説明

表示装置および電子機器

【課題】4色のサブ画素構造を用いて映像表示を行う際に、信号処理負担を抑えつつ高画質化を実現することが可能な表示装置等を提供する。
【解決手段】表示装置1は、各々が4色のサブピクセル11R,11G,11B,11Wを含む複数の画素11を有する表示パネル10と、R,G,Bの3色の入力映像信号に基づいてR,G,B,Zの4色の出力映像信号を生成する変換処理部210を有する駆動回路20とを備えている。変換処理部210は、サブピクセル11Wにおける輝度レベルが閾値Aよりも大きくなる場合には、各サブピクセル11R,11G,11B,11Wにおいて表示動作がなされるように出力映像信号を生成する。サブピクセル11Wにおける輝度レベルが閾値A以下となる場合には、各サブピクセル11R,11G,11Bにおいて表示動作がなされてサブピクセル11Wにおいて表示動作がなされなくなるように、出力映像信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、赤(R),緑(G),青(B),白(W)の4色のサブ画素(サブピクセル)からなるサブ画素構造を有する表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素を有する表示装置においてカラー映像表示を行う場合、最も一般的な手法は、R(赤),G(緑),B(青)の3原色に対応する3つのサブピクセル(サブ画素)を各画素内に配置し、各サブピクセルでの輝度レベルを個別に調整するというものである。これにより、画素全体としての色度点および輝度を任意に設定することが可能となり、カラー映像表示が実現される。
【0003】
このようなカラー映像表示が可能な表示装置の一例として、液晶表示装置が挙げられる。この液晶表示装置は一般に、白色光を照射するバックライトと、サブピクセルごとに塗り分けされたR,G,Bの各色のカラーフィルタを有する液晶表示パネルとから構成されている。また、この液晶表示パネルには通常、その入射側および出射側の双方に偏光板が配設されている。このため、バックライトからの照射光は、偏光板およびカラーフィルタにおいて強度が低減してしまい、液晶表示装置全体での光利用効率は1割を下回ってしまうのが一般的である。したがって、液晶表示装置では大幅なエネルギーロスが生じ、消費電力の増大を招いてしまっている。
【0004】
そこで、液晶表示装置における映像表示の際の低消費電力化を図るため、従来、液晶表示パネルにおける各画素を4色のサブピクセルを用いて構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この4色のサブピクセルとは、具体的には、上記したR,G,Bの3色のサブピクセルと、これらの3色よりも高輝度を示す色(Z;例えば白(W)や黄(Y)など)のサブピクセルとのことである。このような4色のサブピクセル用の映像信号を用いて映像表示を行った場合、従来のR,G,Bの3色のサブピクセル構造の各画素に対してこれら3色用の映像信号を供給して映像表示を行う場合と比べ、輝度効率を向上させることができ、低消費電力化を図ることが可能となる。
【0005】
このようなR,G,B,Zの4色のサブピクセル構造を用いた表示装置としては、上記した液晶表示装置に加え、自発光型の有機EL(Electro Luminescence)表示装置が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。また、例えば特許文献3〜5には、有機EL表示装置において、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいてR,G,B,Zの4色に対応する出力映像信号を生成する際の手法(色変換処理(RGB/RGBZ変換処理)の手法)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平4−54207号公報
【特許文献2】特許第4434935号公報
【特許文献3】特開2008−107507号公報
【特許文献4】特表2009−500654号公報
【特許文献5】特許第4494808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記したR,G,Bの各サブピクセルではカラーフィルタが設けられる一方、Zのサブピクセルでは、高輝度を示すようにする(光利用効率を高める)ため、カラーフィルタが設けられていない(もしくは、色度点調整を目的とした高透過率のフィルタが設けられている)のが一般的である。このため、Zのサブピクセル(例えばWのサブピクセル)では、発光輝度レベルの変化に伴って色度点が変動してしまうという問題があった。そのような色度点変動が生じた場合、表示色も変動してしまうことになる。
【0008】
具体的には、まず、例えばWのサブピクセルにおいて白色発光素子を形成する場合、単一の発光材料(発光層)による発光波長域では、白色全域をカバーすることが困難である。このため、通常は、互いに異なる発光波長域(発光色)を有する複数の発光層を面内方向または積層方向に沿って配置して同時に発光させるようにしており、特に有機EL素子においては積層方向に沿って複数の発光層を形成するのが一般的である。ところが、このように発光色が異なる複数の発光層を用いて白色発光素子を形成する場合、発光輝度レベルの全域において各発光層での発光比率を一定に保つのは容易ではなく、実際には発光輝度レベルの変化に伴って白色発光素子の色度点が変動してしまう。そして、Wのサブピクセルでは上記したようにカラーフィルタが設けられていないのが一般的であることから、このような白色発光素子の色度点変動がそのまま映像表示の際の色度変化につながり、画質劣化を引き起こしてしまうのである。
【0009】
そこで、例えば特許文献1では、このようなWのサブピクセルでの色度点変動の問題を解決するため、色変換処理後のR,G,B,Wに対応する映像信号に対して所定の色度補正を行うという手法が提案されている。しかしながら、この手法では、色度補正の際に複数種類のルックアップテーブル(LUT)を用いた多段の信号処理が必要となることから、信号処理負担が増加し、消費電力の増加や製造コストの増大を招いてしまうという問題があった。
【0010】
このようにして従来の手法では、各画素がR,G,B,Zの4色のサブピクセル(サブ画素)により構成されている場合において、信号処理負担を抑えつつ高画質化を実現するのが困難であり、改善する手法の提案が望まれていた。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、R,G,B,Zの4色のサブ画素構造を用いて映像表示を行う際に、信号処理負担を抑えつつ高画質化を実現することが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の表示装置は、各々が、赤(R),緑(G),青(B)の3色のサブ画素と、これらの3色よりも高輝度を示す色(Z)のサブ画素とを含んで構成された複数の画素を有する表示部と、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいて所定の変換処理を行うことによりR,G,B,Zの4色に対応する出力映像信号を生成する変換処理部を有し、出力映像信号を用いてR,G,B,Zの各サブ画素に対する表示駆動を行う駆動部とを備えたものである。上記変換処理部は、Zのサブ画素における輝度レベルが所定の閾値よりも大きくなる場合には、R,G,B,Zの各サブ画素において表示動作がなされるように出力映像信号を生成する一方、Zのサブ画素における輝度レベルが上記閾値以下となる場合には、R,G,Bの各サブ画素において表示動作がなされると共にZのサブ画素において表示動作がなされなくなるように、出力映像信号を生成する。
