説明

表示装置および電子機器

【課題】カラーフィルタによる画素回路への電気的影響を緩和して表示画質の劣化を抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置1は、駆動基板10側にカラーフィルタ15を有する構造において、表示機能層(有機EL層19)へ駆動電流を供給するための第1電極17および第2電極20に加え、第3電極14を設けた構造となっている。画素回路において、カラーフィルタ15に起因して誘電正接が生じた場合であっても、第1電極17と第3電極13との電気的遮蔽効果によって、画素回路における保持電位の変動を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーの映像表示を行う表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro luminescence:以下ELと称す)表示装置や、液晶表示装置などの映像表示装置では、カラーの映像表示を行うために、表示パネル内に、顔料によって着色されたカラーフィルタが設けられている。近年では、このようなカラーフィルタを画素駆動基板上に配設する、COA(Color Filter on Array)技術を利用した表示装置が開発されている。
【0003】
ところが、カラーフィルタを画素駆動基板上に設けた場合、そのカラーフィルタに含まれる着色材料に起因して、いわゆる誘電正接が生じ、画素回路に電気的影響を及ぼすことがある。この結果、画素回路における表示電位が変動し、表示画質が低下するという不具合が生じる。また、横電界モードにより表示駆動される液晶層を有する表示装置では、カラーフィルタを対向基板側に設けた場合であっても、電界がカラーフィルタを横切るように発生するために、同様の不具合が生じてしまう。
【0004】
そこで、カラーフィルタにおける誘電正接が所定の値以下となるような特定の着色材料を特定の濃度で使用することにより、表示画質への影響を低減させる技術が提案されている(特許文献1)。また、横電界モードの液晶表示装置において、誘電正接への影響が相対的に大きいとされる特定の色(G)のカラーフィルタの厚みを薄くする(電界から離れた位置にカラーフィルタを配置する)ことにより、上記影響を軽減する技術も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第09/087886号パンフレット
【特許文献2】特開2008−249947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、色再現域向上への要求が高まっており、そのためには、カラーフィルタにおける着色材料の濃度を高める必要がある。しかしながら、上記特許文献1の手法では、着色材料とその濃度を規定することにより誘電正接を一定値以下に保持するものであるため、着色材料の濃度を高めて色再現域を向上させつつ、誘電正接を抑制することは非常に困難である。他方、特許文献2の手法では、COA技術を用いた構造に対しては適用できない。従って、カラーフィルタの配設によって、画素回路に与える電気的影響(例えば、誘電正接による影響)を軽減する手法の実現が望まれている。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、カラーフィルタによる画素回路への電気的影響を緩和して表示画質の劣化を抑制することが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、カラーフィルタを有する画素駆動基板と、画素駆動基板上に設けられた表示機能層と、表示機能層に対し駆動電圧を供給するための第1電極および第2電極と、カラーフィルタに対向配置された第3電極とを備えたものである。
【0009】
本発明の表示装置では、カラーフィルタを有する画素駆動基板上において、表示機能層を駆動する第1電極および第2電極とは別に、カラーフィルタに対向して第3電極が設けられている。この第3電極に電位供給がなされることにより、カラーフィルタによって誘電正接が生じた場合であっても、カラーフィルタ内の不純物イオンの挙動による影響が緩和され、画素回路に保持される表示電位の変動が生じにくくなる。
【0010】
本発明の電子機器は、上記本発明の表示装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表示装置および電子機器によれば、カラーフィルタを有する画素駆動基板上に、表示機能層を駆動する第1電極および第2電極に加え、カラーフィルタに対向して第3電極を設けるようにしたので、カラーフィルタによって誘電正接が生じた場合であっても、画素回路において保持される表示電位が変動することを抑制できる。よって、カラーフィルタによる画素回路への電気的影響を緩和して表示画質の劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る有機EL表示装置の概略構造を表す断面図である。
【図2】図1に示した有機EL表示装置における画素駆動回路の一例を表す機能ブロック図である。
【図3】図2に示した画素の回路構成を表す図である。
【図4】比較例に係る有機EL表示装置の概略構成を表す断面図である。
【図5】カラーフィルタ等価回路を画素回路(有機EL素子)と共に表した図である。
【図6】比較例におけるカラーフィルタによる画素回路への影響を説明するための模式図である。
【図7】第3電極設置による効果を説明するための模式図である。
【図8】実施例および比較例におけるカソード電流の経時変化を表す特性図である。
【図9】変形例1における遮蔽効果を説明するための模式図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る有機EL表示装置の概略構造を表す断面図である。
【図11】図10に示した電極層の平面構成の一例を表す模式図である。
【図12】第2の実施の形態における電気的効果を説明するための模式図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構造を表す断面図である。
【図14】図13に示した液晶表示装置における周辺回路の一例を表す機能ブロック図である。
【図15】図14に示した画素の回路構成を表す図である。
【図16】カラーフィルタ等価回路を画素回路(液晶表示素子)と共に表した図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構造を表す断面図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構造を表す断面図である。
【図19】本発明の第6の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構造を表す断面図である。
【図20】上記各実施の形態等の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図21】適用例1の外観を表す斜視図である。
【図22】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図23】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図24】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図25】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(駆動基板において、カラーフィルタを第1電極(アノード)と第3電極(第1電極と等電位)とで挟み込んでなる有機EL表示装置の例)
