説明

表示装置および表示方法

【課題】表示画質を高めることができる表示装置を得る。
【解決手段】表示画面から間欠的に表示光が発せられるように制御される表示部と、表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいて、表示光が発せられる表示光タイミングを制御する制御部とを備える。この表示装置では、表示部の表示画面から、間欠的に表示光が発せられることにより、表示が行われる。その際、表示光タイミングは、表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいて制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像を表示する表示装置、およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機などの表示装置は、連続静止画からなる映像信号に基づいて、その連続静止画を順次表示するものである。これにより、表示装置では、例えば、その連続静止画が、なめらかに動く物体(動体)をサンプリングして得られたものである場合において、この連続静止画を順次表示することにより、その動体の動きが疑似的に再現されるようになっている。
【0003】
ところで、一般に、人は、自然界において動く物体を追従しながら観察(追従視)する場合、頭や眼球などを滑らかに動かして観察する。これにより、その動体は、眼球の網膜の中央に結像するようになる。表示装置が動体を表示する場合には、画面上の動体は、順次表示される連続静止画により不連続に動くこととなるが、この場合でも、人は、その動体が連続的に滑らかに動いているものとみなして、滑らかに追従しながら観察することが知られている。
【0004】
近年、表示装置の主力となっている液晶表示装置は、いわゆるホールド型の表示デバイスである。すなわち、このような表示装置では、静止画を表示してから次の静止画を表示するまでの1フレーム期間において、同じ画像が表示され続ける。よって、観察者が、このような表示装置に表示された動体を観察する場合には、滑らかに追従しながら観察しようとしてしまうため、網膜上の像は、その1フレーム期間において、網膜の中央を横切って移動することとなる。これにより、このような表示装置において動画を観察すると、いわゆるホールドぼけが生じ、観察者は、画質が低下したように感じてしまう。
【0005】
このホールドぼけを改善する方法について、いくつかの検討がなされている。例えば、特許文献1には、バックライトをブリンキング駆動し、画像がホールド表示される時間を短くすることにより、網膜像のスリップ長を短くして、ホールドぼけの低減を図る液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−268436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、表示装置では、表示画質のさらなる向上が望まれている。しかしながら、特許文献1には、表示画質のさらなる向上についての具体的な記載がない。
【0008】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示画質を高めることができる表示装置および表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の表示装置は、表示部と、制御部とを備えている。表示部は、表示画面から間欠的に表示光が発せられるように制御されるものである。制御部は、前記表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいて、前記表示光が発せられる表示光タイミングを制御するものである。
【0010】
本開示の表示方法は、表示部に表示されるべき映像の動き量を検出し、その動き量に基づいて、表示画面から間欠的に発せられる表示光のタイミングを制御し、映像表示を行うものである。
【0011】
本開示の表示装置および表示方法では、表示部の表示画面から、間欠的に表示光が発せられることにより、表示が行われる。その際、表示光タイミングは、表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいて制御される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の表示装置および表示方法によれば、表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいて表示光タイミングを制御するようにしたので、表示画質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した表示駆動部および液晶表示部の一構成例を表すブロック図である。
【図3】図2に示した画素の一構成例を表す回路図である。
【図4】第1の実施の形態に係るバックライト駆動部の一動作例を表す模式図である。
【図5】図4に示した表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図6】図4に示した表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図7】図1に示した表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図8】第1の実施の形態に係るバックライト駆動部の他の動作例を表す模式図である。
【図9】図8に示した例における表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図10】第1の実施の形態に係るバックライト駆動部の他の動作例を表す模式図である。
【図11】図10に示した例における表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図12】第1の実施の形態に係るバックライト駆動部の他の動作例を表す模式図である。
【図13】図12に示した例における表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図14】第1の実施の形態の変形例に係るバックライト駆動部の一動作例を表す模式図である。
【図15】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図16】図15に示した表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図17】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図18】図17に示したバックライト駆動部の一動作例を表す模式図である。
【図19】図17に示した表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図20】第2の実施の形態に係るバックライト駆動部の一動作例を表す模式図である。
