説明

表示装置および表示方法

【課題】消費電力を低減することができる表示装置を得る。
【解決手段】映像信号に基づいて画像を表示する液晶表示部と、バックライトと、表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける映像信号のピークレベルと、表示画面上の参照位置と係数データとを関連づけて構成されたデータマップから取得した係数データとに基づいて、映像信号を補正するとともに、バックライトの輝度を設定する処理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示素子を有する表示装置、およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置においては、CRT(Cathode Ray Tube)から液晶表示装置などの薄型表示装置への移行が進んでいる。特に液晶表示装置は、低消費電力が実現できることから、薄型表示装置の主流になりつつなる。
【0003】
液晶表示装置については、さらなる消費電力の低減を目的としたいくつかの技術が提案されている。例えば、特許文献1,2には、バックライトを複数の領域に分割し、映像信号の輝度情報に応じて、その領域ごとにバックライトの発光輝度を独立して制御(部分駆動)する表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−42652号公報
【特許文献2】特開2010−113099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、エコロジーが注目を集めており、液晶表示装置では、さらなる消費電力の低減が望まれている。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、消費電力を低減することができる表示装置および表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の表示装置は、液晶表示部と、バックライトと、処理部とを備えている。液晶表示部は、映像信号に基づいて画像を表示するものである。処理部は、表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける映像信号のピークレベルと、表示画面上の参照位置と係数データとを関連づけて構成されたデータマップから取得した係数データとに基づいて、映像信号を補正するとともに、バックライトの輝度を設定するものである。
【0008】
本開示の第2の表示装置は、液晶表示部と、バックライトと、処理部とを備えている。液晶表示部は、映像信号に基づいて画像を表示するものである。処理部は、表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける映像信号のピークレベルと、そのピークレベルが生じる表示画面上の位置であるピーク位置とに基づいて、映像信号を補正するとともに、バックライトの輝度を設定するものである。
【0009】
本開示の第3の表示装置は、液晶表示部と、バックライトと、処理部とを備えている。液晶表示部は、映像信号に基づいて画像を表示するものである。バックライトは、複数の部分発光部を有するものである。処理部は、各部分発光部に対応する部分表示領域における映像信号のピークレベルと、その部分表示領域の位置とに基づいて、映像信号を補正するとともに、部分発光部の輝度を設定するものである。
【0010】
本開示の表示方法は、表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける映像信号のピークレベルと、表示画面上の位置と係数データとを関連づけて構成されたデータマップから取得した係数データとに基づいて、映像信号を補正するとともに、バックライトの輝度を設定し、補正された映像信号に基づいて画像を表示するものである。
【0011】
本開示の第1の表示装置および表示方法では、映像信号に基づいて、液晶表示部において表示が行われる。その際、ピークレベルと、データマップから取得した係数データとに基づいて、映像信号が補正されるとともに、バックライトの輝度が設定され、その補正された映像信号に基づいて表示が行われる。
【0012】
本開示の第2の表示装置では、映像信号に基づいて、液晶表示部において表示が行われる。その際、ピークレベルとピーク位置とに基づいて、映像信号が補正されるとともに、バックライトの輝度が設定され、その補正された映像信号に基づいて表示が行われる。
【0013】
本開示の第3の表示装置では、映像信号に基づいて、液晶表示部において表示が行われる。その際、ピークレベルと部分表示領域の位置とに基づいて、映像信号が補正されるとともに、その部分表示領域に対応する部分発光部の輝度が設定され、その補正された映像信号に基づいて表示が行われる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の第1の表示装置および表示方法によれば、ピークレベル、およびデータマップから取得した係数データに基づいて、映像信号を補正するとともに、バックライトの輝度を設定したので、消費電力を低減することができる。
【0015】
本開示の第2の表示装置によれば、ピークレベルおよびピーク位置に基づいて、映像信号を補正するとともに、バックライトの輝度を設定したので、消費電力を低減することができる。
【0016】
本開示の第3の表示装置によれば、ピークレベルおよび部分表示領域の位置に基づいて、映像信号を補正するとともに、部分発光部の輝度を設定したので、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した表示駆動部および液晶表示部の一構成例を表すブロック図である。
【図3】図1に示した液晶表示部の一構成例を表す回路図である。
【図4】図1に示したバックライトの一構成例を表す説明図である。
【図5】図1に示した表示画面を表す説明図である。
【図6】図1に示した補正データマップの一例を表す説明図である。
【図7】図1に示した信号処理部の一動作例を表すフローチャートである。
【図8】図1に示したピークレベル検出部の一動作例を表す模式図である。
【図9】図1に示したピークレベル補正部の一動作例を表す模式図である。
【図10】第1の実施の形態の変形例に係るピークレベル補正部の一動作例を表す模式図である。
【図11】第1の実施の形態の他の変形例に係るバックライトの一構成例を表す説明図である。
【図12】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示画面を表す説明図である。
【図13】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示画面を表す説明図である。
【図14】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図15】第2の実施の形態に係る表示画面および補正データマップの一例を表す説明図である。
【図16】第3の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図17】図16に示した補正データマップの一例を表す説明図である。