2.変形例1(第3電極に固定電位を供給する場合の例)
3.第2の実施の形態(駆動基板側において、カラーフィルタ上の第1電極(アノード)と同層に、第3電極を設けた有機EL表示装置の例)
4.第3の実施の形態(駆動基板側において、カラーフィルタを第1電極(画素電極)と第3電極とで挟み込んでなる液晶表示装置の例)
5.第4の実施の形態(駆動基板側において、カラーフィルタ上の第1電極(画素電極)と同層に、第3電極を設けた液晶表示装置の例)
6.第5の実施の形態(駆動基板側において、カラーフィルタを、第1電極と第3電極とで挟み込んでなる液晶表示装置(横電界モード)の例)
7.第6の実施の形態(駆動基板側において、カラーフィルタ上の第2電極(共通電極)と同層に、第3電極を設けた液晶表示装置(横電界モード)の例)
8.適用例(表示装置の電子機器への適用例)
【0014】
<第1の実施の形態>
[有機EL表示装置1の構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る有機EL表示装置1の断面構造を表すものである。有機EL表示装置1は、いわゆるCOA技術によりカラーフィルタ(カラーフィルタ15)が駆動基板10側に設けられた構造を有すると共に、ボトムエミッション(下面発光)方式により発光を生じるものである。この有機EL表示装置1は、駆動基板10上に、例えば、R(赤),G(緑),B(青)の画素として、例えばマトリクス状に複数の有機EL素子が配置されている。尚、図1では、1画素分に相当する領域のみ示している。
【0015】
(画素構成)
駆動基板10は、上記複数の画素を駆動する画素駆動回路(後述)およびトランジスタ等が設けられた回路基板である。この駆動基板10では、例えばガラスまたはプラスチックよりなる透明な基板11上に、トランジスタ部12A(後述のトランジスタTr1,Tr2に相当)および容量部12B(後述の容量素子Csに相当)を有している。トランジスタ部12Aでは、例えば基板上にゲート電極120、ゲート絶縁膜13a、半導体層122、層間絶縁膜13bおよびソース・ドレイン電極121がこの順に積層されている。このソース・ドレイン電極121は、層間絶縁膜13cにより覆われており、層間絶縁案膜13cに設けられたコンタクトホールを介して第1電極17(アノード)と電気的に接続されている。尚、画素回路の構成については後述する。
【0016】
本実施の形態では、このような駆動基板10上に、画素毎にR,G,Bのいずれかの色に着色されたカラーフィルタ15が、第3電極14を介して設けられている。即ち、カラーフィルタ15の下層に、カラーフィルタ15に対向するように、第3電極14が設けられている。この第3電極14には、例えば後述の第1電極(アノード)17と同一の電位(V1)が供給されるようになっている(第1電極17と同電位に保持されるようになっている)。ここでは、第3電極14は、トランジスタ部12Aにおけるソース・ドレイン電極121を覆って、カラーフィルタ15の全域にわたって設けられている。但し、第3電極14は、例えば、各画素において、カラーフィルタ15の全域にわたって設けられていてもよいし、あるいはトランジスタ部12A(または容量部12Bもしくはその両方)に対向する領域を少なくとも含む領域に選択的に設けられていてもよい。このカラーフィルタ15上には、平坦化膜16が形成されている。
【0017】
カラーフィルタ15は、例えば感光性樹脂に赤色顔料,緑色顔料および青色顔料のうちのいずれかの着色材料を含むものである。あるいは、他の色の着色材料、例えば橙色顔料、紫色顔料などを含んでいてもよい。例えば、青色顔料,緑色顔料としては、銅フタロシアニンを含むものが用いられる。この銅フタロシアニンは、光導電性を示し、後述するような光電効果によって誘電正接を変化させる性質を有する。
【0018】
第3電極14は、第1電極17と同様、ITO,IZO等の透明導電膜により構成されている。本実施の形態では、この第3電極14に、後述の第1電極17が電気的に接続されており、第1電極17と同電位に保持されるようになっている。
【0019】
平坦化膜16上には、そのような第3電極14に導通して(平坦化膜16のコンタクトホールを介して電気的に接続されて)、第1電極17が配設されている。この第1電極17上には、開口を有する画素分離膜(ウィンドウ膜)18が設けられ、画素分離膜18の開口部分に有機EL層19が形成されている。有機EL層19上には、全画素に共通の電極として第2電極20が設けられている。
【0020】
第1電極17は、画素毎に設けられており、有機EL層19へ正孔を注入するためのアノードとして機能するものである。この第1電極17は、透明導電膜、例えばインジウムとスズの酸化物(ITO)およびインジウムと亜鉛の酸化物(IZO)のうちのいずれかよりなる単層膜、またはこれらの積層膜により構成されている。
【0021】
画素分離膜18は、画素の発光領域を区画するためのものであり、例えば感光性樹脂により構成されている。
【0022】
有機EL層19は、例えば各画素に共通して、正孔および電子の再結合により白色光を発する白色発光層である。但し、有機EL層19としては、そのような白色発光層に限らず、各色の発光層(赤色発光層,緑色発光層,青色発光層)が、画素毎に塗り分けられていてもよい。
【0023】
第2電極20は、各画素に共通の電極であり、例えば有機EL層19に電子を注入するカソードとして機能するものである。この第2電極20は、例えば反射性を有する金属材料、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)およびクロム(Cr)などの金属元素の単体または合金から構成されている。あるいは、マグネシウム−銀(Mg−Ag)共蒸着膜の単層膜またはこれらの積層膜により構成されていてもよい。
【0024】
尚、第1電極17と有機EL層19との間には、例えば正孔注入層や正孔輸送層(いずれも図示せず)が設けられていてもよいし、第2電極20と有機EL層19との間には、例えば電子注入層や電子輸送層(いずれも図示せず)が設けられていてもよい。
【0025】
第2電極20上には、画素を封止保護するための保護層21が設けられており、この保護層21上に、図示しない接着層を介して封止用基板22が貼り合わせられている。保護層21は、例えばシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜等よりなる。
【0026】
(周辺回路構成)
図2は、画素の周辺回路(ドライバ)の構成例を表したものである。表示領域(有効表示領域)S内には、複数の画素(PXL)が例えばマトリクス状に2次元配置されており、この表示領域Sの周辺には、走査線駆動回路53、電源線駆動回路52および信号線駆動回路51が配設されている。各画素(PXL)は、走査線WSL、電源線DSLおよび信号線DTLに接続されている。
【0027】
走査線駆動回路53は、所定のタイミングで複数の走査線WSLに対して選択パルスを順次印加することにより、各画素を順次選択するものである。具体的には、後述の書き込みトランジスタTr1をオン状態に設定するための電圧Vonと、オフ状態に設定するための電圧Voffとを時分割で切り替えて出力する。
【0028】
電源線駆動回路52は、所定のタイミングで複数の電源線DSLに対して制御パルスを順次印加することにより、各画素の発光動作および消光動作の制御を行うものである。具体的には、後述の駆動トランジスタTr2に電流Idsを流すための電圧VHと、電流Idsを流さないようにするための電圧VLとを時分割で切り替えて出力する。
【0029】