【図21】第2の実施の形態の変形例に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図22】図22に示したバックライト駆動部の一動作例を表す模式図である。
【図23】変形例に係る表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図24】変形例に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0015】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すものである。表示装置1は、バックライトを有する透過型の液晶表示装置である。なお、本開示の実施の形態に係る表示方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0016】
表示装置1は、制御部11と、表示駆動部20と、液晶表示部30と、動きベクトル検出部12と、バックライト駆動部13と、バックライト40とを備えている。
【0017】
制御部11は、映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部20、動きベクトル検出部12、バックライト駆動部13がお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部11は、後述するように、表示駆動部20に対して映像信号Sdispおよび表示制御信号を供給し、動きベクトル検出部12に対して映像信号Sdispおよび動きベクトル検出制御信号を供給し、バックライト駆動部13に対してバックライト制御信号を供給する。
【0018】
表示駆動部20は、制御部11から供給される映像信号Sdispに基づいて、液晶表示部30を駆動するものである。液晶表示部30は、液晶表示素子により構成された表示部であり、バックライト40から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。
【0019】
図2は、表示駆動部20および液晶表示部30のブロック図の一例を表すものである。 表示駆動部20は、タイミング制御部21と、ゲートドライバ22と、データドライバ23とを備えている。タイミング制御部21は、ゲートドライバ22およびデータドライバ23の駆動タイミングを制御するとともに、制御部11から供給された映像信号Sdispを映像信号Sdisp2としてデータドライバ23へ供給するものである。ゲートドライバ22は、タイミング制御部21によるタイミング制御に従って、液晶表示部30内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ23は、液晶表示部30の各画素Pixへ、映像信号Sdisp2に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ23は、映像信号Sdisp2に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0020】
液晶表示部30は、例えばガラスなどから構成される2枚の透明基板の間に液晶材料を封入したものである。これらの透明基板の液晶材料に面した部分には、例えばITO(Indium Tin Oxide)などから構成される透明電極が形成され、液晶材料とともに画素Pixを構成している。液晶表示部30には、図2に示したように、画素Pixがマトリックス状に配置されている。
【0021】
図3は、画素Pixの回路図の一例を表すものである。画素Pixは、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Csとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線GCLに接続され、ソースがデータ線SGLに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Csの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Csは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線CSLに接続されている。ゲート線GCLはゲートドライバ22に接続され、データ線SGLはデータドライバ23に接続されている。
【0022】
液晶表示部30は、図1に示したように、3つの領域Z1〜Z3に区分されている。バックライト駆動部13は、後述するように、これらの領域Z1〜Z3ごとに画像の変化を示す動き量Nを求めるようになっている。
【0023】
動きベクトル検出部12は、映像信号Sdispにより供給される一連のフレーム画像に基づいて、画像の変化を示す動きベクトルを検出するものである。具体的には、動きベクトル検出部12は、供給された一連のフレーム画像のうちの時間的に隣接する2つのフレーム画像の画像情報に基づいて、例えば画素単位で、表示内容の水平方向および垂直方向の動きを検出し、動きベクトルを求める。そして、動きベクトル検出部12は、画素単位で求めた一連の動きベクトルを、動きベクトル信号Svとして出力するようになっている。なお、この例では画素単位で動きベクトルを求めたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、複数の画素からなる画素ブロック単位で表示内容の動きを検出して動きベクトルを求めるようにしてもよい。
【0024】
バックライト駆動部13は、制御部11から供給されたバックライト制御信号、および動きベクトル検出部12から供給された動きベクトル信号Svに基づいて、バックライト40が、液晶表示部30における表示に同期して間欠的に発光するように、バックライト40を駆動するものである。具体的には、バックライト駆動部13は、後述するように、動きベクトル信号Svに基づいて、各画素の動きベクトルの大きさを、領域Z1〜Z3のそれぞれにおいて積分することにより、領域Z1〜Z3のそれぞれにおける映像の動き量Nを求めた後、それらを用いて、線順次走査方向の動き量Nの重心位置CGを求める。そして、バックライト駆動部13は、その重心位置CGに応じたタイミングでバックライト40が発光するように、バックライト40を駆動するようになっている。
【0025】
バックライト40は、バックライト駆動部13から供給される駆動信号に基づいて間欠的に発光(ブリンキング)し、液晶表示部30に対してその光を射出するものである。このバックライト40は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を用いて構成することができる。なお、これに限定されるものではなく、例えばCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)により構成してもよい。
