説明

表示装置および表示方法

【課題】コストを低減しつつ、表示される映像の画質劣化を防止すること。
【解決手段】映像変化検出部が、映像データの特性を表す映像特性を取得し、映像サイズ制御部が、取得された映像特性に基づいて映像データを表示する際の表示倍率を決定するように表示装置を構成する。また、映像サイズ制御部が、番組ジャンル取得部、車両情報取得部、個人特性取得部および行動特性取得部から受け取った情報に基づいて映像データを表示する際の表示倍率を決定するように表示装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像データを表示する表示装置および表示方法に関し、特に、コストを低減することができるとともに、表示される映像の画質劣化を防止することができる表示装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を利用したカーナビゲーションシステムの普及に伴い、車両には、ナビゲーション情報や、テレビ画像、DVD(Digital Versatile Disk)画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示装置が搭載される場合が多くなってきた。
【0003】
ところで、いわゆるワンセグ(One Segment)放送(携帯電話向け地上デジタル放送)に係る映像や、携帯プレーヤーで再生する映像のように本来の映像サイズが小さい映像を表示装置に表示する場合、表示装置における表示エリア全体を用いる全画面サイズで表示することが一般的である。このため、これらの映像の画質劣化が発生する。
【0004】
なお、特許文献1には、複数の低解像度画像を合成することによって高精度画像を生成する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−203717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、複雑な画像処理を行うために画像処理の処理負荷やメモリ使用量が増大し、表示装置のコストが高くつくという問題がある。その一方で、表示装置に表示する映像の画質劣化を防止したいというニーズは大きい。
【0007】
これらのことから、コストを低減することができるとともに、表示される映像の画質劣化を防止することができる表示装置あるいは表示方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、コストを低減することができるとともに、表示される映像の画質劣化を防止することができる表示装置および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、映像データを表示する表示装置であって、前記映像データの特性を表す映像特性を取得する映像特性取得手段と、前記映像特性取得手段によって取得された前記映像特性に基づいて前記映像データを表示する際の表示倍率を決定する表示倍率決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、映像データの表示方法であって、前記映像データの特性を表す映像特性を取得する映像特性取得工程と、前記特性取得工程において取得された前記映像特性に基づいて前記映像データを表示する際の表示倍率を決定する表示倍率決定工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像データの特性を表す映像特性を取得し、取得された映像特性に基づいて映像データを表示する際の表示倍率を決定することとしたので、コストの低減を図りつつ、表示される映像の画質劣化を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る表示装置および表示方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、自動車に搭載される表示装置について説明するが、屋内等に設置される表示装置に適用することとしてもよい。
【0013】
また、以下では、ワンセグ放送に係る映像データを表示する場合について説明するが、表示装置10に接続されたディスプレイの表示サイズは、ワンセグ放送に係る映像データの表示サイズよりも大きいものとする。なお、本発明は、表示エリアよりも映像データのサイズが小さい他の映像データを表示する場合についても適用することができる。
【実施例】
【0014】
図1は、本実施例に係る表示装置10の概要を示す図である。同図に示すように、表示装置10は、自動車等の車両に搭載されており、ワンセグ放送を行う放送センターから発信された放送波を受信する。この放送波には映像データが含まれており、表示装置10は、受信した映像データに係る「映像特性」に基づいて映像データの表示倍率を決定する。
【0015】
ここで、「映像特性」とは、自系列映像データの動きや、自系列映像データの輝度変化など、画質の優劣を左右する特性のことを指す。なお、表示装置10は、放送波に重畳された番組情報に基づいて映像特性を予測する処理を行うが、この点については後述することとする。また、表示装置10は、車両の走行状態や走行環境を表す車両情報、運転者の年齢、性別、視覚疲労状態といった個人特性、運転者の走行パターンなどの行動特性に基づいて映像データの表示倍率を決定する処理を行うが、この点についても後述することとする。