信号線駆動回路51は、所定のタイミングで、外部から入力される映像信号Sに対応するアナログの映像信号を生成し、各信号線DTLに印加するものである。これにより、走査線駆動回路53により選択された画素に対して、映像信号の書き込みを行うようになっている。尚、駆動基板10には、上記以外にも、例えば映像信号に対して所定の補正処理を施す映像信号処理回路、表示駆動タイミングを制御するためのタイミング制御回路(いずれも図示せず)等が設けられている。
【0030】
(画素回路構成)
図3は、画素(PXL)の回路構成の一例である。画素回路50は、有機EL素子(OLED)、書き込み(サンプリング用)トランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および保持容量素子Csを含むものである。書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2はそれぞれ、例えばnチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTである。TFTの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(いわゆるトップゲート型)であってもよい。
【0031】
各画素ではそれぞれ、書き込みトランジスタTr1のゲートが走査線WSLに接続され、ドレイン(またはソース)が信号線DTLに接続され、ソース(またはドレイン)が、駆動トランジスタTr2のゲートおよび保持容量素子Csの一端に接続されている。駆動トランジスタTr2のドレイン(またはソース)は電源線DSLに接続され、ソース(またはドレイン)は、保持容量素子Csの他端および有機EL素子(OLED)のアノードに接続されている。有機EL素子(OLED)のカソードは固定電位に設定されており、ここではグランド(接地電位)に設定されている。
【0032】
[有機EL表示装置1の作用・効果]
(映像表示動作)
図1〜図3を参照して、有機EL表示装置1における映像表示動作について説明する。有機EL表示装置1では、映像信号が入力されると、走査線駆動回路53、電源線駆動回路52および信号線駆動回路51が、表示領域S内の各画素(PXL)を表示駆動する。これにより、各画素内の有機EL素子(OLED)に駆動電流が流れ、有機EL層19において、正孔と電子とが再結合して白色発光が起こる。
【0033】
詳細には、図3に示した画素回路50において、以下のようにして映像信号の書き込み動作が行われる。即ち、信号線DTLに映像信号電圧が供給されると共に、電源線DSLに所定の電圧VHが供給されることにより、走査線駆動回路53が、走査線WSLの電圧を電圧Voffから電圧Vonに上げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオン状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgsが、このときの信号線DTLの電圧に対応する映像信号電圧へと上昇する。その結果、補助容量素子Csに対して映像信号電圧が書き込まれ、保持される。
【0034】
その後、走査線駆動回路53が、走査線WSLの電圧を電圧Vonから電圧Voffへと下げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティング状態となる。この結果、駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間電圧Vgsが一定に保持された状態で、駆動トランジスタTr2のドレイン・ソース間に電流Idsが流れる。これにより、有機EL素子(OLED)のアノード電圧が、所定の閾値電圧よりも大きくなり、有機EL素子110のアノード−カソード間には、補助容量素子Csに保持された映像信号電圧、即ち駆動トランジスタTr2におけるゲート・ソース間電圧Vgsに応じた電流Idsが流れ、有機EL素子(OLED)が発光する。
【0035】
このようにして有機EL層19から発せられた光(例えば白色光)のうち、第2電極20において反射された光、および有機EL層19から直接第1電極17側へ発せられた光は、第1電極17を透過した後、カラーフィルタ15を通過することにより、所定の色光として駆動基板10の下方から取り出される。このようにして、ボトムエミッション方式による発光がなされ、カラーの映像表示がなされる。
【0036】
(カラーフィルタによる画素回路への影響)
ここで、駆動基板側にカラーフィルタを設けた場合の画素回路への電気的影響について、比較例を挙げて説明する。
【0037】
(比較例)
図4は、比較例に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置100)の断面構造を表したものである。有機EL表示装置100は、本実施の形態の有機EL表示装置1と同様、ボトムエミッション方式により発光がなされると共に、カラーフィルタが駆動基板側に設けられた構造を有している。具体的には、透明な基板101上に、トランジスタ部102Aおよび容量部102Bを有する駆動基板100a上に、顔料を含むカラーフィルタ104が設けられ、これらが平坦化膜105によって平坦化されている。トランジスタ部102Aは、ゲート電極1020、ゲート絶縁膜103a、半導体層1022、層間絶縁膜103bおよびソース・ドレイン電極1021がこの順に積層されたものである。ソース・ドレイン電極1021は、層間絶縁膜103Cにより覆われている。平坦化膜105上には、アノードとしての第1電極106が配設されている。第1電極106上の画素分離膜107の開口部分に有機EL層108が形成され、この有機EL層108上にカソードとしての第2電極109が設けられている。このように、有機EL表示装置100では、カラーフィルタ104が、トランジスタ部12Aおよび容量部12Bに対向する領域において、層間絶縁膜103bなどの誘電体上に設けられた構造となっている。
【0038】
このように、駆動基板100a側にカラーフィルタ104が設けられている場合、画素回路にカラーフィルタ104による等価回路が形成され、図5(A)に示したような回路構成となる。即ち、書き込みトランジスタTr1,駆動トランジスタTr2、有機EL素子(OLED)、保持容量素子Csを含む画素回路(画素回路50A)の保持電圧部(図中のC点)に、カラーフィルタ等価回路50Bが接続されたような回路構成となる。映像表示の際には、上述のように、映像信号電圧に応じて駆動トランジスタTr2におけるゲート・ソース間電圧Vgsが決定され、このゲート・ソース間電圧Vgsに応じた駆動電流が有機EL層に供給されることで発光が起こるが、上記のようなカラーフィルタ等価回路50Bが形成されると、次のような不具合が生じる。
【0039】
即ち、カラーフィルタ等価回路50Bでは、図6(A)に示したように、カラーフィルタ104に含まれる顔料等に起因して、いわゆる誘電正接を有する(抵抗成分R1を形成する)。これにより、上記のように映像信号電圧に応じた電位でC点における電位が一旦決定されたとしても、カラーフィルタ104による誘電正接により、カラーフィルタ等価回路50BにおけるA,B点の各電位が変動する。この結果、画素回路50Aにおける保持電位(C点における電位)が変動してしまう。加えて、カラーフィルタの顔料は光電効果を有しており、これに起因して誘電正接も変化(増加)する。即ち、OLED発光等の影響を受けた光電効果により、保持電位の変動率も増加してしまう。
【0040】