【0013】
本発明の電子機器は、上記本発明の表示装置を備えたものである。
【0014】
本発明の表示装置および電子機器では、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいて所定の変換処理が行われることにより、R,G,B,Zの4色に対応する出力映像信号が生成され、この出力映像信号を用いてR,G,B,Zの各サブ画素に対する表示駆動が行われる。この際、Zのサブ画素における輝度レベルが所定の閾値よりも大きくなる場合には、R,G,B,Zの各サブ画素において表示動作がなされるように出力映像信号が生成される。ここで、Zのサブ画素における高輝度レベル側では、このZのサブ画素において輝度レベルが変動したときの色度変化量が相対的に小さいことから、従来のような複雑な色度補正を行わずとも、R,G,B,Zの4色のサブ画素を用いて映像表示を行う際の色度変化が抑えられる(色度変化量が小さくて済む)。一方、Zのサブ画素における輝度レベルが上記閾値以下となる場合には、R,G,Bの各サブ画素において表示動作がなされると共にZのサブ画素において表示動作がなされなくなるように、出力映像信号が生成される。すなわち、Zのサブ画素において輝度レベルが変動したときの色度変化量が相対的に大きくなる低輝度レベル側では、R,G,Bの3色のサブ画素を用いて映像表示が行われる。これにより、従来のような複雑な色度補正を伴った色変換処理を行う必要がなくなる一方、低輝度レベル側であることから、R,G,B,Zの4色のサブ画素を用いて映像表示を行わずとも、輝度ベル全体としては十分な消費電力の低減が図られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の表示装置および電子機器によれば、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいてR,G,B,Zの4色に対応する出力映像信号を生成する際に、Zのサブ画素における輝度レベルが所定の閾値よりも大きくなる場合には、R,G,B,Zの各サブ画素において表示動作がなされるように出力映像信号を生成する一方、Zのサブ画素における輝度レベルが上記閾値以下となる場合には、R,G,Bの各サブ画素において表示動作がなされると共にZのサブ画素において表示動作がなされなくなるように、出力映像信号を生成するようにしたので、複雑な処理(色度補正や色変換処理)を行うことなく、映像表示の際の色度変化を抑えることができる。よって、R,G,B,Zの4色のサブ画素構造を用いて映像表示を行う際に、信号処理負担を抑えつつ高画質化を実現することが可能となると共に、R,G,Bの3色のサブ画素構造を用いて映像表示を行う場合と比べて消費電力を低減することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の一例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した各画素内のサブピクセル構造例を表す模式図である。
【図3】図2に示した各サブピクセルの内部構成の一例を表す回路図である。
【図4】図2に示した各サブピクセルの断面構成の一例を表す模式図である。
【図5】図4に示した有機層の詳細な断面構成例を表す模式図である。
【図6】実施の形態の実施例に係る発光輝度レベルと色度との関係を表す特性図である。
【図7】実施の形態に係る変換処理部における変換処理の一例を表す流れ図である。
【図8】変形例に係る各画素内のサブピクセル構造例を表す模式図である。
【図9】実施の形態および変形例の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図10】実施の形態および変形例の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図11】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図12】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図13】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図14】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(各画素がRGBWのサブピクセル構造である例)
2.変形例(各画素がRGBYのサブピクセル構造である例)
3.モジュールおよび適用例
4.その他の変形例
【0018】
<実施の形態>
[表示装置1の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の概略構成をブロック図で表したものである。この表示装置1は、表示パネル10(表示部)および駆動回路20(駆動部)を備えている。
【0019】
(表示パネル10)
表示パネル10は、複数の画素11がマトリクス状に配置された画素アレイ部13を有しており、外部から入力される映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づいて、アクティブマトリクス駆動により画像表示を行うものである。各画素11は、後述する複数の色(ここでは4色)に対応する複数のサブピクセル(各色用のサブ画素)を含んで構成されている。
【0020】
画素アレイ部13は、行状に配置された複数の走査線WSLと、列状に配置された複数の信号線DTLと、走査線WSLに沿って行状に配置された複数の電源線DSLとを有している。これらの走査線WSL、信号線DTLおよび電源線DSLの一端側はそれぞれ、後述する駆動回路20に接続されている。また、上記した各画素11は、各走査線WSLと各信号線DTLとの交差部に対応して、行列状に配置(マトリクス配置)されている。なお、図1では、以下説明する複数の色に対応する複数の信号線(各色用の信号線)DTLr,DTLg,DTLb,DTLwを、簡略化して1つの信号線DTLとして示している。
【0021】
図2(A),(B)はそれぞれ、各画素11の内部構成(サブピクセル構造)の一例を、平面図で模式的に表したものである。
【0022】
各画素11は、例えば図2(A),(B)に示したように、赤(R),緑(G),青(B)の3原色のサブピクセル11R,11G,11Bと、これらの3色よりも高輝度を示す色Z(ここでは、白(W))のサブピクセル11Wとにより構成されている。すなわち、各画素11は、R,G,B,Wの4色に対応する4つのサブピクセル11R,11G,11B,11Wからなるサブピクセル構造となっている。ここでは、図2(A)に示した例では、各画素11内で4つのサブピクセル11R,11G,11B,11Wがマトリクス状(2×2の行列状)に配置されている。また、図2(B)に示した例では、各画素11内で4つのサブピクセル11R,11G,11B,11Wが一列に並んで配置されている。ただし、各画素11内での各サブピクセルル11R,11G,11B,11Wの配置構成は、これらの例には限られず、他の配置構成であってもよい。