【図18】変形例に係る補正データマップの一例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すものである。表示装置1は、バックライトを有する透過型の液晶表示装置である。なお、本開示の実施の形態に係る表示方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0020】
表示装置1は、信号処理部10と、表示駆動部20と、液晶表示部30と、バックライト駆動部9と、バックライト40とを備えている。
【0021】
信号処理部10は、映像信号Sdispに基づいて、映像信号Sdisp2を生成するとともに、バックライト40の輝度を設定するものである。詳細については後述する。
【0022】
表示駆動部20は、信号処理部10から供給される映像信号Sdisp2に基づいて、液晶表示部30を駆動するものである。液晶表示部30は、液晶表示素子により構成された表示部であり、バックライト40から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。
【0023】
図2は、表示駆動部20および液晶表示部30のブロック図の一例を表すものである。 表示駆動部20は、タイミング制御部21と、ゲートドライバ22と、データドライバ23とを備えている。タイミング制御部21は、ゲートドライバ22およびデータドライバ23の駆動タイミングを制御するとともに、制御部11から供給された映像信号Sdisp2を映像信号Sdisp3としてデータドライバ23へ供給するものである。ゲートドライバ22は、タイミング制御部21によるタイミング制御に従って、液晶表示部30内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ23は、液晶表示部30の各画素Pixへ、映像信号Sdisp3に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ23は、映像信号Sdisp3に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0024】
液晶表示部30は、例えばガラスなどから構成される2枚の透明基板の間に液晶材料を封入したものである。これらの透明基板の液晶材料に面した部分には、例えばITO(Indium Tin Oxide)などから構成される透明電極が形成され、液晶材料とともに画素Pixを構成している。
【0025】
図3は、液晶表示部30の回路図の一例を表すものである。液晶表示部30は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。各画素Pixは、3つ(赤色、緑色、青色)のサブ画素SPixにより構成される。サブ画素SPixは、TFT素子Trおよび液晶素子LCを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースはデータ線SGLに接続され、ゲートはゲート線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。ゲート線GCLはゲートドライバ22に接続され、データ線SGLはデータドライバ23に接続されている。
【0026】
バックライト40は、バックライト駆動部14から供給される駆動信号に基づいて発光し、液晶表示部30に対してその光を射出するものである。
【0027】
図4は、バックライト40の一構成例を表すものである。バックライト40は、いわゆる直下型方式のバックライトであり、マトリックス状に配列した複数の部分発光部41を有している。部分発光部41は、この例では、LED(Light Emitting Diode)を用いて構成されている。なお、これに限定されるものではなく、例えばCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)により構成してもよい。部分発光部41は、それぞれ設定された輝度で、独立して発光することができる。部分発光部41から射出した光は、主に液晶表示部30における対応する領域(後述する部分表示領域31)を透過して、表示装置1から射出するようになっている。
【0028】
(信号処理部10)
次に、信号処理部10について、詳細に説明する。
【0029】
信号処理部10は、ピークレベル検出部11と、ピークレベル補正部12と、信号補正部13と、輝度設定部14とを備えている。
【0030】
ピークレベル検出部11は、映像信号Sdispにおいて、サブ画素SPixごとの信号レベルのうちの最も高い輝度を示すピークレベルPLを検出するものである。
【0031】
図5は、表示装置1の表示画面Sを模式的に表すものである。表示画面Sは、マトリックス状に配列した部分表示領域31に区分されている。部分表示領域31は、バックライト40の部分発光部41に対応するものである。すなわち、部分発光部41のそれぞれから射出した光は、対応する部分表示領域31を透過するようになっている。また、部分表示領域31は、複数(この例では2つ)の単位領域32に区分されている。
【0032】
ピークレベル検出部11は、部分表示領域31ごとに、映像信号SdispのピークレベルPLを検出する。このピークレベルPLは、最小信号レベルを“0”とし、最大信号レベルを“1”として規格化されたものである。ここで、最小信号レベルは、液晶素子LCにおける光透過率が最小になる映像信号Sdispの信号レベル(いわゆる黒レベル)であり、最大信号レベルは、液晶素子LCにおける光透過率が最大になる映像信号Sdispの信号レベル(いわゆる白レベル)である。そして、ピークレベル検出部11は、部分表示領域31ごとに、その部分表示領域31に属する2つの単位領域32のうちの、ピークレベルPLが検出された単位領域32の位置(ピーク位置PP)を、検出したピークレベルPLとともに、ピークレベル補正部12に供給するようになっている。
【0033】
ピークレベル補正部12は、ピークレベル検出部11から供給されたピークレベルPLおよびピーク位置PPに基づいて、ピークレベルPLを補正し、ピークレベルPL2を生成するものである。ピークレベル補正部12は、図1に示したように、補正データマップMAPを有しており、この補正データマップMAPを用いて、ピークレベルPLを補正するようになっている。
【0034】
図6は、補正データマップMAPの一例を表すものである。補正データマップMAPは、表示画面Sにおける補正データDTのマップを表すものである。この補正データDTは、単位領域32ごとに設定されている。
【0035】
この例では、補正データマップMAPには、補正データDTの値が互いに異なる3つの領域RA〜RCが設定されている。領域RAは、表示画面Sの中央付近に設定され、領域RBは、その領域RAを取り囲むように設定され、領域RCは、その領域RBの外側に設定されている。補正データDTは、領域RAでは“1.0”に設定され、領域RBでは“0.9”に設定され、領域RCでは“0.8”に設定されている。
【0036】