また、顔料のもつ光電効果によって、カラーフィルタ104内にはキャリア(正孔および電子)が発生する。図6(B)に示したように、このキャリアが外部電界等の影響を受けて移動し(F1)、欠陥等で捕獲されることによって偏在的に蓄積される。この結果、例えばトランジスタ部12Aにおいて、バックゲート効果等によるリーク電流増加に繋がり、保持電位の変動を引き起こす。
【0041】
更に、このような顔料には、導電性の添加剤や不純物イオンが含まれていることから、この不純物イオン等が外部電界によって移動し(図6(B)中のF2)、更に周辺へ拡散することにより、例えばトランジスタ部12A等の特性変動を引き起こし、リーク電流による保持電位の変動を引き起こすことが考えられる。
【0042】
上記のような理由から、画素回路50Aにおける保持電位が変動し、画質劣化を引き起こしてしまう。例えば、カソード電流が低下することにより、輝度が低下すると共に、特にG画素におけるカソード電流の低下が激しく、色シフトが発生する等の画質劣化を生じる。
【0043】
(第3電極設置による効果)
これに対し、本実施の形態では、駆動基板10上において、カラーフィルタ15に対向するように(第1電極17との間にカラーフィルタ15を挟み込むように)、第1電極17,第2電極20とは異なる新たな電極(第3電極14)を設けている。この第3電極14には、第1電極17と同一の電位を供給可能となっており、ここでは第3電極14が第1電極17に電気的に接続され、第3電極14を第1電極17と等電位(映像信号に対応する電位)に保持することができるようになっている。
【0044】
これにより、図7(A)に示したように、カラーフィルタ15の設置に起因して上記のような誘電正接(および光電効果による誘電正接の増大)が生じた場合であっても、第3電極14と第1電極17との遮蔽効果(いわゆる電磁シールドによる効果)により、C点における電位を変動させることがない。また、カラーフィルタ15が等電位面によって挟まれていることで、図7(B)に示したように、光電効果によって発生したキャリア移動、および不純物イオン等の移動(拡散)が抑制される。また、上記のような不純物イオンの挙動による影響は、トランジスタ部のみならず、上部の有機EL層19にも及ぶことがあるが、第3電極14と第1電極17との遮蔽効果により、そのような影響についても低減することができる。
【0045】
これらの結果、本実施の形態では、カラーフィルタ15に起因する画素回路50への電気的影響が抑制される。
【0046】
例えば、図8に、上記比較例の構造と本実施の形態(実施例)の構造において、G画素におけるカソード電流の低下量を規格化したものを示す。このように、比較例では、時間の経過と共にカソード電流が低下する傾向を示すが、上記のような第3電極14を採用した本実施の形態では、電流低下が抑制されていることがわかる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態では、駆動基板10側にカラーフィルタ15を有する構造において、有機EL層19へ駆動電流を供給するための第1電極17および第2電極20に加え、第3電極14を設けた構造となっている。これにより、カラーフィルタ15に起因して誘電正接が生じた場合であっても、第1電極17と第3電極13との電気的遮蔽効果によって、画素回路50における保持電位の変動を抑制できる。よって、カラーフィルタによる画素回路への電気的影響を緩和して表示画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0048】
特に、第3電極14に対し、第1電極17と同一の電位を供給することにより、カラーフィルタ15が等電位面によって挟まれ、上記遮蔽効果に加え、カラーフィルタ15内でのキャリアおよび不純物イオンの移動を抑制することができる。よって、画素回路50への電気的影響をより効果的に抑制することができる。
【0049】
次に、上記第1の実施の形態の有機EL表示装置の変形例(変形例1)について説明する。以下では、上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0050】
<変形例1>
上記第1の実施の形態では、駆動基板10上において、カラーフィルタ15の下層に第3電極14を設け、この第3電極14を第1電極17と等電位に保持するようにしたが、第3電極14へ供給する電位は、必ずしも第1電極17と同一でなくともよい。例えば、図9に示したように、第1電極17には、映像信号に対応する電位V1を供給するのに対し、第3電極14に対しては、その電位V1とは異なる固定電位V2を供給するようにしてもよい。また、この固定電位V2は、カソード電位と同一としてもよく、その場合には、第3電極14が第2電極20と電気的に接続されるようにすればよい。
【0051】
このように、第3電極14に対して映像信号電位とは異なる固定電位V2を供給した場合であっても、上記第1の実施の形態と同様、カラーフィルタ15に起因して誘電正接(および光電効果による誘電正接の増大)が生じた場合であっても、第3電極14と第1電極17との遮蔽効果により、C点における電位を変動させることがない。よって、上記第1の実施の形態とほぼ同等の効果を得ることができる。但し、第1電極17と第3電極13とを等電位とする上記第1実施の形態の方が、上述のようにキャリアや不純物イオン等の移動を抑制できるため、画素回路50における保持電位の変動をより効果的に抑制することができる。
【0052】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置(有機EL表示装置2)について説明する。上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0053】
図10は、有機EL表示装置2の断面構造を表したものである。有機EL表示装置2は、上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1と同様、いわゆるCOA技術によりカラーフィルタ15が駆動基板10側に設けられた構造を有し、ボトムエミッション方式により発光を生じる複数の有機EL素子を画素として有するものである。また、画素駆動回路および画素回路の構成についても、上記第1の実施の形態と同様である。
【0054】
有機EL表示装置2では、上記第1の実施の形態と同様、駆動基板10上に、カラーフィルタ15が設けられている。このカラーフィルタ15上には、平坦化膜16が設けられ、この平坦化膜16上に、アノード層を含む電極層23、画素分離膜18、有機EL層19およびアノードとしての第2電極20が積層されている。
【0055】
但し、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と異なり、駆動基板10上において、第3電極(第3電極23B)が、カラーフィルタ15の下層ではなく、その上層に、カラーフィルタ15に対向するように設けられている。つまり、平坦化膜16上に配設された電極層23が、アノードとして機能する部分(第1電極23A)と、カラーフィルタ15を電気的に遮蔽する部分(第3電極23B)とを有している(電極層23が第1電極23Aと第3電極23Bとに分離されている)。図11に、この電極層23の平面構成(基板面に平行な面におけるレイアウト構成)の一例について示す。このように、電極層23では、例えばマトリクス状に設けられた第1電極23Aを囲むように、第3電極23Bが配設されている。
【0056】
このような電極層23では、第1電極23Aが、トランジスタ部12Aのソース・ドレイン電極121に接続されており、これにより第1電極23Aには、映像信号に対応した電位(例えば正電位)が供給されるようになっている。一方、第3電極23Bは、この第1電極23Aと電気的に分離されて設けられると共に、例えば第2電極20と電気的に接続されており、カソード電位(例えば負電位または0V)と同一の電位が供給されるようになっている。例えば、図11に示したような電極層23の周縁部において、第3電極23Bが第2電極20(カソード)と電気的に接続されている。