【0016】
図1に示したように、表示装置10は、受信した放送波に基づいて映像データに係る映像特性を取得する(図1の(1)参照)。なお、取得する映像特性には、上記したように、自系列映像データの動きや時系列映像データの輝度変化等がある。そして、表示装置10は、取得した映像特性に基づいて映像データに係る画質の優劣を判定し(図1の(2)参照)、映像データをディスプレイ等に表示する際の表示サイズを決定する(図1の(3)参照)。
【0017】
このように、表示装置10は、映像データに係る映像特性に基づいて映像データの表示倍率を決定することとしのたで、表示された映像の画質劣化を抑制することができる。たとえば、動きの大きいスポーツ中継番組などの場合には、表示倍率を1倍としてディスプレイに表示することで、動きの大きい映像データを拡大表示した場合に生じる画質劣化を抑制することができる。
【0018】
一方、動きの小さいニュース番組などの場合には、たとえば、映像データをディスプレイの表示サイズいっぱいになるように表示倍率を決定するが(全画面表示)、動きの小さい映像データの場合には拡大表示しても画質劣化は目立たないものとなる。
【0019】
次に、表示装置10の構成について図2を用いて説明する。図2は、表示装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、表示装置10は、放送波を受信するアンテナと接続されたRF/IF11と、OFDM12と、Demux13と、AACデコーダ14と、H264デコーダ15と、制御部16とを備えている。なお、同図においては、表示装置10がビデオ出力するディスプレイを図示していないが、表示装置10が、このディスプレイを備えるように構成することとしてもよい。
【0020】
制御部16は、映像劣化検出部16aと、映像サイズ制御部16bと、画面制御部16cと、番組ジャンル取得部16dと、車両情報取得部16eと、個人特性取得部16fと、行動特性取得部16gとをさらに備えている。
【0021】
RF(Radio Frequency)/IF(Intermediate Frequency)11は、放送波の検波・増幅を行うデバイスであり、増幅したIF(Intermediate Frequency)信号をOFDM12へ出力する処理を行う。また、RF/IF11は、受信した放送波の電界強度を制御部16の映像劣化検出部16aへ出力する処理も併せて行う。
【0022】
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)12は、直交周波数分割多重方式のデジタル復調を行うデバイスであり、TS(トランスポートストリーム)信号をDemux13へ、SP(Scattered Pilot)信号およびCP(Continual Pilot)信号を制御部16の映像劣化検出部16aへ、それぞれ出力する処理を行う。
【0023】
Demux13は、OFDM12から受け取ったTS信号を、音声信号、映像信号およびデータ信号に分離する処理を行うデバイスである。ここで、データ信号は、放送波に重畳されたEPG(Electronic Program Guide)、すなわち、電子番組ガイドのことを指す。なお、Demux13は、放送波から分離した音声信号をAACデコーダ14へ、映像信号をH264デコーダへ、データ信号を制御部16の番組ジャンル取得部16dへ、それぞれ出力する処理を行う。
【0024】
AAC(Advanced Audio Coding)デコーダ14は、MPEG(Moving Picture Experts Group)−4等の圧縮方式で圧縮された音声データを復号(デコード)する処理を行うデバイスである。このAACデコーダ14は、Demux13から受け取った音声信号をデコードし、デコードした音声信号を音声出力としてアンプ等の外部装置へ出力する処理を行う。
【0025】
H264デコーダ15は、H.264と呼ばれる動画圧縮規格に準拠した圧縮方式で圧縮された映像信号を復号(デーコード)する処理を行うデバイスである。このH264デコーダ15は、Demux13から受け取った映像信号をデコードし、デコードした映像信号を制御部16の映像劣化検出部16aおよび画面制御部16cへ出力する処理を行う。
【0026】
制御部16は、RF/IF11から受け取った電界強度、OFDM12から受け取ったSP信号およびCP信号、H264デコーダから受け取った映像信号に基づいて映像変化を検出し、検出した映像変化を含む映像特性に基づいて映像データの映像サイズを決定したうえで、決定した映像サイズの映像データをビデオ出力としてディスプレイ等の外部装置へ出力する処理を行う処理部である。
【0027】
