、スクロールキー313が配置されており、このスクロールキー313を操作することによって、表示面31に表示されている画像をX軸方向にスクロールすることができる。
【0033】
接触検出部613は、タッチペン91などがタッチパネル2に接触しているか否か、すなわち、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作が行われているか否かを検出する。
【0034】
オブジェクト抽出部614は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作によって、タッチパネル2から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて任意の形状のオブジェクトを認識し、認識したオブジェクトごとの代表座標データ(本実施形態では、オブジェクトの軌跡に対応する全座標データ)を抽出する。オブジェクト抽出部614は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作が開始されてから予め定める時間(継続タッチ時間)内に手書き入力された軌跡に対応する座標データに基づいて、オブジェクトを認識し、その認識したオブジェクトごとの座標データを抽出する。なお、オブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクトごとの座標データは、後述するタッチパネル入力座標記憶部812に記憶される。
【0035】
基準オブジェクト判別部615は、オブジェクト抽出部614にて抽出したオブジェクトのうち、所定の条件を満たすオブジェクトを基準オブジェクトとして判別する。この基準オブジェクト判別部615が判別した基準オブジェクトは、後述する格子画像表示部622が生成する格子画像94における基本セル943の基点となるオブジェクトとなる。具体的には、基準オブジェクト判別部615は、タッチペン91によってグリッド設定アイコン3111が操作されたことをコマンド検出部612が検出した後において、タッチパネル2の入力面21に対する最初の手書き入力である場合の入力オブジェクトを、基準オブジェクトと判別する。
【0036】
計時部616は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作が開始されてからの経過時間を計時する。また、計時部616は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作が行われているか否かを判定し、入力操作が行われていない期間を入力操作の待機時間として計時する。
【0037】
表示制御部62は、ディスプレイ3に情報を表示するための制御を行う。表示制御部62は、軌跡表示制御部621、格子画像表示部622、および格子画像非表示部623を含んで構成される。
【0038】
軌跡表示制御部621は、タッチパネル2の入力面21に入力される手書き入力の座標データをディスプレイ3に送信し、この座標データに基づいた手書き入力の軌跡をディスプレイ3の表示面31に表示させる。
【0039】
格子画像表示部622は、基準オブジェクト判別部615が判別した基準オブジェクトに対応する入力面21に対する入力操作終了後に、入力面21に対する入力操作の開始点が指示された場合に、格子画像94を生成する。この格子画像94は、X軸に平行で等間隔に配列する複数の第1罫線941と、Y軸に平行で等間隔に配列する複数の第2罫線942とが直交してなる格子状の画像である。換言すれば、この格子画像94は、隣接する2本の第1罫線941と、隣接する2本の第2罫線942とによって囲まれた領域を基本セル943として、該基本セル943が複数整列して配置される格子状の画像である。
【0040】
本実施形態では、格子画像表示部622が生成する格子画像94は、隣接する第1罫線941間の第1間隔GW1と、隣接する第2罫線942間の第2間隔GW2とは同じに設定され、すなわち、基本セル943が正方形状に形成される。そして、格子画像表示部622は、生成した格子画像94を表示面31に表示させる。
【0041】
このように構成される表示装置1では、ユーザが基準オブジェクトを入力面21に手書き入力した後に、次のオブジェクトの手書き入力を開始すると、格子画像94が表示面31に表示されるので、その格子画像94の第1罫線941または第2罫線942に沿って手書き入力することができる。このようにして、表示装置1は、手書きオブジェクトの入力位置を効果的に案内することができる。
【0042】
格子画像非表示部623は、表示面31に格子画像94が表示された状態で、計時部616により計時された待機時間が予め定める時間以上となった場合に、表示面31に表示されている格子画像94を非表示にする。
【0043】
このように構成される表示装置1では、予め定める時間以上の期間、入力面21に対する入力操作が行われない場合に、格子画像非表示部623が、現在表示面31に表示されている格子画像94を非表示にするので、ユーザが表示面31に表示されているオブジェクトを視認するときに、格子画像94が視覚のノイズとなってしまうのを防止することができ、手書き入力されたオブジェクトを視認しやすくすることができる。