【0057】
尚、第3電極23Bは、必ずしもカソード電位に保持されていなくともよく、例えばカソード電位とは異なる固定電位が供給可能となっていてもよい。但し、第1電極23Aへ供給される電位と正負の異なる電位を供給することが望ましい。
【0058】
上記のような構成により、本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、ボトムエミッション方式による発光が生じ、カラーの映像表示がなされる。また、カラーフィルタ15に対向して第3電極23Bが設けられていることにより、画素回路50への電気的影響を軽減できる。具体的には、本実施の形態では、例えば図12に示したように、カラーフィルタ15上の第3電極23Bが設けられ、この第3電極23Bに、所定の固定電位V3(例えばカソード電位)を供給する。
【0059】
ここで、カラーフィルタ15上には、誘電体(平坦化膜16)を介してアノードとしての第1電極23Aが設けられているため、この第1電極23Aに対向する領域では、映像信号に対応する電位(十数Vの正電界)が印加されている。このような状態において、第3電極23Bに、第1電極23Aへの供給電位と正負の異なる電位(ここではカソード電位)を供給することにより、帯電性の不純物の挙動を逆転させてトランジスタ部12Aの影響を緩和させる、電磁シールドと同等の効果が得られる。これにより、トランジスタ部12Aの特性変動による保持電位の変動を抑制することができる。加えて、不純物拡散に起因する有機EL層19への悪影響をも低減することができる。よって、上記第1の実施の形態とほぼ同等の効果を得ることができる。
【0060】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る表示装置(液晶表示装置3)について説明する。上記第1,2の実施の形態では、本発明の表示装置として有機EL表示装置を例に挙げたが、以下に説明するような液晶表示装置についても同様に適用可能である。尚、上記第1の実施の形態における有機EL表示装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0061】
(画素構成)
図13は、液晶表示装置3の断面構造を表したものである。液晶表示装置3は、駆動基板10上に、例えば、R(赤),G(緑),B(青)の画素として、例えばマトリクス状に配置された複数の液晶表示素子を有するものである。尚、図13では、1画素分に相当する領域のみ示している。この液晶表示装置3は、上記第1の実施の形態と同様、いわゆるCOA技術によりカラーフィルタ15が駆動基板10側に設けられた構造を有し、このカラーフィルタ15の下層には、表示駆動用の電極とは異なる第3電極14を有している。また、カラーフィルタ15は平坦化膜16によって覆われており、この平坦化膜16上に、第1電極30(画素電極)が配設されている。
【0062】
第1電極30は、画素毎に設けられ、映像信号に対応する電位が供給されるようになっている。この第1電極30は、透明導電膜、例えばITOおよびIZOのうちのいずれかの単層膜またはそれらの積層膜により構成されている。ここでは、第1電極30は、カラーフィルタ15を間にして第3電極14と電気的に接続されている。
【0063】
これにより、本実施の形態においても、第3電極14に対し、第1電極30と同一の電位を供給可能となっており、第1電極30と第3電極14とが等電位に保持されるようになっている。
【0064】
本実施の形態では、この第1電極30上に、第2電極33(対向電極)が設けられており、これらの第1電極30および第2電極33間に液晶層32が封止されている。第1電極30および第2電極33の液晶層32側の面にはそれぞれ、配向膜31a,31bが形成されている。第2電極33上には対向基板34を介して偏光板35Bが貼り合わせられ、駆動基板11の下面には、偏光板35Aが貼り合わせられている。また、偏光板35Aの下方には、バックライト36を備えている。
【0065】
配向膜31a,31bは、液晶層32内の液晶分子(詳細には配向膜31a,31b近傍の液晶分子)の配向状態を制御するものである。このような配向膜14,16としては、例えば液晶層32に、VA(Vertical Alignment:垂直配向)モードにより駆動される液晶を用いた場合には、例えばポリイミドやポリシロキサン等の垂直配向膜が用いられる。
【0066】
液晶層32は、駆動電圧に応じて、そこを透過する光の透過率を制御する素子であり、例えばVAモード、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In Plane Switching)モードあるいはFFS(Fringe Field Switching)モード等により駆動されるものである。
【0067】
第2電極33は、上記第1電極30と同様の透明導電膜からなり、各画素に共通の電極として設けられている。対向基板34は、ガラスやプラスチックなどの透明基板よりなる。
【0068】
偏光板35A,35Bは、例えば互いにクロスニコルの状態で配置されており、バックライト36からの光を電圧無印加状態(オフ状態)では遮断、電圧印加状態(オン状態)では透過させるようになっている。
【0069】
バックライト36は、液晶層32へ向けて光を照射する光源であり、例えばLED(Light Emitting Diode)やCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等を複数含むものである。このバックライト3は、後述のバックライト駆動部63によって駆動されるようになっている。
【0070】
(周辺回路構成)
図14は、液晶表示素子を含む画素(PXL)の周辺回路の構成を表したものである。このように、駆動基板10上の表示領域(有効表示領域)S内には、複数の画素(PXL)が例えばマトリクス状に2次元配置されており、この表示領域Sの周辺には、走査線駆動回路62および信号線駆動回路61と、タイミング制御部64と、バックライト駆動部63とが配設されている。各画素(PXL)は、走査線WSLおよび信号線DTLに接続されている。尚、駆動基板10には、上記以外にも、例えば映像信号に対して所定の補正処理を施す映像信号処理回路等が設けられている。
【0071】
タイミング制御部64は、走査線駆動回路62および信号線駆動回路61の駆動タイミングを制御すると共に、入力される映像信号Dinを信号線駆動回路61へ供給するものである。走査線駆動回路62は、タイミング制御部64によるタイミング制御に従って、各画素を線順次駆動するものである。信号線駆動回路61は、各画素へそれぞれ、タイミング制御部64から供給される映像信号Dinに基づく映像電圧を供給するものである。具体的には、映像信号Dinに対してD/A(デジタル/アナログ)変換を施すことにより、アナログ信号である映像信号を生成し、各画素20へ出力する。
【0072】
(画素回路構成)
図15は、画素(PXL)の回路構成の一例である。画素回路60は、例えば液晶表示素子(LC)、トランジスタTr1および保持容量素子Csを有している。液晶表示素子(LC)における一端(第1電極30)は、トランジスタTr1のドレイン(またはソース)および保持容量素子Csの一端に接続され、他端(第2電極33)は、例えば接地されている。保持容量素子Csの他端は、容量線CSLに接続されている。トランジスタTr1のゲートは走査線WSL、ソース(またはドレイン)は信号線DTLにそれぞれ接続されている。