映像劣化検出部16aは、RF/IF11から受けとった電界強度、OFDM12から受け取ったSP信号およびCP信号、H264デコーダ15から受け取った映像信号に基づいて映像の劣化状況を検出し、映像の劣化状況をランク分けした検出結果を映像サイズ制御部16bへ渡す処理を行う処理部である。具体的には、この映像劣化検出部16aは、自系列の映像信号について、映像の動きの大きさおよび動きの変化率(速さ)を検出するとともに、映像の輝度変化の大きさおよび輝度変化の変化率(速さ)を検出し、映像の劣化状況を判定する。
【0028】
ここで、映像信号は、自系列のフレームから構成されるが、映像劣化検出部16aは、たとえば、各フレームからエッジを抽出し、抽出したエッジの移動量に基づいて映像の動きの大きさを検出する。また単位時間あたりの動きの変化率については、検出した動きの大きさおよびフレームの更新間隔に基づいて検出する。そして、映像の動きの大きさまたは動きの変化率のランク付けを行い、ランク付けした結果を映像サイズ制御部16bへ通知する。
【0029】
かかるランク付けは、各ランクに対応するように予め定めた値域に該当するか否かを判定することによって行われ、たとえば、値が小さいほうから大きいほうへ、1〜2の各整数、1〜5の各整数等の複数段階のランクで表わされる。なお、各ランクが大きい場合、すなわち、映像劣化が大きい場合には、映像サイズ制御部16fが決定する表示倍率は小さいものとなる。
【0030】
また、映像の輝度変化については、各フレームにおける所定位置同士を比較することによって輝度差を検出し、単位時間あたりの輝度変化の変化率については、検出した輝度差およびフレームの更新間隔に基づいて検出する。なお、所定時間にわたる平均をとることで、上記した動きの大きさ、動きの変化率、輝度変化の大きさおよび輝度変化の変化率を検出することとしてもよい。
【0031】
また、映像劣化検出部16aは、RF/IF11から受けとった電界強度についても上記したランク付けを行うとともに、OFDM12から受け取ったSP信号およびCP信号の取得成功率等に基づいて上記したランク付けを行う。このように、電界強度を用いることで、電波状況が悪い場合、すなわち、電界強度が弱い場合には画質劣化が大きいと判定することができる。また、SP信号およびCP信号の取得成功率等を用いることで、取得成功率が悪い場合には、画質劣化が大きいと判定することができる。
【0032】
映像サイズ制御部16bは、映像劣化検出部16aから受け取った映像劣化状況、番組ジャンル取得部16dから受け取った番組ジャンル、車両情報取得部16eから受け取った車両情報、個人特性取得部16fから受け取った個人特性および行動特性取得部16gから受け取った行動特性に基づいて映像サイズを決定する処理を行う。そして、この映像サイズ制御部16bは、決定した映像サイズを画面制御部16cへ通知する処理を併せて行う。なお、映像サイズ制御部16bが行う表示倍率決定処理の詳細な処理手順については、図4、図5および図6を用いて後述する。
【0033】
画面制御部16cは、映像サイズ制御部16bが決定した表示倍率に基づき、H264デコーダから受け取った映像信号を拡大/縮小する処理を行ったうえで、ビデオ出力としてディスプレイ等の外部装置へ出力する処理を行う処理部である。なお、この画面制御部16cは、放送波に含まれる字幕データや、車載機器から受け取った車載情報等を映像信号に合成する処理を行う処理部でもある。
【0034】
ここで、この画面制御部16cによって出力されるビデオ出力の例について図3を用いて説明する。図3は、画面制御部16cによって出力されるビデオ出力の例を示す図である。なお、同図に示す符号30は、ビデオ出力の出力先となるディスプレイの最大表示サイズを示している。また、同図においては、ディスプレイの最大表示サイズが800ドット×480ドットであり、受信した放送波に係る映像のサイズが320ドット×180ドットである場合について示している。
【0035】
また、同図においては、映像劣化検出部16aが、劣化「小」、劣化「中」および劣化「大」の3段階の映像劣化状況を映像サイズ制御部16dへ通知し、映像サイズ制御部16dが、劣化「小」である場合に表示倍率を「全画面表示」に、劣化「大」である場合に表示倍率を「1倍」に、劣化「中」である場合に表示倍率を「2倍」に、それぞれ決定した場合について示している。
【0036】
同図に示すように、映像サイズ制御部16bが表示倍率を「全画面表示」と決定した場合には、同図の符号31に示すように、最大表示サイズに映像が拡大されて表示される(同図の(1)参照)。また、映像サイズ制御部16bが表示倍率を「1倍」と決定した場合には、同図の符号32に示すように、映像サイズを変更することなく表示される(同図の(2)参照)。また、映像サイズ制御部16bが表示倍率を「2倍」と決定した場合には、同図の符号33に示すように、映像が2倍に拡大されて表示される(同図の(3)参照)。
【0037】
ところで、1倍表示をした場合や(同図の(2)参照)、2倍表示をした場合には(同図の(3)参照)、映像が表示されない領域に、字幕表示エリア32aや、車載情報エリア33aが表示制御部16cによって合成され、各種情報を利用者に通知することができる。したがって、全画面表示を行わないことによる情報量の損失を効果的に抑制することができる。