ピークレベル補正部12は、ピークレベル検出部11から供給された、部分表示領域31ごとのピークレベルPLおよびピーク位置PPに基づいて、この補正データマップMAPを用いて、ピークレベルPLを補正する。具体的には、後述するように、ピークレベル補正部12は、まず、補正データマップMAPを用いて、そのピーク位置PPが示す単位領域32における補正データDTを取得する。そして、ピークレベル補正部12は、この補正データDTと、その単位領域32を含む部分表示領域31におけるピークレベルPLと掛け合わせることにより、ピークレベルPLを補正して、ピークレベルPL2を生成する。そして、ピークレベル補正部12は、ピークレベルPL2に基づいて、関数F1により、ゲイン係数G1を求め、信号補正部13に対して供給する。ここで、関数F1は、ピークレベルPL2が小さいほど、ゲイン係数G1が大きくなるような関数である。同様に、ピークレベル補正部12は、ピークレベルPL2に基づいて、関数F2により、輝度係数G2を求める。ここで、関数F2は、ピークレベルPL2が大きいほど、輝度係数G2が大きくなるような関数である。なお、この例では、関数F1,F2を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばLUT(Look Up Table)を用いるようにしてもよい。
【0037】
信号補正部13は、各部分表示領域31のゲイン係数G1に基づいて、部分表示領域31ごとに、映像信号Sdispの信号レベルを補正し、映像信号Sdisp2として出力するものである。具体的には、信号補正部13は、後述するように、部分表示領域31ごとに、映像信号Sdispの信号レベルに対してゲイン係数G1を乗算することにより補正を行うようになっている。
【0038】
輝度設定部14は、各部分表示領域31の輝度係数G2に基づいて、バックライト40の部分発光部41のそれぞれの輝度を設定するものである。具体的には、輝度設定部14は、後述するように、その部分表示領域31に対応する部分発光部41の輝度を、輝度係数G2に比例する輝度に設定するようになっている。
【0039】
ここで、補正データマップMAPは、本開示における「データマップ」の一具体例に対応し、補正データDTは、本開示における「係数データ」の一具体例に対応する。信号処理部10は、本開示における「処理部」の一具体例に対応する。領域RA〜RCは、本開示における「係数データ領域」の一具体例に対応し、領域RAは、本開示における「特定の係数データ領域」の一具体例に対応する。
【0040】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示装置1の動作および作用について説明する。
【0041】
(全体動作概要)
まず、図1等を参照して、表示装置1の全体動作概要を説明する。信号処理部10は、映像信号Sdispに基づいて、映像信号Sdisp2を生成するとともに、バックライト40の各部分発光部41の輝度を設定する。具体的には、ピークレベル検出部11は、部分表示領域31ごとに、映像信号SdispのピークレベルPLおよびピーク位置PPを検出する。ピークレベル補正部12は、ピークレベルPLおよびピーク位置PPに基づいて、補正データマップMAPを用いて、ピークレベルPLを補正してピークレベルPL2を生成し、このピークレベルPL2に基づいてゲイン係数G1および輝度係数G2を求める。信号補正部13は、ゲイン係数G1に基づいて、部分表示領域31ごとに映像信号Sdispを補正して映像信号Sdisp2を生成する。輝度設定部14は、輝度係数G2に基づいて、バックライト40の部分発光部41のそれぞれの輝度を設定する。
【0042】
表示駆動部20は、液晶表示部30を駆動する。液晶表示部30は、バックライト40から射出した光を変調することにより表示を行う。バックライト駆動部9は、バックライト40を駆動する。バックライト40の各部分発光部41は、バックライト駆動部9から供給される駆動信号に基づいて発光し、液晶表示部30に対してその光を射出する。
【0043】
(信号処理部10の動作)
次に、信号処理部10の動作について、詳細に説明する。
【0044】
図7は、信号処理部10の動作例を表すものである。信号処理部10は、部分表示領域31ごとに、供給された映像信号SdispのピークレベルPLを検出した後、補正データマップMAPを用いてこのピークレベルPLを補正してピークレベルPL2を生成し、そのピークレベルPL2に基づいて、ゲイン係数G1および輝度係数G2を求める。そして、信号処理部10は、そのゲイン係数G1に基づいて映像信号Sdispを補正するとともに、輝度係数G2に基づいてその部分表示領域31に対応する部分発光部41の輝度を設定する。以下に、その詳細を説明する。
【0045】
まず、信号処理部10のピークレベル検出部11は、部分表示領域31ごとに、映像信号SdispのピークレベルPLおよびピーク位置PPを検出する(ステップS1)。
【0046】
図8は、図5に示した単位領域A1〜A6における映像信号Sdispの規格化された信号レベルLA1〜LA6の一例を模式的に表すものである。信号レベルLA1〜LA6の各曲線において、横軸は、それぞれ、各単位領域A1〜A6に属する全てのサブ画素SPixを示している。すなわち、信号レベルLA1〜LA6の各曲線は、各単位領域A1〜A6に属する全てのサブ画素SPixに係る信号レベルを示している。
【0047】
図8に示した例において、例えば、単位領域A1,A2からなる部分表示領域31では、信号レベルLA1,LA2における最大値は0.5(ピークレベルPL)であり、最大値がある単位領域32は単位領域A1(ピーク位置PP)である。
【0048】
また、例えば、単位領域A3,A4からなる部分表示領域31では、信号レベルLA3,LA4における最大値は0.5(ピークレベルPL)であり、この最大値がある単位領域32は単位領域A4(ピーク位置PP)である。
【0049】
同様に、例えば、単位領域A5,A6からなる部分表示領域31では、信号レベルLA3,LA4における最大値は0.5(ピークレベルPL)であり、この最大値がある単位領域32は単位領域A6(ピーク位置PP)である。
【0050】
ピークレベル検出部11は、このようにして、全ての部分表示領域31において、ピークレベルPLおよびピーク位置PPを検出する。なお、この例では、説明の便宜上、このようにピークレベルPLは全て0.5にしたが、これに限定されるものではなく、0から1の範囲内のどのような値も取り得るものである。
【0051】
次に、信号処理部10のピークレベル補正部12は、ピークレベル検出部11が検出したピークレベルPLを補正する(ステップS2)。具体的には、ピークレベル補正部12は、まず、補正データマップMAPを用いて、ピーク位置PPが示す単位領域32における補正データDTを取得する。そして、ピークレベル補正部12は、この補正データDTと、部分表示領域31におけるピークレベルPLと、掛け合わせることにより、ピークレベルPLを補正してピークレベルPL2を生成する。
【0052】
例えば、単位領域A1,A2からなる部分表示領域31では、ピーク位置PPは単位領域A1であるので、ピークレベル補正部12は、補正データマップMAP(図6)を用いて、この単位領域A1における補正データDT(1.0)を取得する。すなわち、この部分表示領域31におけるピーク位置PP(単位領域A1)は、領域RAに属する。そして、ピークレベル補正部12は、この補正データDTをピークレベルPL(0.5)と掛け合わせることによりピークレベルPL2(0.5=1.0×0.5)を生成する。
【0053】