【0073】
[液晶表示装置3の作用・効果]
図13〜図15を参照して、液晶表示装置3における映像表示動作について説明する。液晶表示装置3では、映像信号が入力されると、走査線駆動回路62および信号線駆動回路61が、表示領域S内の各画素(PXL)を表示駆動すると共に、バックライト駆動部63がバックライト36を駆動し、照明光を駆動基板10へ向けて照射する。これにより、バックライト36からの照明光は、カラーフィルタ15を透過した後、液晶層32へ入射する。液晶層32に、映像信号に基づく駆動電圧が印加されることにより、入射光が変調され、対向基板34上に出射する。このようにして、カラーの映像表示がなされる。
【0074】
詳細には、図15に示した画素回路60において、以下のようにして映像信号の書き込み動作が行われる。即ち、走査線駆動回路62が、走査線WSLに走査信号を順次供給すると共に、信号線駆動回路61が、入力映像信号Dinに基づく映像信号を、所定の信号線DTLに供給する。これにより、映像信号が供給された信号線DTLと走査信号が供給された走査線WSLとの交差点に位置する画素が選択され、その画素における液晶表示素子(LC)に、その映像信号に応じた電圧が供給される。これにより、液晶層32における透過率が変化し、上記表示動作がなされる。
【0075】
このような液晶表示装置3においても、カラーフィルタ15が駆動基板10側に設けられていることにより、図16に示したように、上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1と同様、画素回路60Aに、カラーフィルタ15による等価回路60Bが形成される。これにより、液晶表示素子を用いて映像表示を行う場合であっても、COA技術を採用することにより、カラーフィルタ15に含まれる顔料に起因して、誘電正接や、キャリアの移動、不純物イオン等の拡散といった現象が生じ、画素回路60Aにおける保持電位(C点における電位)が変動し、画質劣化を引き起こす虞がある。例えば、特にG画素における保持電位の変動が激しく、ノーマリホワイトでは、表示画面が緑化する等の画質劣化を生じる。
【0076】
この点において、本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、駆動基板10上において、カラーフィルタ15に対向するように(第1電極30との間にカラーフィルタ15を挟み込むように)、第3電極14を設けている。また、この第3電極14には、第1電極30と同電位を供給可能となっており、ここでは第3電極14が第1電極30に電気的に接続され、第3電極14を第1電極30と等電位(映像信号に対応する電位)に保持するようになっている。
【0077】
これにより、カラーフィルタ15の設置に起因して上記のような誘電正接(および光電効果による誘電正接の増大)が生じた場合であっても、第3電極14と第1電極30との遮蔽効果により、C点における電位を変動させることがない。また、カラーフィルタ15が等電位面によって挟まれていることで、光電効果によって発生したキャリア移動、および不純物イオン等の移動(拡散)が抑制される。その結果、本実施の形態においても、カラーフィルタ15に起因する画素回路60への電気的影響が抑制される。また、上記のような不純物拡散による影響は、トランジスタ部のみならず、上部の液晶層32にも及ぶことがあるが、第3電極14と第1電極30との遮蔽効果により、そのような影響についても低減することができる。
【0078】
以上説明したように、液晶表示素子を用いた本実施の形態においても、駆動基板10側にカラーフィルタ15を有する構造において、カラーフィルタ15の下層に第3電極14を設けることにより、第1電極30と第3電極14との電気的遮蔽効果によって、画素回路60における保持電位の変動を抑制できる。よって、カラーフィルタによる画素回路への電気的影響を緩和して表示画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0079】
また、第3電極14に対し、第1電極30と同電位を供給することにより、カラーフィルタ15が等電位面によって挟まれ、上記遮蔽効果に加え、カラーフィルタ15内でのキャリアおよび不純物イオンの移動を抑制することができる。よって、画素回路60への電気的影響をより効果的に抑制することができる。
【0080】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態に係る表示装置(液晶表示装置4)について説明する。上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1および上記第3の実施の形態の液晶表示装置3と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0081】
図17は、液晶表示装置4の断面構造を表したものである。液晶表示装置4は、上記第3の実施の形態の液晶表示装置3と同様、いわゆるCOA技術によりカラーフィルタ15が駆動基板10側に設けられた構造を有し、画素として液晶表示素子を含むものである。また、周辺回路および画素回路の構成についても、上記第3の実施の形態と同様である。
【0082】
液晶表示装置4では、上記第3の実施の形態の液晶表示装置3と同様、駆動基板10上に、カラーフィルタ15が設けられている。このカラーフィルタ15上には、平坦化膜16が設けられ、この平坦化膜16上に、画素電極を含む電極層37、配向膜31a、液晶層32、配向膜31bおよび第2電極33が積層されている。
【0083】
但し、本実施の形態では、上記第3の実施の形態と異なり、駆動基板10上において、第3電極が、カラーフィルタ15の下層ではなく、その上層に、カラーフィルタ15に対向するように設けられている。詳細には、平坦化膜16上に配設された電極層37が、画素電極として機能する部分(第1電極37A)と、カラーフィルタ15を電気的に遮蔽する部分(第3電極37B)とを有している(電極層37が第1電極37Aと第3電極37Bとに分離されている)。尚、電極層37における第1電極37Aおよび第3電極37Bの電極パターンについては、上記第2の実施の形態において説明した第1電極23Aおよび第3電極23Bの電極パターンと同様とすることができる。
【0084】
このような電極層37では、画素電極としての第1電極37Aが、トランジスタ部12Aのソース・ドレイン電極121に接続されており、映像信号に対応した電位が供給されるようになっている。一方、第3電極37Bは、この第1電極37Aと電気的に分離されて設けられると共に、例えば第2電極33と電気的に接続されており、コモン電位が供給されるようになっている。あるいは、第3電極37Bには、コモン電位と異なる(個別に設定された正または負の電位(第1電極37Aに供給される映像電位とは正負逆の電位)を供給するようにしてもよい。
【0085】
上記のような構成により、本実施の形態においても、上記第3の実施の形態と同様、バックライト36からの照明光が変調され、カラーの映像表示がなされる。また、電極層37において、カラーフィルタ15に対向して第3電極37Bが設けられていることにより、上記第2の実施の形態と同様の理由から、顔料による不純物イオン等の挙動を緩和または反転(逆転)させることにより、画素回路60(例えば図16における書き込みトランジスタTr1)への電気的影響を軽減できる。加えて、不純物拡散に起因する液晶層32への悪影響をも低減することができる。
【0086】