【0026】
ここで、液晶表示部30およびバックライト40は、本開示における「表示部」の一具体例に対応する。バックライト駆動部13は、本開示における「制御部」の一具体例に対応する。
【0027】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示装置1の動作および作用について説明する。
【0028】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、表示装置1の全体動作概要を説明する。制御部11は、映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部20、動きベクトル検出部12、およびバックライト駆動部13がお互いに同期して動作するように制御する。表示駆動部20は、液晶表示部30を駆動する。液晶表示部30は、バックライト40から射出した光を変調することにより表示を行う。
【0029】
動きベクトル検出部12は、映像信号Sdispにより供給される一連のフレーム画像に基づいて、画像の変化を示す動きベクトルを検出し、動きベクトル信号Svを生成する。バックライト駆動部13は、バックライト40が間欠的に発光するようにバックライト40を駆動する。その際、バックライト駆動部13は、動きベクトル信号Svに基づいて領域Z1〜Z3ごとの映像の動き量Nを求めた後、線順次走査方向の動き量Nの重心位置CGを求める。そして、バックライト駆動部13は、その重心位置CGに応じたタイミングでバックライト40が発光するように、バックライト40を駆動する。バックライト40は、バックライト駆動部13から供給される駆動信号に基づいて発光し、液晶表示部30に対してその光を射出する。
【0030】
(詳細動作)
まず、バックライト駆動部13の動作を説明する。
【0031】
図4は、バックライト駆動部13における重心位置CGの取得動作を表すものである。ここでは、表示画面S内をボール9が移動する場合を例に説明する。図4(A)〜(C)は、表示画面Sの領域Z1〜Z3内をボール9が移動する場合(ケースC1〜C3)をそれぞれ示している。
【0032】
動きベクトル検出部12は、映像信号Sdispにより供給される一連のフレーム画像に基づいて、画像の変化を示す動きベクトルSvを検出する。バックライト駆動部13は、まず、この動きベクトル信号Svに基づいて、領域Z1〜Z3のそれぞれにおける映像の動き量Nを求める。
【0033】
図4(A)に示したように、表示画面Sの領域Z1内をボール9が移動する場合(ケースC1)では、領域Z1においてのみ動きがあるため、動き量Nは、領域Z1において大きな値となる(図4(A)の右図)。バックライト駆動部13は、この動き量Nの分布に基づいて、重心位置CG1を求める。すなわち、重心位置CG1は、領域Z1の線順次走査方向における中心位置である。
【0034】
同様に、表示画面Sの領域Z2内をボール9が移動する場合(ケースC2)では、動き量Nは、領域Z2において大きな値となり(図4(B))、表示画面Sの領域Z3内をボール9が移動する場合(ケースC3)では、動き量Nは、領域Z3において大きな値となる(図4(C))。バックライト駆動部13は、これらの動き量Nの分布に基づいて、重心位置CG2,CG3をそれぞれ求める。
【0035】
バックライト駆動部13は、このようにして取得した重心位置CG(CG1〜CG3)に基づいて、バックライト40を駆動する。
【0036】
図5は、ケースC1における、表示装置1の表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)は液晶表示部30の画素Pixにおける光透過率を示し、(C)はバックライト40の動作を示す。
【0037】
図5(A)の縦軸は、液晶表示部30の線順次走査方向の走査位置を示している。また、図5(A)において、例えば、“F(n)”は液晶表示部30がn番目のフレーム画像F(n)の表示を行っていることを示し、“F(n+1)”は液晶表示部30が(n+1)番目のフレーム画像F(n+1)の表示を行っていることを示している。また、図5(C)において、“ON”は、バックライト40が発光していることを示し(発光期間PL)、“OFF”は、バックライト40が消灯していることを示す。
【0038】
表示装置1では、周期T0で線順次走査が行われ、フレーム画像Fの表示が行われる。ここで、周期T0は、例えば、16.7[msec](=1/60[Hz])にすることができる。なお、周期T0は、これに限定されるものではなく、例えば、20[msec](=1/50[Hz])、20.8[msec](=1/48[Hz])などにすることが可能である。
【0039】
液晶表示部30では、タイミングt0〜t1の期間において、表示駆動部20から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、フレーム画像F(n)の表示が行われる(図5(A))。これにより、液晶表示部30の各水平ラインに係る画素Pixは、画素信号が書き込まれてから次に書き込まれるまでの期間(表示期間Pdisp)に、その画素信号に対して応答し、表示期間Pdispの期間内にほぼ応答を完了する。
【0040】
ケースC1では、図4(A)に示したように、ボール9が領域Z1において移動している。このことは、画素信号は、領域Z1ではフレーム期間ごとに大きく変化し、一方、領域Z2,Z3では殆ど変化しないことを意味している。よって、領域Z1内に位置する重心位置CG1に対応する水平ラインでは、画素Pixは、図5(B)に示したように、タイミングt11において画素信号が書き込まれ、タイミングt11〜t12の期間(表示期間Pdisp)に、その画素信号に対して応答して光透過率が変化する。一方、領域Z2,Z3では、画素Pixの光透過率は殆ど変化しない。
【0041】
バックライト駆動部13は、重心位置CGに基づいて、バックライト40を駆動する。具体的には、ケースC1では、バックライト駆動部13は、重心位置CG1に対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図5(C))。すなわち、バックライト40は、重心位置CG1に係る画素Pixが画素信号に対する応答をほぼ完了したタイミングで発光するため、観察者が、画素Pixの過渡的な応答を観察するおそれを低減することができる。このように、表示装置1は、動きのある領域Z1における表示に適したタイミングで、バックライト40を発光させるため、画質を高めることができる。
【0042】
なお、この例では、重心位置CG1に対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けたが、これに限定されるものではなく、観察者が画質の低下を感じない範囲で、表示期間Pdispの最後部からややずれていてもよい。
【0043】