【0044】
演算部7は、基準オブジェクト座標値算出部71、基準オブジェクトサイズ算出部72、および基本セル基点座標算出部73を含む。
【0045】
基準オブジェクト座標値算出部71は、基準オブジェクト判別部615が判別した基準オブジェクトの座標データに基づいて、基準オブジェクトにおけるX軸およびY軸についての最大座標値と最小座標値とを算出する。なお、基準オブジェクト座標値算出部71が算出した算出結果は、後述するオブジェクト表示情報記憶部814に記憶される。
【0046】
基準オブジェクトサイズ算出部72は、基準オブジェクト座標値算出部71による算出結果を用いて、基準オブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズを算出する。具体的には、基準オブジェクトサイズ算出部72は、基準オブジェクトのX軸についての最大座標値と最小座標値の差をとることによって、基準オブジェクトにおけるX軸方向のサイズ(Xサイズ)を算出し、基準オブジェクトのY軸についての最大座標値と最小座標値の差をとることによって、基準オブジェクトにおけるY軸方向のサイズ(Yサイズ)を算出する。なお、基準オブジェクトサイズ算出部72が算出した算出結果は、後述するオブジェクト表示情報記憶部814に記憶される。
【0047】
基本セル基点座標算出部73は、基準オブジェクト座標値算出部71による算出結果、および基準オブジェクトサイズ算出部72による算出結果を用いて、格子画像94における基本セル943の基点となる座標を算出する。ここで、格子画像94を構成する1つの基本セル943が、基準オブジェクト判別部615により判別された基準オブジェクトを取囲むように格子画像94の表示がなされることを想定し、該1つの基本セル943におけるX軸およびY軸についての最小座標値で表される頂点(基本セル943の左上頂点に相当)が、基本セル943の基点となる。すなわち、基準オブジェクトを取囲む基本セル943における4つの頂点のうち、基準オブジェクトにおけるX軸およびY軸についての最小座標値で表される基準オブジェクト基準点(基準オブジェクトの外接矩形の左上頂点に相当)に最も近接する頂点が、基本セル943の基点となる。基本セル基点座標算出部73による、具体的な座標算出方法については、後述する。なお、基本セル基点座標算出部73が算出した算出結果は、後述する格子画像情報記憶部815に記憶される。
【0048】
記憶部8は、たとえば半導体メモリあるいはハードディスク装置などの記憶装置を含んで構成され、第1記憶部81と第2記憶部82とを含む。
【0049】
第1記憶部81は、表示装置1におけるワーキングメモリとしての機能を有する。第1記憶部81は、ディスプレイ表示情報記憶部811、タッチパネル入力座標記憶部812、操作パネル表示情報記憶部813、オブジェクト表示情報記憶部814、および格子画像情報記憶部815を含む。
【0050】
ディスプレイ表示情報記憶部811は、ディスプレイ3に表示されている表示情報を記憶する。タッチパネル入力座標記憶部812は、タッチパネル2の入力面21に手書き入力されたオブジェクトの座標データを記憶する。操作パネル表示情報記憶部813は、操作パネル311に配置される各コマンド制御アイコンの画像を表す操作パネル画像情報、各コマンド制御アイコンの表示面31上における座標情報などの情報を記憶する。
【0051】
オブジェクト表示情報記憶部814は、オブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクトにおけるX軸およびY軸についての最小座標値で表されるオブジェクト基準点(各オブジェクトの外接矩形の左上頂点に相当)の座標、および、オブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズに関する情報を記憶する。
【0052】
格子画像情報記憶部815は、格子画像94における第1罫線941間の第1間隔GW1および第2罫線942間の第2間隔GW2のサイズ(基本セル943の一辺のサイズ)、および、前述した基本セル943の基点の座標に関する格子画像情報を記憶する。
【0053】
第2記憶部82は、ソフトウェア記憶部821、ドライバ記憶部822、および継続タッチ判定時間記憶部823を含む。
【0054】
ソフトウェア記憶部821は、表示装置1を動作させるためのソフトウェアを記憶する。ドライバ記憶部822は、タッチパネルデータ処理部4を実現するタッチパネルドライバと、表示データ処理部5を実現する表示ドライバとを記憶する。継続タッチ判定時間記憶部823は、オブジェクト抽出部614がオブジェクトを認識するときに用いられる、前述した継続タッチ時間を記憶する。
【0055】
次に、本実施形態の表示装置1の動作について説明する。図3は、表示装置1の動作を示すフローチャートである。図4は、表示装置1における描画処理の手順を示すフローチャートである。図5A,5B,5Cは、表示装置1の動作を説明するための図である。以下の説明では、タッチパネル2の入力面21およびディスプレイ3の表示面31に設定される直交座標は、入力面21および表示面31に向かって左上の頂点を原点とし、右方向をX軸の正方向、下方向をY軸の正方向とするXY直交座標である。