次に、本発明の第5〜第7の実施の形態に係る表示装置(液晶表示装置5〜7)として、いわゆる横電界モードにより表示駆動される液晶表示装置について説明する。上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1および上記第3の実施の形態の液晶表示装置3と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0087】
<第5の実施の形態>
図18は、液晶表示装置5の断面構造を表したものである。液晶表示装置5は、上記第3,4の実施の形態の液晶表示装置と同様、いわゆるCOA技術によりカラーフィルタ15が駆動基板10側に設けられた構造を有し、画素として液晶表示素子を含むものである。また、周辺回路および画素回路の構成についても、上記第3の実施の形態と同様である。
【0088】
液晶表示装置5では、上記第3の実施の形態の液晶表示装置3と同様、駆動基板10上に、カラーフィルタ15が設けられ、このカラーフィルタ15を覆って平坦化膜16が形成されている。
【0089】
但し、液晶表示装置5は、いわゆる横電界モード(FFSモードまたはIPSモード)により表示駆動がなされるようになっている。このような液晶表示装置5は、例えば平坦化膜16上に、共通電極としての第2電極40が配設され、この第2電極40上には絶縁膜41を介して画素電極としての第1電極42が配設されている。この第1電極42上には液晶層44が形成され、対向基板34によって封止されている。液晶層44は配向膜43a,43bによって配向制御されている。
【0090】
第1電極42は、画素毎に設けられると共に、トランジスタ部12Aのソース(またはドレイン)に電気的に接続されており、映像信号に対応する電位が供給されるようになっている。この第1電極42は、透明導電膜、例えばITOおよびIZOのうちのいずれかの単層膜またはそれらの積層膜により構成され、櫛歯状にパターニングされて(複数のスリットを有して)いる。この第1電極42のスリットを介して液晶層44へ横電界が形成されるようになっている。第2電極40は、上記第1電極42と同様の透明導電膜からなり、各画素に共通の電極として設けられている。液晶層44は、駆動電圧に応じて、そこを透過する光の透過率を制御する素子であり、ここでは、IPSモードあるいはFFSモード等の横電界モードにより駆動されるものである。
【0091】
上記のような構成において、本実施の形態では、駆動基板10上において、第1電極42が、第2電極40と非対向の領域(例えば、トランジスタ部12Aに対向する領域)まで延在して設けられており、第3電極14は、そのような領域において、第1電極42との間に、カラーフィルタ15を挟み込むようにして配設されている。また、他の領域では、第3電極14は、第2電極40との間にカラーフィルタ15を挟み込んでいる。この第3電極14は、例えば第1電極42と電気的に接続されており、例えば画素電位(映像電位)と同電位に保持されるようになっている。あるいは、図示はしないが、第3電極14は、第2電極40と電気的に接続されることにより第2電極40と同電位に保持されるようになっていてもよい。更には、映像電位とは異なる個別に設定された電位が別途供給されるようになっていてもよい。尚、ここでは、第3電極14が、カラーフィルタ15を、第1電極42との間だけでなく、第2電極40との間においても挟持した構成を例示したが、少なくともトランジスタ部12Aに対向する領域において第1電極42および第3電極14による遮蔽効果が得られればよい。より望ましくは、本実施の形態のように、他の領域においても、カラーフィルタ15が第2電極40と第3電極14とにより挟み込まれているとよい。
【0092】
これにより、カラーフィルタ15の設置に起因して上記のような誘電正接(および光電効果による誘電正接の増大)が生じた場合であっても、第3電極14と第1電極42との遮蔽効果(加えて第3電極14と第2電極40との遮蔽効果)により電位変動を生じさせない。また、カラーフィルタ15が等電位面によって挟まれていることで、光電効果によって発生したキャリア移動、および不純物イオン等の移動(拡散)が抑制される。その結果、本実施の形態においても、カラーフィルタ15に起因する画素回路60への電気的影響が抑制される。
【0093】
以上説明したように、横電界モードの液晶表示素子を用いた本実施の形態においても、駆動基板10側にカラーフィルタ15を有する構造において、カラーフィルタ15の下層に第3電極14を設けることにより、特に第1電極42と第3電極14との電気的遮蔽効果によって、画素回路60における保持電位の変動、キャリア移動、および不純物イオン等の影響を抑制できる。よって、カラーフィルタによる画素回路への電気的影響を緩和して表示画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0094】
<第6の実施の形態>
図19は、液晶表示装置6の断面構造を表したものである。液晶表示装置6は、上記第3〜5の実施の形態の液晶表示装置と同様、いわゆるCOA技術によりカラーフィルタ15が駆動基板10側に設けられた構造を有し、画素として、横電界モードにより駆動される液晶表示素子を含むものである。また、この液晶表示装置6は、第5の実施の形態の液晶表示装置5と同様、横電界モードの液晶表示素子を用いたものである。尚、周辺回路および画素回路の構成についても、上記第3の実施の形態と同様である。
【0095】
但し、本実施の形態では、上記第5の実施の形態と異なり、駆動基板10上において、第3電極が、カラーフィルタ15の下層ではなく、その上層に、カラーフィルタ15に対向するように設けられている。具体的には、平坦化膜16上に配設された電極層47が、共通電極として機能する部分(第2電極47A)と、カラーフィルタ15を電気的に遮蔽する部分(第3電極47B)とを有している(電極層47が第1電極47Aと第3電極47Bとに分離されている)。
【0096】
第3電極47Bは、第2電極47Aと電気的に分離されて設けられると共に、個別に設定された電位が供給されるか、あるいは第2電極47Aと同電位が供給されるようになっている。
【0097】
上記のような構成により、本実施の形態では、電極層47において、カラーフィルタ15に対向して第3電極47Bが設けられていることにより、上記第2,4の実施の形態と同様の理由から、顔料による不純物イオン等の挙動を緩和または反転(逆転)させることにより、画素回路への電気的影響を軽減できる。
【0098】
以上説明したように、横電界モードの液晶表示素子を用いた本実施の形態においても、駆動基板10側にカラーフィルタ15を有する構造において、上記第2の実施の形態と同様の理由から、顔料による不純物イオン等の挙動を緩和または反転(逆転)させることにより、画素回路60(例えば図16における書き込みトランジスタTr1)への電気的影響を軽減できる。よって、カラーフィルタによる画素回路への電気的影響を緩和して表示画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0099】
<適用例>
次に、図20〜図25を参照して、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置(有機EL表示装置1,2,液晶表示装置3〜6)の適用例(モジュールおよび適用例1〜5)について説明する。上記実施の形態等の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0100】
(モジュール)