また、単位領域A3,A4からなる部分表示領域31では、ピークレベル補正部12は、ピーク位置PP(単位領域A4)における補正データDT(0.9)を取得する。すなわち、この部分表示領域31におけるピーク位置PP(単位領域A4)は、領域RBに属する。そして、ピークレベル補正部12は、この補正データDTおよびピークレベルPL(0.5)に基づいてピークレベルPL2(0.45=0.9×0.5)を生成する。
【0054】
同様に、単位領域A5,A6からなる部分表示領域31では、ピークレベル補正部12は、ピーク位置PP(単位領域A6)における補正データDT(0.8)を取得する。すなわち、この部分表示領域31におけるピーク位置PP(単位領域A6)は、領域RCに属する。そして、ピークレベル補正部12は、この補正データDTおよびピークレベルPL(0.5)に基づいてピークレベルPL2(0.4=0.8×0.5)を生成する。
【0055】
ピークレベル補正部12は、このようにして、全ての部分表示領域31において、ピークレベルPLを補正してピークレベルPL2を生成する。
【0056】
次に、信号処理部10は、映像信号Sdispの信号レベルを補正するとともに、バックライト40の各部分発光部41の輝度を設定する(ステップS3)。
【0057】
図9は、図8に示した信号レベルの場合におけるステップS3の処理例を表すものであり、(A)は、映像信号Sdispの信号レベルの補正を示し、(B)は、部分発光部41の輝度の設定を示す。
【0058】
信号処理部10のピークレベル補正部12は、部分表示領域31ごとに、ピークレベルPL2に基づいて、関数F1を用いてゲイン係数G1を求めるとともに、関数F2を用いて輝度係数G2を求める。そして、信号処理部10の信号補正部13は、図9(A)に示したように、部分表示領域31ごとに、映像信号Sdispの信号レベルにゲイン係数G1を乗算することにより、映像信号Sdispの信号レベルの補正を行う。また、信号処理部10の輝度設定部14は、図9(B)に示したように、部分表示領域31に対応する部分発光部41ごとに、輝度係数G2に比例する輝度に設定する。
【0059】
例えば、単位領域A1,A2からなる部分表示領域31では、信号補正部13は、映像信号Sdispの信号レベルに、ピークレベルPL2(0.5)に対応するゲイン係数G1を乗算するとともに(図9(A))、輝度設定部14は、対応する部分発光部41の輝度を、ピークレベルPL2(0.5)に対応する輝度係数G2に比例する輝度に設定する(図9(B))。
【0060】
また、例えば、単位領域A3,A4からなる部分表示領域31では、信号補正部13は、映像信号Sdispの信号レベルに、ピークレベルPL2(0.45)に対応するゲイン係数G1を乗算するとともに(図9(A))、輝度設定部14は、対応する部分発光部41の輝度を、ピークレベルPL2(0.45)に対応する輝度係数G2に比例する輝度に設定する(図9(B))。この単位領域A3,A4におけるピークレベルPL2(0.45)は、単位領域A1,A2におけるピークレベルPL2(0.5)よりも小さいため、単位領域A3,A4におけるゲイン係数G1は、単位領域A1,A2におけるゲイン係数G1よりも大きく、単位領域A3,A4における輝度係数G2は、単位領域A1,A2における輝度係数G2よりも小さい。
【0061】
同様に、例えば、単位領域A5,A6からなる部分表示領域31では、信号補正部13は、映像信号Sdispの信号レベルに、ピークレベルPL2(0.4)に対応するゲイン係数G1を乗算するとともに(図9(A))、輝度設定部14は、対応する部分発光部41の輝度を、ピークレベルPL2(0.4)に対応する輝度係数G2に比例する輝度に設定する(図9(B))。この単位領域A5,A6におけるピークレベルPL2(0.4)は、単位領域A3,A4におけるピークレベルPL2(0.45)よりも小さいため、単位領域A5,A6におけるゲイン係数G1は、単位領域A3,A4におけるゲイン係数G1よりも大きく、単位領域A5,A6における輝度係数G2は、単位領域A3,A4における輝度係数G2よりも小さい。
【0062】
信号処理部10は、このようにして、全ての部分表示領域31において、映像信号Sdispの信号レベルを補正するとともに、全ての部分発光部41の輝度を設定する。
【0063】
以上で、このフローは終了する。信号処理部10は、映像信号Sdispを介して供給された各フレーム画像に対して、このような処理を行う。
【0064】
このように、表示装置1では、部分表示領域31ごとに、映像信号Sdispの信号レベルに応じて、対応する部分発光部41の輝度を設定している。これにより、映像信号Sdispの信号レベル(ピークレベルPL)が低いほど、部分発光部41の輝度を下げることができるため、バックライト40の消費電力を低減することができる。
【0065】
次に、補正データマップMAPの作用について説明する。補正データマップMAPには、図6に示したように、補正データDTが互いに異なる3つの領域RA〜RCが設定されている。
【0066】
領域RA内にピーク位置PPが検出される部分表示領域31では、補正データDTが1.0であるため、画質を低下させることなく、対応する部分発光部41における輝度を低下させることができる。すなわち、例えば、単位領域A1,A2からなる部分表示領域31(図8,9の左)では、信号レベルをゲイン係数G1倍に補正するとともに、部分発光部41の輝度を輝度係数G2に比例するようにしている。このとき、補正後の信号レベルはいわゆる白レベルを超えることがないため(図9(A))、画質が低下することはない。よって、画質を低下させることなく、消費電力を低減することができる。
【0067】
また、領域RB内にピーク位置PPが検出される部分表示領域31では、補正データDTが0.9であるため、画質はやや低下するものの、対応する部分発光部41における輝度をより低下させることができる。すなわち、この部分表示領域31では、一部のサブ画素SPixに係る補正後の信号レベルは、白レベルを超え、飽和している(図9(A)の部分W1)。この場合、そのサブ画素SPixの輝度は、所望の輝度よりも低いものとなり、輝度が不足する。また、例えば、ある色のサブ画素SPixの信号レベルのみが飽和した場合には、いわゆる色ずれなどが生ずる。このように、補正後の信号レベルが飽和する場合には、輝度不足や色ずれにより、画質が低下するおそれがある。しかしながら、領域RBは、表示画面Sの中央付近に設定された領域RAを取り囲むように設定されているため(図6)、この領域RAに比べて、観察者が注目する可能性が低いと考えられる。よって、領域RBに係る部分表示領域31では、仮に色ずれなどが生じても、観察者が画質の低下を感じるおそれが低いと考えられる。一方、この領域RBに係る部分発光部41の輝度は、領域RAに係る部分発光部41の輝度よりも低下させることができるため(図9(B))、消費電力をより低減できる。
【0068】
同様に、領域RC内にピーク位置PPが検出される部分表示領域31では、補正データDTが0.8であるため、領域RAに係る部分表示領域31に比べて、画質はさらにやや低下するものの、対応する部分発光部41における輝度をより低下させることができ、消費電力をより低減できる。
【0069】