【0056】
ステップs1では、接触検出部613は、タッチパネル2の入力面21に対して入力操作の開始を表す開始点の指示が入力されたか否かを検出する。接触検出部613が入力操作の開始を検出した場合にはステップs2に進み、入力操作の開始を検出しなかった場合にはステップs1を繰返す。
【0057】
ステップs2では、入力制御部61は、接触検出部613が検出した入力操作の開始点が、入力面21における描画エリア(表示面31における操作パネル311を除く領域に対応する入力面21の領域)に対する入力操作であるか否かを判断する。入力制御部61が描画エリアに対する入力操作であると判断した場合にはステップs3に進み、描画エリアに対する入力操作ではないと判断した場合にはステップs11に進む。
【0058】
ステップs3では、CPU6は、格子画像情報記憶部815に格子画像情報が記憶されているか否かを判断する。
【0059】
CPU6は、ステップs2において、接触検出部613が検出した入力操作が描画エリアに対する入力操作であると判断され、ステップs3において、格子画像情報記憶部815に格子画像情報が記憶されていると判断された場合には、ディスプレイ3の表示面31に格子画像94を表示するための条件が満たされていると判断する。すなわち、CPU6は、格子画像情報記憶部815に格子画像情報が記憶されている場合には、格子画像94における第1罫線941間の第1間隔GW1および第2罫線942間の第2間隔GW2のサイズ(基本セル943の一辺のサイズ)、および、基本セル943の基点944の座標に関する格子画像情報を算出するための、基準オブジェクト92に関する情報(基準オブジェクト92のXサイズX1、YサイズY1、および基準オブジェクト基準点921の座標)が、既に取得されてオブジェクト表示情報記憶部814に記憶されていると判断する。
【0060】
このような場合、ステップs1において接触検出部613が検出した入力操作は、図5A(a)に示すように、グリッド設定アイコン3111が操作され、さらに、図5A(b)に示すように、基準オブジェクト92に対応する入力面21に対する入力操作が終了して表示面31に基準オブジェクト92が表示された後に、入力面21に対する入力の開始点931が指示されてなされた入力操作ということになる。
【0061】
なお、格子画像94における第1罫線941間の第1間隔GW1および第2罫線942間の第2間隔GW2のサイズ(基本セル943の一辺のサイズ)、および、基本セル943の基点944の座標に関する格子画像情報の生成方法については、後述のステップs11〜ステップs23において説明する。
【0062】
また、CPU6は、ステップs2において、接触検出部613が検出した入力操作が描画エリアに対する入力操作であると判断され、ステップs3において、格子画像情報記憶部815に格子画像情報が記憶されていないと判断された場合には、ディスプレイ3の表示面31に格子画像94を表示する必要がないと判断する。このような場合、ステップs1において接触検出部613が検出した入力操作は、グリッド設定アイコン3111が操作されない状態での入力操作ということになる。
【0063】
ステップs3において、CPU6が、格子画像情報記憶部815に格子画像情報が記憶されていると判断した場合にはステップs4に進み、格子画像情報が記憶されていないと判断した場合にはステップs9に進む。
【0064】
ステップs4では、格子画像表示部622は、格子画像情報記憶部815に記憶されている格子画像情報を取出す。そして、次のステップs5では、格子画像表示部622は、取出した格子画像情報に基づいて、格子画像94を生成する。具体的には、格子画像表示部622は、図5B(c)に示すように、格子画像情報に含まれる基本セル943の基点944を表す座標を通る1本の第1罫線941に対して、X軸に平行でY軸方向に第1間隔GW1の等間隔に複数の第1罫線941が配列し、基点944を表す座標を通る1本の第2罫線942に対して、Y軸に平行でX軸方向に第2間隔GW2(=第1間隔GW1)の等間隔に複数の第2罫線942が配列してなる格子画像94を生成する。そして、格子画像表示部622は、生成した格子画像94を表示面31に表示させる。
【0065】
本実施形態の表示装置1では、基準オブジェクト92の表示後に、入力面21に対する入力の開始点931が指示される(ステップs2)と、格子画像94が表示面31に表示されるので、その格子画像94の第1罫線941または第2罫線942に沿って手書き入力することができる。このようにして、表示装置1は、基準オブジェクト92に対する新たな手書きオブジェクトの入力位置を効果的に案内することができる。
【0066】
次に、ステップs6では、図5B(d)に示すように、オブジェクト抽出部614は、基準オブジェクト92の表示後に、入力面21に対する入力の開始点931が指示されてなされた入力操作の軌跡に対応する座標データに基づいて、新たな入力オブジェクト(以下、「新オブジェクト」という)93を抽出する。そして、軌跡表示制御部621は、オブジェクト抽出部614が抽出した新オブジェクト93の座標データをディスプレイ3に送信し、この座標データに基づいて新オブジェクト93をディスプレイ3の表示面31に表示させる。このような、オブジェクト抽出部614と軌跡表示制御部621とによるオブジェクトの描画処理の詳細については、後述する。