【0023】
なお、図2中には図示していないが、サブピクセル11Rには、信号線DTLr、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。サブピクセル11Bには、信号線DTLb、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。サブピクセル11Gには、信号線DTLg、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。サブピクセル11Wには、信号線DTLg、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。すなわち、各サブピクセル11R,11B,11G,11Wには、各色に対応する信号線DTLr,DTLb,DTLg,DTLwがそれぞれ個別に接続されている一方、走査線WSLおよび電源線DSLは共通して接続されている。
【0024】
図3は、各サブピクセル11R,11G,11B,11Wの内部構成(回路構成)の一例を表したものである。各サブピクセル11R,11G,11B,11W内には、有機EL素子12(発光素子)および画素回路14が設けられている。
【0025】
画素回路14は、書き込み(サンプリング用)トランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および保持容量素子Csを用いて構成されている。すなわち、この画素回路14は、いわゆる「2Tr1C」の回路構成となっている。ここで、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2はそれぞれ、例えば、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)により形成されている。なお、TFTの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(いわゆるトップゲート型)であってもよい。
【0026】
画素回路14では、書き込みトランジスタTr1のゲートが走査線WSLに接続され、ドレインが信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb,DTLw)に接続され、ソースが、駆動トランジスタTr2のゲートおよび保持容量素子Csの一端に接続されている。駆動トランジスタTr2のドレインは電源線DSLに接続され、ソースは、保持容量素子Csの他端および有機EL素子12のアノードに接続されている。有機EL素子12のカソードは、固定電位VSS(例えば、接地電位)に設定されている。
【0027】
図4は、表示パネル10の断面構成例(各サブピクセル11R,11G,11B,11Wの断面構成例)を模式的に表したものである。この表示パネル10は、背面(裏面)側から表面側へ向かって、基板41、絶縁層42、下部電極43、有機層44、上部電極45、絶縁層46、カラーフィルタ47R,47G,47Bおよび封止用基板48をこの順に有している。
【0028】
基板41は、シリコン(Si)基板等の半導体基板やガラス基板,樹脂基板などの上に、図示しないTFT等の駆動素子(例えば、前述した書き込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および保持容量素子Csなど)が形成されてなる基板である。絶縁層42は、上記した各駆動素子の保護膜として機能するものであり、例えばシリコン酸化物(SiO2)やシリコン窒化物(SiN)等からなる。
【0029】
下部電極43は、ここではアノード電極として機能しており、サブピクセル11R,11G,11B,11Wごとに個別に設けられている。この下部電極43は、ここでは後述するように表示パネル10が上面発光型(いわゆるトップエミッション型)のものであるため、有機EL素子12からの発光光(ここでは白色光Lw)に対する光反射率が高い材料(例えば銀(Ag)等)からなる。有機層44は、ここでは白色発光がなされる発光層(後述する白色発光層441W)と、例えば正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層(いずれも図示せず)とが積層された構造となっている。上部電極45は、ここではカソード電極として機能しており、各サブピクセル11R,11G,11B,11Wに共通の電極(共通電極)となっている。この上部電極45は、ここでは有機EL素子12からの発光光(ここでは白色光Lw)に対する光透過率が高い材料(例えばITO(Indium Tin Oxide)等)からなる透明電極である。これらの下部電極43、有機層44および上部電極45により、上記した有機EL素子12が形成されるようになっている。
【0030】
ここで、上記した有機層44では、例えば図5(A),(B)に示したように、白色発光層441Wが互いに発光色が異なる複数の発光層からなる。具体的には、図5(A)に示した例では、白色発光層441Wは、赤色発光層441R、緑色発光層441Gおよび青色発光層441Bが積層された構造(いわゆるタンデム構造)となっている。一方、図5(B)に示した例では、白色発光層441Wは、黄色発光層441Yおよび青色発光層441Bが積層された構造となっている。このように、白色発光層441Wではこれらの複数の発光層が同時に発光することにより、白色光Lwが出射されるようになっている。
【0031】
絶縁層46は、封止層として機能するものであり、例えばシリコン酸化物(SiO2)やシリコン窒化物(SiN)等からなる。封止用基板48は、表示パネル10全体を封止するための基板であり、例えばガラス基板等の透明基板からなる。
【0032】
カラーフィルタ47R,47G,47Bは、各サブピクセル11R,11G,11Bに対応して個別に配設されている。具体的には、サブピクセル11Rには、赤色光Lrを選択的に透過するカラーフィルタ47Rが配設されている。サブピクセル11Gには、緑色光Lgを選択的に透過するカラーフィルタ47Gが配設されている。サブピクセル11Bには、青色光Lbを選択的に透過するカラーフィルタ47Bが配設されている。これにより、有機層44(有機EL素子12)から発せられた白色光Lwのうち、サブピクセル11R,11G,11Bではそれぞれ、赤色光Lr,緑色光Lg,青色光Lbが選択的に透過して表示光として出射されるようになっている。一方、サブピクセル11Wには、このようなカラーフィルタが配設されておらず、有機層44(有機EL素子12)から発せられた白色光Lwがそのまま表示光として出射されるようになっている。ただし、サブピクセル11W内に、概ね白色光Lwを透過するフィルタや、白色光Lwの色度点を所望の白色点に近付けるための透過率の高いカラーフィルタを設けるようにしてもよい。
【0033】
なお、ここでは、上面発光型の表示パネル10を例に挙げて説明したが、これには限られず、例えば、表示パネル10が下面発光型(いわゆるボトムエミッション型)のものであってもよい。また、ここでは、下部電極43がアノード電極として機能すると共に上部電極45がカソード電極として機能する場合を例に挙げて説明したが、逆に、下部電極43がカソード電極として機能すると共に上部電極45がアノード電極として機能するようにしてもよい。