このように、表示装置1では、補正データマップMAPを設け、領域RA〜RCごとに、消費電力の低減効果を調整できるようにしている。すなわち、表示画面Sの中央付近に設定された、観察者が最も注目しやすい領域RAでは、画質を低下させることなく、消費電力を低減し、一方、領域RAを取り囲むように設定された、観察者が注目する可能性がより低い領域RB,RCでは、画質をやや犠牲にしつつ、消費電力をさらに低減するようにしている。これにより、表示装置1では、観察者が画質の低下を感じるおそれを抑えつつ、消費電力を効果的に低減することができる。
【0070】
[効果]
以上のように本実施の形態では、補正データマップを設けたので、部分表示領域ごとに消費電力の設定を調整することができ、自由度の高い電力制御を実現することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、部分表示領域を複数の単位領域に区分し、単位領域ごとに異なる補正データを設定できるようにしたので、部分表示領域/部分発光部の大きさなどに制限されることなく、領域RA〜RCの形状をより自由に設定することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、表示画面の中央付近から離れるに従って、消費電力の低減効果が大きくなるようにしたので、観察者が画質の低下を感じるおそれを抑えつつ、消費電力を効果的に低減することができる。
【0073】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、領域RA〜RCにおいて、補正データDTを1/0.9/0.8にそれぞれ設定したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、1/0.95/0.9のようにより細かく設定してもよいし、1/0.9/0.85のように細かさが変化するように設定してもよい。
【0074】
また、領域RAにおける補正データDTは1に限定されるものではなく、例えば、1.1/1/0.9のように設定してもよい。この場合の信号処理部10のステップS3における処理例を、図10に示す。本変形例の場合(図10)には、上記実施の形態の場合(図9)と比較すると明らかなように、補正後の信号レベルがやや低下するとともに、部分発光部41の輝度がやや高くなる。具体的には、領域RAに係る部分表示領域31(図10(A)の左)では、補正後の信号レベルの最大値と白レベルとの間にはマージンが生じている(部分W2)。また、領域RCに係る部分表示領域31(図10(A)の右)では、補正後の信号レベルの一部が、白レベルを超えるものの(部分W3)、その超える量は、上記実施の形態の場合(図9)に比べて小さくなっている。すなわち、本変形例では、上記実施の形態の場合に比べて、画質を改善することができる。
【0075】
また、上記実施の形態では、3つの領域RA〜RCを設けたが、これに限定されるものではなく、2つの領域を設けてもよいし、4つ以上の領域を設けてもよい。
【0076】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、直下型方式のバックライト40を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、エッジライト方式のバックライトを用いてもよい。以下に、エッジライト方式のバックライト40Bを備えた表示装置1Bについて説明する。
【0077】
図11は、エッジライト方式のバックライト40Bの一構成例を表すものである。バックライト40Bは、表示画面Sの上辺および下辺に、それぞれ複数(この例では4つ)の光源49が配置されている。そして、これらの光源49から射出した光は、導光板によって対応する部分発光部43全面に導かれ、液晶表示部30に対して射出する。
【0078】
図12は、表示装置1Bの表示画面Sを模式的に表すものである。表示画面Sは、バックライト40Bの部分発光部43(図11)に対応した複数の部分表示領域33に区分されている。そして、部分表示領域33は、それぞれ、複数(この例では16個)の単位領域32に区分されている。
【0079】
この場合でも、例えば、図6に示した補正データマップMAPを用いることにより、上記実施の形態に係る表示装置1と同様の効果を得ることができる。
【0080】
[変形例1−3]
上記実施の形態では、複数の部分発光部41を有するバックライト40を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、1つの発光部からなるバックライトを用いてもよい。この場合、表示画面Sは、図13に示したように、複数の単位領域32に区分されている。この場合でも、例えば、図6に示した補正データマップMAPを用いることにより、上記実施の形態に係る表示装置1と同様の効果を得ることができる。
【0081】
[変形例1−4]
上記実施の形態では、補正データマップMAPは固定されているものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、動作モードによって補正データマップMAPを変更可能に構成してもよい。例えば、表示装置1がテレビジョン受像機に適用されている場合において、いわゆるホームユースモードでは、領域RA〜RCにおける補正データDTをそれぞれ1/0.9/0.8に設定し、一方、画質優先モードでは、全て1に設定するように構成してもよい。また、補正データDTだけでなく、表示画面Sにおける領域RA〜RCの配置や、これらの領域の数なども変更可能に構成してもよい。
【0082】
また、例えば、映像ソースのコンテンツによって補正データマップを変更可能に構成してもよい。以下に、本変形例に係る表示装置1Fについて説明する。
【0083】
図14は、表示装置1Fの一構成例を表すものである。表示装置1Fは、信号処理部10Fを備えている。信号処理部10Fは、コンテンツ検出部15と、ピークレベル補正部12Fとを有している。コンテンツ検出部15は、映像信号Sdispに含まれるコンテンツ情報(スポーツ、ニュース、シネマ、アニメなどのジャンルを示す情報)に基づいて、そのコンテンツを検出するものである。ピークレベル補正部12Fは、コンテンツ検出部15の検出結果に基づいて、補正データマップMAPを変更できるように構成されたものである。具体的には、ピークレベル補正部12Fは、例えば、プリセットされた複数の補正データマップMAPの中から、コンテンツに応じた補正データマップMAPを選択するようになっている。スポーツ番組を表示する際の補正データマップMAPは、例えば、図6のようなものであってもよい。また、シネマ番組を表示する際の補正データマップMAPは、例えば、領域RA〜RCにおける補正データDTを全て1に設定したものであってもよい。なお、この例では、コンテンツ検出部15は、映像信号Sdispに含まれるコンテンツ情報に基づいて、そのコンテンツを検出したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばEPG(Electronic Program Guide)に基づいてコンテンツを検出してもよい。
【0084】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る表示装置2について説明する。本実施の形態は、各部分表示領域31を複数の単位領域32に区分せず、部分表示領域と単位領域とを一対一に対応させたものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0085】