【0067】
次に、ステップs7では、オブジェクト表示情報記憶部814は、オブジェクト抽出部614が抽出した新オブジェクト93におけるX軸およびY軸についての最小座標値で表されるオブジェクト基準点(新オブジェクト93の外接矩形の左上頂点に相当)の座標、新オブジェクト93におけるX軸方向のサイズ(Xサイズ)、およびY軸方向のサイズ(Yサイズ)に関する情報を記憶する。
【0068】
次に、ステップs8では、格子画像非表示部623は、表示面31に格子画像94が表示された状態で、計時部616により計時された待機時間が予め定める時間以上となった場合に、図5C(e)に示すように、表示面31に表示されている格子画像94を非表示にする。これによって、予め定める時間以上の期間、入力面21に対する入力操作が行われない場合に、格子画像非表示部623が、現在表示面31に表示されている格子画像94を非表示にするので、ユーザが表示面31に表示されているオブジェクト(図5C(e)では、「A」および「B」の文字からなるオブジェクト)を視認するときに、格子画像94が視覚のノイズとなってしまうのを防止することができ、手書き入力されたオブジェクトを視認しやすくすることができる。
【0069】
なお、表示面31に格子画像94が表示された状態で、グリッド設定アイコン3111が再度操作されることによって、表示面31に表示されている格子画像94を非表示にするようにしてもよい。
【0070】
ステップs8において格子画像94の非表示処理が終了すると、ステップs1に戻り、次の入力操作が行われるまで待機する。
【0071】
また、前述したように、ステップs3において、格子画像情報記憶部815に格子画像情報が記憶されていないと判断され、ステップs1において接触検出部613が検出した入力操作が、グリッド設定アイコン3111が操作されない状態での入力操作であると判断された場合には、ステップs9に進む。
【0072】
このステップs9では、オブジェクト抽出部614は、入力面21に対する入力操作の軌跡に対応する座標データに基づいてオブジェクトを抽出する。そして、軌跡表示制御部621は、オブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクトの座標データをディスプレイ3に送信し、この座標データに基づいてオブジェクトをディスプレイ3の表示面31に表示させる。このような、オブジェクト抽出部614と軌跡表示制御部621とによるオブジェクトの描画処理の詳細については、後述する。
【0073】
次に、ステップs10では、オブジェクト表示情報記憶部814は、オブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクトにおけるX軸およびY軸についての最小座標値で表されるオブジェクト基準点の座標、オブジェクトにおけるX軸方向のサイズ(Xサイズ)、およびY軸方向のサイズ(Yサイズ)に関する情報を記憶する。
【0074】
ステップs10においてオブジェクト表示情報の記憶処理が終了すると、ステップs1に戻り、次の入力操作が行われるまで待機する。
【0075】
また、前述したように、ステップs2において、ステップs1での接触検出部613による検出結果が、入力面21の描画エリアに対する入力操作ではないと判断された場合には、ステップs11に進む。
【0076】
このステップs11では、入力制御部61は、ステップs1での接触検出部613による検出結果が、操作パネル311に配置されるグリッド設定アイコン3111を操作する入力を示すものであるか否かを判断する。入力制御部61がグリッド設定アイコン3111を操作する入力であると判断した場合にはステップs13に進み、グリッド設定アイコン3111を操作する入力ではないと判断した場合にはステップs12に進む。
【0077】
ステップs12では、CPU6は、操作パネル311において、グリッド設定アイコン3111以外のコマンド制御アイコンが操作されたと判断し、その選択されたコマンド制御アイコンに対応した処理を実行する。ステップs12においてコマンド制御アイコンに対応した処理が終了すると、ステップs1に戻り、次の入力操作が行われるまで待機する。
【0078】
ステップs11においてグリッド設定アイコン3111を操作する入力があったと判断された後のステップs13では、CPU6は、格子画像情報記憶部815に格子画像情報が記憶されているか否かを判断する。CPU6が、格子画像情報が記憶されていると判断した場合にはステップs14に進み、格子画像情報が記憶されていないと判断した場合にはステップs15に進む。
【0079】
ステップs14では、CPU6は、格子画像情報記憶部815に、現在記憶されている格子画像情報をクリア(消去)させる。
【0080】