【0034】
(駆動回路20)
図1に示した駆動回路20は、画素アレイ部13(表示パネル10)を駆動する(表示駆動を行う)ものである。具体的には、画素アレイ部13における複数の画素11を順次選択しつつ、選択された画素11内の各サブピクセル11R,11B,11G,11Wに対して映像信号20Aに基づく映像信号電圧を書き込むことにより、複数の画素11に対する表示駆動を行っている。すなわち、駆動回路20は、映像信号20Aに基づいて各サブピクセル11R,11B,11G,11Wに対する表示駆動を行うようになっている。この駆動回路20は、映像信号処理回路21、タイミング生成回路22、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25を有している。
【0035】
映像信号処理回路21は、外部から入力されるデジタルの映像信号20Aに対して所定の映像信号処理を行うと共に、そのような映像信号処理後の映像信号21Aを信号線駆動回路24に出力するものである。この所定の映像信号処理としては、例えば、ガンマ補正処理やオーバードライブ処理などが挙げられる。
【0036】
この映像信号処理回路21はまた、所定の変換処理(RGB/RGBW変換処理)を行う変換処理部210を有している。この変換処理部210は、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいて上記したRGB/RGBW変換処理を行うことにより、R,G,B,Wの4色に対応する出力映像信号を生成するものである。このような変換処理部210は、例えば、複数の乗算器および加算器を用いて構成されている。なお、この変換処理部210の詳細動作(詳細な変換処理)については後述する(図6および図7)。
【0037】
タイミング生成回路22は、外部から入力される同期信号20Bに基づいて制御信号22Aを生成し出力することにより、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25がそれぞれ、連動して動作するように制御するものである。
【0038】
走査線駆動回路23は、制御信号22Aに従って(同期して)複数の走査線WSLに対して選択パルスを順次印加することにより、複数の画素11を順次選択するものである。具体的には、書き込みトランジスタTr1をオン状態に設定するときに印加する電圧Vonと、書き込みトランジスタTr1をオフ状態に設定するときに印加する電圧Voffとを選択的に出力することにより、上記した選択パルスを生成するようになっている。ここで、電圧Vonは、書き込みトランジスタTr1のオン電圧以上の値(一定値)となっており、電圧Voffは、書き込みトランジスタTr1のオン電圧よりも低い値(一定値)となっている。
【0039】
信号線駆動回路24は、制御信号22Aに従って(同期して)、映像信号処理回路21から入力される映像信号21Aに対応するアナログの映像信号を生成し、各信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb,DTLw)に印加するものである。具体的には、この映像信号21Aに基づく各色用のアナログの映像信号電圧を、各信号線DTLr,DTLg,DTLb,DTLwに対して個別に印加する。これにより、走査線駆動回路23により選択された画素11内の各サブピクセル11R,11B,11G,11Wに対して、映像信号の書き込みを行うようになっている。なお、映像信号の書き込みとは、補助容量素子Csに対して上記映像信号電圧をプログラムし、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間に所定の電圧を印加することを意味している。
【0040】
電源線駆動回路25は、制御信号22Aに従って(同期して)複数の電源線DSLに対して制御パルスを順次印加することにより、各画素11内の各サブピクセル11R,11B,11G,11Wにおける有機EL素子12の発光(点灯)動作および消光(消灯)動作の制御を行うものである。言い換えると、上記制御パルスの幅(パルス幅)を調整することにより、各画素11内の各サブピクセル11R,11B,11G,11Wにおける発光期間および消光期間の長さを制御する(PWM(Pulse Width Modulation)制御を行う)ようになっている。
【0041】
[表示装置1の作用・効果]
(基本動作)
この表示装置1では、図1〜図3に示したように、駆動回路20が、表示パネル10(画素アレイ部13)内の各画素11(各サブピクセル11R,11B,11G,11W)に対し、映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づく表示駆動を行う。これにより、図4および図5に示したように、各サブピクセル11R,11B,11G,11W内の有機EL素子12へ駆動電流が注入され、有機層44内の発光層(ここでは白色発光層441W)において正孔と電子とが再結合し、発光(ここでは白色発光)が起こる。そして、サブピクセル11Rでは、この白色発光層441Wからの発光光(白色光Lw)がそのまま表示光として上面側(封止用基板48側)から出射される。一方、サブピクセル11R,11G,11Bでは、白色発光層441Wから発せられた白色光Lwが、カラーフィルタ47R,47G,47Bを個別に通過することにより、赤色光Lr,緑色光Lg,青色光Lbとなって表示光として上面側から出射される。このようにして、表示パネル10において、映像信号20Aに基づく画像表示がなされる。
【0042】
この際、本実施の形態では上記したように、4色のサブピクセル11R,11G,11B,11Wに対応する映像信号を用いて映像表示がなされる。これにより、従来のR,G,Bの3色のサブピクセルに対応する映像信号を用いて映像表示を行う場合と比べ、輝度効率が向上し、低消費電力化が図られる。
【0043】
また、図2および図3を参照すると、各サブピクセル11R,11B,11G,11Wでは、以下のようにして映像信号の書き込み動作が行われる。まず、信号線DTLの電圧が映像信号電圧となっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧VH(「H(ハイ)」状態)となっている期間中に、走査線駆動回路23が、走査線WSLの電圧を電圧Voffから電圧Vonに上げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオン状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが、このときの信号線DTLの電圧に対応する映像信号電圧へと上昇する。その結果、補助容量素子Csに対して映像信号電圧が書き込まれ、保持される。
【0044】
このとき、有機EL素子12のアノード電圧は、この段階ではまだ、有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vca(=VSS)とを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも小さく、有機EL素子12はカットオフ状態となっている。すなわち、この段階では、有機EL素子12のアノード−カソード間には電流が流れない(有機EL素子12が発光しない)。したがって、駆動トランジスタTr2から供給される電流Idは、有機EL素子12のアノード−カソード間に並列に存在する素子容量(図示せず)へと流れ、この素子容量が充電される。