本実施の形態に係る表示装置2は、図1に示したように、信号処理部60を備えている。信号処理部60は、ピークレベル検出部61と、ピークレベル補正部62とを有している。
【0086】
図15(A)は、表示装置2の表示画面Sを模式的に表すものであり、図15(B)は、補正データマップMAPの一例を表すものである。表示装置2の表示画面Sは、図15(A)に示したように、マトリックス状に配列した部分表示領域34に区分されている。部分表示領域34は、バックライト40の部分発光部41に対応するものである。この部分表示領域34は、上記第1の実施の形態に係る表示装置1の場合とは異なり、複数の単位領域に区分されておらず、単位領域と一対一に対応している。この補正データDTは、単位領域32ごとに設定されている。また、表示装置2に係る補正データマップMAPでは、補正データDTは、図15(B)に示したように、部分表示領域(単位領域)34ごとに設定されている。
【0087】
ピークレベル検出部61は、部分表示領域34ごとに、映像信号SdispのピークレベルPLを検出し、その検出結果を、その部分表示領域34の位置PRとともに、ピークレベル補正部62に供給する。すなわち、ピークレベル検出部61は、上記第1の実施の形態に係るピークレベル検出部11とは異なり、ピーク位置PPの代わりに部分表示領域34の位置PRをピークレベル補正部62に供給する。
【0088】
ピークレベル補正部62は、ピークレベル検出部61から供給された部分表示領域34ごとのピークレベルPLおよび位置PRに基づいて、補正データマップMAPを用いて、ピークレベルPLを補正する。具体的には、ピークレベル補正部62は、まず、補正データマップMAPを用いて、その位置PRが示す部分表示領域(単位領域)34における補正データDTを取得する。そして、ピークレベル補正部62は、この補正データDTと、その単位領域32を含む部分表示領域31におけるピークレベルPLと掛け合わせることにより、ピークレベルPLを補正して、ピークレベルPL2を生成する。そして、ピークレベル補正部62は、ピークレベルPL2に基づいて、関数F1を用いてゲイン係数G1を求めるとともに、関数F2を用いて輝度係数G2を求める。
【0089】
以上のように本実施の形態では、部分表示領域と単位領域を1:1で対応させるようにしたので、信号処理部として、演算能力の低いハードウェアを用いた場合でも、自由度の高い電力制御を実現することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0090】
[変形例2−1]
上記実施の形態に係る表示装置2に、上記第1の実施の形態の変形例1−1,1−2,1−4を適用してもよい。
【0091】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る表示装置3について説明する。本実施の形態は、上記第1の実施の形態に係る表示装置1において、映像信号Sdispに基づいて、補正データマップMAPを動的に変更できるように構成したものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0092】
図16は、本実施の形態に係る表示装置3の一構成例を表すものである。表示装置3は、信号処理部50を備えている。信号処理部50は、顔検出部51と、補正データマップ生成部53と、ピークレベル補正部52とを有している。
【0093】
顔検出部51は、映像信号Sdispに基づいて、表示画面Sに表示されるべき人の顔を検出し、表示画面Sにおける顔の位置や大きさを求め、これらの情報(顔検出情報IF)を補正データマップ生成部53に供給するものである。補正データマップ生成部53は、顔検出情報IFに基づいて、補正データマップMAPを生成するものである。ピークレベル補正部52は、補正データマップ生成部53から供給された補正データマップMAPを用いて、ピークレベル検出部11において検出されたピークレベルPLを補正し、ピークレベルPL2を生成し、そのピークレベルPL2に基づいて、ゲイン係数G1および輝度係数G2を求めるものである。
【0094】
図17は、本実施の形態に係る補正データマップMAPの一例を表すものである。補正データマップ生成部53は、顔検出情報IFに基づいて、補正データマップMAPを生成する。具体的には、補正データマップ生成部53は、検出した顔に対応する領域を、領域RAに設定し、その領域RAを取り囲むように領域RBを設定し、さらにそれ以外の領域を領域RCに設定することにより、補正データマップMAPを生成する。
【0095】
補正データDTは、上記第1の実施の形態の場合と同様に、領域RAでは“1.0”に設定され、領域RBでは“0.9”に設定され、領域RCでは“0.8”に設定される。すなわち、領域RAに係る部分表示領域31では、画質を低下させることなく、消費電力を低減することができ、領域RB,RCに係る部分表示領域32では、画質をやや犠牲にしつつ、消費電力をさらに低減することができる。
【0096】
このように、表示装置3は、映像信号Sdispに基づいて、表示画面Sに表示されるべき人の顔を検出し、その検出した顔に対応する領域を領域RAに設定する。すなわち、観察者は、例えばドラマなどを観察する場合には、一般に、表示された人の顔に注目する可能性が高いと考えられる。また、人の顔を表示する場合は、物体を表示する場合に比べて、例えば色ずれなどが生じたときに、観察者が不自然に感じるおそれが高い。よって、表示装置3では、人の顔を検出し、その表示領域を領域RAに設定することにより、画質を低下させることなくその顔を表示することができる。
【0097】
また、表示装置3は、顔の表示領域を取り囲むように領域RB,RCを設定する。すなわち、観察者は、上述したように人の顔に注目する可能性が高く、顔以外の領域は、観察者が注目する可能性が低いと考えられるため、顔以外の領域において、仮に色ずれなどが生じても、観察者が画質の低下を感じるおそれが低いと考えられる。よって、表示装置3では、顔の表示領域以外を領域RB,RCに設定することにより、観察者が画質の低下を感じるおそれを抑えつつ、消費電力を効果的に低減することができる。
【0098】
以上のように本実施の形態では、映像信号に基づいて動的に補正データマップを生成するようにしたので、表示内容に応じた自由度の高い電力制御を実現することができる。
【0099】
また、本実施の形態では、顔検出部を設け、顔が表示される領域では高い画質により表示を行い、それ以外の領域では、消費電力を低減するようにしたので、観察者が画質の低下を感じるおそれを抑えつつ、消費電力を効果的に低減することができる。
【0100】
その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0101】
[変形例3−1]
上記実施の形態では、表示画面Sに表示されるべき人の顔を検出したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、もしくはこれに加えて、例えば、字幕やテロップなどを検出してもよい。これにより、観察者が注目する可能性が高い字幕やテロップなどを、画質を低下させることなく表示することができる。