図6は、ケースC2における、表示装置1の表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)は液晶表示部30の画素Pixにおける光透過率を示し、(C)はバックライト40の動作を示す。図7は、ケースC3における、表示装置1の表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)は液晶表示部30の画素Pixにおける光透過率を示し、(C)はバックライト40の動作を示す。
【0044】
ケースC2では、図4(B)に示したように、ボール9が領域Z2において移動している。よって、領域Z2内に位置する重心位置CG2に対応する水平ラインでは、画素Pixは、図6(B)に示したように、タイミングt13において画素信号が書き込まれ、タイミングt13〜t14の期間(表示期間Pdisp)に、その画素信号に対して応答して光透過率が変化する。一方、領域Z1,Z3では、画素Pixの光透過率は殆ど変化しない。バックライト駆動部13は、この重心位置CG2に対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図6(C))。このように、表示装置1は、ケースC2では、動きのある領域Z2における表示に適したタイミングで、バックライト40を発光させるため、ケースC1の場合と同様に、画質を高めることができる。
【0045】
ケースC3についても全く同様である。すなわち、ケースC3では、図4(C)に示したように、ボール9が領域Z3において移動している。よって、領域Z3内に位置する重心位置CG3に対応する水平ラインでは、画素Pixは、図7(B)に示したように、タイミングt15において画素信号が書き込まれ、タイミングt15〜t16の期間(表示期間Pdisp)に、その画素信号に対して応答して光透過率が変化する。一方、領域Z1,Z2では、画素Pixの光透過率は殆ど変化しない。バックライト駆動部13は、この重心位置CG3に対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図7(C))。このように、表示装置1は、ケースC3では、動きのある領域Z3における表示に適したタイミングで、バックライト40を発光させるため、ケースC1の場合と同様に、画質を高めることができる。
【0046】
表示装置1では、動きのある領域における表示に適したタイミングで、バックライト40を発光させる。すなわち、図5(B),図6(B),図7(B)に示したように、動きの無い領域では、画素Pixの光透過率は時間によらずほぼ一定であるため、表示装置1は、これらの領域では、どのタイミングでバックライト40を発光させても、ほぼ同じ映像を表示することができる。一方、動きのある領域では、上述したように、観察者が、画素Pixの過渡的な応答を観察しないようにするため、画素信号に対する応答をほぼ完了したタイミングでバックライト40を発光させる必要がある。表示装置1では、この動きのある領域における表示に適したタイミングで、バックライト40を発光させることにより、動画を表示する際の画質を高めることができる。
【0047】
以上では、表示画面Sの領域Z1〜Z3のうちの1つの領域においてのみ動きがある場合について説明した。次に、表示画面Sの領域Z1〜Z3のうちの複数の領域において動きがある場合について説明する。
【0048】
図8は、領域Z1,Z2内を、それぞれボール9A,9Bが同じ速度で移動している場合(ケースC4)の、バックライト駆動部13の動作を表すものである。図9は、この場合における、表示装置1の表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。
【0049】
ケースC4では、動き量Nは、図8に示したように、領域Z1,Z2において同じ値になる。よって、重心位置CG4は、領域Z1と領域Z2の境界位置となる。バックライト駆動部13は、この重心位置CG4に対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図9(B))。
【0050】
図10は、領域Z1,Z2内を、それぞれボール9A,9Bが異なる速度で移動している場合(ケースC5)の、バックライト駆動部13の動作を表すものである。図11は、この場合における、表示装置1の表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。
【0051】
ケースC5では、ボール9Aは、ボール9Bよりも速い速度で移動しているため、図10に示したように、領域Z1における動き量Nは、領域Z2における動き量Nよりも大きい値になる。よって、重心位置CG5は、領域Z1と領域Z2の境界よりもやや領域Z1側の位置となる。バックライト駆動部13は、この重心位置CG5に対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図11(B))。
【0052】
図12は、領域Z1〜Z3内を、それぞれボール9A〜9Cが同じ速度で移動している場合(ケースC6)の、バックライト駆動部13の動作を表すものである。図13は、この場合における、表示装置1の表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。
【0053】
ケースC6では、動き量Nは、図12に示したように、領域Z1〜Z3において同じ値になる。よって、重心位置CG6は、領域Z2の線順次走査方向における中心位置となる。バックライト駆動部13は、この重心位置CG6に対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図13(B))。
【0054】
このように、表示装置1は、表示画面Sの領域Z1〜Z3のうちの複数の領域において動きがある場合でも、その動きのある領域における表示に適したタイミングでバックライト40を発光させることにより、画質を高めることができる。
【0055】
[効果]
以上のように本実施の形態では、液晶表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいてバックライトの発光タイミングを制御するようにしたので、常に固定されたタイミングでバックライトを発光させる場合に比べて、動画を表示する際の画質を高めることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、液晶表示部を複数の領域に区分し、動き量の重心位置に基づいてバックライトの発光タイミングを制御するようにしたので、例えば、複数の領域において動きがある場合でも、動きがあるそれらの領域における表示に適したタイミングでバックライトを発光させることができるため、画質を高めることができる。