【0045】
次に、信号線DTLおよび電源線DSLの電圧がそれぞれ、映像信号電圧および電圧VH(「H」状態)のまま保持されている期間中に、走査線駆動回路23が、走査線WSLの電圧を電圧Vonから電圧Voffへと下げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなる。すると、この駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが一定に保持された状態で、駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Idが流れる。その結果、この駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが上昇すると共に、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgもまた、保持容量素子Csを介した容量カップリングにより、連動して上昇する。これにより、有機EL素子12のアノード電圧が、この有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vcaとを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも大きくなる。よって、有機EL素子12のアノード−カソード間には、補助容量素子Csに保持された映像信号電圧、すなわち駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsに応じた電流Idが流れ、有機EL素子12が所望の輝度で発光する。
【0046】
次に、駆動回路20は、所定の期間が経過したのち、有機EL素子12の発光期間を終了させる。具体的には、電源線駆動回路25が、電源線DSLの電圧を電圧VHから電圧VLへと下げる(「H」状態から「L(ロー)」状態へと移行させる)。すると、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが下降していく。これにより、有機EL素子12のアノード電圧が、この有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vcaとを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも小さくなり、アノード−カソード間に電流Idが流れなくなる。その結果、これ以降は有機EL素子12が消光する(消光期間へと移行する)。このようにして、電源線DSLに対して印加する制御パルスの幅(ここでは、「H」状態の期間の長さ)に応じて、各画素11内の各サブピクセル11R,11B,11G,11Wにおける発光期間の長さを制御することが可能となっている。
【0047】
なお、その後は、駆動回路20は、これまで説明した発光動作および消光動作がフレーム期間(1垂直期間、1V期間)ごとに周期的に繰り返されるように、表示駆動を行う。また、それと共に、駆動回路20は、例えば1水平期間(1H期間)ごとに、電源線DSLに印加する制御パルスおよび走査線WSLに印加する選択パルスをそれぞれ、行方向に走査させる。以上のようにして、表示装置1における表示動作(駆動回路20による表示駆動)がなされる。
【0048】
(特徴的部分の作用)
次に、本実施の形態の表示装置1における特徴的部分の作用について、詳細に説明する。
【0049】
まず、上記したように4色のサブピクセル11R,11G,11B,11Wからなるサブピクセル構造を用いて映像表示(カラー映像表示)を行う場合、従来の構成では以下の問題が生じることになる。すなわち、サブピクセル11Wにおいて、発光輝度レベルの変化に伴って色度点が変動してしまうという問題である。
【0050】
具体的には、まず、サブピクセル11Wにおいて白色発光素子を形成する場合、単一の発光材料(発光層)による発光波長域では、白色全域をカバーすることが困難である。このため、通常は前述したように、互いに異なる発光波長域(発光色)を有する複数の発光層を面内方向または積層方向に沿って配置し同時に発光させるようにしている。ところが、このように発光色が異なる複数の発光層を用いて白色発光素子を形成する場合、発光輝度レベルの全域において、各発光層(前述した赤色発光層441Rや緑色発光層441G、青色発光層441B、黄色発光層441Y等)での発光比率を一定に保つのは容易ではない。すなわち、実際には発光輝度レベルの変化に伴って、白色発光素子の色度点が変動してしまう。そして、サブピクセル11Wでは前述したようにカラーフィルタが設けられていないことから、このような白色発光素子の色度点変動がそのまま映像表示の際の色度変化につながり、画質劣化を引き起こしてしまうのである。
【0051】
そこで、このようなサブピクセル11Wでの色度点変動の問題を解決するため、色変換処理後のR,G,B,Wに対応する映像信号に対して所定の色度補正を行うという手法が考えられる。しかしながら、この手法では、色度補正の際に複数種類のルックアップテーブル(LUT)を用いた多段の信号処理が必要となることから、信号処理負担が増加し、消費電力の増加や製造コストの増大を招いてしまうことになる。
【0052】
そこで本実施の形態の表示装置1では、変換処理部210において、以下詳述する変換処理(RGB/RGBW変換処理)を行うことにより、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいてR,G,B,Wの4色に対応する出力映像信号を生成する。具体的には、変換処理部210はまず、サブピクセル11Wにおける輝度レベル(発光輝度レベル)が所定の閾値Aよりも大きくなる場合には、各サブピクセル11R,11G,11B,11Wにおいて表示動作がなされるように、出力映像信号を生成する。一方、変換処理部210は、サブピクセル11Wにおける輝度レベルが上記閾値A以下となる場合には、各サブピクセル11R,11G,11Bにおいて表示動作がなされると共にサブピクセル11Wにおいて表示動作がなされなくなるように、出力映像信号を生成する。このようにして、本実施の形態の変換処理部210は、RGB/RGBW変換処理の際に、従来とは異なり、サブピクセル11Wに対応する映像信号に対して色度補正を行わないようになっている。
【0053】
ここで、上記した閾値Aは、例えば図6(A),(B)に示した一実施例のように、サブピクセル11Wが最大輝度レベルを示すときの色度点に対する色度変化量が所定の範囲内(例えば、Δu’v’において、0.004〜0.008程度の色度変化量以内)に収まるように設定されている。すなわち、この閾値Aよりも大きい輝度レベルの範囲(各サブピクセル11R,11G,11B,11Wにおいて表示動作がなされる範囲)は、上記した最高輝度レベルを含む所定の範囲に設定されるのが望ましい。
【0054】