【0102】
[変形例3−2]
上記実施の形態では、観察者が注目する可能性が高いものを検出し、その表示領域を領域RAに設定したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、観察者が注目する可能性が低いものを検出し、その表示領域を領域RCに設定してもよい。具体的には、表示装置3を例えばテレビ会議システムに適用した場合において、自分の顔が表示される領域を領域RCに設定することができる。これにより、相手の顔が表示される領域では高い画質により表示を行い、自分の顔が表示される領域では、画質を犠牲にして消費電力を低減することができる。
【0103】
[変形例3−3]
上記実施の形態に係る表示装置3に、上記第1の実施の形態の変形例1−1〜1−4を適用してもよい。
【0104】
[変形例3−4]
上記実施の形態では、上記第1の実施の形態に係る表示装置1において、補正データマップMAPを動的に変更できるよう構成したが、これに限定されるものではなく、上記第2の実施の形態に係る表示装置2において、補正データマップMAPを動的に変更できるように構成してもよい。
【0105】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0106】
例えば、上記第3の実施の形態では、検出した顔の位置に領域RAを設定し、その顔の表示領域を取り囲むように領域RB,RCを設定したが、これに限定されるものではない。例えば、図18に示したように、上記第1および第2の実施の形態に係る補正データマップMAP(例えば図6)において、顔が検出された領域をも領域RAに設定してもよい。これにより、表示画面Sに顔が表示されていない場合には、上記第1および第2の実施の形態に係る表示装置1,2のように動作し、表示画面Sに顔が表示される場合には、その顔が表示される領域について、画質を低下させることなく、消費電力を効果的に低減することができる。
【0107】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0108】
(1)映像信号に基づいて画像を表示する液晶表示部と、
バックライトと、
表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける前記映像信号のピークレベルと、表示画面上の参照位置と係数データとを関連づけて構成されたデータマップから取得した前記係数データとに基づいて、前記映像信号を補正するとともに、前記バックライトの輝度を設定する処理部と
を備えた表示装置。
【0109】
(2)前記ピークレベルは、各部分表示領域に表示すべき画像におけるピークレベルであり、
前記処理部は、前記データマップを用いて、各部分表示領域において前記ピークレベルが生じる表示画面上の位置を前記参照位置として、その参照位置に関連づけられた係数データを取得する
前記(1)に記載の表示装置。
【0110】
(3)前記ピークレベルは、各部分表示領域に表示すべき画像におけるピークレベルであり、
前記処理部は、前記データマップを用いて、各部分表示領域の表示画面上の位置を前記参照位置として、その参照位置に関連づけられた係数データを取得する
前記(1)に記載の表示装置。
【0111】
(4)前記バックライトは、各部分表示領域に対応する部分発光部を複数有し、
前記処理部は、前記ピークレベルおよび前記係数データに基づいて、各部分表示領域に係る前記映像信号を補正するとともに、対応する部分発光部の輝度を設定する
前記(2)または(3)に記載の表示装置。
【0112】
(5)前記ピークレベルは、表示画面に表示すべき画像におけるピークレベルであり、
前記処理部は、前記データマップを用いて、前記ピークレベルが生じる表示画面上の位置を前記参照位置として、その参照位置に関連づけられた係数データを取得する
前記(1)に記載の表示装置。
【0113】
(6)前記データマップは、前記係数データが互いに異なる複数の係数データ領域に区分されている
前記(1)から(5)のいずれかに記載の表示装置。
【0114】
(7)前記処理部は、前記参照位置が、前記複数の係数データ領域のうちの特定の係数データ領域に属する場合には、その参照位置がその他の係数データ領域に属する場合に比べて、前記バックライトの輝度を高く設定するとともに、前記液晶表示部の透過率を低くするように前記映像信号を補正する
前記(6)に記載の表示装置。
【0115】
(8)前記特定の係数データ領域は、表示画面の中央付近に対応する領域に設定されている
前記(7)に記載の表示装置。
【0116】
(9)前記映像信号に基づいて、表示すべき画像において所定画像を識別する画像識別部を備えた
前記(7)に記載の表示装置。
【0117】
(10)前記特定の係数データ領域は、前記所定画像が識別された領域である
前記(9)に記載の表示装置。
【0118】
(11)前記特定の係数データ領域は、表示画面の中央付近に対応する領域と、前記所定画像が識別された領域とからなる
前記(9)に記載の表示装置。
【0119】
(12)前記所定画像は顔画像である
前記(9)から(11)のいずれかに記載の表示装置。
【0120】
(13)前記所定画像は、表示画像において観察者の注目度の高い部分の画像である
前記(9)から(12)のいずれかに記載の表示装置。
【0121】
(14)前記特定の係数データ領域を含むデータマップを生成するデータマップ生成部を備えている
前記(7)から(13)のいずれかに記載の表示装置。
【0122】
(15)前記表示装置は、複数の動作モードを有し、
前記処理部は、動作モードに応じて、参照するデータマップを決定する
前記(1)から(14)のいずれかに記載の表示装置。
【0123】
(16)前記処理部は、表示するコンテンツに応じて、参照するデータマップを決定する
前記(1)から(15)のいずれかに記載の表示装置。
【0124】
(17)映像信号に基づいて画像を表示する液晶表示部と、
バックライトと、
表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける前記映像信号のピークレベルと、そのピークレベルが生じる表示画面上の位置であるピーク位置とに基づいて、前記映像信号を補正するとともに、前記バックライトの輝度を設定する処理部と
を備えた表示装置。
【0125】
(18)映像信号に基づいて画像を表示する液晶表示部と、
複数の部分発光部を有するバックライトと、
各部分発光部に対応する部分表示領域に表示すべき画像における前記映像信号のピークレベルと、その部分表示領域の位置とに基づいて、前記映像信号を補正するとともに、前記部分発光部の輝度を設定する処理部と
を備えた表示装置。
【0126】
(19)表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける前記映像信号のピークレベルと、表示画面上の位置と係数データとを関連づけて構成されたデータマップから取得した前記係数データとに基づいて、映像信号を補正するとともに、前記バックライトの輝度を設定し、補正された映像信号に基づいて画像を表示する
表示方法。
【符号の説明】
【0127】