【0057】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、液晶表示部30を3つの領域Z1〜Z3に区分したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、2つの領域に区分してもよいし、4つ以上の領域に区分してもよい。例えば、液晶表示部30の線順次走査方向の画素数と同じ数に区分してもよい。この場合、各領域は水平ラインに対応する。図14は、各領域を水平ラインで構成する場合の、バックライト駆動部13Bの動作を表すものである。バックライト駆動部13Bは、まず、動きベクトル検出部12から供給された動きベクトル信号Svに基づいて、各水平ラインにおける映像の動き量Nを求め、その動き量Nの分布を得る(図14の右図)。そして、バックライト駆動部13Bは、この動き量Nの分布に基づいて、線順次走査方向の動き量Nの重心位置CGを求める。そして、バックライト駆動部13Bは、その重心位置CGに応じたタイミングでバックライト40が発光するように、バックライト40を駆動する。
【0058】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、映像信号Sdispに基づくフレームレート(周期T0)で表示を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばフレームレート変換を行ってもよい。以下に、この例について詳細に説明する。
【0059】
図15は、本変形例に係る表示装置1Cの一構成例を表すものである。表示装置1は、フレームレート変換部19と、液晶表示部30Cとを備えている。フレームレート変換部19は、時系列上において互いに隣接する2つのフレーム画像Fに基づいて、補間フレーム画像Fiを生成し、フレーム画像Fと補間フレーム画像Fiとを交互に出力することにより、フレームレートを2倍に変換する回路である。フレームレート変換部19は、動きベクトル検出部12Cを有している。動きベクトル検出部12Cは、上記実施の形態に係る動きベクトル検出部12と同様の機能を有している。フレームレート変換部19は、この動きベクトル検出部12Cが生成する動きベクトルに基づいて、2つのフレーム画像Fから補間フレーム画像Fiを生成する。液晶表示部30Cは、いわゆる2倍速駆動に対応した液晶表示パネルである。
【0060】
図16は、表示装置1Cにおける表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30Cの動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。この例は、ボール9が領域Z1内を移動している場合(ケースC1,図4(A))を示している。また、図16(A)において、例えば、“Fi(n)”は液晶表示部30がn番目の補間フレーム画像Fi(n)の表示を行っていることを示している。
【0061】
表示装置1Cでは、周期T0において、フレーム画像Fに係る線順次走査、および補間フレーム画像Fiに係る線順次走査を行う。各線順次走査の周期T1は、例えば、8.3[msec](=T0/2)である。
【0062】
液晶表示部30Cでは、タイミングt3〜t4の期間において線順次走査が行われ、フレーム画像F(n)の表示が行われる(図16(A))。これにより、各水平ラインに係る画素Pixは、画素信号が書き込まれてから次に書き込まれるまでの表示期間PdispAに、その画素信号に対して応答する。バックライト駆動部13は、ケースC1に係る重心位置CG1に対応する水平ラインに係る表示期間PdispAの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図16(B))。
【0063】
次に、液晶表示部30Cでは、タイミングt4〜t5の期間において、線順次走査が行われ、補間フレーム画像Fi(n)の表示が行われる(図16(A))。各水平ラインに係る画素Pixは、画素信号が書き込まれてから次に書き込まれるまでの表示期間PdispBに、その画素信号に対して応答する。バックライト駆動部13は、ケースC1に係る重心位置CG1に対応する水平ラインに係る表示期間PdispBの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する(図16(B))。
【0064】
[変形例1−3]
上記実施の形態では、バックライト40は、バックライトの全面が同じタイミングで発光したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、複数の部分発光部を有するように構成し、各部分発光部が独立して発光するように構成してもよい。以下に、詳細に説明する。
【0065】
図17は、本変形例に係る表示装置1Dの一構成例を表すものである。表示装置1Dは、バックライト50と、バックライト駆動部13Dとを備えている。
【0066】
バックライト50は、この例では、線順次走査方向に並設された2つの部分発光部50A,50Bを有している。これらの部分発光部50A,50Bは、独立して発光できるように構成されている。液晶表示部30は、この例では、6つの領域ZA1〜ZA3,ZB1〜ZB3に区分されている。そして、部分発光部50Aから射出した光は、液晶表示部30における対応する領域ZA1〜ZA3に入射するようになっており、部分発光部50Bから射出した光は、液晶表示部30における対応する領域ZB1〜ZB3に入射するようになっている。
【0067】
バックライト駆動部13Dは、動きベクトル信号Svに基づいて、各画素の動きベクトルの大きさを、領域ZA1〜ZA3,ZB1〜ZB3のそれぞれにおいて積分することにより、各領域における映像の動き量Nを求め、その後、領域ZA1〜ZA3における動き量Nの分布に基づいて、この領域における動き量Nの重心位置CGAを求めるとともに、領域ZB1〜ZB3における動き量Nの分布に基づいて、この領域における動き量Nの重心位置CGBを求める。そして、バックライト駆動部13Dは、その重心位置CGAに応じたタイミングで部分発光部50Aが発光し、重心位置CGBに応じたタイミングで部分発光部50Bが発光するように、バックライト50を駆動する。
【0068】
図18は、領域ZA1,ZB2内を、それぞれボール9A,9Bが移動している場合の、バックライト駆動部13Dの動作を表すものである。この場合、動き量Nは、領域ZA1,ZB2において大きな値となる。バックライト駆動部13Dは、この動き量Nの分布に基づいて、領域ZA1〜ZA3における動き量Nの重心位置CGAと、領域ZB1〜ZB3における動き量Nの重心位置CGBを求める。
【0069】
図19は、図18に示した場合における、表示装置1Dの表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B),(C)はバックライト50の部分発光部50A,50Bの動作をそれぞれ示す。バックライト駆動部13Dは、部分発光部50Aに対しては、重心位置CGAに対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設け(図19(B))、部分発光部50Bに対しては、重心位置CGBに対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように(図19(C))、バックライト50を駆動する。