このように、サブピクセル11Wにおける輝度レベルが所定の閾値Aよりも大きくなる場合には、各サブピクセル11R,11G,11B,11Wにおいて表示動作がなされるように出力映像信号が生成されることにより、以下の作用が生じる。すなわち、まず、例えば図6(A),(B)に示したように、サブピクセル11Wにおける発光輝度レベルのうちの高輝度レベル側(閾値Aよりも大きい輝度レベル範囲)では、発光輝度レベルが変動したときの色度変化量が相対的に小さくなる。具体的には、サブピクセル11Wでは、発光輝度レベルの対数に対してほぼ直線的な色度変化を示すことから(図6(B)参照)、低輝度レベル側(閾値A以下の輝度レベル範囲)よりも高輝度レベル側において、発光輝度レベルの変化に対する色度変化量が小さくなる。したがって、この高輝度レベル側では、従来のような複雑な色度補正を行わずとも、4色のサブピクセル11R,11G,11B,11Wを用いて映像表示を行う際の色度変化が抑えられる(色度変化量が小さくて済む)。
【0055】
また、サブピクセル11Wにおける輝度レベルが上記閾値A以下となる場合には、各サブピクセル11R,11G,11Bにおいて表示動作がなされると共にサブピクセル11Wにおいて表示動作がなされなくなるように出力映像信号が生成されることにより、以下の作用が生じる。すなわち、これは、サブピクセル11Wにおいて輝度レベルが変動したときの色度変化量が相対的に大きくなる低輝度レベル側では、3色のサブピクセル11R,11G,11Bを用いて映像表示が行われるということである。これにより、従来のような複雑な色度補正を伴った色変換処理(RGB/RGBW変換処理)を行う必要がなくなる。また、低輝度レベル側であることから、4色のサブピクセル11R,11G,11B,11Wを用いて映像表示を行わずとも、輝度ベル全体としては十分な消費電力の低減が図られる。
【0056】
ここで、より具体的には、変換処理部210は、例えば図7に示したようにして変換処理を行う。以下、図7を参照して、この変換処理部210における変換処理について詳細に説明する。
【0057】
まず、変換処理部210は、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号(R,G,B)を取得する(ステップS101)。次いで、変換処理部210は、この入力映像信号(R,G,B)を、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage)により規定される表色系である3刺激値X,Y,Zからなる映像信号(X,Y,Z)に変換する(ステップS102)。具体的には、まず、表示パネル10に固有のR,G,Bの飽和色を予め測定した結果に基づき、例えば以下の(1)式により規定される変換マトリクス(変換行列)Mを求めておく。次いで、この変換マトリクスMの逆行列M-1を用いて、以下の(2)式により、入力映像信号(R,G,B)の白色点における混合比率(r,g,b)を予め求めておく。そして、この混合比率(r,g,b)を用いて、以下の(3)式および(4)式により、入力映像信号(R,G,B)を映像信号(X,Y,Z)に変換する。ここで、式中のRx,Gx,Bx,Wxはそれぞれ、映像信号R,G,B,Wの刺激値Xに対応する値を示し、Ry,Gy,By,Wyはそれぞれ、映像信号R,G,B,Wの刺激値Yに対応する値を示し、Rz,Gz,Bz,Wzはそれぞれ、映像信号R,G,B,Wの刺激値Zに対応する値を示す。なお、入力映像信号(R,G,B)は、例えば各色について8ビットまたは16ビットの映像信号であり、例えば2.2乗等のガンマ関数に従ってその強度を表したものであるが、各サブピクセルの発光色度点および輝度を規定するものであれば、これには限られない。また、入力映像信号(R,G,B)から映像信号(X,Y,Z)への変換手法については、上記した手法には限られず、他の公知の手法を用いてもよい。また、例えば、複数の白色点に対する変換マトリクスを求めておいてもよいし、表示パネル10内の画素11や領域ごとに異なる変換マトリクスを求めておくようにしてもよい。
【0058】
【数1】

【0059】
次に、変換処理部210は、以下の(5)〜(7)式により規定される変換マトリクスMr,Mg,Mbを用いて、以下の(8)〜(10)式および(11)〜(13)式により、映像信号(X,Y,Z)からR,G,B,Wの4色に対応する変換映像信号(r,g,b,w)を生成する。具体的には、変換処理部210は、R,G,Bのうちのいずれか1つに対応する輝度レベルが0(ゼロ)となる3種類の変換映像信号を生成すると共に、それら3種類の変換映像信号のうち、R,G,B,Wに対応する輝度レベルがいずれも0以上となる変換映像信号を採用して用いる。すなわち、まず、変換処理部210は以下の(8)式を用いて、映像信号(X,Y,Z)から映像信号(Wp,Gp,Bp)を求める。そして、この(Wp,Gp,Bp)の値がいずれも0以上となる場合には(ステップS103:Y)、変換映像信号(r,g,b,w)として(0,Gp,Bp,Wp)を採用する(ステップS104)。一方、(Wp,Gp,Bp)の値がいずれも0以上とはならない場合には(ステップS103:N)、次に変換処理部210は、以下の(9)式を用いて、映像信号(X,Y,Z)から映像信号(Rp,Wp,Bp)を求める。そして、この(Rp,Wp,Bp)の値がいずれも0以上となる場合には(ステップS105:Y)、変換映像信号(r,g,b,w)として(Rp,0,Bp,Wp)を採用する(ステップS106)。一方、(Rp,Wp,Bp)の値がいずれも0以上とはならない場合には(ステップS105:N)、次に変換処理部210は、以下の(10)式を用いて、映像信号(X,Y,Z)から映像信号(Rp,Gp,Wp)を求める。そして、変換映像信号(r,g,b,w)として(Rp,Gp,0,Wp)を採用する(ステップS107)。
【0060】
【数2】

【0061】
【数3】

【0062】
続いて、変換処理部210は、このようにして求めた変換映像信号(r,g,b,w)のうち、Wに対応する輝度レベル(Wpの値)が前述した所定の閾値Aよりも大きいのか否かを判定する(ステップS108)。そして、Wpが閾値Aよりも大きい場合には(ステップS108:Y)、この変換映像信号(r,g,b,w)をそのまま出力映像信号として採用する。一方、Wpが閾値A以下である場合には(ステップS108:N)、以下の(14)式を用いて、映像信号(X,Y,Z)から映像信号(Rp,Gp,Bp)を求める。そして、出力映像信号として、(r,g,b,w)=(Rp,Gp,Bp,0)を採用する(ステップS110)。すなわち、この場合には、出力映像信号として、Wに対応する輝度レベルが0となるものを採用する。
【0063】
【数4】

【0064】
次いで、ここでは、例えば所定のルックアップテーブル(LUT)を用いて、変換映像信号(r,g,b,w)の値を所望の値(発光強度)に変換し(ステップS109)、最終的な出力映像信号(R,G,B,W)を出力する(ステップS110)。ただし、このような変換を、LUTを用いて行うのではなく、ガンマカーブや近似式を用いた演算によって行うようにしてもよい。また、このステップS109の変換を行わないようにしてもよい。以上により、図7に示した変換処理部210における変換処理が終了となる。
【0065】