次に、ステップs15では、オブジェクト抽出部614は、タッチパネル2から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、オブジェクトを抽出する。ステップs15においてオブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクトは、グリッド設定アイコン3111が操作された後において、入力面21に対して最初に手書き入力されたオブジェクトである。そのため、基準オブジェクト判別部615は、この入力オブジェクトを、基準オブジェクト92として判別する。そして、軌跡表示制御部621は、オブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクト(基準オブジェクト92)の座標データをディスプレイ3に送信し、この座標データに基づいて基準オブジェクト92をディスプレイ3の表示面31に表示させる。このような、オブジェクト抽出部614と軌跡表示制御部621とによるオブジェクトの描画処理の詳細については、後述する。
【0081】
次に、ステップs16では、オブジェクト表示情報記憶部814は、オブジェクト抽出部614が抽出し、基準オブジェクト判別部615が判別した基準オブジェクト92におけるX軸およびY軸についての最小座標値で表される基準オブジェクト基準点921の座標、基準オブジェクト92におけるX軸方向のXサイズX1、およびY軸方向のYサイズY1に関する情報(基準オブジェクト表示情報)を記憶する。なお、オブジェクト表示情報記憶部814が記憶する基準オブジェクト基準点921の座標は、基準オブジェクト座標値算出部71が算出したものであり、基準オブジェクト92のXサイズX1およびYサイズY1は、基準オブジェクトサイズ算出部72が算出したものである。
【0082】
次に、ステップs17では、基本セル基点座標算出部73は、オブジェクト表示情報記憶部814から基準オブジェクト表示情報を読出して、基準オブジェクト92において、XサイズX1がYサイズY1より大きいか否かを判断する。基本セル基点座標算出部73が、XサイズX1がYサイズY1より大きいと判断した場合にはステップs18に進み、XサイズX1がYサイズY1より大きくない(XサイズX1がYサイズY1以下である)と判断した場合にはステップs21に進む。
【0083】
ステップs18では、基本セル基点座標算出部73は、格子画像94における第1罫線941間の第1間隔GW1および第2罫線942間の第2間隔GW2のサイズ(基本セル943の一辺のサイズ)として、XサイズX1を設定する。このようにして基本セル基点座標算出部73によって設定された基本セル943の一辺のサイズは、格子画像情報記憶部815に記憶される。
【0084】
次に、ステップs19では、基本セル基点座標算出部73は、基準オブジェクト92におけるX軸およびY軸についての最小座標値で表される基準オブジェクト基準点921のX座標を、基本セル943における基点944のX座標として設定する。このようにして基本セル基点座標算出部73によって設定された基本セル943における基点944のX座標は、格子画像情報記憶部815に記憶される。
【0085】
次に、ステップs20では、基本セル基点座標算出部73は、基準オブジェクト表示情報を用いて、基本セル943における基点944のY座標を算出する。具体的には、基本セル基点座標算出部73は、下記式(1)に基づいて、基点944のY座標(Ya)を算出する。
Ya=基準点Yb−{(XサイズX1)/2−(YサイズY1)/2} …(1)
[式中、基準点Ybは、基準オブジェクト基準点921のY座標を示す。]
【0086】
このようにして基本セル基点座標算出部73によって算出された基本セル943における基点944のY座標は、格子画像情報記憶部815に記憶される。
【0087】
基本セル基点座標算出部73は、基準オブジェクト92のXサイズX1がYサイズY1より大きい場合、ステップs18からステップs20を経て、格子画像94における基本セル943の一辺のサイズ、および基点944の座標を含む格子画像情報を、設定・算出する。
【0088】
ステップs20において、格子画像情報の設定・算出が終了し、その格子画像情報が格子画像情報記憶部815に記憶されると、ステップs1に戻り、次の入力操作が行われるまで待機する。
【0089】
また、ステップs17において、基本セル基点座標算出部73が、基準オブジェクト92のXサイズX1がYサイズY1以下であると判断した場合にはステップs21に進む。
【0090】
このステップs21では、基本セル基点座標算出部73は、格子画像94における第1罫線941間の第1間隔GW1および第2罫線942間の第2間隔GW2のサイズ(基本セル943の一辺のサイズ)として、YサイズY1を設定する。このようにして基本セル基点座標算出部73によって設定された基本セル943の一辺のサイズは、格子画像情報記憶部815に記憶される。
【0091】
次に、ステップs22では、基本セル基点座標算出部73は、基準オブジェクト92におけるX軸およびY軸についての最小座標値で表される基準オブジェクト基準点921のY座標を、基本セル943における基点944のY座標として設定する。このようにして基本セル基点座標算出部73によって設定された基本セル943における基点944のY座標は、格子画像情報記憶部815に記憶される。
【0092】