【0038】
また、1倍表示や2倍表示の対象となる映像としては、たとえば、スポーツ中継番組や音楽番組などの動きや輝度変化が大きい番組があげられる。そして、全画面表示の対象となる映像としては、ニュース番組など動きや輝度変化が小さい番組がある。なお、ニュース番組などのように、動きや輝度変化が小さい番組の場合であっても、電界強度、SP信号およびCP信号に基づいて映像劣化検出部16aが、映像劣化している旨を検出した場合には、1倍表示や2倍表示の対象となる。
【0039】
図2の説明に戻り、番組ジャンル取得部16dについて説明する。番組ジャンル取得部16dは、Demux13から受け取ったデータ信号、すなわち、EPG(Electronic Program Guide)に基づき、受信した放送波に係る番組ジャンルを取得する処理を行う処理部である。ここで、番組ジャンルには、映画、ドラマ、スポーツ、音楽、バラエティ、ニュース・報道等がある。このように、番組ジャンルを取得することで、スポーツ番組や音楽番組であれば、映像の動きや輝度変化が大きく映像が劣化しやすい旨を、ニュース番組であれば、映像の動きや輝度変化が小さく映像が劣化しにくい旨を、それぞれ推定することが可能となる。
【0040】
車両情報取得部16eは、速度センサ、ジャイロセンサ、交通状況受信装置、輝度センサ等から走行速度、渋滞状況、天候、周囲輝度等の車両および走行環境に係る情報を取得するとともに、取得した各種情報に基づき、映像の表示倍率に関する指示を映像サイズ制御部16bに通知する処理を行う処理部である。たとえば、この車両情報取得部16eは、渋滞中の場合には、利用者が映像を見ることが予想されるので、画質劣化を防止するために、表示倍率を低くするように映像サイズ制御部16bに対して指示する。
【0041】
個人特性取得部16eは、運転者によって入力された年齢や性別、運転者を撮像するカメラによって取得された運転者の視覚疲労の状況などを取得するとともに、取得した各種情報に基づき、映像の表示倍率に関する指示を映像サイズ制御部16bに通知する処理を行う処理部である。たとえば、この個人特性取得部16eは、運転者が高齢である場合には、低い表示倍率では映像を見にくいことが予想されるので、表示倍率を高くするように映像サイズ制御部16bに対して指示する処理を行う。
【0042】
行動特性取得部16gは、運転者ごとの運転履歴を蓄積したデータベースおよび現在時刻に基づき、映像の表示倍率に関する指示を映像サイズ制御部16bに通知する処理を行う処理部である。たとえば、この行動特性取得部16gは、昼間であれば表示倍率を小さく、夜間であれば表示倍率を大きくするように映像サイズ制御部16bに対して指示したり、運転履歴および現在時刻から出勤時間と判定された場合には表示倍率を大きく、退勤時間と判定された場合には表示倍率を小さくするように映像サイズ制御部16bに対して指示したりする処理を行う。
【0043】
次に、映像サイズ制御部16bが行う表示倍率決定処理のバリエーションについて図4、図5および図6を用いて説明する。なお、図4〜図6では、説明をわかりやすくするために、映像サイズを「大」および「小」の2段階にする場合について示すこととする。また、映像劣化検出部16aが行う上記したランク付けについても画質「優」および画質「劣」の2段階として示している。
【0044】
図4は、自系列の映像データの対比に基づく映像特性を用いた表示倍率決定処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、図示しない番組選択ボタン等の入力機器がチャンネルの変更を検知したか否かを判定する(ステップS101)。そして、チャンネル変更が検知されない場合には(ステップS101,No)、チャンネル変更を待ち合わせる。
【0045】
そして、チャンネルの変更が検知された場合には(ステップS101,Yes)、映像劣化検出部16aが、自系列の映像データを対比し(ステップS102)、この対比結果に基づく上記したランク付け結果を受け取った映像サイズ制御部16bは、映像の動きが画質「優」に該当するか否かを判定する(ステップS103)。そして、画質「優」に該当しない場合には(ステップS103,No)、映像サイズを「小」とし(ステップS107)、処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS103の判定条件を満たす場合には(ステップS103,Yes)、つづいて、映像の輝度変化が画質「優」に該当するか否かを判定する(ステップS104)。そして、画質「優」に該当しない場合には(ステップS104,No)、映像サイズを「小」とし(ステップS107)、処理を終了する。
【0047】
また、ステップS104の判定条件を満たす場合には(ステップS104,Yes)、所定時間が経過したか否かが判定され(ステップS105)、所定時間が未だ経過していない場合には(ステップS105,No)、ステップS102以降の処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合には(ステップS105,Yes)、映像サイズを「大」とし(ステップS106)、処理を終了する。