【0070】
なお、この例では、バックライト50は、2つの部分発光部50A,50Bを有するように構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、3つ以上の部分発光部を有するように構成してもよい。
【0071】
[変形例1−4]
上記実施の形態では、バックライト駆動部13は、各領域Z1〜Z3の動き量Nの重心位置CGに基づいてバックライト40の発光タイミングを制御したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、領域Z1〜Z3のうち、動き量Nが最大になる領域に基づいてバックライト40の発光タイミングを制御してもよい。具体的には、例えば、領域Z1における動き量Nが最大になった場合には、領域Z1の線順次走査方向における中心位置に基づいて、上記実施の形態と同様に発光タイミングを制御することができる。また、仮に、複数の領域において動き量Nが最大になった場合には、この複数の領域の重心位置に基づいて、上記実施の形態と同様に発光タイミングを制御してもよい。
【0072】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る表示装置2について説明する。本実施の形態は、領域Z1〜Z3のうち、観察者が注目する可能性が高い領域における動き量Nを大きくするように補正するものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
表示装置2は、図1に示したように、バックライト駆動部63を備えている。バックライト駆動部63は、上記第1の実施の形態に係るバックライト駆動部13と同様に、動きベクトル信号Svに基づいて、領域Z1〜Z3のそれぞれにおける映像の動き量Nを求め、その後、領域Z1〜Z3における動き量Nの分布に基づいて、動き量Nの重心位置CGを求め、その重心位置CGに応じたタイミングでバックライト40が発光するように、バックライト40を駆動する。その際、バックライト駆動部63は、領域Z1〜Z3のうち、表示画面Sの中央に位置する領域Z2における動き量Nを大きくするように補正する。
【0074】
図20は、バックライト駆動部63の一動作例を表すものである。この例では、表示画面Sに表示される映像は、動いている電車から風景を撮影したものである。この例では、遠くにある山は領域Z1,Z2内をゆっくり移動し、近くにある木々は領域Z3内を速く移動する。
【0075】
バックライト駆動部63は、領域Z1〜Z3における動き量Nのうち、領域Z2の動き量Nをより大きい値(この例では10倍)に補正する(図20の右図)。そして、バックライト駆動部63は、この補正された動き量Nの分布に基づいて、重心位置CGを求める。そしてバックライト駆動部63は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、この重心位置CGに対応する水平ラインに係る表示期間Pdispの最後部に発光期間PLを設けるように、バックライト40を駆動する。すなわち、表示装置2は、重心位置CG(領域Z2)における表示に適したタイミングでバックライト40を発光させる。
【0076】
一般に、観察者は、表示画面Sの端よりも表示画面Sの中央部を注目する可能性が高いと考えられる。よって、表示装置2では、バックライト駆動部63は、表示画面Sの中央に位置する領域Z2における動き量Nを大きい値に補正する。これにより、重心位置CGを、観察者が注目する可能性が高い表示画面Sの中央に近づけることができる。
【0077】
図20の例において、仮に、このような補正を行わない場合には、重心位置CGRは、領域Z3内に位置することとなる。すなわち、この例では、領域Z3における木々の動きが速いため、重心位置CGRは、その木々が表示される領域Z3に位置する。よって、この場合には、表示装置は、重心位置CGR(領域Z3)における表示に適したタイミングでバックライト40を発光させることとなる。しかしながら、この例では、観察者は、表示画面Sの中央部に表示された山に注目する可能性が高いと考えられるため、表示装置は、その山が表示された領域Z1〜Z2における表示に適したタイミングでバックライト40を発光することが望ましい。
【0078】
表示装置2では、バックライト駆動部63は、図20に示したように、表示画面Sの中央に位置する、観察者が注目する可能性が高い領域Z2における動き量Nを、大きい値に補正する。これにより、表示装置2では、重心位置CGを、観察者が注目する可能性が高い表示画面Sの中央に近づけることができ、動画を表示する際の画質を高めることができる。
【0079】
以上のように本実施の形態では、領域Z2における動き量を大きい値に補正するようにしたので、動画を表示する際の画質を高めることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0080】
[変形例2−1]
上記実施の形態では、表示画面Sの中央に位置する領域Z2における動き量Nを大きい値に補正したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、それ以外の領域Z1,Z3における動き量Nを小さい値に補正してもよい。
【0081】
[変形例2−2]
上記実施の形態では、動き量Nを補正する領域を領域Z2に固定したが、これに限定されるものではなく、動き量Nを補正する領域を動的に変更するようにしてもよい。以下に、この場合の例を詳細に説明する。
【0082】
図21は、本変形例に係る表示装置2Bの一構成例を表すものである。表示装置2Bは、制御部61と、顔検出部64と、バックライト駆動部63Bとを備えている。制御部61は、映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部20、動きベクトル検出部12、顔検出部64、バックライト駆動部63がお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部61は、顔検出部64に対して、映像信号Sdispおよび顔検出制御信号を供給するものである。顔検出部64は、映像信号Sdispに基づいて、表示画面Sに表示されるべき人の顔を検出し、表示画面Sにおける顔の位置や大きさなどを求め、これらの情報(顔検出情報IF)をバックライト駆動部63Bに供給するものである。バックライト駆動部63Bは、バックライト駆動部63の機能に加え、さらにこの顔検出情報IFに基づいて、領域Z1〜Z3のうちの、動き量Nを補正する領域を選択する機能を有している。
【0083】