以上のように本実施の形態では、変換処理部210において、R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいてR,G,B,Wの4色に対応する出力映像信号を生成する際に、以下のようにして変換処理を行う。すなわち、サブピクセル11Wにおける輝度レベルが所定の閾値Aよりも大きくなる場合には、各サブピクセル11R,11G,11B,11Wにおいて表示動作がなされるように出力映像信号を生成する。一方、サブピクセル11Wにおける輝度レベルが上記閾値A以下となる場合には、各サブピクセル11R,11G,11Bにおいて表示動作がなされると共にサブピクセル11Wにおいて表示動作がなされなくなるように、出力映像信号を生成する。これにより、複雑な処理(色度補正や色変換処理)を行うことなく、映像表示の際の色度変化を抑えることができる。よって、R,G,B,Wの4色のサブピクセル構造を用いて映像表示を行う際に、信号処理負担を抑えつつ高画質化を実現することが可能となる。また、R,G,Bの3色のサブピクセル構造を用いて映像表示を行う場合と比べ、消費電力を低減することも可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態において、サブピクセル11Wの駆動領域と非駆動領域との間での接続部の色ずれを低減させるために、概ね上記閾値A付近でのW(白色光)への配分を漸次変化させる等の手法を用いてもよい。
【0067】
<変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例について説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0068】
図8(A),(B)はそれぞれ、変形例に係る各画素(画素11−1)の内部構成(サブピクセル構造)の一例を、平面図で模式的に表したものである。
【0069】
本変形例の画素11−1は、R,G,Bの3原色のサブピクセル11R,11G,11Bと、これらの3色よりも高輝度を示す色Z(ここでは、黄(Y))のサブピクセル11Yとにより構成されている。すなわち、各画素11−1は、R,G,B,Yの4色に対応する4つのサブピクセル11R,11G,11B,11Yからなるサブピクセル構造となっている。換言すると、本変形例の画素11−1は、上記実施の形態の画素11において、Wに対応するサブピクセル11Wの代わりに、Yに対応するサブピクセル11Yを設けたものとなっている。
【0070】
図8(A)に示した例では、図2(A)と同様に、各画素11−1内で4つのサブピクセル11R,11G,11B,11Yがマトリクス状(2×2の行列状)に配置されている。また、図8(B)に示した例では、図2(B)と同様に、各画素11−1内で4つのサブピクセル11R,11G,11B,11Yが一列に並んで配置されている。ただし、各画素11−1内での各サブピクセルル11R,11G,11B,11Yの配置構成は、これらの例には限られず、他の配置構成であってもよい。
【0071】
ここで、4つのサブピクセル11R,11G,11B,11Yにはそれぞれ、上記実施の形態と同様に白色光Lwを発する有機EL素子12(白色発光素子)が設けられている。そして、これらのサブピクセル11R,11G,11B,11Yにはそれぞれ、R,G,B,Yの各色に対応するカラーフィルタ(図示せず)が配設されている。ただし、サブピクセル11Y内に、例えば緑色発光層441Gおよび赤色発光層441Rを積層させてなる黄色発光素子を設けると共に、黄色に対応するカラーフィルタを設けないようにしてもよい。
【0072】
このような構成からなる本変形例においても、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。すなわち、3原色R,G,Bよりも高輝度を示す色Zとしては、上記実施の形態で説明したWには限られず、本変形例で説明したYや、更には他の色であってもよい。
【0073】
<モジュールおよび適用例>
続いて、図9〜図14を参照して、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置1の適用例について説明する。上記実施の形態等の表示装置1は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、この表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0074】
(モジュール)
表示装置1は、例えば、図9に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板31の一辺に、封止用基板32から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、駆動回路20の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0075】
(適用例1)
図10は、表示装置1が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300が表示装置1により構成されている。
【0076】
(適用例2)
図11は、表示装置1が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、この表示部420が表示装置1により構成されている。
【0077】
(適用例3)
図12は、表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が表示装置1により構成されている。
【0078】
(適用例4)
図13は、表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。そして、この表示部640が表示装置1により構成されている。
【0079】
(適用例5)
図14は、表示装置1が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、表示装置1により構成されている。
【0080】
<その他の変形例>
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態等では、有機EL素子12が主に白色発光層441Wを有する白色発光素子である場合について説明したが、例えば、サブピクセル11R,11G,11B内の有機EL素子12については各色に対応する発光を行うものであってもよい。また、白色発光層441Wについても、上記実施の形態等で説明したように、発光色が異なる複数の発光層が積層された構造ではなく、各画素内の面内方向に複数の発光層を配置するようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、発光素子の一例として有機EL素子を挙げて説明したが、有機EL素子以外の発光素子を用いるようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態等では、表示装置1がアクティブマトリクス型である場合について説明したが、アクティブマトリクス駆動のための画素回路14の構成は、上記実施の形態等で説明したものに限られない。すなわち、画素回路14の構成は、上記実施の形態等で説明した「2Tr1C」の回路構成には限られず、例えば必要に応じて、容量素子やトランジスタ等を画素回路14に追加したり置き換えたりするようにしてもよい。その場合、画素回路14の変更に応じて、上述した走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25の他に、必要な駆動回路を追加するようにしてもよい。
【0083】