1,1F,2,3…表示装置、9…バックライト駆動部、10,10F,50…信号処理部、11,61…ピークレベル検出部、12,12F,52,62…ピークレベル補正部、13…信号補正部、14…輝度設定部、15…コンテンツ検出部、20…表示駆動部、21…タイミング制御部、22…ゲートドライバ、23…データドライバ、30…液晶表示部、31,33…部分表示領域、32,A1〜A6…単位領域、34…部分表示領域/単位領域、40,40B…バックライト、41…部分発光部、43…部分発光部/導光板、49…光源、51…顔検出部、53…補正データマップ生成部、DT…補正データ、GCL…ゲート線、IF…顔検出情報、LC…液晶素子、MAP…補正データマップ、Pix…画素、PL…ピークレベル、PP…ピーク位置、RA〜RC…領域、S…表示画面、Sdisp,Sdisp2,Sdisp3…映像信号、SGL…データ線、SPix…サブ画素、Tr…TFT素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に基づいて画像を表示する液晶表示部と、
バックライトと、
表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける前記映像信号のピークレベルと、表示画面上の参照位置と係数データとを関連づけて構成されたデータマップから取得した前記係数データとに基づいて、前記映像信号を補正するとともに、前記バックライトの輝度を設定する処理部と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記ピークレベルは、各部分表示領域に表示すべき画像におけるピークレベルであり、
前記処理部は、前記データマップを用いて、各部分表示領域において前記ピークレベルが生じる表示画面上の位置を前記参照位置として、その参照位置に関連づけられた係数データを取得する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記バックライトは、各部分表示領域に対応する部分発光部を複数有し、
前記処理部は、前記ピークレベルおよび前記係数データに基づいて、各部分表示領域に係る前記映像信号を補正するとともに、対応する部分発光部の輝度を設定する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ピークレベルは、各部分表示領域に表示すべき画像におけるピークレベルであり、
前記処理部は、前記データマップを用いて、各部分表示領域の表示画面上の位置を前記参照位置として、その参照位置に関連づけられた係数データを取得する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記バックライトは、各部分表示領域に対応する部分発光部を複数有し、
前記処理部は、前記ピークレベルおよび前記係数データに基づいて、各部分表示領域に係る前記映像信号を補正するとともに、対応する部分発光部の輝度を設定する
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ピークレベルは、表示画面に表示すべき画像におけるピークレベルであり、
前記処理部は、前記データマップを用いて、前記ピークレベルが生じる表示画面上の位置を前記参照位置として、その参照位置に関連づけられた係数データを取得する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記データマップは、前記係数データが互いに異なる複数の係数データ領域に区分されている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記参照位置が、前記複数の係数データ領域のうちの特定の係数データ領域に属する場合には、その参照位置がその他の係数データ領域に属する場合に比べて、前記バックライトの輝度を高く設定するとともに、前記液晶表示部の透過率を低くするように前記映像信号を補正する
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記特定の係数データ領域は、表示画面の中央付近に対応する領域に設定されている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記映像信号に基づいて、表示すべき画像において所定画像を識別する画像識別部を備えた
請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記特定の係数データ領域は、前記所定画像が識別された領域である
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記特定の係数データ領域は、表示画面の中央付近に対応する領域と、前記所定画像が識別された領域とからなる
請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記所定画像は顔画像である
請求項10に記載の表示装置。
【請求項14】
前記所定画像は、表示画像において観察者の注目度の高い部分の画像である
請求項10に記載の表示装置。
【請求項15】
前記特定の係数データ領域を含むデータマップを生成するデータマップ生成部を備えている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示装置は、複数の動作モードを有し、
前記処理部は、動作モードに応じて、参照するデータマップを決定する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
前記処理部は、表示するコンテンツに応じて、参照するデータマップを決定する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
映像信号に基づいて画像を表示する液晶表示部と、
バックライトと、
表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける前記映像信号のピークレベルと、そのピークレベルが生じる表示画面上の位置であるピーク位置とに基づいて、前記映像信号を補正するとともに、前記バックライトの輝度を設定する処理部と
を備えた表示装置。
【請求項19】
映像信号に基づいて画像を表示する液晶表示部と、
複数の部分発光部を有するバックライトと、
各部分発光部に対応する部分表示領域における前記映像信号のピークレベルと、その部分表示領域の位置とに基づいて、前記映像信号を補正するとともに、前記部分発光部の輝度を設定する処理部と
を備えた表示装置。
【請求項20】
表示画面またはその表示画面を区分してなる複数の部分表示領域のそれぞれにおける前記映像信号のピークレベルと、表示画面上の位置と係数データとを関連づけて構成されたデータマップから取得した前記係数データとに基づいて、映像信号を補正するとともに、前記バックライトの輝度を設定し、補正された映像信号に基づいて画像を表示する
表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−104912(P2013−104912A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246770(P2011−246770)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】