図22は、バックライト駆動部63Bの一動作例を表すものである。この例では、表示画面Sに表示される映像は、ビデオカメラの撮影方向を変化させながら撮影したものである。この例では、雲、木、人物(顔)が領域Z1〜Z3内をそれぞれ移動している。すなわち、この例では、雲、木、人物(顔)の表示画面S内における移動速度はほぼ同じである。
【0084】
顔検出部64は、表示画面Sに表示されるべき顔を検出し、顔検出情報IFをバックライト駆動部63Bに供給する。バックライト駆動部63Bは、その顔検出情報IFに基づいて、顔が表示される領域(この例では領域Z1)を特定する。そして、バックライト駆動部63Bは、顔が表示される領域(領域Z1)の動き量Nをより大きい値(この例では10倍)に補正し(図22の右図)、補正された動き量Nの分布に基づいて、重心位置CGを求める。
【0085】
一般に、観察者は、表示画面Sに人物(顔)が表示された場合には、その顔に注目する可能性が高いと考えられる。よって、表示装置2Bでは、バックライト駆動部63Bは、その顔が表示されるべき領域(この例では領域Z3)における動き量Nを大きい値に補正する。これにより、重心位置CGを、このような補正を行わない場合における重心位置CGRよりも、顔が表示されるべき領域Z3に近づけることができ、領域Z3における表示により適したタイミングでバックライト40を発光させることにより、画質を高めることができる。
【0086】
なお、この例では、人物の顔を検出するようにしたが、これに限定されるものではなく、観察者が注目する可能性が高いものであれば、どのようなものを検出してもよい。
【0087】
[変形例2−3]
上記実施の形態に係る表示装置1に、上記第1の実施の形態の変形例1−1〜1−4を適用してもよい。
【0088】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0089】
例えば、上記の各実施の形態等では、バックライト駆動部13,63は、線順次走査方向の動き量Nの重心位置CGを求め、その重心位置CGに応じたタイミングでバックライト40が発光するように、バックライト40を駆動したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、バックライト40が発光するタイミングが徐々に変化するようにバックライト40を駆動してもよい。具体的には、例えば、IIR(Infinite impulse response)フィルタを設け、求めた重心位置CGをこのIIRフィルタに入力し、その出力(重心位置CGF)に応じたタイミングでバックライト40が発光するようにすることができる。図23は、本変形例に係る表示装置1Fにおける重心位置CGFの移動を表すものである。この例では、表示画面S上のボール9の位置が、タイミングt9において、ケースC1(図4(A))からケースC2(図4(B))に変化した場合の、重心位置CGFの移動を示している。図23に示したように、重心位置CGFは、ケースC1における重心位置CG1から、ケースC2における重心位置CG2へ、時定数τで徐々に変化する。これにより、バックライト40の発光タイミングは、タイミングt9において急激に変化することなく、時定数τで徐々に変化する。これにより、表示装置1Fでは、バックライト40の発光タイミングが急激に変化することがないため、観察者が表示画像を不自然に感じるおそれを低減することができる。
【0090】
例えば、上記の各実施の形態等では、液晶表示部30およびバックライト40を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置、EL(Electro Luminescence)表示装置、LEDを表示素子とするLED表示装置を用いてもよい。以下に、一例として、上記第1の実施の形態において、液晶表示部30およびバックライト40に代えてEL表示部を用いた場合について説明する。
【0091】
図24は、本変形例に係る表示装置1Gの一構成例を表すものである。表示装置1Gは、表示制御部13Gと、表示駆動部20Gと、EL表示部30Gとを備えている。表示制御部13Gは、動きベクトル信号Svに基づいて領域Z1〜Z3における動き量Nを求めた後、線順次走査方向の動き量Nの重心位置CGを求め、その重心位置CGに応じて、表示駆動部20Gを制御する。表示駆動部20Gは、制御部11から供給される映像信号Sdisp、および表示制御部13Gから供給される制御信号に基づいて、EL表示部30Gを駆動するものである。具体的には、表示駆動部20Gは、EL表示部30Gが、重心位置CGに係る水平ラインにおける表示に最適なタイミングで発光するように、EL表示部30Gを駆動する。EL表示部30Gは、EL表示素子により構成されるものであり、例えば有機EL素子が適用可能である。
【0092】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0093】
(1)表示画面から間欠的に表示光が発せられるように制御される表示部と、
前記表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいて、前記表示光が発せられる表示光タイミングを制御する制御部と
を備えた表示装置。
【0094】
(2)前記表示部は、線順次走査方向において複数の部分表示領域に区分され、
前記制御部は、各部分表示領域における映像の動き量に基づいて前記表示光タイミングを制御する
前記(1)に記載の表示装置。
【0095】
(3)前記制御部は、各部分表示領域の映像の動き量に基づいて、線順次走査方向における動き量の重心位置を求め、その重心位置に基づいて前記表示光タイミングを制御する
前記(2)に記載の表示装置。
【0096】
(4)前記制御部は、前記表示光タイミングを、前記重心位置に対応する水平ラインが表示される表示期間の最後部またはその近傍に設定する
前記(3)に記載の表示装置。
【0097】
(5)前記制御部は、前記複数の部分表示領域のうち、前記映像の動き量が一番大きい部分表示領域を特定し、その特定された部分表示領域に基づいて前記表示光タイミングを制御する
前記(2)に記載の表示装置。
【0098】
(6)前記制御部は、前記表示光タイミングを、前記特定された部分表示領域に対応する水平ラインが表示される表示期間の最後部またはその近傍に設定する
前記(5)に記載の表示装置。
【0099】
(7)前記制御部は、複数の前記部分表示領域のうち、所定の部分表示領域における動き量を大きくするように補正する
前記(2)から(6)のいずれかに記載の表示装置。
【0100】
(8)前記所定の部分表示領域は、表示画面の中央付近に位置している
前記(7)に記載の表示装置。
【0101】
(9)表示すべき画像において所定画像を識別する画像識別部を備え、
前記所定の部分表示領域は、前記所定画像が識別された部分表示領域である
前記(7)に記載の表示装置。
【0102】
(10)前記所定画像は顔画像である
前記(9)に記載の表示装置。
【0103】
(11)前記部分表示領域は、複数の水平ラインからなる領域である