更に、上記実施の形態等では、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25における駆動動作を、タイミング生成回路22が制御する場合について説明したが、他の回路がこれらの駆動動作を制御するようにしてもよい。また、このような走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25に対する制御は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
【0084】
加えて、上記実施の形態等では、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2がそれぞれ、nチャネルトランジスタ(例えば、nチャネルMOS型のTFT)により形成されている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2がそれぞれ、pチャネルトランジスタ(例えば、pチャネルMOS型のTFT)により形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…表示装置、10…表示パネル、11,11−1…画素、11R,11G,11B,11W,11Y…サブピクセル、12…有機EL素子、13…画素アレイ部、14…画素回路、20…駆動回路、20A,21A…映像信号、20B…同期信号、21…映像信号処理回路、210…変換処理部、22…タイミング生成回路、22A…制御信号、23…走査線駆動回路、24…信号線駆動回路、25…電源線駆動回路、41…基板、42…絶縁層、43…下部電極、44…有機層、441W…白色発光層、441R…赤色発光層、441G…緑色発光層、441B…青色発光層、441Y…黄色発光層、45…上部電極、46…絶縁層、47R,47G,47B…カラーフィルタ、WSL…走査線、DTL,DTLr,DTLg,DTLb,DTLw…信号線、DSL…電源線、Tr1…書き込みトランジスタ、Tr2…駆動トランジスタ、Cs…保持容量素子、Id…電流、Vg…ゲート電位、Vs…ソース電位、Vgs…ゲート−ソース間電圧、VSS…固定電位、Lr…赤色光、Lg…緑色光、Lb…青色光、Lw…白色光、A…閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、赤(R),緑(G),青(B)の3色のサブ画素と、これらの3色よりも高輝度を示す色(Z)のサブ画素とを含んで構成された複数の画素を有する表示部と、
前記R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいて所定の変換処理を行うことにより前記R,G,B,Zの4色に対応する出力映像信号を生成する変換処理部を有し、前記出力映像信号を用いて前記R,G,B,Zの各サブ画素に対する表示駆動を行う駆動部と
を備え、
前記変換処理部は、
前記Zのサブ画素における輝度レベルが所定の閾値よりも大きくなる場合には、前記R,G,B,Zの各サブ画素において表示動作がなされるように、前記出力映像信号を生成する一方、
前記Zのサブ画素における輝度レベルが前記閾値以下となる場合には、前記R,G,Bの各サブ画素において表示動作がなされると共に前記Zのサブ画素において表示動作がなされなくなるように、前記出力映像信号を生成する
表示装置。
【請求項2】
前記変換処理部は、
前記入力映像信号に基づいて、前記R,G,B,Zの4色に対応する変換映像信号を生成し、
前記変換映像信号のうちの前記Zに対応する輝度レベルが前記閾値よりも大きい場合には、前記変換映像信号を前記出力映像信号として出力する一方、
前記変換映像信号のうちの前記Zに対応する輝度レベルが前記閾値以下である場合には、前記入力映像信号に基づいて、その色度点が保持されつつ前記Zに対応する輝度レベルが0(ゼロ)となるように、前記出力映像信号を生成する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記変換処理部は、
前記R,G,Bのうちのいずれか1つに対応する輝度レベルが0(ゼロ)となる3種類の変換映像信号を生成すると共に、
それら3種類の変換映像信号のうち、前記R,G,B,Zに対応する輝度レベルがいずれも0以上となる変換映像信号を採用して用いる
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記Zのサブ画素が最大輝度レベルを示すときの色度点に対する色度変化量が所定の範囲内に収まるように、前記閾値が設定されている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記変換処理部は、前記変換処理の際に、前記Zに対応する映像信号に対して色度補正を行わない
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
各画素は、
前記R,G,Bの3色のサブ画素と、
前記Zのサブ画素としての白(W)のサブ画素とを含む
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記3色のサブ画素には、R,G,Bの各色に対応するカラーフィルタが配設される一方、前記Wのサブ画素には、カラーフィルタが配設されていない
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記R,G,B,Wの各サブ画素は、白色発光素子を有する
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記白色発光素子は、互いに発光色が異なる複数の発光層を含む
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記白色発光素子が、有機EL素子からなる
請求項8または請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
各々が、赤(R),緑(G),青(B)の3色のサブ画素と、これらの3色よりも高輝度を示す色(Z)のサブ画素とを含んで構成された複数の画素を有する表示部と、
前記R,G,Bの3色に対応する入力映像信号に基づいて所定の変換処理を行うことにより前記R,G,B,Zの4色に対応する出力映像信号を生成する変換処理部を有し、前記出力映像信号を用いて前記R,G,B,Zの各サブ画素に対する表示駆動を行う駆動部と
を備え、
前記変換処理部は、
前記Zのサブ画素における輝度レベルが所定の閾値よりも大きくなる場合には、前記R,G,B,Zの各サブ画素において表示動作がなされるように、前記出力映像信号を生成する一方、
前記Zのサブ画素における輝度レベルが前記閾値以下となる場合には、前記R,G,Bの各サブ画素において表示動作がなされると共に前記Zのサブ画素において表示動作がなされなくなるように、前記出力映像信号を生成する
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−194256(P2012−194256A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56690(P2011−56690)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】