次に、ステップs23では、基本セル基点座標算出部73は、基準オブジェクト表示情報を用いて、基本セル943における基点944のX座標を算出する。具体的には、基本セル基点座標算出部73は、下記式(2)に基づいて、基点944のX座標(Xa)を算出する。
Xa=基準点Xb−{(YサイズY1)/2−(XサイズX1)/2} …(2)
[式中、基準点Xbは、基準オブジェクト基準点921のX座標を示す。]
【0093】
このようにして基本セル基点座標算出部73によって算出された基本セル943における基点944のX座標は、格子画像情報記憶部815に記憶される。
【0094】
基本セル基点座標算出部73は、基準オブジェクト92のXサイズX1がYサイズY1以下である場合、ステップs21からステップs23を経て、格子画像94における基本セル943の一辺のサイズ、および基点944の座標を含む格子画像情報を、設定・算出する。
【0095】
たとえば、基準オブジェクト基準点921の座標が(3,6)、基準オブジェクト92のXサイズX1が「0.6」、YサイズY1が「0.8」である場合、基本セル基点座標算出部73は、基本セル943の一辺のサイズを「0.8」に設定し、基点944のY座標を「6」に設定し、基点944のX座標を上記式(2)に基づいて「2.9」と算出する。
【0096】
ステップs23において、格子画像情報の設定・算出が終了し、その格子画像情報が格子画像情報記憶部815に記憶されると、ステップs1に戻り、次の入力操作が行われるまで待機する。
【0097】
図4を参照して、前述したステップs6、ステップs9、およびステップs15における描画処理について説明する。
【0098】
まず、ステップa1では、接触検出部613は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作の開始を検出する。次に、ステップa2では、オブジェクト抽出部614は、継続タッチ判定時間記憶部823から、予め設定された継続タッチ時間(たとえば、3秒間)を取得する。次に、ステップa3では、計時部616は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作が開始されてからの経過時間を、継続タッチ時間からのカウントダウンにて計時する。
【0099】
次に、ステップa4では、オブジェクト抽出部614は、計時部616によるカウントダウンの計時が終了したか否か、すなわち、手書き入力されている軌跡を1つのオブジェクトとして認識すべき時間(描画終了の時間)が経過したか否かを判断する。オブジェクト抽出部614が、描画終了の時間が経過したと判断した場合にはステップa5に進む。
【0100】
ステップa5では、オブジェクト抽出部614は、タッチパネル2の入力面21に対する入力操作が開始されてから継続タッチ時間内に手書き入力された軌跡に対応する座標データに基づいて、オブジェクトを認識し、その認識したオブジェクトごとの座標データを抽出する。そして、軌跡表示制御部621は、オブジェクト抽出部614が抽出したオブジェクトの座標データをディスプレイ3に送信し、この座標データに基づいてオブジェクトをディスプレイ3の表示面31に表示させる。
【0101】
以上のような、ステップa1からステップa5を経て、オブジェクト抽出部614と軌跡表示制御部621とによるオブジェクトの描画処理が終了する。
【0102】
また本発明のさらに他の実施の形態として、コンピュータを前述した表示装置1として機能させるために、コンピュータに実行させるための表示プログラム(実行形式プログラム、中間コードプログラムおよびソースプログラムの少なくともいずれか1つ)、およびこの表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することも可能である。
【0103】
なお、表示プログラムを記録する記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、たとえばCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)のようなものそのものがプログラムメディアであってもよいし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
【0104】
いずれの場合においても、格納されている表示プログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいは、いずれの場合も表示プログラムを読み出し、読み出された表示プログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、その表示プログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0105】
上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスクなどの磁気ディスクやCD−ROM/MO(Magneto Optical disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクのディスク系、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0106】