前記(2)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0104】
(12)前記部分表示領域は、1本の水平ラインからなる領域である
前記(2)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0105】
(13)前記制御部は、複数のフレーム期間にわたって、前記表示光タイミングが徐々に変化するように制御する
前記(1)から(12)のいずれかに記載の表示装置。
【0106】
(14)前記表示部は、液晶表示部と、バックライトとを有する
前記(1)から(13)のいずれかに記載の表示装置。
【0107】
(15)前記バックライトは複数の部分発光部を有し、
前記液晶表示部は、各部分発光部に対応する領域において、複数の部分表示領域に区分され、
前記制御部は、前記部分発光部ごとに、対応する複数の部分表示領域のそれぞれにおける映像の動き量に基づいて発光タイミングを制御する
前記(14)に記載の表示装置。
【0108】
(16)前記表示部は、エレクトロルミネッセンス表示部である
前記(1)から(13)のいずれかに記載の表示装置。
【0109】
(17)表示部に表示されるべき映像の動き量を検出し、その動き量に基づいて、表示画面から間欠的に発せられる表示光のタイミングを制御し、映像表示を行う
表示方法。
【符号の説明】
【0110】
1,1C,1D,1F,1G,2,2B…表示装置、9,9A〜9C…ボール、11…制御部、12,12C…動きベクトル検出部、13,13D,63,63B…バックライト駆動部、13G…表示制御部、64…顔検出部、19…フレームレート変換部、20,20G…表示駆動部、21…タイミング制御部、22…ゲートドライバ、23…データドライバ、30,30C…液晶表示部、30G…EL表示部、40,50…バックライト、50A,50B…部分発光部、CG,CG1〜CG6,CGA,CGB…重心位置、Cs…保持容量素子、CSL…保持容量線、GCL…ゲート線、IF…顔検出情報、LC…液晶素子、N…動き量、Pdisp…表示期間、Pix…画素、PL…発光期間、S…表示画面、Sdisp,Sdisp2…映像信号、SGL…データ線、Sv…動きベクトル信号、Tr…TFT素子、T0,T1…周期、Z1〜Z3,ZA1〜ZA3,ZB1〜ZB3…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面から間欠的に表示光が発せられるように制御される表示部と、
前記表示部に表示されるべき映像の動き量に基づいて、前記表示光が発せられる表示光タイミングを制御する制御部と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、線順次走査方向において複数の部分表示領域に区分され、
前記制御部は、各部分表示領域における映像の動き量に基づいて前記表示光タイミングを制御する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、各部分表示領域の映像の動き量に基づいて、線順次走査方向における動き量の重心位置を求め、その重心位置に基づいて前記表示光タイミングを制御する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記表示光タイミングを、前記重心位置に対応する水平ラインが表示される表示期間の最後部またはその近傍に設定する
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の部分表示領域のうち、前記映像の動き量が一番大きい部分表示領域を特定し、その特定された部分表示領域に基づいて前記表示光タイミングを制御する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記表示光タイミングを、前記特定された部分表示領域に対応する水平ラインが表示される表示期間の最後部またはその近傍に設定する
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、複数の前記部分表示領域のうち、所定の部分表示領域における動き量を大きくするように補正する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項8】
前記所定の部分表示領域は、表示画面の中央付近に位置している
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
表示すべき画像において所定画像を識別する画像識別部を備え、
前記所定の部分表示領域は、前記所定画像が識別された部分表示領域である
請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記所定画像は顔画像である
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記部分表示領域は、複数の水平ラインからなる領域である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項12】
前記部分表示領域は、1本の水平ラインからなる領域である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項13】
前記制御部は、複数のフレーム期間にわたって、前記表示光タイミングが徐々に変化するように制御する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示部は、液晶表示部と、バックライトとを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
前記バックライトは複数の部分発光部を有し、
前記液晶表示部は、各部分発光部に対応する領域において、複数の部分表示領域に区分され、
前記制御部は、前記部分発光部ごとに、対応する複数の部分表示領域のそれぞれにおける映像の動き量に基づいて発光タイミングを制御する
請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示部は、エレクトロルミネッセンス表示部である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
表示部に表示されるべき映像の動き量を検出し、その動き量に基づいて、表示画面から間欠的に発せられる表示光のタイミングを制御し、映像表示を行う
表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−101258(P2013−101258A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245590(P2011−245590)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】