【0048】
図5は、受信波の電界強度および映像復元精度に基づく表示倍率決定処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、図示しない番組選択ボタン等の入力機器がチャンネルの変更を検知したか否かを判定する(ステップS201)。そして、チャンネル変更が検知されない場合には(ステップS201,No)、チャンネル変更を待ち合わせる。
【0049】
そして、チャンネルの変更が検知された場合には(ステップS201,Yes)、映像劣化検出部16aがRF/IF11から電界強度を取得し(ステップS202)、映像劣化検出部16aから上記したランク付け結果を受けとった映像サイズ制御部16bは、電界強度が画質「優」に該当するか否かを判定する(ステップS203)。そして、画質「優」に該当しない場合には(ステップS203,No)、映像サイズを「小」とし(ステップS208)、処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS203の判定条件を満たす場合には(ステップS203,Yes)、映像劣化検出部16aがOFDM12からのSP信号およびCP信号に基づいて映像復元精度を取得し(ステップS204)、映像劣化検出部16aから上記したランク付け結果を受けとった映像サイズ制御部16bは、復元精度が画質「優」に該当するか否かを判定する(ステップS205)。そして、画質「優」に該当しない場合には(ステップS205,No)、映像サイズを「小」とし(ステップS208)、処理を終了する。
【0051】
また、ステップS205の判定条件を満たす場合には(ステップS205,Yes)、つづいて、所定時間が経過したか否かが判定され(ステップS206)、所定時間が未だ経過していない場合には(ステップS206,No)、ステップS202以降の処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合には(ステップS206,Yes)、映像サイズを「大」とし(ステップS207)、処理を終了する。
【0052】
図6は、番組ジャンルに基づく表示倍率決定処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、図示しない番組選択ボタン等の入力機器がチャンネルの変更を検知したか否かを判定する(ステップS301)。そして、チャンネル変更が検知されない場合には(ステップS301,No)、チャンネル変更を待ち合わせる。
【0053】
そして、チャンネルの変更が検知された場合には(ステップS301,Yes)、映像サイズ制御部16bは、番組ジャンル取得部16dから番組ジャンルを取得し(ステップS302)、映像変化大のジャンル(たとえば、スポーツ中継番組や音楽番組)であるか否かを判定する(ステップS303)。そして、映像変化大のジャンルではない場合には(ステップS303,No)、映像サイズを「小」とし(ステップS305)、処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS303の判定条件を満たした場合には(ステップS303,Yes)、映像サイズを「大」とし(ステップS304)、処理を終了する。なお、図6では、チャンネル変更検出をトリガーとして表示倍率決定処理を行うこととしたが、受信波に含まれるすべてのチャンネルの番組ジャンルを取得しておき、各番組ジャンルに対応する表示倍率を予め決定することとしてもよい。このようにすることで、チャンネルを変更するとすぐに、予め決定しておいた表示倍率で表示することが可能となる。
【0055】
なお、図4、図5および図6で、別々に示した処理手順を組み合わせて表示倍率を決定することとしてもよい。また、表示倍率決定処理のトリガーを、チャンネル変更検知以外のもの、たとえば、30分や1時間などの所定時間間隔、コマーシャルが放送されるタイミング等としてもよい。
【0056】
上述してきたように、本実施例によれば、映像変化検出部が、映像データの特性を表す映像特性を取得し、映像サイズ制御部が、取得された映像特性に基づいて映像データを表示する際の表示倍率を決定することとしたので、コストの低減を図りつつ、表示される映像の画質劣化を防止することができる。
【0057】
また、映像サイズ制御部は、番組ジャンル取得部、車両情報取得部、個人特性取得部および行動特性取得部から受け取った情報に基づいて映像データを表示する際の表示倍率を決定するので、表示倍率決定を柔軟に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る表示装置および表示方法は、ソース映像サイズと、表示先となるディスプレイの表示サイズとが異なる場合における画質劣化の防止に有用であり、特に、ワンセグ放送に係る映像を表示する場合における画質劣化の防止に適している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例に係る表示装置の概要を示す図である。