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成を持つことで、通信ネットワークから表示プログラムをダウンロードするように流動的に表示プログラムを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークから表示プログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。なお、本発明は、上記表示プログラムが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0107】
1 表示装置
2 タッチパネル
3 ディスプレイ
4 タッチパネルデータ処理部
5 表示データ処理部
6 CPU
7 演算部
8 記憶部
21 入力面
31 表示面
61 入力制御部
62 表示制御部
71 基準オブジェクト座標値算出部
72 基準オブジェクトサイズ算出部
73 基本セル基点座標算出部
81 第1記憶部
82 第2記憶部
611 位置検出部
612 コマンド検出部
613 接触検出部
614 オブジェクト抽出部
615 基準オブジェクト判別部
616 計時部
621 軌跡表示制御部
622 格子画像表示部
623 格子画像非表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸およびY軸を座標軸とする直交座標が設定された手書き入力するための入力面を有し、該入力面に対する入力操作によって指示された点の位置を表す座標データを出力する入力部と、
前記入力面に対向する表示面を有し、前記入力部から出力される座標データに基づいて、前記入力面に対する手書き入力の軌跡を前記表示面に表示する表示部と、
前記入力部から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、任意の形状のオブジェクトを抽出するオブジェクト抽出部と、
前記オブジェクト抽出部が抽出したオブジェクトの座標データに基づいて、予め定める条件を満たすオブジェクトを基準オブジェクトと判別する基準オブジェクト判別部と、
前記基準オブジェクトに対応する前記入力面に対する入力操作終了後に、前記入力面に対する入力操作の開始点が指示された場合に、X軸に平行で等間隔に配列する複数の第1罫線と、Y軸に平行で等間隔に配列する複数の第2罫線とが直交してなる格子状の格子画像を生成し、生成した格子画像を前記表示面に表示させる格子画像表示部と、
前記入力面に対する入力操作が行われているか否かを判定し、入力操作が行われていない期間を入力操作の待機時間として計時する計時部と、
前記格子画像が前記表示面に表示された状態で、前記計時部により計時された待機時間が予め定める時間以上となった場合に、前記表示面に表示されている格子画像を非表示にする格子画像非表示部と、を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記基準オブジェクトの座標データに基づいて、該基準オブジェクトにおけるX軸およびY軸の座標軸についての最大座標値と最小座標値とを算出する基準オブジェクト座標値算出部と、
前記基準オブジェクト座標値算出部による算出結果を用いて、前記基準オブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズを算出する基準オブジェクトサイズ算出部と、をさらに含み、
前記格子画像表示部は、隣接する前記第1罫線間の第1間隔と、隣接する前記第2罫線間の第2間隔とが、前記基準オブジェクトサイズ算出部による算出結果に基づいたサイズとなる格子画像を生成し、生成した格子画像を前記表示面に表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記格子画像表示部は、前記第1および第2間隔が、前記基準オブジェクトサイズ算出部が算出した、前記基準オブジェクトにおけるX軸方向およびY軸方向のサイズのうち、大きい方のサイズと一致するような格子画像を生成し、生成した格子画像を、前記第1および第2罫線が前記基準オブジェクトと重ならないように前記表示面に表示させることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記オブジェクト抽出部は、前記入力面に対して入力操作が開始されてから予め定める時間内に手書き入力された軌跡に対応する座標データに基づいて、前記オブジェクトを抽出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
入力部および表示部を備えるコンピュータを、請求項1〜4のいずれか1つに記載の表示装置として機能させることを特徴とする表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2013−97737(P2013−97737A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242799(P2011−242799)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】