上記表示装置は、例えば図20に示したようなモジュールとして、後述の適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆動基板10の一辺に、封止用基板22(対向基板34)から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路51(61)、走査線駆動回路52および電源線駆動回路53(走査線駆動回路62)の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0101】
(適用例1)
図21は、適用例1に係るテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510が、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0102】
(適用例2)
図22は、適用例2に係るデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522が、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0103】
(適用例3)
図23は、適用例3に係るノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531,文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0104】
(適用例4)
図24は、適用例4に係るビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541,この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542,撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0105】
(適用例5)
図25は、適用例5に係る携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0106】
以上、いくつかの実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等において説明した各膜(各層)以外にも、他の膜を備えていてもよく、また、他の積層構造としてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,2…有機EL表示装置、3〜5…液晶表示装置、10…駆動基板、11…基板、12A…トランジスタ部、13B…容量部、13a…ゲート絶縁膜、13b…層間絶縁膜、14,23B…第3電極、15,46…カラーフィルタ、16…平坦化膜、17,23A…第1電極(アノード)、18…画素分離膜、19…有機EL層、20…第2電極(カソード)、21…保護層、22…封止用基板、23,37…電極層、30,42…第1電極(画素電極)、32,44…液晶層、33,40…第2電極(対向電極)、34…対向基板、35A,35B…偏光板、36…バックライト、50,60…画素回路、51,61…信号線駆動回路、52…電源線駆動回路、53,62…走査線駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタを有する画素駆動基板と、
前記画素駆動基板上に設けられた表示機能層と、
前記表示機能層に対し駆動電圧を供給するための第1電極および第2電極と、
前記カラーフィルタに対向配置された第3電極と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記表示機能層は、前記第1電極および前記第2電極間に挟持されており、
前記第1電極は画素毎に配設され、
前記第2電極は、各画素に共通して設けられ、
前記第3電極は、前記カラーフィルタを間にして前記第1電極に対向して設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1電極に対し、映像信号に対応する第1電位を供給可能であり、
前記第3電極に対し、前記第1電位と同一の電位を供給可能である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1電極に対し、映像信号に対応する第1電位を供給可能であり、
前記第3電極に対し、固定電位を供給可能である
請求項2に記載に表示装置。
【請求項5】
前記第3電極は、前記第2電極に電気的に接続されている
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示機能層は、前記第1電極および前記第2電極間に挟持されており、
前記第1電極は画素毎に配設され、
前記第2電極は、各画素に共通して設けられ、
前記第3電極は、前記第1電極と同層において、前記第1電極と電気的に独立して配設されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1電極に対し、映像信号に対応する第1電位を供給可能であり、
前記第3電極に対し、前記第1電位と異なる固定電位を供給可能である
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第3電極が前記第2電極と電気的に接続されている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1電極に正電位、前記第3電極に負電位をそれぞれ供給可能である
請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1電極に負電位、前記第3電極に正電位をそれぞれ供給可能である
請求項6に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示機能層は、有機電界発光層を含む
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示機能層は、液晶層を含む
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2電極は、各画素に共通して設けられ、
前記第1電極は、前記第2電極上に絶縁膜を介して画素毎に配設されると共に、前記第2電極に非対向の領域まで延在して設けられ、
前記表示機能層は、前記第1電極上に設けられると共に、横電界モードにより表示駆動され、
前記第3電極は、前記カラーフィルタを間にして、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも第1電極に対向して設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第2電極は、各画素に共通して設けられ、
前記第1電極は、前記第2電極上に絶縁膜を介して画素毎に配設され、
前記表示機能層は、前記第1電極上に設けられると共に、横電界モードにより表示駆動され、
前記第3電極は、前記第2電極と同層において、前記第2電極と電気的に独立して配設されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
カラーフィルタを有する画素駆動基板と、
前記画素駆動基板上に設けられた表示機能層と、
前記表示機能層に対し駆動電圧を供給するための第1電極および第2電極と、
前記カラーフィルタに対向配置された第3電極と
を備えた表示装置を有する電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2012−208421(P2012−208421A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75725(P2011−75725)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】