【図2】表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画面制御部によって出力されるビデオ出力の例を示す図である。
【図4】時系列の映像データの対比に基づく映像特性を用いた表示倍率決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】受信波の電界強度および映像復元精度に基づく表示倍率決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】番組ジャンルに基づく表示倍率決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
10 表示装置
11 RF/IF
12 OFDM
13 Demux
14 AACデコーダ
15 H264デコーダ
16 制御部
16a 映像劣化検出部
16b 映像サイズ制御部
16c 画面制御部
16d 番組ジャンル取得部
16e 車両情報取得部
16f 個人特性取得部
16g 行動特性取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを表示する表示装置であって、
前記映像データの特性を表す映像特性を取得する映像特性取得手段と、
前記映像特性取得手段によって取得された前記映像特性に基づいて前記映像データを表示する際の表示倍率を決定する表示倍率決定手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記映像特性取得手段は、
時系列の前記映像データから映像の動きの大きさまたは変化率を前記映像特性として取得するものであって、
前記表示倍率決定手段は、
前記映像特性に含まれる前記動きの大きさまたは変化率が大きいほど前記表示倍率が低くなるように決定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記映像特性取得手段は、
自系列の前記映像データから映像の輝度変化の大きさまたは変化率を前記映像特性として取得するものであって、
前記表示倍率決定手段は、
前記映像特性に含まれる前記輝度変化の大きさまたは変化率が大きいほど前記表示倍率が低くなるように決定することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記映像特性取得手段は、
前記映像データに係る番組情報のジャンルを前記映像特性として取得するものであって、
前記表示倍率決定手段は、
前記映像特性に含まれる前記番組情報のジャンルに基づいて前記表示倍率を決定することを特徴とする請求項1、2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記映像特性取得手段は、
前記映像データを搬送する受信電波の電界強度を前記映像特性として取得するものであって、
前記表示倍率決定手段は、
前記映像特性に含まれる前記電界強度が大きいほど前記表示倍率が高くなるように決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項6】
前記映像特性取得手段は、
前記映像データを搬送する受信電波から当該映像データを復元する際の復元精度を前記映像特性として取得するものであって、
前記表示倍率決定手段は、
前記映像特性に含まれる前記復元精度が高いほど前記表示倍率が高くなるように決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示装置が搭載される車両の車両状態を取得する車両状態取得手段
をさらに備え、
前記表示倍率決定手段は、
前記車両状態取得手段が取得した車両状態に基づいて前記表示倍率を決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置が搭載される車両を運転する運転者の個人特性を取得する個人特性取得手段
をさらに備え、
前記表示倍率決定手段は、
前記個人特性取得手段が取得した前記個人特性に基づいて前記表示倍率を決定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項9】
前記運転者の行動特性を取得する行動特性取得手段
をさらに備え、
前記表示倍率決定手段は、
前記行動特性取得手段が取得した前記行動特性に基づいて前記表示倍率を決定することを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
映像データの表示方法であって、
前記映像データの特性を表す映像特性を取得する映像特性取得工程と、
前記特性取得工程において取得された前記映像特性に基づいて前記映像データを表示する際の表示倍率を決定する表示倍率決定工程と
を含んだことを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−141389(P2009−141389A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312210(P2007−312210)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】